JPS5935708Y2 - モルタル下地板 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、連結容易で剛性のある基板のパネル面にモル
タル壁と一体化しゃすい係止片とカチオン性ラテックス
層を形成したモルタル下地板に関する。

従来、例えばセメントモルタル壁を形成する際には、そ
の下地として次の三つが知られている。

すなわち、■としては木ずり板−防水紙−ラス材、■と
じては合板上にセメントモルタルの下塗層部分だけ付着
した例えば、特許第９４１７１８号、■としては断熱材
とラス材とを一体化した所謂、特開昭５４−６８０１９
号等がある。

しかしながら、上記■〜０の下地には、いずれも種々の
欠点があった。

すなわち、■の下地を形成するには繁雑な作業が多く、
非能率的であり、しかも施工に熟練を要する。

また、この下地は断熱性に欠け、かつモルタル壁に亀裂
、剥落等が生ずる欠点があった。

■の下地は、モルタル壁形成の能率が大幅に改善され、
工期も短縮されたが、断熱性に欠けると共に重くなる欠
点があった。

さらに０の下地は、断熱性が非常に優れているが、下地
同志の接合部およびモルタル壁とラス材の付着力と、ラ
ス材と断熱材の一体化の強度に欠け、モルタル壁に亀裂
が多く生ずると共に剥落する不利があった。

本考案は、このような欠点を除去するため、通常の雌雄
連結構造の基板の一面（パネル面）に基板自体の一部を
切断、折り曲げしてモルタル付着用の係止片を設け、か
つこの係止片を有するパネル面にカチオン性ラテックス
層を施し、モルタル壁材と下地板の一体化を図ってモル
タル壁の亀裂、剥落を阻止すると共に、断熱性、施工性
を大幅に改善して工期を短縮したモルタル下地板を提案
する。

以下に図面を用いて、本考案に係るモルタル下地板（以
下、単に下地板という）について詳細に説明する。

第１図は上記下地板を示す斜視図であり、図において１
は硬質基板で金属板（亜鉛鉄板、カラー鉄板、ステンレ
ス板）、合成樹脂板（塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂
、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等）のように高
い剛性と弾力性を有し、ラス材的機能と相隣接する基板
間の容易な連結と施工性および、断熱性収容機能と複合
化による機械強度の強化を図る機能を備え、その断面を
凹状に形成し、その底面部２を方形または長方形に形成
する。

また底面部２の表面２ａには、複数個の係止片３を適宜
間隔を有して底面部自体の一部を切断、折り曲げして形
成する。

４は側壁で底面部２の両端を垂直あるいは、傾斜して折
り曲げたものであり、５は雄型連結部で一側壁の端縁を
外側方へ突出した差込縁６を有する。

７は雌型連結部で他側壁の端縁を内方へ屈曲し、再び外
側方へ突出して略コ字状の差込溝８と、その下縁９を外
側方へ延長した延長部１０とを一体に形戊したものであ
る。

特に係止片３は、表面２ａから上方へ基板１自体の一部
を切断、折り曲げして突出させたものであり、その断面
形状は例えば、第２図ａ−ｆに示すように形成する。

すなわち、ａ図は曲線状に末広がり （根元から元端に
向って全体的に傾斜したもの、ｂ図は係止片３をパネル
面に対し垂直に突出し、先端３ａのみを折り曲げて略フ
ック状に形成したものである。

また０図は、ｂ図と同じであるが、先端３ａをパネル面
２と水平に折り曲げたもの、ｄ図は係止片３を直線状に
傾斜したもの、ｅ図はｄ図において示す係止片３の先端
３ａを角度θ１で折り曲げたものｆ図は係止片３を先細
りにしたものである。

この係止片３の高さＨは、モルタル壁の厚さによって任
意に設定するが、例えば上記壁が２０ ｍｍ厚では５ｍ
ｍ以上〜１５ ｍｍ程度であり、孔の径口りは任意であ
る。

また、この係止片３の分布は、千鳥状、基盤目状あるい
は、多角形、円形状等である。

さらに係止片３は、１個に限らす２，３個を連続して形
成することも可能である。

１１は断熱層で前記凹状部に充填し、基板１の剛性の強
化と材質により調湿性、吸音性、遮音性と断熱性を具備
するものであり、例えば石膏ボード、ロックウール、ア
スベスト、シージングインシュレーションボード、ポリ
ウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフオーム、フ
ェノールフオーム、ポリスチレンフオーム等である。

１２は防水シートで、比較的強いシート状物、たとえば
アスファルトフェルト、クラフト紙、合成樹脂シート、
アスベスト紙、金属箔およびこれらの一種以上をラミネ
ートしたもの、もしくは防水処理を施したシート状物で
ある。

好ましくは差込縁６の下縁６ａと差込溝８の下縁９間に
張設固着するとよい。

これは複合構造において、芯材所謂断熱層の強化よりも
基板１と防水シート１２の強度が断面係数に大きく関係
するためである。

１３はカチオン性ラテックス層で、第３図に拡大して示
すように底面部の表面２ａ、所謂係止片３が存在する面
に塗布したものである。

これは、モルタル壁材と基板および係止片３の密着「ヌ
レ」をよくし、強固な一体化のモルタル壁とすることお
よび、モルタル壁材の収縮をカチオン性ラテックス層の
柔軟性で緩衝し、亀裂防止と耐振（制振性）の付与を図
るものである。

このラテックス層１３の厚さとしては１〜５ｍｍ位であ
る。

以上、説明したのは、本考案に係る下地板の一実施例に
すぎず、延長部１０の途中に突条１０ａを長手方向に設
けたり、舌片６ｂ、１０ｂを図のように形成したり、合
成樹脂発泡層中にパーライト粒、ゼオライト、硼砂、ス
チレンビーズ、繊維の一種以上を耐火性、耐圧縮性、吸
音性等のために原料１００重量部に対し、約１０〜１０
０重量部添加することもできる。

次に施工例につき説明する。

まず下地板として０．３ｍｍのカラー鉄板にポリウレタ
ンフォームを充填し、背面にアスファルトフェル） （
１８ｋｇ／ｃｎ＋”）を設ける。

なお上記フオームは原料を現場発泡式に発泡させて上記
構成材を一体化した。

またＨ ＝ ７ ｍｍ、 Ｄ ＝ １４ ｍｍ、カチオ
ン性ラテックス層は３ｍｍとした。

そこで゛第４図に示すように胴縁１４上に下地板を釘１
５を介して固着し、これに隣接する下地板の差込縁を嵌
挿し、その延長部を釘で関着する。

次に、この下地板の目地部にカチオン性ラテックス層と
同質のカチオン性ラテックス材１６を充填し、その後で
モルタル壁材１７を１５ ｍｍ付着する。

このモルタル壁材を２０日間養生してモルタル壁とする
。

以下は、このモルタル壁材と下地板の特性を測定した結
果を示す。

■ 接着力（平面引張接着力ｋｇ／ｃｍり在来のラス網
工法 ２．６〜５本考案に係る下地板を
用いた工法 １３．６■ 収縮率 自由収縮モルタル壁 １２×１０−４本考
案に係る下地板を用いたモルタル壁 ３Ｘ１０−’ ■ 振動試験 （５００Ｘ ２５０ ｍｍ試験片を振動
ふるい機に逆に取付け５時間の耐振試験 を行った。

）在来のラス網工法のモルタル壁 亀裂、剥落した 本考案に係る下地板を用いたモルタル壁 異常なし 上述したように、本考案に係る下地板によれば、すぐれ
た耐水性と防水性があり、かつ下地板とモルタル壁材の
一体化が向上する特徴がある。

また下地板とモルタル壁間に柔軟性のあるラテックス層
が介在しているため外部からの振動をモルタル壁に直接
伝達せずモルタル壁の亀裂、剥落を抑制する特徴がある
。

さらに係止片とモルタル壁材の一体化は物理的および化
学的に行われるためモルタル壁の収縮を大きく抑制する
特徴がある。

また連結容易のため施工法にとみ、その上遮音性にすぐ
れた特徴がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るモルタル下地板の一実施例を示す
斜視図、第２図ａ−ｆは本考案の要部の一つである係止
片の形状を示す縦断面図、第３図は係止片に対するカチ
オン性ラテックス層の被覆状態を示す縦断面図、第４図
は施工例を示す縦断面図で゛ある。 １・・・・・・硬質基板、３・・・・・・係止片、１３
・・・・・・カチオン性ラテックス層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 硬質基板を断面凹状に形成し、その左右側壁端縁に雄、
   雌型連結部を設け、前記凹状の底面部分にこれより外方
   へ突出する係止片を複数個、前記基板自体を一部切断、
   折り曲げして設け、該凹状部に断熱層を充填し、少なく
   とも該断熱層の背面および、雄型連結部の下縁を防水シ
   ートで覆ったモルタル下地板において、係止片の存在す
   る面をカチオン性ラテックス層で被覆したことを特徴と
   するモルタル下地板。