JPWO2019117156A1 - 放熱シートの製造方法、放熱シート、基板、パワー半導体モジュール - Google Patents

放熱シートの製造方法、放熱シート、基板、パワー半導体モジュール Download PDF

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Abstract

本発明は、熱伝導性を有する放熱シートの製造方法であって、厚さ方向の熱伝導性を向上させた放熱シートの製造方法を提供する。本発明の放熱シートの製造方法は、放熱シートの製造方法であって、無機フィラーと、重合性化合物と、前記重合性化合物を硬化させる硬化剤とを含む組成物に、前記放熱シートの厚さに対し上下方向となる方向から圧力をかけながら、前記重合性化合物を重合させるように加熱する、焼成工程を備える。

Description

本発明は、放熱シートの製造方法に関する。特に、厚さ方向の熱伝導性に優れた放熱シートの製造方法に関する。
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車などの電力制御用の半導体素子や、高速コンピューター用のCPUなどにおいて、内部の半導体の温度が高くなり過ぎないように、チップ・パッケージ材料の高熱伝導化が望まれている。すなわち半導体チップから発生した熱を効果的に外部に放出させる能力が重要になっている。
このような放熱問題を解決する方法としては、発熱部位に高熱伝導性材料(放熱部材)を接触させて熱を外部に導き、放熱する方法が挙げられる。放熱部材としては、加工性や絶縁性に優れるという点から、無機材料と樹脂とを複合化し、高熱伝導化した樹脂複合材からなる放熱部材の開発が行われている。
樹脂複合材の高熱伝導化は、一般的に、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの汎用樹脂に、金属充填材や無機充填材を多量に添加することにより行われてきた。しかしながら、無機充填材の熱伝導率は物質固有の値であり上限が決まっている。そのため、汎用樹脂の熱伝導率を向上させ、樹脂複合材の熱伝導率をボトムアップさせる方法が広く試みられている。
特許文献1には、液晶性を有する重合性化合物のメソゲン部位を一定の方向に配向させて重合することにより得られる、分子配列が固定された重合体からなる放熱部材において、特定の高熱伝導性無機充填材(高熱伝導性無機フィラー)と複合させると、組合せの相乗効果により、配向方向の熱伝導率が極めて高い樹脂複合材が得られることが開示されている(段落0007)。
なお、重合性液晶化合物や、板状や針状のフィラーを用いて放熱シートを作製する場合、プレス法や押し出し法では、シートの平面方向に原料のフローが起こるため、平面方向に液晶化合物やフィラーが配向し、平面方向の熱伝導率は非常に高くなる。しかし、シートの垂直(厚さ)方向の熱伝導率は、無配向状態よりも低くなってしまう場合すらあった。そのため、その無配向状態を作り出すために、板状フィラーを凝集させ、砂漠のバラ状の二次粒子を作製し、その二次粒子を樹脂と複合化させることにより、シートの垂直(厚さ)方向に配向しているフィラーの量を高め、熱伝導率を向上させる試みも行われてきた(特許文献2、段落0013、特許文献3、段落0023、特許文献4参照、段落0170)。
しかしながら、二次粒子内部に樹脂成分が染み込みにくく、空隙が大きくなり、結果として、熱伝導率が低下する問題もあった。さらには、二次粒子を大きくしすぎると、更に樹脂成分が内部に染み込みにくくなり、大きなフィラー同士の隙間も大きくなるため、期待したほどには熱伝導率が向上しない問題もあった。
近年、特にパワー半導体の分野では、絶縁基板を挟みこむように配置されるパワー半導体素子と、ヒートシンクや水冷装置との間で、絶縁基板を介して高効率で熱を伝導させる必要があり、絶縁基板の垂直(厚さ)方向の熱伝導性を向上させることが重要となっている。
国際公開第2015/170744号 特開2015−189609号 特開2017−036190号 特開2006−265527号
そこで本発明は、熱伝導性を有する放熱シートの製造方法であって、垂直(厚さ)方向の熱伝導性を向上させた放熱シートの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、重合性液晶化合物のフロー方向を鑑みて、前記平板粒子が凝集して形成された大径の二次粒子からなるフィラーに重合性液晶化合物を充填させられるかに着目し、無機材料と樹脂の複合化における無機材料と樹脂との間に生じる空隙を減少させることで熱伝導性の向上を試みた。図1に示すように、樹脂成分を大径の二次粒子フィラーに浸透させる場合には、液状の樹脂成分がフィラーの表面から内部方向に浸透するため、内部方向に放射状のフローが発生する。すなわち球の表面に対し垂直方向に配向した状態で樹脂成分が浸透し重合するために、球の表面に対して垂直方向、すなわち球を貫通する方向に熱伝導率が向上する効果が期待できる。特に液晶化合物の場合には、配向方向の熱伝導率が非常に高いためこの効果が大きく、高熱伝導率がさらに期待できる。本発明者らは、放熱シートの製造過程において、焼成時や重合時に行う、圧縮成形、加熱処理、真空引きの組合せ方により、図2に示すように液晶を配向させたり、空隙を減らしたりする(空隙を埋める、または、空隙の生成を抑制する)ことができ、その結果、厚さ方向の熱伝導性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の態様に係る放熱シートの製造方法は、放熱シートの製造方法であって、無機フィラーと、重合性化合物と、前記重合性化合物を硬化させる硬化剤とを含む組成物に、前記放熱シートの厚さに対し上下方向となる方向から圧力をかけながら、前記重合性化合物を重合させるように加熱する、焼成工程;を備える。
このように構成すると、重合時に、組成物に継続的に圧力がかかり、内部の空隙を減らすことができ、その結果、製造された放熱シートは厚さ方向に高熱伝導性を有することができる。
本発明の第2の態様に係る放熱シートの製造方法は、上記本発明の第1の態様に係る放熱シートの製造方法において、前記焼成工程前に、前記重合性化合物を、フィラー内や、フィラー間の隙間に浸透させるために、前記組成物に前記上下方向となる方向から圧力をかけながら、前記組成物を真空雰囲気下に置く真空工程;をさらに備え、前記焼成工程は、真空雰囲気下で、前記組成物に前記上下方向となる方向から圧力をかけながら加熱する工程である。「真空」とは、「大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態」をいう。
このように構成すると、真空雰囲気下で、重合時に、組成物に継続的に圧力がかかり、内部の空隙をさらに減らすことができ、その結果、製造された放熱シートは厚さ方向により高熱伝導性を有することができる。さらに、シートの密度を上げることができシートの強度を向上させることができる。
本発明の第3の態様に係る放熱シートの製造方法は、上記本発明の第2の態様に係る放熱シートの製造方法において、前記真空工程前に、大気圧下で、前記組成物に前記上下方向となる方向から圧力をかけながら、前記重合性化合物を圧縮成形するように重合温度以下で加熱する、仮成形工程;をさらに備える。
このように構成すると、重合性化合物が液晶性を有する場合に、組成物をプレスして固める際、液晶化合物を配向させることができる。
本発明の第4の態様に係る放熱シートの製造方法は、放熱シートの製造方法であって、大気圧下または真空雰囲気下で、無機フィラーと、重合性化合物と、重合性化合物を硬化させる硬化剤とを含む組成物に、前記放熱シートの厚さに対し上下方向となる方向から圧力をかけながら、前記重合性化合物を圧縮成形するように重合温度以下で加熱する、仮成形工程と;前記仮成形工程後に、前記重合性化合物を、フィラー内やフィラー間の隙間に浸透させるために、前記組成物を真空雰囲気下に置く真空工程と;真空雰囲気下で、前記組成物に、前記重合性化合物を重合させるように加熱する、焼成工程と;を備える。
このように構成すると、真空雰囲気下で重合させることにより、内部の空隙を減らすことができ、その結果、製造された放熱シートは厚さ方向に高熱伝導性を有することができる。さらに、シートの密度をあげることができシートの強度を向上させることができる。
本発明の第5の態様に係る放熱シートの製造方法は、上記本発明の第1〜第4のいずれか一の態様に係る放熱シートの製造方法において、前記無機フィラーが、第1の無機フィラーと、前記第1の無機フィラーより粒径の小さい第2の無機フィラーとを含み、前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーの混合比率が、フィラー間の空間率が最小の時の充填率を100%とすると、前記充填率が70%以上となる比率であり、前記第1の無機フィラーが、針状または板状の粒子が凝集した二次粒子である。なお、第1の無機フィラーと第2の無機フィラーは、同一の化合物であってもよく、異なる化合物であってもよい。
このように構成すると、大きな粒子間の空隙に小さな粒子が入り込むためより密に充填でき、シート内の空隙をより少なくすることができる。さらに、フィラー間の空間率の減少と本発明の製法の相乗効果により、厚さ方向の熱伝導率をより向上させることができる。
本発明の第6の態様に係る放熱シートの製造方法は、上記本発明の第1〜第5のいずれか一の態様に係る放熱シートの製造方法において、前記無機フィラーが、窒化物で形成され、前記重合性化合物が、オキシラニル基またはオキセタニル基を含む構造を両末端に有する重合性液晶化合物であり、前記焼成工程の加熱温度が、前記重合性液晶化合物が液晶相を示す温度範囲以上である。「液晶相を示す温度範囲」とは、ネマチック相、スメクチック相、またはコレステリック相を示す温度範囲を言う。
このように構成すると、重合性液晶化合物が流動性を持つ状態で配向を起こすことができ、さらに重合性液晶化合物が配向している状態(分子が特定方向に揃った状態)で重合させて、無機フィラーとともに硬化させることができる。したがって、放熱シートは、重合した液晶化合物の熱伝導性と、窒化物で形成された無機フィラーの熱伝導性の相乗効果により、高い熱伝導性を有することができる。
本発明の第7の態様に係る放熱シートの製造方法は、上記本発明の第6の態様に係る放熱シートの製造方法において、前記仮成形工程または前記焼成工程の昇温時に、前記重合性液晶化合物の液晶相の発現温度域内に1秒以上滞留する、または、1秒以上保持する工程;を備える。
このように、加熱の際は必ず液晶状態にして配向させた後、硬化させることで、熱伝導率を上げることができる。
本発明の第8の態様に係る放熱シートの製造方法は、上記本発明の第6または7の態様に係る放熱シートの製造方法において、前記仮成形工程および前記焼成工程の前に、前記組成物の配向処理を行う配向処理工程;をさらに備える。
このように構成すると、重合性液晶化合物を配向し易くすることができる。
本発明の第9の態様に係る放熱シートの製造方法は、上記本発明の第6〜8のいずれか一の態様に係る放熱シートの製造方法において、前記重合性液晶化合物が、下記式(1−1)で表される少なくとも1種の化合物である。
a1−Z−(A−Z)m1−Ra1 ・・・(1−1)
[上記式(1−1)中、
a1は、それぞれ下記式(2−1)〜(2−2)のいずれかで表される重合性基であり;
Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、またはビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイルであり、
これらの環において、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
該アルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の−CHCH−は、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;
Zは、それぞれ単結合、または炭素数1〜20のアルキレンであり、
該アルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の−CHCH−は、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
m1は、1〜6の整数である。]
Figure 2019117156
[式(2−1)〜(2−2)中、Rは、水素、ハロゲン、−CF、または炭素数1〜5のアルキルであり、qは0または1である。]
このように構成すると、前記組成物は、重合性液晶化合物としてより好ましい化合物を含有することができる。これらの化合物は、熱硬化性でありフィラーの量に影響を受けずに硬化させることができ、さらに耐熱性に優れる。また分子構造は、対称性、直線性を有するため、フォノンの伝導に有利であると考えられる。
本発明の第10の態様に係る放熱シートの製造方法は、上記本発明の第9の態様に係る放熱シートの製造方法において、上記式(1−1)中、Aが、1,4−シクロヘキシレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、任意の水素がハロゲンもしくはメチル基で置き換えられた1,4−フェニレン、フルオレン−2,7−ジイル、または任意の水素がハロゲンもしくはメチル基で置き換えられたフルオレン−2,7−ジイルである。
このように構成すると、前記組成物は、重合性液晶化合物としてさらに好ましい化合物を含有することができる。これらの化合物は、分子の直線性がより高くなり、フォノンの伝導により有利であると考えられる。
本発明の第11の態様に係る放熱シートの製造方法は、上記本発明の第10の態様に係る放熱シートの製造方法において、上記式(1−1)中、Zが、単結合、−(CH−、−O(CH−、−(CHO−、−O(CHO−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−OCF−または−CFO−であり、該aが1〜20の整数である。
このように構成すると、前記組成物は、重合性液晶化合物として特に好ましい化合物を含有することができる。これらの化合物は、物性、作り易さ、または扱い易さに優れるため好ましい。
本発明の第12の態様に係る放熱シートの製造方法は、上記本発明の第1〜第11のいずれか一の態様に係る放熱シートの製造方法において、前記無機フィラーが、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、および窒化珪素から選ばれる少なくとも一つである。
このように構成すると、前記組成物は、無機フィラーとしてより好ましい化合物を含有することができる。
本発明の第13の態様に係る放熱シートの製造方法は、上記本発明の第1〜第12のいずれか一の態様に係る放熱シートの製造方法において、前記硬化剤が、下記式(3−1)で表される少なくとも1種のジアミン化合物である。
N−Z−(A−Z)m2−NH ・・・(3−1)
[上記式(3−1)中、
Aは、1,4−シクロヘキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環の任意の水素は、ハロゲン、または炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく;
Zは、それぞれ単結合、または炭素数1〜10のアルキレンであり;
m2は1〜7の整数である。]
このように構成すると、組成物は硬化剤としてより好ましい化合物を含有することができる。特にm2が偶数の場合、ジアミン化合物は、重合性液晶化合物の液晶性を阻害することなく、硬化させることができるため好ましい。
本発明の第14の態様に係る放熱シートの製造方法は、上記本発明の第1〜第13のいずれか一の態様に係る放熱シートの製造方法において、前記無機フィラーが、シランカップリング剤により処理されたフィラー、または、シランカップリング処理された後、前記重合性化合物により表面修飾されたフィラーである。「表面修飾」とは、フィラーに結合しているシランカップリング剤にさらに重合性化合物を結合させることを言う。
このように構成すると、シランカップリング処理したフィラーや表面修飾したフィラーが、組成物中の他の重合性化合物や他のシランカップリング剤と結合を形成でき、熱伝導性を向上させることができる。
本発明の第15の態様に係る放熱シートは、オキシラニル基またはオキセタニル基を含む構造を両末端に有する重合性液晶化合物と;前記重合性液晶化合物を硬化させる硬化剤と;窒化物で形成された無機フィラーと;を含む組成物をから形成された放熱シートであって、前記無機フィラーは、第1の無機フィラーと、前記第1の無機フィラーより粒径の小さい第2の無機フィラーとを含み、前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーの混合比率は、フィラー間の空間率が最小の時の充填率を100%とすると、前記充填率が70%以上となる比率であり、前記第1の無機フィラーは、針状または板状の粒子が凝集した二次粒子であり、前記放熱シートの厚さは、200〜1000μmであり、前記放熱シートの厚さ方向の熱伝導率は、20W/mKを超える。
このように構成すると、厚さ方向に高い熱伝導性を有する放熱シートが得られる。
本発明の第16の態様に係る基板は、上記本発明の第15の態様に係る放熱シートと;前記放熱シートの少なくとも片面に積層された金属板と;を備える。
このように構成すると、シートの熱伝導性を高めるためにより薄く形成された放熱シートであっても、金属板により機械的強度を担保できる。
本発明の第17の態様に係るパワー半導体モジュールは、絶縁基板となる上記本発明の第15の態様に係る放熱シートと、前記放熱シート上に形成された導体回路とを有するパワー半導体用基板と;前記パワー半導体用基板上に配置され、前記導体回路に電気的に接続されたパワー半導体チップと;を備え、前記無機フィラーは、窒化ホウ素である。
このように構成すると、放熱シートは絶縁基板となり、厚さ方向の優れた熱伝導性により、パワー半導体モジュールに生じた熱を効率よく逃がすことが可能となる。
本発明の放熱シートの製造方法により製造された放熱シートは、高熱伝導性を有し、特に厚さ方向の熱伝導性が従来技術により製造された放熱シートと比し極めて優れる。
無機フィラーとして窒化ホウ素の二次粒子を用いた場合を示すイメージ図である。 本発明の放熱シートを表すイメージ図である。 本発明で用いる組成物が含有する無機フィラーであって、未修飾のフィラー(左)、シランカップリング剤により処理されたフィラー(中央)、シランカップリング剤により処理された後、重合性化合物により表面修飾されたフィラー(右)のイメージ図である。 実施例において、組成物に圧力をかけた装置の概略図である。 実施例1のTMAにおいて、50℃から200℃までの平均線膨張係数を示すグラフである(9ppm/K)。 実施例3のTMAにおいて、50℃から200℃までの平均線膨張係数を示すグラフである(7ppm/K)。 実施例4のTMAにおいて、50℃から200℃までの平均線膨張係数を示すグラフである(7ppm/K)。 実施例5のTMAにおいて、50℃から200℃までの平均線膨張係数を示すグラフである(10ppm/K)。
この出願は、日本国で2017年12月13日に出願された特願2017‐239025号に基づいており、その内容は本出願の内容としてその一部を形成する。本発明は、以下の詳細な説明によりさらに完全に理解できるであろう。本発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明により明らかとなろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、本発明の精神及び範囲内で、当業者にとって明らかであるからである。出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部分には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
本明細書における用語の使い方は以下のとおりである。
「液晶化合物」「液晶性化合物」は、ネマチック相やスメクチック相などの液晶相を発現する化合物である。
「アルキルにおける任意の−CH−は、−O−などで置き換えられてもよい」あるいは「任意の−CHCH−は−CH=CH−などで置き換えられてもよい」等の句の意味を下記の一例で示す。例えば、C−における任意の−CH−が、−O−または−CH=CH−で置き換えられた基としては、CO−、CH−O−(CH−、CH−O−CH−O−などである。同様にC11−における任意の−CHCH−が、−CH=CH−で置き換えられた基としては、HC=CH−(CH−、CH−CH=CH−(CH−など、さらに任意の−CH−が−O−で置き換えられた基としては、CH−CH=CH−CH−O−などである。このように「任意の」という語は、「区別なく選択された少なくとも1つの」を意味する。なお、化合物の安定性を考慮して、酸素と酸素とが隣接したCH−O−O−CH−よりも、酸素と酸素とが隣接しないCH−O−CH−O−の方が好ましい。
また、環Aに関して「任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよい」の句は、例えば1,4−フェニレンの2,3,5,6位の水素の少なくとも1つがフッ素やメチル基等の置換基で置き換えられた場合の態様を意味し、また置換基が「炭素数1〜10のハロゲン化アルキル」である場合の態様としては、2−フルオロエチル基や3−フルオロ−5−クロロヘキシル基のような例を包含する。
「化合物(1−1)」は、下記式(1−1)で表される液晶化合物を意味し、また、下記式(1−1)で表される化合物の少なくとも1種を意味することもある。1つの化合物(1−1)が複数のAを有するとき、任意の2つのAは同一でも異なっていてもよい。複数の化合物(1−1)がAを有するとき、任意の2つのAは同一でも異なっていてもよい。この規則は、Ra1やZなど他の記号、基などにも適用される。
[放熱シート用組成物I]
本発明の放熱シートの製造方法で用いる組成物(以下、組成物Iとする)を説明する。しかし、以下に説明する組成物は一例であり、本発明で用いる組成物はこれに限定されない。
放熱シート用組成物は、オキシラニル基またはオキセタニル基を含む構造を両末端に有する重合性液晶化合物と;前記重合性液晶化合物を硬化させる硬化剤と;窒化物で形成された無機フィラーとを含んでもよい。組成物Iの硬化温度は、前記重合性液晶化合物が液晶相を示す温度範囲以上、等方相を示す温度範囲以下である。
重合性液晶化合物の液晶相を利用することにより、分子が秩序よくならんだ状態で重合(硬化)した樹脂相を形成させることが可能になる。熱は配向した分子および配向に沿って整列した無機フィラーを通じて流れ、配向方向に高熱伝導性を得ることができる。
<重合性液晶化合物>
重合性液晶化合物としては、下記式(1−1)で表される液晶化合物を挙げることができる。化合物(1−1)は液晶骨格と重合性基を有し、高い重合反応性、広い液晶相温度範囲、良好な混和性などを有する。この化合物(1−1)は他の液晶性の化合物や重合性の化合物などと混合するとき、容易に均一になりやすい。
a1−Z−(A−Z)m1−Ra1 (1−1)
上記化合物(1−1)の末端基Ra1、環構造Aおよび結合基Zを適宜選択することによって、液晶相発現領域などの物性を任意に調整することができる。末端基Ra1、環構造Aおよび結合基Zの種類が、化合物(1−1)の物性に与える効果、ならびに、これらの好ましい例を以下に説明する。
・末端基Ra1
末端基Ra1が直鎖状アルキルである場合、液晶相の温度範囲が広く、かつ粘度が小さい。一方、Ra1が分岐状アルキルである場合、他の液晶性の化合物との相溶性がよい。Ra1がシアノ、ハロゲン、−CF、−OCFである場合においても、良好な液晶相温度範囲を示し、誘電率異方性が高く、適度な相溶性を有する。
好ましいRa1としては、水素、フッ素、塩素、シアノ、−N=C=O、−N=C=S、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルケニルオキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルキニル、アルキニルオキシなどが挙げられる。これらの基において、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた基も好ましい。好ましいハロゲンはフッ素、塩素であり、さらに好ましくはフッ素である。具体例としては、モノフルオロアルキル、ポリフルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、モノフルオロアルコキシ、ポリフルオロアルコキシ、ペルフルオロアルコキシなどである。これらの基はフォノンの伝導しやすさ、すなわち熱の伝わり易さの観点から、分岐鎖よりも直鎖の方が好ましい。
さらに好ましいRa1としては、水素、フッ素、塩素、シアノ、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、炭素数2〜10のアルコキシアルキルなどが挙げられる。前記アルキル、アルコキシおよびアルコキシアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、メトキシメチル、メトキシエチルなどが挙げられる。特に好ましいRa1としては、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシである。
・環構造A
環構造Aにおける少なくとも1つの環が1,4−フェニレンの場合、配向秩序パラメーター(orientational order parameter)および磁化異方性が大きい。また、少なくとも2つの環が1,4−フェニレンの場合、液晶相の温度範囲が広く、さらに透明点が高い。1,4−フェニレン環上の少なくとも1つの水素がシアノ、ハロゲン、−CFまたは−OCFに置換された場合、誘電率異方性が高い。また、少なくとも2つの環が1,4−シクロヘキシレンである場合、透明点が高く、かつ粘度が小さい。
好ましいAとしては、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、2,2−ジフルオロ−1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5−トリフルオロ−1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、3−フルオロピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、9−メチルフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジイル、9−エチルフルオレン−2,7−ジイル、9−フルオロフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジフルオロフルオレン−2,7−ジイルなどが挙げられる。
1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置は、シスよりもトランスが好ましい。2−フルオロ−1,4−フェニレンおよび3−フルオロ−1,4−フェニレンは構造的に同一であるので、後者は例示していない。この規則は、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンと3,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンとの関係などにも適用される。
さらに好ましいAとしては、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンなどである。特に好ましいAは、1,4−シクロへキシレンおよび1,4−フェニレンである。
・結合基Z
結合基Zが、単結合、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−または−(CH−である場合、特に、単結合、−(CH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−または−(CH−である場合、粘度が小さくなる。また、結合基Zが、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−または−CF=CF−である場合、液晶相の温度範囲が広い。また、結合基Zが、炭素数4〜10程度のアルキルの場合、融点が低下する。
好ましいZとしては、単結合、−(CH−、−(CF−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−などが挙げられる。
さらに好ましいZとしては、単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−C≡C−などが挙げられる。特に好ましいZとしては、単結合、−(CH−、−COO−または−OCO−である。
上記化合物(1−1)が3つ以下の環を有するときは粘度が低く、3つ以上の環を有するときは透明点が高い。なお、本明細書においては、基本的に6員環および6員環を含む縮合環等を環とみなし、例えば3員環や4員環、5員環単独のものは環とみなさない。また、ナフタレン環やフルオレン環などの縮合環は1つの環とみなす。
上記化合物(1−1)は、光学活性であってもよいし、光学的に不活性でもよい。化合物(1−1)が光学活性である場合、該化合物(1−1)は不斉炭素を有する場合と軸不斉を有する場合がある。不斉炭素の立体配置はRでもSでもよい。不斉炭素はRa1またはAのいずれに位置していてもよく、不斉炭素を有すると、化合物(1−1)の相溶性がよい。化合物(1−1)が軸不斉を有する場合、ねじれ誘起力が大きい。また、施光性はいずれでも構わない。
以上のように、末端基Ra1、環構造Aおよび結合基Zの種類、環の数を適宜選択することにより、目的の物性を有する化合物を得ることができる。
・化合物(1−1)
化合物(1−1)は、下記式(1−a)または(1−b)のように表すこともできる。

P−Y−(A−Z)−R (1−a)
P−Y−(A−Z)−Y−P (1−b)
上記式(1−a)および(1−b)中、A、Z、Rは上記式(1−1)で定義したA、Z、Ra1と同義であり、Pは下記式(2−1)〜(2−2)で表される重合性基を示し、Yは単結合または炭素数1〜20のアルキレン、好ましくは炭素数1〜10のアルキレンを示し、該アルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−または−CH=CH−で置き換えられてもよい。特に好ましいYとしては、炭素数1〜10のアルキレンの片末端もしくは両末端の−CH−が−O−で置き換えられたアルキレンである。mは1〜6の整数、好ましくは2〜6の整数、さらに好ましくは2〜4の整数である。
好ましい化合物(1−1)の例としては、以下に示す化合物(a−1)〜(g−20)が挙げられる。
Figure 2019117156
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上記化学式(a−1)〜(g−20)において、R、PおよびYは上記式(1−a)および(1−b)で定義したとおりである。
は、単結合、−(CH−、−(CF−、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−(CHO−、−O(CH−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−C≡C−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−C≡C−CH=CH−、−CH=CH−C≡C−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−OCF−または−CFO−である。なお、複数のZは同一でも異なっていてもよい。
は、−(CH−、−(CF−、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−(CHO−、−O(CH−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−C≡C−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−C≡C−CH=CH−、−CH=CH−C≡C−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−OCF−または−CFO−である。
は、単結合、炭素数1〜10のアルキル、−(CH−、−O(CHO−、−CHO−、−OCH−、−O(CH−、−(CHO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−(CHCOO−、−OCO(CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−OCF−または−CFO−であり、複数のZは同一でも異なっていてもよい。aは1〜20の整数である。
Xは、任意の水素がハロゲン、アルキル、フッ化アルキルで置き換えられてもよい1,4−フェニレンおよびフルオレン−2,7−ジイルの置換基であり、ハロゲン、アルキルまたはフッ化アルキルを示す。
上記化合物(1−1)のより好ましい態様について説明する。より好ましい化合物(1−1)は、下記式(1−c)または(1−d)で表すことができる。
−Y−(A−Z)−R (1−c)
−Y−(A−Z)−Y−P (1−d)
上記式中、A、Y、Z、Rおよびmはすでに定義したとおりであり、Pは下記式(2−1)〜(2−2)で表される重合性基を示す。上記式(1−d)の場合、2つのPは同一の重合性基(2−1)〜(2−2)を示し、2つのYは同一の基を示し、2つのYは対称となるように結合する。
Figure 2019117156
上記化合物(1−1)のより好ましい具体例を以下に示す。
Figure 2019117156
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・化合物(1−1)の合成方法
上記化合物(1−1)は、有機合成化学における公知の手法を組合せることにより合成できる。出発物質に目的の末端基、環構造および結合基を導入する方法は、例えば、ホーベン−ウェイル(Houben-Weyl, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wily & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wily & Sons Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載されている。また、特開2006−265527号公報を参照してもよい。
<硬化剤>
好ましい硬化剤の例を以下に示す。
アミン系硬化剤として、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、o−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、3,9−ジプロパンアミン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリシクロヘキシルポリアミン、N−アミノエチルピペラジンなどが挙げられる。
特にジアミンは、重合性液晶化合物の液晶性を阻害することなく重合性液晶化合物を硬化させることができるため好ましい。硬化剤の量は、エポキシ当量またはオキセタン当量により適宜選択すればよい。
<無機フィラー>
無機フィラーとしては、高熱伝導性の充填材となり得る、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素などの窒化物が挙げられる。ダイアモンド、黒鉛、炭化珪素、珪素、ベリリア、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化珪素、酸化銅、酸化チタン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化錫、酸化ホルミニウム、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化カルシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、金、銀、銅、白金、鉄、錫、鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、モリブデン、ステンレスなどの無機充填材および金属充填材であってもよい。充填材の形状としては、球状、無定形、繊維状、棒状、筒状、板状などが挙げられる。充填材の形状は、流動により配向を起こさせやすい形状、例えば板状や針状、およびそれらの凝集体が、液晶の特徴を活かしやすいため好ましい。充填材の種類、形状、大きさ、添加量などは、目的に応じて適宜選択できる。得られる放熱シートが絶縁性を必要とする場合でも、所望の絶縁性が保たれれば導電性を有する充填材であっても構わない。
好ましくは、窒化ホウ素、窒化アルミニウムである。特に六方晶系の窒化ホウ素(h−BN)や窒化アルミニウムが好ましい。チッ化ホウ素、窒化アルミニウムは平面方向の熱伝導率が非常に高く、誘電率も低く、絶縁性も高いため好ましい。
また、板状フィラーが板状方向に配向すると、水平方向の熱伝導率は上がるが、垂直方向(厚さ方向)の熱伝導率は下がる。したがって、球状、無定形、針状(繊維状、棒状)、筒状、板状などのフィラーを凝集させた、例えば砂漠のバラ状のような、二次粒子が好ましい。
無機フィラーは、そのまま未修飾のもの(図3左)を使用してもよい。未修飾の無機フィラーを用いると調製の工程を減らすことができるため好ましい。または、その表面をカップリング剤で処理したもの(図3中央)を用いてもよい。例えば、図3に示すように、窒化ホウ素(h−BN)をシランカップリング剤で処理する。窒化ホウ素の場合は粒子の平面に反応基がないため、その周囲のみにシランカップリング剤が結合する。シランカップリング剤で処理された窒化ホウ素は、組成物中の特定の結合基を有する重合性液晶化合物とシランカップリング剤を介して結合を形成でき、この結合は熱伝導に寄与すると考えられる。
シランカップリング剤は、オキシラニル基等または硬化剤と反応することが好ましいので、アミン系もしくはオキシラニル基等を末端にもつものが好ましい。例えば、JNC(株)製では、サイラエースS310,S320,S330,S360,S510,S530などが挙げられる。
無機フィラーは、シランカップリング剤で処理した後さらに重合性液晶化合物で表面修飾したもの(図3右)を用いてもよい。例えば、図3に示すように、シランカップリング剤で処理された窒化ホウ素(h−BN)を重合性液晶化合物で表面修飾する。重合性液晶化合物で表面修飾された窒化ホウ素は、組成物中の重合性液晶化合物との結合を形成でき、この結合は熱伝導に寄与すると考えられる。
無機フィラーは、粒子径の大きな粒子(第1の無機フィラー)に対して粒子径の小さな粒子(第2の無機フィラー)を加え、混合充填したものであってもよい。混合充填により、大きな粒子間の空隙に小さな粒子が入り込むためより密に充填でき、空隙をより少なくすることができる。第1の無機フィラーは、上記二次粒子が好ましく、第2の無機フィラーは第1の無機フィラーよりも粒径小さいものであればよく、二次粒子であっても一次粒子であってもよい。なお、2成分の混合充填では、大きな粒子と小さな粒子とで最密充填となり得る混合比率(体積比率または重量比率)で充填すると、空隙を減らすことに寄与でき好ましい。大きな粒子の平均粒子型は10μmから1000μmが好ましく、より好ましくは10μmから500μmであり、更に好ましくは25μmから500μmである。
2成分の混合充填では混合比率により空間率(粒子間の隙間)が変化する。空間率が最小(最密充填)となり得る混合比率は、公知の方法で、例えば「鈴木道隆、“粉体の密充填におよぼす粒子物性の影響”、粉体工学会誌、粉体工学会、2003年、第40巻、第5号、p22−28」を参照し求めることができる。
具体的には、空間率(ε)は下記2式により得られる。下記2式において、ε1、ε2は大小粒子単独の空間率であり、SV1、SV2は大小粒子の体積基準混合分率である。
ε=1−(1−ε1)/SV1
ε=1−(1−ε2)/{1−(SV2×ε2)}
Furnasの上記2式で計算した空間率(ε)のうち大きな方の値を用いて混合比率を求める。
無機フィラーの含有量は、最密充填となり得る混合比率での最密充填時(上記空間率(ε)の最小時)の充填率を100%とすると、好ましくは充填率が70%以上となる量であり、より好ましくは80%以上となる量であり、さらに好ましくは90%以上となる量であり、最も好ましくは100%である。1成分の充填および2成分以上の混合充填でも同様である。好ましい充填率での混合比率は、Furnasの上記2式で計算した空間率(ε)のうち大きな方の値を用いて、空間率と混合比率(体積比率または重量比率等)とのグラフから求める。
なお、無機フィラーは、3成分以上や不規則形状粒子、粒度分布があってもよい。最密充填となり得る混合比率は、公知の方法で、例えば、「鈴木道隆、“3成分粒子ランダム充填層の空間率”、化学工学論文集、化学工学会、1984年、第10巻、第6号、p721−727」、「鈴木道隆、“粒度分布のある多成分粒子ランダム充填層の空間率”、化学工学論文集、化学工学会、1985年、第11巻、第4号、p438−443」を参照し求めることができる。
<その他の構成要素>
本発明で用いる組成物Iは、上記化合物(1−1)を少なくとも1種含み、高熱伝導無機充填材としての無機フィラーと複合させた物である。該組成物は、2種以上の化合物(1−1)で構成されていてもよく、また、少なくとも1種の化合物(1−1)と、化合物(1−1)以外の少なくとも1種の化合物との組合せで構成されていてもよい。このような化合物(1−1)以外の構成要素としては、特に限定されないが、例えば、化合物(1−1)以外の重合性化合物(以下「その他の重合性化合物」ともいう)、非重合性の液晶性化合物、重合開始剤、および溶媒などが挙げられる。
<非重合性の液晶性化合物>
本発明で用いる組成物Iは、重合性基を有しない液晶性化合物を構成要素としてもよい。このような非重合性の液晶性化合物の例は、液晶性化合物のデータベースであるリクリスト(LiqCryst, LCI Publisher GmbH, Hamburg, Germany)などに記載されている。非重合性の液晶性化合物を含有する該組成物を重合させることによって、化合物(1−1)の重合体と液晶性化合物との複合材料(composite materials)を得ることができる。このような複合材料では、例えば、高分子分散型液晶のような高分子網目中に非重合性の液晶性化合物が存在している。
<重合開始剤>
本発明で用いる組成物Iは、重合開始剤を構成要素としてもよい。重合開始剤は、該組成物の重合方法に応じて、例えば光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤などを用いればよい。熱ラジカル重合用の好ましい開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−t−ブチルパーオキシド(DTBPO)、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)などが挙げられる。
<溶媒>
本発明で用いる組成物Iは、溶媒を含有してもよい。該組成物の重合は溶媒中で行っても、無溶媒で行ってもよい。溶媒を含有する該組成物を基板上に、例えばスピンコート法などにより塗布した後、溶媒を除去してから光重合させてもよい。また、光硬化後適当な温度に加温して熱硬化により後処理を行ってもよい。好ましい溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、PGMEAなどが挙げられる。上記溶媒は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。なお、重合時の溶媒の使用割合を限定することにはあまり意味がなく、重合効率、溶媒コスト、エネルギーコストなどを考慮して、個々のケースごとに決定すればよい。
<その他>
上記化合物(1−1)は高い重合性を有するので、取扱いを容易にするために安定剤を添加してもよい。このような安定剤としては、公知のものを制限なく使用でき、例えば、ハイドロキノン、4−エトキシフェノールおよび3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)などが挙げられる。
さらに、組成物Iの粘度や色を調整するために添加剤(酸化物等)を添加してもよい。例えば、白色にするための酸化チタン、黒色にするためのカーボンブラック、粘度を調整するためのシリカの微粉末を挙げることができる。また、機械的強度をさらに増すために添加剤を添加してもよい。例えば、ガラス、カーボンファイバーなどの無機繊維やクロス、または高分子添加剤として、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなどの繊維または長分子を挙げることができる。また、信頼性向上のために酸化防止剤、耐光剤などの添加剤を添加してもよい。
[放熱シート用組成物II]
本発明の放熱シートの製造方法で用いる組成物は、化合物(1−1)以外の重合性化合物(その他の重合性化合物)を少なくとも1種含み、高熱伝導無機充填材としての無機フィラーと複合させた物であってもよい(以下、組成物IIとする)。このような重合性化合物としては、膜形成性および機械的強度を低下させない化合物が好ましい。この重合性化合物は、液晶性を有しない化合物と液晶性を有する化合物とに分類される。液晶性を有しない重合性化合物としては、ビニル誘導体、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、ソルビン酸誘導体、フマル酸誘導体、イタコン酸誘導体などが挙げられる。
組成物IIは、重合性液晶化合物に代えて液晶性を有さない重合性化合物を用いる以外は、組成物Iと同様の構成要素とすることができる。
[組成物の製造方法]
<カップリング処理および重合性液晶化合物の表面修飾を施す場合>
カップリング剤で処理された無機フィラーを用いる場合は、無機フィラーにカップリング処理を施す。カップリング処理は、公知の方法を用いることができる。
一例として、まず無機フィラー粒子とカップリング剤を溶媒に加える。スターラー等を用いて撹拌したのち、放置する。溶媒乾燥後に、真空乾燥機等を用いて、真空条件下で加熱処理をする。この無機フィラー粒子に溶媒を加えて、超音波処理により粉砕する。遠心分離機を用いてこの溶液を分離精製する。上澄みを捨てたのち、溶媒を加えて同様の操作を数回行う。オーブンを用いて精製後の無機フィラー粒子を乾燥させる。
次にカップリング処理された無機フィラー粒子と重合性液晶化合物を、メノウ乳鉢等を用いて混合したのち、2軸ロール等を用いて混練する。その後、超音波処理および遠心分離によって分離精製する。
さらにアミン系硬化剤を、メノウ乳鉢等を用いて混合したのち、2軸ロール等を用いて混練する。これにより、溶媒を含有しない組成物Iを得ることができる。
[放熱シートの製造方法]
本発明の第1の実施の形態に係る放熱シートの製造方法を、一例として、溶媒を含有しない組成物Iを用いて具体的に説明する。本発明の放熱シートの製造方法は焼成工程を備え、焼成工程は組成物Iが含有する重合性液晶化合物を重合させる温度で加熱する。
(1)溶媒を含有しない組成物Iを、圧縮成形機の金型に入れ、大気圧下で仕上がり後の放熱シートの厚さに対し上下方向となる方向から圧力をかけて(プレスして)、圧縮した状態(固めた状態)にする。なお、仕上がり後の放熱シートの厚さに対し上下方向となる方向とは、図4の矢印の方向である。
(2)固めた状態の組成物Iに圧力をかけながら徐々に温度を上げることにより、重合性液晶化合物の分子を流動配向させ、重合温度まで温度が上がった後に温度を保持し組成物Iを重合させる(焼成工程)。
または、
(1)溶媒を含有しない組成物Iを、圧縮成形機の金型に入れ、大気圧下で仕上がり後の放熱シートの厚さに対し上下方向となる方向から圧力をかけて(プレスして)、圧縮した状態(固めた状態)にする。真空引きする前に圧縮しているため、組成物Iが含有する粒子の飛散を抑制でき好ましい。
(2)固めた状態の組成物Iに圧力をかけながら、室温から真空オーブンに入れ、真空引きをする(真空工程)。
(3)真空雰囲気下で、固めた状態の組成物Iに圧力をかけながら徐々に温度を上げることにより、重合性液晶化合物の分子を流動配向させ、重合温度まで温度が上がった後に温度を保持し組成物Iを重合させる(焼成工程)。
本発明の第2の実施の形態に係る放熱シートの製造方法を、一例として、溶媒を含有しない組成物Iを用いて具体的に説明する。本発明の放熱シートの製造方法は、仮成形工程と焼成工程とを備え、仮成形工程は組成物を圧縮成形する温度で加熱し、焼成工程は組成物Iが含有する重合性液晶化合物を重合させる温度で加熱する。
(1)溶媒を含有しない組成物Iを、圧縮成形機の金型に入れ、大気圧下で仕上がり後の放熱シートの厚さに対し上下方向となる方向から圧力をかけながら(プレスしながら)重合温度以下で加熱し、圧縮した状態(固めた状態)にする(仮成形工程)。
(2)仮成形工程後の組成物Iに圧力をかけながら、真空オーブンに入れ、真空引きをする(真空工程)。
(3)真空雰囲気下で、仮成形工程後の組成物Iに圧力をかけながら徐々に温度を上げることにより、重合性液晶化合物の分子を流動配向させ、重合温度まで温度が上がった後に温度を保持し加熱により組成物Iを重合させる(焼成工程)。
または、
(1)溶媒を含有しない組成物Iを、圧縮成形機の金型に入れ、大気圧下または真空雰囲気下で仕上がり後の放熱シートの厚さに対し上下方向となる方向から圧力をかけながら(プレスしながら)加温し、圧縮した状態(固めた状態)にする(仮成形工程)。
(2)仮成形工程後の組成物Iに圧力をかけずに、真空オーブンに入れ、真空引きをする(真空工程)。
(3)真空雰囲気下で徐々に温度を上げることにより、重合性液晶化合物の分子を流動配向させ、重合温度まで温度が上がった後に温度を保持し加熱により仮成形工程後の組成物Iを重合させる(焼成工程)。
重合性液晶化合物は圧縮成形により配向成形するため、液晶相を示す温度範囲以上で配向成形及び重合させて重合体を形成できるため好ましい。
組成物Iにかける圧力は、金型が破壊されない範囲であればよく、例えば、5〜500MPaを挙げることができる。圧縮時の圧力は基本的には高い方が好ましい。しかし、金型の強度や、目的とする物性(どちら向きの熱伝導率を重視するかなど)によって適宜変更し、適切な圧力を加えることが好ましい。仮成形時と焼成時にかける圧力は同一であってもよく、異なってもよい。
加熱時の温度は、仮成形工程および焼成工程では組成物を圧縮成形できる温度で、重合性液晶化合物が真空状態により容易に空隙に侵入することができる温度であればよく、温度を上げるときに液晶状態を滞留または保持できることがより好ましい。また焼成工程は、組成物中の重合性液晶化合物により異なり、時間をかけて直線的に加熱してもよく、特定の温度で特定の時間加熱してもよく、特定の温度で特定の時間の加熱を段階的に施してもよい。このように重合反応を促すような加熱方法であればよく、組成物の構成要素により適宜選択する。液晶状態を滞留または保持する時間は、好ましくは1秒から4時間、より好ましくは1秒から1時間、更に好ましくは1秒から30分である。
真空時の圧力は基本的には低い方が好ましい。例えば、真空とは、0.1MPa以下であり、好ましくは1KPa以下であり、より好ましくは100Pa以下であり、さらに好ましく10Pa以下である。
上記のとおり、組成物を、圧縮と組合せながら大気圧または真空下で加熱して放熱シートを製造する。本発明の製造方法により、放熱シート内の空隙の生成を抑制でき、生成した空隙は組成物中の樹脂で埋めることができ、その結果、垂直(厚さ)方向の熱伝導性をも向上させることができたと考えられる。
本発明の第3の実施の形態に係る放熱シートの製造方法を、一例として、溶媒を含有する組成物Iを用いて、具体的に説明する。
(1)基板上に組成物Iを塗布し、溶媒を乾燥除去して膜厚の均一な塗膜層を形成する。塗布方法としては、例えば、スピンコート、ロールコート、カテンコート、フローコート、プリント、マイクログラビアコート、グラビアコート、ワイヤーバーコード、デップコート、スプレーコート、メニスカスコート法などが挙げられる。
溶媒の乾燥除去は、例えば、室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどにより行うことができる。溶媒除去の条件は特に限定されず、溶媒がおおむね除去され、塗膜層の流動性がなくなるまで乾燥すればよい。なお、組成物Iに用いる化合物の種類と組成比によっては、塗膜層を乾燥する過程で、塗膜層中の液晶分子の分子配向が完了していることがある。しかし、塗膜層中の液晶分子の配向をより均一化させるためには、乾燥工程を経た塗膜層を熱処理および重合処理して配向を固定化することが好ましい。したがって、乾燥工程を経た後の工程は、溶媒を含有しない組成物を用いた場合の方法と同様でよい。
なお、組成物Iの重合方法としては、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合などが挙げられるが、分子配列を固定化したり、らせん構造を固定化したりするには、電子線、紫外線、可視光線または赤外線(熱線)などの光線や熱を利用した熱重合や光重合が適している。熱重合はラジカル重合開始剤の存在下で行うことが好ましく、光重合は光ラジカル重合開始剤の存在下で行うのが好ましい。また、無機フィラーの含有量によっては、熱による熱重合が好ましい。得られる重合体は、単独重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよく、用途などに応じて適宜選択すればよい。
組成物Iの塗布前に基板表面を配向処理してもよい。基板表面を配向処理方法としては、例えば、基板上に液晶ディスプレイ用の垂直配向剤を用いる方法などがある。
[放熱シート]
図2は、無機フィラーとして窒化ホウ素を用いた場合の放熱シートのイメージ図である。
本発明の第4の実施の形態に係る放熱シートは、厚さ方向に20W/mKを超える熱伝導率を有するものである。好ましくは25W/mK以上、より好ましくは30W/mK以上の熱伝導率を有する。このような放熱シートは、上記第1〜第3の実施の形態に係る放熱シートの製造方法により製造することができる。
少なくとも1種の化合物(1−1)を含む組成物Iを、配向制御して重合させることによって得られる重合体は、配向方向に高い熱伝導性を有することに加えて、本発明の放熱シートの製造方法により製造されたシートは、さらに厚さ方向においても優れた熱伝導性を有することができる。
少なくとも1種の化合物(1−1)を含む組成物Iを、重合させることによって得られる重合体は、熱硬化性樹脂であることが好ましい。両末端が重合性基である化合物(1−1)を用いると、熱硬化性樹脂が得られやすい。
熱硬化性樹脂は三次元の架橋構造を有する。このような重合体は溶媒に不溶であるので、分子量を測定することができない。しかし、基板上に組成物Iを塗布し、分子の配向を固定して重合することにより放熱シートを得る場合においては、さらに加工を施すことがないので、分子量の大小は問題とならず、使用環境において条件を満足すればよい。また、より分子量を上げるために、架橋剤を添加してもよい。これにより、耐薬品性および耐熱性に極めて優れた重合体を得ることができる。このような架橋剤としては、公知のものを制限なく使用できるが、例えば、トリス(3−メルカプトプロピオネート)などが挙げられる。
少なくとも1種の化合物(1−1)を含む組成物Iを、配向制御して重合させることによって得られる重合体は、任意の方向に分子配向が固定化されているという特徴を有する。このように液晶分子のメソゲン部位を一定方向にできるだけ均一に配向させて固定化することにより、配向方向に高い熱伝導性が付与された重合体を得ることができる。配向方向は重合前に液晶分子を配列させることにより任意に制御できる。
なお、一定方向に配列したフィルムを各方向に積層することよって、全方向への高熱伝導化を達成できる。このような積層構造は「組成物の塗布→重合→組成物の塗布→重合」の過程を繰り返すことによっても形成できる。このように積層構造を形成することは、得られる放熱シートの機械的強度の異方性を緩和させることにおいても有用である。また、一定方向に配列したフィルムを切り取り、配向が縦になるようにフィルムを再配置して、フィルムの厚さ方向の熱伝導化を向上させてもよい。
本発明の放熱シートは、シート以外に、フィルム、薄膜、繊維、成形体などの形状で使用してもよい。なお、本発明の放熱シートの厚さは、5μm以上、好ましくは10〜1000μm、より好ましくは20〜500μmであり、厚さは用途に応じて適宜変更すればよい。例えば、本発明の放熱シートは、熱伝導性にすぐれた接着シートとしても使用でき、その場合の厚さは数十μmである。放熱シートを半導体の絶縁基板として用いる場合は、厚さが数百μmとなる。このように、本発明の放熱シートは、放熱基板、放熱フィルム、放熱接着シート、放熱成形品としても利用できる。
[基板]
本発明の第5の実施の形態に係る基板は、上記第4の実施の形態に係る放熱シートと、金属板とを備える。放熱シートと金属板を備える基板としては、放熱シートとヒートシンクの組合せや、放熱シートと金属電極の組合せを挙げることができる。金属板には、銅、アルミニウム、ニッケル、金、ニッケルメッキ付銅、金メッキ付銅を挙げることができる。
[パワー半導体モジュール]
本発明の第6の実施の形態に係るパワー半導体モジュールは、絶縁基板となる上記第4の実施の形態に係る放熱シートと、前記放熱シート上に形成された導体回路とを有するパワー半導体用基板と;前記パワー半導体用基板上に配置され、前記導体回路に電気的に接続されたパワー半導体チップと;を備える。本発明の放熱シートは、高熱伝導性に加えて、高耐熱性、高絶縁性を有する。そのため、パワー半導体モジュールの中でも、例えば、高電力のためより効率的な放熱機構を必要とする絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)のようなモジュールに特に有効である。IGBTは半導体素子のひとつで、MOSFETをゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタであり、電力制御の用途で使用される。IGBTを備えた電子機器には、大電力インバータの主変換素子、無停電電源装置、交流電動機の可変電圧可変周波数制御装置、鉄道車両の制御装置、ハイブリッドカー、エレクトリックカーなどの電動輸送機器、IH調理器などを挙げることができる。
以下に、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。しかし本発明は、以下の実施例に記載された内容に限定されるものではない。
本発明の実施例に用いた成分材料は次のとおりである。
<無機フィラー>
・窒化ホウ素h−BN粒子、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(合)製、(商品名)PolarTherm PTX−25、PT−670
・窒化ホウ素、3Mジャパン(株)製、Platelets003
<重合性液晶化合物>
・重合性オキシラニル化合物、JNC(株)製、下記式(1)
Figure 2019117156
<アミン系硬化剤>
・4,4’−エチレンジアニリン、東京化成工業(株)製
<シランカップリング剤>
・N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、JNC(株)製、(商品名)サイラエース S320
Figure 2019117156
<実施例1>
無機フィラー混合物の作製
JNC(株)製化合物(1)の0.774gと、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルメタンの0.223gを量り取り、メノウ乳鉢にいれ、十分にすりつぶしてから混合した。この混合物の重量比率は、エポキシ当量とアミンの活性水素当量から求めた。この混合物を混合物Aと呼ぶ。
この混合物Aの0.997gと、PTX−25の5gをアルミ容器にいれて、55℃のホットプレートで適宜かき混ぜながら10分加熱した。これをPTX−25混合物と呼ぶ。なお55℃はJNC(株)製化合物(1)が液晶状態になる温度である。
同様に混合物Aの0.997gと、PT−670の5gも同様に処理した。これをPT−670混合物と呼ぶ。
PTX−25混合物の0.1gと、PT−670混合物の0.82gをそれぞれ量り取り、十分に混合した。粒径の異なるPTX−25とPT−670は、粒子間の空間率が最小となるように(最密充填となるように)混合比率および含有量を決定した。
成形および重合
得られたPTX−25混合物とPT−670混合物との混合物を、図4に示すとおり、放熱シートの形状をくりぬいた金型に挟み、この金型を上下からアルミの厚板で挟み込み、アルミ板同士をM16のボルトで固定した。このM16のボルトを、トルクレンチを使い30N・mで締め付け、金型の中にある混合物を大気圧下で加圧プレスした。
加圧プレスをした状態のまま、ヤマト科学製角形真空定温乾燥器(商品名DP300)で圧力0.1KPa以下、温度150℃で15時間加熱し放熱部材を作製した。このとき23℃から150℃までの、金型内部の昇温速度は約0.5℃/分であり、JNC(株)製化合物(1)の液晶状態となる温度範囲を約30分間かけて通過した。最終的に150℃に到達し、その温度を保持した状態で重合させた。
<実施例2>
実施例1において、粒径の異なるPTX−25とPT−670は、粒子間の空間率が最小となる(最密充填となる)混合比で混合した。この充填率を100%とすると、実施例2では充填率が70%となるように、PTX−25とPT−670を混合した。これ以外は実施例1と同様に放熱シートを作製した。
<実施例3>
窒化ホウ素(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(合)製PolarTherm PTX−25)10gと、シランカップリング剤(JNC(株)製S320)1gをトルエン100mLに加え、スターラーを用いて500rpmで1時間攪拌し、得られた混合物を40℃で4時間乾燥した。さらに、溶媒乾燥後に120℃に設定した真空乾燥機を用いて、真空条件下で5時間加熱処理をした。得られた粒子をフィラーAとする。フィラーAは、無機フィラーをシランカップリング剤で修飾した状態の粒子である。このフィラーAを実施例1のPTX−25と置き換えたほかは実施例1と同様に放熱シートを作製した。
<実施例4>
得られたPTX−25混合物とPT−670混合物との混合物を金型に挟み、150℃に設定した圧縮成形機(井元製作所(株)製IMC-19EC)を用いて30MPaまで加圧し、10分間加熱状態を続けることで、大気圧下で仮成形を行った。
さらに、得られた仮成形済み放熱シートを、図4に示すとおり、放熱シートの形状にくりぬいた金型に挟み、この金型を上下からアルミの厚板で挟み込み、アルミ板同士をM16のボルトで固定した。このM16のボルトを、トルクレンチを使い30N・mで締め付け、金型の中にある混合物を大気圧下で加圧プレスした。
加圧プレスをした状態のまま、ヤマト科学製角形真空定温乾燥器(商品名DP300)で圧力0.1KPa以下、温度150℃で15時間加熱し放熱シートを作製した。このとき23℃から150℃までの、金型内部の昇温速度は約0.5℃/分であり、JNC(株)製化合物(1)の液晶状態となる温度範囲を約30分間かけて通過した。最終的に150℃に到達し、その温度を保持した状態で重合させた。
<実施例5>
得られたPTX−25混合物とPT−670混合物との混合物を、図4に示すとおり、放熱シートの形状にくりぬいた金型に挟み、この金型を上下からアルミの厚板で挟み込み、アルミ板同士をM16のボルトで固定した。このM16のボルトを、トルクレンチを使い30N・mで締め付け、金型の中にある混合物を大気圧下で加圧プレスした。
加圧プレスをした状態のまま、ヤマト科学製角形真空定温乾燥器(商品名DP300)で大気圧雰囲気下で、温度150℃で15時間加熱し放熱シートを作製した。このとき23℃から150℃までの、金型内部の昇温速度は約0.5℃/分であり、JNC(株)製化合物(1)の液晶状態となる温度範囲を約30分間かけて通過した。最終的に150℃に到達し、その温度を保持した状態で重合させた。
<実施例6>
実施例1において、粒径の異なるPTX−25とPT−670は、粒子間の空間率が最小となる(最密充填となる)混合比で混合した。この充填率を100%とすると、実施例6では充填率が70%となるように、PTX−25とPT670を混合した。この混合物を厚さが230μmなるように量り取った。
実施例4と同様に、得られたPTX−25混合物とPT−670混合物との混合物を、図4に示すとおり、放熱シートの形状にくりぬいた金型に挟み、この金型を上下からアルミの厚板で挟み込み、アルミ板同士をM16のボルトで固定した。このM16のボルトをトルクレンチを使い30N・mで締め付け、金型の中にある混合物を大気圧下で加圧プレスした。
その後、金型から仮成形済みの放熱シートを取り出し、加圧プレスせずに、ヤマト科学製角形真空定温乾燥器(商品名DP300)で圧力0.1KPa以下、温度150℃で15時間加熱し放熱シートを作製した。このとき23℃から150℃までの、金型内部の昇温速度は約0.5℃/分であり、JNC(株)製化合物(1)の液晶状態となる温度範囲を約30分間かけて通過した。最終的に150℃に到達し、その温度を保持した状態で重合させた。
<実施例7>
窒化ホウ素をPTX−25の代わりに3Mジャパン(株)製Platelets003を使用し、Plateltes混合物の0.033gと、PT−670混合物の0.930gをそれぞれ量り取り、よく混ぜたほかは実施例1と同様に放熱シートを作製した。
粒径の異なるPlatelets003とPT−670は、粒子間の空間率が最小となるように(最密充填となるように)混合比率および含有量を決定した。
<熱伝導率評価>
熱伝導率は、予め放熱シートの比熱((株)リガク製高感度示差走査熱量計Thermo Plus EVO2 DSC−8231で測定した)と比重(新光電子(株)製比電子はかり式比重計DME−220により測定した)を求めておき、その値を(株)ネッチジャパン製LFA467熱拡散率測定装置により求めた熱拡散率を掛け合わせることにより厚さ方向の熱伝導率を求めた。
<熱膨張率評価>
得られた試料から、4×20mmの試験片を切り出し、熱膨張率(SII(株)TMA−SS6100熱機械分析装置で測定した)を、50〜200℃の範囲で求めた。試験片の長さは、測定する試料の形状により適宜調製した。測定結果を図5〜図8に示す。
実施例1〜7の放熱シートについて、表1に厚さ方向の熱伝導率、厚さ、線膨張係数(TMA)を示す。
Figure 2019117156
上記のとおり、本発明の放熱シートは、厚さ方向の熱伝導率が向上した。さらに、TMA(Thermomechanical Analysis,熱機械分析)を用いて測定した線膨張係数は、従来の半導体基板の線膨張係数(Si:2.4ppm/K、GaN:4.0ppm/K、SiC:4.3ppm/K)と銅16.8ppm/Kの中間の値を示した。よって、本発明の放熱シートを半導体基板として使用すると、線膨張係数が異なることによる信頼性の低下を抑えることができると考えられる。
本明細書中で引用する刊行物、特許出願および特許を含むすべての文献を、各文献を個々に具体的に示し、参照によりここに組み込む、また、その内容のすべてをここで述べるのと同じ程度に、参照によりここに組み込む。
本発明の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞および同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限定しない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、本発明の実施に不可欠である、請求項に記載されていない要素を示すものとは解釈されないものとする。
本明細書中では、本発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読んだ上で、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを予期しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本発明が実施されることを予定している。従って本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の変更および均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての変形における上記要素のいずれの組合せも本発明に包含される。
1 ステンレス板
2 アルミ板
3 ボルト

Claims (17)

  1. 放熱シートの製造方法であって、
    無機フィラーと、重合性化合物と、前記重合性化合物を硬化させる硬化剤とを含む組成物に、前記放熱シートの厚さに対し上下方向となる方向から圧力をかけながら、前記重合性化合物を重合させるように加熱する、焼成工程;を備える、
    放熱シートの製造方法。
  2. 前記焼成工程前に、前記重合性化合物を、フィラー内やフィラー間の隙間に浸透させるために、前記組成物に前記上下方向となる方向から圧力をかけながら、前記組成物を真空雰囲気下に置く真空工程;をさらに備え、
    前記焼成工程は、真空雰囲気下で、前記組成物に前記上下方向となる方向から圧力をかけながら加熱する、
    請求項1に記載の放熱シートの製造方法。
  3. 前記真空工程前に、大気圧下で、前記組成物に前記上下方向となる方向から圧力をかけながら、前記重合性化合物を圧縮成形するように重合温度以下で加熱する、仮成形工程;をさらに備える、
    請求項2に記載の放熱シートの製造方法。
  4. 放熱シートの製造方法であって、
    大気圧下または真空雰囲気下で、無機フィラーと、重合性化合物と、重合性化合物を硬化させる硬化剤とを含む組成物に、前記放熱シートの厚さに対し上下方向となる方向から圧力をかけながら、前記重合性化合物を圧縮成形するように重合温度以下で加熱する、仮成形工程と;
    前記仮成形工程後に、前記重合性化合物を、フィラー内やフィラー間の隙間に浸透させるために、前記組成物を真空雰囲気下に置く真空工程と;
    真空雰囲気下で、前記組成物に、前記重合性化合物を重合させるように加熱する、焼成工程と;を備える、
    放熱シートの製造方法。
  5. 前記無機フィラーは、第1の無機フィラーと、前記第1の無機フィラーより粒径の小さい第2の無機フィラーとを含み、
    前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーの混合比率は、フィラー間の空間率が最小の時の充填率を100%とすると、前記充填率が70%以上となる比率であり、
    前記第1の無機フィラーは、針状または板状の粒子が凝集した二次粒子である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の放熱シートの製造方法。
  6. 前記無機フィラーは、窒化物で形成され、
    前記重合性化合物は、オキシラニル基またはオキセタニル基を含む構造を両末端に有する重合性液晶化合物であり、
    前記焼成工程の加熱温度は、前記重合性液晶化合物が液晶相を示す温度範囲以上である、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の放熱シートの製造方法。
  7. 前記仮成形工程または前記焼成工程の昇温時において、前記重合性液晶化合物の液晶相の発現温度域内に1秒以上滞留する、または、1秒以上保持する工程;を備える、
    請求項6に記載の放熱シートの製造方法。
  8. 前記仮成形工程および前記焼成工程の前に、前記組成物の配向処理を行う配向処理工程;をさらに備える、
    請求項6または7に記載の放熱シートの製造方法。
  9. 前記重合性液晶化合物は、下記式(1−1)で表される少なくとも1種の化合物である、
    請求項6〜8のいずれか一項に記載の放熱シートの製造方法。
    a1−Z−(A−Z)m1−Ra1 ・・・(1−1)
    [上記式(1−1)中、
    a1は、それぞれ下記式(2−1)〜(2−2)のいずれかで表される重合性基であり;
    Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、またはビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイルであり、
    これらの環において、任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は、−N=で置き換えられてもよく、任意の水素は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
    該アルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の−CHCH−は、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;
    Zは、それぞれ単結合、または炭素数1〜20のアルキレンであり、
    該アルキレンにおいて、任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の−CHCH−は、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
    m1は、1〜6の整数である。]
    Figure 2019117156
    [式(2−1)〜(2−2)中、Rは、水素、ハロゲン、−CF、または炭素数1〜5のアルキルであり、qは0または1である。]
  10. 上記式(1−1)中、Aは、1,4−シクロヘキシレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、任意の水素がハロゲンもしくはメチル基で置き換えられた1,4−フェニレン、フルオレン−2,7−ジイル、または任意の水素がハロゲンもしくはメチル基で置き換えられたフルオレン−2,7−ジイルである、
    請求項9に記載の放熱シートの製造方法。
  11. 上記式(1−1)中、Zは、単結合、−(CH−、−O(CH−、−(CHO−、−O(CHO−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−OCF−、または−CFO−であり、該aは1〜20の整数である、
    請求項10に記載の放熱シートの製造方法。
  12. 前記無機フィラーは、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、および窒化珪素から選ばれる少なくとも一つである、
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の放熱シートの製造方法。
  13. 前記硬化剤は、下記式(3−1)で表される少なくとも1種のジアミン化合物である、
    請求項1〜12のいずれか一項に記載の放熱シートの製造方法。
    N−Z−(A−Z)m2−NH ・・・(3−1)
    [上記式(3−1)中、
    Aは、1,4−シクロヘキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環の任意の水素は、ハロゲン、または炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよく;
    Zは、それぞれ単結合、または炭素数1〜10のアルキレンであり;
    m2は1〜7の整数である。]
  14. 前記無機フィラーは、シランカップリング剤により処理されたフィラー、または、シランカップリング処理された後、前記重合性化合物により表面修飾されたフィラーである、
    請求項1〜13のいずれか一項に記載の放熱シートの製造方法。
  15. オキシラニル基またはオキセタニル基を含む構造を両末端に有する重合性液晶化合物と;
    前記重合性液晶化合物を硬化させる硬化剤と;
    窒化物で形成された無機フィラーと;を含む組成物をから形成された放熱シートであって、
    前記無機フィラーは、第1の無機フィラーと、前記第1の無機フィラーより粒径の小さい第2の無機フィラーとを含み、
    前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーとの混合比率は、フィラー間の空間率が最小の時の充填率を100%とすると、前記充填率が70%以上となる比率であり、
    前記第1の無機フィラーは、針状または板状の粒子が凝集した二次粒子であり、
    前記放熱シートの厚さは、200〜1000μmであり、
    前記放熱シートの厚さ方向の熱伝導率は、20W/mKを超える、
    放熱シート。
  16. 請求項15に記載の放熱シートと;
    前記放熱シートの少なくとも片面に積層された金属板と;を備える、
    基板。
  17. 絶縁基板となる請求項15に記載の放熱シートと、前記放熱シート上に形成された導体回路とを有するパワー半導体用基板と;
    前記パワー半導体用基板上に配置され、前記導体回路に電気的に接続されたパワー半導体チップと;を備え、
    前記無機フィラーは、窒化ホウ素である、
    パワー半導体モジュール。
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