JPS626185Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、建築物のモルタル塗工壁やタイル壁
などに於ける曲面や出隅、入隅部などの施工に適
した建築用隅部または曲面施工用部材に係るもの
である。

従来、建築物のモルタル塗工壁やタイル壁など
に於ける曲面や出隅、入隅部などの施工に際して
は、ラス下地板を曲面部分若しくは凹凸部分に沿
つて貼つた後、その上にアスフアルトルーフイン
グ紙の様な防水紙、次いでメタルラスを施工しラ
スこすりを行ない、更に仕上げモルタル施工を行
なうという工夫（以下、ラス金網工法と略す）が
行なわれていた。

この工法は曲面部分のモルタル壁を造るのには
適していたが現場作業であるので人手と工期を多
く要し、また乾燥時間も最短１週間以上を必要と
するなどの多くの問題を残していた。

またモルタル施工後の防水性に関しても現場施
工過程に於ける防水紙の破損などにより水分の透
過を完全に防止することが困難であり、その結
果、下地板、柱、土台などが吸湿し腐朽や蟻害な
どを起こす原因ともなつていた。

之に対して、従来のラス金網工法に代わるもの
として合板などの板状基材の表面に防水層を設
け、その上に無機質結合材から成る混合物層を配
設したモルタル下地材が開発され、ラス金網工法
に代わるものとして広く普及したが、曲面部若し
くは凹凸部の施工に際しては板状基材が有してい
る剛性のため例え混合物層が適度の柔軟性を有し
ていても曲面部への施工が困難であり、曲面部へ
の施工に際してはその部分にのみラス金網工法を
適用するか或いはモルタル下地合板を小片状に分
割し曲線部へ施工するなどの方法しかなかつた。

従つてラス金網工法で施工すれば手間、工期及
び防水性などの点で問題があり、後者の方法では
切断、釘打ち、コーキング処理工程などの作業が
倍増し、しかも曲線部の形成が簡単に出来ないと
いう問題があつた。

本考案は以上の各種の問題点を解決した建築用
隅部または曲面施工用部材の提供を目的とするも
のであり、無機質結合材と有機質若しくは無機質
の発泡粒子から成る混合物層の片面に防水性若し
くは撥水性含浸紙、金属箔、合成樹脂シートなど
が配設されていることを特徴とする建築用隅部ま
たは曲面施工用部材または隅部材である。

以下、本考案を実施の一例である図面によつて
説明する。第１図は無機質結合材１ａと発泡粒子
１ｂとの混合物から成る混合物層１の片面に防水
性シート２が一体化された場合、第２図は接着剤
３を介して混合物層１と防水性シート２が一体化
された場合の本考案に係る建築用隅部または曲面
施工用部材の各々断面拡大説明図である。

混合物層１は、ポリスチレン、ポリウレタン、
パーライト、バーミキユライトなどの有機質若し
くは無機質系の軽量骨材としての発泡粒子１ｂ
と、ポルトランドセメント、せつこうなどの無機
質結合材１ａから成つており、その片面に配設さ
れる防水性シート２としては100〜500ｇ／m²程度
のアスフアルトや合成樹脂系防水剤や撥水剤など
を含浸した含浸紙、塩化ビニル樹脂、アクリル系
樹脂またはゴム系などの合成樹脂シートが使用さ
れる。

之等の防水性シート２が混合物層１と良く接着
するアスフアルト、アクリル系樹脂などを含んで
いる場合は接着剤を使用する必要はないが、接着
剤を使用する場合は混合物層と良く接着するもの
であれば何れのものも使用することが出来る。

第３図及び第４図は本考案に係る建築用隅部ま
たは曲面施工用部材を曲面部に施工した場合の状
態を示す図であり、第３図は混合物層１が圧縮側
に位置しており若干混合物層１に塑性変性が認め
られるが剥離を生ずることは無く、第４図も同様
に引張側に位置しているが若干の亀裂が発生する
程度で曲面部材としての機能は損なわれていな
い。

なお、４は受け桟、５は曲面付与材である。

第５図は出隅部への施工例であり、施工に際し
て直角に折り曲げる場合、第５図ａの如く混合物
層側に切込み６を入れることにより良好に折り曲
げることが出来る。第６図は入隅部への施工例で
あり、第６図ａの如く混合物層側にＶ型切込み
６′を入れることにより良好に折り曲げることが
出来る。また第７図の如く防水シート側に粘着剤
を塗布するか、または粘着テープを取付けた粘着
層７か若しくは防水シート自身が粘着性を有する
場合は更に施工を容易に行なうことが出来る。

以上の如く、本考案はモルタルなどの仕上材と
の付着が良好で塑性変性可能な混合物層から成る
ため曲面若しくは隅部への施工性は極めて良好で
あり、また塑性変性可能な混合物層の片面が防水
性シートにより一体的に構成されているため施工
時における損傷も無く全体として完全な防水性を
付与することが出来ると共に、その施工に際して
も単に釘打ち固定するのみであることから簡易且
つ短時間に隅部または曲面部の施工が可能となる
利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る建築用隅部または曲面施工
用部材の実施例の断面図であり、第１図は混合物
層の片面に防水シートが配設されている例、第２
図は接着剤を介して混合物層と防水シートとが一
体化されている例、第３図は混合物層が圧縮側に
位置している曲面部施工の例、第４図は混合物層
が引張り側に位置している曲面部施工の例、第５
図は出隅部分施工例で、第５図ａは混合物層側に
切込みを入れた状態、第５図ｂは施工後の状態を
示す図、第６図は入隅部分施工例で第６図ａはＶ
型切込みを入れた状態、第６図ｂは施工後の状態
を示す図、第７図は防水シート側に粘着層が設け
られている例を示す。 図中、１……混合物層、１ａ……無機質結合
材、１ｂ……発泡粒子、２……防水シート、３…
…接着材、４……受け桟、５……曲面付与材、６
……切込み、６′……Ｖ型切込み、７……粘着
層、８……離型シート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 発泡粒子と無機質結合材とから成る混合物層の
   片面に合成樹脂含浸紙または合成樹脂シートから
   成る防水性シートが配設されていることを特徴と
   する建築用隅部または曲面施工用部材。