JPWO2018025676A1 - 不織布シート - Google Patents

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Abstract

清浄性能に優れた不織布シートの提供を課題とする。エアレイド法により形成されたウェブ層を含む不織布シートであって、不織布シートは、水分と接触した際に酸性を呈する粉末を含み、かつ、吸水性材料を主体としてなる、不織布シートを提供する。

Description

本発明は、不織布シートに関し、特に、水と接触した際に酸性を呈する材料を配合した不織布シートに関する。本発明の不織布シートは、清浄用途、特に、清掃時の拭き取り、皮膚清浄のための拭き取り、家庭用ワイパー、および産業用ワイパーなどの拭き取り用途や、清浄対象物に貼付して用いることなどに適しており、清浄用品、雑貨等の分野において好適に使用されることができる。
水に濡らすことで酸性を呈する材料を含むシートは従来知られている。例えば、特許文献1は、有機酸粉末と熱接着性繊維と任意選択的にセルロース系パルプとが配合されたエアレイド法により形成されたウェブ層を内部層として含み、水に濡らすと酸性を示す、清浄用シートを開示している。
特許第5413884号
特許文献1の清浄用シートは、熱融着性繊維を必須の構成要素とするため、全体としてある程度の剛性を有し、曲面部分や角部分を有する清浄対象物に適用される際に、清浄対象面の全面に密着するように配置されることが困難である場合があると考えられる。
また、水に濡らすことで酸性を呈する材料を含むシートにおいて、水に濡らしてから時間が経過すると、酸性を呈する材料の化学反応やシートからの流出等により、シートが所望のpHを示さなくなるときが来る。そうすると、使用者がシートを使い続けた際に、所望の拭き取り清浄効果が得られなくなる。
本発明の目的は、清浄性能に優れた不織布シートを提供することにある。本発明のさらなる目的は、使用に好適な時期を容易に認識可能な不織布シートを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、以下の態様を有する。
1. エアレイド法により形成されたウェブ層を含む不織布シートであって、前記不織布シートは、水分と接触した際に酸性を呈する粉末を含み、前記ウェブ層は、吸水性材料を主体としてなる、不織布シート。
2. 前記粉末は、前記ウェブ層に含まれる、1.に記載の不織布シート。
3. 前記粉末は、前記ウェブ層の厚さ方向において前記ウェブ層の一方の面側に偏在している、2.に記載の不織布シート。
4. 前記粉末は、前記ウェブ層の厚さ方向において一様に分布している、2.に記載の不織布シート。
5. 前記粉末は、前記ウェブ層に層状に積層されている、1.に記載の不織布シート。
6. 前記ウェブ層は、吸水性繊維を主体としてなる、1.から5.のいずれかに記載の不織布シート。
7. 前記不織布シートは、粒径1μm以上1000μm以下の粒子状の熱融着性樹脂を含む、1.から6.のいずれかに記載の不織布シート。
8. 前記ウェブ層は、繊度1dtex以上120dtex以下、平均繊維長1mm以上100mm以下の繊維状の熱融着性樹脂を含む、1.から7.のいずれかに記載の不織布シート。
9. 前記不織布シートは、前記ウェブ層に隣接する通水性または吸水性シートを含む、1.から8.のいずれかに記載の不織布シート。
10. 前記不織布シートは、前記ウェブ層に接して層状に配置されている前記粉末に隣接する通水性または吸水性シートを含む、5.に記載の不織布シート。
11. 前記不織布シートの一方の面にフィルムからなるフィルム層が設けられた、1.から9.のいずれかに記載の不織布シート。
12. 前記不織布シートは、水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末を含むアルカリ性層をさらに含む、1.から11.のいずれかに記載の不織布シート。
13. 前記ウェブ層は、前記吸水性材料を、前記ウェブ層の質量を基準として60質量%を超える量で含む、請求項1から12のいずれかに記載の不織布シート。
14. 前記不織布シートは、pH指示薬と、担体と、を前記粉末と同一層に含有し、
前記pH指示薬は、第四級アンモニウム塩によって前記担体に固定されていることを特徴とする、1.から13.のいずれかに記載の不織布シート。
15. 結合剤をさらに含み、前記pH指示薬は、前記第四級アンモニウム塩と、前記結合剤と、によって前記担体に固定されていることを特徴とする、14.に記載の不織布シート。
16. 前記同一層は、繊維を含み、前記繊維によって形成される空隙に、前記pH指示薬が固定された前記担体と、前記粉末と、が保持されていることを特徴とする、14.または15.に記載の不織布シート。
17. 前記同一層は、熱融着性樹脂を含み、前記pH指示薬が固定された前記担体の一部は、当該熱融着性樹脂で被覆された状態で固定されていることを特徴とする、14.から16.のいずれかに記載の不織布シート。
18. 前記同一層に隣接する隣接層は、熱融着性樹脂を含み、前記同一層中に存在する前記pH指示薬を固定した担体の一部が当該熱融着性樹脂で被覆された状態で固定されていることを特徴とする、14.から17.のいずれかに記載の不織布シート。
19. 前記第四級アンモニウム塩は、塩化ベンジルコニウム、塩化セチルピリジウム、塩化ベンゼトニウム、およびジデシルジメチルアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、14.から18.のいずれかに記載の不織布シート。
20. 前記pH指示薬を固定する担体は、セルロースおよび/またはセルロース誘導体であることを特徴とする、14.から19.のいずれかに記載の不織布シート。
21. 前記結合剤は、非水溶性高分子化合物であることを特徴とする、15.から20,のいずれかに記載の不織布シート。
22. 14.から21.のいずれかに記載の不織布シートの製造方法であって、
前記pH指示薬と前記第四級アンモニウム塩とを非水系の有機溶剤中に溶解する工程と、
前記工程により得られた溶液を、前記担体に付与する工程と、
を含むことを特徴とする、不織布シートの製造方法。
23. 前記担体をシート化する工程をさらに含み、
前記付与する工程は、前記シート化する工程の前に行われることを特徴とする、22.に記載の製造方法。
24. 前記担体をシート化する工程をさらに含み、
前記付与する工程は、前記シート化する工程の後に行われることを特徴とする、22.に記載の製造方法。
本発明の態様の、水分と接触した際に酸性を呈する粉末を含む不織布シートは、エアレイド法により形成されたウェブ層を含む不織布シートであって、前記ウェブ層は吸水性材料を主体としてなる。すなわち、前記ウェブ層は、前記吸水性材料を、前記ウェブ層の質量を基準として60質量%を超える量で含む。本発明の不織布シートは、ウェブ層が吸水性材料を主体としてなるため、水を含ませた際に、多量の水を保持することができ、清浄対象物の清浄対象面に沿って変形しやすく、また、清浄対象面への貼り付き性が良好である。これにより、本発明の不織布シートは、清浄対象面に対して酸性成分を含む水を効果的に適用することができ、優れた清浄性能を示す。かかる効果は、ウェブ層における吸水性材料の含有率が高い程、高い傾向にある。
また、本発明の別の態様の、水分と接触した際に酸性を呈する粉末(以下、「酸性粉末」ともいう)を含む不織布シートは、担体に固定された形態のpH指示薬をさらに含む。かかる不織布シートに水が付与されると、前記酸性粉末が前記水と接触して酸性を呈す。このとき、前記pH指示薬は水素イオン濃度の変化に応じて呈色(発色)または変色し、それにより不織布シートの色を変化させる。使用者は、不織布シートが所望のpHを呈していること、およびその後、不織布シートが所望のpHを呈さなくなったことを、不織布シートの色変化により視覚によって認識することができる。したがって、使用者は、不織布シートが所望のpHを呈している最中(つまり、使用に好適な時期)に不織布シートを使用することができ、また、不織布シートの使用終了時期を容易に判断することができる。
図1(a)〜(k)は、本発明の第1および第3の態様に係る不織布シートの構成例を示す図である。 図1(a)および(b)は、本発明の第2および第3の態様に係る不織布シートの構成例を示す図である。 図1(a)〜(f)は、本発明の具体的態様に係る不織布シートの構成例を示す図である。 本発明の不織布シートの製造方法において使用可能なウェブ形成装置を示す模式図である。
<不織布シート>
本発明の実施の形態に係る不織布シートは、エアレイド法により形成されたウェブ層を含む不織布シートであって、前記不織布シートは、水分と接触した際に酸性を呈する粉末を含み、前記ウェブ層は、吸水性材料を主体としてなることを特徴とする。本発明の実施の形態において、不織布シートのウェブ層は、ウェブ層全体の質量を基準として、60質量%を超える量、好ましくは65質量%以上の量、より好ましくは70質量%以上の量で、吸水性材料を含む。ウェブ層全体の質量を基準として60質量%を超える量で吸水性材料を含んでいると、不織布シートは、水を含ませた際に含むことのできる水の量が多く、清浄対象物の清浄対象面に沿って変形しやすく、清浄対象面に対する良好な貼り付き性を示す。不織布シートは、熱融着性樹脂を含んでいてもよい。
また、本発明の実施の形態に係る不織布シートは、さらに、pH指示薬と、担体と、を前記粉末と同一層に含有し、前記pH指示薬は、第四級アンモニウム塩によって前記担体に固定されていることを特徴とする。
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態について説明するが、本実施の形態はそれらの実施の態様に限定されない。図中において、同一の符号は同一の構成要素を示す。同一の構成要素に関しては、重複する説明を割愛する場合がある。
[第1の態様]
図1は、本実施の形態の第1および第3の態様に係る不織布シートの構成を限定目的ではなく例示目的で示す図である。図1を参照して、本実施の形態の第1の態様に係る不織布シートの構成および作用効果について説明する。
図1(a)に例示される本実施の形態の第1の態様に係る不織布シート1000は、ウェブ層100からなる単層構成を有する。ウェブ層100は、吸水性材料110(不図示)を主体としてなる。水分と接触した際に酸性を呈する粉末120(不図示)は、ウェブ層100に配合されている。かかるウェブ層100は、例えば、吸水性材料110と、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120と、熱融着性樹脂130(不図示)と、を含むウェブ原料を、エアレイド法によりシート状に堆積させ、熱融着性樹脂130を熱溶融させて各成分を接着させる工程を経て、形成されることができる。本実施の形態の不織布シートの製造工程では、乾式法であるエアレイド法を用いることにより、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120と水との間の反応が防止される。
ウェブ層100において、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120は、一部が熱融着性樹脂130により被覆された状態で固着されている。そのため、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120は、不織布シート1000から粉落ちし難く、また、不織布シート1000の使用時に、粉末120は水分と接触することができる。
本例では、吸水性材料110および熱融着性樹脂130は共に、ウェブ層100を構成するための構成繊維として、繊維状の形態で配合されている。しかしこれに限定されず、本実施の形態においては、熱融着性樹脂は、粒子状の形態で配合されていてもよい。一般に、熱融着性樹脂が粒子状の形態で配合されている場合は、繊維状の形態で配合されている場合と比べて、不織布シートの柔軟性が高く、清浄用途において清浄対象物の形状に応じて変形しやすい。一方、熱融着性樹脂が繊維状の形態で配合されている場合は、不織布シートに剛性が得られ、清浄用途において掻き取り性に優れる傾向にある。また、熱融着性樹脂の配合量が少ないほど、不織布シートの柔軟性は高く、剛性は低くなる傾向にある。したがって、不織布シートにおける熱融着性樹脂の形態ならびに配合量は、目標性能に応じて適宜設定することができる。繊維状の形態の熱融着性樹脂と粒子状の形態の熱融着性樹脂とが併用されていてもよい。
本実施の形態において、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120は、不織布シート1000自体に含まれている。そのため、不織布シート1000の使用者は、洗浄剤を別途自分で配合したり汚れに塗布したりする手間を省くことができる。
本実施の形態において、不織布シート1000のウェブ層100は吸水性材料を主体としてなる。そのため、不織布シート1000に水を付与すると、不織布シート1000は、水を吸収し保持することで、水の流出を防ぐことができるとともに、不織布シート1000は比較的柔軟である。したがって、清浄対象物の清浄対象面(例えば、汚れの付いた面)が角部分や曲面であったとしても、不織布シート1000は、清掃対象物の清掃対象面に沿って密着するように貼り付けておいたり汚れを拭き取ったりすることができる。これにより、酸性を呈する成分を、清浄対象物に対して効果的に適用することができ、汚れを浮かして落ちやすくすることができる。
図1(b)および図1(c)に例示される不織布シート1000(不織布シート1010および1020を総称する)は、ウェブ層100を含む多層構成を有し、また、ウェブ層100は吸水性材料110を主体としてなる。本例では、ウェブ層100の片面または両面を覆って、水分を通す性質(通水性)および/または水分を吸収する性質(吸水性)を有するシートである通水性または吸水性シート300が設けられている。不織布シートが複数の通水性または吸水性シート300を含む場合、これらは必ずしも同一の材料でなくともよい。通水性または吸水性シートを、以下、単に吸水性シートともいう。本例では、ウェブ層100と吸水性シート300の層とは、隣接しており、各層に熱融着性樹脂が含まれている場合の熱融着性樹脂および/または層間に別途付与されたバインダによる熱融着により全面的に接合されている。本実施の形態では、接合は、各層の構成繊維の物理的交絡などの手段により行われていてもよい。また、ウェブ層100と吸水性シート300は、全面的にではなく部分的に接合されていてもよい。
図1(b)および図1(c)の構成によれば、図1(a)に示す構成の不織布シートと同様の効果が得られる。
つまり、本実施の形態において、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120は、不織布シート自体に含まれている。そのため、不織布シートの使用者は、洗浄剤を別途自分で配合したり汚れに塗布したりする手間を省くことができる。
また、本実施の形態において、不織布シートのウェブ層100は吸水性材料を主体としてなる。そのため、不織布シートに水を付与すると、不織布シートは、水を吸収し保持することで、水の流出を防ぐことができる。また、不織布シートは比較的柔軟である。したがって、清浄対象物の清浄対象面(例えば、汚れの付いた面)が角部分や曲面であったとしても、不織布シートは、清掃対象物の清掃対象面に貼り付けておいたり汚れを拭き取ったりすることができる。これにより、酸性を呈する成分を、清浄対象物に対して効果的に適用することができ、汚れを浮かして落ちやすくすることができる。
なお、図1(b)および図1(c)の構成では、ウェブ層100に加えて通水性または吸水性シート300を含む。そのため、不織布シートの柔軟性は、通水性または吸水性シート300の性質および通水性または吸水性シート300が不織布シートにおいて占める割合により影響を受ける。通水性または吸水性シート300自体の柔軟性が高い場合は、これを含む不織布シートは、清浄対象面に沿って貼り付ける用途への適性が高い傾向にある。また、通水性または吸水性シート300自体の剛性が高い場合は、これを含む不織布シートは、清浄時に汚れを掻き取る用途への適性が高い傾向にある。また、通水性または吸水性シート300の性質の影響は、通水性または吸水性シート300が不織布シートにおいて占める割合が高くなる程大きくなる。
また、図1(b)および図1(c)の構成によれば、上記効果に加えて、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120の、不織布シートからの粉落ちの可能性を、さらに低減させることができる。
図1(d)および図1(e)に示す不織布シート1030、1040は、図1(b)および図1(c)に示す構成のうち、1つの通水性または吸水性シート300を、相対的に通気性の低いフィルム400で置き換えた構成を示す。不織布シート1030、1040の各ウェブ層100は、吸水性材料110を主体としてなる。片面に通気性の低いフィルム400を有する構成では、図1(b)および図1(c)に示す構成と同様の効果に加え、使用時に生成される酸性成分を含む水のフィルム配置側の面からの流出や水の蒸発が防止されるという効果を奏することができる。また、フィルムの貼合により、不織布シートに強度が得られて扱いやすくなる。
以上、図1(a)から(e)を用いて本発明の第1の態様に係る不織布シート1000を説明した。不織布シート1000において、ウェブ層100は吸水性材料110を主体としてなる。この構成において、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120は、ウェブ層100の層内で吸水性材料110の存在により層の厚み方向に一様に分布するように分散してまたはウェブ層100の一方の面側に偏在して存在することができる。さらに、吸水性材料110は、水分を吸収して保持することができる。そのため、不織布シート1000の使用時において、粉末120と水分との間の反応によって生成された酸性成分を、ある程度の時間にわたって不織布シートに留めておくことができ、良好な洗浄性が得られる。
また、ウェブ層100において、特に吸水性材料110が繊維状である場合、粉末120は、吸水性材料110の存在により層内に維持されやすくなる。また、不織布シート1000は、ウェブ層100に吸水性材料110が含まれることにより、形状維持がされやすくなる。そのため、不織布シート1000の製造時、保管時および使用時において、粉末120の歩留まりを向上させることができると共に、不織布シート1000が例えば折り畳まれるなどの変形を受けた場合でも、粉落ちを防止することができる。したがって、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120のロスが防止され、コスト削減に繋がる。また、吸水性材料自体の選択によっても、コスト削減を図ることができる。
以上、図1(a)から(e)を用いて本発明の第1の態様に係る不織布シートの構成を説明した。しかしながらこれらは例示であり、これ以外の構成や各構成の組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。
図1(f)から図1(k)に、本発明の第1の態様に係る不織布シート1000の変形例を例示目的で非限定的に示す。図1(f)から図1(k)に示す不織布シートは、吸水性材料110を主体とし水分と接触した際に酸性を呈する粉末120を含むウェブ層100に加えて、水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末を含むアルカリ性層200をさらに備える。
この構成による本発明の不織布シートは、使用時に、不織布シートの両面のうちのウェブ層100側の面を水で湿らせることによって、ウェブ層100に含まれる、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120は水分と接触し、酸性を呈する。また、使用時に、不織布シートの両面のうちのアルカリ性層200側の面を水で湿らせることによって、アルカリ性層200に含まれる、水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末は水分と接触し、アルカリ性を呈する。
一般に、水あか、さび、石けんカス、電気ポットの内部の汚れ、尿石、タバコの臭い、タバコのヤニなどは、アルカリ性の汚れとして知られている。また、油汚れ、手あか、湯あか、生ゴミの臭い、魚グリルの焦げつきなどは、酸性の汚れとして知られている。アルカリ性の汚れは酸性で中和し、酸性の汚れはアルカリ性で中和させると、洗浄効果が高いことも知られている。
アルカリ性の汚れに対しては不織布シートのウェブ層100側の面を、酸性の汚れに対しては不織布シートのアルカリ性層200側の面を、選択的に使用することで、アルカリ性の汚れおよび酸性の汚れの両方に対して、良好な洗浄性が得られる。
このような使用法においては、使用中における不織布シート内での自己中和反応、すなわち、ウェブ層100中の酸性成分とアルカリ性層200中のアルカリ性成分との反応が生じにくいことが好ましい。そのため、ウェブ層100およびアルカリ性層200の層厚が厚い構成や、図1(g)、図1(h)、図1(j)のように、ウェブ層100とアルカリ性層200との間に別の層を含む構成が、好ましい。また、使用時に、不織布シートの片側にのみ少量の水が接するように水を付与することによって、自己中和反応を低減させることができる。
あるいはまた、別の使用法として、使用中における不織布シート内での自己中和反応を利用する方法がある。具体的には、水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末として炭酸塩および/または重炭酸塩を用いると、使用時に不織布シートに水を含ませることによって、ウェブ層100およびアルカリ性層200の両成分が反応して炭酸ガスが発生し、清浄対象物に適用した際に汚れを浮かせる効果が高まる。
[第2の態様]
図2は、本実施の形態の第2および第3の態様に係る不織布シート2000の構成を限定目的ではなく例示目的で示す図である。図2を参照して、本実施の形態の第2の態様に係る不織布シートの構成および作用効果について説明する。
図2(a)および(b)に例示される本実施の形態の第2の態様に係る不織布シート2010、2020は、ウェブ層100と、ウェブ層100の1つの面に層状に積層された、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120と、を含む。つまり、第1の態様に係る不織布シート1000においては、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120はウェブ層100に含まれていたが、第2の態様に係る不織布シート2000(不織布シート2010および2020を総称する)においては、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120は、ウェブ層100に接して配置されている。ウェブ層100は、吸水性材料110を主体としてなり、ウェブ層全体の質量を基準として60質量%を超える量で吸水性材料110を含む。
かかるウェブ層100と粉末120との積層構成は、例えば、吸水性材料110と、熱融着性樹脂130と、を含むウェブ原料を、エアレイド法によりシート状に堆積させてウェブ層を形成し、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120と、粒子状の熱融着性樹脂と、の混合物をその上にさらに堆積させて、熱融着性樹脂を熱溶融させる工程を経て、形成されることができる。本実施の形態の不織布シートは、製造工程において、乾式法を用いることにより、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120と水との間の反応が防止される。ウェブ層100の一面に積層された、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120の層を、以下単に粒子層ともいう。
第2の態様の不織布シート2000においても、第1の態様の不織布シート1000と同様の効果が得られる。つまり、本実施の形態において、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120は、不織布シート2000自体に含まれている。そのため、不織布シート2000の使用者は、洗浄剤を別途自分で配合したり汚れに塗布したりする手間を省くことができる。また、本実施の形態において、不織布シート2000のウェブ層100は吸水性材料を主体としてなる。そのため、不織布シート2000に水を付与すると、不織布シート2000は、水を吸収し保持することで、水の流出を防ぐことができるとともに、不織布シート2000は比較的柔軟である。したがって、清浄対象物の清浄対象面(例えば、汚れの付いた面)が角部分や曲面であったとしても、不織布シート2000は、清掃対象物の清掃対象面に貼り付けておいたり汚れを拭き取ったりすることができる。これにより、酸性を呈する成分を、清浄対象物に対して効果的に適用することができ、汚れを浮かして落ちやすくすることができる。
また、第2の態様の不織布シート2000においても、ウェブ層100と、ウェブ層100の1つの面に層状に積層された、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120と、に加えて、水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末を含むアルカリ性層200をさらに備える構成をとることができる。
この変形例の構成による本実施の形態の不織布シートは、アルカリ性の汚れに対しては不織布シートのウェブ層100側の面を、酸性の汚れに対しては不織布シートのアルカリ性層200側の面を、選択的に使用することで、アルカリ性の汚れおよび酸性の汚れの両方に対して、良好な洗浄性が得られる。この使用方法においては、使用中における不織布シート内での自己中和反応、すなわち、酸性成分とアルカリ性成分との反応が生じないことが好ましい。そのためには、アルカリ性層200は、ウェブ層100の両面のうち、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120が積層された面とは反対側の面の側に設けられることが好ましい。
あるいはまた、別の使用法として、使用中における不織布シート内での自己中和反応を利用する方法がある。具体的には、水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末として炭酸塩および/または重炭酸塩を用いると、使用時に不織布シートに水を含ませることによって、酸性およびアルカリ性の両成分が反応して炭酸ガスが発生し、清浄対象物に適用した際に汚れを浮かせる効果が高まる。
[第3の態様]
再び図1および図2を参照して、本実施の形態の第3の態様の不織布シート(不織布)の構成について説明する。図中において、同一の符号は同一の構成要素を示す。同一の構成要素に関しては、重複する説明を省略する場合がある。
第3の態様に係る不織布シートは、図1および図2を用いて説明した第1の態様および第2の態様の構成に対して、pH指示薬と担体とをさらに含む構成を有する。pH指示薬および担体は、水分と接触した際に酸性を呈する粉末(酸性粉末)120を含有する層(酸性粉末含有層)と同一層に含有される。
図1(a)〜(k)に示される構成例においては、上述のとおり、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120はウェブ層100に含まれているので、ウェブ層100が酸性粉末含有層となる。また、図2(a)および図2(b)に示される構成例においては、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120は、ウェブ層100と接する粒子層に含まれているので、この粒子層が酸性粉末含有層となる。酸性粉末含有層に、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120と、pH指示薬と、担体とが、含まれる。pH指示薬は、担体に固定された形態で配合される。
以下、本明細書において、「不織布シートにpH指示薬が含まれている」構成について言及する際には、特段の記載がない限り、「pH指示薬は担体に固定された形態で含まれている」構成を意図しているものとする。「pH指示薬は担体に固定された形態で含まれている」というとき、不織布シートに配合されたpH指示薬は、その全量が担体に固定されていてもよいのはもちろんであるが、必ずしも全量が担体に固定されていなくてもよい。つまり、不織布シートには、担体に固定されていないpH指示薬が含まれていてもよい。水分と接触した際に酸性を呈する粉末およびpH指示薬は、それぞれ一種類が含まれていることができ、また、これに限定されず、不織布シートの同一層および/または異なる層に複数種類が含まれていることができる。
図1(f)〜(k)に示されるように、不織布シートが、水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末を含むアルカリ性層(以下、「アルカリ性粉末含有層」ともいう)200を有する構成において、pH指示薬は、アルカリ性粉末含有層にも配合されていることができる。アルカリ性粉末含有層においても、pH指示薬は、担体に固定された形態で配合されていることが望ましい。
pH指示薬が担体に固定された形態で含まれていることにより、pH指示薬を不織布シートの所望の層に配合しやすくなり、また、使用時におけるpH指示薬の不織布シートからの流出等が防止される。
本実施の形態に係る不織布シートは、その酸性粉末含有層に含まれるpH指示薬(および存在する場合はアルカリ性粉末含有層に含まれるpH指示薬)によりもたらされるシートの色変化により、シートが呈しているpH、特には所望のpHが呈されている最中であるか否かのステータスが視覚により認識される。
酸性粉末含有層(および存在する場合はアルカリ性粉末含有層)と同一層にpH指示薬が配合されることにより、不織布シートが水分と接触した際のpH変化に素早く応答して呈色または変色することができる。
色変化の容易な認識のため、本発明の実施の形態に係る不織布シートは、酸性粉末含有層および/またはアルカリ性粉末含有層(存在する場合)が最外層である構成、または、最外層が酸性粉末含有層以外の他の層であっても、他の層を介して外部から酸性粉末含有層の色を視認可能な構成を有する。例えば、他の層は、メッシュ構造や穴あき構造であったり、厚さが薄かったり材料が半透明または透明であったりして、下層が透けて見えるものであってもよい。
酸性粉末含有層および/またはアルカリ性粉末含有層には、pH指示薬および酸性粉末および/またはアルカリ性粉末に加えて、繊維、熱融着性樹脂、および効果促進剤などが含まれていてもよい。繊維、熱融着性樹脂、および効果促進剤は、それぞれ、一種類であっても複数種類であってもよい。
不織布シートからpH指示薬および酸性粉末および/またはアルカリ性粉末が粉落ちしないための構成の例として、以下に示すような具体的態様を説明する。以下、酸性粉末および/またはアルカリ性粉末を包括的に「機能性物質」とも記載する。また、酸性粉末含有層および/またはアルカリ性粉末含有層を包括的に「機能性物質含有層」とも記載する。
(第1の具体的態様)
図3(a)は、機能性物質含有層が繊維Fを含む例である。繊維Fを含む機能性物質含有層160において、機能性物質Dは、繊維Fによって形成される空隙、すなわち繊維Fが構成する繊維構造物中の空隙に保持されることによって、粉落ちが防止されている。pH指示薬Iは、繊維Fを担体とし、これに固定されることによって不織布シートに保持されていることができる。あるいはまた、pH指示薬Iは、繊維Fとは別の材料を担体とし、それに固定された形態で、機能性物質Dと同様に、繊維Fが構成する繊維構造物中の空隙に保持されることができる。あるいはまた、その両方であってもよい。担体の詳細については後述する。
繊維を含む機能性物質含有層160には、pH指示薬I、機能性物質D、および繊維Fのみが含まれていることができる。また、繊維を含む機能性物質含有層160には、pH指示薬I、機能性物質D、および繊維Fに加えて、熱融着性樹脂、および効果促進剤などが含まれていてもよい。また、繊維F自体が、熱融着性樹脂であってもよい。
(第2の具体的態様)
図3(b)は、機能性物質含有層が熱融着性樹脂Aを含む例である。熱融着性樹脂を含む機能性物質含有層140は、pH指示薬Iと、機能性物質Dと、熱融着性樹脂Aと、を含む混合物中の熱融着性樹脂Aを溶融することにより得られたものである。この例では、機能性物質含有層中の、pH指示薬Iおよび機能性物質Dは、一部が前記熱融着性樹脂Aで被覆された状態で固定(結着または固着ともいう)される。
熱融着性樹脂を含む機能性物質含有層140において、pH指示薬Iおよび機能性物質Dは、溶融した熱融着性樹脂Aが固化する際に、一部が被覆された状態で固着されることによって、粉落ちが防止されている。また、熱融着性樹脂Aは、pH指示薬Iおよび機能性物質Dの全体を被覆しないような量で配合されており、pH指示薬Iおよび機能性物質Dは、熱融着性樹脂Aによって被覆されていない部分を有し、シート使用時における水との接触および溶出が保証されている。
熱融着性樹脂を含む機能性物質含有層140には、pH指示薬I、機能性物質D、および熱融着性樹脂Aのみが含まれていることができる。また、熱融着性樹脂を含む機能性物質含有層140には、pH指示薬I、機能性物質D、および熱融着性樹脂Aに加えて、繊維、および効果促進剤などが含有されていてもよい。また、熱融着性樹脂自体が、繊維状であってもよい。
(第3の具体的態様)
図3(c)は、機能性物質含有層に隣接する層が熱融着性樹脂Bを含む例である。機能性物質含有層150に隣接する、熱融着性樹脂Bを含む層200は、機能性物質含有層150の表面に熱融着性樹脂Bを配置して熱により熱融着性樹脂Bを溶融することにより得られたものである。この例では、機能性物質含有層150中の、pH指示薬Iおよび機能性物質Dは、その一部が前記熱融着性樹脂Bで被覆された状態で固定されている。なお、層140に含まれる熱融着性樹脂Aと、層200に含まれる熱融着性樹脂Bとは、同じで樹脂であっても異なる樹脂であってもよい。
機能性物質含有層150に含まれる機能性物質Dは、これに隣接する熱融着性樹脂Bを含む層200において溶融した熱融着性樹脂Bが固化する際に、一部が被覆されて固着されることによって、粉落ちが防止されている。また、機能性物質Dは、熱融着性樹脂Bによって被覆されていない部分を有し、シート使用時における水との接触および溶出が保証されている。
熱融着性樹脂Bを含む層200には、熱融着性樹脂Bのみが含まれていることができる。また、熱融着性樹脂Bを含む層200には、熱融着性樹脂Bに加えて、繊維、および効果促進剤などが含まれていてもよい。これら他の成分が含まれる場合は、熱融着性樹脂Bを含む層200は、機能性物質含有層150の表面に熱融着性樹脂Bとこれら他の成分との混合物を配置して熱により熱融着性樹脂Bを溶融することにより得ることができる。
図3(c)に示す例の不織布シートは、詳細には、熱融着性樹脂Bを含む層200と、pH指示薬Iおよび機能性物質Dからなる機能性物質含有層150と、pH指示薬I、機能性物質D、および熱融着性樹脂Aを含む機能性物質含有層140と、からなる3層構造を有する。この例の場合、機能性物質含有層140もまた、中間層として位置付けられた機能性物質含有層150に含まれるpH指示薬Iおよび機能性物質の粉落ち防止に寄与し得る。
ここでは、pH指示薬Iおよび機能性物質Dからなる機能性物質含有層150と、pH指示薬Iおよび機能性物質Dに加えてさらに熱融着性樹脂Aを含む機能性物質含有層140と、を別々の層として図示および説明したが、この2つの層が一体的に構成されていて、構成材料である、pH指示薬I、機能性物質、および熱融着性樹脂Aが、厚さ方向において偏在している1層の機能性物質含有層140を成している構成も、本態様に含まれる。本態様によれば、特に、機能性物質含有層140の1つの表面側に粉末状の材料が偏在している場合に、その表面に隣接して層200を配置することで、粉落ちを有効に防止することができる。
また、層150および層140の両方に、pH指示薬Iと機能性物質Dとが含まれるものとして図示および説明したが、pH指示薬Iは、層150および層140のうちのどちらか一方にのみ含まれていてもよい。不織布シートの色変化の視認性の観点から、pH指示薬Iは、不織布シートの、より外面側に含まれていることが好ましい。
本態様において、熱融着性樹脂Bを含む層200は、機能性物質含有層の両面に設けられていてもよい。すなわち、例えば、熱融着性樹脂Bを含む層200と、機能性物質含有層と、熱融着性樹脂Bを含む層200と、をこの順で含む構成(不図示)は、本態様の範囲である。
本態様において、不織布シートは、例えば表面改質や強度(剛性)付与等の機能性付与の目的で、機能性物質含有層および熱融着性樹脂Bを含む層200の積層体の外面のうちの片面または両面に他の層350が積層された多層構造(不図示)を有していてもよい。その場合、他の層350には、不織布シートの色変化の視認を妨げないような構成が採用される。
(第4の態様)
上述の本発明の実施の形態に係る不織布シートは、ヒートシール加工によって形成されていてもよい。1つの例として、図3(d)は、機能性物質含有層150の両面に熱融着性樹脂を含む他の層350が積層され、四辺がヒートシールされた構成を示す。他の層350の少なくとも一方は、他の層350を介して機能性物質含有層150の色を認識可能な構成を有する。
(第5の態様)
図3(e)は、機能性物質含有層150に隣接して接着層が設けられている例である。機能性物質含有層に隣接する接着層500は、機能性物質含有層の表面に接着層を配置することにより得られたものである。接着層としては、機能性物質含有層150に含まれるpH指示薬Iおよび機能性物質Dの粉落ちが防止されるように粘着機能を示す層であれば特に限定されないが、例えば、ホットメルト接着剤等が挙げられる。
詳細には、図3(e)に示す例の不織布シートは、機能性物質含有層150と他の層350との間に、例えば熱可塑性樹脂のようなホットメルト接着剤からなる接着層500を介在させて、ホットメルト加工により層間接着された構成を有する。
より詳細には、図3(e)に示す例の不織布シートは、機能性物質含有層150の、接着層500とは反対側の面に、pH指示薬Iおよび熱融着性樹脂Aを含む機能性物質含有層140を有する。図3(e)に示す例の不織布シートにおいても、図3(c)に示す例の場合と同様に、熱融着性樹脂Aを含む機能性物質含有層140は、中間層として位置付けられた機能性物質含有層150に含まれるpH指示薬Iおよび機能性物質の粉落ち防止に寄与し得る。また、ここでは機能性物質含有層150と、pH指示薬Iおよび熱融着性樹脂Aを含む機能性物質含有層140とを別々の層として図示および説明したが、この2つの層が一体的に構成されていて、構成材料であるpH指示薬I、機能性物質および熱融着性樹脂Aが厚さ方向において偏在している1層の機能性物質含有層140を成している構成も、本態様に含まれる。本態様によれば、特に、機能性物質含有層140の1つの表面側に粉末状の材料が偏在している場合に、その表面に隣接して層500を配置することで、粉落ちを有効に防止することができる。
また、pH指示薬Iおよび機能性物質Dは、最外層である層140と、それよりも内側の層である層150と、の両方の層に含まれるものとして図示および説明したが、pH指示薬Iは、そのうちのどちらか一方にのみ含まれていてもよい。不織布シートの色変化の視認性の観点から、pH指示薬Iは、不織布シートの、より外面側に含まれていることが好ましい。
(第6の態様)
上述の本発明の実施の形態に係る機能性物質含有シートは、エンボス加工によって形成されていてもよい。1つの例として、図3(f)は、熱融着性樹脂Aを含む機能性物質含有層140の両面に他の層350が積層され、エンボス加工により層間接着された構成を示す。他の層350の少なくとも一方は、他の層350を介して機能性物質含有層140の色を認識可能な構成を有する。
以上、図3(a)から(f)を用いて本発明の不織布シートの構成を説明した。しかしながらこれらは例示であり、これ以外の構成、例えば例示した各態様の組み合わせも本発明の範囲に含まれる。例えば、図中で機能性物質含有層150として示した層は、繊維Fを含む機能性物質含有層160、または熱融着性樹脂Aを含む機能性物質含有層140であってもよく、あるいは、繊維Fおよび熱融着性樹脂Aの両方を含む層であってもよい。同様に、これらの層間で層を置き換えた構成は、本発明の範囲に含まれる。
以下、本実施の形態の不織布シートの各構成要素および成分について詳細に説明する。
(ウェブ層)
本実施の形態の不織布シートは、エアレイド法により形成されたウェブ層を含む。本実施の形態において、ウェブ層100は、吸水性材料110を主体としてなり、ウェブ層全体の質量を基準として、60質量%を超える量、好ましくは65質量%以上の量、より好ましくは70質量%以上の量で、吸水性材料110を含む。
(吸水性材料)
本実施の形態の不織布シートは、吸水性材料を主体としてなる。吸水性材料としては、パルプ、麻、綿、絹、羊毛、鉱物繊維等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリ乳酸、ナイロン等の合成繊維のような繊維状の吸水性材料(吸水性繊維)を用いることができる。吸水性繊維は、例えば解繊チョップドファイバーの形態で用いることができる。吸水性繊維の平均繊維長は1〜100mmであることが好ましく、1〜60mmであることがより好ましく、2〜30mmであることがさらに好ましい。また、吸水性繊維の繊度は1dtex〜120dtexであることが好ましく、1dtex〜85dtexであることがより好ましい。また、吸水性繊維の平均繊維長および繊度が前記範囲であると、ウェブ層の形成が容易であり、均一な分散状態を得やすい。吸水性材料は、2種以上を併用しても構わない。吸水性材料として、吸水性樹脂粒子等の粒子状の吸水性材料(吸水性樹脂粒子)を助剤に用いることもできる。吸水性樹脂粒子の例としては、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールや高分子吸収体(SAP)などが挙げられる。粒子状の吸水性材料の平均粒径は、1〜1000μmであることが好ましく、10〜800μmであることがより好ましい。粒子状の吸水性材料の平均粒径が前記範囲であると、均一な分散状態を得やすい。
本実施の形態の不織布シートのウェブ層は、吸水性材料を主体としてなり、好ましくは、吸水性繊維を主体としてなる。水分と接触した際に酸性を呈する粉末は、吸水性材料の存在により、ウェブ層内で分散してまたは偏在して存在することができる。
また、本実施の形態の吸水性材料は、不織布シートの使用時に、水、および水に溶解した前記粉末の成分(酸性成分)と接触してこれらを吸収し、保持する一方で、徐放することができる。そのため、不織布シートの使用時において、水と間の反応により生成された酸性成分は、清浄対象物の清浄対象面に対して、ある程度の長時間にわたって持続的に適用されることができる。
(水分と接触した際に酸性を呈する粉末)
本実施の形態の不織布シートは、水分と接触した際に酸性を呈する粉末を含む。水分と接触した際に酸性を呈する粉末としては、化粧料で使用できるグレードの酸であれば特段の限定無く使用でき、人体等に触れず環境に対して影響のない用途で使用する場合は、特段グレードを規定しない。例えば、マロン酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、ヒアルロン酸、リン酸二水素ナトリウムもしくはその誘導体、加水分解されて酸を生じる物質等を用いることができる。酸は2種以上を併用しても構わない。酸は、固体状の組成物であり、例えば粒子の形態であることが好ましい。以下、本明細書において、水分と接触した際に酸性を呈する粉末を、単に、酸粒子ともいう。また、酸は結晶水として水を含んでいてもよい。結晶水を含むと水への溶解度が高くなり、反応性が向上する。ただし、保存安定性の観点から、酸性層は、加水分解や炭酸塩および/または重炭酸塩との反応が開始される等、変質の原因となる水分を含まないことが好ましい。
本実施の形態に使用する酸としては、平均粒子径5〜5000μmの粒子が好ましい。平均粒子径5〜5000μmであれば、粒子の脱落が少なく、適度な粒状感により、良好な使用感が得られる。平均粒子径を小さくすると溶解速度が速くなり、水に濡らしてすぐに反応が進む。そのため、本実施の形態の態様のうち、炭酸塩および/または重炭酸塩を含む層を備える構成において、使用時に水を含ませた際のCO2ガスの初期発生量が多くなる。また、不織布シートの使用感に影響を与え得る粒状感を低減することができる。一方、平均粒子径を大きくすると、水と接触した際、溶解が徐々に進む。そのため、本実施の形態の態様のうち、炭酸塩および/または重炭酸塩を含む層を備える構成において、使用時に水を含ませた際に炭酸ガス発生の持続時間を延長する効果がある。また、平均粒子径を大きくすることで粒子脱落を少なくする効果がある。
本実施の形態の第1の態様に係る不織布シートにおいて、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120は、ウェブ層100中に配合される。また、本実施の形態の第2の態様に係る不織布シートにおいて、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120は、ウェブ層100に接して配置される。本実施の形態において、水分と接触した際に酸性を呈する粉末は、ウェブ層中に配合されるとともにウェブ層に接して配置されることもできる。ウェブ層100に接して配置される、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120の層を、以下単に粒子層ともいう。
第1の形態に係る不織布シートにおいて、ウェブ層は、吸水性材料、および水分と接触した際に酸性を呈する粉末120の粒子に加えて、熱融着性樹脂をさらに含有していてもよい。この場合、水分と接触した際に酸性を呈する粉末の粒子、および吸水性材料は、ウェブ層中で、その一部が熱融着性樹脂により被覆された状態で固定されることができる。そのようなウェブ層は、例えば、ウェブ形成装置のキャリアシートや、不織布シートを構成する他の層(例えば、通水性または吸水性シート)の表面に、吸水性材料と、水分と接触した際に酸性を呈する粉末の粒子と、熱融着性樹脂と、を含む混合物を堆積させて、熱融着性樹脂を熱溶融させて構成成分を接合することにより形成することができる。
(粒子層)
本実施の形態の第2の形態に係る不織布シートにおいて、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120は、ウェブ層100に接して配置された粒子層を構成することができる。粒子層は、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120の粒子に加えて、熱融着性樹脂をさらに含有することができる。この場合、水分と接触した際に酸性を呈する粉末の粒子は、粒子層中で、その一部が熱融着性樹脂により被覆された状態で固定されている。そのような粒子層は、例えばウェブ層など、不織布シートを構成する他の層の表面に、水分と接触した際に酸性を呈する粉末の粒子と熱融着性樹脂とを含む混合物を配置して、熱融着性樹脂を熱溶融させて構成成分を接着することにより形成することができる。
(熱融着性樹脂)
本実施の形態の不織布シートは、熱融着性樹脂を含んでいることができる。熱融着性樹脂は、ウェブ層および/または粒子層に配合されることができ、その際に、層内の構成成分を接合させて各層に強度を提供する構成材料として機能することができる。また、熱融着性樹脂は、不織布シートを構成する各層間に配置されて層間を接着させるバインダの役割を果たすことができる。
例えば、熱融着性樹脂は、水分と接触した際に酸性を呈する粉末(および含まれる場合には、吸水性材料)と均一に混合され、不織布シートを構成する層の1つとして層状に堆積され、加熱されて溶融することにより、粒子層(またはウェブ層)において、水分と接触した際に酸性を呈する粉末(および含まれる場合には、吸水性材料)をその一部を被覆した状態で固定することができる。熱融着性樹脂は、粒子、繊維、その他の任意の形態であることができる。熱融着性樹脂は、層形成工程における水分と接触した際に酸性を呈する粉末(および含まれる場合には、吸水性材料)との均一混合の観点からは、粒子状であることが望ましい。また、熱融着性樹脂は、水分と接触した際に酸性を呈する粉末(および含まれる場合には、吸水性材料)の複数の粒子間(および/または繊維間)を接合する観点からは、繊維状であることが望ましい。熱融着性樹脂は、例えば、ショートカットファイバーの形態であることができる。種々の形状の熱融着性樹脂を併用してもよい。
熱融着性樹脂としては、例えば、融点が95℃〜130℃の低密度ポリエチレン(PE)、融点が120℃〜140℃の高密度ポリエチレン、融点が160℃〜165℃のホモポリマーまたはブロックコポリマーからなるポリプロピレン(PP)、融点が135℃〜150℃のコポリマーからなるポリプロピレン、融点が110〜190℃の低融点ポリエチレンテレフタレート(PET)、融点が100〜130℃の低融点ポリアミド、融点が110℃〜150℃の低融点ポリ乳酸、融点が115℃のポリブチレンサクシネート等が挙げられる。融点が110℃を超える熱可塑性樹脂は、本実施の形態において好ましく使用される。熱融着性樹脂は2種類以上を併用しても構わない。
熱融着性樹脂が繊維状である場合、熱融着性繊維の繊度は1dtex〜120dtexであることが好ましく、1dtex〜85dtexであることがより好ましい。また、熱融着性繊維の平均繊維長は1〜100mmであることが好ましく、1〜60mmであることがより好ましく、2〜30mmであることがさらに好ましい。熱融着性繊維の繊度および平均繊維長が前記範囲であると、ウェブ層の形成が容易であり、均一な結着力や分散状態を得やすい。
熱融着性樹脂が粒子状である場合、熱融着性粒子の平均粒径は、1〜1000μmであることが好ましく、10〜800μmであることがより好ましい。熱融着性樹脂の平均粒子径は使用する水分と接触した際に酸性を呈する粉末を完全に被覆しない範囲で適宜選択することができる。
(熱融着性樹脂の複合体)
上述の熱融着性樹脂は2成分以上の複合体であってもよい。例えば、融点の異なる樹脂を複合化した芯鞘繊維、長手方向に垂直な断面で異なる樹脂を使用したサイドバイサイド繊維、コアとシェルとを有するコアシェル粒子等が挙げられる。これらの中でも、異種の樹脂を容易に複合化できることから、芯鞘繊維が好適に用いられる。
芯鞘繊維としては、芯部分の融点よりも鞘部分の融点が低い芯鞘繊維が好適に用いられる。例えば、ポリプロピレン繊維(融点160℃)からなる芯部分と、該芯部分の外周に形成された、ポリエチレン(融点130℃)からなる鞘部分とを備えたPP/PE複合芯鞘繊維が挙げられる。
また、他の芯鞘繊維としては、例えば、PET/低融点PET複合芯鞘繊維、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン複合芯鞘繊維、ポリエチレン/低融点PET複合芯鞘繊維、ポリアミド/低融点ポリアミド複合芯鞘繊維、ポリ乳酸/低融点ポリ乳酸複合芯鞘繊維、ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート複合芯鞘繊維等が挙げられる。
一般的な芯鞘繊維は鞘部分の融点が110℃を超えるものが多く、そのような芯鞘繊維は本実施の形態において好ましく使用される。
本実施の形態の不織布シートに芯部分の融点よりも鞘部分の融点が低い芯鞘繊維を用いた場合、鞘部分の融点以上であって芯部分の融点よりも低い温度に加熱されると、鞘部分の樹脂は溶融し、芯部分の樹脂は形状を維持する。これにより、鞘部分の溶融した樹脂は、炭酸塩層中に炭酸塩および/または重炭酸塩を保持し、および/または酸性層中に酸を保持するとともに、吸水性材料と芯部分の繊維とにより構成される構造体の構成成分同士を結着する効果を示す。そのため、本実施の形態の不織布シートは、シート内の空隙を確保した上でシート強度を付与し、柔らかで強度に優れたシートを提供することが可能となる。
上述したような2成分以上の複合体は、外部に露出する熱融着性樹脂の存在により、熱融着性を提供することができ、バインダとして機能することができる。したがって、これらの複合体は、本実施の形態において熱融着性樹脂として配合されることができる。
(アルカリ性層)
本実施の形態の範囲に含まれる変形例として、水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末を含む層(アルカリ性層)をさらに備えた構成とすることができる。水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末としては、炭酸塩および/または重炭酸塩のようなアルカリ無機塩を使用することができる。アルカリ無機塩としては、化粧料で使用できるグレードのものであれば特段の限定無く使用でき、人体等に触れず環境に対して問題のない用途で使用する場合は、特段グレードを規定しない。例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、重炭酸カルシウムもしくはその誘導体等を用いることができる。炭酸塩および/または重炭酸塩は2種以上を併用しても構わない。特に、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの一方もしくは両方を好ましく使用することができる。アルカリ無機塩は、固体状の組成物であり、例えば粒子の形態であることが好ましい。アルカリ無機塩は、例えばシリカ等の担持体に担持させた形態であってもよい。また、アルカリ無機塩は結晶水として水を含んでいてもよい。結晶水を含むと水への溶解度が高くなり、反応性が向上する。ただし、保存安定性の観点から、水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末を含む層は、加水分解や酸との反応が開始される等、変質の原因となる水分を含まないことが好ましい。水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末としては、この他に水酸化カルシウムや水酸化ナトリウムなどの金属酸化物や金属水酸化物、リン酸塩やケイ酸塩などを使用することができる。本実施の形態に使用する水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末としては、平均粒子径5〜5000μmの粒子が好ましい。平均粒子径5〜5000μmであれば、粒子の脱落が少なく、適度な粒状感により、良好な使用感が得られる。
アルカリ性層は、アルカリ性粒子に加えて、熱融着性樹脂をさらに含有していてもよい。この場合、アルカリ性粒子は、アルカリ性層中で、その一部が熱融着性樹脂により被覆された状態で固定されている。そのようなアルカリ性層は、例えば、不織布シートを構成する他の層のうちの1つの表面に、アルカリ性粒子と熱融着性樹脂との混合物を配置して、熱により熱融着性樹脂を溶融することにより形成することができる。
また、酸性層は、吸水性材料をさらに含有していてもよい。また、吸水性材料は、繊維状の形態を有していてもよい。この場合、酸性層は、例えばエアレイド法によって形成されることができる。
(効果促進剤)
本実施の形態の不織布シートには、その用途に応じて、1つまたは複数の効果促進剤を配合することができる。
効果促進剤としては、例えば:油性基剤、保湿剤、感触向上剤、界面活性剤、高分子、増粘・ゲル化剤、溶剤、噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、アルカリ、粉体、無機塩、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類およびその誘導体類、消炎剤、抗炎症剤、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、ひきしめ剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素、核酸、香料、色素、着色剤、染料、顔料、金属含有化合物、不飽和単量体、多価アルコール、高分子添加剤、消炎鎮痛剤、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌性物質、抗てんかん剤、冠血管拡張剤、生薬、補助剤、湿潤剤、増粘剤、粘着付与物質、止痒剤、角質軟化剥離剤、油性原料、紫外線遮断剤、防腐殺菌剤、抗酸化物質、液状マトリックス、脂溶性物質、高分子カルボン酸塩、添加剤、金属セッケン等、が挙げられる。
効果促進剤は、ウェブ層に配合することができる。不織布シートがウェブ層とは別の層を有する場合は、ウェブ層および別の層のうちの一方または両方に加えることもできる。
(通水性または吸水性シート)
本実施の形態の通水性または吸水性シート300としては、水分を通す性質(通水性)を有するシート、および水分を吸収する性質(吸水性)を有するシートのうちから任意のシートを用いることができる。水分を通す性質(通水性)を有するシートとしては、水を通しさえすればよく、何ら限定はない。水分を吸収する性質(吸水性)を有するシートとしては、水分を内部に取り込んで保持することができるとともに、内部の水分を放出することができるシートを使用することができる。すなわち、本実施の形態に適用することのできる水分を吸収する性質(吸水性)を有するシートは、水を通す性質(通水性)を有するシートの一種であるといえる。通水性または吸水性シート300は、JISL1907規格に規定される沈降速度の測定方法に準じて測定される吸水速度が60秒以下であり、30秒以下であることがさらに好ましい。もしくは、JISL1907規格に規定される滴下法による吸水(もしくは通水)速度が60秒以下であり、30秒以下であることがさらに好ましい。通水性または吸水性シート300は、吸水性が低いほど水を通す速度が速く、これを用いた不織布シートでは、水分と接触した際に酸性を呈する粉末120と水との間の反応が迅速に進み、酸性成分を含む水を短時間に生成させることができる。また、通水性または吸水性シート300は、吸水性(水分の保持力)が高いほど、酸性成分を含む水を長時間にわたり保持することができる。
通水性または吸水性シート300は、例えば、不織布、布または他のメッシュ構造を有するシートであることができ、例えば、ワリフ(登録商標)などの特殊不織布であることができる。例えば、高い保水性を有する通水性または吸水性シートとして、内部を通る水分または内部に吸収した水分を時間をかけて徐々に放出することが可能な性質を有する任意のシートを用いることができる。また、通水性または吸水性シート300の種類によっては、これが貼合された不織布シートは、湿潤時の強度であるウェット強度が高くなり、拭き取り性能の向上効果が得られる。そのような通水性または吸水性シート300として、例えば、レーヨンスパンレースなどの不織布を、好ましく使用することができる。
表面に使用する通水性または吸水性シートとして、厚手のシートや密度の低いシートを使用することで、不織布シートにウェット強度や掻き取り性能を提供することができる効果がある。一方、薄手のシートや通水性、通気性の高いシートを使用すると、不織布シートの表面からの水分の浸入および生成された酸性成分を含む水の外部への流出が妨げられにくく、酸性成分の即時効果を得やすい。用途や目的に合わせて、通水性または吸水性シートは適宜選択される。
また、意匠性付与や、清掃用品として使用する場合のふき取り性向上を目的として、不織布シートの外層となる通水性または吸水性シートの表面には、凹凸などの表面加工を施してもよい。通水性または吸水性シートは、複数枚が重ねて用いられていてもよい。
(フィルム)
フィルム400としては、不織布シートを使用する際に、清浄対象物の清浄対象面(角部や曲面を含む)に沿って適用することができるような柔軟性を有し、不織布シートの他の層、特に、通水性または吸水性シート300と比べて通気性が相対的に低い、任意のフィルムを用いることができる。
フィルムは、通気性が低いほど、不織布シートの使用時に生成された酸性成分を含む水のフィルム配置側の面からの流出防止および水分の蒸発防止効果は高くなる。そのため、フィルム配置側の面とは反対側の面を清浄対象面等に適用することにより、酸性成分を含む水を適用部位に対して長時間にわたって適用することが可能になるという効果を奏する。例えば、日本工業規格JIS L 1096:2010に規定される「織物及び編物の生地試験方法」によって測定される通気度が、好ましくは200cm3/cm2/s以下、より好ましくは150cm3/cm2/s以下のフィルムを用いることができる。この通気度は、所定の圧力を加えた時の単位面積、単位時間あたりのフィルムを透過する空気量であり、値が大きいほど通気性が高いことを示す。不織布シートの他の層、特に、通水性または吸水性シートと比べて通気性が相対的に低いフィルムを使用することで、炭酸ガスの透過に指向性を持たせることができる。
フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。
(他の層)
本実施の形態の不織布シートは、ウェブ層100、機能性物質含有層140、150、160に加えて、例えば表面改質や強度(剛性)付与等の機能性付与の目的で、他の層350を含むことができる。
他の層350としては、例えば、不織布、布、紙などの水分を通す性質(通水性)および/または水分を吸収する性質(吸水性)を有する任意のシートを用いることができる。また、任意のフィルムを用いることができる。これらのシートおよびフィルムは、上述の通水性または吸水性シート300およびフィルム400であってもよい。
他の層350は、熱融着性樹脂を含んでいてもよい。他の層350が熱融着性樹脂を含む場合は、他の層350に含まれる熱融着性樹脂は、上述の熱融着性樹脂AおよびBと同一であってもよく異なっていてもよく、1種類であっても複数種類の併用であってもよい。
機能性物質含有シートの1つの面に通水性が相対的に低いフィルムを用いると、シートの使用時に機能性成分がその面から溶出することを防止できる。すなわち、機能性物質の成分が他方の面から溶出することを促進させることができる。透明または半透明のフィルムを用いると、不織布シートの色変化を外部から容易に視認することができる。
機能性物質含有シートの外層となる他の層350の表面には、凹凸付与などの表面加工や、孔やスリットの形成などの加工を施してもよい。例えば食品トレイ用マットなどの用途において、機能性物質含有シートの1つまたは両方の面に、衛生材料の表面材のような多数の孔が形成された孔あきフィルムやスリットの入ったフィルムを好ましく用いることができる。そのような構成であると、シートの使用時に孔やスリットにより、機能性物質が容易に溶出することができると共に、食品からのドリップを機能性物質含有シートの内部の層に吸わせることができる。
(ヒートシール加工)
ヒートシールは、ヒートシーラーなどの加熱手段により熱を加えて層間接着させる方法である。本発明の実施の形態においては、例えば、pH指示薬と機能性物質のみからなる機能性物質含有層を中間層とし、その両面に、他の層350として熱融着性樹脂を含む層200を配置して、四辺をヒートシールすることにより、多層構造の機能性シートを形成することができる。機能性物質含有層の両面に配置される層200のうちの少なくとも一方は、それを介して機能性物質含有層の色変化を使用者が視認することのできる構成を有する。例えば、層200は、透明であってもよく、半透明であってもよく、機能性物質含有層の構成材料が外部に漏れ出ないような網目サイズを有するメッシュ構造であってもよい。
(接着層)
接着層の形成方法は特に限定されないが、ホットメルト加工によって得られた接着層であることが好ましい。ホットメルト加工は、熱可塑性樹脂を溶かして押し出し、シートとシートを接着する加工方法である。機能性物質含有層と他の層を接合する際の層間接着に用いることができる。
ホットメルト加工に用いることのできる熱可塑性樹脂としては、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などがあり、一般にホットメルト接着剤として知られている樹脂を用いることができる。
(エンボス加工)
エンボス加工は、凸凹模様を彫った押し型で強圧し、熱を加える加工である。この方法もまた、多層構造の層間接着に用いることができる。また、この方法は、単層または多層構造の機能性物質含有シートに凹凸などの表面加工を施すために用いることもできる。
(pH指示薬)
pH指示薬は、酸塩基指示薬とも称され、溶液中の水素イオンに反応し、水素イオン濃度に応じて色調が変化する指示薬であれば、特に限定されない。
本発明の実施の形態に適用可能なpH指示薬の例として、メチルバイオレッド、チモールブルー、コンゴーレッド、メチルイエロー、ブロモチモールブルー(ブロムチモールブルーとも呼ばれる)、メチルレッド、メチルオレンジ、リトマス、ブロモクレゾールパープル(ブロムクレゾールパープルとも呼ばれる)、フェノールレッド、フェノールフタレイン、クレゾールフタレイン、チモールフタレイン、アリザリンイエローR、エリオクロムブラックT等の合成色素が挙げられる。また、赤キャベツ色素、シソ色素、ムラサキイモ色素、アカダイコン色素、ムラサキトウモロコシ色素、エルダーベリー色素、ブドウ/ブルーベリー色素等の天然色素を使用することができる。
これらの合成色素および天然色素は、一般に知られており、メーカーから販売品を購入することができる。本明細書において、pH指示薬を、単に色素とも呼ぶ。
pH指示薬は、1種類のみを使用してもよいが、2種類以上を組み合わせて使用することで、広い範囲のpHの変化に対応した不織布製品を提供することができる。例えば、メチルオレンジとブロモチモールブルーとを組み合わせることで、pH2〜9の範囲で色調を変化させることができる。
(担体)
担体は、pH指示薬を不織布シートに固定するための土台となる物質である。担体は、担持体、または支持体とも称される。また、担体は、不織布シートのうちpH指示薬が配合される層の構成要素でもある。例えば、不織布シートが繊維で構成される構造体である場合、pH指示薬は、かかる繊維を担体として、不織布シートに固定されてもよい。あるいはまた、pH指示薬は、かかる繊維以外の成分、例えば粒子状物質を担体として、かかる繊維が構成する繊維構造物中の空隙に担体が保持されることによって、不織布シートに固定されてもよい。あるいはまた、その両方であってもよい。
本発明の実施の形態に適用可能な担体の例としては、木材、麻、綿、マニラ麻等に由来するパルプ、セルロース、ヘミセルロース、微結晶セルロース、イオン交換セルロースのようなセルロース系物質、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維、カオリン、合成シリカ、ガラス、ケイ酸アルミニウム、ゼオライト、ベントナイト等の粘土鉱物の微粉末、でんぷん、タンパク質などが挙げられる。担体の形状は、特に制限はなく、粒子状であってもよく、繊維状であってもよい。
パルプとは、木材その他の植物から機械的または化学的処理によって取り出されたセルロース繊維の集合体である。植物、特にはその細胞壁は、一般に、水不溶性の多糖類として、セルロースおよびヘミセルロースを構成成分に含む。このうち、セルロースは、分子式(C10で表される多糖類(炭水化物)であり、ヘミセルロースは、非セルロース系の多糖類の総称である。パルプは、セルロースを主成分とし、一般には、セルロースとヘミセルロースとの両方を含むが、セルロースのみを含むものであってもよい。以下、本明細書において、セルロースおよびヘミセルロースを総称的にセルロースと呼ぶこともある。つまり、本明細書において、例えば、セルロース繊維は、セルロースを主成分とし、セルロースのみからなるものであってもよく、また、セルロースおよびヘミセルロースを含むものであってもよい。
パルプは、針葉樹、広葉樹等の木材原料から得られる木材パルプであってもよく、綿、麻等の草本類のような非木材原料を原料とする非木材パルプであってもよい。木材パルプは、例えば、木材チップに対してクラフト蒸解等の処理を行って得ることができるが、製法はこれに限定されず、知られている方法により製造された木材パルプは、本発明の実施の形態に適用可能な担体の例に含まれる。
微結晶セルロースとは、パルプを加水分解して非結晶領域を除いて得られたものであり、主成分は結晶セルロースである。
イオン交換セルロースとは、セルロースに正または負に荷電する基を導入して、イオン交換体としての性質を与えたものである。イオン交換セルロースの例には、ジエチルアミノエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ホスホセルロース等が含まれる。
セルロース誘導体とは、セルロースを部分的に変性した高分子化合物である。上述のイオン交換セルロースも、セルロース誘導体の一種である。セルロース誘導体の例には、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等が含まれる。
不織布に配合したときの地合や外観が優れている点から、セルロース繊維を好ましく用いることができる。セルロース繊維は、長繊維状であってもよく、短繊維状であってもよく、粉末状に加工されていてもよい。繊維長で示すと0.01mm〜5mm程度のセルロース繊維を、好ましく使用することができる。例えば、レッテンマイヤー社製の粉末セルロースには、平均繊維長が18μmから2.2mmまでの製品があり、適する繊維長のセルロース繊維を使用することができる。
粉末状のセルロース繊維は前処理なく色素コーティング処理に使用できるが、シート状のセルロース繊維は、色素コーティング処理の前処理として、後段の機械処理に適した大きさに切断後、解繊して使用しても良い。
<第四級アンモニウム塩>
第四級アンモニウム塩は、pH指示薬の発色を促進して色変わりを明瞭にし、またpH指示薬の担体への付着を強化するために配合される。
第四級アンモニウム塩は、第四級アンモニウムカチオンと他のアニオンとの塩である。第四級アンモニウムカチオンは、分子式NR4+(式中、Rはアルキル基またはアリール基)で表される正電荷を持った多原子イオンであり、溶液中において、溶液のpHに左右されずに常に帯電している材料として知られている。この第四級アンモニウムカチオンが、界面活性作用やイオン結合のような化学的結合によって、pH指示薬を担体へ付着させるものと考えられる。
本発明の実施の形態に適用可能な第四級アンモニウム塩の例としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化セチルピリジウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム 、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等が挙げられる。塩化セチルピリジウム、塩化ベンゼトニウム、または塩化ジデシルジメチルアンモニウムを好ましく用いることができる。特に、塩化ベンジルコニウムを好ましく用いることができる。
<結合剤>
結合剤は、pH指示薬を担体に固定するために使用される。結合剤は、pH指示薬の呈色反応に悪影響を及ぼさないものが望ましい。また、結合剤は、非水溶性の高分子化合物であることが好ましい。
本発明の実施の形態に適用可能な結合剤の例としては、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、または、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合体樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、塩化ビニリデン共重合体エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、合成ゴムラテックス等の合成樹脂類が挙げられる。
担体へpH指示薬を固定するために結合剤を使用する場合、まず、pH指示薬および第四級アンモニウム塩に加えて結合剤を溶媒に溶解して、pH指示薬混合溶液(以下、色素溶液とも呼ぶ)を調製する。次いで、この色素溶液を、スプレー塗布または滴下法などの方法によって担体にコーティングする。これにより、pH指示薬および第四級アンモニウム塩は担体に物理的に固定される。
色素溶液の成分として混合されるため、溶媒への溶解性が高く、粘度が低い結合剤であることが好ましい。結合剤の粘度は、結合剤をエタノール/トルエン(1/1)(w/w)で、最終濃度が10質量%になるように調整した溶液において、60mPa・s以下であることがよく、さらに30mPa・s以下であることが望ましい。
(各成分の含有比率)
本実施の形態の不織布シートのウェブ層は、ウェブ層全体の質量を基準として、60質量%を超える量、好ましくは65質量%以上の量、より好ましくは70質量%以上の量で、吸水性材料を含む。
本実施の形態の不織布シートは、水分と接触した際に酸性を呈する粉末を含む。水分と接触した際に酸性を呈する粉末は、ウェブ層中におよび/またはウェブ層に接して配合されていることができる。ウェブ層における吸水性材料(X)と、不織布シートにおける水分と接触した際に酸性を呈する粉末(Y)と、の含有比率(X:Y)は、質量基準で、例えば60%超:40%未満〜90%:10%の範囲である。
ウェブ層は、熱融着性樹脂(Z)をさらに含むことができる。この場合は、ウェブ層における吸水性材料(X)と、水分と接触した際に酸性を呈する粉末(Y’)および熱融着性樹脂(Z)の合計(Y’+Z)と、の含有比率〔X:(Y’+Z)〕(質量基準)は、例えば、60%超:40%未満〜90%:10%の範囲である。
比率が前記範囲にあると、不織布シートは、柔軟性を有すると共に、使用時には、水分を好適に保持することができ、生成された酸性成分を清浄対象面に的確に適用することができる。また、使用前は、ウェブ層内の厚さ方向に、水分と接触した際に酸性を呈する粉末を保持することができ、粉落ちを抑制することができる。
その他、ウェブ層およびウェブ層とは別の層を有する場合は当該別の層(例えば粒子層)のうちの1つまたは複数の層に、1つまたは複数の効果促進剤を、適量、配合することができる。
(成分の含有比率)
不織布シートにおける機能性物質(水分と接触した際に酸性を呈する粉末、および含まれる場合の、水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末)の配合量は、材料の種類、用途および所望の効果によっても異なる。
例えば、所望の機能発揮の効果の観点からは、配合量は、該して多いほど好ましい。また、粉落ち防止の効果の観点からは、配合量は、該して少ないほど好ましい。例えば、配合量は、シート全量に占める粉末の量が0.01質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上であることが特段好ましく、また、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、8質量%以上がなお一層好ましく、10質量%以上であることが特段好ましい。また、例えば、配合量は、シート全量に占める粉末の量が60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
(坪量)
不織布シートの坪量は、用途に応じて適宜設定することができる。例えば、不織布シートの坪量は30〜300g/m2であることが好ましい。つまり、不織布シートがウェブ層からなる単層構成である場合は、ウェブ層自体の坪量が30〜300g/m2であることができる。また、不織布シートが、通水性または吸水性シート300および/またはフィルム400を含む場合は、不織布シートを構成するウェブ層と通水性または吸水性シート300および/またはフィルム400との合計の坪量が30〜300g/m2であることができる。不織布シートにおける、ウェブ層と、通水性または吸水性シート300および/またはフィルム400と、の坪量の比率は、用途や目的品質に応じて適宜設定することができる。
<不織布シートの製造方法>
図1(a)に例示される本実施の形態の第1の態様に係る不織布シートの製造方法として、例えば、一般に知られるエアレイド法を採用するウェブ形成装置を用いる方法がある。例えば、ウェブ層を搬送するためのキャリアシート上に、吸水性材料と、水分と接触した際に酸性を呈する粉末と、例えばポリエチレン(PE)のような熱融着性樹脂と、の均一混合物を積層させ、その上にキャリアシートを配置して、熱融着性樹脂を加熱処理により溶融させて各構成要素を接合することができる。このとき、2つのキャリアシートのうちの一方または両方に本実施の形態の通水性または吸水性シートを用いることにより、図1(b)または図1(c)に例示される層構成を得てもよい。また、キャリアシートの1つに、他の層と比べて通気性が相対的に低い任意のフィルムを用いることにより、図1(d)または図1(e)に例示される層構成を得てもよい。キャリアシートは、本実施の形態において必須ではなく、上記加熱処理後に、形成された積層体から剥がしてもよい。製造時における、水分と接触した際に酸性を呈する粉末と水との間の反応を防ぐために、本実施の形態において、これらの積層は乾式法にて行う。吸水性材料を主体とするウェブ層の形成には、一般に知られるエアレイド法を採用するウェブ形成装置を用いることができる。
図2に例示される本実施の形態の第2の態様に係る不織布シートの製造方法として、例えば、一般に知られるエアレイド法を採用するウェブ形成装置で吸水性材料を含むウェブ層を作製し、これに対し他の層を別途積層させる製造方法を用いる方法がある。そのような方法として、吸水性材料を含むウェブ層の表面に、水分と接触した際に酸性を呈する粉末と、例えばポリエチレン(PE)のような融着性バインダ粒子と、の均一混合物を配置し、融着性バインダを熱により溶融させて接合して、粒子層を形成することができる。このとき、エアレイド法を採用するウェブ形成装置で吸水性材料を含むウェブ層を作製する際に、ウェブ層を搬送するためのキャリアシートに本実施の形態の通水性または吸水性シートを用いることによって積層体を形成して、図2(a)に例示される層構成を有する不織布シートを得てもよい。また、キャリアシートの1つに、他の層と比べて通気性が相対的に低い任意のフィルムを用いることにより、図2(b)に例示される層構成を得てもよい。キャリアシートは、本実施の形態において必須ではなく、上記加熱処理後に、形成された積層体から剥がしてもよい。
別途作製した不織布シートの各層を、エンボス加工やヒートシール加工により接合させてもよい。また、不織布シートの各層の接合面の少なくとも一方に粘着層を設けて、各層を接合させる方法などもある。製造時における水分と接触した際に酸性を呈する粉末と水との間の反応を防ぐために、本実施の形態において、これらの積層は乾式法にて行う。
(エアレイド法を採用する不織布シートの製造方法)
エアレイド法を採用する本実施形態の不織布シートの製造方法の例を、より詳細に示す。本方法は、解繊工程と混合工程とウェブ形成工程と結着工程とを有する。
(解繊工程)
解繊工程は、ショートカットファイバーの形態の材料を、空気流によって解繊して解繊ショートカットファイバーを得る工程である。
ショートカットファイバーの空気流による解繊方法では、ブロアー等によって空気流を形成し、その空気流にショートカットファイバーを供給し、空気流の攪拌効果によって解繊する。
解繊方法としては、旋回する空気流で解繊することが好ましい。旋回する空気流を利用した解繊方法によれば、ショートカットファイバーを充分に解繊することができ、エアレイド法によってエアレイドウェブを形成する際に、解繊ショートカットファイバーの分散性をより高めることができる。
旋回する空気流を利用した解繊方法としては、例えば、ブロアーの中にショートカットファイバーを投入してブロアーにて解繊する方法が挙げられる。また、ブロアーによって円筒容器内に、周方向に沿うように空気を送って旋回流を形成し、その旋回流の中にショートカットファイバーを供給し、攪拌して解繊する方法が挙げられる。
空気流の流速は、ショートカットファイバーの量に応じて適宜選択されるが、通常は、10〜150m/秒の範囲内である。
(混合工程)
混合工程は、解繊ショートカットファイバーの形態の吸水性材料と、他のウェブ層必須構成材料と、を混合してウェブ原料を得る工程である。本実施の形態の第1の態様において、他のウェブ層必須構成材料には、水分と接触した際に酸性を呈する粉末が含まれる。このとき同時に、任意の他の材料を混合することができる。任意の他の材料の形状は、繊維状でも粒子状でもよい。任意の他の材料の例としては、熱融着性樹脂、吸水性樹脂粒子、効果促進剤等の必要に応じて添加される助剤等が挙げられる。これらの材料の添加順に特に限定は無く、また、これらの材料は、混合工程よりも後の工程で、例えば散布等によって添加することもできる。
混合に際しては、解繊ショートカットファイバーの分散性を向上させるために、解繊ショートカットファイバーと他の材料とを攪拌することが好ましい。ただし、解繊ショートカットファイバーの破断を防ぐために、機械的剪断力を利用した攪拌ではなく、空気流を用いた攪拌を適用することが好ましい。
混合工程は、解繊工程の後でもよいし、解繊工程と同時でもよい。混合工程を解繊工程と同時とする場合には、解繊工程での空気流を利用して、解繊ショートカットファイバーと任意の材料を混合する。また、後述する粒子散布工程で解繊ショートカットファイバーのウェブ形成ラインに任意の粒子を投入し、混合してもよい。
(ウェブ形成工程)
ウェブ形成工程は、エアレイド法によってウェブ原料からエアレイドウェブを得る工程である。ここで、エアレイド法とは、空気流を利用して繊維を3次元的にランダムに堆積させてウェブを形成する方法である。
(粒子散布工程)
粒子散布工程は、既知の方法よってウェブ原料に粉体を配合する工程である。繊維に粉体を混合してウェブを形成する方式もしくはウェブの表面もしくはキャリアシート上に散布する方式のいずれを用いてもよい。水分と接触した際に酸性を呈する粉末は、この粒子散布工程において、ウェブの表面もしくはキャリアシート上に散布されてもよい。
本実施形態におけるウェブ形成工程では、例えば、図4に示すウェブ形成装置1を用いる。このウェブ形成装置1は、コンベア10と透気性無端ベルト20と繊維混合物供給手段30と第1のキャリアシート供給手段40と第2のキャリアシート供給手段50とサクションボックス60と備える。
ここで、コンベア10は、複数のローラー11によって構成されている。透気性無端ベルト20は、コンベア10に装着されて回転するようになっている。繊維混合物供給手段30は、透気性無端ベルト20に繊維混合物を空気流と共に供給するものである。第1のキャリアシート供給手段40は、透気性無端ベルト20に向けて第1のキャリアシート41を供給するものである。第2のキャリアシート供給手段50は、透気性無端ベルト20を通過した第1のキャリアシート41に向けて第2のキャリアシート51を供給するものである。サクションボックス60は、透気性無端ベルト20をその内側から吸引するものである。
ウェブ形成装置1においては、繊維混合物供給手段30は透気性無端ベルト20の上方に設置され、第1のキャリアシート供給手段40は透気性無端ベルト20よりも上流に設置され、第2のキャリアシート供給手段50は透気性無端ベルト20よりも下流に設置されている。
上記ウェブ形成装置1を用いたウェブ形成工程では、各ローラー11を同方向に回転させることによりコンベア10を駆動させて透気性無端ベルト20を回転させる。また、透気性無端ベルト20の上に接触するように、第1のキャリアシート41を第1のキャリアシート供給手段40から繰り出す。
次いで、サクションボックス60によって透気性無端ベルト20を吸引しながら、繊維混合物供給手段30から空気流と共に繊維混合物を下降させ、透気性無端ベルト20上の第1のキャリアシート41上に繊維混合物を落下、堆積させる。これにより、エアレイドウェブWを形成する。このようにして形成されるエアレイドウェブWが、本実施の形態に係る不織布シートのウェブ層となる。ウェブ層の坪量が大きいと、酸性成分を含む水を長時間にわたり保持することができる。
次いで、エアレイドウェブWの上に、第2のキャリアシート51を第2のキャリアシート供給手段50より供給して、エアレイドウェブ含有積層シートを得る。
(結着工程)
結着方式は、水を使わずに結着させる観点から、サーマルボンド方式を使用することが好ましい。サーマルボンド方式による結着工程は、エアレイドウェブを加熱処理して、解繊ショートカットファイバー同士を熱融着性樹脂によって結着させる工程である。
エアレイドウェブの加熱処理としては、熱風処理、赤外線照射処理が挙げられ、装置が低コストである点では、熱風処理が好ましい。
熱風処理としては、エアレイドウェブを、周面に通気性を有する回転ドラムを備えたスルーエアードライヤに接触させて熱処理する方法(熱風循環ロータリードラム方式)や、エアレイドウェブを、ボックスタイプドライヤに通し、エアレイドウェブに熱風を通過させることで熱処理する方法(熱風循環コンベアオーブン方式)などが挙げられる。
本実施形態のように、エアレイドウェブが第1のキャリアシートおよび第2のキャリアシートに挟まれて積層シートになっている場合には、積層シートのまま熱風処理してもよい。第1のキャリアシートおよび第2のキャリアシートは、熱風処理後にエアレイドウェブから剥離することができる。加熱処理温度は、熱融着性樹脂が溶融する温度とすればよい。例えば、一般的にサーマルボンド方式に使用されるPP、PEなどの材料を使用する場合、加熱温度を115℃以上に設定することが望ましい。
結着工程の後には、不織布シートの厚みおよび密度を微調整する目的で、加熱ロールに通して圧縮処理してもよい。
(機能性物質含有層の形成)
本実施の形態の第3の態様に係る不織布シートの製造方法について説明する。第3の態様に係る不織布シートは、水分と接触した際に酸性を呈する粉末を含有する層(機能性物質含有層)を有する。本実施の形態において、機能性物質含有層は、乾式法で設けられた層である。本実施の形態で用いることのできる乾式法には、水を使用しない非水系の任意の層形成方法が含まれる。また、任意の別の機能性物質含有層である、水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末を含有する層についても、同様の製造方法を採ることができる。
(色素溶液の担体への適用方法)
本実施の形態の不織布シートの機能性物質含有層は、担体に固定された形態のpH指示薬(以下、色素とも記載する)を含む。そのために、担体に対して色素を適用する工程を行う。本発明の実施の形態において用いることのできる、pH指示薬混合溶液(色素溶液)の担体への適用方法について説明する。
色素を不織布シートに適用する方法としては、担体に対する色素の適用工程の観点から、大きく分けて次の方法がある。
具体的には、まず、不織布シートにおいてpH指示薬を配合すべき層を構成する成分(例えばセルロース繊維等)に色素を担持させてから、それを原料としてシート化を行う方法がある。例えば、セルロース繊維ミキサー等で攪拌しながら、色素混合溶液を添加し、表面に色素溶液がコーティングされたセルロース繊維をシート化のための原料として得る方法がある。
あるいはまた、不織布シートを作成してから、色素溶液を不織布シートの表面に塗布する方法がある。例えば、不織布シート形成時に色素容液をスプレー(噴霧)し、シート表面をコーティングする方法がある。また、コーティングに限らず、含浸により担体に色素溶液を付与してもよい。
なお、構成成分のシート化工程自体は、第1および第2の態様について説明した上述の不織布シート製造方法に従って行うことができる。
(溶媒)
色素溶液(pH指示薬混合溶液)を作製するのに適用可能な溶媒の例としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル類、アルコール類等の非水系の溶媒(有機溶剤)が挙げられる。色素溶液の構成材料となるべき薬剤(pH指示薬、第四級アンモニウム塩、および適宜、結合剤等)を溶解して均一な色素溶液を調整することができ、担体に色素溶液をコーティングした後に、減圧乾燥等の手法によって除去可能な溶媒がよい。特にアルコール類がよく、さらにはイソプロピルアルコールがよい。
(配合量)
色素(pH指示薬)の配合量は、使用する色素によって異なるが、使用時に明瞭な色変化が認められる量がよい。例えばチモールブルーの配合量は、担体の重量に対して0.01〜0.5%(w/w)が好ましく、より好ましくは0.02〜0.1%(w/w)である。なお、ここでいう担体とは、不織布シートのうち、そのpH指示薬が配合される機能性物質含有層の構成要素(繊維、粉末等)をいう。
結合剤の配合量は、担体の重量に対して3%(w/w)以下が好ましく、より好ましくは2%(w/w)以下である。3%より多く配合すると、色素を担持した担体の撥水性が高くなり、溶液が浸透し難くなり、発色性が悪くなる傾向がある。
第四級アンモニウムの配合量は、担体の重量に対して0.05〜5%(w/w)が好ましく、より好ましくは0.1〜2%である。例えば、塩化ベンザルコニウムは、10%水溶液および50%水溶液のような水溶液の形態でメーカーから販売品を入手可能であるが、上記の数値は塩化ベンザルコニウムとしての固形分の配合量である。
上記の配合量は、それぞれの薬剤の配合量に応じて最適化することができる。例えば、結合剤を担体の重量に対して2%(w/w)配合する場合は、塩化ベンザルコニウムの配合量を、担体の重量に対して0.1〜0.5%(w/w)とするのがよい。また、結合剤を配合しない場合は、塩化ベンザルコニウムの配合量は、担体の重量に対して0.3〜2%(w/w)がよい。
つまり、結合剤を配合しない構成も、本発明の実施の形態に含まれるが、結合剤を配合することで、担体へのpH指示薬の固着を補強することができ、また、塩化ベンザルコニウムの配合量を低減させることができる。
溶媒の配合量は、担体の重量に対して10〜100%(w/w)が好ましく、より好ましくは15〜50%(w/w)である。溶媒の配合量が少ない場合は、色素溶液の粘度が高くなり、担体との均一な混合が困難になる。また、溶媒が多すぎる場合は、色素溶液と担体を混合した後の乾燥工程の処理時間が長くなり、処理時間の増加とコストの増加の原因となる。
(担体の配合量)
pH指示薬Iを固定した担体は、機能性物質含有層140、150、160に、任意の割合で配合することができる。機能性シートの色変化の視認性の観点から、pH指示薬Iの色変化が明瞭に確認できることが好ましい。
(不織布シートの用途)
以下に、本実施の形態に係る不織布シートの用途を例示する。
不織布シートの用途としては、(1)防護用、(2)医療用、(3)建材・土木用、(4)衛生用、(5)ワイパー用、(6)農業・園芸用、(7)生活資材用、(8)工業資材用、(9)実験資材用などが挙げられる。
(1)防護用としては、例えば、防護用品が挙げられる。前記防護用品の具体的な例としては、マスク等である。
(2)医療用としては、例えば、ガーゼ、マスク、シーツ類、抗菌マット、パップ剤基布、湿布剤基布、過喚起症候群治療剤などが挙げられる。
(3)建材・土木用としては、例えば、遮水シート、保護材、防触材などが挙げられる。
(4)衛生用としては、例えば、おむつ、生理用品、救急用品、清浄用品、おしぼり、マスクなどが挙げられる。前記おむつの具体的な例としては、紙おむつ等である。前記生理用品の具体的な例としては、ナプキン、タンポン等である。前記救急用品の具体的な例としては、ガーゼ、救急絆創膏、綿棒等である。前記清浄用品の具体的な例としては、ウェットティッシュ、化粧綿、母乳パッド、清拭シート、汗吸収シート(顔・脇・首・足等用)、抗菌・除菌シート、抗ウイルス性シート、抗アレルゲンシート、抗菌防臭シート等である。前記マスクの具体的な例としては、使い捨て立体マスク等である。
(5)ワイパー用としては、例えば、ワイパー、ウェットワイパー、油こし用、複写機クリーニング材などが挙げられる。
(6)農業・園芸用としては、例えば、苗床用シート、べたがけシート、防霜シート、防草シート、園芸プランターなどが挙げられる。農業・園芸用として使用する場合、例えば、嫌気環境を作り出し、促成栽培を行うために使用することができる。
(7)生活資材用としては、例えば、包装資材、掃除用品、袋物、食品用、生活雑貨、台所用品、スポーツ用品、美容資材などが挙げられる。前記掃除用品の具体的な例としては、ワイパー、化学雑巾、たわし等である。前記袋物の具体的な例としては、乾燥剤袋等である。前記食品用の具体的な例としては、ティーバッグ、コーヒーバッグ、食品バッグ、鮮度保持材、食品吸水用シート、炭酸注入剤、食品添加物等である。前記生活雑貨の具体的な例としては入浴剤、アイマスク、冷感シート、温感シート、ネックスカーフ、手袋、防臭シート、芳香剤基材、防虫剤、ペットシーツ等である。前記台所用品の具体的な例としては、水切りシート、消火布等である。前記スポーツ用品の具体的な例としては、疲労回復材料等である。美容資材としては、フェイスマスク、パフ、美容パック、美容手袋等である。
(8)工業資材用としては、例えば、工業資材、電気資材、電池、製品材料、OA機器、AV機器、ロール、機器部材などが挙げられる。
(9)実験資材用としては、例えば、嫌気環境形成材、麻酔剤、虫の誘引剤などが挙げられる。
本実施の形態の不織布シートは、特に、掃除用シート、および生活資材用シート、美容シート、および、ガーゼなどの医療用および衛生用シートなどの用途に好適に使用されることができる。また、上記分類に限定されることなく、同一の不織布シートを、多岐に亘る分野および用途において使用することができる。
以下、実施例および比較例によって本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態は以下の実施例に限定されない。
(評価試験)
以下のとおり実施例、比較例および実験例の不織布シートを製造して、性能を評価した。
<評価項目および試験方法>
I.保水性
不織布シートに水を含ませた際に、不織布シートは、含ませられた水を保持する能力(保水性)が高いほど、酸性成分を含む液体を長い時間にわたって清浄対象物に適用することが可能であると考えられる。保水性は、例えば、不織布シートに水を含ませた際に、内部に取り込むことのできる水の量や、取り込んだ水を内部に留めておくことのできる時間の長さ等によって判断することができる。
ここでは以下の手順に従い保水性の評価を行った。まず、実施例および比較例の不織布シート(縦横5cm角)にそれぞれ所定量(2ml)の水を含ませ、次いで軽く絞り、不織布シートが保持していられなくなって溢れ出る水の量の多少を目視により確認した。さらに、軽く絞った後の不織布シートを清浄対象面(縦横15cm角のタイルの表面)に載置して所定時間(5分間)放置した。この間、清浄対象面を水平に対して傾けて、不織布シートから溢れ出て滴る水(液垂れ)の有無を目視にて確認した。
溢れ出る水の量が少ないほど、保水性が高くて良好であると評価した。
なお、ここでは目視にて確認を行ったが、代替的手法として、不織布シートが保持する水の量およびその変動を、各段階における不織布シートの重さを計器にて測定することによって確認してもよい。
II.汚れ落ちに関する性能
不織布シートで清浄対象面を拭った際に、汚れが落ちきるまでの拭き取り回数が少なく、また、汚れを落とすためにかける必要のある力の大きさが小さいほど、不織布シートの汚れを落とす性能が高いと考えられる。
ここでは、水を含ませた不織布シートで清浄対象面を拭う拭き取り動作を行い、汚れ落ちの状態を目視で確認した。汚れが落ちていなかった場合は、前回と略同一の力での拭き取り動作を繰り返した。汚れが落ちきるまでの拭き取り動作の回数の多少によって、汚れ落ちに関する性能を評価した。
具体的には、水あか汚れを想定して、予め、縦横15cm角のタイルの表面に対し、0.1%水酸化カルシウム水溶液1mlをミスト状に吹きかけて付着させ、23℃、50%RHの恒温恒湿条件下で2時間放置して固化させた。同様の動作を計5回繰り返した。以下、このようにして固化された汚れを「水あか汚れ」と称する。
この水あか汚れが付着したタイルの表面を清浄対象面として、上述の保水性の試験と同様の手順に従って、不織布シートを清浄対象面に載置して所定時間(5分間)放置した状態を得た。次いで、表面に載置していた不織布シートで不織布シートが載置されていたタイルの表面を拭う、拭き取り動作を行った。最高回数10回を限度として、水あか汚れが落ちきるまで、拭き取り動作を繰り返した。
汚れが落ちきるまでの拭き取り動作の回数が少ないほど、汚れ落ちに関する性能が高くて良好であると評価した。
III.貼り付き性
不織布シートの1つの使用方法として、水を含ませた不織布シートを清浄対象面に接触させて放置し、ある程度の時間が経過した後に、拭き取り動作を行う方法がある。この方法によると、不織布シートが接触する清浄対象面の部分に対し、酸性成分を含む液体を集中的に適用することが可能となる。これによると、清浄対象面に付着していた汚れを浮かすことができ、清浄効率が高いと考えられる。
ところで、清浄対象面は、必ずしも水平ではなく、また、必ずしも平面的ではなく曲面状であったり角部や凹凸を含んでいたりすることがある。前述の効果を得るためには、不織布シートには、清浄対象面の形状に沿って変形して清浄対象面と接触することができ、また、その状態がある程度の時間にわたって維持されることのできる、貼り付き性が求められる。
ここでは、貼り付き性として、以下の2つの点を目視にて確認した。
(1)上述の保水性の評価試験において、液垂れの有無の確認の際に清浄対象面(タイルの表面)を水平に対して傾けていったが、このとき、不織布シートが清浄対象面からすべり落ちたり剥がれたりせずに留まっていられるか否か。
(2)1つの例としてシンク(流し台)を清浄対象物と想定して、水にさっと潜らせた不織布シートを、シンクのコーナー部分(清浄対象面)に対しその形状に沿って密着するように貼り付け、所定時間(1分間)放置した。このとき、不織布シートが清浄対象面から剥がれたりすることなく、貼り付けられたときの形状をそのまま維持していられるか否か。
上述の(1)および(2)のいずれにおいても、不織布シートが清浄対象面から剥がれたりしないことが望ましく、不織布シートの清浄対象面に対する相対位置の変化が小さい程、貼り付き性が良好であると評価した。
IV. 呈色性:色変化、色変化の明瞭性、および色素流出性
水と接触した際に酸性を呈する粉末のような機能性物質およびpH指示薬(色素)を配合した不織布シートに水を含ませると、機能性物質の反応により水中の水素イオン濃度(pH)が変化する。シートに配合されたpH指示薬(色素)が、それに応じて反応して呈色または変色し、シートの色が変化する。pHに対応する色、および色変化の明瞭性は、pH指示薬(色素)の種類や配合量等によって異なり得る。また、加水によってpH指示薬(色素)がシート内に留まりきれずにシートから流出すると、水に色移りが生じ、シートの色は薄くなって、色変化が明瞭でなくなるおそれがある。
ここでは、シートの呈色性の指標として、シートの代わりに、担体としてのセルロース繊維にpH指示薬(色素)が固定された形態のシート化原料を用いて、試験を行った。pH指示薬としては、酸性から弱アルカリ域で変化する複数のものを試験した。具体的には、以下の手順に従い、シート化原料の呈色性(色変化、色変化の明瞭性、および色流出性)を、目視にて確認した。
(1)後述する実験例において得られた色素コーティングセルロース繊維2,3に、5倍量(質量基準)のpH調整剤(酸性、中性、アルカリ性)をそれぞれ含ませた。
酸性のpH調製剤としては、0.1Nの硫酸(pH1.4)を用いた。中性のpH調整剤としては、1Mのリン酸バッファー(pH7.0)を用いた。アルカリ性のpH調整剤としては、0.1%のCa(OH)(pH2.0)を用いた。
(2)pH調整剤によるセルロース繊維2,3の色変化、色変化の明瞭性、ならびに液体への色素の流出を、目視にて確認した。
これにより、各pH指示薬について、セルロース繊維がpHに応答してどのような色を呈するかを把握した。色変化が明瞭であるほど、不織シートに適用した際に使用者が使用時にpH変化を認識しやすいため、好ましい。また、色素の流出が少ないほど、シートの色変化が明瞭でありpH変化を認識しやすく、また、材料流出による環境への影響が少ないため、好ましい。色素の流出について、色素溶液への結合剤の配合の有無の影響を確認した。
V. シートの呈色性:色変化、および色素流出性
後述する実施例のうちpH調整剤を含む実施例(具体的には、実施例4)の不織布シートについて、以下の試験を行った。
(色変化の確認)
形成したシートを5cm×5cm四方の大きさに裁断し、シート重量の5倍量の水を含ませた。このとき、水を含ませる前(乾燥状態)、直後、15分後、60分後のシートの色およびpHを確認した。
(色素流出性)
色素流出性の1つの指標として、発色したシートで白いプラスチックシートを拭き、色移りを目視で確認した。ここで「色移り」とは、シートの発色成分である色素がシート外に溶出し、プラスチックシートに移動することを言う。色移りの程度が小さいほど色素流出性は低く好ましい。色移りは、確認できないことがより好ましい。
[実施例1]
<不織布シートの製造>
ショートカットのレーヨン繊維(繊度3.3dtex、繊維長5mm)およびショートカットの芯鞘型の熱融着性複合繊維(PET/PE複合芯鞘繊維、繊度2.2dtex、繊維長5mm、鞘部融点130℃)を、それぞれ、旋回流式ジェット気流解繊装置を用いて解繊処理して、それぞれの解繊ショートカットファイバーを得た。
次いで、解繊ショートカットファイバーの形態のレーヨン繊維と、解繊ショートカットファイバーの形態の熱融着性複合繊維と、を70/30の割合(質量比)で空気流により均一に混合してレーヨン/(PET/PE)の繊維混合物を得た。
クエン酸(平均粒径100μm)とPEパウダー(平均粒径400μm)とを80/20の割合(質量比)で混合し、クエン酸/PEパウダーの粒子混合物を得た。
次いで、キャリアシート上に図4に示すウェブ形成装置1を用い、繊維混合物を用いてエアレイドウェブを形成したシートを得た。
具体的には、コンベア10に装着されて走行する透気性無端ベルト20の上に、第1のキャリアシート供給手段40によって、レーヨンスパンレース不織布(坪量27g/m2、通気度292cm3/cm2/s)からなる第1のキャリアシート41を繰り出した。
サクションボックス60によって透気性無端ベルト20を吸引しながら、その第1のキャリアシート41の上に、PEパウダーを5g/m2となるように散布し、その上に繊維混合物供給手段30から空気流と共に上記繊維混合物を落下堆積させた。その際、エアレイドウェブ部分あたりの坪量が150g/m2となるように、繊維混合物を供給した。
次いで、エアレイドウェブ上にクエン酸/PEパウダーの粒子混合物を50g/m2となるよう散布し、堆積させた。その上にレーヨンスパンレース不織布(坪量27g/m2、通気度292cm3/cm2/s)からなる第2のキャリアシートを積層して、エアレイドウェブ含有積層シートを得た。
得られた積層シートを、熱風循環コンベアオーブン方式のボックスタイプドライヤに通し、140℃で熱風処理して、坪量259g/m2の不織布シートを得た。
[実施例2]
<不織布シートの製造>
ショートカットの芯鞘型の熱融着性複合繊維(PET/PE複合芯鞘繊維、繊度2.2dtex、繊維長5mm、鞘部融点130℃)を、旋回流式ジェット気流解繊装置を用いて解繊処理して、解繊ショートカットファイバーを得た。
次いで、針葉樹化学パルプと、解繊ショートカットファイバーの形態の熱融着性複合繊維と、を70/30の割合(質量比)で空気流により均一に混合してパルプ/(PET/PE)の繊維混合物を得た。
次いで、キャリアシート上に図4に示すウェブ形成装置1を用い、繊維混合物およびクエン酸(平均粒径100μm)を用いてエアレイドウェブを形成したシートを得た。
具体的には、コンベア10に装着されて走行する透気性無端ベルト20の上に、第1のキャリアシート供給手段40によって、レーヨンスパンレース不織布(坪量27g/m2、通気度292cm3/cm2/s)からなる第1のキャリアシート41を繰り出した。
サクションボックス60によって透気性無端ベルト20を吸引しながら、その第1のキャリアシート41の上に、PEパウダーを5g/m2となるように散布し、その上に繊維混合物供給手段30から空気流と共に上記繊維混合物とクエン酸を135/15の割合(質量比)となるように混合しながら、落下堆積させた。その際、エアレイドウェブ部分あたりの坪量が150g/m2となるように、繊維混合物とクエン酸を供給した。
次いで、エアレイドウェブ上にPEパウダーを5g/m2となるよう散布し、堆積させた。その上にレーヨンスパンレース不織布(坪量27g/m2、通気度292cm3/cm2/s)からなる第2のキャリアシートを積層して、エアレイドウェブ含有積層シートを得た。
得られた積層シートを、熱風循環コンベアオーブン方式のボックスタイプドライヤに通し、140℃で熱風処理して、坪量214g/m2の不織布シートを得た。
[実施例3]
<不織布シートの製造>
レーヨンスパンレース不織布に代えて、第2のキャリアシートとして木材パルプを原料とするティシュ(坪量14g/m2)を積層して、得られた積層シートを、熱風循環コンベアオーブン方式のボックスタイプドライヤに通し、140℃で熱風処理して、その上に、ホットメルト接着剤(エチレン・酢酸ビニル共重合体)を5g/m2塗布したフィルム(PE、坪量26g/m2)を、フィルムのホットメルト接着剤が塗布された側の面がティシュに面するように積層した以外は実施例1と同様にしてシートを得た。坪量は約277g/m2であった。
[実施例4]
<色素溶液の作製>
2%濃度のチモールブルー溶液(溶媒はエタノール)50g、50%濃度の塩化ベンザルコニウム水溶液10g、およびポリビニルブチラール40gをイソプロパノールに溶解し、合計500gになるようにイソプロパノールでメスアップした(質量/質量基準)。ポリビニルブチラールが完全に溶解するまで混合して混合液を調製し、色素溶液C1とした。
<色素溶液の担体への適用>
50gの粉末状のセルロース繊維(繊維長0.2mm)をミキサーで攪拌しながら、25gの色素溶液C1を添加し、繊維と色素溶液が均一に混合するまで攪拌した。次いで乾燥機で105℃2時間の条件で乾燥させて、溶剤を除去し、粉末状の色素コーティングセルロース繊維1(繊維長0.2mm)を得た。
<不織布シートの製造>
クエン酸/PEパウダーの粒子混合物に代えて、クエン酸とPEパウダー(平均粒径400μm)と色素コーティングセルロース繊維1とを70/25/15の割合(質量比)で混合し、クエン酸/PEパウダー/色素コーティングセルロース繊維の粒子混合物を得た以外は実施例1と同様にしてシートを得た。坪量は185g/m2だった。
[比較例1]
粒子混合物に代えて、PEパウダー(平均粒径400μm)をエアレイドウェブ上に5g/m2となるよう散布し、堆積させた以外は実施例1と同様にしてシートを得た。坪量は約214g/m2であった。
[比較例2]
レーヨン/(PET/PE)の繊維混合物に代えて、解繊ショートカットファイバーの形態の芯鞘型の熱融着性複合繊維(PET/PE複合芯鞘繊維、繊度2.2dtex、繊維長5mm、鞘部融点130℃)を使用した以外は、実施例1と同様にしてエアレイドウェブ含有シートを得た。
[実験例1〜8]
<色素溶液の調製>
まず、下記の第1表に記載される8種類のpH指示薬(色素)について、それぞれの1%溶液を調製した。このとき、コンゴーレッド、インジゴカーミン、赤キャベツ色素は水に溶解し、その他の色素はエタノールに溶解して、溶液を調製した。次に、第2表に記載される配合に従い材料を混合して、各pH指示薬について2種類の色素溶液C2、C3を調製した。
(第1表)pH指示薬
Figure 2018025676
(第2表)色素溶液の配合(質量/質量基準)
Figure 2018025676
<色素溶液の担体への適用>
50gの粉末状のセルロース繊維(繊維長0.2mm)をミキサーで攪拌しながら、25gの色素溶液C2を添加し、繊維と色素溶液が均一に混合するまで攪拌した。次いで乾燥機で105℃2時間の条件で乾燥させて、溶剤を除去し、粉末状の色素コーティングセルロース繊維2(繊維長0.2mm)を得た。
色素溶液C2の代わりに色素溶液C3を用いた以外は同様にして、粉末状の色素コーティングセルロース繊維3(繊維長0.2mm)を得た。
(試験結果)
第3表は、評価試験I.〜III.の結果を示す。第4表は、評価試験IV.の結果を示す。第5表は、評価試験V.の結果を示す。
(第3表) 評価試験I.〜III.の結果
Figure 2018025676
(第4表) 評価試験IV.の結果
Figure 2018025676
(第5表) 評価試験V.の結果
Figure 2018025676
試験結果は、評価が良かった方から順に記号○、△、×で示される。具体的な評価内容は、以下のとおりである。
I.保水性
○: 軽く絞った際に水は溢れ出ず、不織布シートは含ませられた水を保持することができた。また、不織布シートが清浄対象面に載置されて放置された際に、液垂れの現象は見られなかった。
×: 水をはじき、軽く絞る前から水が溢れ出て、不織布シートは含ませられた水を保持することができなかった。
II. 汚れ落ち
○: 拭き取り動作を数回行うことで、水あか汚れを容易に拭き取ることができた。
×: 拭き取り動作を10回繰り返しても、水あか汚れを拭き取りきれなかった
III.貼り付き性
○: 不織布シートは清浄対象面から剥がれなかった。
×: 不織布シートは清浄対象面から剥がれた。
IV.呈色性
○: 色変化は大きく明瞭であった。
△: 色変化は視認可能であった。
×: 色変化は小さく不明瞭であった。
以上のように、本実施の形態の不織布シートは、酸性成分を含んだ水を十分に保持することができた。また、本実施の形態の不織布シートは、水あか汚れを浮かせて容易に拭き取ることができた。さらに、本実施の形態の不織布シートは、清浄対象面に対する適用中に、清浄対象面から剥がれなかった。
つまり、本実施の形態の不織布シートは、酸性成分を含んだ水を保持しつつ、清浄対象面の形状に沿って変形し、その形状を維持し続けることができるので、酸性成分を含んだ水を清浄対象面に対して効果的に適用することができるという効果を奏し得る。
また、実験例1〜8からは、pH指示薬(色素)を担持するセルロース繊維は、pH変化に応答して色が変化することがわかった。用いるpH指示薬(色素)を適切に選択することにより、所望のpH領域において色変化が生じる構成とすることができることがわかった。また、用いるpH指示薬(色素)を適切に選択することにより、明瞭な色変化を得ることができることがわかった。また、このとき、pH指示薬(色素)を担体に固定させるための色素溶液に結合剤を配合することによって、得られる担体についての色素流出の傾向を低減させることができることがわかった。これは、結合剤により、pH指示薬(色素)と担体とがより強固に固定されたためと考えられる。
実施例4では、不織布シートに水を付与することにより不織布シートは呈色した。不織布シートに含まれる水のpHが経時で変化すると、pHの変化に応じて不織布シートの色に明瞭な変化が見られた。
したがって、本実施の形態の不織布シートにおいて、不織布シートの構成要素としてpH指示薬(色素)を担持させた担体を用いることにより、pHの変化に応答して色が変化する不織布シートが得られる。使用者は、不織布シートが所望のpH領域のpHを呈していること、およびその後、不織布シートが所望のpH領域のpHを呈さなくなったことを、不織布シートの色変化により視覚によって認識することができる。したがって、使用者は、不織布シートが所望のpH領域のpHを呈している最中(つまり、使用に好適な時期)に不織布シートを使用することができ、また、不織布シートの使用終了時期を容易に判断することができる。
1 ウェブ形成装置
30 繊維混合物供給手段
41 第1のキャリアシート
51 第2のキャリアシート
100 ウェブ層
110 吸水性材料
140 熱融着性樹脂を含む機能性物質含有層
150 機能性物質含有層
160 繊維を含む機能性物質含有層
200 アルカリ性層
300 通水性または吸水性シート
350 他の層
400 フィルム
1000、2000、2010、2020 不織布シート
A、B 熱融着性樹脂
D 機能性物質
F 繊維
I pH指示薬(色素)
W エアレイドウェブ

Claims (15)

  1. エアレイド法により形成されたウェブ層を含む不織布シートであって、
    前記不織布シートは、水分と接触した際に酸性を呈する粉末を含み、
    前記ウェブ層は、吸水性材料を主体としてなる、不織布シート。
  2. 前記粉末は、前記ウェブ層に含まれる、請求項1に記載の不織布シート。
  3. 前記粉末は、前記ウェブ層の厚さ方向において前記ウェブ層の一方の面側に偏在している、請求項2に記載の不織布シート。
  4. 前記粉末は、前記ウェブ層の厚さ方向において一様に分布している、請求項2に記載の不織布シート。
  5. 前記粉末は、前記ウェブ層に層状に積層されている、請求項1に記載の不織布シート。
  6. 前記ウェブ層は、吸水性繊維を主体としてなる、請求項1から5のいずれか一項に記載の不織布シート。
  7. 前記不織布シートは、粒径1μm以上1000m以下の粒子状の熱融着性樹脂を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の不織布シート。
  8. 前記ウェブ層は、繊度1dtex以上120dtex以下、平均繊維長1mm以上100mm以下の繊維状の熱融着性樹脂を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の不織布シート。
  9. 前記不織布シートは、前記ウェブ層に隣接する通水性または吸水性シートを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の不織布シート。
  10. 前記不織布シートは、前記ウェブ層に接して層状に配置されている前記粉末に隣接する通水性または吸水性シートを含む、請求項5に記載の不織布シート。
  11. 前記不織布シートの一方の面にフィルムからなるフィルム層が設けられた、請求項1から10のいずれか一項に記載の不織布シート。
  12. 前記不織布シートは、水分と接触した際にアルカリ性を呈する粉末を含むアルカリ性層をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の不織布シート。
  13. 前記ウェブ層は、前記吸水性材料を、前記ウェブ層の質量を基準として60質量%を超える量で含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の不織布シート。
  14. 前記不織布シートは、pH指示薬と、担体と、を前記粉末と同一層に含有し、
    前記pH指示薬は、第四級アンモニウム塩によって前記担体に固定されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の不織布シート。
  15. 結合剤をさらに含み、前記pH指示薬は、前記第四級アンモニウム塩と、前記結合剤と、によって前記担体に固定されていることを特徴とする、請求項14に記載の不織布シート。
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