JPS6242138Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は例えば空気調和機等の冷凍サイクル
の一部を形成する密閉形圧縮機の改良に関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

第１図は従来から知られている密閉形圧縮機の
概略構成を示すもので、１は底部の貯溜部２に潤
滑油が収容された密閉ケースである。この密閉ケ
ース１内の上部には電動機３、下部には圧縮機構
部４がそれぞれ配設されている。圧縮機構部４は
電動機３によつて駆動されるシリンダ５およびこ
のシリンダ５の上，下に配設された上，下の各軸
受部６，７等によつて形成されている。また、密
閉ケース１の上端部には吐出管８が取付けられて
いるとともに、密閉ケース１の周面には圧縮機構
部４に連通する図示しない導入管が取付けられて
いる。そして、圧縮機構部４は電動機３によつて
駆動され、導入管を介して圧縮機構部４のシリン
ダ５内に導入された冷媒等の流体はこのシリンダ
５内で圧縮されたのち、吐出弁９を介して密閉ケ
ース１内における電動機３と圧縮機構部４との間
の第１の圧力室１０内に吐出される。さらに、こ
の第１の圧力室１０内に吐出された圧力流体は霧
滴状の潤滑油と混合され、第１図および第２図中
に実線矢印で示すように潤滑油とともに電動機３
のステータ１１とロータ１２との間の間隙１３や
ステータ１１の外周部に形成された油戻し通路１
４等を介して上方の第２の圧力室１５内に導かれ
るようになつている。そして、この第２の圧力室
１５内ではロータ１２の回転にともない遠心力等
によつて潤滑油が圧力流体から分離され、圧力流
体は吐出管８を介して外部に導出されるととも
に、比重が重い潤滑油は油戻し通路１４を介して
滴下され貯溜部２に収容されるようになつてい
る。

しかしながら、上記従来構成のものにあつて
は、第１図および第２図に示すように油戻し通路
１４を介して落下する油滴（点線矢印で示す）が
第１の圧力室１０内に吐出される圧力流体（実線
矢印で示す）によつて再びまき上げられてしまう
ので、騒音が生じ易いうえ、貯溜部２内の潤滑油
を一定量に保持することができないおそれがあつ
た。さらに、能力の大きな圧縮機、すなわち圧力
流体の吐出量が大きい圧縮機の場合には第２の圧
力室１５内における潤滑油の分離作用が悪くなり
易いので、吐出管８から外部に導出される吐出圧
力流体中の潤滑油の混入率が大きくなる問題があ
つた。そのため、貯溜部２内の潤滑油が減少する
ので、金属接触面の保護効果および摺動部の冷却
効果等が低下し、摺動部のかじり，ロツク等が発
生し易くなり、圧縮機の故障の原因になるおそれ
があつた。また、冷凍サイクルを構成しているキ
ヤピラリイチユーブや蒸発器等の内面に油膜が形
成されるおそれがあるので、熱交換効率が悪くな
り、能力が低下する問題もあつた。

また、実開昭55−78783号公報に示されている
ように、電動機と圧縮機構部との間に油遮蔽筒を
配設し、圧縮機構部から吐出された吐出圧力流体
をこの油遮蔽筒および電動機のステータとロータ
との間の間隙を介して上方へ導くようにしたも
の、或いは実開昭55−78782号公報に示されてい
るように圧縮機構部にリング状のフレームシール
部材を形成するとともに電動機にこのフレームシ
ール部材に対向するリング状部材を形成し、これ
らのフレームシール部材とリング状部材とによつ
て円筒状の空間部を形成してこの空間部を介して
吐出圧力流体を導く構成にしたもの等が提案され
ているが、これらの場合には何れも油遮蔽筒、円
筒状空間部内で一部分離された潤滑油が全て密閉
ケース上部に吹上げられるため密閉ケース上部で
の分離が充分に行なわれず吐出管から外部へ吐出
される潤滑油量を充分に減少することはできない
問題があつた。

〔考案の目的〕

この考案は密閉ケースの内部に収容されている
潤滑油の減少を防止することができ、金属接触面
の保護効果および摺動部の冷却効果が低下するお
それがないうえ、騒音の低下が図れる密閉形圧縮
機を提供することを目的とするものである。

〔考案の概要〕

周面に油分離用の開口部が形成された筒状の油
分離器を電動機と圧縮機構部との間で、かつ電動
機のステータの外周面に形成された油戻し通路の
内側に設け、油戻し通路を介して滴下する潤滑油
を圧縮機構部の吐出圧力流体から分離するように
したものである。

〔考案の実施例〕

以下、この考案の一実施例を第３図乃至第７図
を参照して説明する。なお、第３図乃至第７図に
おいて第１図および第２図と同一部分には同一の
符号を付してその説明を省略する。すなわち、こ
の考案は第３図および第４図に示すように電動機
３と圧縮機構部４との間に形成される第１の圧力
室１０内に筒状の油分離器２１を設けたことを特
徴とするものである。この油分離器２１には第５
図に示すように筒体２２の周面に外方に向かつて
突設された多数の突部２３…が形成されており、
これらの各突部２３によつてそれぞれ電動機３の
ロータ１２の回転方向と同方向に開いた多数の開
口部２４…が形成されている。さらに、この油分
離器２１は第６図に示すように筒体２２の外径寸
法ｄがステータ１１に形成された油戻し通路１４
の内接円２５の直径Ｄに対しｄ≦Ｄとなるように
形成されており、この油戻し通路１４の内側に配
設されている。また、この油分離器２１の上端部
はステータ１１の下面に形成されたリング状の嵌
合溝２６に嵌合されているとともに、下端部は圧
縮機構部４の上面に形成されたリング状の嵌合溝
２７に嵌合されている。

かくして、上記構成のものにあつては第１の圧
力室１０内に油分離器２１が配設されているの
で、圧縮機構部４から第１の圧力室１０内に吐出
された吐出圧力流体が油分離器２１の外部に作用
をおよぼすおそれを少なくすることができる。そ
のため、第３図および第４図中に実線矢印で示す
吐出圧力流体によつて同図中に点線矢印で示す油
戻し通路１４を介して落下する油滴が再びまき上
げられることを防止することができるので、従来
に比べて騒音を低減することができるうえ、貯溜
部２内の潤滑油を一定量に保持することができ
る。この場合、油分離器２１に形成されている各
開口部２４…はロータ１２の回転方向と同方向に
開口されているので、油分離器２１の外側を通る
油滴が各開口部２４…を介して油分離器２１の内
側に導入されることを確実に防止することができ
る。さらに、第４図に点線矢印で示すように第１
の圧力室１０内に吐出された吐出圧力流体中に含
まれている余分な潤滑油を油分離器２１の各開口
部２４…を介して遠心分離することができるの
で、圧力流体から潤滑油を分離する分離作用を効
果的に行なうことができる。したがつて、吐出管
８から外部に導出される吐出圧力流体中の潤滑油
の混入率を低下させることができるので、貯溜部
２内の潤滑油の減少を防止することができ、金属
接触面の保護効果および摺動部の冷却効果等の低
下を防止することができるとともに、各冷凍サイ
クル構成機器の能力低下を防止することもでき
る。

なお、この考案は上記実施例に限定されるもの
ではない。例えば、油分離器２１の突部２３…は
必ずしも必要ではない。また、ステータ１１の下
面および圧縮機構部４の上面にそれぞれリング状
の突部を設け油分離器２１の上端部および下端部
をこれらの各突部にそれぞれねじ止め等の手段で
接合する構成にしてもよい。さらに、その他この
考案の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施でき
ることは勿論である。

〔考案の効果〕

この考案によれば、電動機と圧縮機構部との間
で、かつ電動機のステータの外周面に形成された
油戻し通路の内側に油分離器を設けるとともに、
この油分離器の周面に油分離用の開口部を設けた
ので、騒音の低下が図れるとともに、密閉ケース
内の潤滑油の減少を防止することができ、金属接
触面の保護効果および摺動部の冷却効果が低下す
るおそれを少なくすることができる等の実用上優
れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の全体の概略構成を示す縦断面
図、第２図は第１図の−線断面図、第３図乃
至第７図はこの考案の一実施例を示すもので、第
３図は全体の概略構成を示す縦断面図、第４図は
第３図の−線断面図、第５図は油分離器を示
す斜視図、第６図は油分離器の取付状態を示す横
断面図、第７図は同縦断面図である。 １……密閉ケース、３……電動機、４……圧縮
機構部、８……吐出管、１１……ステータ、１４
……油戻し通路、２１……油分離器、２４……開
口部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 底部に潤滑油が収容された密閉ケース内の上
   部に電動機、下部に圧縮機構部がそれぞれ配設
   されるとともに、前記圧縮機構部から吐出され
   た吐出圧力流体および潤滑油が前記電動機を介
   して上方に導かれ、圧力流体が前記密閉ケース
   の上部に取付けられた吐出管から外部に導出さ
   れ、かつ潤滑油が前記電動機のステータの外周
   部に形成された油戻し通路を介して滴下される
   密閉形圧縮機において、周面に油分離用の開口
   部が形成され前記油戻し通路を介して滴下する
   潤滑油を圧力流体から分離する筒状の油分離器
   を前記電動機と圧縮機構部との間で、かつ前記
   ステータの油戻し通路の内側に設けたことを特
   徴とする密閉形圧縮機。 (2) 油分離器はその上端部が電動機のステータ
   に、またその下端部が圧縮機構部にそれぞれ密
   着されたものであることを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第(1)項記載の密閉形圧縮機。 (3) 油分離器はその上端部が電動機のステータに
   形成された嵌合溝内に、またその下端部が圧縮
   機構部に形成された嵌合溝内にそれぞれ嵌着さ
   れたものであることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第(2)項記載の密閉形圧縮機。 (4) 油分離器は外方に向かつて突設された突部に
   よつて電動機のロータの回転方向と同方向に開
   いた開口部が形成されたものであることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第(1)項記載の密
   閉形圧縮機。