JPWO2008105156A1 - 偏光イメージング装置,及び微分干渉顕微鏡 - Google Patents

偏光イメージング装置,及び微分干渉顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】 光の強度情報と位相情報を同時に取得できる微分干渉顕微鏡を提供する。【解決手段】画素単位で透過軸方位を変えた偏光子アレイと撮像素子の組み合わせにより,偏光状態の空間分布を一度の撮影で取得できる偏光イメージング装置を用いて,微分干渉顕微鏡の像を観察し,そこから計算を行うことで,強度情報と位相情報を分離して取得できる。【選択図】図7

Description

本発明は,偏光イメージング装置,及び微分干渉顕微鏡に関する。より具体的に説明すると,本発明は,特殊な偏光子アレイ又は波長板アレイと,1/4波長板とを組み込むことで,簡便な装構成により,観測対象の厚さ,反射率及び透過率の変化を観測することができる微分干渉顕微鏡,及びそのような顕微鏡に用いられる偏光イメージング装置に関する。
まず図1,図2を用いて微分干渉顕微鏡の一般的な構成について説明する。図1は,透過光学系の微分環境顕微鏡の構成図である。なお図中では顕微鏡に必要なレンズ,フィルタは省略してある。光源101から出た光を,偏光子102を用いて,例えばx方向もしくはy方向の直線偏光にする。そして,x方向に45度(正負は問わない)の角度をなす異方性軸を持つ偏光分離素子103(例えばノマルスキープリズム)を用いて,偏光分離素子103の異方性軸の方向の偏光成分とそれに直交する方向の偏光成分ごとに経路を微小に分離させ,観測対象104に透過させる。そして,それらの光線を偏光分離素子103と同方向の異方性軸を持つ偏光分離素子105を通して結合し,干渉させ,偏光子106を通すことで観察物の凹凸もしくは位相差変化を明暗の情報に変換して,カメラ107で観察する。もちろん,微分干渉顕微鏡は,カメラを用いず接眼レンズを通して肉眼で観察を行っても構わない。
図2は反射光学系の微分干渉顕微鏡の構成を示す。図1と同様に顕微鏡に必要なレンズ,フィルタは省略してある。光源201から出た光を,偏光子202を用いて,例えばyz面においてy方向もしくはz方向に偏光方向をそろえる。そして,ハーフミラー203でビームの向きを変え,x方向に対し45度(正負は問わない)の方向に異方性軸を持つ偏光分離素子204(例えばノマルスキープリズム)を用いて,偏光分離素子204の異方性軸方向の偏光成分とそれに直交する方向の偏光成分ごとに経路を微小に分離させ,被観察物205で反射し,それらの光線を再び偏光分離素子204を通して結合し,干渉させ,偏光子206を通すことで観察物の凹凸もしくは位相差変化を明暗の情報に変換して,カメラ207で観察する。カメラではなく接眼レンズを通して肉眼で観察を行っても構わない。
透過光学系と反射光学系の構成部品は異なるが,基本的な原理は同じであるため,本明細書では透過光学系について説明を行う。ただし,本明細書において開示された技術は,反射光学系においても同様に適用できる。
上述したとおり,微分干渉顕微鏡では光線を,それぞれ直行した偏光で空間的に微小な距離だけ分離し,観測対象上の異なる点を透過もしくは反射させ,それらの光線を重ね合わせ,干渉させ,偏光子を通してその明暗を見る。
微分干渉顕微鏡のメカニズムを図1の透過光学系と図3に各段階での偏光状態を示した図を用いて説明する。図3はカメラ107から光源101の方向に見た図を示す。例えば,観測対象104の透過率が図3の303,304に示すようにxy面内で透過率の高い領域303と低い領域304に分かれている場合を考える。入射光の偏光状態は301に示すようであり,302に示すように偏光分離素子103を透過した光は互いに直交する偏光として空間的に分離される。観測対象104上での分離された2本の光の位置を303,304中で黒丸,白丸で明示する。両方とも領域303を透過した場合(左),それぞれの光線が領域303,領域304を透過した場合(中),両方とも領域304を透過した場合(右)について考える。それらが観測対象104を透過した後の偏光状態は305のようになる。符号305が示すように,それぞれ透過する場所により振幅が変化するため,それらが偏光分離素子105を通過し結合した後では306に示すように,透過率が2本とも同じ領域を透過した場合は,偏光方向は入射光から変化しないが,2本の光線が異なる透過率の領域を透過したものについては変化する。したがって,その後に入射光の偏光方向と直交する透過軸方向を持つ偏光子を通すことで,307のように透過率が2本光線とも同じ領域を透過した場合は偏光子で消光されるため強度はなくなるが,2本の光線が異なる透過率の領域を透過したものについては偏光子を透過する成分があるため,透過率の変化の傾き(つまり微分)を明暗に変換してみることができる。
図3において偏光子102の透過軸方向を示す301の偏光方向をx軸の正方向から,y軸の正方向に向けて45度傾けた角度で配置し,領域303の透過率をt1 2,領域304の透過率をt2 2とする。偏光子106の透過軸の角度をθとし,偏光子102を透過した光の強度を1とするとカメラ107で得られる強度Iは下記式(1)で表すことができる。
Figure 2008105156
先に説明した内容は,θ=135度の場合である。
図4は,一方で観測対象の透過率に空間的な変化はなく,光学的厚さのみ変化する場合を説明するための図である。図4はカメラ107から光源101の方向に見た図を示す。例えば,観測対象104の光学的厚さが図4の403,404に示すようにxy面内で光学的厚さが異なる場合を考える。光学的厚さは屈折率が変化した場合でも,厚さが変化した場合でも構わない。入射光の偏光状態は401に示すようであり,402に示すように偏光分離素子103を透過した光は互いに直交する偏光として空間的に分離される。観測対象104上での分離された2本の光の位置を403,404中で黒丸,白丸で明示する。両方とも領域404を透過した場合(左),それぞれの光線が領域404,領域403を透過した場合(中),両方とも領域403を透過した場合(右)について考える。それらが観測対象403を透過した後の,偏光状態は405のようになる。偏光方向,振幅は変化しないが,光学的厚さが異なると位相がずれる。したがってそれらが偏光分離素子を通過し結合した後では406に示すように,光学的厚さが2本の光線とも同じ領域を透過した場合は,2本の光線の間の位相差はなく,入射光と同じ直線偏光となるが,2本の光線が異なる光学的厚さの領域を透過したものについては2本の光線間に位相差が生じ楕円偏光もしくは円偏光となる。図中では右回りの楕円偏光を示しているが,光学的厚さの大小関係で,左回りにもなることはある。したがって,その後に入射光の偏光方向と直交する透過軸方向を持つ偏光子を通すことで,407のように光学的厚さが2本光線とも同じ領域を透過した場合は偏光子で消光されるため強度はなくなるが,2本の光線が光学的厚さが異なる領域を透過したものについては偏光子を透過する成分があるため,光学的厚さの変化の傾き(つまり微分)を明暗に変換してみることができる。
図4において偏光子102の透過軸方向を示す401の偏光方向をx軸の正方向から,y軸の正方向に向けて45度傾けた角度で配置し,領域403と領域404を透過した光の間の位相差をΔ,偏光子106の透過軸の角度をθとし,偏光子102を透過した光の強度を1とするとカメラ107で得られる強度Iは下記式(2)で表すことができる。
Figure 2008105156
先に説明した内容は,θ=135度の場合である。
観測対象に透過率と光学的厚さの両方に分布がある場合は,前記と同様に2本に分かれた光線がそれぞれ観測対象へ入射する部分での透過率をt1,t2,それぞれの光線の間に生じる位相差をΔ,偏光子106の透過軸の角度をθとし,偏光子102を透過した光の強度を1とするとカメラ107で得られる強度Iは下記式(3)で表すことができる。
Figure 2008105156
式の上からパラメータθを変化させても,t1,t2,及びΔを独立に求めることが不可能であることがわかる。また,図3と図4を比較しても,透過率の空間的変化がある場合と光学的厚さに変化がある場合とで区別をすることは,通常の微分干渉顕微鏡ではできないことは明らかである。
先に説明したとおり,従来の微分干渉顕微鏡では観測対象の厚さもしくは屈折率の変化と反射率もしくは透過率の変化を区別して観察することはできなかった。こうした問題についての以下の二つの解決方法が提案されている。すなわち,伊藤 雅英,石渡 裕,塚田 明宏,谷田貝 豊彦,「位相変調型微分干渉顕微鏡 −透過物体の位相分布の定量測定―」,光学,vol.30,no.9,pp.605-612(2001)(下記非特許文献1)及びHiroshi Ohki, Yutaka Iwasaki, and Jun Iwasaki, “Differential interference contrast
microscope with differential detection for optimizing
image contrast,” Applied Optics, vol.35, no.13, pp.2230-2234(1996)(下記非特許文献2)である。
文献1について図5を用いて説明する。なお図中では顕微鏡として必要なレンズは省略して描いてある。通常の微分干渉顕微鏡の光源側の偏光子と偏光分離素子の間に,4分の1波長板503を挿入した構成である。波長板の光軸は,たとえばノマルスキープリズムなどの偏光分離素子の異方性軸(x方向もしくはy方向)と45度なす角度に配置する。偏光子502を回転することにより波長板を透過する偏光状態は,偏光子の透過軸が波長板の光軸に平行もしくは垂直な場合は直線偏光となり,それ以外の角度では楕円偏光もしくは円偏光となる。その光は偏光分離素子503透過後,空間的に分離されるが,分離されたビーム間の位相差は上記偏光子502の角度により変化させることができる。
例えば504で分離される光線の互いの位相差を0度,90度,180度,270度という4つの状態でそれぞれ像を観察することができる。観察される像は上記分離されたビーム間の干渉により,位相差と振幅の差が合成され,強度となっているが,複数の位相差の像の差分から,振幅の大きさと位相差を個別に導出することができる。したがって,例えば同じ屈折率の材料からなり,表面に段差が付いている観測対象を観察した場合,算出した位相差の値から段差の高さを算出することが可能となり,見え方が改善されるだけではなく,定量的なデータを得ることができる。
図5においてx軸の正の方向を0度とし,y軸の正の方向に向かって角度が増加するとして,偏光子502の角度をθ,4分の1波長板の進相軸方向を45度に配置し,偏光分離素子504で光線が分離され,観測対象505を透過した後に偏光分離素子505で再び合成され,45度方向に透過軸を持つ偏光子507をカメラ508で受光する場合を考える。
偏光子502を透過した光の強度を1とし,観測対象面で2本に分かれた光線はそれぞれ透過率t1 2,t2 2の領域を透過し,その間に位相差Δが生じる場合,ディテクタ508で受光される強度Iθは下記(式4)で表される。
Figure 2008105156
偏光子502を0度,45度,90度,135度に配置した際の受光強度をI0,I45,I90,I135とすると
Figure 2008105156
と表される。これらからt1,t2,Δを得ることができる。
次に文献2の方法を図6にしたがって説明する。図6は,文献2に開示された方法を説明するための図である。文献2では光源601にレーサ光源を用いた微分干渉顕微鏡の接眼レンズ側の偏光分離素子605の後に,やはり偏光分離素子の異方性軸(x方向もしくはy方向)と45度をなす角度に光軸を持つ4分の1波長板606,回転可能な2分の1波長板607を順に挿入し,それらを透過した光を偏光分離素子608に入れ,互いに直交する偏光を空間的に分離する。ここでの偏光分離素子は例えばグラントムソンプリズムなど,偏光ごとに光路の角度を大きく変える素子である。偏光分離したそれぞれの光をディテクタ609とディテクタ610でそれぞれ受光しそれら強度空必要な情報を得る。レーザ光源601を観測対象面上でスキャンすることで,画像データを取得する。
例えば図6でx軸方向を0度とする。偏光子602でx軸の正方向から,y軸の正方向に向けて偏光方向が45度傾いた直線偏光を作成し,x軸方向に異方性軸をもつ偏光分離素子603で光線を分離し,観測対象面604に入射した後にx軸方向に異方性軸をもつ偏光分離素子605で光線を合成し,x軸方向に進相軸を持つ4分の1波長板606,角度θの方向に進相軸を持つ2分の1波長板607を透過し,偏光分離素子608においてx軸方向の偏光成分,y軸方向の偏光成分に分離され,それぞれディテクタ609,610で受光する場合を考える。偏光子602を透過した光の強度を1とし,観測対象面で2本に分かれた光線はそれぞれ透過率t1 2,t2 2の領域を透過し,その間に位相差Δが生じる場合,ディテクタ609で受光される強度I1は下記式(9)で表される。
Figure 2008105156
またディテクタ610で受光される強度I2は下記式(10)で表される。
Figure 2008105156
例えばθ=0度の場合,
Figure 2008105156
となり,t1,t2が求まる。θ=22.5度の場合
Figure 2008105156
となるため,式(11)式(12)と合わせてΔを求めることができる。
上記文献1も文献2も観測対象の透過率の情報と光学的厚さの情報を分離してみることができるため,従来の微分干渉では得られなかった情報を得ることができる。さらに偏光子507もしくは2分の1波長板607の角度を調整することで,振幅と位相の情報を適当に重ね合わせた画像を得ることができ,観測対象によって見え方を調整することができる。
例えば凹凸のある透明物体上に乗った透過率の異なる異物があった場合,従来の微分干渉顕微鏡では透明物体の凹凸と,物質の透過率の違いが同様に像の明暗として区別できなかったが,文献2の方法をとることで異物の像のみを明確に観察することができる。
文献1と文献2は用いている光学系の構成は異なるが,微分干渉顕微鏡観察において,光の強度情報と位相情報を分離して取得しようということでは同じである。
ただし,文献1では4分の1波長板503の回転系が必要であり,また文献2ではやはり2分の1波長板607を回転する必要があるため,データの取得に時間がかかり,本質的に細胞など動く観測対象の観察は不適である。またデータ取得を自動で行う場合には前記回転系の制御と撮影のタイミングを取る必要があり,システムが複雑となる。
伊藤 雅英,石渡 裕,塚田 明宏,谷田貝 豊彦,「位相変調型微分干渉顕微鏡 −透過物体の位相分布の定量測定―」,光学,vol.30,no.9,pp.605-612(2001) Hiroshi Ohki, Yutaka Iwasaki, and JunIwasaki, "Differential interference contrast microscope with differentialdetection for optimizing image contrast," AppliedOptics, vol.35, no.13, pp.2230-2234(1996)
本発明は,簡便な装置で,観測対象の厚さ,反射率及び透過率の変化を観測することができる微分干渉顕微鏡,及びそのような顕微鏡に用いられる偏光イメージング装置を提供することを目的とする。
本発明は,細胞など動く観測対象を観測することができる微分干渉顕微鏡,及びそのような顕微鏡に用いられる偏光イメージング装置を提供することを目的とする。
本発明は,基本的には,微分干渉顕微鏡における偏光子の代わりに1/4波長板を用いるとともに,観測系として所定の偏光子アレイ又は波長板アレイを具備する偏光イメージング装置を用いることで,観測対象を経た光の微小領域における強度及び位相を別々の情報として求めることができ,それにより,観測対象の厚さ,反射率及び透過率の変化を観測することができるという知見に基づくものである。
すなわち,本発明の第一の側面は,1/4波長板(706)と,偏光子ユニット(1207)を1個又は複数個含む偏光子アレイ(1201)と,受光素子アレイ(1202)と,画像処理部(904)と,を具備する偏光イメージング装置に関する。そして,1/4波長板(706)には,観測対象(704)を透過した光が入射する。偏光子ユニット(1207)には,1/4波長板(706)を透過した光が入射する。また,偏光子ユニット(1207)は,それぞれ透過軸が異なる3つ以上の偏光子の領域(1203,1204,1205,1206)に分かれており,前記各領域によって偏光方向が異なる前記入力光の偏光成分を透過させる。受光素子アレイ(1202)は,偏光子ユニットの各領域(1203,1204,1205,1206)を透過した光を,各領域(1203,1204,1205,1206)毎に受光する。画像処理部(904)は,前記受光素子アレイ(1202)が,受光した光の偏光成分を処理する。なお,本発明は,観測対象(704)を透過した光が入射する1/4波長板(706)と,
前記1/4波長板(706)を透過した光が入射し,それぞれ透過軸が異なる3つ以上の偏光子の領域(1203,1204,1205,1206)に分かれており,前記各領域によって偏光方向が異なる前記入力光の偏光成分を透過させる偏光子ユニット(1207)を1個又は複数個含む偏光子アレイ(1201)と,前記偏光子ユニットの各領域(1203,1204,1205,1206)を透過した光を,各領域(1203,1204,1205,1206)毎に受光する受光素子アレイ(1202)を具備する光学ユニットをも提供する。
後述するとおり,上記の構成を有する偏光イメージング装置を,微分干渉顕微鏡の構成に応用することで,簡便な装置で,観測対象の厚さ,反射率及び透過率の変化を観測することができる。
なお,画像処理部(904)が処理を行う「受光素子アレイ(1202)が受光した光の偏光成分の処理」は,後述するように,透過軸の異なる複数の偏光子を経た光の強度情報を用いて,四則演算処理を行うことにより,観測対象の透過率及び位相差を求めるものである。また,得られた値を用いて,透過率を空間的に微分した数値を求め,これを積分することで観測対象の画像を得るものである。具体的な,演算処理例としては,偏光子の透過軸が45度ずつずれており,透過軸が0度と90度のものから透過率を求める。そして,透過軸が45度と135度のものの差分値と,求めた透過率とを用いて位相差を求めるものがあげられる。このようにして求めた微小領域の位相差を用いて観測対象画像を得る方法は,公知の微分干渉顕微鏡における処理方法と同様の処理方法を適宜行えばよい。
本発明の第一の側面の好ましい態様は,前記偏光子アレイ(1201)は,自己クローニング法により製造された偏光子アレイである,上記に記載の偏光イメージング装置である。自己クローニングを用いることにより,好ましい偏光子アレイを設計できる。
本発明の第一の側面の好ましい態様は,前記偏光子アレイ(1201)の各領域(1203,1204,1205,1206)は,光源から放出される波長よりも微小な幅の金属細線の集合体又は誘電体細線の集合体により形成される上記に記載の偏光イメージング装置である。
本発明の第一の側面の好ましい態様は,微分干渉顕微鏡に用いられる上記いずれかに記載の偏光イメージング装置である。
本発明の第一の側面の好ましい態様は,上記いずれかに記載の偏光イメージング装置を具備する微分干渉顕微鏡である。すなわち,通常の微分干渉顕微鏡における受光素子の前に存在する偏光子の代わりに1/4波長板を設置し,所定の偏光子アレイを具備したイメージング装置を設置することで,微分干渉顕微鏡を得ることができることとなる。
具体的な微分干渉顕微鏡としては,光源からの光が入射する偏光子と,前記偏光子を経た光が入射する第1の偏光分離素子と,前記第1の偏光分離素子によって偏光分離された光であって観測対象を経たものが入射する第2の偏光分離素子と,前記第2の偏光分離素子を経た光が入射する1/4波長板と,前記1/4波長板を透過した光が入射し,それぞれ透過軸が異なる3つ以上の偏光子の領域に分かれており,前記各領域によって偏光方向が異なる前記入力光の偏光成分を透過させる偏光子ユニットを1個又は複数個含む偏光子アレイと,前記偏光子ユニットの各領域を透過した光を,領域毎に受光する受光素子アレイと,前記受光素子アレイが受光した光の偏光成分を処理する画像処理部(904)と,を具備するものがあげられる。
なお,第1の偏光分離素子と,観測対象との間には,コンデンサ(レンズ)など公知の光学素子が適宜設置されてもよい。また,第2の偏光分離素子と,1/4波長板との間には,対物レンズなど公知の光学素子が適宜配置されてもよい。また,第2の偏光分離素子は,たとえば,対物レンズの焦点位置よりも1/4波長板側に設置されることが好ましい。また,第1の偏光分離素子と第2の偏光分離素子とは,同一の偏光分離特性を有するものが好ましい。
なお,1/4波長板の位置は,観測対象の前であっても構わない。具体的な微分干渉顕微鏡としては,光源からの光が入射する偏光子と,前記偏光子を経た光が入射する1/4波長板と,前記1/4波長板を経た光が入射する第1の偏光分離素子と,前記第1の偏光分離素子によって偏光分離された光であって観測対象を経たものが入射する第2の偏光分離素子と,前記第2の偏光分離素子を透過した光が入射し,それぞれ透過軸が異なる3つ以上の偏光子の領域に分かれており,前記各領域によって偏光方向が異なる前記入力光の偏光成分を透過させる偏光子ユニットを1個又は複数個含む偏光子アレイと,前記偏光子ユニットの各領域を透過した光を,領域毎に受光する受光素子アレイと,前記受光素子アレイが受光した光の偏光成分を処理する画像処理部と,を具備するものがあげられる。
本発明の第2の側面は,それぞれ光軸方向が異なる3つ以上の波長板の領域(1403,1404,1405,1405)に分かれており,入射される入力光のうち,前記各領域によって各領域の光軸とそれに直行する偏光成分に異なる位相差を生じさせる波長板ユニット(1407)を1個又は複数個含む波長板アレイ(1401)と,前記波長板アレイ(1401)を経た光が入射する偏光子(1408)と,前記偏光子(1408)を経た光を,前記各領域(1403,1404,1405,1405)を透過した光毎に受光する受光素子アレイ(1402)と,前記受光素子アレイ(1402)が受光した光の偏光成分及び無偏光成分を処理する画像処理部(904)と,を具備する偏光イメージング装置に関する。
本発明の第2の側面の好ましい態様は,前記波長板アレイ(1401)は,自己クローニング法により製造された波長板アレイである,上記に記載の偏光イメージング装置に関する。
本発明の第2の側面の好ましい態様は,前記波長板アレイ(1401)の各領域(1403,1404,1405,1405)は,光源から放出される波長よりも微小な幅の金属細線の集合体又は誘電体細線の集合体により形成される上記に記載の偏光イメージング装置に関する。
本発明の第2の側面の好ましい態様は,微分干渉顕微鏡に用いられる 上記に記載の偏光イメージング装置に関する。
本発明の第2の側面の好ましい態様は,上記いずれかに記載の偏光イメージング装置を具備する微分干渉顕微鏡に関する。
本発明の第一の側面の好ましい態様は,上記いずれかに記載の偏光イメージング装置を具備する微分干渉顕微鏡である。すなわち,通常の微分干渉顕微鏡における受光素子の前に存在する偏光子の代わりに1/4波長板を設置し,所定の波長板アレイを具備したイメージング装置を設置することで,微分干渉顕微鏡を得ることができることとなる。
具体的な微分干渉顕微鏡としては,光源からの光が入射する偏光子と,前記偏光子を経た光が入射する第1の偏光分離素子と,前記第1の偏光分離素子によって偏光分離された光であって観測対象を経たものが入射する第2の偏光分離素子と,前記第2の偏光分離素子を経た光が入射する1/4波長板と,前記1/4波長板を透過した光が入射し,それぞれ透過軸が異なる3つ以上の波長板の領域に分かれており,前記各領域によって偏光方向が異なる前記入力光の偏光成分を透過させる波長板ユニットを1個又は複数個含む波長板アレイと,前記波長板ユニットの各領域を透過した光を,領域毎に受光する受光素子アレイと,前記受光素子アレイが受光した光の偏光成分を処理する画像処理部(904)と,を具備するものがあげられる。
なお,第1の偏光分離素子と,観測対象との間には,コンデンサ(レンズ)など公知の光学素子が適宜設置されてもよい。また,第2の偏光分離素子と,1/4波長板との間には,対物レンズなど公知の光学素子が適宜配置されてもよい。また,第2の偏光分離素子は,たとえば,対物レンズの焦点位置よりも1/4波長板側に設置されることが好ましい。また,第1の偏光分離素子と第2の偏光分離素子とは,同一の偏光分離特性を有するものが好ましい。
なお,1/4波長板の位置は,観測対象の前であっても構わない。具体的な微分干渉顕微鏡としては,光源からの光が入射する偏光子と,前記偏光子を経た光が入射する1/4波長板と,前記1/4波長板を経た光が入射する第1の偏光分離素子と,前記第1の偏光分離素子によって偏光分離された光であって観測対象を経たものが入射する第2の偏光分離素子と,前記第2の偏光分離素子を透過した光が入射し,それぞれ透過軸が異なる3つ以上の波長板の領域に分かれており,前記各領域によって偏光方向が異なる前記入力光の偏光成分を透過させる波長板ユニットを1個又は複数個含む波長板アレイと,前記波長板ユニットの各領域を透過した光を,領域毎に受光する受光素子アレイと,前記受光素子アレイが受光した光の偏光成分を処理する画像処理部と,を具備するものがあげられる。
本発明によれば,簡便な装置で,観測対象の厚さ,反射率及び透過率の変化を観測することができる微分干渉顕微鏡,及びそのような顕微鏡に用いられる偏光イメージング装置を提供することができる。
本発明によれば,細胞など動く観測対象を観測することができる微分干渉顕微鏡,及びそのような顕微鏡に用いられる偏光イメージング装置を提供することができる。
本発明に係る偏光イメージング装置としては,それぞれ透過軸が異なる3つ以上の偏光子の領域に分かれており,前記各領域によって偏光方向が異なる前記入力光の偏光成分を透過させる偏光子ユニットを1個又は複数個含む偏光子アレイと,前記各領域を透過した光を独立に受光する受光素子アレイと,前記受光素子アレイからの前記偏光成分及び無偏光成分を処理する画像処理部と,を有する偏光イメージング装置が挙げられる。
偏光子アレイとは,透過軸の異なる複数の偏光子をユニット化したもの(偏光子ユニット)を複数ユニット組み合わせたものであり,複数の偏光方向を有する光を抽出することができ,この複数抽出により解析精度が高められている。本明細書では,前記偏光子を「偏光子領域」ともよび,この偏光子領域は,例えば自己クローニング法により周期的に形成された凹凸の方向に垂直もしくは平行な偏光を透過し,それに直交する偏光を反射する特性を有する。また,例えばワイヤーグリッド型の偏光子では,偏光子領域に形成された金属細線の方向に垂直な偏光を透過し,金属細線の方向に平行な偏光を反射する特性を有する。この偏光子アレイを受光モジュールの一部に用いることで,受光素子アレイにおける素子(画素)単位で輝度情報に加えて偏光情報を同時に取得することができ,取得画像の局所的な偏光情報を検出することができる。
つまり,空間並列に向きの異なる偏光子を配置することで,カメラの前に偏光子を置いてまわした場合と同じ情報を一度に取得することができる。
偏光イメージング装置としては,前記偏光子アレイを用いたものの他に,それぞれ光軸方向が異なる3つ以上の波長板の領域に分かれており,入射される入力光のうち,前記各領域によって各領域の光軸とそれに直行する偏光成分に異なる位相差を生じさせる波長板ユニットを1個又は複数個含む波長板アレイと,前記各領域を透過した光を独立に受光する受光素子アレイと,前記波長板アレイと前記受光素子アレイとの間に配置された偏光子と,前記受光素子アレイからの前記偏光成分及び無偏光成分を処理する画像処理部と,を有する偏光イメージング装置が挙げられる。
波長板アレイとは,波長板の進相軸方位の異なる複数の波長板をユニット化したもの(波長板ユニット)を複数ユニット組み合わせたものであり,複数の偏光方向を有する光を抽出することができ,この複数抽出により解析精度が高められている。本明細書では,前記偏光子を「波長板領域」とも呼び,この波長板領域は,例えば自己クローニング法により周期的に形成された凹凸の方向に垂直もしくは平行に進相軸を持つ。また,例えば波長に比べ十分細い誘電体の柱を配した波長板では,柱に垂直もしくは平行に進相軸を持つ特性を有する。この波長板アレイを受光モジュールの一部に用い,波長板アレイと受光素子の間に偏光子を配置することで,受光素子アレイにおける素子(画素)単位で輝度情報に加えて偏光情報を同時に取得することができ,取得画像の局所的な偏光情報を検出することができる。
偏光イメージング装置を用いることで,微分干渉顕微鏡において1回の撮影結果から位相情報と強度情報をそれぞれ独立に処理することができる。従来必要であった回転部分が不要となり,システムが簡便となり,高速かつ信頼性の高いシステムが構築できる。
図1は,通常の透過型微分干渉顕微鏡の構成を示す図である。 図2は,通常の反射型微分干渉顕微鏡の構成を示す図である。 図3は,透過型微分干渉顕微鏡において,観測対象の透過率によって各部で偏光状態がどう変化するかを説明する図である。 図4は,透過型微分干渉顕微鏡において,観測対象の光学的厚さによって各部で偏光状態がどう変化するかを説明する図である。 図5は,文献1の微分干渉顕微鏡の構成を示す図である。 図6は,文献2の微分干渉顕微鏡の構成を示す図である。 図7は,本発明の実施形態にかかる偏光子アレイを用いた偏光イメージング装置と透過型微分干渉顕微鏡を組み合わせた構成図である。 図8は,本発明の実施形態にかかる波長板アレイを用いた偏光イメージング装置と透過型微分干渉顕微鏡を組み合わせた構成図である。 図9は,本発明の実施形態にかかる偏光イメージング装置の概略構成図である。 図10は,フォトニック結晶からなる偏光子もしくは波長板の概念図である。 図11は,図10に示すフォトニック結晶の伝搬特性を表すバンド図である。 図12は,透過軸が4種類の領域を有する偏光子ユニットを複数並べた偏光子アレイと,受光素子アレイとからなる受光モジュールの概略概観図である。 図13は,実施形態に係る画像処理方法を説明するための,偏光子アレイと受光素子アレイの概略構成図である。 図14は,進相軸が4種類の領域を有する波長板ユニットを複数並べた波長板アレイと,偏光子と受光素子アレイとからなる受光モジュールの概略概観図である。 図15は,実施形態に係る画像処理方法を説明するための,波長板アレイと受光素子アレイの概略構成図である。 図16は,実施例において観測された電子回路の表面を示す図面に代わる写真である。 図17は,実施例において観測された電子回路の表面を示す図面に代わる写真である。
符号の説明
101 光源
102 偏光子
103 偏光分離素子
104 観測対象
105 偏光分離素子
106 偏光子
107 カメラ
201 光源
202 偏光子
203 ビームスプリッター
204 偏光分離素子
205 観測対象
206 偏光子
207 カメラ
301 偏光子102を透過した後の偏光状態
302 偏光分離素子103を透過した後の偏光状態
303 観測対象上の透過率の低い部分
304 観測対象上の透過率の高い部分
305 観測対象透過後の偏光状態
306 偏光分離素子105を透過した後の偏光状態
307 偏光子106を透過した後の偏光状態
401 偏光子102を透過した後の偏光状態
402 偏光分離素子103を透過した後の偏光状態
403 観測対象上の光学的厚さの厚い部分
404 観測対象上の光学的厚さの薄い部分
405 観測対象透過後の偏光状態
406 偏光分離素子105を透過した後の偏光状態
407 偏光子106を透過した後の偏光状態
501 光源
502 偏光子
503 4分の1波長板
504 偏光分離素子
505 観測対象
506 偏光分離素子
507 偏光子
508 カメラ
601 光源
602 偏光子
603 偏光分離素子
604 観測対象
605 偏光分離素子
606 4分の1波長板
607 2分の1波長板
608 偏光分離素子
609 ディテクタ
610 ディテクタ
701 光源
702 偏光子
703 偏光分離素子
704 観測対象
705 偏光分離素子
706 4分の1波長板
707 偏光子アレイを用いた偏光イメージング装置
801 光源
802 偏光子
803 偏光分離素子
804 観測対象
805 偏光分離素子
806 波長板アレイを用いた偏光分離素子
901 偏光イメージング装置
902 偏光子アレイ
903 受光素子アレイ
904 受光モジュール
905 画像処理部
906 演算部
907 メインメモリ
908 出力部
1001 周期的な溝列を形成した透明材料基板
1002 高屈折率の媒質
1003 低屈折率の媒質
1101 TM偏光のみが透過する周波数帯
1102 TE偏光のみが透過する周波数帯
1103 TE偏光,TM偏光ともに透過する周波数帯
1201 偏光子アレイ
1202 受光素子アレイ
1203 x方向に溝を形成したフォトニック結晶偏光子
1204 x軸の正方向からy軸の正方向へ45度傾けた方向に溝を形成したフォトニック結晶偏光子
1205 y方向に溝を形成したフォトニック結晶偏光子
1206 y軸からx軸の負の方向に45度傾けた方向に溝を形成したフォトニック結晶偏光子
1207 4方向の偏光子領域を含む偏光子ユニット
1301 偏光子アレイ
1302 受光素子アレイ
1303 x方向に溝を形成したフォトニック結晶偏光子
1304 x軸の正方向からy軸の正方向へ45度傾けた方向に溝を形成したフォトニック結晶偏光子
1305 y方向に溝を形成したフォトニック結晶偏光子
1306 y軸からx軸の負の方向に45度傾けた方向に溝を形成したフォトニック結晶偏光
1307 4方向の偏光子領域を含む偏光子ユニット
1401 波長板アレイ
1402 受光素子アレイ
1403 x方向に溝を形成したフォトニック結晶波長板
1404 x軸の正方向からy軸の正方向へ45度傾けた方向に溝を形成したフォトニック結晶波長板
1405 y方向に溝を形成したフォトニック結晶波長板
1406 y軸からx軸の負の方向に45度傾けた方向に溝を形成したフォトニック結晶波長板
1407 4方向の波長板領域を含む波長板ユニット
1408 偏光子
1501 波長板アレイ
1502 受光素子アレイ
1503 x方向に溝を形成したフォトニック結晶波長板
1504 x軸の正方向からy軸の正方向へ45度傾けた方向に溝を形成したフォトニック結晶波長板
1505 y方向に溝を形成したフォトニック結晶波長板
1506 y軸からx軸の負の方向に45度傾けた方向に溝を形成したフォトニック結晶波長板
1507 4方向の波長板領域を含む波長板ユニット
図7は,本発明の第1の側面にかかる偏光子アレイを用いた偏光イメージング装置と透過型微分干渉顕微鏡を組み合わせた構成図である。図7に示されるように進相軸がx方向もしくはy方向にある4分の1波長板706を挿入し,偏光イメージングカメラ707により各偏光方向の成分を観察することで,図6の2分の1波長板607を回転して得られる情報と同じ情報を一度の撮影で得ることができる。
図7においてx軸の正の方向を0度とし,y軸の正の方向に向かって角度が増加するとして,偏光子702の透過軸を45度方向に配置し,偏光分離素子703の異方性軸をx軸方向に設定し,光線をx方向に分離幅δxだけ分離し観測対象704に入射する。観測対象704を透過した光は偏光分離素子705によって一つの光線に合成され,x軸方向に進相軸を持つ4分の1波長板706を透過し,偏光イメージング装置707で像を観察する。偏光イメージング装置707では,透過軸が0度,45度,90度,135度の方向に配置された偏光子アレイを持ち,それぞれの方向の成分を検出できる。
偏光子702を透過した光の強度を1とし,観測対象面で2本に分かれた光線はそれぞれ透過率t1 2,t2 2の領域を透過し,その間に位相差Δが生じる場合,偏光方向0度,45度,90度,135度の成分の強度をI0,I45,I90,I135は下記式のように表される。
Figure 2008105156
したがってI0,I90から観測対象704の透過率がわかり,I45,I135から位相差Δが求まる。またI0とI90の差をとることで,δxの幅での透過率の変化を表すため,透過率を空間的に微分した画像が得られる。一方で位相差Δはδxの幅での光学的厚さの変化を表す。
また図8に示すように,偏光分離素子805の光源と反対側に波長板アレイを用いた偏光イメージング装置806を配置し,像を得ることで,観測対象を透過した光の偏光情報を取得することができる。
図8においてx軸の正の方向を0度とし,y軸の正の方向に向かって角度が増加するとして,偏光子802の透過軸を45度方向に配置し,偏光分離素子803の異方性軸をx軸方向に設定し,光線をx方向に分離幅δxだけ分離し観測対象804に入射する。観測対象804を透過した光は偏光分離素子805によって一つの光線に合成され,偏光イメージング装置706で像を観察する。偏光イメージング装置806では,進相軸が0度,45度,90度,135度の方向に配置された4分の1波長板アレイ偏光子アレイを持ち,受光素子との間に透過軸方位が0度の偏光子を配置する。
偏光子802を透過した光の強度を1とし,観測対象面で2本に分かれた光線はそれぞれ透過率t1 2,t2 2の領域を透過し,その間に位相差Δが生じる場合,波長板アレイの進相軸方向0度,45度,90度,135度の成分の強度をI,I45,I90,及びI135とすると,それらは下記式のように表される。
Figure 2008105156
式(15)〜式(18)と式(19)〜式(22)を比較すると明らかなように,偏光子アレイを用いた図7の構成と波長板アレイを用いた図8の構成では同じ情報を得ることができる。
以上,透過光学系の顕微鏡について説明したが,反射光学系についても同様の効果が得られることは明らかである。
装置構成の概要
以下,図面に基づいて,本発明の実施形態に係る偏光イメージング装置について説明する。図9は,本発明の実施形態に係る偏光イメージング装置の概略構成図である。図9に示すように,偏光イメージング装置900は,偏光子アレイ901と偏光子アレイからの光を受光する受光素子アレイ902とからなる受光モジュール903と,受光素子アレイ902からの光に関する情報を処理する画像処理部904とを有する偏光イメージング装置である。
なお,画像処理部904は,偏光イメージング装置に備えられたCPUなどの演算部905により,メインメモリ906中の制御プログラムから受けた指令,メモリなどの記憶手段から読み出された記憶情報などに基づいて,たとえば下記詳細に説明する画像処理を行うように構成されている。そして,得られた処理画像は,演算部905からの指令により,モニタやプリンタなどの出力部907から出力されるようになっている。
次に,偏光イメージング装置を実現する各構成,すなわち,偏光子アレイ901と受光素子アレイ902とからなる受光モジュール903,および画像処理部904における画像処理原理について説明する。
偏光子アレイ
図10は,フォトニック結晶からなる偏光子の概念図である。まず,フォトニック結晶からなる偏光子について説明する。図10のような周期的な溝列を形成した透明材料基板1001上に,透明で高屈折率の媒質1002と低屈折率の媒質1003とを界面の形状を保存しながら,交互に積層する。各層はx方向に周期性を持つが,y方向には一様であってもよいしx軸方向より大きい長さの周期的または非周期的な構造を有していてもよい。このような微細な周期構造(フォトニック結晶)は,自己クローニング技術と呼ばれる方式(特開平10−335758号公報を参照)を用いることにより,再現性良く且つ高い均一性で作製することができる。
こうして作成された周期構造体にxy面に垂直あるいは斜め方向から無偏波光または楕円偏光を入射すると,溝列と平行な偏波即ちy偏波と,それに直交するx偏波とに対して,それぞれTEモードとTMモードの光が周期構造体の内部に励起される。TEモードとTMモードの伝搬定数は,周期構造を構成する材料の屈折率,xy面の周期,積層周期によって広い範囲で選ぶことができる。
図11は,図10に示すフォトニック結晶の伝搬特性を表すバンド図である。同図には,高屈折率材料としてSi,低屈折率材料としてSiOを用いた場合の2次元周期構造の分散曲線の例を示してある。縦軸は波長λの逆数を積層周期Lzで規格化した値,横軸は1周期を伝搬したときの位相変化量k(kはz方向の伝播定数)をπで規格化した値である。白丸がTE波,黒丸がTM波を示す。Lは面内方向の周期を表し,ここではL/L=1としてある。
入射する光の周波数が,バンドギャップの中にあれば,そのモードは周期構造体の中で伝搬することができず,入射光は反射または回折される。一方,光の周波数がフォトニックバンド内にあれば,周期構造体の中を光は透過することができる。周波数領域301では,TE波はバンドギャップとなり反射され,TM波は伝搬域であるため透過され,従って偏光分離素子(特開2001−83321号公報,特開2000−056133号公報(特許3288976号)を参照。)として動作する。周波数領域1102では,TE波が透過し,TM波が反射される偏光子として動作する。本構造の偏光子の特長は,透過光の消光比が高い,薄型軽量,任意の基板に形成可能,などが挙げられる。これまで数値シミュレーションと実験により,特に高周波数側の1101の領域を利用したもので,高い消光比50dBを少ない積層数10周期で実現している。一方,周波数領域1103では,TE波とTM波ともに伝搬域となり透過する。しかしこの場合,2つの曲線がずれていることからそれぞれの伝搬定数が異なり,2つのモードに位相差を与える波長板として動作することになる。
フォトニック結晶からなる偏光子や波長板は,構成する材料の屈折率,充填率,溝列の周期L,積層方向の周期Lを調整することで,動作波長域を自由に設定することができる。例えば,基板のパターンや製膜に使用する材料,および積層周期や積層数を適当に設計することにより,任意の位相差を与える波長板を設計可能であり,例えば位相差がπ/2となるようにすれば,1/4波長板として動作させることができる。さらに,溝の周期や方向は1枚の基板内の領域毎に独立に変えることができるため,フォトニック結晶の特性を領域毎に変えることができる。これをマルチパターンフォトニック結晶と呼ぶ。例えば,偏光子であれば領域毎に光軸方向を変えることができ,また波長板であれば,光軸方向や位相差を変えることができる。
フォトニック結晶を構成する低屈折率媒質としては,SiOを主成分とする材料が最も一般的であり,透明波長領域が広く,化学的,熱的,機械的にも安定であり,製膜も容易に行うことができる。また,低屈折率媒質としてはその他の光学ガラス,例えばMgFのようなより屈折率の低い材料を用いてもよい。高屈折率材料としては,Si,Geなどの半導体や,Ta,TiO,Nb,HfO,Siなどの酸化物や窒化物を用いることができる。半導体材料は屈折率が大きいため,大きなバンドキャップが得られるという利点があるが,利用波長域は近赤外に限定される。一方,酸化物や窒化物は透明波長範囲が広いことから,可視光領域でも使用することが可能となる。
自己クローニング法によりフォトニック結晶偏光子を作製する場合,まず基板上に電子ビームリソグラフィとドライエッチングにより,先の図10の基板1001に示したような周期的な溝を作製する。溝パターンの形成には,その他のフォトリソグラフィや干渉露光,金型によるスタンピング技術を用いても良い。また,図10では溝の断面形状は矩形であるが,三角形など他の形でも良い。基板としてはSiや石英ガラス,その他の光学ガラスなどが使用できる。凹凸のピッチは入射する光の波長の半分程度,例えば0.8μmの光では0.4μm程度,溝の深さは0.2μm程度である。
上述した偏光子の開口面積や透過軸は,はじめに基板に加工する溝パターンの大きさや方向で自由に設計することができる。パターン形成は,電子ビームリソグラフィ,フォトリソグラフィ,干渉露光法,ナノプリンティングなど様々な方法で行うことができる。いずれの場合でも,微小領域ごとに溝の方向を高精度に定めることができる。そのため,透過軸の異なる微小偏光子を組み合わせた偏光子ユニット,更にそれを複数並べた偏光子アレイを形成することが可能となる。また,凹凸パターンを持つ特定の領域のみが偏光子の動作をするため,その周辺の領域を平坦あるいは,面内で等方的な凹凸パターンにしておけば偏波依存性のない媒質として光は透過する。したがって,特定の領域にのみ偏光子を作りこむことができる。
この基板1001上に,TaおよびSiO等のターゲットを用い,スパッタデポジションとバイアススパッタリングを組み合わせて交互多層膜を積層する。このとき,各層のx軸方向に周期的な凹凸形状が保存されるように,バイアス条件を適切に設定することが肝要である。この自己クローニング技術(特開平10−335758号公報(特許3325825号)を参照。)は,再現性,均一性が高く,工業的に微細な周期構造(フォトニック結晶)を作製する優れた手法である。基板の上に規則的な積層構造が生成される理由は,(1)ターゲットからの中性粒子の分散入射による堆積,(2)Arイオンの垂直入射によるスパッタエッチング,それと,(3)堆積粒子の再付着の3つの作用の重ね合わせによって説明することができる。
作製条件の一例としては,たとえば,Ta層の製膜では,ガス圧0.27Pa(2mTorr),ターゲット印加高周波電力300W,SiO層の製膜では,ガス圧0.80Pa(6mTorr),ターゲット印加高周波電力300W,スパッタエッチングはSiO層製膜後に行ない,ガス圧0.27Pa(2mTorr),基板印加高周波電力90Wの作製条件が挙げられる。
偏光子ユニットを構成する各領域(偏光子)としては,偏光子としての機能を有するものであれば特に限定されない。偏光子の例としては,上述した,自己クローニング技術により形成されたフォトニック結晶の他に,例えば,ワイヤーグリッド型偏光子などが挙げられる。
ワイヤーグリッド型の偏光子とは,細い金属ワイヤーを周期的に配列することにより形成された偏光子であり,従来,電磁波のミリ波領域において多く用いられてきた偏光子である。ワイヤーグリッド型偏光子の構造は,入力光の波長に比べて十分細い金属細線が波長に比べて十分に短い間隔で並んだ構造を有する。このような構造に光を入射した場合,金属細線に平行な偏光は反射され,それに直交する偏光は透過されることはすでに知られている(例えば,米国特許6122103号を参照)。金属細線の方向については,1枚の基板内において領域ごとに独立に変化させて作製することができるため,ワイヤーグリッド偏光子の特性を領域毎に変えることができる。これを利用すれば,本実施形態における偏光子ユニットのような,例えば領域毎に透過軸の方向を変化させた構造とすることができる。
ワイヤーグリッドの作製方法としては,基板上に金属膜を形成し,リソグラフィによりパターニングを行うことで,細線状の金属を残すことができる。他の作製方法としては,リソグラフィにより基板に溝を形成し,この溝の方向とは直角で基板の法線から傾いた方向(基板面に斜めの方向)から真空蒸着により金属を成膜することで作製することができる。真空蒸着では蒸着源から飛来する粒子はその途中で他の分子もしくは原子にほとんど衝突することはなく,粒子は蒸着源から基板にむかって直線的に進むため,溝を構成する凸部にのみ成膜される一方,溝の底部(凹部)では,凸部に遮蔽されほとんど成膜されない。したがって,成膜量を制御することで,基板上に形成された溝の凸部にのみ金属膜を成膜することができ,金属細線を作製することができる。
その他の作製方法としては次の例が挙げられる。表面に凹凸を有する基板を作製するためには,通常,基板上にレジストを塗付し,リソグラフィにより露光・現像を行い,ドライもしくはウエットのエッチング処理により,レジストを残したまま下地基板にパターニングを行う。したがって,通常,エッチング処理が終了した時点ではレジストは基板上の凸部上部に存在する。この状態において,真空蒸着により基板の垂直方向から金属膜を成膜した場合,レジスト上及び溝の底部には金属膜が成膜されるが,溝の側面(壁面)にはほとんど成膜されない。次に,レジストを溶剤で溶かすことにより,レジスト上の金属膜を剥離し,溝の底部のみに金属を残すことができる。
上述するようにして金属細線を作製することができるが,干渉露光法においてこの金属細線を微小領域ごとに透過軸を変えて作製する方法としては,例えば,基板上において領域ごとのマスクをして上記方法を実施すればよい。例えば,4つの偏光子領域を有する偏光子ユニットを複数個並列させて偏光子アレイを作製する場合には,基板上に金属膜を形成した後,第1の領域を開口すると共に第2から第4の領域を遮蔽したマスクを用いて,第1の領域における金属細線を作製し,これを順次繰り返すことにより,第2から第4の領域にもそれぞれ透過軸が異なる金属細線を作製することができる。基板に溝(凹凸)を形成する方法でも,同様に領域ごとにマスクを利用することで作製することができる。
なお,ワイヤーグリッド型偏光子に用いられるワイヤー金属としては,アルミニウムもしくは銀が望ましいが,例えばタングステンなど,そのほかの金属であっても同様の現象を実現できる。また,リソグラフィとしては,光リソグラフィ,電子ビームリソグラフィ又はX線リソグラフィなどが挙げられるが,可視光での動作を想定すると細線の間隔が100nm程度になるため,電子ビームリソグラフィもしくはX線リソグラフィがより望ましい。また,金属の成膜では真空蒸着が望ましいが,主として基板に入射する粒子の方向性が重要であるので,高真空度の雰囲気におけるスパッタリング,もしくはコリメーターを用いたコリメーションスパッタでも可能である。
上述した偏光子の開口面積や透過軸は,はじめに基板に加工する溝パターンの大きさや方向で自由に設計することができる。パターン形成は,電子ビームリソグラフィ,フォトリソグラフィ,干渉露光法,ナノプリンティングなど様々な方法で行うことができる。いずれの場合でも,微小領域ごとに溝の方向を高精度に定めることができる。そのため,透過軸の異なる微小偏光子を組み合わせた偏光子ユニット,更にそれを複数並べた偏光子アレイを形成することが可能となる。また,凹凸パターンを持つ特定の領域のみが偏光子の動作をするため,その周辺の領域を平坦あるいは,面内で等方的な凹凸パターンにしておけば偏波依存性のない媒質として光は透過する。したがって,特定の領域にのみ偏光子を作りこむことができる。一列以上でも作製することができる。
以下の説明は,偏光子ユニットを構成する領域(偏光子)として,フォトニック結晶を用いた例について説明する。なお,ワイヤーグリッド型の偏光子やその他の偏光子であっても同様の説明で実施することができる。
図12は,透過軸が4種類の領域を有する偏光子ユニットを複数並べた偏光子アレイと,受光素子アレイとからなる受光モジュールの概略概観図である。図12に示すように,受光モジュールは偏光子アレイ1201と受光素子アレイ1202を重ね合わせて構成される。なお,図12には,説明のため各アレイを離して図示してある。
まず,偏光子アレイ1201について説明する。偏光子の構造は図10に示す構造からなり,直交座標系x,y,zにおいて,xy面に平行な1つの基板の上に2種以上の透明材料をz方向に交互に積層した多層構造体(例えばTaとSiOの交互多層膜)からなる。偏光子ユニット1207は,xy面内において3つ以上の領域,本実施形態では4つの領域1203〜1206に分かれていて,各領域で各膜は凹凸形状を有しており,この凹凸形状は領域毎に定まるxy面内の一つの方向に周期的に繰り返されて形成されている。
第1の領域1203は溝の方向がx軸に対して0°であり,第2の領域1204は45°,第3の領域1205は90°,第4の領域1206は135°となっている。(x軸を基準とする必要はなく,他の軸を基準として定義することもできる。)但し,配列順番は限定されるものではなく,自由に配置することができ,本実施形態では,偏光子ユニット1207内に溝方向の角度が0°,45°,90°,135°の領域が形成されていればよい。それぞれの領域は,先に述べたフォトニック結晶偏光子として動作する。すなわち,xy面に入射される入力光から,各領域によって偏光方向が異なる偏光成分を透過させると共に,全領域において,それぞれ等量の無偏光成分を透過させるようになっている。なお,本実施形態では,偏光子の透過軸は4種類であるが,凹凸の軸方向は0°と60°と120°の3種類でも良いし,4方向以上であっても良い。
ここでフォトニック結晶偏光子は,カメラ撮影用として,例えば面内の周期を0.44μm,積層周期を0.44μm,TaとSiOの膜厚比を4:6とし,その動作波長が例えば波長0.8μm帯で動作するように設計する例が挙げられる。図10の構造体に光を垂直方向から入射したとき,溝に平行な偏光は反射され,透過方向には減衰され,その減衰率は15周期で30dB程度となる。一方,溝に垂直な偏光は伝搬し,その透過損失は10周期で0.1dB以下となる。しかしながら,材料の選定や構造パラメータの選定には自由度がある。例えば,高屈折率材料としては,Ta,TiO,Nb,HfO2でもよく,低屈折率としてはパイレックス(登録商標)ガラス,MgF,その他光学ガラスでもよい。動作波長が赤外であれば高屈折率材料としてGe,SiGeなどを使うこともできる。また,膜厚比,面内周期,積層周期,斜面の角度に各偏波の分散関係は依存し,偏光子として動作する波長帯が変化する。従って,可視・紫外から赤外までの任意の波長帯に対して設計,作製できる。
ここで基板表面の溝形成は電子ビームリソグラフィと反応性エッチングを用いることができる。その他,フォトリソグラフィでもピッチに対して適した光の波長を選んでおけば形成可能である。偏光子アレイを構成する各領域の大きさは,50μm角が挙げられるが,それよりも大きくても(例えば1000μm角),小さくても(例えば5μm角)良い。また,正方形のパターンだけでなく,三角形,長方形,六角形など任意である。このようにして,領域毎に透過偏光方向の異なる偏光子アレイを形成できる。
この偏光子アレイ1201を,受光素子(画素)が同じ周期で配列された受光素子アレイ1202の上に搭載することにより,偏光状態を測定する。光受光素子は,CCD,半導体フォトダイオード,C−MOSや撮像管でも良い。CCDの場合では,一つの領域(画素)の大きさが数μmから数十μmであるので,偏光子アレイと組み合わせることで,高精度な画像情報として,光の偏光状態を観測できる。
図13は,実施形態に係る画像処理方法を説明するための,偏光子アレイと受光素子アレイの概略構成図である。図13に示すように,偏光子アレイ1301を構成する複数の偏光子ユニット1307があり,当該偏光子ユニット1307は4つの偏光子領域1303〜1307を有する。一方,受光素子アレイ1302は複数の受光素子を有し,受光素子1302-0(領域番号m=0)が領域1303からの透過光を受光し,受光素子1302-1(領域番号m=1)が領域1304からの透過光を受光し,受光素子1302-2(領域番号m=2)が領域1305からの透過光を受光し,受光素子1302-3(領域番号m=3)が領域1306からの透過光を受光する。
図13には,1ユニットに4つの領域が均一な方向ずれをもって形成された場合を示しているが,3つ以上の領域に分割されていればよく,1ユニットに9領域であっても,16領域であっても構わない。また1領域の偏光子に受光素子1つが対応しているが,1領域に複数の受光素子を対応させても構わない。その場合,隣接する偏光子領域からの漏れ光が低減される。また複数の受光素子の平均を撮ることで,ランダムなノイズを低減することができる。
図14は,透過軸が4種類の領域を有する偏光子ユニットを複数並べた偏光子アレイと,受光素子アレイとからなる受光モジュールの概略概観図である。図14に示すように,受光モジュールは波長板アレイ1401と受光素子アレイ1402と偏光子1408を重ね合わせて構成される。なお,図14には,説明のため各アレイを離して図示してある。
まず,波長板アレイ1401について説明する。波長板の構造は図10に示す構造からなり,直交座標系x,y,zにおいて,xy面に平行な1つの基板の上に2種以上の透明材料をz方向に交互に積層した多層構造体(例えばTaとSiOの交互多層膜)からなる。偏光子ユニット1407は,xy面内において3つ以上の領域,本実施形態では4つの領域1403〜1406に分かれていて,各領域で各膜は凹凸形状を有しており,この凹凸形状は領域毎に定まるxy面内の一つの方向に周期的に繰り返されて形成されている。
第1の領域1403は溝の方向がx軸に対して0°であり,第2の領域1404は45°,第3の領域1405は90°,第4の領域1406は135°となっている。(x軸を基準とする必要はなく,他の軸を基準として定義することもできる。)但し,配列順番は限定されるものではなく,自由に配置することができ,本実施形態では,波長板ユニット1407内に溝方向の角度が0°,45°,90°,135°の領域が形成されていればよい。それぞれの領域は,先に述べたフォトニック結晶波長板として動作する。なお,本実施形態では,波長板の進相軸は4種類であるが,凹凸の軸方向は0°と60°と120°の3種類でも良いし,4方向以上であっても良い。
ここでフォトニック結晶波長板は,カメラ撮影用として,例えば面内の周期を0.2μm,積層周期を0.16μm,TaとSiOの膜厚比を1:1とし,その動作波長が例えば波長0.5μm帯で動作するように設計する例が挙げられる。この場合,図11の周波数帯1103で動作する。図10の構造体に光を垂直方向から入射したとき,溝に垂直な偏光と平行な偏光の間で位相差が生じる。溝に垂直な方向が進相軸である。位相差は積層数で調整できるため,例えば0.5μmで4分の一波長として動作させる場合は,10周期である。しかしながら,材料の選定や構造パラメータの選定には自由度がある。例えば,高屈折率材料としては,Ta,TiO,Nb,HfOでもよく,低屈折率としてはパイレックス(登録商標)ガラス,MgF,その他光学ガラスでもよい。動作波長が赤外であれば高屈折率材料としてGe,SiGeなどを使うこともできる。また,膜厚比,面内周期,積層周期,斜面の角度に各偏波の分散関係は依存し,波長板として動作する波長帯が変化する。従って,可視・紫外から赤外までの任意の波長帯に対して設計,作製できる。
ここで基板表面の溝形成は電子ビームリソグラフィと反応性エッチングを用いることができる。その他,フォトリソグラフィでもピッチに対して適した光の波長を選んでおけば形成可能である。波長板アレイを構成する各領域の大きさは,50μm角が挙げられるが,それよりも大きくても(例えば1000μm角),小さくても(例えば5μm角)良い。また,正方形のパターンだけでなく,三角形,長方形,六角形など任意である。このようにして,領域毎に進相軸方向の異なる波長板アレイを形成できる。
この波長板アレイ1401を,受光素子(画素)が同じ周期で配列された受光素子アレイ1402の上に搭載し,その間に偏光子1408を配置することにより,偏光状態を測定する。光受光素子は,CCD,半導体フォトダイオード,C−MOSや撮像管でも良い。CCDの場合では,一つの領域(画素)の大きさが数μmから数十μmであるので,偏光子アレイと組み合わせることで,高精度な画像情報として,光の偏光状態を観測できる。
図15は,実施形態に係る画像処理方法を説明するための,波長板アレイと受光素子アレイの概略構成図である。間の偏光子は省略してある。図15に示すように,波長板アレイ1501を構成する複数の波長板ユニット1507があり,当該波長板ユニット1507は4つの波長板領域1503〜1507を有する。一方,受光素子アレイ1502は複数の受光素子を有し,受光素子1502−0(領域番号m=0)が領域1503からの透過光を受光し,受光素子1502−1(領域番号m=1)が領域1504からの透過光を受光し,受光素子1502−2(領域番号m=2)が領域1505からの透過光を受光し,受光素子1502−3(領域番号m=3)が領域1506からの透過光を受光する。
図15には,1ユニットに4つの領域が均一な方向ずれをもって形成された場合を示しているが,3つ以上の領域に分割されていればよく,1ユニットに9領域であっても,16領域であっても構わない。また1領域の偏光子に受光素子1つが対応しているが,1領域に複数の受光素子を対応させても構わない。その場合,隣接する偏光子領域からの漏れ光が低減される。また複数の受光素子の平均を撮ることで,ランダムなノイズを低減することができる。
作製した偏光イメージング装置を用いて,図7の構成で電子回路の表面を観察した。偏光イメージング装置は横1024画素,縦868画素の画素数のCCD上に偏光子アレイを形成したもので,毎秒9.4フレームで前記計算を行い,画像を逐次表示することができる。1画素のサイズは4.65μmであり,今回は0度,45度,90度,135度の方向を持つ偏光子の領域を1画素に対応させ,4画素を1ユニットとし,偏光情報を計算した。観察した結果を図16,図17に示す。図16に示されるものは,式15に示す光の強度だけの情報を意味する。図17は式15,式16より得られたt1,t2の値を式18に代入し,得られたsinΔの絶対値を255倍にし、256階調の明暗で示したものである。図17で明るく見えている部分は観測対象上で2本に分かれた光線間に位相差があるということである。つまり空間的な光学的厚さの変化率が大きいことを意味する。例えば段差のエッジの部分では明るく見えることになる。この変化率から厚さを推定することができる。また図16と比較してもわかるように,光の強度の情報は除去され,位相の情報のみが取り出されていることがわかる。
本発明の顕微鏡システムは,半導体基板上の異物検査や,パターンの凹凸の定量解析に用いられる。また生態観察においても透明な細胞を観察しやすくするためにも利用可能である。

Claims (10)

  1. 観測対象(704)を透過した光が入射する1/4波長板(706)と,

    前記1/4波長板(706)を透過した光が入射し,
    それぞれ透過軸が異なる3つ以上の偏光子の領域(1203,1204,1205,1206)に分かれており,前記各領域によって偏光方向が異なる前記入力光の偏光成分を透過させる偏光子ユニット(1207)を1個又は複数個含む偏光子アレイ(1201)と,

    前記偏光子ユニットの各領域(1203,1204,1205,1206)を透過した光を,各領域(1203,1204,1205,1206)毎に受光する受光素子アレイ(1202)と,

    前記受光素子アレイ(1202)が受光した光の偏光成分を処理する画像処理部(904)と,

    を具備する偏光イメージング装置。
  2. 前記偏光子アレイ(1201)は,
    自己クローニング法により製造された偏光子アレイである,
    請求項1に記載の偏光イメージング装置。
  3. 前記偏光子アレイ(1201)の各領域(1203,1204,1205,1206)は,
    光源から放出される波長よりも微小な幅の金属細線の集合体又は誘電体細線の集合体により形成される
    請求項1に記載の偏光イメージング装置。
  4. 微分干渉顕微鏡に用いられる請求項1に記載の偏光イメージング装置。
  5. 請求項1に記載の偏光イメージング装置を具備する微分干渉顕微鏡。
  6. それぞれ光軸方向が異なる3つ以上の波長板の領域(1403,1404,1405,1405)に分かれており,入射される入力光のうち,前記各領域によって各領域の光軸とそれに直行する偏光成分に異なる位相差を生じさせる波長板ユニット(1407)を1個又は複数個含む波長板アレイ(1401)と,

    前記波長板アレイ(1401)を経た光が入射する偏光子(1408)と,

    前記偏光子(1408)を経た光を,前記各領域(1403,1404,1405,1405)を透過した光毎に受光する受光素子アレイ(1402)と,

    前記受光素子アレイ(1402)が受光した光の偏光成分及び無偏光成分を処理する画像処理部(904)と,

    を具備する偏光イメージング装置。
  7. 前記波長板アレイ(1401)は,
    自己クローニング法により製造された波長板アレイである,
    請求項6に記載の偏光イメージング装置。
  8. 前記波長板アレイ(1401)の各領域(1403,1404,1405,1405)は,
    光源から放出される波長よりも微小な幅の金属細線の集合体又は誘電体細線の集合体により形成される
    請求項6に記載の偏光イメージング装置。
  9. 微分干渉顕微鏡に用いられる 請求項6に記載の偏光イメージング装置。
  10. 請求項6に記載の偏光イメージング装置を具備する微分干渉顕微鏡。
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