WO2005014734A1

WO2005014734A1 - インク、記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及び記録装置

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Publication number: WO2005014734A1
Application number: PCT/JP2004/011737
Authority: WO
Inventors: Tsuyoshi Kanke; Hiroshi Tomioka; Hiroyuki Takuhara; Shinichi Tochihara
Original assignee: Canon Kabushiki Kaisha
Priority date: 2003-08-11
Filing date: 2004-08-10
Publication date: 2005-02-17
Also published as: US7025817B2; KR20060039936A; EP1657284A4; DE602004023856D1; US20050126433A1; KR100689130B1; CN100572464C; EP1657284B1; CN1836014A; EP1657284A1

Description

明細書インク、記録方法、記録ュニット、インクカートリツジ及ぴ記録装置技術分野

本発明は、インクジェット用のインク、かかるインクを用いた記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及び記録装置に関し、更に詳しくは、インク力吐出オリフィス部での目詰まりや色材の析出を生じることなく、インク受容層を有するコート紙等に印字した画像を高温多湿条件で長時間放置しておいても、インクが滲み出して印字品位を損なうことのないインクジェット用のインク、かかるィンクを用いた記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及び記録装置に関する。背景技術

インクジェット記録方法は、インクの小滴を飛翔させ、紙等の被記録媒体にインクを付着させて記録を行うものである。こうした記録方法に用いられるィンクには、吐出安定性に優れる性能は当然のことながら、保存安定性が高く、吐出オリフィス部での目詰まりや色材の析出を生じない等、インクジェット用記録装置に適応する性能が求められる。

従来、ィンクジェット記録用ィンクとして水系ィンクを用いる場合には、記録へッドからのィンクの水分蒸発によるノズルの目詰まり発生等の問題が生じることがあった。この問題を解決するために、' インクの水分蒸発後も水溶性色材の溶解性を向上させる目的で、インク中に溶解助剤として、ある一定量以上の色材溶解性能の高い水溶性有機溶剤や、保湿性能に優れる尿素及び尿素誘導体等を用いることが有効であることが知られている（特開平 6— 0 2 5 5 7 3号公報、特開平 8— 1 2 0 2 0 4号公報及び特開平 9— 0 9 5 6 3 7号公報参照)。ところが、色材溶解性能の高い水溶性有機溶剤や保湿性能に優れる尿素や尿素誘導体等を用いて、紙等の基材上に顔料とパインダ一とを含むィンク受容層を形成した、所謂コート紙にインクジェットで記録した画像を、ある環境下、特に高温多湿条件で長時間放置するとインクの滲み（以下「高温高湿滲み」という）が生じ、印字品位が低下することがあった。発明の開示

本発明者らが検討したところ、特に、水溶性色材の分子量が小さいほど（例えば、遊離酸の形での分子量が 6 0 0以下）この現象が顕著であり、分子量が小さい水溶性色材を用いた 'ィンクでは、ィンク中における色材溶解性能の高い水溶性有機溶剤や保湿性能に優れる尿素及び尿素誘導体等の含有量が多いほど、高温高湿滲みを生じやすい傾向があるという知見が得られた。

そのため、この高温高湿滲み現象を抑制する方法としては、原因物質と考えられる、インク中における、色材溶解性能の高い水溶性有機溶剤や保湿性能に優れる尿素及ぴ尿素誘導体等の含有量を低く抑えることが有効であると推定される。しかしながら、インク中における水溶性有機溶剤や尿素及び尿素誘導体の含有量がある一定量以下になると、前記した吐出オリフィス部での目詰まりや色材の析出の問題を生じることがある。

従って、本発明の目的は、遊離酸の形で分子量が 6 0 0以下の水溶性色材を用いるインクジエツト用のインクにおいて、インクジェット記録用インクとして要求される性能を満たし、吐出オリフィス部での目詰まりや色材の析出を生じることなく、インク受容層を有するコート紙に印字した画像を高温多湿条件で長時間放置しておいても、インクが滲み出して印字品位を損なうことのないィンクを提供することである。

更に本発明は、このインクを使用したインクジェット記録方法、記録ュ-ット、インクカートリッジ、記録装置を提供することを更なる目的とするものでめる。上記の目的は、下記の本発'明によって達成される。即ち、本発明は、水と、遊離酸の形での分子量の値が 6 0 0以下である水溶性色材と、少なくとも 2種類の水溶性有機溶剤と、尿素又は尿素誘導体とを含有するインクジヱット用のインクにおいて、以下の（1 )、 ( 2 ) 及び ( 3 ) の条件を満たすことを特徴と

( 1 ) 上記少なくとも 2種類の水溶性有機溶剤は、 2 5 °Cにおける蒸気圧が水よりも低い。

( 2 ) 上記 ( 1 ) の条件を満たす水溶性有機溶剤は、各水溶性有機溶剤における該水溶性色材の溶解度と、水における該水溶性色材の溶解度を比較した場合に、水に対する溶解度よりも高い溶解度を有する水溶性有機溶剤 Aと、水に対する溶解度よりも低い或いは同じ溶解度を有する水溶性有機溶剤 Bとを含む。

( 3 ) 前記水溶性有機溶剤 Aにおける該水溶性色材の溶解度と、前記水溶性有機溶剤 Bにおける該水溶性色材の溶解度との溶解度差が 1 0 %以上である。又、本発明は、記録信号に応じてオリフィスから上記インクの液滴を吐出する工程を有することを特徴とする記録方法である。

又、本発明は、上記インクが収容されているインク収容部と、該インクの液滴を吐出させるためのへッド部が設けられていることを特徴とする記録ュ二ットである。

又、本発明は、上記インクが収容されているインク収容部が設けられていることを特徴とするインクカートリッジである。

又、本発明は、上記インクを収容しているインク収容部と、該インクの液滴を吐出させるためのへッド部とを有する記録ュニットを具備していることを特徴とする記録装置である。図面の説明

図 1は、本発明の実施形態における記録装置の斜視図である。図 2は、本発明の実施形態における記録装置の機構部の斜視図である。図 3は、本発明の実施形態における記録装置の断面図である。

図 4は、本発明の実施形態で適用したへッドカートリッジにィンクタンクを装着する状態を示した斜視図である。

図 5は、本発明の実施形態で適用したへッドカートリッジの分角斜視図でめる。

図 6は、本発明の実施形態で適用したへッドカートリッジにおける記録素子基板を示す正面図である。発明を実施するための最良の形態

本発明者らは、前記した目的に鑑み、水と、遊離酸の形での分子量の値が 6 0 0以下である水溶性色材と、色材溶解性の高い水溶性有機溶剤と、尿素又は尿素誘導体とを含有するィンクにおいて、使用する水溶性有機溶剤について様々な検討を重ねた過程において、以下の条件を満足する少なくとも 2種類以上の水溶性有機溶剤を用いることが、インクジェット特性を損なうことなく、高温高湿滲みの発生を有効に抑制できる手段となることを見いだして本発明に至った。

具体的には、先ず第 1に、インク中に、 2 5 °Cにおける蒸気圧が水よりも低い少なくとも 2種類の水溶性有機溶剤を含有させる。第 2に、上記第 1の条件を満たす水溶性有機溶剤における、ィンクを構成する水溶性色材の溶解度が、該水溶性色材の水における溶解度を基準とした場合に、水における溶解度よりも高い溶解度を有する水溶性有機溶剤 Aと、水における溶解度よりも低い或いは同じ溶解度を有する水溶性有機溶剤 Bとを用いる。第 3に、前記水溶性有機溶剤 Aにおける該水溶性色材の溶解度と、前記水溶性有機溶剤 Bにおける該水溶性色材の溶解度との溶解度差が 1 0 %以上とする。

本発明にかかるインクにおいて、吐出オリフィス部で目詰まりや色材の析出を生じない理由は、従来から報告されているように、インク中における水溶性色材の溶解性を向上させることができる水溶性有機溶剤と、保湿性能に優れる尿素及び尿素誘導体とが併用されているためである。本発明者らの検討によれば、特に、吐出オリフィス部で色材の析出を生じやすいことに対しては、保湿性能に優れる尿素や尿素誘導体を用いると非常に高い色材析出防止効果が得られ、インクの吐出オリフィス部での目詰まりや色材の析出の防止を達成できる。

上記した本発明にかかるィンクを用いて形成した画像が、高温高湿滲みを抑制できる理由を本発明者らは次のように考えてレ、る。 .

先ず、従来のインクにおいて高温高湿滲みが生じる過程を説明する。インクを構成する主成分が水である水性ィンクで記録した画像では、被記録媒体から水が蒸発する。水の蒸発後、被記録媒体に残留するインク成分は、水よりも蒸気圧の低い水溶性有機溶剤ゃ色材である。被記録媒体にィンク受容層を有するコート紙を用いた場合に、上記したように水の蒸発後のィンク受容層中に水溶性有機溶剤が残留していると、インク受容層中の色材の一部は、水溶性有機溶剤に溶解した状態で存在することになる。このような状態の被記録媒体を高温多湿条件で長時間放置すると、大気中の水分がィンク受容層に取り込まれる。即ち、高温多湿条件で長時間放置することで、インク受容層中の水溶性色材を移動可能にする媒体が供給されることになる。この結果、画像を高温多湿条件で長時間放置する状況とすると、水分と共に溶解状態の水溶性色材がィンク受容層中を移動し、記録画像の滲みを生じるものと考えられる。本発明者らの検討によれば、特に分子量の小さい、例えば、分子量 6 0 0以下である水溶' I"生色材を用いたインクは、色材の分子サイズが小さいために、インク受容層中をより移動しやす V、傾向があった。

本発明にかかるインクは、分子量 6 0 0以下である水溶性色材を含有するものであるが、水よりも蒸気圧の低い水溶性有機溶剤として、該水溶性色材の水における溶解度を基準として、水におけるよりも高い該水溶性色材の溶解度を有する水溶性有機溶剤 Aと、水におけるよりも低い該水溶性色材の溶解度を有する水溶性有機溶剤 Bとを含有している。

このような構成を有する本発明にかかるィンクで記録した画像では、保存時に水が蒸発した後、インク受容層中に、インク中に色材として用いた水溶性色材に対する溶解度がそれぞれ異なる、上記水溶性有機溶剤 A及び水溶性有機溶剤 Bが残留することになる。このため、本発明にかかるインクを用いて画像を形成し、画像を高温多湿条件で長時間放置した場合には、インク受容層中における水溶性色材の溶解状態が不安定化し、この結果、インク受容層中の水溶性色材の移動が抑制され、記録画像の滲みの発生が抑制されたものと考えている。又、本発明者らの更なる検討によれば、画像の高温髙湿滲みの発生をより効果的に抑制するためには、水溶性有機溶剤 Aと水溶性有機溶剤 Bのそれぞれの、使用する水溶性色材に対する溶解度差が 1 0 %以上であることが必要であつた。

以下、本発明にかかるインクの構成成分について、それぞれ説明する。

(水溶性色材）

本発明で使用する水溶性色材としては、遊離酸の形での分子量の値が 6 0 0 以下である水溶性色材であれば何れのものであってもよいが、例えば、遊離酸の形での分子量の値が 6 0 0以下である染料を用いることができる。染料としては、一般的に用いられている公知の染料でも、新規に合成された染料でもよいが、具体的な染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、食用染料等が挙げられる。

本発明においては、かかる色材のインク中の含有量は、インク全質量に対して 0 . 1〜1 5 . 0質量％であることが好ましく、特には、 0 . 5〜5 . 0質量％であることが好ましい。

又、本発明にかかる色材は、単独でも、或いは 2種以上を混合して用いることも可能である。 2種以上の色材を混合して使用する場合は、使用する染料のすべてが必ずしも遊離酸の形での分子量の値が 6 0 0以下である必要はなく、ィンク中に遊離酸の形での分子量の値が 6 0 0以下の染料が少なくとも 1種の含まれていればよい。ィンク中の全染料に対する遊離酸の形での分子量の値が 6 0 0以下の染料の割合は、質量基準で 5〜 1 0 0 %であることが好ましく、特には 1 0〜1 0 0 %であることが好ましい。

本発明にかかるィンクを構成する水溶性色材に好適なものとして、遊離酸の形で、下記一般式（I ) で示される色材を含有させたインクを挙げることができる。即ち、本発明にかかるインクを構成する水溶性色材として下記一般式 ( I ) で示される色材を用いた場合には、吐出オリフィス部での目詰まりや色材の析出を生じることなく、しかも、インク受容層を有するコート紙に印字し、得られた画像を高温多湿条件で長時間放置した場合においても、ィンクが滲み出して印字品位が損なわれることがない、という本発明の効果が、より顕著に達成される。 (

(S0₃H)_m

(式中、 mは 0〜2の整数を表す。 nは 0〜1の整数を表す。ただし m+ nは 1以上の整数である。）

本発明において、色材は、遊離酸の形（遊離酸型）のまま使用してもよいが、製造時に塩型で得られたものをそのまま使用してもよいし、所望の塩型に変換して使用してもよい。又、上記一般式（I ) において、酸基の一部が塩型となつている構造のものでもよく、更には、塩型の色材と遊離酸型の色材が混在していてもよい。

このような塩型の例としては、 N a、 L i、 K等のアルカリ金属の塩、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニゥムの塩、又は有機ァミンの塩、等が挙げられる。この場合の有機ァミンの例としては、低級アルキルァミン、ヒドロキシ置換低級アルキルァミン、カルボキシ置換低級アルキルアミン及び炭素数 2〜 4のアルキレンィミン単位を 2〜1 0個有するポリアミン等が挙げられる。これらの塩型の場合、その種類は 1種類に限られず複数種混在していてもよい。又、本発明で使用する色材の構造において、その 1分子中に酸基が複数個含まれる場合は、その複数の酸基は塩基或いは酸型であり互いに異なるものであってもよい。尚、色材が塩型の場合は、インク中では陰イオンとカウンターの陽ィオンに解離して存在する。上記一般式 ( I ) で表される色材の具体例としては、例えば、以下に示す構造のものが挙げられるが、し力し、本発明で使用する色材は、これらに限定されるものではない。

⁽水溶性有機溶剤）

本発明に用いることのできる水溶性有機溶剤は、水溶性を示し、且つ上述の 3条件を満足する組み合わせを含むものであれば、種類等については特に制限はなく、例えば、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコーノレエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒等を使用することができる。

本発明においては、水溶性有機溶剤 Aと水溶性有機溶剤 Bとの水溶性色材の溶解度差が 1 0 %以上であるが、特には 1 5 %以上であることが好ましい。又、 3 0 %以下であることが好ましい。この範囲内になるように調整することで、本発明の効果をより顕著に得ることができる。

又、本発明においては、水溶性色材の溶解度差が 1 0 %以上である水溶性有機溶剤 Aと水溶性有機溶剤 Bとの合計量がィンク中の全水溶性有機溶剤に対して 8 0質量％以上であることが好ましい。このような比率に調整することで、より効果的に、形成した画像の高温高湿滲みを抑制し、加えて吐出オリフィス部での目詰まりや色材の析出も抑制することができる。

又、本発明においては、水溶性有機溶剤 Aと水溶性有機溶剤 Bとの混合比（水溶性有機溶剤 A _:水溶性有機溶剤 B ) が質量基準で 4 ： 1〜1 ： 1であることが好ましく、特には、 3 . 5 ： 1 - 2 . 5 ： 1であることが好ましい。この範囲内になるように調整することで、本発明の効果をより顕著に得ることができる。

更に、本発明におけるインク中の全水溶性有機溶剤の含有量は、本発明の効果ゃインクの物性、インクの記録紙への効果的な浸透等を考慮すると、質量比でィンク全体の 1 0〜 3 5質量％の範囲とすることが好ましく、より好ましくは 1 5〜 3 0質量％の範囲である。

本発明にかかるィンクに使用する水溶性有機溶剤を選択する際には、下記に述べる方法で、インクに使用する具体的な水溶性色材についての各水溶性有機溶剤における溶解度を予め測定し、該水溶性有機溶剤に対する水溶性色材の溶解度が水に対する該水溶性色材の溶解度よりも高い水溶性有機溶剤と水よりも低い或いは同じ水溶性有機溶剤を判別する。

尚、上記水溶性有機溶剤 Aや水溶性有機溶剤 Bに該当しない、その他の水溶 .性有機溶剤としては、 2 5 °Cにおける蒸気圧が水よりも高い、メタノ一ルゃェタノール、イソプロピルアルコール、ァセトン及びメチルェチルケトン等が挙げられる。

く水溶性有機溶剤の蒸気圧 >

本発明における水溶性有機溶剤の蒸気圧は 2 5 °Cにおけるものであり、常法によって測定することができる。また、実際に測定しなくても、各種の文献に記載された値を利用することができる。又、文献に 2 5 °Cおける蒸気圧が記载されていなくとも、例えば、水溶性有機溶剤の 5 0 °Cにおける蒸気圧が 2 5 °C における水の蒸気圧よりも低ければ、 2 5 °Cにおける水溶性有機溶剤の蒸気圧も当然に水よりも低いと判断することができる。

<水溶性色材の溶解度 >

本発明においては、各水溶性有機溶剤における対象とする水溶性色材の溶解度の測定を以下の方法で行った。先ず、色材が液状の場合には、ビーカー 1 0 0 m l ( J I S R 3 5 0 3 ) に色材が溶解した水溶液 5 0グラムを入れ、 6 0 °C、 2 0 % R Hの恒温槽に放置した。そして、 3時間当たりの質量変化が 0 . 0 1グラム以下の恒量になるまで蒸発乾固した。次に、得られた固化した染料を乳鉢ですり潰し、粉体にした。尚、色材が粉体の場合は、そのまま用いることができる。このようにして得た染料粉体を、測定対象である水或いは各水溶性有機溶剤中に入れ、飽和状態になるまで溶解させて再び液状とした。この際、溶解に要した粉体色材の質量を測定し、対象とする水或いは水溶性有機溶剤と粉体色材の総質量で割ったものを溶解度 (0/₀) とした。

尚、本発明においては、色材の種類にもよるが、水溶性有機溶剤 Aがグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコーノレ及びポリエチレングリコールであることが好ましく、特には、グリセリン及ぴエチレングリコールであることが好ましい。又、水溶性有機溶剤 Bが 2—ピロリドン及び 1， 5—ペンタンジオールであることが好ましく、特には、 2—ピロリドンであることが好ましい。

(尿素、尿素誘導体）

本発明においては、吐出オリフィス部での目詰まりや色材の析出防止目的のために、保湿性固形分として尿素又は尿素誘導体をインク成分として用いる。尿素誘導体としてはエチレン尿素、プロピレン尿素、ジェチル尿素、チォ尿素等が挙げられ、これらのものを 2種以上同時に用いてもよい。本発明においては、尿素又はエチレン尿素を選択することが特に好ましい。本発明における尿素又は尿素誘導体のインク中の含有量は、高温高湿滲みの影響を考慮して、ィンク全量に対して 3〜 1 0質量％の範囲とすることが好まし、。

(水）

本発明にかかるインクを構成する水の含有量は、インク全量に対して 4 5〜

8 5質量％の範囲とすることが好ましい。水が所定の含有量より少ないと色材の溶解性等が悪くなりやすく、インクの粘度も高くなりやすい。一方、所定の含有量より多いと蒸発成分が多すぎて、吐出オリフィス部での目詰まりゃ色材の析出防止を満足できないことがある。

(界面活性剤、添加剤）

本発明においては、本発明の効果に影響しない範囲で、インク中に界面活性剤やその他添加剤を使用することができる。この際に使用できる界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルァリルスルホン酸塩類等の陰ィオン界面活性剤、ポリォキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコール、了セチレンダリコール等の非イオン性界面活性剤があり、これらの 1種又は 2種以上を適宜選択して使用できる。上記した中でも、特にアセチレンアルコール類や、アセチレンダリコール類が普通紙への浸透性に優れた効果を発揮するために好適である。

その使用量は、他のインク成分の添加量によっても異なるが、インク全量に対して、 0 . 0 1〜5質量％程度が好ましい。この際、 2 5 °Cにおけるインクの表面張力が、 1 O mNZm ( d y n / c m) 以上となるようにすることが好ましく、特には 2 O mN/m以上となるように、又、表面張力が 6 O mN/m 以下となるように界面活性剤の添加する量を決定することが好ましい。なぜなら、インクジェット記録方式において適用した場合は、ノズル先端の濡れによる印字ョレ（インク滴の着弾点のズレ）等の発生を有効に抑えることができるからである。

又、その他の添加剤としては、 p H調整剤、防鲭剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー等、が挙げられる。又、インクはインクジェット記録装置で良好な吐出特性を得るために、所望の粘度や p Hを有するように調整することが好ましい。

(被記録媒体）

上記構成を有する本願発明にかかるインクは、勿論、通常の被記録媒体に用いることができるが、特に、表面にインク受容層を有するコート紙等の特殊な記録媒体（特殊媒体）にインクジェット記録する際に用いた場合に優れた効果が得られる。以下、本発明に用いることのできる特殊媒体の一例について、更に詳述する。例えば、インク中の染料や顔料等の色材を、被記録媒体の表面に形成されたインク受容層内の親水性多孔質構造を形成する微粒子に吸着させ、少なくともこの吸着した色材によって画像が形成される被記録媒体を挙げることができる。力かる被記録媒体は、インクジェット記録方法に利用する場合に特に好適である。このような被記録媒体の中でも、特に、支持体上に設けたィンク受容層に形成された空隙によりインクを吸収する、いわゆる吸収タイプである場合に、本発明にかかるインクを使用することによって優れた効果が得られる。

この吸収タイプのインク受容層は、微粒子を主体とし、必要に応じて、バインダーやその他の添加剤を含有する親水性多孔質層として構成される。微粒子の例としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナ或いはアルミナ水和物等の酸ィヒアルミニウム、珪藻土、酸化チタン、ハイド口タルサイト、酸化亜鉛等の無機顔料や尿素ホルマリン樹脂、エチレン樹脂、スチレン樹脂等の有機顔料が挙げられ、これらの 1種以上が使用される。

インク受容層を形成するためのパインダ一として好適なものとしては、水溶性高分子やラテックスを挙げることができる。例えば、ポリビュルアルコール又はその変性体、澱粉又はその変性体、ゼラチン又はその変性体、アラビアゴム、カノレボキシメチノレセノレロース、ヒドロキシェチノレセノレロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、 S B Rラテックス、 N B R ラテックス、メチルメタクリレートーブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテツタス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビュル系共重合体ラテックス、ポリビュルピロリドン、無水マレイン酸又はその共重合体、アタリル酸エステル共重合体等を使用することができ、必要に応じて、上記した中から 2種以上を選択し、組み合せて用いることもできる。

インク受容層を形成する場合には、その他の添加剤を使用することもできる。例えば、必要に応じて、分散剤、増粘剤、 p H調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用される。

又、色材がもともと粉体の場合には、目的の溶剤に対して飽和状態になるまで溶解させ、この溶解に要した粉体色材の質量を溶剤と粉体色材の総質量で割つたものを溶解度とした。

(記録装置）

上記で説明した本発明にかかるインクは、下記に説明するようなインクジヱット記録装置に好適に用いることができる。以下、好適なインクジェット記録装置について説明する。図 1は、本実施形態で適用する記録装置の斜視図である。又、図 2および図 3は、記録装置本体の内部機構を説明するための図であり、図 2は右上部からの斜視図、図 3は記録装置本体の側断面図をそれぞれ示したものである。

本実施形態で適用する記録装置において給紙を行う際には、まず給紙トレイ M 2 0 6 0を含む給紙部において記録媒体の所定枚数のみが給紙ローラ M 2 0 8 0と分離ローラ M'2 0 4 1から構成されるニップ部に送られる。送られた記録媒体はニップ部で分離され、最上位の記録媒体のみが搬送される。用紙搬送部に送られた記録媒体は、ピンチローラホルダ M 3 0 0 0及びペーパーガイドフラッパー M 3 0 3 0に案内されて、搬送ローラ M 3 0 6 0とピンチローラ M 3 0 7 0とのローラ対に送られる。搬送ローラ M 3 0 6 0とピンチローラ M 3 0 7 0とからなるローラ対は、 L Fモータ E 0 0 0 2の駆動により回転され、この回転により記録媒体がプラテン M 3 0 4 0上を搬送される。

キヤリッジ部では記録媒体に画像形成する場合、記録へッド H 1 0 0 1 (図 4 ) を目.的の画像形成位置に配置させ、電気基板 E 0 0 1 4からの信号に従つて、記録媒体に対しインクを吐出する。記録へッド H 1 0 0 1についての詳細な構成は後述するが、本実施形態の記録装置においては、記録へッド H 1 0 0 1により記録を行いながらキヤリッジ M 4 0 0 0が列方向に走査する記録主走査と、搬送ローラ M 3 0 6 0により記録媒体が行方向に搬送される副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体上に画像を形成していく構成となっている。

最後に画像形成された記録媒体は、排紙部で第 1の排紙ローラ M 3 1 1 0と拍車 M 3 1 2 0との二ップに挟まれ、搬送されて排紙トレイ M 3 1 6 0に排出される。

なお、クリーニング部において、画像記録前後の記録へッド H 1 0 0 1をクリ一ユングする目的のために、キャップ M 5 0 1 0を記録へッド H 1 0 0 1のインク吐出口に密着させた状態で、ポンプ M 5 0 0 0を作用させると、記録へッド H I 0 0 1から不要なインク等が吸引されるようになっている。又、キヤップ M 5 0 1 0を開けた状態で、キャップ M 5 0 1 0に残っているインクを吸引することにより、残インクによる固着およびその後の弊害が起こらないように配慮されている。

(記録へッド構成）

上述の記録装置で適用するへッドカートリッジ H 1 0 0 0の構成について説明する。

本実施形態におけるへッドカートリッジ H 1 0 0 0においては、記録へッド H 1 0 0 1と、インクタンク H I 9 0 0を搭載する手段、およびインクタンク H I 9 0 0から記録へッドにィンクを供給するための手段を有しており、キヤリッジ M 4 0 0 0に対して着脱可能に搭載される構成となっている。

図 4は、本実施形態で適用するへッドカートリッジ H 1 0 0 0に対し、インクタンク H I 9 0 0を装着する様子を示した図である。本実施形態の記録装置は、シアン、マゼンタ、イェロー、ブラック、レッド、ライトシアンおょぴラィトマゼンタの 7色のインクによって画像を形成するため、インクタンク H 1 9 0 0は、以上の 7色分が独立に用意されている。そして、図に示すように、それぞれがへッドカートリッジ H I 0 0 0に対して着脱自在となっている。尚、インクタンク H I 900の着脱は、キヤリッジ M4000にへッドカートリッジ HI 000が搭載された状態で行えるようになつている。

図 5は、へッドカートリッジ H 1 000の分角军斜視図を示したものである。図において、ヘッドカートリッジ H 1 000は、第 1の記録素子基板 H 1 1 0 0およぴ第 2の記録素子基板 HI 1 0 1、第 1のプレート H I 200、第 2のプレート H 1400、電気配線基板 H 1 300、タンクホルダー H 1 5 00、流路形成部材 H 1 600、フィルター H 1 700、シールゴム H 1 800など力ら構成されている。

本実施形態においては、 7色分用意されたインクタンク H 1 900のインクを、 9列のノズル列に分配する構成となっており、各ノズル列が形成されている第 1の記録素子基板 H I 1 0 0および第 2の記録素子基板 H I 1 0 1に各インクが分配される構成となっている。

第 1の記録素子基板 H 1 1 00および第 2の記録素子基板 H 1 1 0 1は S i基板であり、その片面にインクを吐出するための複数の記録素子（ノズル）がフォトリソグラフィ技術により形成されている。各記録素子に電力を供給する A 1等の電気配線は、成膜技術により形成されており、個々の記録素子に対応した複数のィンク流路もまた、フォトリソグラフィ技術により形成されてレ、る。電気配線基板 H 1 300は、これら第 1の記録素子基板 H 1 1 00および第 2の記録素子基板 H I 1 0 1に形成されている各ノズルからインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、第 1の記録素子基板 H 1 1 00および第 2の記録素子基板 H I 1 0 1に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し記録装置本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子 H 1 30 1とを有している。更に、第 1のプレート HI 200には、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口 H 1 20 1が裏面に開口するように形成されている。

図 6は、本実施形態における、第 1の記録素子基板 H 1 1 00および第 2の記録素子基板 H 1 101の構成を説明するための正面拡大図である。 H270 0〜H3500は、それぞれ異なる、あるいは同色のインク色に対応するノズル列であり、第 1の記録素子基板 H 1 100には、ライトシアンィンクが供給されるノズル列 H 3200、ブラックィンクが供給されるノズル列 H 3300、レッドインクが供給されるノズル列 H3400、およびライトマゼンタインクの供給されるノズル列 H 3500の 4色分のノズノレ列が構成されている。

第 2の記録素子基板 HI 101には、シアンインクが供給される 2列のノズル列 H2700および H3100、マゼンタインクが供給される 2列のノズル列 H 2800および H 3000、さらにイエローインクが供給されるノズル列 H2900の 3色分で 5列のノズル列が形成されており、イェローインクのノズル列 H 2900を中心に、両側に線対称にマゼンタおよびシアンのノズル歹 IJ が整列した構成となっている。

各ノズル列は、記録媒体の搬送方向に 1200 d p i (d o t/i n c h ; 参考値）の間隔で並ぶ 768個のノズルによって構成され、約 2ピコリットルのインク滴を吐出させる。各ノズル吐出口における開口面積は、およそ 100 平方 μπι²に設定されている。

このようにシアン、マゼンタおよびイェローのノズル列を、キャリッジ Μ4 000の走查方向に対し対称に配置することは、キヤリッジ Μ4000の双方向印刷を行った際に、色ムラという画像弊害を低減する効果がある。色むらとは、主に、記録媒体へ着弾するインクの色順が異なることによって生じる発色性の違いが原因となっている。本実施形態のように、イェローインクのノズル列 Η 2900を中心に、マゼンタとシアンのノズル列が 2列ずつ対称に構成されていれば、プリント動作の往路と復路とで、利用するノズル列を切り替えることにより、記録媒体へ着弾するインクの順番を統一することができるのである。よって、本実施形態においては、高品位な画像を双方向で高速に形成可能なことが特 ¾ί [となっている。尚、ノズル列の配置は利用する 7色すべてにおいて、対称であることが好ましいが、装置の大型化、コストアップ、およびデータ処理の複雑化を招いてしまうことから、本実施形態においては、特に双方向印刷時の色ムラへの寄与が大きい 3色、すなわち、シアン、マゼンタ、およびイェローのノズル列のみを対称に配置している。

又、本実施形態のィンク流路 H 1 5 0 1は、

タインク用の流路が途中で二股に分岐しており

から供給されたィンクを、 2列のノズル列に分配可能な構成となっている。 . 尚、ここでは記録ヘッドの一形態として、電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体（記録素子）を用いて記録を行うバブルジェット（登録商標）方式の記録ヘッドについて一例を挙げて述べた。

この代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第 4 , 7 2 3 , 1 2 9号明細書、同第 4， 7 4 0 , 7 9 6号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド型、コンティニユアス型の何れにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体（インク）が保持されているシートや液流路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸縢を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱ェネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体 (インク）内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体（インク）を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長.収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体（ィンク）の吐出が達成でき、より好ましいといえる。

又、第二の力学的エネルギーを利用したインクジヱット記録装置の形態として、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録へッドを挙げることができる。

その他に、インクカートリッジとしては、記録へッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したものも用いられる。

又、本発明で使用されるィンクジェット記録装置としては、上述のようにへッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが一体になつたものにも好適に用いられる。

又、インク吸収体を用いず、例えばィンク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でもよい。

実施例

次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。

先ず、実施例及び比較例で使用する水溶性有機溶剤を選択するために、純水及び 2 5 °Cにおける蒸気圧が水よりも低い各種の水溶性有機溶剤について、ィンクの色材として用いる下記の例示化合物 1に対する溶解度の測定を、先に説明した方法でそれぞれ行った。得られた結果を表 1に示した。表 1においては、その溶解度が水に対する溶解度よりも高い水溶性有機溶剤 Aと、その溶解度が水に対する溶解度よりも低い或いは同じである水溶性有機溶剤 Bとに分類して示した。 + 例

表 1：各水溶性有機溶剤についての色難解度

先に説明したように、本発明にかかるインクは、水溶性有機溶剤 Aについての水溶性色材である例示化合物 1の溶解度と、水溶性有機溶剤 Bにつレ、ての水溶性色材である例示化合物 1の溶解度との溶解度差が、 1 0 %以上である組み合わせを有する 2種類以上の水溶性有機溶剤を含むものである。

従って、上記表 1の結果から、実施例では、溶解度の高い水溶性有機溶剤 A として、グリセリン、エチレングリコーノレ、ポリエチレングリコール 2 0 0、ジエチレングリコールを用い、溶解度の低い、或いは同じ水溶性有機溶剤 Bとして、トリエチレングリコール、 2—ピロリドン、 1 , 5一ペンタンジオールを用いることができる。特に好ましい水溶性有機溶剤 Aとしては、グリセリン、エチレンダリコール、ポリエチレングリコール 2 0 0が挙げられ、水溶性有機溶剤 Bとしては 2—ピロリドン、 1 , 5一ペンタンジオールが挙げられる。 <実施例：！〜 8及び比較例 1〜 4 >

表 2— 1及び 2— 2に記載した各成分を混合し、十分攪拌して溶解後、 0 . 2 0 Ai mフィルタ一にて加圧濾過を行い、実施例 1〜8及び比較例 1〜4のィンクを夫々調製した。尚、表 2に示したインクの成分組成は、「質量％」である。

表 2— 1：実施例 1〜8のィンク組成

(*) ：川研ファインケミカル社製

表 2— 2■·比較例 1〜4のィンク組成

( * ) ：川研ファインケミカル社製

)評価 >

上記で得られた実施例 1〜 8、及び比較例 1〜 4の各ィンクを、記録信号に応じた熱エネルギーをィンクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録へッドを有するインクジヱット記録装置であるインクジェットプリンタ P i X u s 9 5 0 i (キャノン（株）製）に搭載し、オリフィス部のィンク目詰まり、染料析出性及び高温高湿滲みについて、下記の方法及ぴ基準に従つて評価した。実施例 1〜 8及び比較例 1〜 4の各ィンクを用いて得られた評価結果を表 3にまとめて示した。

( 1 ) オリフィス部のインク目詰まり、染料析出性

前記したプリンターに、実施例及び比較例のインクを充填して、所定の回復動作を行い、印字チェック用のパターンを印字した。その後、インクジェットプリンタ本体から記録ユニットを取り出した。そして、インクタンクを装着した記録へッドを、 3 5 °CZ相対湿度 5〜 2 0 % R Hの環境下に裸状態で 1 4日間放置後、 2 5 °Cにて 2 4時間放置した後の記録へッドのノズルを、目視で観察した。その後、前記したプリンターに再び記録ヘッドを装着し、印字チヱック用のパターンを印字した。そして、下記の基準で評価した。

AA：ノズルに染料の析出物が観察されず、記録へッド放置後も正常に印字される。

A：ノズルに染料の析出物がほとんど観察されず、記録へッド放置後も正常に印字される。

B ：ノズルに染料の析出物が観察されるが、記録へッド放置後も正常に印字される。

C：ノズルに染料の析出物が観察され、正常に印字されるのに数回の回復動作を要する。

( 2 ) コート紙印字の際の高温高湿滲み

前記したプリンターに、実施例及び比較例のインクを充填して、光沢紙（P R— 1 0 1 ；キャノン（株）製）に、ベタパッチの中に白抜きの文字を含むパターンを印字した。得られた印字物を 2 4時間自然乾燥させ、 3 0 °C/相対湿度 8 0 % R Hの高温多湿の条件下に 1週間放置した。そして、印字物の白抜きの文字部に、インクの滲みが生じているかを目視で観察し、下記の基準で評価した。

AA：滲みがない。

A：僅かに滲みがある。 B :滲みがあるが、白抜きの文字のつぶれはみられない

C :滲みがあり、白抜きの文字のつぶれがみられる。

表 3：評結菜

以上説明したように、本発明によれば、吐出オリフィス部での目詰まりや色材の析出を生じることなく、ィンク受容層を有するコート紙に良好に印字でき、得られた画像を高温多湿条件下に長時間放置しておいても、インクが滲み出して印字品位を損なうことのないィンクジヱット記録用のィンク、記録方法、記録ュニット、インクカートリッジ及び記録装置が提供される。この出願は 2003年 8月 1 1日に出願された日本国特許出願第

2003-207040号からの優先権を主張するものであり、その

内容を引用してこの出願の一部とするものである。

Claims

請求の範囲

1. 水と、遊離酸の形での分子量の値が 600以下である水溶性色材と、少なくとも 2種類の水溶性有機溶剤と、尿素又は尿素誘導体とを含有するインクジェット用のインクにおいて、以下の（1)、 (2) 及び (3) の条件を満たすことを特徴とするインク。

( 1 ) 上記少なくとも 2種類の水溶性有機溶剤は、 25 °Cにおける蒸気圧が水よりも低い。

(2) 上記 (1) の条件を満たす水溶性有機溶剤は、各水溶性有機溶剤における該水溶性色材の溶解度と、水における該水溶性色材の溶解度を比較した場合に、水に対する溶解度よりも高い溶解度を有する水溶性有機溶剤 Aと、水に対する溶解度よりも低い或いは同じ溶解度を有する水溶性有機溶剤 Bとを含む。

(3) 前記水溶性有機溶剤 Aにおける該水溶性色材の溶解度と、前記水溶性有機溶剤 Bにおける該水溶性色材の溶解度との溶解度差が 10 %以上である。5 2. 前記水溶性有機溶剤 Aと水溶性有機溶剤 Bとの合計量がィンク中の全水溶性有機溶剤に対して 80質量％以上である請求項 1に記載のインク。

3. 前記水溶性有機溶剤 Aと水溶性有機溶剤 Bとの混合比（水溶性有機溶剤 A：水溶性有機溶剤 B) が質量基準で 4 _: 1〜1 _: 1である請求項 1に記載 0 4. 前記水溶性色材が、遊離酸の形で下記一般式（I) で示される請求項

1に記載のインク。

一般式（

(SOgH)! (式中、 mは 0〜2の整数を表す。 nは 0〜1の整数を表す。ただし m+ nは 1以上の整数である。）

5 . 記録信号に応じてオリフィスからインクの液滴を吐出する工程を有するインクジェット記録方法において、上記インクが、請求項 1に記載のインクであることを特¾¾とする記録方法。

6 . 請求項 1に記載のインクが収容されているインク収容部と、該インクの液滴を吐出させるためのへッド部が設けられていることを特徴とする記録ュニット。

7 . 請求項 1に記載.のインクが収容されているインク収容部が設けられていることを特徴とするインクカートリッジ。

8 . 請求項 1に記載のインクを収容しているインク収容部と、該インクの液滴を吐出させるためのへッド部とを有する記録ュニットを具備していることを特徴とする記録装置。