JPS6213025B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 （発明の分野） 本発明は留置針、特に動脈用留置針の内針ハブ
の構造に関するものである。

（先行技術およびその問題点） 血管造影等に際しては、組織内にある血管を捜
しつつこれに的確に穿刺する必要がある。血管に
留置針を穿刺する場合内針の先端が血管内に存在
しているという確認は、血液が血圧により内針の
内孔を通つて内針ハブに流入するフラツシユバツ
グによつて行つている。内針ハブの末端が開放し
ていると、内針を経てフラツシユバツクしてくる
血液が漏出してしまい好ましくない。このため、
空気は通すが血液は通さないメンプランフイルタ
ーにより内針ハブの内部に内針と連通する小室を
画成し、穿刺の際内針および小室内の空気はメン
ブランフイルターを経て逃し、小室内に血液のフ
ラツシユバツクを許す構造の留置針が開発されて
いる。この構造のものは、内針ハブが直方体で構
成され、内針と平行で互いに対向する内針ハブの
側面に第１指（親指）と第２指（人差指）をあて
てこのハブを挾持し、血管穿刺操作を行う形式の
ものであり、静脈のように比較的組織の浅い部分
を走る血管を捜るには適しているが、動脈のよう
に比較的組織の深い部分を走る血管を捜るには上
述のようなハブの挾持では穿刺の際に非常に大き
な力を必要とし、正確に血管に穿刺する操作が困
難である。例えば、アンギオグラフイーカテーテ
ルを動脈に挿入する際に用いられるセルデインガ
ー針や動脈を確保するための留置針を穿刺する場
合などがこれに該当し、このような場合動脈の弾
性あるいは組織による大きな抵抗を受ける。さら
に、セルデインガー針や留置針はカテーテルと内
針あるいはこれらにデイレーターを加えた２また
は３部材より成り、穿刺する時は内針ハブを手で
保持し、かつカテーテルとデイレーターが内針と
一体となつて動くように、カテーテルハブとデイ
レーターハブも同時に保持する。これらのハブを
上述のように横からハブ対向側面を第１指（親
指）と第２指（人差指）で挾持して穿刺するには
大きな力を必要とし、操作が困難であるのは前述
の通りである。

そこで、カテーテルハブに２枚のフランジを設
け、これらのフランジに第２指（人差指）および
第３指（中指）をかけ、留置針の内針ハブの末端
に第１指（親指）をかけて押えるように保持すれ
ば、注射器を使用する時の指の配置と同一にな
り、比較的容易に穿刺が可能になる。しかしなが
ら、この方法は冒頭で述べたような末端のみが開
放した形式の内針ハブを用いると、この開放部を
新指の腹で隙間なく押えてしまうために内針およ
び小室内の空気が逃げられなくなり、血液が小室
内に流入しないためのフラツシユパツクの確認が
できないという欠点があつた。

〔発明の目的〕

そこで、本発明は組織の比較的深い所を走つて
いる血管等に使用し、挿入に大きな力を必要とす
る場合であつても、血液等の体液のフラツシユバ
ツクを確実に確認することができる留置針、特に
その内針ハブの構造を提供しようとするものであ
る。

〔発明の具体的説明〕

本発明は、カテーテルと、このカテーテルの一
端に固着された前記カテーテル内と連通する中空
部を有するカテーテルハブと、前記カテーテルハ
ブの中空部を通り前記カテーテル中に挿入取りは
ずし可能で前記カテーテルの他端に刃先を位置さ
せる中空部を有する内針と、前記カテーテルハブ
に嵌着可能で前記内針の基部に固着された透明ま
たは半透明の内針ハブとからなり、前記内針ハブ
は、前記内針固着部と反対側端面にカテーテル押
圧穿刺用面を有し、前記内針の中空部と大気との
間を連通する通路を有するとともにその通路の大
気中への開口部が前記内針ハブ中における少なく
とも前記押圧穿刺用面以外の面にあり、かつ前記
通路内に通気性耐漏血部材を設けて前記内針の中
空部内と大気とを前記通気性耐漏血部材を経て流
通するようにした留置針を提供するものである。
通気性耐漏血部材は、空気は通すが血液は通さな
いものであれば良く、例えばフイルタまたはスリ
ツトを設けた部材で構成することができる。開口
部は、内針ハブの外周側面に、あるいは内針固着
側を小径とした異径段部をなす内針ハブの大径側
の内針の刃先方向端面に設けることができる。内
針の刃面の向きをカテーテルハブに対して固定さ
せるために内針ハブおよびカテーテルハブに嵌合
部を設けるのが良い。また、挿入時に指で支持す
るためカテーテルハブにフランジを設けることが
好適である。

次に、本発明の留置針を添付図面に示す好適実
施例につき詳細に説明する。

第１図には従来の留置針組立体１を部分断面で
示す。第１ａ図に示されるように、留置針組立体
１は穿刺針２および透明な材料で構成された内針
ハブ３を有し、内針ハブ３の断面は第１ｂ図に示
されるように外形が方形である。ハブ３の内部に
は空気は通すが体液は通さないフイルタ４により
小室５が画成され、直方体のハブの対向側面を持
つて血管を穿刺した時内針２を経て血液は小室５
内に流入（フラツシユバツク）し、血管の穿刺が
確認される。その際、内針２および小室５内の空
気はフイルタ４を経てハブ３の開放端６から逃れ
出、血液のフラツシユバツクを許容する。しか
し、この形式の従来の留置針組立体では操作上問
題があつたのは前述の通りである。

かかる従来のものの問題点を解決することがで
きる本発明の留置針１０の数種の代表的構成例を
挙げて説明する。従来の留置針組立体１により比
較的組織の深い所を走る血管に穿刺する場合内針
ハブ３の開放端６に親指をあてて押圧するので、
空気が逃れ出る隙間がなくなり、フイルタ４と親
指との間の空気の圧力が増大することから上記問
題が生じていたのである。従つて、本発明におい
ては、内針ハブの開放端が操作上閉塞されても血
管の穿刺時に血液がフラツシユバツクする際内針
および内針ハブの小室内の空気は逃すが血液等の
体液は内針ハブから漏出させない通気性耐漏血部
材１１を経て空気のみを逃し、この空気を外部に
出す開口部１２を内針ハブ３に設けてフラツシユ
バツクを許容するようにする。内針ハブ３は透明
ないし半透明であるからフラツシユバツクした血
液を視覚により容易に確認し得る。上述した通気
性耐漏血部材１１はフイルタまたはスリツト入部
材で構成することができる。フイルタとしてはポ
リエステル樹脂骨材にポリ塩化ビニルをコーテイ
ングしたメンブランフイルターや焼結体等適宜使
用される。前記スリツト入部材は通気耐漏血性を
得るためにはポリプロピレン等の撥水性材料を用
いて耐漏血性を保つためのスリツトの間隙の大き
さとしては0.1〜20μｍが好適である。

第２図に示す例においては、内針ハブ３内の通
路７に空気は通すが体液は通さないフイルタまた
はスリツト入部材のような通気性耐漏血部材１１
によりフラツシユバツク確認用の小室５が画成さ
れており、フラツシユバツク時の空気または血液
の流れ方向に見て下流に、この場合では内針固着
側を小径とする異径段部をなす内針ハブ３の大径
側の刃先側端面に開口部１２を設けたものであ
る。第２ａ図の−線での断面図である第２ｂ
図に示されているように、開口部１２は内針ハブ
端面の少なくとも一部に形成すれば良い。

第３図に示す例では、内針ハブ３内の通路７に
は上記通気性耐漏血部材によりフラツシユバツク
確認用の小室５が画成されており、フラツシユバ
ツク時の血液または空気の流れ方向に見て下流
に、本構成例では内針ハブ３の外周側面を半径方
向に貫通する孔の形状の開口部１２を形成したも
のである。第３ａ図の−線での断面図である
第３ｂ図に示されるように、開口部１２はハブ外
周壁の少なくとも一部に形成すれば良い。

第４図に示す例では、第３図に示す開口部１２
の位置を内針ハブ３の下流の内針固着面とは反対
側の端面、すなわちカテーテル押圧穿刺用面の位
置に溝の形状で設けたものである。第４ａ図の
−線での断面図である第４ｂ図に示されるよう
に、開口部１２は内針ハブ末端の外周壁の少なく
とも一部に形成すれば良い。

第５図に示す本発明の留置針１０の構成例は、
通気性耐漏血部材１１と開口部１２の設置位置を
実質的に同一に、すなわち、内針ハブ３に形成し
た通路７の開口部１２内に通気性耐漏血部材１１
を設置し、内針ハブ３の末端を閉塞したものであ
る。第５ａ図の−線での断面図である第５ｂ
図に示されるように、開口部１２は内針ハブ３の
外周の一部に設ければ良く、通気性耐漏血部材１
１も開口部１２内に適当な厚みで設けることがで
きる。

また、明細書の冒頭で述べたように、本発明の
留置針１０はカテーテルハブ１３を有するカテー
テル２０とともに使用される。これらの関係を第
６図に上半部のみ断面で示す。カテーテル２０は
套管針であり、その一端にはカテーテルハブ１３
がカテーテル内腔と流体連通可能に接続されてい
る。留置針１０の内針２は、外側のカテーテル２
０に挿入され、カテーテルハブ１３に留置針１０
を装着したとき、内針２の先端の刃面１６がカテ
ーテル２０の先端から突出するようになつてい
る。

そして、安全上および衛生上の観点から、この
ような内針２が挿入されたカテーテル２０の周囲
を被包するプロテクタ１４が装着されている。使
用に際しては、プロテクタ１４を取り外してフラ
ンジ１５に第２指（人差指）および第３指（中
指）をあて、本発明の留置針１０の内針ハブ３の
開放端６に第１指（親指）を押しあてて組織内に
刺入して血管に穿刺する。開放端６が親指により
閉塞されていても上記構成例で述べた開口部から
空気は逃れることができるため、血管穿刺時には
フラツシユバツクが確実に確認される。フラツシ
ユバツク確認後、カテーテルハブを挾持し静かに
内針を引き抜き始め、皮膚の穿刺部位付近を指で
押圧するなどして血液の漏れを防ぎ、内針をすべ
て引き抜く。その後、血管内に留置されたカテー
テル中にアンギオグラフイーカテーテルを導入し
たりカテーテルハブにシリンジを接続する等して
使用される。

組織の深い所にある血管、特に弾性のある動脈
に穿刺するには内針２のテーパになつた刃面１６
が一定の方向に常に向いていることが好ましい。
このため、本発明の留置針１０の内針ハブ３上に
はたがいに嵌着する部材間の相対回転を防止する
よう整合させる手段として突条１７を設ける。第
６および７図に示すように、内針ハブ３上にロツ
ク用の突条１７を設け、カテーテルハブには補足
形状の溝１８を設けるのが好適である。これによ
り内針の回転に伴なう穿刺時の血管損傷が防止さ
れ、血管内における刃面の向きも容易に確認でき
る。

第８図を参照して本発明による留置針の作用に
つき説明する。開放端６が親指で閉塞された状態
で血管への穿刺がなされた場合、血液は実線の矢
印で示すように内針２を経て内針ハブの通路７内
に通気性耐漏血部材１１により必要により画成さ
れた小室５内に流入する。その際、内針２および
小室５内に存在した空気は血液の流入により押し
出され、点線の矢印で示すように通気性耐漏血部
材１１から内針ハブ内通路７の空間１９を経て開
口部１２より外部（大気）に排気される。従つ
て、内針２および小室５内に存在した空気が血液
のフラツシユバツクを妨げることなく、ハブ３は
透明であるため小室５内に流入した血液を見るこ
とができ、内針２が組織内にある血管を確実に捕
えていることを確認することができる。

〔発明の具体的作用効果〕

本発明は前記内針ハブについて前記内針固着部
と反対側端面にカテーテル押圧穿刺用面を有し前
記内針の中空部と大気との間を連通する通路を有
するとともにその通路の大気中への開口部が内針
ハブ中における少なくとも前記押圧穿刺用面以外
の面にあり、かつ前記通路内に通気性耐漏血部材
を設けて前記内針の中空部内と大気とを前記通気
性耐漏血部材を経て流通するようにしたので、押
圧穿刺用面に開放端が設けられ、その開放端がカ
テーテル穿刺時に親指で閉塞されても内針内およ
び内針ハブの通気性耐漏血部材から内針側通路内
の空気が開口部より無理なく排出され、血液のフ
ラツシユバツクを妨げることがない。また、内針
ハブは透明または半透明であるため通路内に流入
した血液を観ることが容易で、内針すなわち、そ
の外側にあるカテーテルが組織内にある血管を確
実に補えていることを確認することができる。ま
た、通気性耐漏血部材はメンブランフイルタやス
リツト付部材として構成することができ、容易に
作製し得る。また、カテーテルハブにフランジを
設けることにより穿刺が極めて容易となる。開放
端６を親指で押圧して使用するのは比較的大きな
力を必要とする場合、すなわち、組織の比較的深
い所を走つている血管、特に動脈を捕える必要が
ある場合であり、従来の操作上の問題点を簡潔な
構造の留置針により解決することができる。

さらに、第６および７図に示すように、本発明
の留置針の嵌合整合機構により常に穿刺針の刃面
を一定方向に向けることができ、これにより内針
の回転に伴なう穿刺時の血管損傷が防止されると
ともに、血管内における刃面の向きも容易に確認
できる。

【図面の簡単な説明】

第１ａおよび１ｂ図は従来の留置針のそれぞれ
部分断面図および−線断面図、第２ａおよび
２ｂ図は本発明による留置針の第１構成例のそれ
ぞれ部分断面図および−線断面図、第３ａお
よび３ｂ図は同第２構成例のそれぞれ部分断面図
および−線断面図、第４ａおよび４ｂ図は同
第３構成例のそれぞれ部分断面図および−線
断面図、第５ａおよび５ｂ図は同第４構成例のそ
れぞれ部分断面図および−線断面図、第６図
は本発明の留置針をアンギオグラフイー導入針に
適用した例の部分断面側面図、第７図はアンギオ
グラフイー導入針に適用する本発明の留置針の拡
大部分断面側面図、第８図は本発明の留置針の作
用を説明するための縦断面図である。 符号の説明、１……従来の留置針、２……内
針、３……ハブ、４……フイルタ、５……小室、
６……開放端、７……通路、１０……本発明の留
置針、１１……通気性耐漏血部材、１２……開口
部、１３……カテーテルハブ、１４……プロテク
タ、１５……フランジ、１６……刃面、１７……
突条、１８……溝、１９……空間、２０……カテ
ーテル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ カテーテルと、このカテーテルの一端に固着
   された前記カテーテル内と連通する中空部を有す
   るカテーテルハブと、前記カテーテルハブの中空
   部を通り前記カテーテル中に挿入取りはずし可能
   で前記カテーテルの他端に刃先を位置させる中空
   部を有する内針と、前記カテーテルハブに嵌着可
   能で前記内針の基部に固着された透明または半透
   明の内針ハブとからなり、前記内針ハブは、前記
   内針固着部と反対側端面にカテーテル押圧穿刺用
   面を有し、前記内針の中空部と大気との間を連通
   する通路を有するとともにその通路の大気中への
   開口部が前記内針ハブ中における少なくとも前記
   押圧穿刺用面以外の面にあり、かつ前記通路内に
   通気性耐漏血部材を設けて前記内針の中空部内と
   大気とを前記通気性耐漏血部材を経て流通するよ
   うにしたことを特徴とする留置針。 ２ 前記通気性耐漏血部材を空気は通すが血液は
   通さないフイルタで構成することを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載の留置針。 ３ 前記通気性耐漏血部材を空気は通すが血液は
   通さないスリツト付部材で構成することを特徴と
   する特許請求の範囲第１項記載の留置針。 ４ 前記カテーテルハブに、挿入時に指で支持す
   るためのフランジを設けたことを特徴とする特許
   請求の範囲第１項に記載の留置針。 ５ 前記開口部は内針固着部側を小径とした異径
   段部をなす内針ハブの大径側の内針刃先方向端面
   に設けたことを特徴とする特許請求の範囲第２
   項、第３項または第４項のいずれかに記載の留置
   針。 ６ 前記開口部は内針ハブの外周側面に設けたこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第２項、第３項ま
   たは第４項のいずれかに記載の留置針。 ７ 内針ハブおよびカテーテルハブには内針の刃
   面の向きをカテーテルハブに対して固定させる嵌
   合部を設けたことを特徴とする特許請求の範囲第
   １項ないし第６項のいずれかに記載の留置針。