JPS6113757Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、回転式密閉形圧縮機（以下単に圧縮
機と称す）における吐出管取付け構造の改良に関
するもので、圧縮機の潤滑、冷却、シールなどの
目的で用いられる冷凍機油（以下単に油と称す）
が圧縮機から吐出されるフレオン等の冷媒ガス中
に多量に含まれるのを防ぎ、冷凍能力の低下およ
び内部油量低下による圧縮機の耐久性の悪化を防
ぐことを目的の一つとするものである。

第１図は従来の吐出管取付け構造の一例を示す
もので、図においてａは吐出管、ｂはステータ、
ｃはロータ、ｄは回転シヤフト、ｅは密閉ケース
をそれぞれ示し、吐出管ａは密閉ケースｅの上面
でロータｃの回転軸方向の投影面の中心に位置
し、密閉ケースｅ内の先端部ｆがロータｃの上端
面と平行になるように折り曲げられている。

この吐出管取付け構造において油は、回転シヤ
フト上端開口部ｇより上部空間ｈへロータｃの回
転方向に回転しながら放射状に吐出され、またそ
の一部は遠心力のためロータｃの回転方向に飛散
する。吐出管ａは、上記位置に設置されているた
め、その先端部ｆは放射状に吐出された多量の油
と直接接触することになる。この時油が入りにく
いようにその先端部ｆはロータｃと平行になるよ
うに折り曲げられているが、この方向は油の回転
方向とほぼ垂直方向でもあるので油の一部は吐出
管ａの密閉ケース内開口部ｉより吐出管ａに入り
冷媒ガスとともに圧縮機より吐出されてしまうと
いう欠点があつた。

この欠点を解消するためいわゆるオイルセパレ
ータ（図示せず）を取付けた圧縮機もあるが構造
が複雑になるという欠点があつた。

本考案は、上記従来の圧縮機にみられる欠点を
解消するものである。

以下、本考案をその一実施例を示す添付図面の
第２図〜第４図を参考に説明する。

同図において、１は圧縮機の密閉ケースで、こ
の密閉ケース１の内側上部には、ステータ２とロ
ータ３の電動機部が組み込まれている。また密閉
ケース１の内側下部にはシリンダ４が取付けら
れ、このシリンダ４にはピストン５およぴこのピ
ストン５によつて作動されるベーン（図示せず）
などが組み込まれ、またこのシリンダ４の下部に
は下部軸受６が、また上部には上部軸受７がそれ
ぞれ取付けられている。そしてこの下部軸受６と
上部軸受７との間にはピストン５の回転シヤフト
８が回転自在に配設され、このようなものから圧
縮機部が形成されている。本実施例における圧縮
機の潤滑構造は密閉ケース１の底部に貯留した油
９を回転シヤフト８の下端に形成した開口部１０
内にいわゆるポンピング部材（図示せず）を取付
け、これにより油９を吸い上げシヤフト８内に形
成した油通路１１内を圧送し、潤滑すべき摺動部
付近にあけられた油穴（図示せず）より各種摺動
部を潤滑している。そして残りの油は回転シヤフ
ト８の上端開口部１２より上部空間１３へ吐出さ
れる。１４は吐出管で、その取付け位置Ａは第４
図に示す如くロータ３の回転軸方向における上方
からの投影面Ｂ外に設けられ、またその密閉ケー
ス１内の先端部１５はロータ３の上端面と平行に
なるように折り曲げられ、しかもその開口方向Ｆ
は前記吐出管取付け位置Ａの中心AOとロータの
上方からの投影面における中心Ｏとを結ぶ直線Ｃ
とロータ外周が交わる点Ｄの接線Ｅを平行になる
ようにしかつロータ３の回転方向矢印Ｇとしてい
る。

この構成において、電動機部が矢印Ｇ方向に回
転すると、周知の機構により、回転シヤフト８の
上端開口部１２より上方空間１３へ油が吐出され
る。そして吐出された油は、放射状に広がり、か
つロータ３の回転方向Ｇに回転しており、またそ
の一部は遠心力のためロータ３の回転軌跡の接線
方向に飛散するが、吐出管１４の取付け位置がロ
ータ３の回転軸方向における投影面Ｂ外に設けら
れていることによりその密閉ケース１内の先端部
１５が放射状に吐出された油と直接接触すること
を避けることができ、さらにその先端部１５が上
述のように折り曲げられていることにより、その
開口方向Ｆとロータ３の回転軌跡の接線Ｅ方向に
飛散する油の方向が等しくなるため、油が開口端
１６より吐出管１４内に侵入することが防止され
る。

したがつて、油が圧縮機から吐出される冷媒ガ
ス中に多量に含まれることがなく、冷凍能力の低
下および内部油量低下による圧縮機の耐久性の悪
化を防ぐことができる。

上記実施例より明らかなように、本考案の回転
式密閉形圧縮機の吐出管取付け構造は、密閉ケー
ス内にロータとステータからなる電動機部とこの
電動機部より回転シヤフトを介して駆動される圧
縮機部を配設し、前記密閉ケースの上面に密閉ケ
ースの内外を連通する吐出管を設けた回転式密閉
形圧縮機において、この吐出管をロータの回転軸
方向における投影面外に位置させ、吐出管の密閉
ケース内の先端部をロータの上端面と平行になる
ように折り曲げ、その折り曲げ方向を前記吐出管
取付け位置とロータ投影面の中心とを結ぶ直線と
ロータ投影面の外周が交わる点の接線と平行で、
かつロータの回転方向としているので以下のよう
な効果を奏する。

(1) ロータの回転軌跡の接線方向に飛散する油と
吐出管の開口方向が等しいので油が吐出管内に
侵入することを最小限に押さえることができ
る。

(2) さらに吐出管の先端部をロータの上端面と平
行になるように折り曲げているのでロータから
直接飛散した油や密閉容器内面にぶつかつて間
接的に飛散した油の侵入を防ぐことができる。

(3) 油を分離するのに新たに電動機固定子を加工
して通路や穴を設ける必要がなく、吐出管の構
造のみ変えればよいので、極めて簡単な構造で
安価で量産性にすぐれている。

(4) また圧縮機内の冷媒通路中に圧力損失を発生
させる絞り部がないので圧縮機の効率に悪影響
を与えない。

(5) 中間冷却器を用いず、冷媒ガスが圧縮部より
直接密閉空間に導かれる構造の圧縮機でも使用
可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の吐出管取付け構造を具備した圧
縮機の縦断面図、第２図は本考案の一実施例にお
ける吐出管取付け構造を具備した圧縮機の縦断面
図、第３図は同圧縮機の一部を切欠いた要部斜面
図、第４図は同圧縮機における吐出管の取付け構
造位置を示す説明図である。 １……密閉ケース、２……ステータ、３……ロ
ータ、８……回転シヤフト、１４……吐出管、１
５……先端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密閉ケース内にロータとステータからなる電動
   機部とこの電動機部より回転シヤフトを介して駆
   動される圧縮機部を配設し、前記密閉ケースの上
   面に密閉ケースの内外を連通する吐出管を設けた
   回転式密閉形圧縮機において、この吐出管をロー
   タの回転軸方向における投影面外に位置させ、吐
   出管の密閉ケース内の先端部を前記ロータの上端
   面と平行になるように折り曲げ、その折り曲げ方
   向を前記吐出管取付け位置とロータ投影面の中心
   とを結ぶ直線とロータ投影面の外周が交わる点の
   接線と平行で、かつロータの回転方向とした回転
   式密閉形圧縮機の吐出管取付け構造。