JPWO2003033694A1 - プライマー及び細菌の検出方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌を検出するためのPCR用プライマーに関する。また、本発明はスタフィロコッカス属細菌及びバチルス属細菌を検出するためのPCR用プライマー、特にスタフィロコッカスアウレウス及びバチルスセレウスを検出するためのPCR用プライマーに関する。さらに、本発明は、これらのプライマーを用いて食品中の細菌を検出する方法に関する。
背景技術
従来、食品中に含まれる食中毒細菌などの特定細菌の有無を調べる場合には、食品から細菌を分離培養し、得られたコロニーについて視覚的観察(コロニーの色素反応、コロニー形態等)、顕微鏡観察、グラム染色、生化学的性状の検査等を行っていた。この方法によると、特定細菌の有無が判明するまでに少なくとも2日間を要する。従って、この方法は、細菌が検出されたとしてとしてもそれに対する対応が遅くなることから、食品メーカーによる食品出荷前の自主検査には採用し難い。
近年、PCR法(Science,230,1350(1985))により食品から細菌を分離培養し、得られたコロニーについて、特定細菌のDNAに対応したプライマーを用いたPCR法により特定細菌のDNAを迅速に検出する方法が開発されている(特開平11−332600号、特開平7−236500号、特開平5−317098号)。しかし、この方法によっても、食品から細菌を分離培養するのに少なくとも1日間を要する。
ここで、PCR法による検出対象としてrRNAをコードするDNAが多用される。rRNAはウィルスを除く全ての生物に存在し、また進化速度が比較的遅いために同種の生物間で高い相同性を示すからである。特に、細菌の16SrRNAは、その配列について豊富なデータが蓄積されていることから、16SrRNAをコードするDNAはPCR法による細菌の検出に適している場合が多い。
そこで、多種類の細菌の16SrRNAをコードするDNAとハイブリダイズできるプライマーを用い、被験試料から細菌のDNA抽出操作により得られるDNAを対象にして直接PCR法を行い、細菌一般を検出することも提案されている(J.Dent.Res.78(4):850−856(1999)、J.Clinical Microbiology June 2000,2076−2080、J.Clinical Microbiology Feb 1999,464−466)。
しかし、食品を被験試料として用いる場合には、細菌のDNA抽出操作により食品自体のDNAも抽出される。このため、プライマーの特異性が低い場合には、食品のクロロプラストやミトコンドリア由来のDNAも増幅されてしまい、細菌の有無が不明になる。
このような難点を解消するために、特定細菌の16SrRNAをコードするDNAとハイブリダイズできる特異的なプライマーを用いることもできる(J.Applied Microbiology 1997,83,727−736)。しかし、この場合には、対象とする個々の菌種について検査を要するため、各食品サンプル当たりの検査数が多くなり、これもまた食品メーカーによる自主検査には採用し難い。
発明の開示
本発明は、食品中の食中毒細菌を含む特定の複数の細菌又は細菌群の有無を簡単かつ迅速に検出できるPCR用プライマー、及び、このプライマーを用いて食品中の特定細菌及び細菌群の有無を簡単かつ迅速に検出できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは前記目的を達成するために研究を重ね、以下のi)〜iv)の知見を見出した。
i)食品を対象にDNA抽出操作を行い、得られたDNA混合物を対象にして、多種類の細菌の16SrRNAをコードするDNA(以下、「16Sr−DNA」と称する。)とハイブリダイズできるプライマーを用いてPCR法を行う場合には、細菌の16Sr−DNAと植物のクロロプラストの16Sr−DNAとが類似する配列を有するために、植物のクロロプラストの16Sr−DNAも検出されてしまう可能性が高い。
従って、食品から抽出したDNAを対象としたPCR法において、食品由来の16Sr−DNAの同時検出を避けるためには、目的細菌の16Sr−DNAを増幅するが、クロロプラストの16Sr−DNAは増幅しないプライマーを用いることが必要である。
ii)食品において問題となる主要な食中毒細菌としては、腸内細菌科のエシェリキア属細菌(O−157などの病原性大腸菌を含む)、サルモネラ属細菌;ビブリオ科のビブリオ属細菌;スタフィロコッカス属細菌(スタフィロコッカスアウレウスを含む)及びバチルス属細菌(バチルスセレウスを含む)からなる細菌群が挙げられる。従って、1つの食品サンプルについて、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌のDNAを増幅できるプライマーを用いたPCR反応と、スタフィロコッカス属細菌(特にスタフィロコッカスアウレウス)及びバチルス属細菌(特にバチルスセレウス)のDNAを増幅できるプライマーを用いたPCR反応とを行うことにより、食品において問題となる主要な食中毒細菌の有無を簡単に調べることができる。
iii)また、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌の16Sr−DNAを増幅できるプライマーが腸内細菌科及びビブリオ科細菌に属する細菌群以外の細菌の16Sr−DNAを増幅しない場合には、誤検出を少なくすることができ、その結果目的とする細菌の有無の検出感度が向上する。また同様に、スタフィロコッカス属細菌(特にスタフィロコッカスアウレウス)及びバチルス属細菌(特にバチルスセレウス)の16Sr−DNAを増幅できるプライマーが、スタフィロコッカス科細菌及びバチルス科細菌からなる細菌群以外の細菌の16Sr−DNAを増幅しない場合には、誤検出を少なくすることができ、その結果目的とする細菌の検出感度が向上する。
iv)食品中に含まれる夾雑物がPCR反応を阻害する場合がある。従って、食品を破砕した後、例えば以下の工程を行うことにより、食品と食品に含まれる細菌とを効率的に分離することができる。
すなわち、食品破砕物を比較的低速の50〜300×g程度の遠心力で遠心する場合には、食品の不溶性成分および細胞残渣は概ね沈殿するが、細菌は上清中に残るため、細菌を食品から概ね分離することができる。さらに、この上清を2000×g以上の遠心力で遠心すれば、細菌を沈殿させることができる。
従って、このような遠心操作により得られる、細菌を含む沈殿物からDNA抽出操作を行い、得られるDNAを鋳型にしてPCRを行えば、食品由来のDNAの同時検出を一層効果的に避けることができ、さらに食品中に含まれる可能性のある、PCRを阻害する夾雑物の影響を回避できる。
本発明は前記知見に基づいてさらに検討を行って完成されたものであり、以下のプライマー、プライマーセット、PCRキット及び細菌の検出方法を提供するものである。
1. 所定条件のPCRに供されることにより、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌、ビブリオ属細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、クロロプラストの16SrRNAをコードするDNAおよびミトコンドリアの16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しないプライマー。
2. 前記条件のPCRに供されることにより、腸内細菌科及びビブリオ科に属する細菌群を検出してもよい項1に記載のプライマー。
3. 所定条件のPCRに供されることにより、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌、ビブリオ属細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、腸内細菌科及びビブリオ科に属する細菌群以外の細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しない項1又は2に記載のプライマー。
4. 所定条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカスアウレウス及びバチルスセレウスの16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、クロロプラストの16SrRNAをコードするDNAおよびミトコンドリアの16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しないプライマー。
5. 前記条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群を検出してもよい項4に記載のプライマー。
6. 所定条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカスアウレウス及びバチルスセレウスの16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群以外の細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しない項4又は5に記載のプライマー。
7. 所定条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカス属細菌及びバチルス属細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、クロロプラストの16SrRNAをコードするDNAおよびミトコンドリアの16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しないプライマー。
8. 前記条件のPCRに供されることより、スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群を検出してもよい項7に記載のプライマー。
9. 所定条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカス属細菌及びバチルス属細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群以外の細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しない項7又は8に記載のプライマー。
10. 以下の(1)又は(2)のプライマー。
(1)配列番号:1における塩基番号21〜30の塩基配列、塩基番号20〜30の塩基配列、塩基番号19〜30の塩基配列、塩基番号18〜30の塩基配列、塩基番号17〜30の塩基配列、塩基番号16〜30の塩基配列、塩基番号15〜30の塩基配列、塩基番号14〜30の塩基配列、塩基番号13〜30の塩基配列、塩基番号12〜30の塩基配列、塩基番号11〜30の塩基配列、塩基番号10〜30の塩基配列、塩基番号9〜30の塩基配列、塩基番号8〜30の塩基配列、塩基番号7〜30の塩基配列、塩基番号6〜30の塩基配列、塩基番号5〜30の塩基配列、塩基番号4〜30の塩基配列、塩基番号3〜30の塩基配列、塩基番号2〜30の塩基配列または塩基番号1〜30の塩基配列からなるプライマー。
(2)配列番号:1における塩基番号21〜30の塩基配列、塩基番号20〜30の塩基配列、塩基番号19〜30の塩基配列、塩基番号18〜30の塩基配列、塩基番号17〜30の塩基配列、塩基番号16〜30の塩基配列、塩基番号15〜30の塩基配列、塩基番号14〜30の塩基配列、塩基番号13〜30の塩基配列、塩基番号12〜30の塩基配列、塩基番号11〜30の塩基配列、塩基番号10〜30の塩基配列、塩基番号9〜30の塩基配列、塩基番号8〜30の塩基配列、塩基番号7〜30の塩基配列、塩基番号6〜30の塩基配列、塩基番号5〜30の塩基配列、塩基番号4〜30の塩基配列、塩基番号3〜30の塩基配列、塩基番号2〜30の塩基配列または塩基番号1〜30の塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマー。
11. 以下の(3)又は(4)のプライマー
(3)配列表の配列番号:2における塩基番号14〜23の塩基配列、塩基番号13〜23の塩基配列、塩基番号12〜23の塩基配列、塩基番号11〜23の塩基配列、塩基番号10〜23の塩基配列、塩基番号9〜23の塩基配列、塩基番号8〜23の塩基配列、塩基番号7〜23の塩基配列、塩基番号6〜23の塩基配列、塩基番号5〜23の塩基配列、塩基番号4〜23の塩基配列、塩基番号3〜23の塩基配列、塩基番号2〜23の塩基配列または塩基番号1〜23の塩基配列からなるプライマー。
(4)配列表の配列番号:2における塩基番号14〜23の塩基配列、塩基番号13〜23の塩基配列、塩基番号12〜23の塩基配列、塩基番号11〜23の塩基配列、塩基番号10〜23の塩基配列、塩基番号9〜23の塩基配列、塩基番号8〜23の塩基配列、塩基番号7〜23の塩基配列、塩基番号6〜23の塩基配列、塩基番号5〜23の塩基配列、塩基番号4〜23の塩基配列、塩基番号3〜23の塩基配列、塩基番号2〜23の塩基配列または塩基番号1〜23の塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマー。
12. 以下の(5)又は(6)のプライマー
(5)配列表の配列番号:3における塩基番号15〜24の塩基配列、塩基番号14〜24の塩基配列、塩基番号13〜24の塩基配列、塩基番号12〜24の塩基配列、塩基番号11〜24の塩基配列、塩基番号10〜24の塩基配列、塩基番号9〜24の塩基配列、塩基番号8〜24の塩基配列、塩基番号7〜24の塩基配列、塩基番号6〜24の塩基配列、塩基番号5〜24の塩基配列、塩基番号4〜24の塩基配列、塩基番号3〜24の塩基配列、塩基番号2〜24の塩基配列または塩基番号1〜24の塩基配列からなるプライマー。
(6)配列表の配列番号:3における塩基番号15〜24の塩基配列、塩基番号14〜24の塩基配列、塩基番号13〜24の塩基配列、塩基番号12〜24の塩基配列、塩基番号11〜24の塩基配列、塩基番号10〜24の塩基配列、塩基番号9〜24の塩基配列、塩基番号8〜24の塩基配列、塩基番号7〜24の塩基配列、塩基番号6〜24の塩基配列、塩基番号5〜24の塩基配列、塩基番号4〜24の塩基配列、塩基番号3〜24の塩基配列、塩基番号2〜24の塩基配列または塩基番号1〜24の塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマー。
13. 以下の(7)又は(8)のプライマー
(7)配列表の配列番号:4における塩基番号24〜33の塩基配列、塩基番号23〜33の塩基配列、塩基番号22〜33の塩基配列、塩基番号21〜33の塩基配列、塩基番号20〜33の塩基配列、塩基番号19〜33の塩基配列、塩基番号18〜33の塩基配列、塩基番号17〜33の塩基配列、塩基番号16〜33の塩基配列、塩基番号15〜33の塩基配列、塩基番号14〜33の塩基配列、塩基番号13〜33の塩基配列、塩基番号12〜33の塩基配列、塩基番号11〜33の塩基配列、塩基番号10〜33の塩基配列、塩基番号9〜33の塩基配列、塩基番号8〜33の塩基配列、塩基番号7〜33の塩基配列、塩基番号6〜33の塩基配列、塩基番号5〜33の塩基配列、塩基番号4〜33の塩基配列、塩基番号3〜33の塩基配列、塩基番号2〜33の塩基配列または塩基番号1〜33の塩基配列からなるプライマー。
(8)配列表の配列番号:4における塩基番号24〜33の塩基配列、塩基番号23〜33の塩基配列、塩基番号22〜33の塩基配列、塩基番号21〜33の塩基配列、塩基番号20〜33の塩基配列、塩基番号19〜33の塩基配列、塩基番号18〜33の塩基配列、塩基番号17〜33の塩基配列、塩基番号16〜33の塩基配列、塩基番号15〜33の塩基配列、塩基番号14〜33の塩基配列、塩基番号13〜33の塩基配列、塩基番号12〜33の塩基配列、塩基番号11〜33の塩基配列、塩基番号10〜33の塩基配列、塩基番号9〜33の塩基配列、塩基番号8〜33の塩基配列、塩基番号7〜33の塩基配列、塩基番号6〜33の塩基配列、塩基番号5〜33の塩基配列、塩基番号4〜33の塩基配列、塩基番号3〜33の塩基配列、塩基番号2〜33の塩基配列または塩基番号1〜33の塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマー。
14. 請求項10のプライマー及び項11のプライマーからなるプライマーセット。
15. 請求項12のプライマー及び項13のプライマーからなるプライマーセット。
16. 請求項14のプライマーセットと、項15のプライマーセットとを有するPCRキット。
17. i)被験食品に含まれるDNAを抽出する工程と、ii)このDNAを鋳型として、項1から13のいずれかに記載のプライマーを用いてPCR反応を行い、増幅されたDNAを検出する工程とを含む細菌の検出方法。
18. i)被験食品に含まれるDNAを抽出する工程と、ii)このDNAを鋳型として、項14又は15に記載のプライマーセットを用いてPCR反応を行い、増幅されたDNAを検出する工程とを含む細菌の検出方法。
19. DNA抽出工程i)が、a)被験食品を粉砕する工程と、b)粉砕物を50〜300×gの遠心力で遠心する工程と、c)遠心により得られる上清を2000〜14000×gの遠心力で遠心する工程と、d)遠心により得られる沈殿中に含まれるDNAを抽出する工程とを含む項17又は18に記載の細菌の検出方法。
20. 所定条件のPCRに供されることにより、腸内細菌科細菌及びビブリオ科細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、クロロプラストの16SrRNAをコードするDNAおよびミトコンドリアの16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しないプライマー。
21. 所定条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカス科細菌及びバチルス科細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、クロロプラストの16SrRNAをコードするDNAおよびミトコンドリアの16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しないプライマー。
発明の詳細な記述
(I)プライマー
(I−I)プライマーの基本的構成
本発明の第1のプライマーは、所定条件のPCRに供されることにより、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌の16Sr−DNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、クロロプラストの16Sr−DNAおよびミトコンドリアの16Sr−DNAを検出可能に増幅しないプライマーである。
また、本発明の第2のプライマーは、所定条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカスアウレウス及びバチルスセレウスの16Sr−DNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、クロロプラストの16Sr−DNAおよびミトコンドリアの16Sr−DNAを検出可能に増幅しないプライマーである。
前記の所定条件には、通常PCR反応において採用される条件が含まれるが、変性を90〜98℃程度で3秒間〜1分間程度、アニーリングを50〜65℃程度で5秒間〜2分間程度、DNA伸長反応を60〜75℃程度で10秒間〜3分間程度行い、反応系中のMgイオン濃度が1〜3.5mM程度である条件を例示できる。
本発明の第1のプライマーは、所定条件のPCRに供されることにより、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌の16Sr−DNAを検出可能に増幅するが、腸内細菌科細菌及びビブリオ科細菌の16Sr−DNAであれば検出可能に増幅するものであっても構わない。また、同じ条件下で、腸内細菌科及びビブリオ科に属さない細菌、藻類、真菌、原生生物などに由来する全てのDNAは検出可能に増幅しないことが好ましいことは勿論である。特に、腸内細菌科及びビブリオ科に属さない細菌の16Sr−DNAを検出可能に増幅しないことが好ましい。すなわち、本発明の第1のプライマーは、所定条件のPCRに供されることにより、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌の16Sr−DNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、腸内細菌科及びビブリオ科に属する細菌群以外の細菌の16Sr−DNAを検出可能に増幅しないことが好ましい。腸内細菌科及びビブリオ科に属する細菌群以外の細菌の16Sr−DNAを検出可能に増幅しないとは、これらの細菌を一切検出しないという意味ではなく、例外的に1又は数種の菌種が検出される場合も含まれる。
腸内細菌科の細菌としては、エシェリキア属、サルモネラ属、シゲラ属、サイトロバクター属、クレブシェラ属、エンテロバクター属、エルウィニア属、セラチア属、ハフニア属、エドワードシェラ属、エルシニア属、プロビデンシア属などの細菌が挙げられる。ビブリオ科の細菌としては、ビブリオ属、フォトバクテリウム属、リストネラ属等の細菌が挙げられる。本発明では、エアロモナス属細菌はビブリオ科の細菌に含まれる。
また、腸内細菌科及びビブリオ科に属する細菌群以外の細菌は特に制限されない。
また、本発明の第2のプライマーは、所定条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカスアウレウス及びバチルスセレウスの16Sr−DNAを検出するが、スタフィロコッカス科細菌及びバチルス科細菌の16Sr−DNAであれば検出可能に増幅するものであっても構わない。また、本発明の第2のプライマーは、スタフィロコッカス属細菌及びバチルス属細菌の16Sr−DNAを検出することが好ましい。
本発明の第2のプライマーは、同じ条件下で、スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群以外の細菌、藻類、真菌、原生生物などに由来する全てのDNAは検出可能に増幅しないことが好ましい。特に、スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群以外の細菌の16Sr−DNAを検出可能に増幅しないことが好ましい。すなわち、本発明の第2のプライマーは、所定条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカスアウレウス及びバチルスセレウスの16Sr−DNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群以外の細菌の16Sr−DNAを検出可能に増幅しないことが好ましい。スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群以外の細菌の16Sr−DNAを検出可能に増幅しないことは、これらの細菌を一切検出しないという意味ではなく、例外的に1又は数種の菌種が検出される場合も含まれる。
スタフィロコッカス科の細菌としては、スタフィロコッカス属細菌が挙げられる。スタフィロコッカス属細菌としては、スタフィロコッカスアウレウス、スタフィロコッカスエピデルミディス、スタフィロコッカスキシロサス、スタフィロコッカスサクシナスなどの細菌が挙げられる。バチルス科細菌としてはバチルス属細菌が挙げられる。バチルス属細菌としてはバチルスセレウス、バチルステューリンゲンス、バチルスリケニフォルミス、バチルスメガテリウム、バチルスパミルス、バチルスサブティリスなどが挙げられる。エアロコッカス科の細菌としては、エアロコッカス属等の細菌が挙げられる。エアロコッカス属細菌としては、エアロコッカスビリダンス、エアロコッカスウリナエなどが挙げられる。
また、スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群以外の細菌は、特に制限されない。
(I−II)本発明のプライマーの意義
本発明の第1のプライマーがエシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌の検出を目的とし、本発明の第2のプライマーがスタフィロコッカス属細菌(特にスタフィロコッカスアウレウス)及びバチルス属細菌(特にバチルスセレウス)の検出を目的としているのは、以下の理由による。
すなわち、エシェリキア属は、経口汚染の指標とされる菌であり、その主要な菌種であるエシェリキアコリ(大腸菌)は広く食品中に検出される可能性が高い。また近年は病原性大腸菌O−157株のような致死性の高い株も見出されている。また、サルモネラ属細菌は卵や魚介類等に多く検出され、日本で最も多く報告されている食中毒原因菌である。またビブリオ属細菌は海産魚介類から検出される。また、スタフィロコッカス属のスタフィロコッカスアウレウスは手指の汚れ等に由来するものが広く食品中に検出される。また、バチルス属のバチルスセレウスは米、麺製品に比較的よく検出される。このように、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌、ビブリオ属細菌、スタフィロコッカスアウレウス及びバチルスセレウスは、日本で報告されている食中毒の原因菌として重要である。
さらに、大腸菌、サルモネラ属細菌、ビブリオ属細菌及びスタフィロコッカスアウレウスについては、法令によって検査義務が課されている国もある。また、バチルスセレウスは、多くの食品メーカーにおいて自主的に検査が行われている菌種である。
(I−III)対象食品
本発明のプライマーを用いたPCR反応の対象となる食品は、特に限定されないが、例えば、麺製品、食肉、魚介類、野菜、穀類、乳製品及びこれらの加工製品等を広く対象とすることができる。
(I−IV)第1のプライマーの具体例
細菌の検出方法における本発明のプライマーの塩基配列には、検出対象DNA塩基配列に対して相補的な塩基配列、その塩基配列において1〜5個程度の塩基が欠失、挿入又は置換された塩基配列が含まれる。
また、細菌の検出方法における本発明のプライマーの塩基配列には、本明細書に記載された塩基配列、その塩基配列において1〜5個程度の塩基が欠失、挿入又は置換された塩基配列及びそれらに相補的な塩基配列が含まれる。
本発明の第1のプライマーとしては、代表的には、次のA)又はB)のプライマーを例示できる。
A) 以下の(1)又は(2)のプライマー
(1) 配列番号(以下、「SEQ ID No.」という):1における塩基番号21〜30の塩基配列、塩基番号20〜30の塩基配列、塩基番号19〜30の塩基配列、塩基番号18〜30の塩基配列、塩基番号17〜30の塩基配列、塩基番号16〜30の塩基配列、塩基番号15〜30の塩基配列、塩基番号14〜30の塩基配列、塩基番号13〜30の塩基配列、塩基番号12〜30の塩基配列、塩基番号11〜30の塩基配列、塩基番号10〜30の塩基配列、塩基番号9〜30の塩基配列、塩基番号8〜30の塩基配列、塩基番号7〜30の塩基配列、塩基番号6〜30の塩基配列、塩基番号5〜30の塩基配列、塩基番号4〜30の塩基配列、塩基番号3〜30の塩基配列、塩基番号2〜30の塩基配列または塩基番号1〜30の塩基配列からなるプライマー。
(2) 配列番号(以下、「SEQ ID No.」という):1における塩基番号21〜30の塩基配列、塩基番号20〜30の塩基配列、塩基番号19〜30の塩基配列、塩基番号18〜30の塩基配列、塩基番号17〜30の塩基配列、塩基番号16〜30の塩基配列、塩基番号15〜30の塩基配列、塩基番号14〜30の塩基配列、塩基番号13〜30の塩基配列、塩基番号12〜30の塩基配列、塩基番号11〜30の塩基配列、塩基番号10〜30の塩基配列、塩基番号9〜30の塩基配列、塩基番号8〜30の塩基配列、塩基番号7〜30の塩基配列、塩基番号6〜30の塩基配列、塩基番号5〜30の塩基配列、塩基番号4〜30の塩基配列、塩基番号3〜30の塩基配列、塩基番号2〜30の塩基配列または塩基番号1〜30の塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマー。
すなわち、A)のプライマーは、SEQ ID No.:1における前記列記したいずれかの塩基配列からなるDNA、または、前記列記したいずれかの塩基配列の5’末端側に任意の塩基配列を有し、全体として最大40塩基までの長さのDNAからなるものである。
中でも、SEQ ID No.:1における塩基番号16〜30の塩基配列、塩基番号15〜30の塩基配列、塩基番号14〜30の塩基配列、塩基番号13〜30の塩基配列、塩基番号12〜30の塩基配列、塩基番号11〜30の塩基配列、塩基番号10〜30の塩基配列、塩基番号9〜30の塩基配列、塩基番号8〜30の塩基配列、塩基番号7〜30の塩基配列、塩基番号6〜30の塩基配列、塩基番号5〜30の塩基配列、塩基番号4〜30の塩基配列、塩基番号3〜30の塩基配列、塩基番号2〜30の塩基配列若しくは塩基番号1〜30の塩基配列からなるプライマー、又は、これらのいずれかの塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーが好ましい。
SEQ ID No.:1における塩基番号11〜30の塩基配列、塩基番号10〜30の塩基配列、塩基番号9〜30の塩基配列、塩基番号8〜30の塩基配列、塩基番号7〜30の塩基配列、塩基番号6〜30の塩基配列、塩基番号5〜30の塩基配列、塩基番号4〜30の塩基配列、塩基番号3〜30の塩基配列、塩基番号2〜30の塩基配列若しくは塩基番号1〜30の塩基配列からなるプライマー、又は、これらのいずれかの塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーがより好ましい。
SEQ ID No.:1における塩基番号6〜30の塩基配列、塩基番号5〜30の塩基配列、塩基番号4〜30の塩基配列、塩基番号3〜30の塩基配列、塩基番号2〜30の塩基配列若しくは塩基番号1〜30の塩基配列からなるプライマー、又は、これらのいずれかの塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーがさらにより好ましい。
最も好ましいのは、SEQ ID No.:1における塩基番号1〜30の塩基配列からなるプライマー、又は、この塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーである。
B)以下の(3)又は(4)のプライマー
(3) SEQ ID No.:2における塩基番号14〜23の塩基配列、塩基番号13〜23の塩基配列、塩基番号12〜23の塩基配列、塩基番号11〜23の塩基配列、塩基番号10〜23の塩基配列、塩基番号9〜23の塩基配列、塩基番号8〜23の塩基配列、塩基番号7〜23の塩基配列、塩基番号6〜23の塩基配列、塩基番号5〜23の塩基配列、塩基番号4〜23の塩基配列、塩基番号3〜23の塩基配列、塩基番号2〜23の塩基配列または塩基番号1〜23の塩基配列からなるプライマー。
(4) SEQ ID No.:2における塩基番号14〜23の塩基配列、塩基番号13〜23の塩基配列、塩基番号12〜23の塩基配列、塩基番号11〜23の塩基配列、塩基番号10〜23の塩基配列、塩基番号9〜23の塩基配列、塩基番号8〜23の塩基配列、塩基番号7〜23の塩基配列、塩基番号6〜23の塩基配列、塩基番号5〜23の塩基配列、塩基番号4〜23の塩基配列、塩基番号3〜23の塩基配列、塩基番号2〜23の塩基配列または塩基番号1〜23の塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマー。
すなわち、B)のプライマーは、SEQ ID No.:2における前記列記したいずれかの塩基配列からなるDNA、または、前記列記したいずれかの塩基配列の5’末端側に任意の塩基配列を有し、全体として最大40塩基までの長さのDNAからなるものである。
中でも、SEQ ID No.:2における塩基番号9〜23の塩基配列、塩基番号8〜23の塩基配列、塩基番号7〜23の塩基配列、塩基番号6〜23の塩基配列、塩基番号5〜23の塩基配列、塩基番号4〜23の塩基配列、塩基番号3〜23の塩基配列、塩基番号2〜23の塩基配列若しくは塩基番号1〜23の塩基配列からなるプライマー、又は、これらのいずれかの塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーが好ましい。
SEQ ID No.:2における塩基番号4〜23の塩基配列、塩基番号3〜23の塩基配列、塩基番号2〜23の塩基配列若しくは塩基番号1〜23の塩基配列からなるプライマー、又は、これらのいずれかの塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーがより好ましい。最も好ましいのは、SEQ ID No.:2における塩基番号1〜23の塩基配列からなるプライマー、又は、この塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーである。
A)及びB)のプライマーにおいて、5’末端側に付加されて存在することがある前記の任意の塩基配列は、1〜10個程度、特に1〜5個程度の塩基からなることが好ましいが、この任意の塩基配列は付加されていないのが最も好ましい。
(I−V)第2のプライマーの具体例
本発明の第2のプライマーとしては、代表的には、次のC)又はD)のプライマーを例示できる。
C)以下の(5)又は(6)のプライマー
(5) SEQ ID No.:3における塩基番号15〜24の塩基配列、塩基番号14〜24の塩基配列、塩基番号13〜24の塩基配列、塩基番号12〜24の塩基配列、塩基番号11〜24の塩基配列、塩基番号10〜24の塩基配列、塩基番号9〜24の塩基配列、塩基番号8〜24の塩基配列、塩基番号7〜24の塩基配列、塩基番号6〜24の塩基配列、塩基番号5〜24の塩基配列、塩基番号4〜24の塩基配列、塩基番号3〜24の塩基配列、塩基番号2〜24の塩基配列または塩基番号1〜24の塩基配列からなるプライマー
(6) SEQ ID No.:3における塩基番号15〜24の塩基配列、塩基番号14〜24の塩基配列、塩基番号13〜24の塩基配列、塩基番号12〜24の塩基配列、塩基番号11〜24の塩基配列、塩基番号10〜24の塩基配列、塩基番号9〜24の塩基配列、塩基番号8〜24の塩基配列、塩基番号7〜24の塩基配列、塩基番号6〜24の塩基配列、塩基番号5〜24の塩基配列、塩基番号4〜24の塩基配列、塩基番号3〜24の塩基配列、塩基番号2〜24の塩基配列または塩基番号1〜24の塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマー。
すなわち、C)のプライマーは、SEQ ID No.:3における前記列記したいずれかの塩基配列からなるDNA、または、前記列記したいずれかの塩基配列の5’末端側に任意の塩基配列を有し、全体として最大40塩基までの長さのDNAからなるものである。
中でも、SEQ ID No.:3における塩基番号10〜24の塩基配列、塩基番号9〜24の塩基配列、塩基番号8〜24の塩基配列、塩基番号7〜24の塩基配列、塩基番号6〜24の塩基配列、塩基番号5〜24の塩基配列、塩基番号4〜24の塩基配列、塩基番号3〜24の塩基配列、塩基番号2〜24の塩基配列若しくは塩基番号1〜24の塩基配列からなるプライマー、又は、これらのいずれかの塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーが好ましい。
SEQ ID No.:3における塩基番号5〜24の塩基配列、塩基番号4〜24の塩基配列、塩基番号3〜24の塩基配列、塩基番号2〜24の塩基配列若しくは塩基番号1〜24の塩基配列からなるプライマー、又は、これらのいずれかの塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーがより好ましい。
最も好ましいのは、SEQ ID No.:3における塩基番号1〜24の塩基配列からなるプライマー、又は、この塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーである。
D)以下の(7)又は(8)のプライマー
(7) SEQ ID No.:4における塩基番号24〜33の塩基配列、塩基番号23〜33の塩基配列、塩基番号22〜33の塩基配列、塩基番号21〜33の塩基配列、塩基番号20〜33の塩基配列、塩基番号19〜33の塩基配列、塩基番号18〜33の塩基配列、塩基番号17〜33の塩基配列、塩基番号16〜33の塩基配列、塩基番号15〜33の塩基配列、塩基番号14〜33の塩基配列、塩基番号13〜33の塩基配列、塩基番号12〜33の塩基配列、塩基番号11〜33の塩基配列、塩基番号10〜33の塩基配列、塩基番号9〜33の塩基配列、塩基番号8〜33の塩基配列、塩基番号7〜33の塩基配列、塩基番号6〜33の塩基配列、塩基番号5〜33の塩基配列、塩基番号4〜33の塩基配列、塩基番号3〜33の塩基配列、塩基番号2〜33の塩基配列または塩基番号1〜33の塩基配列からなるプライマー。
(8) SEQ ID No.:4における塩基番号24〜33の塩基配列、塩基番号23〜33の塩基配列、塩基番号22〜33の塩基配列、塩基番号21〜33の塩基配列、塩基番号20〜33の塩基配列、塩基番号19〜33の塩基配列、塩基番号18〜33の塩基配列、塩基番号17〜33の塩基配列、塩基番号16〜33の塩基配列、塩基番号15〜33の塩基配列、塩基番号14〜33の塩基配列、塩基番号13〜33の塩基配列、塩基番号12〜33の塩基配列、塩基番号11〜33の塩基配列、塩基番号10〜33の塩基配列、塩基番号9〜33の塩基配列、塩基番号8〜33の塩基配列、塩基番号7〜33の塩基配列、塩基番号6〜33の塩基配列、塩基番号5〜33の塩基配列、塩基番号4〜33の塩基配列、塩基番号3〜33の塩基配列、塩基番号2〜33の塩基配列または塩基番号1〜33の塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマー。
すなわち、D)のプライマーは、SEQ ID No.:4における前記列記したいずれかの塩基配列からなるDNA、または、前記列記したいずれかの塩基配列の5’末端側に任意の塩基配列を有し、全体として最大40塩基までの長さのDNAからなるものである。
中でも、SEQ ID No.:4における塩基番号19〜33の塩基配列、塩基番号18〜33の塩基配列、塩基番号17〜33の塩基配列、塩基番号16〜33の塩基配列、塩基番号15〜33の塩基配列、塩基番号14〜33の塩基配列、塩基番号13〜33の塩基配列、塩基番号12〜33の塩基配列、塩基番号11〜33の塩基配列、塩基番号10〜33の塩基配列、塩基番号9〜33の塩基配列、塩基番号8〜33の塩基配列、塩基番号7〜33の塩基配列、塩基番号6〜33の塩基配列、塩基番号5〜33の塩基配列、塩基番号4〜33の塩基配列、塩基番号3〜33の塩基配列、塩基番号2〜33の塩基配列若しくは塩基番号1〜33の塩基配列からなるプライマー、又は、これらのいずれかの塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーが好ましい。
SEQ ID No.:4における塩基番号14〜33の塩基配列、塩基番号13〜33の塩基配列、塩基番号12〜33の塩基配列、塩基番号11〜33の塩基配列、塩基番号10〜33の塩基配列、塩基番号9〜33の塩基配列、塩基番号8〜33の塩基配列、塩基番号7〜33の塩基配列、塩基番号6〜33の塩基配列、塩基番号5〜33の塩基配列、塩基番号4〜33の塩基配列、塩基番号3〜33の塩基配列、塩基番号2〜33の塩基配列若しくは塩基番号1〜33の塩基配列からなるプライマー、又は、これらのいずれかの塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーがより好ましい。
SEQ ID No.:4における塩基番号9〜33の塩基配列、塩基番号8〜33の塩基配列、塩基番号7〜33の塩基配列、塩基番号6〜33の塩基配列、塩基番号5〜33の塩基配列、塩基番号4〜33の塩基配列、塩基番号3〜33の塩基配列、塩基番号2〜33の塩基配列若しくは塩基番号1〜33の塩基配列からなるプライマー、又は、これらのいずれかの塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーがさらにより好ましい。
最も好ましいのは、SEQ ID No.:4における塩基番号1〜33の塩基配列からなるプライマー、又は、この塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマーである。
C)及びD)のプライマーにおいて、5’末端側に付加されて存在することがある前記の任意の塩基配列は、1〜7個程度、特に1〜5個程度の塩基からなることが好ましいが、この任意の塩基配列は付加されていないのが最も好ましい。
(I−VI)プライマーの製造方法
本発明のプライマーは、化学合成により容易に作製することができる。
(I−VII)プライマーの使用方法
本発明の第1のプライマーは、細菌一般を検出できる公知のプライマーとともに組み合わせてPCRに供することもでき、又は、発明の第1のプライマーの一組をセンスプライマー及びアンチセンスプライマーからなるプライマーセットとして使用することもできる。特に、本発明の第1のプライマーの一組をプライマーセットとして使用することが好ましい。これにより目的とする細菌群の検出感度が一層高くなる。例えば、前記のA)のプライマー又はB)のプライマーを、細菌一般を検出できるプライマーとともに組み合わせて使用することもでき、または、前記のA)のプライマー及びB)のプライマーを組み合わせてセンスプライマー及びアンチセンスプライマーからなるプライマーセットとして使用することもできる。後者がより好ましい。
本発明の第1のプライマーは、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌を検出するために使用することができる。また、腸内細菌科細菌及びビブリオ科細菌を検出するために使用することもできる。
同様に、本発明の第2のプライマーは、細菌一般を検出できる公知のプライマーとともに組み合わせてPCRに供することもでき、又は、発明の第2のプライマーの一組をセンスプライマー及びアンチセンスプライマーからなるプライマーセットとして使用することもできる。特に、本発明の第2のプライマーの一組をプライマーセットとして使用することが好ましい。これにより目的とする細菌群の検出感度が一層高くなる。例えば、前記のC)のプライマー又はD)のプライマーを、細菌一般を検出できるプライマーとともに組み合わせて使用することもでき、または、前記のC)のプライマー及びD)のプライマーを組み合わせてセンスプライマー及びアンチセンスプライマーからなるプライマーセットとして使用することもできる。後者がより好ましい。
本発明の第2のプライマーは、スタフィロコッカス属細菌(特にスタフィロコッカスアウレウス)及びバチルス属細菌(特にバチルスセレウス)を検出するために使用することができる。
さらに、本発明の第1のプライマーセットと第2のプライマーセットとは、組み合わせてPCRセットとして使用することができる。本発明のPCRセットは、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌(腸内細菌科細菌及びビブリオ科細菌でもよい)、スタフィロコッカス属細菌(特にスタフィロコッカスアウレウス)並びにバチルス属細菌(特にバチルスセレウス)を検出するために使用することができる。
具体的には、本発明のPCRセットを用いて食品中の特定細菌群の有無を検査するに当たっては、本発明の第1のプライマーを用いたエシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌の検出を目的とするPCR反応と、本発明の第2のプライマーを用いたスタフィロコッカス属細菌(特にスタフィロコッカスアウレウス)及びバチルス属細菌(特にバチルスセレウス)の検出を目的とするPCR反応とを別個に行うことができる。この二つのPCR反応を同時に行うことにより、1回の手間で目的とする特定の細菌群を検出することができる。
(II)細菌の検出方法
本発明の細菌の検出方法は、i)被験食品に含まれるDNAを抽出する工程と、ii)このDNAを鋳型として、本発明のプライマーを用いてPCR反応を行い、増幅されたDNAを検出する工程とを含む方法である。
(II−I)DNA抽出工程
対象食品
本発明方法の対象となる食品は、特に制限されない。本発明方法は、麺製品、食肉、魚介類、野菜、穀類、乳製品及びこれらの加工物等の広い範囲の食品を対象にすることができる。
DNA抽出工程の概要
本発明方法においては、食品から分離培養した細菌からDNAを抽出してもよいが、食品から直接DNAを抽出することもできる。また、細菌を含むかもしれない食品を遠心処理することにより、細菌を含むかもしれない画分を食品と分離した後に、細菌を含むかもしれない画分からDNAを抽出することもできる。食品中に含まれるかもしれない細菌のDNA抽出工程としては、最後の方法が最も好ましい。
好ましいDNA抽出工程
好ましいDNA抽出工程を以下に詳述する。すなわち、本発明の細菌の検出方法において、DNA抽出工程は、a)被験食品を破砕する工程と、b)粉砕物を50〜300×g程度の遠心力で遠心する工程と、c)遠心により得られる上清を2000〜14000×g程度の遠心力で遠心する工程と、d)遠心により得られる沈殿中に含まれるDNAを抽出する工程とを含むことが好ましい。各工程を以下に詳しく説明する。
<破砕工程>
常法に従い、食品に、この食品の重量の5〜20倍程度の水または緩衝液を加え、ストマッカーなどを用いて食品を破砕することができる。全体が液体状または半液体状の食品の場合には、水または緩衝液と希釈混合されていれば破砕工程は行ってもよいが行わなくてもよい。
<遠心工程>
次いで、食品破砕物を、通常50〜300×g程度、好ましくは80〜150×g程度の遠心力で、1〜2分間程度遠心することができる。これにより、食品破砕物は概ね沈殿し、細菌は上清に残るため、上清を採取する。
さらに、上清を通常2000〜14000×g程度、好ましくは8000〜14000×g程度の遠心力で、2〜5分間程度遠心することができる。これにより、細菌が概ね沈殿する。
次いで、沈殿に対して、遠心処理に供した食品破砕液の容量の1/10〜1/2程度、より好ましくは1/5〜1/3程度の水または緩衝液を加えて菌体を懸濁し、DNA抽出操作に供すればよい。
DNA抽出方法
食品または分離した細菌からのDNAの抽出は、公知の方法を採用することができる。このような公知の方法として、Marmur法、その変法である酵素法、塩化ベンジル法等が挙げられる。
食品製品の出荷前に食中毒菌を含む特定細菌の有無を確認するためには迅速にDNAを抽出する必要がある。このような迅速な細菌からのDNAの抽出方法の1例としてキレックス法(Biotechniques,1991,Apr.;10(4):506−513、Microbiol.Res.1999,May;154(1):23−26)を例示できる。キレックス法は、10重量%程度のキレックス液を加え、沸騰湯浴上で5分間程度加熱することにより細菌を溶解し、細菌溶解物を遠心して上清を採取する方法である。上清中にはDNAが含まれ、このDNA抽出液はPCRに使用できる。
また、迅速なDNA抽出方法の他の例としては、沈殿させた細菌に10〜30重量%程度のドデシル硫酸ナトリウムを加えて溶解し、60〜100℃程度で5〜20分間程度加熱することで細菌を溶解し、この溶液に塩濃度が1Mとなるように食塩を加えて、除蛋白を行い、上清をエタノール沈殿させることによりDNAを調製する方法も例示できる。
(II−II)PCRによるDNA検出工程
PCR反応を行うに当たっては、前記説明した本発明のプライマーを用いる。通常は、一つの食品サンプルを対象にして、本発明の第1のプライマーを用いたエシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌の検出を目的とするPCR反応と、本発明の第2のプライマーを用いたスタフィロコッカス属細菌(特にスタフィロコッカスアウレウス)及びバチルス属細菌(特にバチルスセレウス)の検出を目的とするPCR反応とを行えばよい。
本発明の第1のプライマーの1セットをセンスプライマー及びアンチセンスプライマーとして用い、本発明の第2のプライマーの1セットをセンスプライマー及びアンチセンスプライマーとして用いることがより好ましい。特に、A)のプライマー及びB)のプライマーを組み合わせて用い、C)のプライマー及びD)のプライマーを組み合わせて用いることが好ましい。
PCR反応の条件は、特に制限されず、PCR装置毎に最適条件を定めればよいが、例えば、以下の条件が挙げられる。
・2本鎖DNAの1本鎖DNAへの熱変性:通常90〜98℃程度、好ましくは92〜96℃程度で、通常3秒間〜1分間程度、好ましくは30秒間〜1分間程度加熱する。
・アニーリング:通常50〜65℃程度、好ましくは50〜60℃程度で、通常5秒間〜2分間程度、好ましくは30秒間〜1分間程度加熱する。
・DNA伸長反応:通常60〜75℃程度、好ましくは70〜74℃程度で、通常10秒間〜3分間程度、好ましくは30秒間〜2分間程度加熱する。
・反応系のMgイオン濃度:通常1〜3.5mM程度、好ましくは2〜3mM程度。
この反応を、通常20〜40サイクル程度、好ましくは30サイクル程度行うことにより、目的DNAを検出可能な程度に増幅することができる。
PCR装置としては、ブロックタイプ、キャピラリータイプ等の市販の装置を使用できる。迅速にDNAを増幅するためにはキャピラリータイプのPCR装置を用いることが好ましい。
さらに、PCR反応物をアガロースゲル電気泳動により分離し、エチジウムブロマイド、サイバーグリーン等で核酸染色を行えばよい。
各PCRによりPCR増幅産物であるDNAのバンドが検出された場合には、そのプライマーに対応する細菌の存在が示される。
本発明の第1のプライマー及び/又は第2のプライマーを用いてPCR反応を行うことにより、電気泳動においてバンドが検出される場合には、被験食品中に、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌が存在している可能性が示される。SEQ ID No.:1の塩基番号1〜30の塩基配列を含むプライマー及びSEQ ID No.:2の塩基番号1〜23の塩基配列を含むプライマーを用いたPCR反応を行う場合には、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌又はビブリオ属細菌が存在すれば、通常約420塩基対のDNA断片に相当するバンドが検出される。
また、本発明の第3のプライマー及び/又は第4のプライマーを用いてPCR反応を行うことにより、電気泳動においてバンドが検出される場合には、スタフィロコッカス属細菌(特にスタフィロコッカスアウレウス)及びバチルス属細菌(特にバチルスセレウス)が存在している可能性が示される。SEQ ID No.:3の塩基番号1〜24の塩基配列からなるプライマー及びSEQ ID No.:4の塩基番号1〜33の塩基配列からなるプライマーを用いたPCR反応を行う場合には、スタフィロコッカス属細菌(スタフィロコッカスアウレウスを含む)又はバチルス属細菌(バチルスセレウスを含む)が存在すれば、通常約380塩基対のDNA断片に相当するバンドが検出される。
また、リアルタイム式PCR装置を使用することにより短時間で分析することもできる。この場合は、PCR後に融解曲線分析を行うことによりPCR増幅産物の有無を概ね確認できる。判断が困難な場合は、先述のようにアガロースゲル電気泳動により分析すればよい。
得られる菌数が少なすぎるために十分量のDNAを得ることができない場合や、死菌がPCR反応の結果に影響を与えると考えられる場合には、被験試料に滅菌した細菌用液体培地を添加し、30〜37℃程度で培養することにより菌数を増加させればよい。これによりDNA検出感度を向上させることができ、また死菌の影響を抑えることができる。液体培地の種類は特に制限されず、ブレインハートインフィージョン培地、トリプトソーヤ培地等の一般細菌用培地を広い範囲から適宜選択して使用することができる。ビブリオ属細菌の場合は、これらの培地において食塩濃度を1〜3%程度に調製したもの又はアルカリ性ペプトン培地を使用すればよい。
食品1g当たり10個程度の生細菌が含まれている場合には、通常4〜8時間程度培養すれば、前記のPCR反応によりそのDNAを検出することができる。食品1g当たりに含まれる検出目的の細菌(特に、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌、スタフィロコッカスアウレウス又はバチルスセレウス)の数が10個未満の細菌汚染は、通常無視することができる。なぜなら、食品1g当たりに含まれる細菌数が10個未満の場合には、食品破砕液を平板寒天培地に塗布してもコロニーが検出されず、通常無視されているからである。さらに、食品重量あたりの検出細菌数を低くしたい場合には、試料量を増やしたり培養時間を適宜延長させればよい。
(III)本発明の効果
本発明によると、食品中の食中毒細菌を含む特定の細菌群の有無を簡単かつ迅速に検出できるPCR用プライマー、及び、このプライマーを用いて食品中の特定細菌群の有無を簡単かつ迅速に検出できる方法などが提供される。
さらにいえば、本発明のプライマーを用いることにより食品に由来するクロロプラストDNA及びミトコンドリアDNA等のDNAが検出されないため、細菌を食品から分離培養することなくPCR反応に供することができ、その分、検査時間を短縮できる。
また、食品における食中毒細菌として重要な細菌としては、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌、ビブリオ属細菌、スタフィロコッカス属細菌(特にスタフィロコッカスアウレウス)及びバチルス属細菌(特にバチルスセレウス)が挙げられる。このような状況の下で、本発明の第1のプライマーはエシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌を含む比較的広範囲の細菌群を検出できるものであり、本発明の第2のプライマーもスタフィロコッカスアウレウス及びバチルスセレウスを含む(スタフィロコッカス属細菌及びバチルス属細菌を含む場合もある)比較的広範囲の細菌群を検出できるものである。従って、この二つのプライマーをそれぞれ用いた二つのPCRを同時に行うことにより、簡単に、主要な食中毒細菌の混入の可能性を調べることができる。
従って、本発明のプライマーは汚染頻度が比較的低い食品を対象にした細菌検査の一次スクリーニングに好適に用いることができる。すなわち、本発明のプライマーを用いた一次スクリーニングにより細菌が検出されなかった場合、そのプライマーで検出可能な前述した細菌群は陰性であることが示唆される。また、本発明のプライマーを用いた一次スクリーニングにより細菌が検出された場合には、二次スクリーニングとして特定細菌に特異的なプライマーを用いたPCR反応により菌種を同定すればよい。
また、本発明方法において、食品の破砕工程と遠心分離操作とを行う場合には、細菌を食品から効率よく分離採取できるため、細菌を食品から分離培養する必要がなくなり、その分検査時間を短縮できる。
実施例
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1(標準菌株における反応性の確認)
<DNAの調製>
エシェリキアコリ(Escherichia coli)JCM 1649T株、サルモネラティフィムリウム(Salmonella typhimurium)IFO 13245株、スタフィロコッカスアウレウス(Staphylococcus aureus)IFO 3060株及びバチルスセレウス(Bacillus cereus)IFO 15305T株をそれぞれブレインハートインフィージョン培地を用いて培養した。各菌体からDNeasy Tissue Kit(キアゲン社製)を用いて、DNA溶液を調製した。
<プライマーの調製>
SEQ ID No.:1、SEQ ID No.:2、SEQ ID No.:3及びSEQ ID No.:4の各DNAプライマーを、DNA合成機を用いて合成した。
<PCR反応>
各細菌のDNA量を測定し、各細菌のゲノムの分子量からDNA溶液に含まれるゲノムのコピー数を10コピー/μl程度、102コピー/μl程度及び103コピー/μl程度にした被験DNA液をそれぞれ調製した。これらの被験DNA液1μlに、滅菌水及びPCR用緩衝液を加えることにより終濃度が2.0mM MgCl2 50mM Tris−HCl(pH8.3)、0.25mg/mlBSA、200μM dNTPs、各0.2μMプライマーとなるように調整した。これに1.0unitsのHot Start TaqDNAポリメラーゼ(ロッシュダイアグノステック社製)を添加し、総液量として20μlとしてPCR反応を行った。
プライマーは、エシェリキアコリ及びサルモネラティフィムリウムに対してはSEQ ID No.:1及びSEQ ID No.:2のプライマーを組み合わせて用いた。スタフィロコッカスアウレウス及びバチルスセレウスに対してはSEQ ID No.:3及びSEQ ID No.:4のプライマーを組み合わせて用いた。
PCR温度条件は、反応液を95℃で15分間保持した後、熱変性を95℃で5秒間、アニーリングを59℃で10秒間、DNA伸長反応を72℃で20秒間行う条件とした。この条件でのPCR反応を30サイクル行った。PCR装置はライトサイクラー(ロッシュダイアグノステック社製)を用いた。
得られたPCR産物を1.6%アガロースゲル(タカラ社)でMupid−2(コスモバイオ社)により、100Vで25分間電気泳動し、エチジウムブロミド(1.0μg/ml)で染色後、UVランプ下でバンドを観察した。
アガロースゲル電気泳動パターンを図1に示す。図1の(A)及び(B)は、SEQ ID No.:1のプライマーとSEQ ID No.:2のプライマーとを組み合わせて用いた場合の結果であり、図1の(C)及び(D)は、SEQ ID No.:3のプライマーとSEQ ID No.:4のプライマーとを組み合わせて用いた場合の結果であって、図1の(A)はエシェリキアコリ、図1の(B)はサルモネラティフィムリウム、図1の(C)はスタフィロコッカスアウレウス、図1の(D)はバチルスセレウスの結果をそれぞれ示す。
図1から、SEQ ID No.:1のプライマー及びSEQ ID No.:2のプライマーを組み合わせて用いることによりエシェリキアコリ及びサルモネラティフィムリウムの各DNAが検出されることが確認された。また、SEQ ID No.:3のプライマー及びSEQ ID No.:4のプライマーを組み合わせて用いることによりスタフィロコッカスアウレウス及びバチルスセレウスのDNAが検出されることも確認された。また、102コピー程度のゲノムDNAが存在すれば前記のPCR条件でDNAを検出できることも確認された。
実施例2(植物DNAとの反応性)
<DNAの調製>
市販の小麦粉、ジャガイモ、大豆及びトウモロコシからDNeasy Plant Mini Kit(キアゲン社製)を用いてそれぞれの植物DNAを抽出した。
<PCR反応>
調製した各植物のDNAの濃度を測定後、各植物の1ゲノムあたりのDNAの分子量から各溶液に含まれるゲノムDNAのコピー数がそれぞれ100コピー/μl程度、101コピー/μl程度、102コピー/μl程度及び103コピー/μl程度に相当する被験DNA溶液を調製した。これらの被験DNA溶液1μlに滅菌水及びPCR用緩衝液を加えることにより、終濃度が2.0mM MgCl2、50mM Tris−HCl(pH8.3)、0.25mg/ml BSA、200μM dNTPs、各0.2μMプライマーとなる溶液を調整した。この溶液に1.0unitsのHot Start TaqDNAポリメラーゼ(ロッシュダイアグノステック社製)を添加し、総液量を20μlとしてPCR反応を行った。
プライマーは、SEQ ID No.:1のプライマー及びSEQ ID No.:2のプライマーからなるプライマーセット、SEQ ID No.:3のプライマー及びSEQ ID No.:4のプライマーからなるプライマーセット、及び、細菌全般を検出すると報告されているプライマーセット(J Dent Res 78(4):850−856,April,1999)をそれぞれ用いた。
PCR反応の温度条件は、95℃で15分間保持した後、熱変性を95℃で5秒間、アニーリングを59℃で10秒間、DNA伸長反応を72℃で20秒間行う条件とした。この条件でのPCR反応を30サイクル行った。PCR装置はライトサイクラー(ロッシュダイアグノスステック社製)を用いた。
得られたPCR産物を、1.6%アガロースゲル(タカラ社)中で、Mupid−2(コスモバイオ社)により、100Vで25分間電気泳動した。電気泳動後のゲルをエチジウムブロミド(1.0μg/ml)で染色し、UVランプ下でDNAのバンドを観察した。結果を図2に示す。図2の(A)は小麦、図2の(B)はジャガイモ、図2の(C)は大豆、図2の(D)はトウモロコシの結果をそれぞれ示す。
図2に示すように、小麦、ジャガイモ、大豆及びトウモロコシのいずれも、SEQ ID No.:1及びSEQ ID No.:2のプライマー、又は、SEQ ID No.:3及びSEQ ID No.:4のプライマーを用いた場合にはバンドが検出されなかった。本発明のプライマーを用いたPCR反応では、これらの植物由来のDNAは検出されないことが分かる。一方、細菌全般を検出できると報告されている前述のプライマーを用いた場合には、バンドが検出された。これは、クロロプラスト又は/及びミトコンドリアを含む植物由来のDNAと反応したことによるものと考えられる。これらの増幅バンドのDNA塩基配列を調べたところ、それぞれの植物クロロプラストの16SrRNA遺伝子配列と一致した。
この他、これらの植物DNAの代わりに、ウシDNA(ジーンスキャン社製)、ニワトリDNA(ジーンスキャン社製)、サケDNA(クローンテック社製)、Saccharomyces cerevisiae IFO0282、Aspergillus oryzae IFO4206DNAを用いて同様の実験を行ったところ、いずれのDNAにおいても、SEQ ID No.:1及びSEQ ID No.:2のプライマー、又は、SEQ ID No.:3及びSEQ ID No.:4のプライマーを用いた場合に、バンドが検出されないことを確認した。本発明のプライマーを用いたPCR反応では、哺乳類、鳥類、魚類及び真菌由来のDNAも検出しないことが分かった。
実施例3(本発明のプライマーの菌種特異性の確認)
実施例1と同様にして各菌株に適合する培地を用いて菌株を培養し、以下の表1に示す各菌株からDNAを抽出し、PCR反応を行った。プライマーは、SEQ ID No.:1のプライマー及びSEQ ID No.:2のプライマーの組み合わせ、並びに、SEQ ID No.:3のプライマー及びSEQ ID No.:4のプライマーの組み合わせをそれぞれ用いた。
結果を次表1に示す。
表1に示すように、SEQ ID No.:1のプライマー及びSEQ ID No.:2のプライマーの組み合わせを用いた場合には、腸内細菌科に属するエシェリキア属、サルモネラ属、シトロバクター属、クレブシェラ属、エンテロバクター属、セラチア属、ハフニア属、プレシオモナス属、シゲラ属、エルシニア属;ビブリオ科に属するビブリオ属、フォトバクテリウム属、エアロモナス属の各細菌のDNAが検出された。
また、SEQ ID No.:3のプライマー及びSEQ ID No.:4のプライマーの組み合わせを用いた場合には、スタフィロコッカス属、バチルス属及びエアロコッカス属の各細菌のDNAが検出された。
このように、SEQ ID No.:1のプライマー及びSEQ ID No.:2のプライマーの組み合わせを用いる場合には、腸内細菌科及びビブリオ科に属する細菌が特異的に検出され、SEQ ID No.:3のプライマー及びSEQ ID No.:4のプライマーの組み合わせを用いる場合には、スタフィロコッカス属、バチルス属及びエアロコッカス属の各細菌が特異的に検出されることが分かる。
実施例4(遠心分離法による食品からの細菌の分離)
小麦粉、澱粉、かんすい及び水から製造された蒸し麺(スタフィロコッカスアウレウスが含まれていないことが確認されているもの)にスタフィロコッカスアウレウスIFO3060株を、麺1g当たり4.0×104個程度添加し、麺の重量の9倍量のリン酸緩衝液(pH7.2)を添加し、ストマッカーで麺を破砕した。
麺破砕液Aの1mlを100×gで1分間遠心し、得られた上清Bを10000×gで5分間遠心し、得られた沈殿を1mlのブレインハートインフィージョン培地に懸濁した(懸濁液C)。破砕液A、上清B、懸濁液C中の菌数を計測すると、それぞれ4.1×103個/ml、4.0×103個/ml、4.0×103個/mlであった。このことから、前記の遠心工程により、当初麺に添加した細菌の概ね全てが、懸濁液C中に分離できたことが分かる。
この他、エシェリキアコリJCM1649T株、サルモネラティフィムリウムIFO13245株及びバチルスセレウスIFO15305T株をそれぞれ用いて同様の実験を行い、同様の結果が得られた。
実施例5(検出限界)
<DNAの調製>
小麦粉、澱粉、かんすい及び水から製造された蒸し麺(スタフィロコッカスアウレウスが含まれていないことが確認されているもの)に、麺1g当たり102個、103個、104個及び105個程度となるようにスタフィロコッカスアウレウスIFO3960株をそれぞれ添加した。菌が添加されたこれらの麺に、麺重量の9倍量のリン酸緩衝液(pH7.2)(1983年講談社発行「食品の衛生微生物検査」440頁を参照)を加え、ストマッカーにより無菌的に破砕した。これらの麺破砕液中の菌数は、それぞれ1ml当たり10個、102個、103個及び104個程度であった。
この麺破砕液10mlを100×gで2分間遠心した。上清を3000×gで15分間遠心した。沈殿を洗浄するために、TE緩衝液(5mM Tris 0.1mM EDTA)5.0mlに懸濁した後、再び3000×gで15分間遠心し、沈殿を採取した。
沈殿からDNA抽出キット(Gentra SYSTEMS社製)を用いてDNAを抽出し、20μlのTE緩衝液に溶解させた。
<PCR>
得られたDNA溶液2μlに滅菌水及びPCR用緩衝液を加えることにより、終濃度が1.5mM MgCl2、50mM KCl、10mM Tris−HCl(pH8.3)、200μM dNTPs、各0.2μMプライマーとなる溶液を調製した。この溶液に1.25unitsのTaqDNAポリメラーゼ(タカラ)を添加し、総液量を50μlとしてPCR反応を行った。
プライマーは、SEQ ID No.:3のプライマー及びSEQ ID No.:4のプライマーを組み合わせて用いた。
PCRの温度条件は、熱変性を94℃で30秒間、アニーリングを58℃で30秒間、DNA伸長反応を72℃で30秒間行う条件とした。この条件でのPCR反応を40サイクル行った。PCR装置はGeneamp PCR system9700(アプライド バイオシステムズ社)を用いた。
得られたPCR産物を1.6%アガロースゲル(タカラ)中で、Mupid−2(コスモバイオ)により、100Vで25分電気泳動した。電気泳動後のゲルをエチジウムブロミド(1.0μg/ml)で染色し、UVランプ下でバンドを観察した。
結果を図3に示す。図3から、麺1g当たり103個程度(麺破砕液1ml当たり102個程度)のスタフィロコッカスアウレウスが存在していれば、そのDNAを検出できることが分かる。
同様の方法で、エシェリキアコリJCM1649T株、サルモネラティフィムリウムIFO13245株、バチルスセレウスIFO15305T株でも、麺1g当たり103個程度(麺破砕液1ml当たり102個程度)の細菌が存在していればそのDNAを検出することができた。なお、エシェリキアコリ及びサルモネラティフィムリウムについては、SEQ ID No.:1のプライマー及びSEQ ID No.:2のプライマーを組み合わせて用い、バチルスセレウスについては、SEQ ID No.:3のプライマー及びSEQ ID No.:4のプライマーを組み合わせて用いた。
実施例6(増菌操作後にPCR反応を行う方法)
<DNAの調製>
小麦粉、澱粉、かんすい及び水から製造された蒸し麺(大腸菌、セレウス菌が含まれていないことを確認済みのもの)にエシェリキアコリJCM1649T株及びバチルスセレウスIFO15305T株を、それぞれ麺1g当たり10個程度となるように添加した。菌が添加されたこれらの麺に、それぞれ麺重量の9倍量のブレインハートインフィージョン培地を加え、ストマッカーにより無菌的に粉砕した。
麺破砕液10mlを、振盪培養機を用い、回転数200rpmで5〜18時間35℃で培養した。培養前の麺破砕液中の菌密度は、1個/mlであったが、エシェリキアコリでは、5時間培養後に1.5×103個/ml、6時間培養後に7.0×103個/ml、7時間培養後に5.2×104個/ml、18時間培養後に2.0×109個/mlにまで細菌が増殖した。また、バチルスセレウスでは、5時間培養後に5.3×103個/ml、6時間培養後に4.3×104個/ml、7時間培養後に4.1×105個/ml、18時間培養後に7.2×108個/mlにまで細菌が増殖した。
培養液1.3mlを採取し、100×gで1分間遠心し、上清を10000×gで5分間遠心し、沈殿を採取した。この沈殿を洗うためTE緩衝液(5mM Tris 0.1mM EDTA)に懸濁し、10000×gで5分間遠心し、沈殿を採取した。
沈殿に10%キレックス液(10%(w/v)キレックス、10mM Tris−HCl(pH8.0)、0.1mM EDTA)200μlを加え、沸騰湯浴上で5分間加熱した後、10000×gで5分間遠心し、上清を採取した。上清中にはDNAが含まれており、PCRに使用するDNA溶液とした。
<PCR>
得られたDNA溶液1μlに滅菌水及びPCR用緩衝液を加えることにより、終濃度が2.0mM MgCl2、50mM Tris−HCl(pH8.3)、0.25mg/ml BSA、200μM dNTPs、各0.2μMプライマーとなるような溶液を調製した。この溶液に1.0unitsのHot Start TaqDNAポリメラーゼ(ロッシュダイアグノステック社製)を添加し、総液量を20μlとしてPCR反応を行った。
プライマーは、エシェリキアコリの場合にはSEQ ID No.:1のプライマー及びSEQ ID No.:2のプライマーの組み合わせ、バチルスセレウスの場合にはSEQ ID No.:3のプライマー及びSEQ ID No.:4のプライマーからなる組み合わせのものを用いた。
PCRの温度条件は、95℃で15分間保持した後、熱変性を95℃で5秒間、アニーリングを59℃で10秒間、DNA伸長反応を72℃で20秒間行う条件とした。この条件でのPCR反応を30サイクル行った。PCR装置はライトサイクラー(ロッシュダイアグノスステック社製)を用いた。
得られたPCR産物を1.6%アガロースゲル(タカラ)中でMupid−2(コスモバイオ)により、100Vで25分電気泳動した。電気泳動後のゲルをエチジウムブロミド(1.0μg/ml)で染色し、UVランプ下でバンドを観察した。
電気泳動のパターンを図4に示す。図4の(A)はエシェリキアコリ、図4の(B)はバチルスセレウスの結果を示す。図4の(A)に示すように、エシェリキアコリの場合には、麺1g当たり10個程度の細菌が存在している場合には、前述の操作による培養時間を5時間以上にすれば、前記PCR反応によりそのDNAを検出できることが分かる。また、図4の(B)に示すように、バチルスセレウスの場合も同様に、麺1g当たり10個程度の細菌が存在している場合には、前述の操作による培養時間を5時間以上にすれば、前記PCR反応によりそのDNAを検出できることが分かる。
また、サルモネラティフィムリウムIFO13245株についてもSEQ ID No.:1のプライマー及びSEQ ID No.:2のプライマーの組み合わせを用いることにより同様の結果が得られ、スタフィロコッカスアウレウスIFO3060株についてもSEQ ID No.:3のプライマー及びSEQ ID No.:4のプライマーの組み合わせを用いることにより同様の結果が得られた。
産業上の利用可能性
本発明の第1のプライマーは、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌及びビブリオ属細菌を検出するためのプライマーであり、本発明の第2のプライマーは、スタフィロコッカス属細菌(特にスタフィロコッカスアウレウス)及びバチルス属細菌(特にバチルスセレウス)を検出するためのプライマーである。また、これらのプライマーは食品に由来するクロロプラスト及びミトコンドリアを検出しない。従って、これらのプライマーを用いたPCRを行うことにより、主要な食中毒細菌の食品中への混入の可能性を簡単かつ高感度に調べることができる。
このため、これらのプライマーは、汚染頻度が比較的低い食品を対象とした細菌検査の一次スクリーニング、特に食品メーカーによる製品出荷前の自主細菌検査に好適に利用できる。
また、本発明の細菌の検出方法において、食品の破砕工程と遠心分離操作とを行う場合には、細菌を食品から効率よく分離採取できるため、細菌を食品から分離培養する必要がなくなり、その分検査時間が短縮される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、標準菌株のDNAを鋳型とし、本発明のプライマーを用いてPCR反応を行った後のアガロースゲル電気泳動パターンを示す図である。
図2は、植物由来のDNAを鋳型とし、本発明のプライマー及び細菌一般を検出できるプライマーをそれぞれ用いてPCR反応を行った後のアガロースゲル電気泳動パターンを示す図である。
図3は、本発明のプライマーを用いたPCR反応の1例における、細菌検出限界を示す図である。
図4は、本発明のプライマーを用いたPCR反応の他の例における、細菌の必要培養時間を示す図である。
Claims (26)
- 所定条件のPCRに供されることにより、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌、ビブリオ属細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、クロロプラストの16SrRNAをコードするDNAおよびミトコンドリアの16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しないプライマー。
- 前記条件のPCRに供されることにより、腸内細菌科及びビブリオ科に属する細菌群を検出してもよい請求項1に記載のプライマー。
- 所定条件のPCRに供されることにより、エシェリキア属細菌、サルモネラ属細菌、ビブリオ属細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、腸内細菌科及びビブリオ科に属する細菌群以外の細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しない請求項1又は2に記載のプライマー。
- 所定条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカスアウレウス及びバチルスセレウスの16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、クロロプラストの16SrRNAをコードするDNAおよびミトコンドリアの16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しないプライマー。
- 前記条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群を検出してもよい請求項4に記載のプライマー。
- 所定条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカスアウレウス及びバチルスセレウスの16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群以外の細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しない請求項4又は5に記載のプライマー。
- 所定条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカス属細菌及びバチルス属細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、クロロプラストの16SrRNAをコードするDNAおよびミトコンドリアの16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しないプライマー。
- 前記条件のPCRに供されることより、スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群を検出してもよい請求項7に記載のプライマー。
- 所定条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカス属細菌及びバチルス属細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅するが、同じ条件のPCRに供されることにより、スタフィロコッカス科細菌、バチルス科細菌及びエアロコッカス科細菌からなる細菌群以外の細菌の16SrRNAをコードするDNAを検出可能に増幅しない請求項7又は8に記載のプライマー。
- 以下の(1)又は(2)のプライマー。
(1)配列番号:1における塩基番号21〜30の塩基配列、塩基番号20〜30の塩基配列、塩基番号19〜30の塩基配列、塩基番号18〜30の塩基配列、塩基番号17〜30の塩基配列、塩基番号16〜30の塩基配列、塩基番号15〜30の塩基配列、塩基番号14〜30の塩基配列、塩基番号13〜30の塩基配列、塩基番号12〜30の塩基配列、塩基番号11〜30の塩基配列、塩基番号10〜30の塩基配列、塩基番号9〜30の塩基配列、塩基番号8〜30の塩基配列、塩基番号7〜30の塩基配列、塩基番号6〜30の塩基配列、塩基番号5〜30の塩基配列、塩基番号4〜30の塩基配列、塩基番号3〜30の塩基配列、塩基番号2〜30の塩基配列または塩基番号1〜30の塩基配列からなるプライマー。
(2)配列番号:1における塩基番号21〜30の塩基配列、塩基番号20〜30の塩基配列、塩基番号19〜30の塩基配列、塩基番号18〜30の塩基配列、塩基番号17〜30の塩基配列、塩基番号16〜30の塩基配列、塩基番号15〜30の塩基配列、塩基番号14〜30の塩基配列、塩基番号13〜30の塩基配列、塩基番号12〜30の塩基配列、塩基番号11〜30の塩基配列、塩基番号10〜30の塩基配列、塩基番号9〜30の塩基配列、塩基番号8〜30の塩基配列、塩基番号7〜30の塩基配列、塩基番号6〜30の塩基配列、塩基番号5〜30の塩基配列、塩基番号4〜30の塩基配列、塩基番号3〜30の塩基配列、塩基番号2〜30の塩基配列または塩基番号1〜30の塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマー。 - 以下の(3)又は(4)のプライマー
(3)配列表の配列番号:2における塩基番号14〜23の塩基配列、塩基番号13〜23の塩基配列、塩基番号12〜23の塩基配列、塩基番号11〜23の塩基配列、塩基番号10〜23の塩基配列、塩基番号9〜23の塩基配列、塩基番号8〜23の塩基配列、塩基番号7〜23の塩基配列、塩基番号6〜23の塩基配列、塩基番号5〜23の塩基配列、塩基番号4〜23の塩基配列、塩基番号3〜23の塩基配列、塩基番号2〜23の塩基配列または塩基番号1〜23の塩基配列からなるプライマー。
(4)配列表の配列番号:2における塩基番号14〜23の塩基配列、塩基番号13〜23の塩基配列、塩基番号12〜23の塩基配列、塩基番号11〜23の塩基配列、塩基番号10〜23の塩基配列、塩基番号9〜23の塩基配列、塩基番号8〜23の塩基配列、塩基番号7〜23の塩基配列、塩基番号6〜23の塩基配列、塩基番号5〜23の塩基配列、塩基番号4〜23の塩基配列、塩基番号3〜23の塩基配列、塩基番号2〜23の塩基配列または塩基番号1〜23の塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマー。 - 以下の(5)又は(6)のプライマー
(5)配列表の配列番号:3における塩基番号15〜24の塩基配列、塩基番号14〜24の塩基配列、塩基番号13〜24の塩基配列、塩基番号12〜24の塩基配列、塩基番号11〜24の塩基配列、塩基番号10〜24の塩基配列、塩基番号9〜24の塩基配列、塩基番号8〜24の塩基配列、塩基番号7〜24の塩基配列、塩基番号6〜24の塩基配列、塩基番号5〜24の塩基配列、塩基番号4〜24の塩基配列、塩基番号3〜24の塩基配列、塩基番号2〜24の塩基配列または塩基番号1〜24の塩基配列からなるプライマー。
(6)配列表の配列番号:3における塩基番号15〜24の塩基配列、塩基番号14〜24の塩基配列、塩基番号13〜24の塩基配列、塩基番号12〜24の塩基配列、塩基番号11〜24の塩基配列、塩基番号10〜24の塩基配列、塩基番号9〜24の塩基配列、塩基番号8〜24の塩基配列、塩基番号7〜24の塩基配列、塩基番号6〜24の塩基配列、塩基番号5〜24の塩基配列、塩基番号4〜24の塩基配列、塩基番号3〜24の塩基配列、塩基番号2〜24の塩基配列または塩基番号1〜24の塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマー。 - 以下の(7)又は(8)のプライマー
(7)配列表の配列番号:4における塩基番号24〜33の塩基配列、塩基番号23〜33の塩基配列、塩基番号22〜33の塩基配列、塩基番号21〜33の塩基配列、塩基番号20〜33の塩基配列、塩基番号19〜33の塩基配列、塩基番号18〜33の塩基配列、塩基番号17〜33の塩基配列、塩基番号16〜33の塩基配列、塩基番号15〜33の塩基配列、塩基番号14〜33の塩基配列、塩基番号13〜33の塩基配列、塩基番号12〜33の塩基配列、塩基番号11〜33の塩基配列、塩基番号10〜33の塩基配列、塩基番号9〜33の塩基配列、塩基番号8〜33の塩基配列、塩基番号7〜33の塩基配列、塩基番号6〜33の塩基配列、塩基番号5〜33の塩基配列、塩基番号4〜33の塩基配列、塩基番号3〜33の塩基配列、塩基番号2〜33の塩基配列または塩基番号1〜33の塩基配列からなるプライマー。
(8)配列表の配列番号:4における塩基番号24〜33の塩基配列、塩基番号23〜33の塩基配列、塩基番号22〜33の塩基配列、塩基番号21〜33の塩基配列、塩基番号20〜33の塩基配列、塩基番号19〜33の塩基配列、塩基番号18〜33の塩基配列、塩基番号17〜33の塩基配列、塩基番号16〜33の塩基配列、塩基番号15〜33の塩基配列、塩基番号14〜33の塩基配列、塩基番号13〜33の塩基配列、塩基番号12〜33の塩基配列、塩基番号11〜33の塩基配列、塩基番号10〜33の塩基配列、塩基番号9〜33の塩基配列、塩基番号8〜33の塩基配列、塩基番号7〜33の塩基配列、塩基番号6〜33の塩基配列、塩基番号5〜33の塩基配列、塩基番号4〜33の塩基配列、塩基番号3〜33の塩基配列、塩基番号2〜33の塩基配列または塩基番号1〜33の塩基配列を3’末端側に含む最大40塩基のDNAからなるプライマー。 - 請求項10のプライマー及び請求項11のプライマーからなるプライマーセット。
- 請求項12のプライマー及び請求項13のプライマーからなるプライマーセット。
- 請求項14のプライマーセットと、請求項15のプライマーセットとを有するPCRキット。
- i)被験食品に含まれるDNAを抽出する工程と、ii)このDNAを鋳型として、請求項1に記載のプライマーを用いてPCR反応を行い、増幅されたDNAを検出する工程とを含む細菌の検出方法。
- i)被験食品に含まれるDNAを抽出する工程と、ii)このDNAを鋳型として、請求項4に記載のプライマーを用いてPCR反応を行い、増幅されたDNAを検出する工程とを含む細菌の検出方法。
- i)被験食品に含まれるDNAを抽出する工程と、ii)このDNAを鋳型として、請求項7に記載のプライマーを用いてPCR反応を行い、増幅されたDNAを検出する工程とを含む細菌の検出方法。
- i)被験食品に含まれるDNAを抽出する工程と、ii)このDNAを鋳型として、請求項10に記載のプライマーを用いてPCR反応を行い、増幅されたDNAを検出する工程とを含む細菌の検出方法。
- i)被験食品に含まれるDNAを抽出する工程と、ii)このDNAを鋳型として、請求項11に記載のプライマーを用いてPCR反応を行い、増幅されたDNAを検出する工程とを含む細菌の検出方法。
- i)被験食品に含まれるDNAを抽出する工程と、ii)このDNAを鋳型として、請求項12に記載のプライマーを用いてPCR反応を行い、増幅されたDNAを検出する工程とを含む細菌の検出方法。
- i)被験食品に含まれるDNAを抽出する工程と、ii)このDNAを鋳型として、請求項13に記載のプライマーを用いてPCR反応を行い、増幅されたDNAを検出する工程とを含む細菌の検出方法。
- i)被験食品に含まれるDNAを抽出する工程と、ii)このDNAを鋳型として、請求項14に記載のプライマーセットを用いてPCR反応を行い、増幅されたDNAを検出する工程とを含む細菌の検出方法。
- i)被験食品に含まれるDNAを抽出する工程と、ii)このDNAを鋳型として、請求項15に記載のプライマーセットを用いてPCR反応を行い、増幅されたDNAを検出する工程とを含む細菌の検出方法。
- DNA抽出工程i)が、a)被験食品を粉砕する工程と、b)粉砕物を50〜300×gの遠心力で遠心する工程と、c)遠心により得られる上清を2000〜14000×gの遠心力で遠心する工程と、d)遠心により得られる沈殿中に含まれるDNAを抽出する工程とを含む請求項17〜25のいずれかに記載の細菌の検出方法。
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