JPH1199324A - 分離膜モジュール - Google Patents

分離膜モジュール

Info

Publication number
JPH1199324A
JPH1199324A JP26394197A JP26394197A JPH1199324A JP H1199324 A JPH1199324 A JP H1199324A JP 26394197 A JP26394197 A JP 26394197A JP 26394197 A JP26394197 A JP 26394197A JP H1199324 A JPH1199324 A JP H1199324A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reinforcing plate
metal
separation membrane
membrane module
metal film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP26394197A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3993282B2 (ja
Inventor
Yoji Nakano
要治 中野
Toshiro Kobayashi
敏郎 小林
Shigenori Shirogane
重徳 白銀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP26394197A priority Critical patent/JP3993282B2/ja
Publication of JPH1199324A publication Critical patent/JPH1199324A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3993282B2 publication Critical patent/JP3993282B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガス透過性分離膜であって、強度が高くしか
もガス透過量が大きく、且つ製造コストも従来より低減
された分離膜モジュールを提供する。 【解決手段】特定ガスを選択的に透過する金属膜と、多
数の開孔を有し、前記金属膜を支持する補強板と、ガス
抜き出し管に連通できるガス捕捉部を有するベース部か
らなる分離膜モジュールにおいて、前記補強板がA
g,Au,Pt,Ni及びCuからなる群れから選ばれ
る1種又は複数種の金属で被覆されているが、従来品の
ように接合することはなく、金属膜と該補強板を重ね合
わせその外周部を前記ベース部にシール溶接する、又
は接合することなく前記金属膜がその直下の前記補強板
の前記開孔に食い込んだ構造とする。これにより接合工
程、あるいは金属被膜工程と接合工程をなくしても、金
属膜と補強板のズレは防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分離膜モジュールに
関し、詳しくは特定ガスの製造装置,回収装置或いは精
製装置等に使用される分離膜モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】ガスを製造、分離、回収又は精製する手
段として、特定ガスを選択的に透過する金属又は合金膜
(以下、「金属膜」と略記する場合もある)を用いる方
法があり、工業的にも半導体製造分野における超高純度
水素製造等に実用化され、また石油化学工業分野でのア
ンモニア製造への適用も進みつつある。金属膜が特定ガ
スのみを透過する現象については、特定ガスを含有する
混合ガスを金属膜の一方の面に接触させると、特定ガス
分子が金属膜に吸収されて原子状態になり、更にイオン
化して金属膜の反対側に拡散し、ここで再結合して再び
特定ガス分子になると説明されている。この現象を利用
して、金属膜の反対側において特定ガスを集めるわけで
ある。金属膜の製造法としては、特定ガス選択透過性
を有する金属又は合金を焼鈍して冷間圧延する、金属
膜の支持体になる多孔質体の表面に、電気メッキ,無電
解メッキ等のメッキ法あるいは電子ビーム加熱による真
空蒸着等の蒸着操作により金属膜を形成させる、等の方
法がある。
【0003】工業的適用においては、以上のような手段
で作成された金属膜(箔)を外側にして目的とする特定
ガスを含有する混合ガス側に配置し、該金属膜の混合ガ
ス接触面とは反対側には、透過してくる特定ガスを集め
る空間(ガス捕捉部)を有し、透過ガスの抜き出し管に
連通するベース部を設けた分離膜モジュールが構成され
る。金属膜の両側での圧力差、即ち混合ガスと透過した
特定ガスとの圧力差が大きいほど、特定ガスの金属膜内
を透過する量が増大するが、金属膜がこの圧力差に耐え
られるように、補強手段が必要となる。そのために、金
属膜とベース部の間には、通常、金属膜を支持し、その
膜強度を補強するために、多孔質体や多孔体からなる補
強材が設けられる。しかし、補強によりガス流路は狭め
られるため、圧損失が大きくなるので、圧力差を大きく
保ち、しかも特定ガスの流路を確保できる補強材が望ま
れ、出願人等は既に、金属繊維不織布と金網を組合せた
補強材と金属箔を接合した構造の分離膜(特願平5−2
03250号明細書)、或いは多数の貫通孔を設けた金
属多孔体(補強板)に金属膜を重ねて接合した平板型又
は管型の分離膜モジュール(特願平8−60883号明
細書)を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した特願平8−6
0883号明細書で提案した分離膜モジュールを図4及
び図5により説明する。図4は管型分離膜モジュールの
構造及び製法を説明する図であって、Pd或いはPdを
含有する合金等よりなるガス透過性金属膜(金属膜)1
を、1枚あるいは複数枚(図示の例では2枚)の金属製
で多数の開口部を有する補強板2及び2′に拡散接合す
る〔図4の(a)部分〕。12は拡散接合用の例えばA
g膜等の金属被覆である。前記で得られた金属膜1と補
強板2の接合体5を、多数の孔を有するベース管4〔図
4の(b)部分に示す〕の外周部に巻きつけ、周囲をシ
ール溶接6して分離膜モジュール7′とする〔図4の
(c)部分に示す〕。
【0005】図5は平型分離膜モジュールの構造及び製
法を説明する図であって、ガス透過性金属膜(金属膜)
1を透過したガスの流路となる溝3′を複数本有するベ
ース板3の溝3′側の上面に、図4の(a)の場合と同
様に補強板2′,補強板2及び金属膜1を配置する〔図
5の(a)部分〕。12は拡散接合用の例えばAg膜等
の金属被覆であり、図5の(b)部分に示す部分側面図
のように補強板2の両面と補強板2′の上面に被覆され
ている。金属膜1と補強板2及び2′を接合して接合体
5とし、該接合体5の外周部とベース板3とをシール溶
接6して、分離膜モジュール7′とする。この分離膜モ
ジュール7′にはガス抜き出し管であるノズル8を有す
るヘッダ9を別途溶接により取り付ける〔図5の(c)
部分〕。
【0006】図4及び図5に示すように、従来の分離膜
モジュール7′において金属膜1と補強板2及び2′の
接合は、拡散接合あるいはろう付けによっていた。すな
わち、補強板2及び2′をAg,Au ,Pt,Ni及び
Cuからなる群れから選ばれる1種あるいは複数種の金
属で被覆するか、該金属材をインサートしておいた後に
金属膜1と重ね、真空加圧炉を用いて温度500〜70
0℃、加圧力1〜3kgf/mm2 の条件で実施してい
る(文献:出願人等の出願に係る特開平8−21555
1号公報)。
【0007】従来、上記のように金属膜と補強板を接合
していた理由を図6を参照して説明する。金属膜1を透
過するガス速度Vは数1に示す式(1)で与えられる。
【数1】 すなわち、透過ガス速度Vは、金属膜1の両側の透過ガ
ス分圧の1/2乗に比例し、差圧が大きいほど透過ガス
速度が大きくなる。目的とするガスの精製装置や製造装
置では、精製量を多くするためには、金属膜1の両側の
差圧が大きいほうが望ましい。
【0008】金属膜1は、開孔13と柱部(開孔と開孔
の間の部分)を有する補強板2(2′)で補強されてお
り、圧力差により撓み10が生じる。この撓み10が大
きいと、精製装置の「ON←→OFF」の繰り返し、即
ち金属膜の「圧力差有り←→圧力差無し」の繰り返しに
より、撓み10の付け根11が疲労し、破損する。補強
板2の開孔ピッチは、撓み10の発生が図6の(a)の
ように均一ならば、充分な寿命を有するように設計して
おり、図6の(b)のように一カ所の開孔13に撓み1
0が集中すると、圧力差の有無により図6の(c)のよ
うに撓み10の方向が逆転し、撓み10の付け根11に
疲労破損が生じてしまう。この撓み10の集中を防止す
るために、また、金属膜1と補強板2のずれを防止する
ために、金属膜1と補強板2を接合をしていたのであ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来技術にお
いては、 1)接合のプロセスが大量生産に向かないため、接合コ
ストが大きいこと、 2)接合のために金属あるいはろう材で補強板を被覆
し、それが接着材の役割を果して金属膜と接合するが、
金属膜のうち補強板と接触し金属あるいはろう材が付着
した部分は、目的とする特定ガスが透過できなくなり、
ガス透過量が減少すること、という問題がある。本発明
は上記1)及び2)の問題を解決し、強度が高くしかも
ガス透過量が大きい分離膜モジュールであって製造コス
トも従来より低いものを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する手段
として本発明は、(1)特定ガスを選択的に透過する金属
膜と、多数の開孔を有し、前記金属膜を支持する補強板
と、ガス抜き出し管に連通できるガス捕捉部を有するベ
ース部からなる分離膜モジュールにおいて、前記補強板
がAg,Au,Pt,Ni及びCuからなる群れから選
ばれる1種又は複数種の金属で被覆されてなり、前記金
属膜と該補強板を重ね合わせたものの外周部が前記ベー
ス部にシール溶接されてなることを特徴とする分離膜モ
ジュール、(2)上記Ag,Au,Pt,Ni及びCuか
らなる群れから選ばれる1種又は複数種の金属の被覆が
前記補強板の表面の一部のみに形成されてなることを特
徴とする前記(1) 記載の分離膜モジュール、(3)特定ガ
スを選択的に透過する金属膜と、多数の開孔を有し、前
記金属膜を支持する補強板と、ガス抜き出し管に連通で
きるガス捕捉部を有するベース部からなる分離膜モジュ
ールにおいて、前記金属膜と該補強板を重ね合わせたも
のの外周部が前記ベース部にシール溶接され、且つ前記
金属膜がその直下の前記補強板の前記開孔に食い込んだ
構造であることを特徴とする分離膜モジュール、及び
(4)前記ベース部が溝を有する板又は多孔管であること
を特徴とする前記(1) ないし(3) のいずれかに記載の分
離膜モジュール、を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、補強板にAg,Au,
Pt,Ni及びCuからなる群れから選ばれる1種又は
複数種の金属の被覆(以下単に金属被覆と称する)を行
なうが、図1及び図2の本発明の構造及び製法を示す概
略図にそれぞれ示すように、拡散接合あるいはろう付け
による接合は行わず、そのまま金属膜と重ねてベース部
とシール溶接されていることを第一の特徴とする。な
お、図1及び図2において図4及び図5とそれぞれ共通
する符号部分はおなじ意味を表し、7は本発明の分離膜
モジュールを表す。本発明をこのような構成とする理由
については、後記する本発明の実施例において説明す
る。本発明の構成によって充分に疲労破損を防止できる
とともに、従来例の接合工程をなしにできるので、製造
時間、コスト共に低減できる。
【0012】本発明において金属膜としては、特定のガ
スを透過する金属膜(箔)であれば特に限定されるとこ
ろはないが、金属の種類として例えばPd又はPd合金
が挙げられる。Pd合金としては、Y及びその他希土類
元素、Ag,Au,Cuなどの11族元素、Pt,Ni
などの10族元素、Rh,Coなどの9族元素、Ru,
Feなどの8族元素、Moなどの6族元素及びVなどの
5族元素からなる群から選ばれる1種以上とPdからな
る合金が好適なものとして挙げられる。金属膜の製法自
体についても特に限定されるところはなく、例えば金属
板を圧延する、基材表面にめっき,溶射,蒸着等の手段
で膜形成した後に該基材を除去する等の手段が挙げられ
る。
【0013】本発明において補強板としては、ベース板
とシール溶接可能な部分を有するものを用いる。また、
目的とする特定ガスが透過するように多孔質構造を有す
ることが必要であり(但し外周に非多孔質の枠を有して
いてもよい)、例えば金属(合金を含む)からなり多数
の開孔を有するもの(金属多孔体)等が挙げられる。具
体的にはレーザ法、エッチング法、ドリル法等により孔
あけ加工したもの、網状にしたもの等が挙げられる。補
強板の孔形状、補強板の枚数等は任意に選択できるが、
前記特願平8−60833号で提案した孔の長軸方向が
交互に直交するように重ねた補強板等を利用することは
好ましい実施態様である。
【0014】本発明において補強板表面の金属被覆とし
ては、Ag,Au,Pt,Ni及びCuからなる群れか
ら選ばれる1種又は複数種の金属が挙げられる。被覆の
形成は真空蒸着,イオンプレーティング等の蒸着法、電
気めっき,無電解めっき等のめっき法、溶射法、イオン
注入法等により、特に好ましくは蒸着法により、厚さは
0.1〜5μm程度、好ましくは0.5〜1μm程度と
する。
【0015】本発明の第2の特徴は、この金属被覆が従
来のように補強板全面ではなく部分的に被覆したもので
もよいことである。接合は金属膜と補強板のズレを防止
するためのものであり、補強板全面を接合しなくてもズ
レ防止は可能である。そこで補強板の一部にのみ、金属
あるいはろう材の膜を形成すれば、接合部分が金属膜を
覆うことに起因するガス透過面積の低減を防止できる。
これにより充分に疲労破損を防止でき、接合工程なしに
製造できるという前記の効果とともに、特定ガスの透過
量を増大できるという効果も得られる。
【0016】補強板の一部にのみ、金属或いはろう材の
膜(金属被覆)を形成する方法は、補強板にマスクを
して金属被覆を真空蒸着法等により形成し、被覆形成後
にマスクを剥がす、全面に金属被覆を形成したのち、
不必要な部分をエッチングする、パターン印刷により
金属被覆を形成する、等のいずれの方法でもよい。
【0017】さらに本発明においては、金属膜と補強板
を重ねた後に、接合の代わりに箔と補強板のズレを防止
する手段として、金属膜を塑性変形させて金属膜を補強
板の孔に食い込ませた構造とすることを、第3の特徴と
する。すなわち、図3(a)に示すように圧力差の有無
による撓みを予め形成しておく。これにより接合なしに
金属膜と補強板のずれを防止し、図3(b)に示すよう
に撓みをごく小さくし、しかも撓みの一カ所集中を防止
できる。この場合、補強板表面の全面又は一部に金属被
覆を設けておいてもよいが、後記する実施例に示すよう
にAg膜等の金属被覆を設けていないものでも充分にず
れを防止できる。このようにAg膜等の金属被覆なしと
したものはさらに製造コストを低減できる。
【0018】図3の構造とするためには、i)軟ロール使
用法、ii) 高圧法のいずれかによる。i)軟ロール使用法
は、金属膜を補強板の上に重ね、金属膜の側からゴム等
の変形し易い材質のロール或いは板等で押し、金属膜を
塑性変形させる方法である。ii)高圧法は、金属膜の両
側の圧力差により、金属膜を塑性変形させる方法で、こ
れは分離膜モジュールを管型あるいは平型(板型)に製
造した後でも施工可能である。
【0019】本発明においてベース部としては、金属
膜、補強板を透過した特定ガスを捕捉できる捕捉部を有
し、特定ガスを集めることができる構造であれば、その
形状は限定されるところはなく、例えばガス流路となる
溝を形成された板型、あるいは多孔管型等が挙げられ
る。ベース部のガス捕捉部(ガス流路)は特定ガスの抜
き出し管に連通するが、さらにスイープガスの導入管を
設けることもできる。ベース部の材質としては、金属又
は合金が挙げられる。
【0020】本発明の分離膜モジュールは以上の金属膜
と金属被覆を形成された補強板を重ねたものの外周部を
ベース板とシール溶接する。このシール溶接の方法とし
てはレーザ溶接、TIG溶接(Tungsten Inert-Gas arc
welding) 等が用いられる。レーザ溶接、TIG溶接を
採用する理由は、微小領域のみを加熱し溶接できるので
入熱が少なく、金属膜へのダメージが小さくできるから
である。
【0021】
【実施例】
〔従来例〕従来法により、図5に示す平型分離膜モジュ
ール7′を作製した。ガス透過性金属膜1としては厚さ
20μm、幅70mm、長さ120mmのPd−23%
Ag合金箔、補強板2としてSUS430製の厚さ0.
1mmのもの1枚、補強板2′として同材質で厚さ0.
3mmのもの1枚、の計2枚の補強板を用意した。いず
れも外径は幅70mm、長さ120mm、メッシュ部が
幅60mm、長さ100mmである。図7に示すように
厚さ0.1mmの補強板2のメッシュ部には、幅0.1
6mm、長さ1.0mmの開孔が、0.04mm残し
(柱部)で千鳥状に配置してある。メッシュ部の開孔率
は、開孔の個数が多いので、長方形の開孔面積を図7中
に点線で示す長方形の面積で割った値で近似できる。す
なわち、数2の計算(2)より、
【数2】 0.77である。厚さ0.3mmの補強板2′は幅0.
35mm、長さ1.0mmの長方形の開孔が、厚さ0.
1mmの補強板2と交差する向きに、0.35mm残し
で千鳥状に配置してある。
【0022】まず、厚さ0.1mmの補強板2の両面、
及び厚さ0.3mmの補強板2′の片面に、Agからな
る被覆12を真空蒸着法で形成し、水素透過製金属箔/
厚さ0.1mmの補強板/厚さ0.3mmの補強板の順
に重ね、真空加圧炉を用いて、温度500℃、加圧力2
kgf/mm2 の条件で接合し、接合体5とした。次
に、接合体5をベース板3に重ね、外周部をシール溶接
した。シール溶接6はCO2 レーザ溶接により行った。
ベース板3の溝3′は、片端は閉じており、閉じていな
い他端には水素を排出するノズル8を有するヘッダ9を
溶接により接続した。
【0023】以上により試作した水素分離膜モジュール
7′について、水素透過性能評価試験、及び温度・圧力
の昇降繰り返しによる耐久性試験を行った。試験条件
は、水素透過性能評価試験は、試験条件:温度500
℃、水素透過性金属箔の外側水素分圧2kgf/cm2
G、内側の水素分圧0kgf/cm2 G:での水素透過
量測定で評価し、耐久性試験は、試験条件:温度550
℃,外側圧力10kgf/cm2 G←→温度50℃,外
側圧力0kgf/cm2 Gを繰り返した:でのリーク発
生の有無で評価する。評価結果は、水素透過性能が22
Nm3 /hr・m2、耐久性は3000回の繰り返しで
もリークはなかった。
【0024】〔比較例〕接合の有効性確認のため、従来
例と同じ部材を用いてAg被覆の形成及び接合を行わ
ず、すなわち水素透過性金属箔1、厚さ0.1mmの補
強板2、及び厚さ0.3mmの補強板2′をベース板3
に重ねただけで、外周部をシール溶接6して、水素分離
膜モジュールとした。得られた水素分離膜モジュールに
ついて、従来例と同様に評価したところ、水素透過性能
は29Nm3 /hr・m2 と増大するが、耐久性は12
00回の繰り返しでリークが発生し、耐久性が問題であ
った。
【0025】〔実施例1〕従来例と同じ部材を用い、図
1(a)に示すように厚さ0.1mmの補強板2の水素
透過製金属箔1と接する面に従来例と同様にAg膜12
を被覆したが、接合は行わずに、水素透過製金属箔1/
厚さ0.1mmの補強板2/厚さ0.3mmの補強板
2′をベース板3に重ねて、外周部をシール溶接6でシ
ールして、図1(b)に示す水素分離膜モジュール7を
作製した。また、溝3′の閉じていない端部にノズル
(水素抜き出し管)8を有するヘッダを溶接により取り
付けた。得られた水素分離膜モジュール7について、従
来例と同様に評価した。耐久性評価試験前の水素透過性
能は29Nm3 /hr・m2 と比較例と同等に良くなっ
ていた。耐久性評価試験では、3000回の繰り返しで
もリークは生じず、良好な耐久性を示した。また、耐久
性評価試験後には、水素透過性能は22Nm3 /hr・
2 と従来例のレベルに低減していた。
【0026】実施例1において耐久性評価試験後に水素
透過性能が低下する原因について、水素分離膜を解体し
て調査したところ、水素透過性金属箔1と厚さ0.1m
mの補強板2′がAg膜12により接合されていること
が判った。耐久性評価試験の温度、圧力により、真空加
圧炉での接合と同様の効果が現れたものと推定された。
また、この接合により水素透過面積が減少し、3000
回の圧昇降の後には水素透過性能が従来例のレベルに低
減したと推定された。
【0027】実施例1により、水素膜モジュール製造工
程においては補強板に接合用の金属膜を形成しておきさ
えすれば、耐久性評価、或いは水素精製、水素製造プロ
セス中に接合されることにより、製造工程の接合プロセ
スが省略できることが判った。
【0028】〔実施例2〕本実施例では、接合により水
素透過面積が減少することを予防できる構造を検討し
た。まず、従来例と同じ部材を用いて、水素分離膜モジ
ュールを試作した。補強板2への金属被覆12の形成
は、次のようにした。厚さ0.1mmの補強板2に金属
被覆(Ag膜)12を真空蒸着法で被覆するとき、補強
板2の長孔と交差する方向の孔を有するマスク(孔の短
軸の開口幅0.1mm、残幅0.9mm、開口率0.
1)を作製し、マスクを補強板2に重ねて膜を形成し
た。膜はマスクの孔の部分にしか形成されず、補強板2
の表面の10%だけにAg膜が形成された。厚さ0.3
mmの補強板2′についても同様に表面の10%だけに
Ag膜12を形成した。水素透過性金属箔1、厚さ0.
1mmの補強板2及び厚さ0.3mmの補強板2′をベ
ース板に重ねて、接合は行わずにその外周部をベース板
3とシール溶接して、水素分離膜モジュールを製作し
た。
【0029】実施例2で得られた水素分離膜モジュール
について従来例と同様に評価した。耐久性評価試験前の
水素透過性能は29Nm3 /hr・m2 であった。耐久
性評価試験では、3000回の繰り返しでもリークは生
じず、良好な耐久性を示した。耐久性評価後の水素透過
性能は、28Nm3 /hr・m2 と殆ど減少していなか
った。
【0030】実施例2の結果から、補強板の金属被覆形
成面積を小さくすることにより、その後の実使用におけ
る接合により水素透過性金属箔の水素透過面積が減少す
ることを低減でき、水素透過性能の向上につながった。
なお、実施例2では補強板2及び2′のどちらも、その
表面の10%だけにAg膜を形成したが、両者の被覆割
合を変えること、さらには一方は部分的に被覆し他方は
全面を被覆することも本発明の実施態様として挙げら
れ、いずれも前記の効果を奏することができる。
【0031】〔実施例3〕本実施例も従来例と同じ部材
を用いて水素分離膜を試作したが、厚さ0.1mmの補
強板2及び厚さ0.3mmの補強板2′についてはAg
被覆を形成しなかった。水透過性金属箔1に補強板2を
重ねて、ゴムロールを用いて水素透過性金属箔の側から
加圧力20kgf/mm2 で加圧した。その結果、水素
透過性金属箔1は補強板2の各孔において図3に示すよ
うに塑性変形して補強板厚さと等しく0.1mm撓んで
いた。水素透過性金属箔1/厚さ0.1mmの補強板2
/厚さ0.3mmの補強板2′をベース板3に重ねて、
接合することなく、外周部をシール溶接して、水素分離
膜モジュールを製作した。
【0032】実施例3で得られた水素分離膜モジュール
について従来例と同様に評価した。水素透過性能は、耐
久性評価試験の前後でともに31Nm3 /hr・m2
非常に良好であった。耐久性評価試験では、3000回
の繰り返しでもリークは生じず、良好な耐久性を示し
た。本実施例において水素透過性能が従来より若干向上
したのは、水素透過性金属箔がゴムロール加圧により、
若干延びて大きくなり、また薄くなった為と考えられ
る。
【0033】実施例3では、水素透過性金属箔を補強板
の開孔に食い込ませて固定することにより、耐久性が得
られ、かつ接合による水素透過面積減少が防止できるの
で、水素透過性能の向上につながった。また、金属被覆
形成工程及び接合工程をなくせるので製造コストを低減
できた。なお、実施例3のようにAg等の金属被覆を形
成せずに金属膜の塑性変形のみで固定することで充分上
記効果を得られるが、補強板の全面又は一部に金属被覆
を設けておき、さらに金属膜を補強板開孔に食い込ませ
る構造とすれば非常に強固に固定できることはいうまで
もない。
【0034】以上の実施例1〜3は平型分離膜モジュー
ルについて説明したが、本発明は図2に示す円筒状の多
孔管をベース部とする管型分離膜モジュールについても
同様に、接合なしに、あるいは金属被覆面積を減少して
接合なしに、さらには接合なしに金属膜を補強板に食い
込ませる構造にすることにより、実施例1〜3の場合と
同様に効果を奏した。
【0035】
【発明の効果】以上説明のように、本発明の分離膜モジ
ュールは従来より製造工程を減らすことができて製造コ
ストの低減を実現し、しかも充分な耐久性が保証され、
さらにガス透過性能を向上できるという産業上非常に有
利なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の一実施例である平型分離膜モジュー
ルの構造、製法を示す概略説明図である。
【図2】は本発明の他の実施例である管型分離膜モジュ
ールの構造、製法を示す概略説明図である。
【図3】は本発明の更に他の実施例である金属膜を補強
板に食い込ませた構造の分離膜モジュールの構造、作用
を説明する概略説明図である。
【図4】は従来の管型分離膜モジュールの一例の概略説
明図である。
【図5】は従来の平型分離膜モジュールの一例の概略説
明図である。
【図6】は金属膜の撓みの状態を説明する概略図であ
る。
【図7】は本発明において補強板のメッシュ部の構造及
び開孔率を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1 ガス透過性金属膜、 2及び2′ 補強板、
3 ベース板、3′溝、 4 ベー
ス管、 5 接合体、6 シール溶接
7 分離膜モジュール(本発明品)、7′分離膜
モジュール(従来品)、 8 ノズ
ル、9 ヘッダ、 10 撓み、
11 付け根、12 金属被覆、 13
開孔。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特定ガスを選択的に透過する金属膜と、
    多数の開孔を有し、前記金属膜を支持する補強板と、ガ
    ス抜き出し管に連通できるガス捕捉部を有するベース部
    からなる分離膜モジュールにおいて、前記補強板がA
    g,Au,Pt,Ni及びCuからなる群れから選ばれ
    る1種又は複数種の金属で被覆されてなり、前記金属膜
    と該補強板を重ね合わせたものの外周部が前記ベース部
    にシール溶接されてなることを特徴とする分離膜モジュ
    ール。
  2. 【請求項2】 上記Ag,Au,Pt,Ni及びCuか
    らなる群れから選ばれる1種又は複数種の金属の被覆が
    前記補強板の表面の一部のみに形成されてなることを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の分離膜モジュー
    ル。
  3. 【請求項3】 特定ガスを選択的に透過する金属膜と、
    多数の開孔を有し、前記金属膜を支持する補強板と、ガ
    ス抜き出し管に連通できるガス捕捉部を有するベース部
    からなる分離膜モジュールにおいて、前記金属膜と該補
    強板を重ね合わせたものの外周部が前記ベース部にシー
    ル溶接され、且つ前記金属膜がその直下の前記補強板の
    前記開孔に食い込んだ構造であることを特徴とする分離
    膜モジュール。
  4. 【請求項4】 前記ベース部が溝を有する板又は多孔管
    であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいず
    れかに記載の分離膜モジュール。
JP26394197A 1997-09-29 1997-09-29 分離膜モジュール Expired - Lifetime JP3993282B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26394197A JP3993282B2 (ja) 1997-09-29 1997-09-29 分離膜モジュール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26394197A JP3993282B2 (ja) 1997-09-29 1997-09-29 分離膜モジュール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1199324A true JPH1199324A (ja) 1999-04-13
JP3993282B2 JP3993282B2 (ja) 2007-10-17

Family

ID=17396394

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26394197A Expired - Lifetime JP3993282B2 (ja) 1997-09-29 1997-09-29 分離膜モジュール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3993282B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008036499A (ja) * 2006-08-03 2008-02-21 Noritake Co Ltd 酸素分離膜用支持体および酸素分離膜
JP2009507755A (ja) * 2005-04-18 2009-02-26 インテリジェント エナジー インコーポレイテッド 水素発生装置およびその使用方法
JP2013126685A (ja) * 2011-12-16 2013-06-27 Industrial Technology Research Inst 多孔質体および無機選択性膜の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009507755A (ja) * 2005-04-18 2009-02-26 インテリジェント エナジー インコーポレイテッド 水素発生装置およびその使用方法
JP4762314B2 (ja) * 2005-04-18 2011-08-31 インテリジェント エナジー インコーポレイテッド 水素発生装置およびその使用方法
JP2008036499A (ja) * 2006-08-03 2008-02-21 Noritake Co Ltd 酸素分離膜用支持体および酸素分離膜
US7938940B2 (en) 2006-08-03 2011-05-10 Noritake Co., Limited Support for oxygen separation membrane element and the element using the same
JP2013126685A (ja) * 2011-12-16 2013-06-27 Industrial Technology Research Inst 多孔質体および無機選択性膜の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3993282B2 (ja) 2007-10-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3540495B2 (ja) 水素分離膜
US6602325B1 (en) Fluid separation assembly
JP2007007565A (ja) 水素透過膜補強構造体及びその作製方法
US20100263538A1 (en) Hydrogen Purifier Module and Method for Forming the Same
US5399265A (en) Filter septum
JP2006272420A (ja) 金属箔体の拡散接合方法
WO2010033628A1 (en) Membrane support module for permeate separation in a fuel cell
AU1815800A (en) Hydrogen separation membrane
US6527832B2 (en) Device for recovery of hydrogen
US8226750B2 (en) Hydrogen purifier module with membrane support
JP4944656B2 (ja) 水素分離用膜の支持体及びこの支持体を用いた水素分離用モジュール
JP2006500196A (ja) 水素を分離するための膜モジュール及びその製造方法
JP3993282B2 (ja) 分離膜モジュール
US8002875B1 (en) System and method for separating hydrogen gas from a mixed gas source using composite structure tubes
CA2430766C (en) Hydrogen separation membrane, hydrogen separation unit, and manufacturing method for hydrogen separation membrane
JP3377640B2 (ja) 水素分離膜及びその製造方法
JPH1176736A (ja) 分離膜モジュール
JP5101182B2 (ja) 水素透過膜モジュール
JP3204812B2 (ja) 排ガス浄化用金属製触媒担体の製造方法
JP4745048B2 (ja) 水素透過膜モジュール
JPH10296061A (ja) 水素分離膜及びその製作方法
JP2000296316A (ja) 耐圧水素透過膜とその製造方法
JP3904809B2 (ja) 筒型水素回収装置
JPH1190193A (ja) 分離膜モジュール
JP2007117843A (ja) 流体透過性薄膜構造体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040928

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061108

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061114

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070115

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20070115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070206

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070417

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070710

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070726

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100803

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100803

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110803

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110803

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120803

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130803

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term