ビスラクトン誘導体及びその医薬組成物としての使用 発明の背景
本発明は、 ビスラクトン誘導体に係わり、 詳細には、 acetyl CoA carboxylase (以下、 ACC略記する場合もある) 阻害活性を有するビスラクトン誘導体、 及び 該ビスラクトン誘導体を含有する医薬組成物に関する。
近年、 肥満は、 動脈硬化性疾患、 特に冠動脈疾患の主要なリスクファクターで あることが明らかとなってきた。 すなわち、 肥満個体では、 蓄積された内臓脂肪 から、 脂肪酸や TNF-ひ等の種々の因子が放出され、 これらが骨格筋、 肝臓および 脂肪組織におけるィンスリン抵抗性を惹起するとともに、 肝臓における中性脂肪 の合成を促進し、 高脂血症をもたらすことが報告されている。 更に、 インス'リン 抵抗性によって代償的に上昇した血中のインスリンは、 耐糖能異常、 更には糖尿 病を引き起こすだけではなく、 腎臓における Naイオンの再吸収亢進や交感神経の 活性化を介して、 末梢血管抵抗を上昇させ、 最終的に高血圧状態を形成する。.肥 · 満によってもたらされた高脂血症、 糖尿病および高血圧は、 脳血管障害や冠動脈 疾患などの動脈硬化症に基づく血管障害を惹起し、 生命予後に深刻な影響を与え るものと考えられている。
肥満治療の基本は運動療法と食事療法であるが、 人間の根源的な欲求との対立 、 労働時間との兼ね合い、 ストレスの増加など様々な要因から、 設定した目標を 達成することには多大の困難が伴う。極度の肥満患者には胃縮小術、 胃バイパス 術などの外科治療が適応されることがあるが、 肥満者は開腹手術をすると感染、 脂肪融解などの創合併症をしばしば起こし、 多大な時間の喪失、 苦痛を伴うのが 現状である。 従って、 安全かつ簡便に食事'運動療法を補完することのできる医
薬品の併用が必要とされている。現在、 抗肥満薬として使用されている医薬品と して、 マジンドール、 シプトラミンなどの中枢性食欲抑制剤と、 滕リパーゼ阻害 剤であるオルリス夕ヅトが挙げられる。 中枢作働性の薬剤では、 ロ渴、 便秘、 胃 不快感、 時には幻聴 '幻視など重篤な副作用が出現することがあり、 また、 オル リス夕ットでは、 下痢、 失禁、 放屁などの消化管における副作用が認められてい る。 概ね、 これらの抗肥満薬については、 副作用の出現しない投与量では効果は 緩やかであり、 長期にわたる使用の安全性は未だ確立されておらず、 肥満に深く 関わるィンスリン抵抗性などに対する有益な作用はほとんど認められていないの が現状である。
インスリン抵抗性に関しては、 ビグアナィド剤ゃペルォキシゾーム増殖関連レ セプ夕一 (以下、 PPARと略する) ガンマのァゴニストを使用した治療が広く行わ れている。 ビグアナイド剤に関しては、 主に非インスリン依存性糖尿病患者に対 して、 インスリン抵抗性の改善に加え、 血糖降下作用や高脂血症改善作用を示す ことが報告されている。 しかしながら、 その単独での治療効果は不十分であり、 また、 上腹部不快感、 嘔気、 下痢などの消化器症状に加え、 乳酸アシドーシス等 の生命の危険を伴う副作用を示すことが明らかとなっている。 PPMガンマァゴニ ストに関しては、 ビグアナイド剤と同じく、 非インスリン依存性糖尿病患者のィ ンスリン抵抗性、 高血糖、 高脂血症および高血圧を改善するが、 副作用 (肥満、 劇症肝炎) の点で、 未だ満足できるものとは言い難い。
ACCは、 Acetyl CoAより、 Malonyl CoAの合成を触媒する酵素であり、 長鎖脂肪 酸の合成における律速酵素である。 また、 ACCにより、 Acetyl CoAから合成され た Malonyl CoA自体は、 遊離長鎖脂肪酸のエネルギー源としての消費に関与する C arnitine acy ransf eraseを負に制御していることが知られている。 更に、 内臓 脂肪組織における脂肪酸合成の活性化には、 ACCの活性ィ匕が関与しているものと 考えられている。 従って、 ACCを阻害する薬剤は、 生体内における長鎖脂肪酸お
よび中性脂肪の新たな合成を抑制するだけではなく、 既存の脂肪組織を減少させ ることにより、 肥満症および肥満によって誘発される高脂血症、 脂肪肝ならびに ィンスリン抵抗性に基づくと考えられる様々な疾患の治療薬および予防薬として の可能性を有する。 既存の ACC阻害剤としては、 例えば論文 (ザ ·ジャーナル · ォブ.アンチバイオティックス、 38巻、 599頁、 1985年) および特許 (国際公開 番号 W002/02101) などが報告されているが、 本発明化合物のようなビスラクトン 誘導体に ACC阻害活性は報告されていない。 又、 例えば論文 (ザ ·ジャーナル - ォブ ·アンチバイオティヅクス、 47卷、 112頁、 1994年、 ジャーナル ·オフ'、 ·ザ •ケミカルソサエティ一、 5385頁、 1963年、 ジャーナル 'ォブ ·ザ ·ケミカルソ サエティ一 .セクション C、 2431頁、 1971年、 ケミストリ一 ' レ夕一ズ、 1311頁 、 1980年、 ザ ·ジャーナル ·ォブ ·オルガニヅク 'ケミス小リー、 57卷、 2228頁 、 1992年) には、 本発明に含まれる骨格の化合物が開示されているが、 本発明で 目的とする薬理活性については開示されていない。 発明の開示
本発明は、 ACC活性阻害効果を有するビスラクトン誘導体及びその薬学的に許 容し得る塩を提供することを目的とする。
本発明は、 又、 該ビスラクトン誘導体又はその薬学的に許容し得る塩を含有す る医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明は、 又、 該ビスラクトン誘導体又はその薬学的に許容し得る塩を含有す る肥満症および肥満によって誘発される高脂血症、 脂肪肝ならびにィンスリン抵 抗性に基づくと考えられる耐糖能異常、 糖尿病、 糖尿病性合併症 (糖尿病性末梢 神経障害、 糖尿病性腎症、 糖尿病性網膜症、 糖尿病性大血管症) 、 高血圧および 動脈硬ィ匕症の治療に有効な ACC活性阻害剤ないし医薬組成物あるいはそれを用い た治療法を提供することを目的とする。
本発明者らは、 かかる課題を解決するために、 鋭意検討した結果、 下記一般式
( I ) で表されるビスラクトン誘導体に優れた ACCP且害活性が認められることを 見出し、 本発明を完成するに至った。
本発明は、 下記一般式 (I) で示されるビスラクトン誘導体またはその薬学的 に許容し得る塩を含有することを特徴とする糖尿病、 肥満症、 高脂血症、 脂肪肝 、 糖尿病性合併症の予防および/または治療薬を提供する。
(式中、 R1は炭素数 1〜12のアルキル基、 R2は水素原子、 ァリール基、 置換され てもよぃァリ一ル基、 ヘテロァリ一ル基及び置換されてもよいへテロァリ一ル基 、 X- Yは CR3 - C¾及び C二 CHを示す。 R3は水素原子、 水酸基、 炭素数 1〜12のアルコ キシル基を示す。 Zは原子間結合、 - 0-、 - NH-、 - S -、 -(CH2 )n-を示す。 nは 1〜; 12 である。 ) .
また、 本発明.は、 下記一般式 (II) で示されることを特徴とするビスラクトン 誘導体またはその薬学的に許容し得る塩を提供する。
(式中、 R1は炭素数 1〜; 12のアルキル基、 R2は水素原子、 ァリール基、 置換され てもよぃァリール基、 ヘテロァリ一ル基及び置換されてもよいへテロァリール基
、 アルキル基及び置換されてもよいアルキル基を示し、 X-Yは CR3 -CH2及び C=CHを 示す。 R3は水素原子、 水酸基、 炭素数 1〜12のアルコキシル基を示す。 Zは原子間 結合、 - 0-、 - NH-、 - S -、 - (C¾ )n-を示し、 nは 1〜; L2である。 ただし R2が水素原子 、 X- Yが C二 CH、 Zが原子間結合の場合、 R1はメチル基、 ェチル基、 n-ォクチル基及 び n-デシル基ではない。 R2がフエニル基、 X- Yが CH- C¾、 Zが- S-の場合、 R1はェ チル基及び n-ォクチル基ではない。 R1が n-ォクチル基、 が水素原子、 Zが- 0-の 場合、 X- Yは C(0H)-C¾ではない。 R1が n-ォクチル基、 R2がメチル基、 Zが- 0-の場 合、 X- Yは CH- C¾ではない。 R1が n-ォクチル基、 R2が水素原子、 Zが原子間結合の 場合、 X- Yは CH-CH2ではない。 )
本発明は、 又、 上記式 (I I) で表されるビスラク卜ン誘導体またはその薬学的 に許容し得る塩を含有することを特徴とする医薬組成物を提供する。
本発明は、 又、 上記式 (I I) で表されるビスラクトン誘導体またはその薬学的 に許容し得る塩を含有することを特徴とする糖尿病、 肥満症、 高脂血症、 脂肪肝 、 糖尿病性合併症 (糖尿病性末梢神経障害、 糖尿病性腎症、 糖尿病性網膜症、 糖 尿病性大血管症、 高血圧、 動脈硬化症など) の予防および/または治療薬を提供 する。
本発明は、 又、 上記式 (I) 又は (I I) で表されるビスラクトン誘導体または その薬学的に許容し得る塩を含有することを特徴とする A C C活性阻害剤を提供 する。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明について詳述する。
本発明は、 前記一般式(I )や(I I )で示されるビスラクトン誘導体(塩の形態を 含む) を有効成分として含む物質 (組成物) である。 又、 ビスラクトン誘導体は 、 生体内においてラクトン体とヒドロキシ酸塩の平衡状態であると考えられる。
更に、 このビスラクトン誘導体をアル力リで加水分解することにより得られるヒ ドロキシ酸塩も生体内でラ'クトン体になり得るので、 ヒドロキシ酸塩も有効成分 として利用できる。
この発明において、 酵素阻害作用とは、 acetyl CoAより、 malonyl CoAの合成 を触媒する ACCの酵素活性を阻害する作用を意味する。
本発明の ACC阻害剤に使用する有効成分は前記一般式(I)又 (II) に含まれるビ スラクトン誘導体であり、 以下詳細に説明する。
式中、 アルキル基とは、 好ましくは炭素数 1〜: 12の、 直鎖もしくは分岐鎖もし くは環状のアルキル基を表し、 具体的に例えば、 メチル基、 ェチル基、 n-プロピ ル基、 n-ブチル基、 n-ペンチル基、 n-へキシル基、 n-ヘプチル基、 n-ォクチル基 、 n-ノニル基、 n-デシル基、 n-ゥンデシル基、 n-ドデシル基、 イソプロピル基、 イソプチル基、 sec-ブチル基、 tert -プチル基、 イソペンチル基、 tert-ペンチル 基、 ネオペンチル基、 2-ペンチル基、 3-ペンチル基、 n-へキシル基、 2-へキシル 基、 tert-ォクチル基、 シクロプロピル基、 シクロブチル基、 シクロペンチル基 、 シク口へキシル基、 トリフルォロメチル基などが挙げられ、 好ましくはェチル 基、 n-ォクチル基、 n-デシル基等、 より好ましくは n-ォクチル基が挙げられる。 ァリ一ル基とは、 炭素原子で構成される 5〜12員の 1〜3つの環よりなる芳香族 置換基を示す。 本発明におけるァリール基は、 置換又は無置換のァリール基で良 い。 具体的には、 例えばフエニル基、 ナフチル基が挙げられ、 フヱニル基が好ま しい。
ヘテロァリール基とは、 炭素および窒素、 酸素、 硫黄などで構成される 5〜7員 の 1〜3つの環からなる複素芳香族置換基を示し、 具体的に例えば、 ピリジル基、 ピリダジニル基、 ピリミジニル基、 ビラジニル基、 ピローリル基、 フラニル基、 チェニル基、 ォキサゾリル基、 イソォキサゾ'リル基、 ピラゾリル基、 イミダゾリ ル基、 チアゾリル基、 イソチアゾリル基、 チアジアゾリル基、 インドリル基、 ィ
ソインドリル基、 ベンゾフリル基、 イソペンゾフリル基、 ベンゾチェ二ル基、 ベ ンゾピラゾリル基、 ベンゾィミダゾリル基、 ベンゾォキサゾリル基、 ベンゾチア ゾリル基、 キノリル基、 イソキノリル基、 ナフチリジニル基、 キナゾリル基など が挙げられ、 好ましくは 2—ピリジル基、 3—ピリジル基、 4—ピリジル基、 1 一ビラゾリル基などが挙げられる。
ァリール基又はへテロアリール基の置換基は、 ハロゲン原子、 水酸基、 カルボ キシル基、 炭素数 1〜12のアルキルォキシ基、 炭素数 1〜; L2のアルキルォキシカル ボニル基、 アルキル基、 アミノ基、 ニトロ基、 シァノ基である。 このうち、 カル ボキシル基、 アミノ基、 フエニル基が好ましい。 ァリール基の置換位置は特に限 定しないが、 4位で置換されているのが好ましい。 また、 一置換であるか多置換 であるかも限定されないが、 一置換であるものが好ましい。
ハロゲン原子とは、 フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子が挙げられ る。
アルコキシ基とは、 炭素数 1〜; 12の直鎖または分岐鎖または環状のアルキル基 を有するアルコキシ基を示し、 具体的に例えばメトキシ基、 エトキシ基、 n-プ 口ポキシ基、 n-ブトキシ基、 n-ペンチルォキシ基、 n-へキシルォキシ基、 n- ヘプチルォキシ基、 n-ォクチルォキシ基、 n-ノニルォキシ基、 n-デシルォキ シ基、 n-ゥンデシルォキシ基、 n-ドデシルォキシ基、 イソプロポキシ基、.イソ ブトキシ基、 s e c -ブトキシ基、 t e r t -ブトキシ基、 シクロプロピルォキシ 基、 シクロブトキシ基、 シクロペンチルォキシ基、 シクロへキシルォキシ基、 シ クロへプチルォキシ基、 2—シクロへキシルエトキシ基などが挙げられ、 好まし くはメトキシ基、 エトキシ基、 n-プロポキシ基、 n-ブトキシ基、 n-ペンチル ォキシ基、 n-へキシルォキシ基、 n-ドデシルォキシ基、 シクロへキシルォキシ 基、 シクロへプチルォキシ基などが挙げられ、 より好ましくはメトキシ基、 エト キシ基、 n-プロポキシ基、 n-ブトキシ基、 n-へキシルォキシ基が挙げられる
炭素数 1〜12のアルキルォキシ基及び炭素数 1〜; 12のアルキルォキシカルボニル 基におけるアルキル基としては、 分岐鎖または環状のアルキル基があげられ、 具 体例は、 上記アルコキシ基において述べたのと同様である。
本発明では、 また、 一般式(I )で示される請求項 1記載の化合物または薬学的に 許容し得るその塩としては、 次のものが好ましい。
R1としてはアルキル基が好ましく、 n-ォクチル基がさらに好ましい。
R2としては水素原子、 アルキル基、 ァリール基、 ヘテロァリール基が好ましく 、 ァリール基がさらに好ましい。 又、 フエニル基、 ァミノフエニル、 ヒドロキシ フエニル基、 トリフルォロメチルフエニル基、 及びカルボキシフエニル基が好ま しい。 このうち、 置換基を有するフエニル基としては、 特に、 4ーァミノフエ二 ル、 4—ヒドロキシフエニル基、 4—トリフルォロメチルフエニル基、 及び 4— カルボキシフエニル基が好ましい。 又、 2 -ァミノフエ二ル基、 3 -ヒドロキシフ ェニル基、 3 -カルボキシフエニル基、 トリフルォロメチルフエニル基、 3 -又は 4 -クロ口フエ二ル基、 4-ニトロフエニル基、 4-シァノフ ニル基、 3 -メトキシ フエニル基、 3 -メトキシカルボニルフエニル基、 3 -メ トキシカルボニル- 4 -ァ ミノフエ二ル基も好ましい。
X- Yとしては、 C=CH、 CH- CH2、 0 3 )-(¾が好ましく、 CH-C¾がさらに好ましい ο
R3としては、 水酸基、 炭素数 1〜12のアルコキシ基が好ましく、 水酸基がより 好ましい。
Zとしては原子間結合、 -NH -、 -0-、 - S -、 - (C¾ )n-(iFl〜12)が好ましく、 原子 間結合がより好ましい。
薬学的に許容しうる塩とは、 具体的に例えば十分に酸性である本発明化合物に ついては、 そのアンモニゥム塩、 アルカリ金属塩 (ナトリウム塩、 カリウム塩な
どが例示され、 これらが好ましい)、 アルカリ土類金属塩 (カルシウム塩、 マグ ネシゥム塩などが例示され、 これらが好ましい) 、 有機塩基の塩としては、 例え ばジシクロへキシルァミン塩、 ベンザチン塩、 アルギニン、 リジンのようなアミ ノ酸の塩などが挙げられる。
さらに十分に塩基性である本発明化合物については、 その酸付加塩、 例えば塩 酸、 硫酸、 硝酸、 りん酸などの無機酸塩、 または酢酸、 クェン酸、 酒石酸、 マレ イン酸、 フマル酸、 モノメチル硫酸などの有機酸塩などが挙げられる。
有効成分に使用するビスラクトン誘導体 (塩の形態およびヒドロキシ酸塩を含 む) は、 全ての光学異性体及び幾何異性体などの異性体の形態の何れでも使用す ることができる。
さらに水和物、 溶媒和物などの形態でも良いし、 結晶形のみならず無定形の誘 導体の形でも使用することができる。
なお、 本発明に含まれる骨格の化合物として、 例えば論文 (ザ'ジャーナル ' ォブ ·アンチバイオティヅクス、 47卷、 112頁、 1994年、 ジャーナル ·ォブ ·ザ •ケミカルソサエティ一、 5385頁、 1963年、 ジャーナル 'ォブ ·ザ ·ケミカルソ サエティ一.セクション C、 2431頁、 1971年、 ケミストリ一'レターズ、 1311頁 、 1980年、 ザ■ジャーナル ·ォブ ·オルガニック 'ケミストリー、 57卷、 2228頁 、 1992年) に記載があるが、 本発明で目的とする薬理活性とは異なる。
本発明において糖尿病、 肥満症、 高脂血症、 脂肪肝、 糖尿病性合併症 (糖尿病 性末梢神経障害、 糖尿病性腎症、 糖尿病性網膜症、 糖尿病性大血管症、 高血圧、 動脈硬化症) の予防および/または治療薬の有効成分に使用するビスラクトン誘 導体や、 後述の本発明のビスラクトン誘導体の製造に関し、 公知物質については 従来技術に基づいて、 また新規物質については公知技術を応用して製造すること ができる。
本発明の化合物は以下の方法により合成することができる。
例えば本発明の化合物(I)において、 R1が n-ォクチル基、 X-Yが C=CH、 Zが原子 間結合、 R2がァリール基であるもの (式 IV) は、 下記に示すよう既知化合物アベ ナシォライド(avenaciolide) (式 III) を原料に、 ヨウ化ァリールと反応させる ことにより合成することができる。
I I I IV
Rは芳香環上の置換基を表す
また、 本発明の化合物(I )において、 R1が n-ォクチル基、 X- Yが CH- C¾、 Zが原 子間結合、 R2がァリール基であるものは、 上記化合物 (式 IV) を還元することに より合成することができる。
Rは芳香環上の置換基を表す
0
原料とするアベナシォライドはアベナシォライドを生産する能力を有する微生 物、 例えば未同定菌 (Unidentified fungi)AJ117543株を培養することにより得る ことができる。
なお、 上記 AJ117543株は、 日本国茨城県つくば巿東 1丁目 1番地 1 中央第 6 独立行政法人産業技術総合研究所 特許微生物寄託セン夕一にブ夕ぺスト条約 に基づき、 2002年 4月 25日付けで寄託されており、 受託番号は FEM BP- 8346であ る(2002年 4月 25日付けで寄託された FERM P-18836より移管)。
なお、 上記の方法で得られる本発明の化合物は、 通常有機合成で用いられる、 抽出、 蒸留、 結晶化、 カラムクロマトグラフィー等の手法を用いて精製すること ができる。
得られた本発明の化合物は後述するように、 ACC阻害作用を有し、 この作用を 介した疾患に対する治療を行うのに有用である。 特に、 糖尿病、 肥満症、 高脂血 症、 脂肪肝、 糖尿病性合併症 (糖尿病性末梢神経障害、 糖尿病性腎症、 糖尿病性 網膜症、 糖尿病性大血管症、 高血圧、 動脈硬化症) の予防および/または治療用 の薬剤に使用することができる。
この発明は前記ビスラクトン誘導体を有効成分とする薬剤であるが、 他の有効 成分 (本発明に使用する有効成分と同一の薬理活性でも異なる薬理活性でも良い 。 ) を併用使用することもできるし、 更に製剤上有用な補助剤を含むこともでき る。 この発明においては、 前記ビスラクトン誘導体を、 ACC阻害効果を奏するも のとして有効量含む薬剤であれば、 全て本発明の薬剤に含まれる。
本化合物を糖尿病、 肥満症、 高脂血症、 脂肪肝、 糖尿病性合併症 (糖尿病性末 梢神経障害、 糖尿病性腎症、 糖尿病性網膜症、 糖尿病性大血管症、 高血圧、 動脈 硬化症) の予防および/または治療用の薬剤に使用する場合、 経口投与、 静脈内 投与、 絰皮投与等各種の投与形態が可能である。
投与量については、 投与する患者の症状、 年齢、 投与方法によって異なるので
、 それ等に応じて適宜選択される。通常は、 例えば経口投与の場合好ましくは 0. 001〜; I00fflg/Kg/日程度を採用すれば良い。 一方、 注射投与などの非経口投与の場 合、 前記経口投与の場合の前記投与量の二分の一〜二十分の一程度が採用される o
前記有効成分に加えて、 前記製剤上有用な補助剤として、 薬学的に許容される 賦形剤、 担体、 希釈剤等の製剤補助剤を適宜混合し、 常法により錠剤、 カプセル 剤、 顆粒剤、 細粒剤、 粉末剤、 丸剤、 シロップ剤、 縣濁剤、 乳剤、 軟膏剤、 座剤 又は注射剤等の形態で、 経口又は非経口で投与することができる。 この発明では 、 活性成分 (有効成分) としての前記ビスラクトン誘導体と、 その薬学的に許容 される担体及び/又は希釈剤とを含有する医薬製剤又は医薬組成物が好ましい。 ここで、 担体及び希釈剤としては、 グルコース、 スクロース、 ラクトース、 夕 ルク、 シリカ、 セルロース、 メチルセルロース、 スターチ、 ゼラチン、 エチレン グリコ一ル、 ポリエチレングリコール、 グリセリン、 エタノール、 水や油脂等が 挙げられる。
以下に本発明を実施例及び試験例により具体的に説明するが, 本発明はこれら の実施例等に限定されるものではない.
(実施例 1 )
('-)-ァペナシォライドの単離
(工程 1 )
米国で採取した土壌より分離した AJ117543株を、 マッシュポテト (20g/L) 、 グルコース(5g/L)、 NZ- Case(3g/L)、 酵母エキス(2g/L)、 NaCl(2g/L)、 CaC03 (3g/ L )を含む組成の液体培地 (pH7.0 )を含む三角フラスコに接種し、 25°Cにて 4日間振 とう(180rpm)で培養した。 この培養液を、 菜種ミール (10g/L) 、 フィッシュミ ール (5g/L) 、 麦芽エキス (5g/L) 、 ソ一ィトーン (3g/L) 、 グルコース (30g/ L) 、 ラクト一ス (10g/L) 、 CaC03 (4g/L) 、 MgS04 (0.5g/L) の組成の液体培地
(pH6.4)を含む三角フラスコに接種し、 25°Cにて 4日間旋回振とう(180rpm)で培 した。
(工程 2 )
このようにして得られた培養液 (2L )を遠心分離することにより菌体を得、 室温 にてアセトン(2 L)で抽出した。 抽出液から濾過により菌体残渣を分離除去後、 濾液を減圧により濃縮した。 濃縮液を酢酸ェチル抽出し、 有機層を無水硫酸ナト リウムで乾燥後、 減圧により濃縮乾固した。 得られた油状物 (4 g)を 50%メタノ一 ル水溶液に溶解し、 ダイヤイオン HP-20カラムに通した。 カラムを 50%メタノール 水溶液で十分洗浄後、 メタノールにて溶出した。 メタノール溶出画分をシリカゲ ルカラムに通し、 クロ口ホルムで溶出した。 得られたクロ口ホルム溶出画分を再 度シリカゲルカラムに通し、 n-へキサン /酢酸ェチル (4: 1 )で溶出することによ り、 アベナシォライ ド(0.8g)を得た。
化合物 IVaの製造
トリフエニルホスフィン(5 ing)、 酢酸パラジウム(2 mg)、 トリェチルァミン(3 5 〃L)の DMF溶液 (0.3 mL)を 70°Cで 1時間撹拌後、 アベナシォライ ド(50 mg)およ びョードベンゼン(10 〃L)を加え、 5時間撹拌した。 反応液をセライトで濾過後 、 減圧により濃縮乾固した。 残さをシリカゲル分取 TLC 〔n-へキサン/酢酸ェチ ル (4: 1 )〕 で精製することにより、 ィ匕合物 IVa(27 mg)を白色固体として得た。 収率 84%;
^ NMR( 300MHz, CDC13 ) δ 0· 88(3Η, t, J=6.9Hz) , 1.22-1.50( 12Η3 m), 1.59-1 · 85(2Η, m) , 4. 13( 1Η3 dt, J=2.7, 8.4Hz), 4·40( 1Η, ddd, J=2.7, 3.0, 11.6Hz ), 5.17(1H3 d, J=8.4Hz), 7.47(5H, s), 7.75( 1H5 d, J=2.7Hz) .
3
(実施例 2) 化合物 IVbの製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと 4-ョードア二リンを原料に使用し て、 化合物 IVbを合成した。
収率 63%;
腿 (300馳, DMSO-dJd 0.84(3H, t, J=6.6Hz), 1.22 (11H, m)3 1.39(1H, br), 1.85(2H, m), 4.30(1H, m), 4.39(1H, m), 5.44(1H5 d, J=8.7Hz), 6.61(2 H, d, J=8.7Hz), 7.31(2H5 d, J=8.7Hz)5 7.39(1H, d, J=2.1Hz).
(実施例 3) 化合物 IVcの製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと 4-ョ一ドフヱノールを原料に使用 して、 アベナシォライド誘導体 IVcを合成した。
収率 88%;
JH NMR( 300MHz, DMS0- 0.83(3H, t, J=6.9Hz), 1.19(11H, s), 1.37(1H5 m
), 1.83(1H, m), 4.35(2H, m), 5.47( 1H, d, J=8.7Hz), 6.86(2H, d, J=8.7Hz)3 7.48(2H, d, J=8.7Hz), 7.51(1H, d, J=2.4Hz), 10.27(1H3 br) .
(実施例 4 ) 化合物 IVdの製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと 4-トリフルォロメチルョ一ドベン ゼンを原料に使用して、 アベナシォライド誘導体 IVdを合成した。
収率 55%;
腿 (300馳, CDC13 ) δ 0.87(3H, t, J=6.9Hz), 1.21(11H, s), 1.38( 1H, m), 1.60-1.80(2H, m)5 4.11(1H3 dt, J=3.03 8.4Hz) , 4.35(1H3 m), 5.20( 1H, d, J=8.4Hz), 7.59(2H, d, J=8.1Hz) , 7.75(1H3 d, J=8.1Hz), 7.77(1H, s) .
(実施例 5 ) 化合物 IVeの製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと 4-ョ一ド安息香酸を原料に使用し て、 アベナシォライド誘導体 IVeを合成した。
5
収率 82%;
JH NMR( 300MHz, acetone- d6)d 0.86(3H, t, J=6.6Hz), 1.22(12H, m), 1.42(1H , m), 1.87(2H5 q, J=7.2Hz)3 4.43(1H, m), 4.59(1H, dt, J=2.7, 8.4Hz), 5.4 7(1H, d, J=8.4Hz), 7.74(1H5 d, J 2.7Hz), 7.83(2H, d, J=7.8Hz), 8.18(2H5 d, J=7.8Hz).
(実施例 6) 化合物 IVfの製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと卜クロ口- 4-ョ一ドベンゼンを原 料に使用して、 アベナシオライド誘導体 IVfを合成した。
収率 70%;
¾腿 (300MHz, CDC13) δ 0.87(3H, t, J=6.6Hz), 1.23(11H, m), 1.41(1H, m), 1.75(2H, m), 4.10(1H, m), 4.39(1H5 m), 5.19(1H, d, J=9.0Hz), 7.40(2H, d , J=8.7Hz), 7.46(2H, d, J=8.7Hz)3
7.67(1H3 d, J=2.1Hz).
IVf
(実施例 7)化合物 IVgの製造
実施例 1の方法に従い、 ァペナシォライドと 1—ョード一4-ニトロベンゼンを 原料に使用して、 アベナシオライド誘導体 IVgを合成した。
収率 37%;
¾腿 (300MHz, acetone- d6) δ 0.86(3H, t, J=6.6Hz), 1.20-1.41 (12H, m), 1. 77-1.89 (2H, m), 4.43(1H, m), 4.61(1H, dt, J=3.0, 6.0Hz), 5.48(1H, d, J=8 .7Hz), 7.79(1H, d, J=3.0Hz), 8.00(2H, d, J二 9.0Hz), 8.41(2H, d, J=9.0Hz).
IVg
(実施例 8)化合物 IVhの製造
実施例 1の方法に従い、 ァペナシォライドと 4-ョードピリジンを原料に使用し て、 アベナシォライド誘導体 IVhを合成した。
収率 17%;
腿 (300馳, CD30D) δ 0.89(3H, t, J=6.6Hz), 1.19-1.33(12H3 m), 1.69(2H , m), 4.29(1H, dt, J=3.6, 8.7Hz), 4.39(1H5 m), 5.34(1H, d, J=8.7Hz), 7.5 9(2H, d, J=8.7Hz), 7.67(1H3 d, J=2.4Hz), 8.67(2H5 d, J=8.7Hz).
IVh
(実施例 9) 化合物 IViの製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと 4ーョ一ドベンゾニトリルを原料 に使用して、 アベナシオライド誘導体 IViを合成した。
収率 48%;
¾ NMR( 300MHz, acetone- d6) δ 0.88(3H, t, J=6.6Hz), 1.23- 1.42 (12H, m), 1. 85(2H5 m), 4.41(1H5 m), 4.59(1H, dt, J=3.0, 8.7Hz), 5.47(1H, d, J=8.7Hz) , 7.73(1H, d, J=2.7Hz), 7.90- 7.98(4H5 m).
IVi
(実施例 10)化合物 IVjの製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと 3—ョ一ドフエノールを原料に使 用して、 アベナシォライド誘導体 IVjを合成した。
収率 81%;
¾ NMR( 300MHz, acetone- d6) δ 0.87(3H, brs), 1.25-1.55 (12H, m), 1.89(2H, m), 4.35-4.53(2H, m), 5.42(1H5 d, J=7.8Hz), 6.98(1H, brd, J=6.6Hz), 7.08 -7.20(2H, m), 7.37(1H, m), 7.59 (1H, brs) , 8.80(1H, brs).
ivj
(実施例 1 1 ) 化合物 IVkの製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと 3—ョードア二ソ一ルを原料に使 用して、 アベナシオライド誘導体 IVkを合成した。
収率 56%;
Ή NMR( 300MHz, acetone-d6) δ 0.88(3Η, t, J=6.6Hz), 1· 25( 12Η, brs), 1.86( 2Η, m), 3.88(3Η, s) , 4.41(1Η, m), 4.54( 1Η, dt, J二 3.0, 6.0Hz), 5.42(1H, d , J=8.4Hz) 5 7.08(1H3 dd, 3=2.7, 8.1Hz), 7.22-7.27(2H, m), 7.47(1H5 t, J二 8.1Hz) , 7.65(1H, d, J=2.7Hz) .
IVk
(実施例 1 2 ) 化合物 IV1の製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと 3—ョ一ド安息香酸を原料に使用 して、 アベナシォライド誘導体 IV1を合成した。
収率 42%;
¾ NMR( 300MHz, acetone-d6) δ 0.86(3H, t, J二 6.6Hz), 1.22-1.40 (12H, m), 1.
69-2.00(2H, m), 4.45(1H, m)3 4.57(1H3 m), 5.48(1H, d, J=9.0Hz), 7.67-7.7 4(2H, m), 7.94(1H, d, J=7.8Hz), 8.15(1H, d, J=8.1Hz), , 8.30(1H, s).
IVI
(実施例 13) 化合物 IVmの製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと 1—クロロー 3-ョ一ドベンゼンを 原料に使用して、 アベナシォライド誘導体 IVmを合成した。
収率 86%;
¾ NMR( 300MHz, acetone-d6) δ 0.88(3Η, t, J=6.6Hz), 1.25-1.50(12Η, m), 1. 86 (2Η, m)5 4.43(1H, m), 4.59(1H, dt, J=3.03 8.7Hz), 5.46(1H, d, J=8.7Hz) , 7.42-7.73(5H3 m).
IVm
(実施例 14)化合物 IVnの製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと 5—ョ一ドインドールを原料に使 用して、 アベナシオライド誘導体 IVnを合成した。
収率 72%;
¾ NMR( 300MHz, acetone-d6) δ 0.85(3H, t, J=6.6Hz), 1.22-1.55 (12H, m), 1. 91(2H, m), 4.50(1H5 dt, J=2.7, 8.7Hz), 4.39(1H, dt, J=2A, 8.7Hz), 5.43( 1H, d, J=9.0Hz), 6.62(1H, d, J=3.0Hz), 7.22(1H, d, J=6.9Hz), 7.42-7.48(2 H, m), 7.6K1H, d, J=8.7Hz), 7.78(1H, d, J=2.7Hz), 7.96(1H, s), 10.67(1H ,brs).
IVn
(実施例 15) 化合物 IVoの製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと 2—ョ一ドア二リンを原料に使用 して、 アベナシォライド誘導体 IVoを合成した。
収率 50 ;
¾ NMR( 300MHz, acetone- d6) δ 0.88(3H, t, J=6.9Hz), 1.1-9-1. 0 (12H, m), 1. 69(2H, m)3 4.28(1H, m), 4.40(1H, dt, J=3.0, 9.0Hz), 5.22(2H5 brs), 5.40( 1H, d, J=9.0Hz), 6.73(1H, m)5 6.88(1H, dd, J=0.9, 8.7Hz), 7.20(1H, m), 7 .34(1H, dd, J=0.9, 7.8Hz)5 7.69(1H, d, Jヒ 3.0Hz).
IVo
(実施例 16) ィ匕合物 IVpの製造
実施例 1の方法に従い、 アベナシォライドと 2-ァミノ- 5-ョード安息香酸メチ ルエステルを原料に使用して、 アベナシォライド誘導体 IVpを合成した。
収率 11%;
¾腿 (300MHz, CDC13) δ 0.87(3H, t, J=6.6Hz), 1.26(11H3 m), 1.52(1H3 m), 2.01(2H3 m)3 3.9K3H, s), 4.43(1H, dt, J=2.4, 8.7Hz), 4.55(1H, dt, J=2. 7, 9.3Hz), 5.4K1H, d, J=8.7Hz), 6.98(1H, d, J二 8.7Hz), 7.51(1H3 d, J=2A Hz), 7.59(1H5 dd, J=2A, 8.7Hz), 8.14(1H, d, J=2.4Hz)
IVp
(実施例 17) 化合物 Vaの製造 ■ '.
化合物 (IVa) (15 mg)をクロ口ホルム/メタノール (1:1)(1 mL)に溶解し、 パ ラジウム炭素 (2 mg)を加え、 水素雰囲気下、 4時間撹拌した。 反応液をセライト で濾過後、 減圧により濃縮乾固し、 化合物 Va(15 mg)を白色固体として得た。 収率 99%;
!H匿 (300馳, acetone- d6 ) (50.88(3H,t3J=7.2Hz),l.21-1.44(14H3m),2.96(1 H,dd3J=10.8,15.6Hz)53.28(lH,dd3J=7.2515.6Hz),3.34(lH5dd3J=5. ,15.6Hz), 3. 81(lH,m),4.70(lH,m),5.03(lH,d,J=7.2Hz),7.27(lH,t,J=7.2Hz),7.36(2H,t,J=7. 2Hz),7.40(2H,d,J=7.2Hz).
(実施例 1 8 ) 化合物 Vbの製造
実施例 1 7の方法に従い、 化合物 IVcを原料に使用して、 アベナシォライド誘導 体 Vbを合成した。
収率 96%;
¾ NM( 300MHz, DMS0-dB) δ 0.84(3Η, t, J=6.6Hz), 1.12- 1.21(14Η, ) , 2.73( 1Η, dd, J=ll . l, 15.6Hz), 2.94-3.06(2H, m) , 3.65( 1H, m), 4.61(1H, m), 4.9 5(1H, d, J=6.9Hz), 6.67(2H3 d, J=8.4Hz) , 7.05(2H, d, J=8.4Hz), 9.24(1H, s) .
Vb 薬理試験例 1 : ACC阻害活性の測定
1 . ACCの精製
雄性 SD系ラヅトを 2日間絶食後、 高ショ糖食 (成分) を 2日間与え、 エーテル 麻酔下に下大静脈を切開し、 放血した後、 速やかに肝臓を取り出した。 氷冷した 緩衝淑 (225 mM mannitoK 75 mM sucrose、 10 mM Tris-HCl (pH 7.5)、 0.05 m
M EDTA、 5 mM potassium citrate、 2.5 mM MgC12、 10 mg/L pepstatin A、 10 mg /L leupeptin、 1 mM PMSF) 中で、 ポリトロンホモジナイザーでホモジナイズし た。 肝重量に対して、 9倍量の緩衝液 Aを加え、 1000 gで 1 0分間遠心分離した 後、 上清を採取し、 更に、 17000 gにて 1 0分間遠心分離した。
得られた上清に、 35%飽和となるよう硫酸アンモニゥムを加え、 4 5分間撹拌 した後、 17000 gにて 1 0分間遠心分離した。 得られた沈殿に緩衝液 B (100 mM T ris-HCl (pH 7.5)、 500 mM NaCl、 1 mM EDTAヽ 0.1 iM DTTヽ 10% glycerols 10 m g/L pepstatin A、 10 mg/L leupeptin、 0.5 mM PMSF) を加え、 溶解した後、 400 00 gにて 2 0分間遠心分離した。 上清を緩衝液 C (100 mM Tris-HCl (pH 7.5)、 5 00 mM NaCK 1 mM EDTA, 0.1 mM DTT、 5¾ glycerol) に対してー晚透析した。 透析した上清を 5 〃Mのフィル夕一で濾過した後、 monomeric avidin sepharos eカラムにアプライし、 緩衝液 Bで洗浄した後、 2 mM d- biotinを含む緩衝液 Bで AC Cを溶出した。
2 . ACC阻害活性の測定
前記実施例で製造した化合物をそれぞれ DMS0に溶解し、 ガラスバイアルに入れ 、 ACCを含む 250 〃1の反応液 1 (40 mM Tris-HCl (pH 7.5)、 40 mM MgC12、 40 m M sodium citrate、 2 mM DTT) を加え、 恒温槽にて 3' 7 °Cで 3 0分間加温した後 、 氷冷した。反応液 1に、 [14C]- NaHC03を含む 250 〃1の反応液 2 (40 mM Tris- HCl (pH 7.5)、 2 mM DTTヽ 8 mM ATP、 0.5 mM acetyl CoA) を加え、 3 7 °Cで 1 0分間加温した後、 IN HC1を 100 /1添加し、 反応を停止させた。 遠心エバポレ —夕一にて反応液中の水分を除去した後、 シンチレ一夕一を加え、 固体成分を溶 解し、 液体シンチレ一シヨンカウン夕一にて 14Cの放射能を測定した。 各化合物 の ACC阻害活性を、 以下の式より算出し、 50%阻害が得られる濃度 (IC50) を求め た。 その結果を表 1に示す。
ACC阻害率 (%) ={1 - (a-c)/(b-c)} x 100
a:被験薬添加時の放射能
b:被験薬非添カロ時の放射能
c :ブランク氺
*反応液 1と反応液 2を混合する前に、 あらかじめ反応液 1に IN HC1 100 jul を加えもの。
下表に本発明化合物の ACCP且害活性を示す。
化合物番号 C50
III 6.4 jug/ml ( 24.0 ΛίΜ)
IVa 7.4 ug/ml (2 1.6 )
Va 3.8 Aig/ml _ ( 1 1.0 M)
表中、 化合物 IIIは、 既知化合物アベナシォライドである。
又、 本発明化合物 10〃M量での AC C阻害活性 (P且害率) を同様にして求め た。 結果を表- 2に示す。
表- 2 化合物番号 1 0〃Mにおける阻害率 (%)
9 0
7 3
7 6
5 5
7 3
6 7
8 6
5 1
5 1
6 2
4 3
5 8
7 4
7 3 本発明のビスラクトン誘導体は、 従来の抗肥満薬およびィンスリン抵抗性改善 薬とは異なるメカニズムで、 肥満症および肥満によって誘発される高脂血症、 脂 肪肝ならびにインスリン抵抗性に基づくと考えちれる耐糖能異常、 糖尿病、 糖尿 病性合併症 (糖尿病性末梢神経障害、 糖尿病性腎症、 糖尿病性網膜症、 糖尿病性 大血管症) 、 高血圧および動脈硬化症の治療が可能であり、 これら疾患の予防お よび/または治療薬として極めて有用である。