JPH1129472A - α−グルコシダーゼの阻害作用を有する化合物 - Google Patents

α−グルコシダーゼの阻害作用を有する化合物

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JPH1129472A
JPH1129472A JP9195197A JP19519797A JPH1129472A JP H1129472 A JPH1129472 A JP H1129472A JP 9195197 A JP9195197 A JP 9195197A JP 19519797 A JP19519797 A JP 19519797A JP H1129472 A JPH1129472 A JP H1129472A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特異的にα−グルコシダーゼ(二糖類の分解
酵素)の活性を腸管レベルにおいて阻害する特性を有す
る新規化合物を生薬として使用されて来たサラシア プ
リノイデス(Salacia prinoides)から抽出分画法によ
り見い出すとともに、安全性の高い抗糖尿病剤(天然医
薬品)を提供する。 【構成】 α−グルコシダーゼの阻害作用を有する下記
の<化学構造式(1)>で示される化合物。 <化学構造式(1)> 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然物質から抽出
した新規な抗糖尿病剤とその抽出法に関する。更に詳し
くは、本発明は、ニシキギ科(Celastrineae)に属する
天然物質から抽出した二糖類の分解酵素であるα−グル
コシダーゼに対する阻害作用を有する新規な抗糖尿病剤
(天然医薬品)とその抽出法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、抗糖尿病薬に分類される医療用の
医薬品において、消化管の粘膜上に存在する二糖類の分
解酵素であるα−グルコシダーゼに対する阻害剤は、糖
尿病及び糖尿病予備軍の治療のために多用されている。
【0003】周知のように、安全かつ手軽に飲食用に供
することができるとともに、高血糖症の発症を抑制する
ことができる天然物質(天然医薬品)は、常に求められ
ている。このため、化学合成品に由来しない新しい天然
医薬品を開発すべく、世界の種々の伝承医学において使
用されている生薬が注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、前記した
天然医薬品の開発という方向のもとで、特に抗糖尿病剤
の開発に努力を重ねている。この中で、本発明者は、す
でにインドやスリランカの伝承医学、即ちアーユルベー
ダー医学(インド、スリランカの伝承医学)において古
来から使用されてきているシンハリ語(Sinhalese)で
コタラヒンブツウル(Katalahimbutuwel)といわれてい
るニシキギ科(Celastrineae)に属するサラシア レテ
ィキュラータ(Salacia reticulata)に注目し、その抽
出物が蔗糖負荷後の高血糖症の抑制効果に優れているこ
と、別言すればその抽出物が二糖類の分解酵素であるα
−グルコシダーゼの活性抑制に効果的であることをつき
とめている。
【0005】また、本発明者は、同じニシキギ科(Cela
strineae)に属する(i) サラシアプリノイデス(Salaci
a prinoides)及び(ii) サラシア オブロンガ(Salaci
aoblonga)の抽出物についても、前記サラシア レティ
キュラータ(Salacia reticulata)と同様の作用特性を
示すことを見い出している。
【0006】しかしながら、本発明者は、前記したニシ
キギ科(Celastrineae)に属する植物において、真に高
血糖症の抑制効果を発現する活性本体(活性物質)につ
いて、前記研究開発の段階においては解明していなかっ
た。
【0007】本発明者は、前記ニシキギ科(Celastrine
ae)の植物中に含有される活性本体(活性物質)の法定
について鋭意、検討を加えた。その結果、本発明者は、
サラシア プリノイデス(Salacia prinoides)を抽出
分画することにより、市販医薬品である二糖類分解酵素
の阻害剤 Acarbose(アカルボース)(登録商品名グル
コバイ、バイエル社製)と比較して、二糖類の一種であ
るイソマルトースに対して200倍以上の強い阻害活性
を有する新規化合物(以下、新規化合物SPあるいは単
にSP化合物と略記することがある。)を見い出すこと
に成功した。
【0008】本発明は、前記知見をベースにして創案さ
れたものである。本発明により、消化管の粘膜上に存在
する二糖類の分解酵素であるα−グルコシダーゼに対す
る阻害剤、即ち抗糖尿病剤として使用される新規化合物
SPが提供される。そして、前記新規化合物SPは、生
薬として利用されてきたニシキギ科(Celastrineae)に
属する植物、即ち、サラシア プリノイデス(Salacia
prinoides)から抽出、分画されて得られるため、本発
明により安全性に優れた抗糖尿病剤が提供される。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第一の発明は、下記の<化学構造式(1)>で示さ
れるα−グルコシダーゼの阻害作用を有する化合物を含
有してなることを特徴とする抗糖尿病剤に関するもので
ある。 <化学構造式(1)>
【0010】
【化3】
【0011】また、本発明の第二の発明は、ニシキギ科
(Celastrineae)のサラシア プリノイデス(Salacia
prinoides)を熱メタノールにより抽出し、得られたメ
タノールエキスを酢酸エチルと水で分配処理し、次いで
水移行部をクロマトグラフィーにより分画処理すること
を特徴とする前記<化学構造式(1)>で示されるα−グ
ルコシダーゼの阻害作用を有する化合物の抽出方法に関
するものである。
【0012】以下、本発明の技術的構成について詳しく
説明する。
【0013】前記したように、本発明の課題は、生薬の
一成分として使用されているニシキギ科(Celastrinea
e)に属するサラシア プリノイデス(Salacia prinoid
es)をベースにして、抽出分画法を適用し、二糖類分解
酵素であるα−グルコシダーゼの活性を阻害する真の化
合物を見い出し、安全かつ高性能の抗糖尿病剤を開発す
ることにある。
【0014】その結果、本発明者は、α−グルコシダー
ゼの活性を効果的に阻害する活性本体(活性物質)とし
て、前記<化学構造式(1)>で示される新規化合物SP
を見い出すことに成功した。また、本発明者は、前記活
性本体(活性種)である新規化合物SPの効率的かつ経
済的な抽出法を確立することにも成功した。
【0015】本発明において、前記<化学構造式(1)>
で示される新規化合物SPは、結晶体として調製するこ
とができるため、適当な賦形剤あるいは乳糖や澱粉など
を混合して錠剤の形態としたり顆粒の形態などにして使
用に供してもよいものである。また、前記新規化合物S
Pは、ガムやチョコレート、あるいは澱粉質の多いパ
ン、うどんまたは菓子類などに対し、極微量を添加する
添加剤として使用してもよいものである。
【0016】本発明の抗糖尿病剤の主成分となる前記<
化学構造式(1)>で示される新規化合物SPにおいて、
その投与量は年齢や症状などによるが成人の場合、食前
15〜30分前に1回当り5〜10mgの服用が目安とな
る。また、前記新規化合物SPを食品に添加する量は、
0.1〜0.01重量%が一応の目安となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により更に
詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施例のもの
に限定されないことはいうまでもないことである。
【0018】(1).抽出と分画 サラシア プリノイデス(Salacia prinoides)の地上
部1.7kgをメタノールの7l(リットル)で熱時抽出
(3時間)した後、抽出液を濾取した。次に抽出残渣に
メタノールの7l(リットル)を加え、同様の抽出操作
を合計3回行なった。次に、前記抽出濾液を合わせて減
圧下、完全に溶媒を留去して139grのメタノールエキ
スを得た。なお、得収率は、8.2%であった。次に得
られたメタノールエキス(130gr)を、酢酸エチル:
水(1:1)により分配し、両移行部をそれぞれ減圧
下、完全に溶媒を留去し、23grの酢酸エチル移行部と
107grの水移行部を得た。
【0019】(2).水移行部の分画 前記水移行部50grをメタノールに溶解させ、メタノー
ル可溶部41grと不溶部8.6grを得た。次に、メタノ
ール移行部31grを順相のシリカゲルカラム・クロマト
グラフィー(シリカゲル1.5kg)を利用し、下記の態
様で溶媒を流入し、分画1〜分画8を得た。 (i).溶媒の流入態様は、次の通りである;クロロホル
ム:メタノール:水(6:4:1→5:5:1→3:
7:1)→メタノール→50%アセトン。 (ii).各分画の収量は、次の通りである;分画1(1.
8gr)、分画2(1.2gr)、分画3(2.5gr)、分
画4(3.7gr)、分画5(4.0gr)、分画6(1
3.5gr)、分画7(0.9gr)、分画8(0.7gr)
【0020】(3).分画3の再分画 各分画において、シュクラーゼに対する阻害作用(阻害
活性:IC50値)を調べた。このうち、特に阻害作用の
強力な“分画3”について、さらに以下の態様で精査し
た。即ち、高速液体クロマクグラフィー(HPLC)を
用いて、以下の条件により分離精製を繰り返した。 カラム条件:Shodex SC 1011 (Ca2+)、8i.d.×300m
m、 溶媒:水、温度:80℃、流速:0.7ml/分。
【0021】前記カラム条件により“分画3”から“分
画3−1”〜“分画3−6”の6種の分画成分を得た。
次に、これら分画成分のうちで特に高活性の“分画3−
3”(137mg)の36mgを用いて、HPLCにより以
下の態様で分離精製した。 カラム条件:YMC-Pak,polyamine II、10i.d.×250
mm、 溶媒:25%アセトニトリル水、流速:5.0ml/分。 これにより、D-(+)グルコース(8.7mg)、シュクロ
ース(4.2mg)、新規化合物SP(3.0mg)を得
た。
【0022】更に、比較的高活性の“分画3−4”(2
49.7mg)の220.0mgを用いて、HPLCにより
以下の態様で分離精製した。 カラム条件:Shodex SPO 810 (Pb2+)、8i.d.×300m
m、 溶媒:水、温度:80℃、流速:0.6ml/分。
【0023】前記カラム条件により“分画3−4”から
“分画3−4−1”〜“分画3−4−3”の3種の分画
成分を得た。次に、前記分離精製により得られた高活性
の“分画3−4−3”(73.5mg)の18mgを用い
て、更にHPLCにより以下の態様で分離精製した。 カラム条件:YMC-Pak,polyamine II、10i.d.×250
mm、 溶媒:25%アセトニトリル水、流速:5.0ml/分。 これにより、先と同種の新規化合物SPの2.5mgを得
た。
【0024】表1は、前記した分画スキームと各分画成
分のシュクラーゼに対する阻害活性(IC50値)をまと
めたものである。
【0025】
【表1】
【0026】本発明において、前記したサラシア プリ
ノイデス(Salacia prinoides)の抽出分画法は、抽出
効率、不活性部の除去効率などからみて最良の態様と考
えるべきである。本発明のサラシア プリノイデス(Sa
lacia prinoides)の抽出分画法においては、種々の変
形例が可能である。例えば、抽出法において、前記した
メタノール抽出に代えて、他の溶媒、具体的にはメタノ
ール以外のアルコールや水を用いてもよい。また、不活
性分の除去法(不活性分の分配法)において、前記した
酢酸エチル/水による分配法に代えて、例えばクロロホ
ルム/水を使用してもよい。
【0027】(4).新規化合物SPの構造決定 前記のようにして分離精製した新規化合物SPの構造決
定を行なった。即ち、定法に従って元素分析により新規
化合物SPの組成を求めて実験式を決め、別途に分子量
を測定して分子式を求めた。次に、分子中の原子の結合
配列の様式を表わす構造式を決定するために、X線回析
を行なった。なお、あわせて、比旋光度の測定、質量分
析、及び赤外線吸収スペクトル(IR)と核磁気共鳴ス
ペクトル(NMR)の分析も実施した。結果を以下に示
す。なお、以下の説明において、記号Aは、オングスト
ローム(1×10-8cm)を意味する。
【0028】(i).分子式:C91829 (ii).分子量:MW=334.36
【0029】(iii).X線回折 :X線回折は、次の条件で行なった。 1.X線回折装置 :リガク(Rigaku)社製AFC5
R. 2.Radiation :Mokα(λ=0.71069A). 3.温度 :23℃ 4.Attenuators :Ni箔(factors:3.6,12.0,42.
0) 5.Take-off Angle:6.0°
【0030】.X線回折データ(crystal data)は、
次の通りである。 1.Crystal Color,Habit:Colorless,prisms. 2.結晶の大きさ(mm) :0.150×0.200×0.200 3.結晶系 :monoclinic(単斜晶) 4.No.Reflections used for unit cell Determination (2θ ronge,結晶反応強度):25(46.6〜49.5°) 5.Omega scan peak width at Half-height :0.36 6.格子常数(lattice Parameters): a= 6.433(3)A b= 12.927(2)A c= 8.372(3)A β= 93.680(3)A V=694.800(4)A3 7.空間群(Space Group):P2(#4). 8.Z値(Z-value) :2 9.Dm :1.598g/cm3 10.F(000) :352 11.μ(Mokα) :4.05cm-1
【0031】前記X線回折によって得られたX線解析図
を、図1に示す。また、前記図1のX線解析図をより視
覚的にわかりやすくした模式図を、図2に示す。
【0032】本発明において、前記新規化合物SPの分
析は、前記X線解析以外によっても行なった。これらの
他の分析手法によって得られた新規化合物SPの物理化
学データを以下に示す。
【0033】1.比旋光度の測定:比旋光度の測定結果
は、以下の通りである。 [α]D 28=+4.9°(C=0.35,MeOH).
【0034】2.質量分析:質量分析の結果は、次の通
りである。光分解能二次イオン質量分析、即ち、High-r
esolution SIMS(m/z)による分析の結果は、次の通りで
ある。 (i).計算値:(注)C91929(M+H)+=335.046
9. (ii).実測値:335.0463.
【0035】3.赤外線吸収スペクトル(IR)分析:
IR(KBr)の分析結果は、次の通りである。 IR(KBr):3417(-OH),1261及び1237(-OS
O3 -),1072及び1018(-CO-,-CS-),801.
【0036】4.1H−NMRW分析:1H−NMRの分
析結果は、次の通りである。1 H−HMR(500MHz.pyridine-d5):4.31(2H,br s,2
-H2),4.35,4.58(1Heach.both dd,J=3.7,11.6Hz,4'-H2),
4.50(2H.m,6-H2),4.60,4.77(1H each,bothdd,J=4.6,13.
2Hz,1'-H),4.67(1H,dt,J=6.4,6.7Hz,5-H),4.97(1H,m,2'
-H),5.09(2H,br s,2,3-H).5.24(1H,dt,J=3.7,7.7Hz,3'-
H).なお、H(水素原子)の空間配置は、X線解析図
(図1)に示されている。
【0037】5.13C−NMRの分析:13C−NMRの
分析結果は、次の通りである。13C−NMR(125M
Hz):50.5(2-C),52.8(1'-C).60.2(6-C).62.3(4'-C),
67.6(2'-C),72.5(5-C),78.3(3-C),79.2(3'-C),79.3(2-
C).なお、C(炭素原子)の空間配置は、X線解析図
(図1)に示されている。
【0038】次に、新規化合物SPの応用例について説
明する。
【0039】(i).糖質分解酵素に対する活性阻害作用: .酵素の調製 Wistar系雄性ラット(体重150〜350gr)の空腸か
ら得た刷子縁膜を粗酵素として用いた。前記刷子縁膜
は、0.01Mマレイン酸緩衝液(PH=6.0)に懸
濁され、約25〜50n/mol/ml/分の基質が加水分解
される濃度に希釈された。なお、前記刷子縁膜を粗酵素
として選んだ理由は、刷子縁膜がマルターゼ、シュクラ
ーゼあるいはイソマルターゼなどのα型グリコシダーゼ
を豊富に含有しているためである。 .試験法 マルターゼ、シュクラーゼ、およびイソマルターゼにつ
いて、基質としてマルトース、シュクロース、およびイ
ソマルトースの各々74mM50μLに被験薬の各濃度の
もの100μLを加え、37℃で2〜3分間予備加温し
た。次に、酵素液50μLを加えて30分間反応させ
た。反応の停止は、水800μLを加え92〜97℃の
水浴中に2分間入れることによって行なった。生成した
グルコース量は、グルコースオキシダーゼ法(グルコー
ス CIIテストワコー)により測定した。なお、基質お
よび被験薬は、ともにマレイン酸緩衝液(PH=6.
0)に溶解して用いた。
【0040】結果を下記の表2に示す。なお、表2は、
新規化合物SP(本発明品)とAcarbose(従来品)のラ
ット小腸由来の二糖類分解酵素であるマルターゼ、シュ
クラーゼ、およびイソマルターゼの阻害作用(IC
50値)を示すものである。
【0041】
【表2】
【0042】(ii).β−グルコシダーゼに対する活性阻
害作用:この試験は、本発明の新規化合物SPがα型グ
リコシダーゼに対してのみ特異活性を有することを実証
するためのものである。 .酵素の調製 アーモンド由来のβ−グリコシダーゼ(シグマ社製)を
0.1M酢酸緩衝液(PH=5.0)に溶解し、5n/m
ol/ml/分の基質が加水分解される濃度とした。 .試験法 基質として10mMの P−nitorophenol-β-D-glucopyron
oside(シグマ社製)の50μLに被験薬100μLを加
え、37℃で5分間予備加温した。次に、酵素液50μ
Lを加えて15分間反応させた。反応の停止は、0.2
M炭酸ナトリウム液200μLを加えることによって行
なった。生成したp-nitrophenolの量は、400mmの吸
光度から求めた。なお、基質や被験薬は、ともに0.1
M酢酸緩衝液(PH=5.0)に溶解して用いた。以上
の試験により、本発明の新規化合物SPは、β−グリコ
シダーゼに対して活性阻害作用をもたないことが判明し
た。
【0043】(iii).シュクロース負荷時の高血糖抑制作
用:絶食させたWistar系雄性ラット(体重130〜17
0gr)に被験薬を水溶液として経口投与した。次に、3
0分後に糖類を経口投与した。次に、前記糖類の投与の
30分後、無麻酔拘束下(採血時のみ)頚動脈から0.
4mlづつ採血し、氷水で冷却後、遠心分離により血清を
分離グルコースオキシダーゼ法(グルコースCIIテスト
ワコー)によりグルコース濃度を測定した。前記の試験
を新規化合物SP(本発明品)とAcarbose(従来品)の
間で行なった。結果を下記の表3に示す。表3に示され
るように、新規化合物SP(本発明品)はAcarbose(従
来品)よりも強い血糖上昇抑制作用が認められる。
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】本発明のサラシア・プリノイデス(Sala
cia prinoides)から抽出分画して得た化学構造式(1)で
示される新規化合物SPは、特異的にα−グルコシダー
ゼ(二糖類の分解酵素)の活性を腸管レベルにおいて阻
害する特性を有しているため、高血糖の原因となる単糖
の生成を効果的に阻害することができる。
【0046】また、本発明の新規化合物SPは、古来か
ら服用されてきている生薬由来成分であるため、安全性
に高く、かつ数mgの服用により十分な効能を発現する
という特性を有する。
【0047】このため、本発明の新規化合物SPは、現
在、最も大きな問題となっている食後の高血糖症を抑制
する薬物、別言すれば、抗糖尿病剤として極めて有効な
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 新規化合物SPのX線解析図である。
【図2】 新規化合物SPの模式図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年7月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 α−グルコシダーゼの阻害作用を有
する化合物
【特許請求の範囲】
【化1】
【化3】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然植物から抽出
した新規化合物、及び前記新規化合物をベースとした抗
糖尿病剤、並びに前記新規化合物の抽出法に関する。更
に詳しくは、本発明は、ニシキギ科(Celastrineae)に
属する天然植物から抽出した二糖類の分解酵素であるα
−グルコシダーゼに対する阻害作用を有する新規化合
物、及び前記新規化合物をベースとした抗糖尿病剤(天
然医薬品)、並びに前記新規化合物の抽出法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、抗糖尿病薬に分類される医療用の
医薬品において、消化管の粘膜上に存在する二糖類の分
解酵素であるα−グルコシダーゼに対する阻害剤は、糖
尿病及び糖尿病予備軍の治療のために多用されている。
【0003】周知のように、安全かつ手軽に飲食用に供
することができるとともに、高血糖症の発症を抑制する
ことができる天然物質(天然医薬品)は、常に求められ
ている。このため、化学合成品に由来しない新しい天然
医薬品を開発すべく、世界の種々の伝承医学において使
用されている生薬が注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、前記した
天然医薬品の開発という方向のもとで、特に抗糖尿病剤
の開発に努力を重ねている。この中で、本発明者は、す
でにインドやスリランカの伝承医学、即ちアーユルベー
ダー医学(インド、スリランカの伝承医学)において古
来から使用されてきているシンハリ語(Sinhalese)で
コタラヒンブツウル(Katalahimbutuwel)といわれてい
るニシキギ科(Celastrineae)に属するサラシア レテ
ィキュラータ(Salacia reticulata)に注目し、その抽
出物が蔗糖負荷後の高血糖症の抑制効果に優れているこ
と、別言すればその抽出物が二糖類の分解酵素であるα
−グルコシダーゼの活性抑制に効果的であることをつき
とめている。
【0005】また、本発明者は、同じニシキギ科(Cela
strineae)に属する(i) サラシアプリノイデス(Salaci
a prinoides)及び(ii) サラシア オブロンガ(Salaci
aoblonga)の抽出物についても、前記サラシア レティ
キュラータ(Salacia reticulata)と同様の作用特性を
示すことを見い出している。
【0006】しかしながら、本発明者は、前記したニシ
キギ科(Celastrineae)に属する植物において、真に高
血糖症の抑制効果を発現する活性本体(活性物質)につ
いて、前記研究開発の段階においては解明していなかっ
た。
【0007】本発明者は、前記ニシキギ科(Celastrine
ae)の植物中に含有される活性本体(活性物質)の決定
について鋭意、検討を加えた。その結果、本発明者は、
サラシア プリノイデス(Salacia prinoides)を抽出
分画することにより、市販医薬品である二糖類分解酵素
の阻害剤 Acarbose(アカルボース)(登録商品名グル
コバイ、バイエル社製)と比較して、二糖類の一種であ
るイソマルトースに対して200倍以上の強い阻害活性
を有する新規化合物を見い出すことに成功した。
【0008】本発明は、前記知見をベースにして創案さ
れたものである。本発明により、天然植物から抽出した
α−グルコシダーゼに対する阻害活性を有する新規化合
物、及び前記新規化合物をベースとした消化管の粘膜上
に存在する二糖類の分解酵素であるα−グルコシダーゼ
に対する阻害剤、即ち抗糖尿病剤が提供される。更に、
本発明により、前記α−グルコシダーゼに対する阻害活
性を有する新規化合物の抽出法が提供される。本発明に
おいて、前記α−グルコシダーゼに対する阻害活性を有
する新規化合物は、生薬として利用されてきたニシキギ
科(Celastrineae)に属する植物、即ち、サラシア プ
リノイデス(Salacia prinoides)から抽出、分画され
て得られるため、本発明により安全性に優れた抗糖尿病
剤が提供される。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第一の発明は、下記の<化学構造式(1)>で示さ
れる化合物それ自体に関するものである。なお、以下の
説明において、下記の<化学構造式(1)>で示される化
合物を新規化合物SPということがある。 <化学構造式(1)>
【0010】
【化4】
【0011】また、本発明の第二の発明は、前記<化学
構造式(1)>で示される化合物のα−グルコシダーゼの
阻害活性を利用した抗糖尿病剤に関するものである。更
に、本発明の第三の発明は、ニシキギ科(Celastrinea
e)のサラシア プリノイデス(Salacia prinoides)を
熱メタノールにより抽出し、得られたメタノールエキス
を酢酸エチルと水で分配処理し、次いで水移行部をクロ
マトグラフィーにより分画処理することを特徴とする前
記<化学構造式(1)>で示されるα−グルコシダーゼの
阻害活性を有する化合物の抽出方法に関するものであ
る。
【0012】以下、本発明の技術的構成について詳しく
説明する。
【0013】前記したように、本発明の課題は、生薬の
一成分として使用されているニシキギ科(Celastrinea
e)に属するサラシア プリノイデス(Salacia prinoid
es)をベースにして、抽出分画法を適用し、二糖類分解
酵素であるα−グルコシダーゼの活性を阻害する真の化
合物を見い出すことにあり、更に前記α−グルコシダー
ゼの阻害活性物質をベースとした安全かつ高性能の抗糖
尿病剤を提供することにある。
【0014】その結果、本発明者は、α−グルコシダー
ゼの活性を効果的に阻害する活性本体(活性物質)とし
て、前記<化学構造式(1)>で示される新規化合物SP
を見い出すことに成功した。また、本発明者は、前記活
性本体(活性種)である新規化合物SPの効率的かつ経
済的な抽出法を確立することにも成功した。
【0015】本発明において、前記<化学構造式(1)>
で示される新規化合物SPは、結晶体として調製するこ
とができるため、適当な賦形剤あるいは乳糖や澱粉など
を混合して錠剤の形態としたり顆粒の形態などにして使
用に供してもよいものである。また、前記新規化合物S
Pは、ガムやチョコレート、あるいは澱粉質の多いパ
ン、うどんまたは菓子類などに対し、極微量を添加する
添加剤として使用してもよいものである。
【0016】本発明の抗糖尿病剤の主成分となる前記<
化学構造式(1)>で示される新規化合物SPにおいて、
その投与量は年齢や症状などによるが成人の場合、食前
15〜30分前に1回当り5〜10mgの服用が目安とな
る。また、前記新規化合物SPを食品に添加する量は、
0.1〜0.01重量%が一応の目安となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により更に
詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施例のもの
に限定されないことはいうまでもないことである。
【0018】(1).抽出と分画 サラシア プリノイデス(Salacia prinoides)の地上
部1.7kgをメタノールの7l(リットル)で熱時抽出
(3時間)した後、抽出液を濾取した。次に抽出残渣に
メタノールの7l(リットル)を加え、同様の抽出操作
を合計3回行なった。次に、前記抽出濾液を合わせて減
圧下、完全に溶媒を留去して139grのメタノールエキ
スを得た。なお、得収率は、8.2%であった。次に得
られたメタノールエキス(130gr)を、酢酸エチル:
水(1:1)により分配し、両移行部をそれぞれ減圧
下、完全に溶媒を留去し、23grの酢酸エチル移行部と
107grの水移行部を得た。
【0019】(2).水移行部の分画 前記水移行部50grをメタノールに溶解させ、メタノー
ル可溶部41grと不溶部8.6grを得た。次に、メタノ
ール移行部31grを順相のシリカゲルカラム・クロマト
グラフィー(シリカゲル1.5kg)を利用し、下記の態
様で溶媒を流入し、分画1〜分画8を得た。 (i).溶媒の流入態様は、次の通りである;クロロホル
ム:メタノール:水(6:4:1→5:5:1→3:
7:1)→メタノール→50%アセトン。 (ii).各分画の収量は、次の通りである;分画1(1.
8gr)、分画2(1.2gr)、分画3(2.5gr)、分
画4(3.7gr)、分画5(4.0gr)、分画6(1
3.5gr)、分画7(0.9gr)、分画8(0.7gr)
【0020】(3).分画3の再分画 各分画において、シュクラーゼに対する阻害作用(阻害
活性:IC50値)を調べた。このうち、特に阻害作用の
強力な“分画3”について、さらに以下の態様で精査し
た。即ち、高速液体クロマクグラフィー(HPLC)を
用いて、以下の条件により分離精製を繰り返した。 カラム条件:Shodex SC 1011 (Ca2+)、8i.d.×300m
m、 溶媒:水、温度:80℃、流速:0.7ml/分。
【0021】前記カラム条件により“分画3”から“分
画3−1”〜“分画3−6”の6種の分画成分を得た。
次に、これら分画成分のうちで特に高活性の“分画3−
3”(137mg)の36mgを用いて、HPLCにより以
下の態様で分離精製した。 カラム条件:YMC-Pak,polyamine II、10i.d.×250
mm、 溶媒:25%アセトニトリル水、流速:5.0ml/分。 これにより、D-(+)グルコース(8.7mg)、シュクロ
ース(4.2mg)、新規化合物SP(3.0mg)を得
た。
【0022】更に、比較的高活性の“分画3−4”(2
49.7mg)の220.0mgを用いて、HPLCにより
以下の態様で分離精製した。 カラム条件:Shodex SPO 810 (Pb2+)、8i.d.×300m
m、 溶媒:水、温度:80℃、流速:0.6ml/分。
【0023】前記カラム条件により“分画3−4”から
“分画3−4−1”〜“分画3−4−3”の3種の分画
成分を得た。次に、前記分離精製により得られた高活性
の“分画3−4−3”(73.5mg)の18mgを用い
て、更にHPLCにより以下の態様で分離精製した。 カラム条件:YMC-Pak,polyamine II、10i.d.×250
mm、 溶媒:25%アセトニトリル水、流速:5.0ml/分。 これにより、先と同種の新規化合物SPの2.5mgを得
た。
【0024】表1は、前記した分画スキームと各分画成
分のシュクラーゼに対する阻害活性(IC50値)をまと
めたものである。
【0025】
【表1】
【0026】本発明において、前記したサラシア プリ
ノイデス(Salacia prinoides)の抽出分画法は、抽出
効率、不活性部の除去効率などからみて最良の態様と考
えるべきである。本発明のサラシア プリノイデス(Sa
lacia prinoides)の抽出分画法においては、種々の変
形例が可能である。例えば、抽出法において、前記した
メタノール抽出に代えて、他の溶媒、具体的にはメタノ
ール以外のアルコールや水を用いてもよい。また、不活
性分の除去法(不活性分の分配法)において、前記した
酢酸エチル/水による分配法に代えて、例えばクロロホ
ルム/水を使用してもよい。
【0027】(4).新規化合物SPの構造決定 前記のようにして分離精製した新規化合物SPの構造決
定を行なった。即ち、定法に従って元素分析により新規
化合物SPの組成を求めて実験式を決め、別途に分子量
を測定して分子式を求めた。次に、分子中の原子の結合
配列の様式を表わす構造式を決定するために、X線回析
を行なった。なお、あわせて、比旋光度の測定、質量分
析、及び赤外線吸収スペクトル(IR)と核磁気共鳴ス
ペクトル(NMR)の分析も実施した。結果を以下に示
す。なお、以下の説明において、記号Aは、オングスト
ローム(1×10-8cm)を意味する。
【0028】(i).分子式:C91829 (ii).分子量:MW=334.36
【0029】(iii).X線回折 :X線回折は、次の条件で行なった。 1.X線回折装置 :リガク(Rigaku)社製AFC5
R. 2.Radiation :Mokα(λ=0.71069A). 3.温度 :23℃ 4.Attenuators :Ni箔(factors:3.6,12.0,42.
0) 5.Take-off Angle:6.0°
【0030】.X線回折データ(crystal data)は、
次の通りである。 1.Crystal Color,Habit:Colorless,prisms. 2.結晶の大きさ(mm) :0.150×0.200×0.200 3.結晶系 :monoclinic(単斜晶) 4.No.Reflections used for unit cell Determination (2θ ronge,結晶反応強度):25(46.6〜49.5°) 5.Omega scan peak width at Half-height :0.36 6.格子常数(lattice Parameters): a= 6.433(3)A b= 12.927(2)A c= 8.372(3)A β= 93.680(3)A V=694.800(4)A3 7.空間群(Space Group):P2(#4). 8.Z値(Z-value) :2 9.Dm :1.598g/cm3 10.F(000) :352 11.μ(Mokα) :4.05cm-1
【0031】前記X線回折によって得られたX線解析図
を、図1に示す。また、前記図1のX線解析図をより視
覚的にわかりやすくした模式図を、図2に示す。
【0032】本発明において、前記新規化合物SPの分
析は、前記X線解析以外によっても行なった。これらの
他の分析手法によって得られた新規化合物SPの物理化
学データを以下に示す。
【0033】1.比旋光度の測定:比旋光度の測定結果
は、以下の通りである。 [α]D 28=+4.9°(C=0.35,MeOH).
【0034】2.質量分析:質量分析の結果は、次の通
りである。光分解能二次イオン質量分析、即ち、High-r
esolution SIMS(m/z)による分析の結果は、次の通りで
ある。 (i).計算値:(注)C91929(M+H)+=335.046
9. (ii).実測値:335.0463.
【0035】3.赤外線吸収スペクトル(IR)分析:
IR(KBr)の分析結果は、次の通りである。 IR(KBr):3417(-OH),1261及び1237(-OS
O3 -),1072及び1018(-CO-,-CS-),801.
【0036】4.1H−NMRW分析:1H−NMRの分
析結果は、次の通りである。1 H−HMR(500MHz.pyridine-d5):4.31(2H,br s,2
-H2),4.35,4.58(1Heach.both dd,J=3.7,11.6Hz,4'-H2),
4.50(2H.m,6-H2),4.60,4.77(1H each,bothdd,J=4.6,13.
2Hz,1'-H),4.67(1H,dt,J=6.4,6.7Hz,5-H),4.97(1H,m,2'
-H),5.09(2H,br s,2,3-H).5.24(1H,dt,J=3.7,7.7Hz,3'-
H). なお、H(水素原子)の空間配置は、X線解析図(図
1)に示されている。
【0037】5.13C−NMRの分析:13C−NMRの
分析結果は、次の通りである。13 C−NMR(125MHz):50.5(2-C),52.8(1'-
C).60.2(6-C).62.3(4'-C),67.6(2'-C),72.5(5-C),78.3
(3-C),79.2(3'-C),79.3(2-C). なお、C(炭素原子)の空間配置は、X線解析図(図
1)に示されている。
【0038】次に、新規化合物SPの応用例について説
明する。
【0039】(i).糖質分解酵素に対する活性阻害作用: .酵素の調製 Wistar系雄性ラット(体重150〜350gr)の空腸か
ら得た刷子縁膜を粗酵素として用いた。前記刷子縁膜
は、0.01Mマレイン酸緩衝液(PH=6.0)に懸
濁され、約25〜50n/mol/ml/分の基質が加水分解
される濃度に希釈された。なお、前記刷子縁膜を粗酵素
として選んだ理由は、刷子縁膜がマルターゼ、シュクラ
ーゼあるいはイソマルターゼなどのα型グリコシダーゼ
を豊富に含有しているためである。 .試験法 マルターゼ、シュクラーゼ、およびイソマルターゼにつ
いて、基質としてマルトース、シュクロース、およびイ
ソマルトースの各々74mM50μLに被験薬の各濃度の
もの100μLを加え、37℃で2〜3分間予備加温し
た。次に、酵素液50μLを加えて30分間反応させ
た。反応の停止は、水800μLを加え92〜97℃の
水浴中に2分間入れることによって行なった。生成した
グルコース量は、グルコースオキシダーゼ法(グルコー
ス CIIテストワコー)により測定した。なお、基質お
よび被験薬は、ともにマレイン酸緩衝液(PH=6.
0)に溶解して用いた。
【0040】結果を下記の表2に示す。なお、表2は、
新規化合物SP(本発明品)とAcarbose(従来品)のラ
ット小腸由来の二糖類分解酵素であるマルターゼ、シュ
クラーゼ、およびイソマルターゼの阻害作用(IC
50値)を示すものである。
【0041】
【表2】
【0042】(ii).β−グルコシダーゼに対する活性阻
害作用:この試験は、本発明の新規化合物SPがα型グ
リコシダーゼに対してのみ特異活性を有することを実証
するためのものである。 .酵素の調製 アーモンド由来のβ−グリコシダーゼ(シグマ社製)を
0.1M酢酸緩衝液(PH=5.0)に溶解し、5n/m
ol/ml/分の基質が加水分解される濃度とした。 .試験法 基質として10mMの P−nitorophenol-β-D-glucopyron
oside(シグマ社製)の50μLに被験薬100μLを加
え、37℃で5分間予備加温した。次に、酵素液50μ
Lを加えて15分間反応させた。反応の停止は、0.2
M炭酸ナトリウム液200μLを加えることによって行
なった。生成したp-nitrophenolの量は、400mmの吸
光度から求めた。なお、基質や被験薬は、ともに0.1
M酢酸緩衝液(PH=5.0)に溶解して用いた。以上
の試験により、本発明の新規化合物SPは、β−グリコ
シダーゼに対して活性阻害作用をもたないことが判明し
た。
【0043】(iii).シュクロース負荷時の高血糖抑制作
用:絶食させたWistar系雄性ラット(体重130〜17
0gr)に被験薬を水溶液として経口投与した。次に、3
0分後に糖類を経口投与した。次に、前記糖類の投与の
30分後、無麻酔拘束下(採血時のみ)頚動脈から0.
4mlづつ採血し、氷水で冷却後、遠心分離により血清を
分離グルコースオキシダーゼ法(グルコースCIIテスト
ワコー)によりグルコース濃度を測定した。前記の試験
を新規化合物SP(本発明品)とAcarbose(従来品)の
間で行なった。結果を下記の表3に示す。表3に示され
るように、新規化合物SP(本発明品)はAcarbose(従
来品)よりも強い血糖上昇抑制作用が認められる。
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】本発明のサラシア・プリノイデス(Sala
cia prinoides)から抽出分画して得た<化学構造式(1)
>で示される新規化合物SPは、特異的にα−グルコシ
ダーゼ(二糖類の分解酵素)の活性を腸管レベルにおい
て阻害する特性を有しているため、高血糖の原因となる
単糖の生成を効果的に阻害することができる。
【0046】また、本発明の新規化合物SPは、古来か
ら服用されてきている生薬由来成分であるため、安全性
に高く、かつ数mgの服用により十分な効能を発現する
という特性を有する。
【0047】このため、本発明の新規化合物SPは、現
在、最も大きな問題となっている食後の高血糖症を抑制
する薬物、別言すれば、抗糖尿病剤として極めて有効な
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 新規化合物SPのX線解析図である。
【図2】 新規化合物SPの模式図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の<化学構造式(1)>で示されるα
    −グルコシダーゼの阻害作用を有する化合物を含有して
    なることを特徴とする抗糖尿病剤。 <化学構造式(1)> 【化1】
  2. 【請求項2】 ニシキギ科のサラシア プリノイデス
    (Salacia prinoides)を熱メタノールにより抽出し、
    得られたメタノールエキスを酢酸エチルと水で分配処理
    し、次いで水移行部をクロマトグラフィーにより分画処
    理することを特徴とする下記の<化学構造式(1)>で示
    されるα−グルコシダーゼの阻害作用を有する化合物の
    抽出方法。 <化学構造式(1)> 【化2】
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