JPS649377B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は加熱、熱処理等をなす工業用炉に関
し、排ガスの熱エネルギーを有効使用することに
より省エネルギー化を達成せんとするものであ
る。

一般に炉の熱エネルギー損失は排ガスとして外
部に持ち去られる割合が一番に大きい。そこで煙
道に熱交換器を設けて排ガスの熱でバーナでの燃
焼用空気を予熱することは通常行なわれているこ
とであるが、熱交換器の設置スペースを必要とす
る上、熱交換器に至るまでの煙道壁面等からの熱
損失があるため排熱回収効率は低い。そこで炉内
の例えば天井部に空気予熱用の熱交換器を設置す
ることが考えられるが、その場合は熱交換器によ
る輻射熱の吸収で炉内温度が低下し被熱物加熱能
力が低下する欠点が生じるものであつた。

この発明の第１の目的は上記従来の欠点を解消
し、加熱室内での加熱特性等の熱的機能を全く損
なうことなく排ガスの熱エネルギーを効率よく回
収することにある。

また、炉壁を通して外部に放散する熱エネルギ
ーも大きな割合を示すが、この発明の第２の目的
はかかる炉壁からの排熱を可及的に防止すること
にある。

上記目的を達成するため、この発明の工業用炉
は、加熱室の上部空間に通気性固体を張設して煙
道に連通する熱交換室を区画形成すると共に、該
熱交換室に炉壁をなす少なくとも一対のヘツダを
設け、該ヘツダを複数本のパイプやフイン付チユ
ーブ等の熱交換エレメントにより連結したもので
ある。

この発明において通気性固体とは、金属または
セラミツク等の耐熱材料を網状、ハニカム状、繊
維状、多孔質状等の通気性を有する形状に成形し
これを適度な光学的厚さに成形または重ね合わせ
たものをいう。この通気性固体は実質的な表面積
がきわめて大きくこの通気性固体にガスを流通さ
せた場合の対流熱伝達係数は著しく大きい。発明
者等はかかる通気性固体について種々研究の結
果、通気性固体によりガスの流れを仕切つてガス
を通気性固体中に貫流させると、通気性固体は高
い効率でガスとの熱交換を行い、主としてガスの
上流側に輻射熱を放射すると共に、通気性固体自
体が熱遮蔽材あるいは断熱材として機能すること
を知つた。即ち、適当な厚さの通気性固体でガス
の流れを仕切つた場合、通気性固体のガス下流側
におけるガス温度等の熱的条件をどのように変え
ても通気性固体のガス上流側には熱的影響を殆ん
ど及ぼさないという特性が見出された。

この発明は叙上の知見を基になされたものであ
り、以下この発明を実施例に従い具体的に説明す
る。

第１図、第２図に示す炉は加熱室１内の被熱物
２を矢印の方向に連続的に移送させる連続式の加
熱炉で、３は炉内に火炎を吹出す加熱用バーナ、
４，４…は被熱物搬送用ローラ、５は被熱物装入
口である。加熱室１の上部空間に適宜厚さの通気
性固体６を水平に張設し煙道７に連通する熱交換
室６を区画形成する。また、該熱交換室８の両側
壁に炉壁をなす一対のヘツダ９ａ，９ｂを設け、
ヘツダ９ａ，９ｂを複数本の熱交換パイプ１０，
１０…により連結する。そしてヘツダ９ａと連通
したダクト１１ａが天井壁の中央縦断半分をなよ
うにし該ダクト１１ａに接続管１２ａを設けると
共に、ヘツダ９ｂと連通するダクト１１ｂを天井
壁の他半分をなすように形成し、該ダクト１１ｂ
に接続管１２ｂを設ける。ダクト１１ｂおよび接
続管１２ｂの外表面は耐火性の断熱材１３によつ
て覆う。なお前記通気性固体６はこの場合熱交換
パイプ１０，１０…に掛け渡したＵ形の吊杆１４
によつて吊下支持されている。

このように構成した炉では、バーナ３で発生し
た加熱室１内の燃焼排ガスは通気性固体６を貫流
して熱交換室８に入りさらに煙道７を通つて外部
に排出される。そのとき通気性固体６は燃焼排ガ
スとの対流熱伝達によつて高温度に加熱され輻射
熱を主として加熱室１側へ放射する。一方、接続
管１２ａを介してダクト１１ａ、ヘツダ９ａに燃
焼用空気またはその他の被加熱流体を導入し熱交
換パイプ１０，１０…を流通させることにより上
記燃焼排ガスとの熱交換でその被加熱流体を加熱
せしめ、ヘツダ９ｂ、ダクト１１ｂ、接続管１２
ｂを通してその被加熱流体を流出させる。

第３図に示した炉は、上記通気性固体６を炉長
方向にさらに広範囲に張設すると共に、上記ヘツ
ダ９ａ，９ｂ、熱交換パイプ１０，１０…、ダク
ト１１ａ，１１ｂよりなる熱交換装置を二基設け
それを連結ダクト１５で直列状に連通させること
により被加熱流体との熱交換能力を増大させたも
のを示し、第１図、第２図と同一符号は同一部分
を指すのでその詳しい説明は略す。

また、第４図に示した炉は、天井壁をなすよう
に一対のヘツダ１６ａ，１６ｂを設け、両ヘツダ
を形に屈曲させた熱交換パイプ１７，１７…に
よつて連結してなる。

さらに、第５図に示した炉は、両側壁をなすヘ
ツダ１８ａ，１８ｂと天井壁をなすヘツダ１９
ａ，１９ｂ，１９ｃ，１９ｄを設け、ヘツダ１８
ａとヘツダ１９ａとを状に熱交換パイプ２０，
２０…により連結し、ヘツダ１９ｂとヘツダ１９
ｃを状の熱交換パイプ２１，２１…により連結
し、ヘツダ１９ｄとヘツダ１８ｂとを状の熱交
換パイプ２２，２２…により連結すると共に、ヘ
ツダ１９ａとヘツダ１９ｂとを炉外の連結ダクト
２３により連通させ、ヘツダ１９ｃとヘツダ１９
ｄとを連結ダクト２４により連通させてなる。こ
のため接続管１２ａからヘツダ１８ａに導入され
た被加熱流体は、熱交換パイプ２０、ヘツダ１９
ａ、連結ダクト２３、ヘツダ１９ｂ、熱交換パイ
プ２１，ヘツダ１９ｃ、連結ダクト２４、ヘツダ
１９ｄ、熱交換パイプ２２、ヘツダ１８ｂ、接続
管１２ｂの順に炉上部を循回し熱交換室８内の燃
焼排ガスの熱を吸収し高温度に加熱される。

第６図〜第９図には通気性固体の支持のしかた
を種々示し、第６図に示したものは熱交換パイプ
に巻掛した吊杆２５を通気性固体６に貫挿しその
下方突出端に座金２６、ナツト２７を取着し該通
気性固体６を吊下支持している。第７図では熱交
換パイプの下縁に二股状の吊金具２８を溶接によ
り固着しその該吊金具２８上に通気性固体６の端
縁を支持せしめている。第８図に示したように燃
焼排ガスを熱交換室内で蛇行させて煙道へ導びく
ため邪魔板２９を設けたときは該邪魔板２９の下
端に受部材３０を固着し通気性固体６をこれに支
持するようにしてもよい。また、セラミツクフア
イバー製織布等の可撓性の通気性固体では第９図
に示したように上下位置した熱交換パイプに交互
にこれを巻掛して蛇行状に張設するようにしても
よくその場合燃焼排ガスの通気面積が増えるため
圧力損失が軽減されることから好都合なこともあ
る。

以上実施例について説明したように、この発明
の工業用炉は加熱室の上部空間に通気性固体を張
設して煙道に連通する熱交換室を区画形成すると
共に、該熱交換室に炉壁をなす少なくとも一対の
ヘツダを設け、該ヘツダを熱交換室内に設けた複
数本の熱交換パイプにより連結してなるので、燃
焼排ガスの有する顕熱は通気性固体により輻射熱
に変換されて加熱室内の被熱物を加熱するのに直
接利用されると共に、通気性固体が熱遮蔽材とし
て機能するので加熱室の被熱物の加熱に有効な熱
量が熱交換室に奪われるのを防止する。そして、
熱交換パイプによつて連結されているヘツダは炉
壁を通して外部に放散する熱エネルギーを把握し
て燃焼用空気等の被加熱流体を加熱するのに有効
に利用することを可能ならしめるので、熱エネル
ギーの外部損失は著しく少なくなり大幅な省エネ
ルギー化が達成できる有益なものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示したもので、第１
図は炉の横断面図、第２図は炉の縦断面図、第３
図は他の実施例を示す炉の縦断面図、第４図は他
の実施例を示す炉の横断面図、第５図はさらに他
の実施例を示す炉の横断面図、第６図〜第９図は
通気性固体の支持部を示した縦断面図である。 １……加熱室、２……被熱物、６……通気性固
体、７……煙道、８……熱交換室、９ａ，９ｂ…
…ヘツダ、１０……熱交換パイプ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 加熱室の上部空間に通気性固体を張設して煙
   道に連通する熱交換室を区画形成すると共に、該
   熱交換室に炉壁をなす少なくとも一対のヘツダを
   設け、該ヘツダを熱交換室内に設けた複数本の熱
   交換エレメントにより連結してなることを特徴と
   する工業用炉。