JPS638243Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、釦主体の軸部に鋲の柱部を挿入して
生地等に装着する釦に関し、特に生地の釦孔から
の外れを防止するフランジ部が生地等に対し傾動
可能な釦に関する。

従来の技術 生地の釦孔からの外れを防止するフランジ部が
生地等に対して傾動可能な釦として、釦主体をフ
ランジ部と軸部とに分け、フランジ部に球状をし
た係合凸部を、軸部に係合凹部を各々形成し、係
合凸部と係合凹部とを係合させてフランジ部を軸
部に対し傾動可能にした釦が提案された（特開昭
54−4640号公報）。しかし、この釦は、釦全体の
フランジ部が軸部に対して回転可能であるから、
生地等に装着した状態においてフランジ部が回転
してしまい、従つて前記フランジ部、特にキヤツ
プに文字、マーク等の方向性を有する模様がある
と使用状態において釦同志の前記模様の方向が不
揃いになり体裁が悪い。

このようなことから、中心部に鋲挿入用の孔を
上部に係止突縁部を各々有する軸部材とこの軸部
材の上方に位置する平板部材とを弾力性を有する
連結部材で一体にした合成樹脂製の内装部材と、
筒部の下端に外向きの接触フランジを有し前記筒
部に前記軸部材の下部が嵌入するアイレツト部材
と、前記軸部材の係止突縁部を収納する筒状部の
下端に前記係止突縁部の下面に係止する内向きの
係止フランジを上端に前記平板部材を収納する外
向きの収納フランジを各々有する本体と、この本
体の前記収納フランジに嵌着されたキヤツプとで
釦主体を構成した釦が提案された（実開昭59−
128209号公報）。しかし、この釦は内装部材の軸
部材と平板部材とを連結している連結部材が弾力
性を有する合成樹脂であるため、前記連結部材が
損傷しやすく、短命であつた。

解決しようとする問題点 本考案は、生地の釦孔からの抜けを防止するフ
ランジ部が生地に対して全方向に傾動可能ではあ
るが回転不能であるにもかかわらず、軸部材と平
板部材との連結部分が長命な釦を提供することを
目的とする。

問題点を解決するための手段 上記問題点は本考案によれば、内装部材を軸部
材と平板部材の２部品に分割し、平板部材には下
方に延びる脚を一体に形成し、軸部材には前記脚
が遊嵌する溝を少なくとも係止突縁部に形成し、
少なくとも平板部材を金属製とした釦とすること
により解決される。

実施例 以下、図面に示す実施例に基いて本考案を説明
する。

第１図ないし第６図において、Ａは釦主体であ
り、Ｂ１は鋲である。釦主体Ａは、軸部材１と、
平板部材２と、前記軸部材１と嵌合するアイレツ
ト部材３と、前記平板部材２を収納する本体４
と、この本体４の上部に嵌着されたキヤツプ５と
を有している。

軸部材１は、中心部に上下に貫通する孔１０を
有しているととも、上部外周に係止突縁部１１を
有しており、前記係止突縁部１１の外周側の対面
する２個所に上下方向に延びる溝１２が形成され
ている。前記孔１０は、上部が下部よりも径大に
なつており、上端部が溝１２，１２に続いてい
る。

平板部材２は、互いに対面して下方に延びる２
個の脚１３，１３を形成しており、前記脚１３，
１３が軸部材１の溝１２，１２に各々遊嵌してい
る。この脚１３は、図示の例では２個であるが、
少なくとも１個あれば目的は達成される。

アイレツト部材３は、筒部１４の下端に生地Ｃ
に装着された状態において生地Ｃと接触する外向
きの接触フランジ１５を有しており、筒部１４に
軸部材１の係止突縁部１１よりも下方の部分が上
部から嵌入している。

本体４は、筒状部１６の下端に、軸部材１の上
部、すなわち係止突縁部１１の下面に係止する内
向きの係止フランジ１７を有し、筒状部１６の上
端に円板部材２を収納する外向きの収納フランジ
１９を有している。収納フランジ１９は、上方に
打出された環状の突条を筒状部１６と同心に有
し、また外周縁部２０が斜め上方に屈曲されて皿
状になつている。

キヤツプ５は、収納フランジ１９との間に平板
部材２を挾圧した状態に、本体４の収納フランジ
１９の外周縁部２０に嵌着されて、本体４と一体
化されている。２１は、生地Ｃへの取付時に方向
決めをするための舌片である。

軸部材１は、平板部材２、アイレツト部材３、
本体４及びキヤツプ５、黄銅、鉄等の金属で作ら
れている。

この釦主体Ａは、軸部材１をその係止突縁部１
１が上方となる状態に本体４の筒状部１６に上方
から挿通し、平板部材２をその脚１３，１３が軸
部材１の溝１２，１２に遊嵌した状態に本体４の
収納フランジ１９に収納し、キヤツプ５を本体４
に被せて収納フランジ１９の外周縁部２０に嵌着
し、アイレツト部材３を本体４に下部から挿入し
て軸部材１の下部をアイレツト部材３に嵌入する
ことにより組立てられる。

このように組立てた状態においては、平板部材
２、本体４及びキヤツプ５により形成されるフラ
ンジ部と、軸部材１及びアイレツト部材３により
形成される軸部とが、平板部材２の脚１３，１３
が軸部材１の溝１２，１２に遊嵌することにより
結合されいるから、前記フランジ部と軸部とが相
対的に回転せず、従つてフランジ部に方向性を有
する模様を有する釦であつても、模様の方向が同
じになるように各釦を生地等に装着すれば、各釦
の模様が常に同じになり、体裁がよい。また、前
記脚１３，１３が溝１２，１２に遊嵌しているか
ら、フランジ部と軸部とが第７図に示すように相
対的に全方向に傾動可能である。

鋲Ｂ１は、第１図に示すように、頭部２２と柱
部２３を一体に有しており、柱部２３の先端が円
錐（又は角錐）状になつている。この鋲Ｂ１は、
生地Ｃに刺通した後、軸部材１の孔１０に挿入さ
れて平板部材２に加圧されることにより、柱部２
３の先端が圧潰されて第６図に示すように変形し
て軸部材１の孔１０の上部に加締られる。

この釦は、第６図に示すように生地Ｃに装着し
た状態において、本体４及びキヤツプ５を上方に
引張ると、本体４の係止フランジ１７が軸部材１
の係止突縁部１１と接するまで本体４及びキヤツ
プ５が軸部材１、アイレツト部材３及び鋲Ｂ１に
対して上昇する。また、第６図の状態において、
キヤツプ５の左端を下方生地側に押すか、右端を
上方に引張ると、この釦は第７図に示すように、
左方が生地Ｃ側となる状態に本体４とキヤツプ５
が傾斜する。従つて、本体４の収納フランジ１９
とキヤツプ５とからなるフランジ部を生地の釦孔
に挿通するときは、釦を装着している生地を曲げ
ることなしに前記フランジ部を第７図のように傾
斜させ、前記フランジ部を生地Ｃから離れている
側から釦孔に挿通すればよく、釦の掛け外しがき
わめて容易になる。

なお、鋲Ｂ１は第１図に示す鋲のみならず、第
８図に示す鋲Ｂ２のように柱部２３の先端側の複
数個所にパンチング加工等による凹部２４を形成
して柱部２３の先端側のみが加締時に変形するよ
うにした鋲Ｂ１であつてもよいし、第９図に示す
鋲Ｂ３のように柱部２３を中空して柱部２３の先
端が加締時に容易に変形するようにした鋲Ｂ１で
あつてもよい。

また、軸部材１は、かならずしも金属製である
必要はなく、合成樹脂であつてもよい。この場
合、軸部材１は、孔１０の径を同一にし、鋲は、
柱部の外周に断面鋸歯状の係合突条歯部を形成し
たものを用いることができる。

考案の効果 以上のように本考案は、フランジ部と軸部とが
相対的に傾動可能ではあるが回動不能な従来の釦
の内装部材を軸部材と平板部材とに分割し、円板
部材には下面に脚を一体に形成し、軸部材には前
記脚が遊嵌する溝を少なくとも係止突縁部に形成
し、少なくとも平板部材を金属製にしたから、フ
ランジ部と軸部とが傾動可能で回転不能ではある
が、軸部材と円板部材との結合部の機械的強度が
高く、長命である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる釦の分解断面図、第２
図は軸部材の平面図、第３図は同軸部材の右側面
図、第４図円板部材の正面図、第５図は同円板部
材の底面図、第６図は生地に装着した状態の縦断
面図、第７図はフランジ部を傾斜させた状態の縦
断面図、第８図と第９図は各々鋲の他の実施例を
示す図である。 １……軸部材、２……平板部材、３……アイレ
ツト部材、４……本体、５……キヤツプ、１０…
…孔、１１……係止突縁部、１２……溝、１３…
…脚、１４……筒部、１５……接触フランジ、１
６……筒状部、１７……係止フランジ、２３……
柱部、Ａ……釦主体、Ｂ１，Ｂ２，Ｂ３……鋲。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 〔１〕 釦主体Ａと、この釦主体Ａの孔１０に挿
   入する柱部２３を有する鋲Ｂ１，Ｂ２，Ｂ３と
   から成り、前記釦主体Ａは、中心部に前記孔１
   ０を上部に係止突縁部１１を各々有する軸部材
   １と、この軸部材１の上方に位置する平板部材
   ２と、筒部１４の下端に外向きの接触フランジ
   １５を有し前記筒部１４に前記軸部材１の下部
   が嵌入したアイレツト部材３と、前記軸部材１
   の係止突縁部１１を収納する筒状部１６の下端
   に前記係止突縁部１１の下面に係止する内向き
   の係止フランジ１７を、又前記筒状部１６の上
   端に前記平板部材２を収納した外向きの収納フ
   ランジ１９を各々有する本体４と、この本体４
   の前記収納フランジ１９に嵌着されたキヤツプ
   ５とを有し、前記平板部材２の下面に下方に延
   びる脚１３を形成し、前記軸部材１の少なくと
   も係止突縁部１１に前記脚１３が遊嵌する溝１
   ２を形成し、前記平板部材２が金属製であるこ
   とを特徴とする釦。 〔２〕 前記平板部材２の下面に下方に延びる２
   本の脚１３を有することを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の釦。 〔３〕 前記鋲は、柱部の先端側外周に複数の凹
   部２４を有する実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の釦。 〔４〕 前記鋲は、柱部２３が中空である実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の釦。