JPS64807Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は化粧料容器に関し、特にクリームな
どの練状化粧料を収納するための容器に関する。

従来のこの種の化粧料容器では、容器本体の開
口部に形成されたネジ部に蓋体のネジ部を着脱可
能に螺合させて開閉操作を行なうように構成され
たものが一般的である。この容器にあつては、一
方の手で容器本体を押えながら他方の手で蓋体を
開閉方向に回転させることにより、蓋体の開閉が
行なわれるのであるが、この場合、蓋体の開閉操
作に両手の使用を必要とするため、開閉操作の迅
速性・簡便性という点において問題があつた。特
に化粧料の多様化が進んだ最近では、複数の化粧
料を同時に用いることが多く、そのためより簡便
な操作で開閉を行える容器への要求が高まつてい
るにもかかわらず、従来の螺合式のものではこの
要求に応えきれない憾みがあつた。

また、実開昭57−128908号公報に示されている
ように、蓋体の上面を押圧することにより蓋体と
容器本体との係合を解除するようにしたコンパク
ト容器が提供されているが、このコンパクト容器
では蓋体の押圧部がその前方の一部に限られしか
も大きな押圧力を必要とし、更には蓋体を押圧し
てその係合を解除した後に蓋体の前端部に指を掛
けて開放すると言つた操作が必要とされ、開放操
作性が悪いものとなつていた。

この考案は前述した従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は片手操作によりしか
も蓋体の上面の比較的広い中央部分を軽く押圧す
るワンタツチ操作で蓋体を開閉することができる
化粧料容器を提供することにある。

以下、本考案の好適な実施例に係る化粧料容器
について添付図面を参照して説明する。

第１図は本考案の一実施例に係る化粧料容器の
縦断面図であり、この容器１は合成樹脂から成
り、化粧料収納部２ａを有した円筒状の容器本体
２と、本体２の上部の円筒状首部３の外周の外ネ
ジ部３ａに内周の内ネジ部４ａで蝶着して該本体
の一部をなす中枠４と、本体２と中枠４との係合
部に介在し両部材間を水密・気密的に保持するパ
ツキング５と、中枠４の周壁１６ａ後端部に形成
された切欠部７に嵌め込まれピン１２によつて枢
軸的に支持される蝶番部９を後端に有した蓋体８
とを有し、中枠の切欠部７と軸対称位置（前端位
置）にある周壁１６ａの上端縁部には所定の周方
向長さを有する第２のテーパー面１４が形成され
る一方、蓋体８の前端縁には第２のテーパー面１
４と対応する幅，周方向長さ及び傾斜角度を有し
た第１のテーパー面１３が形成されている。第２
のテーパー面１４は外径方向へ向かつて上向き傾
斜する傾斜面とし、第１のテーパー面１３は内径
方向へ向かつて下向き傾斜する傾斜面となし、こ
れらのテーパー面１３，１４は蓋体８の閉止時に
おいて面接触し合うように形成されている。蓋体
８は第２図イに示すように、後部には蝶番部９
を、また前端下面には係止片１５を有し、係止片
１５の内面には係止爪１５ａが形成されている。
蓋体８の本体８ａは後方から前方（蝶番部９から
係止爪１５ａの位置）へ向かう一方向でのみ上方
へ湾曲した形状を有し、蓋体本体８ａを上方から
下方へ加圧したときに弾性的に変形して前後方向
へ延伸し、加圧解除したときに原形復帰するよう
になつている。中枠４は第２図ロに示すように、
内周に内ネジ部４ａを有した筒状の基部１７と、
基部１７の上部に形成された前記周壁１６ａとを
有し、周壁１６ａの前端部内側には蓋体８の係止
爪１５ａと係合する係止部１６ｃが形成された突
起１６ｂが設けられている。周壁１６ａの上縁部
１６ｄは、蓋体８の周縁部の形状と整合するよう
に後方から前方へ向かつて上方へ所定の曲率で湾
曲した構成とし、蓋体８が閉止されたときに上縁
部１６ｄ（第２のテーパー面１４を含む）が蓋体
８の周縁部（第１のテーパー面１３を含む）と密
接するようになつている。パツキング５はクツシ
ヨン性を有する弾性体から成り、第２図ハに示す
ように水平リング状部５ａと筒状部５ｂとから一
体形成されている。水平リング状部５ａは中枠４
の周壁１６ａの下面と容器本体２の首部３の上端
面との間に挟持され、また筒状部５ｂは周壁１６
ａの内壁に密着されている。符号６はアンダーカ
ツト部であり、周壁１６ａの内径側突縁部１６ｅ
が嵌合してパツキング５を中枠４に係止してい
る。容器本体２は第２図ニに示すように首部３の
外周に中枠の内ネジ部４ａと螺合する外ネジ部３
ａを有し、パツキング５を介在した状態で、中枠
４が螺着固定される。

次に第３図イ，ロは蓋体８の蝶番部９と中枠４
の切欠部７との枢着構造を示し、蝶番部９の周方
向一端面には凹所１０が形成され、この凹所１０
の底面から蝶番部９の他端面にかけては貫通孔１
８が形成されている。また、中枠の切欠部７の両
側壁にはそれぞれピン１２の挿入孔７ａ，７ｂが
貫通され、挿入孔７ａと７ｂは直線状のピン１２
がまつすぐ挿入可能な方向性を有している。符号
１１は弾性手段をなすコイルスプリングであり、
スプリング１１の中央中空部が貫通孔１８と連通
するように凹所内に位置決め保持される。そし
て、スプリング１１の一端突出部１１ａが凹所１
０の内壁に当接されるとともに、１１ａと直角を
なす他端突出部１１ｂが切欠部７の底面に当接す
るように蝶番部９を切欠部７内に嵌合した後、挿
入孔７ａからスプリングの中央中空部及び貫通孔
１８をへて挿入孔７ｂ内にピン１２を挿入するこ
とにより、中枠４に対する蓋体８の枢着を完了す
る。こうして枢着された蓋体８はスプリング１１
によつて常に開放方向に付勢されることになる。
尚、所望の場合は中枠４を容器本体２と一体に形
成することも可能である。

以上の構成を有する化粧料容器１の蓋体８の開
閉操作を第１図及び第４図イ，ロにもとづいて説
明すると、第１図に示すような閉止状態において
は、蓋体８の係止片１５の係止爪１５ａと中枠４
の突起１６ｂの係止部１６ｃが弾性係合し、第１
のテーパー面１３と第２のテーパー面１４とは面
接触状態にあり、容器本体内部は蓋体８の下面周
縁部と密接しているパツキング５によつて外部か
ら水密、気密的に密封されている。次に、蓋体８
を矢印で示すように上方から押圧すると、蓋体８
は下方にＡだけ変形し、下方への変形量Ａの分だ
け、蓋体８は前後方向へ延伸する。蓋体８の後端
部は枢着されているので、結局この前後方向への
延伸力により該蓋体前端のテーパー面１３が中枠
４のテーパー面１４上を外径方向（上方向）へＢ
だけ摺動し、係止爪１５ａと係止部１６ｃとの係
合が解除される。と同時に、スプリング１１の拡
開力によつて蓋体８は上方へ開放される。また、
閉止する場合は蓋体８を閉塞方向へ押し付けて係
止爪１５ａと係止部１６ｃを係合させればよい。
従つて開放及び閉止操作ともに、片手でワンタツ
チで行なうことができる。

上記実施例では、蓋体８を開放方向へ付勢する
弾性手段をコイルスプリング１１から形成した
が、該弾性手段にはこの他にも種々のものが可能
であり、例えば中枠４にゴム等の弾性片を固着
し、その弾性片によつて蓋体８を付勢することな
どもできる。

上述したように本考案に係る化粧料容器では、
容器本体の上端開口部の後方側に蓋体の後端側を
枢着し、蓋体を後端部から前端部へ向けて全体的
に一方向にのみ湾曲形成し、蓋体の前端部に係止
爪と前端周縁部に沿つて第１のテーパー面とを形
成するとともに、容器本体の前端には、係止爪と
係合して蓋体を閉止位置に保持する係止部と、蓋
体が閉止位置にあるとき第１のテーパー面と当接
する第２のテーパー面を前端周縁に形成し、蓋体
を開放位置へ付勢する弾性手段を設け、閉止位置
において蓋体の上面を下方へ押圧すると蓋体が弾
性変形により前方へ延伸して第１のテーパー面が
第２のテーパー面上を摺動することにより係止爪
と係止部の係合が解除され、と同時に弾性手段に
よつて蓋体が開放されるようにしたので、蓋体の
略中央部を軽く押圧するだけの極めて簡単なワン
タツチ操作によつてこれを開放することができ、
また使用後も蓋体を閉止方向へ回転させて係止爪
と係止部を弾性的に係合させるだけですむから、
従来の化粧料容器と比して非常に迅速でしかも片
手によつて開閉を行ない得るなど、優れた効果を
奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図イは本考案の一実施例に係る化粧料容器
の断面図、同図ロは該容器の平面図、第２図イ乃
至ニは該容器の各構成部分を示し、イは蓋体の側
面図、ロは中枠の断面図、ハはパツキングの断面
図、ニは容器本体の側面図であり、第３図イ，ロ
は蓋体の枢着を示すための拡大斜視図、第４図
イ，ロは蓋体の開放操作を示すための断面図であ
る。 ２……容器本体、８……蓋体、９……蝶番部、
１１……コイルスプリング、１３……第１のテー
パー面、１４……第２のテーパー面、１５ａ……
係止爪、１６ｃ……係止部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 容器本体の上端開口部の後方側に蓋体の後端部
   を枢着し、該蓋体を該後端部から前端部へ向けて
   全体的に一方向にのみ湾曲形成し、該蓋体の該前
   端部に係止爪と前端周縁部に沿つて第１のテーパ
   ー面とを形成するとともに、該容器本体の前端に
   は、該係止爪と係合して蓋体を閉止位置に保持す
   る係止部と、該蓋体が該閉止位置にあるとき該第
   １のテーパー面と当接する第２のテーパー面を前
   端周縁に形成し、該蓋体を開放位置へ付勢する弾
   性手段を設け、該閉止位置において該蓋体の上面
   を下方へ押圧すると該蓋体が弾性変形により前方
   へ延伸して該第１のテーパー面が該第２のテーパ
   ー面上を摺動することにより該係止爪と該係止部
   の係合が解除され、該弾性手段によつて該蓋体が
   開放されてなることを特徴とする化粧料容器。