JPH11227341A - 熱転写記録媒体 - Google Patents

熱転写記録媒体

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JPH11227341A
JPH11227341A JP3645498A JP3645498A JPH11227341A JP H11227341 A JPH11227341 A JP H11227341A JP 3645498 A JP3645498 A JP 3645498A JP 3645498 A JP3645498 A JP 3645498A JP H11227341 A JPH11227341 A JP H11227341A
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JP
Japan
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heat
recording medium
transfer recording
thermal transfer
ink layer
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JP3645498A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Isobe
勤 磯部
Shuji Maruyama
修司 丸山
Koji Tanaka
幸司 田中
Shigeki Takahashi
茂樹 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鮮明性および摩擦堅牢性に優れた転写画像が
得られ、特に粗表面紙上でも2色以上の重ね合せ転写画
像や網点をきれいに印字でき、階調性に優れた転写画像
が得られる熱転写記録媒体を提供すること。 【解決手段】 熱溶融性インク層が下記式(A−1)又
は(A−2)で表される化合物と高級脂肪酸多価アルコ
ールエステルのイソシアネート付加物とを含有すること
を特徴とする熱転写記録媒体。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱転写記録媒体に
関する。更に詳しくは、鮮明性および摩擦堅牢性に優れ
た転写画像が得られ、粗表面紙上でも2色以上の重ね合
せ転写画像や網点がきれいに印字でき、階調性に優れた
転写画像が得られる熱転写記録媒体に関する。本発明の
熱転写記録媒体は、特に多色の印字画像を形成する熱転
写記録媒体として有用である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0003】熱転写記録媒体を用いて、普通紙等に転写
像を記録するには、サーマルヘッドを備えた熱転写プリ
ンターが一般に用いられる。熱転写プリンターの高性能
化に伴い、印字に必要な熱エネルギーをできるだけ低く
抑えることが望まれている。この理由は、印字に必要な
熱エネルギーを従来よりも低く抑えることによって、ヘ
ッドの加熱、放冷サイクルタイムが短縮され、ヘッドの
熱劣化を防止でき、特にラインプリンタでは電源小型化
等が可能になる為である。また、基材の耐熱性不足を補
うことができる為でもある。しかしながら、印字に必要
な熱エネルギーを低く抑えるためにインク組成物の融点
を低く設計すると、普通紙上への印字に際してワックス
の低融点成分に起因する地肌汚れが発生し、転写像の定
着性、堅牢性も低下する他、保存中に環境温度が上昇す
ると、所謂ブロッキング現象も発生するという問題が生
じてきた。
【0004】これらの問題を解決するために従来は、熱
溶融性インク層の結合剤への樹脂成分の導入(特開昭5
4−87234号公報、同54−163044号公報、
同56−98269号公報、同62−130887号公
報)、或いは、ワックスインクへの樹脂系オーバーコー
ト層の塗布(特開昭61−242893号公報)等で対
処したきたが、複合化された要求をバランスよく満たす
程のものは得られていなかった。また、上記基材の厚み
を薄くして、熱の伝達を高めることによって低エネルギ
ー印字を達成する試みもあるが、インクによる紙面の被
覆性が低下したり、インクリボンの走行性が不安定にな
るなどの問題があった。
【0005】これとは別に、熱溶融性インクを2色以上
重ね印字して階調性に優れたカラー画像、特にフルカラ
ー再現像を得るためには、少なくとも上部層に重ねられ
る色材の透明性、微粒子化、より厳密にいえば、熱溶融
性インク層のバインダーの透明性、色材の透明性および
微粒子化が必要とされる。しかし、従来の熱転写記録媒
体において、色材およびバインダーの組み合わせにより
斯かる目的を達成したものはなかった。
【0006】従って、本発明の目的は、印字方式に左右
されることなく、均一量のインク転写を可能にし、鮮明
性および摩擦堅牢性に優れた転写画像が得られる熱転写
記録媒体を提供することにある。また、本発明の目的
は、粗表面紙上でも2色以上の重ね合せ転写画像や網点
をきれいに印字でき、階調性に優れた転写画像が得られ
る熱転写記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の熱転写記録媒体
は、熱溶融性インク層の構成成分として、特定の色材お
よび特定のバインダーを組み合わせて用いることを特徴
とする。
【0008】即ち、本発明は、基材上に熱溶融性インク
層が設けられてなる熱転写記録媒体において、該熱溶融
性インク層が下記式(A−1)又は(A−2)で表され
る化合物と高級脂肪酸多価アルコールエステルのイソシ
アネート付加物とを含有することを特徴とする熱転写記
録媒体を提供することにより上記課題を解決するもので
ある。
【0009】
【化2】
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の熱転写記録媒体の
好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。ここ
で、図1は、本発明の熱転写記録媒体の一実施形態の構
成を示す模式図である。
【0011】図1に示す熱転写記録媒体1は、基材2上
に熱溶融性インク層3が設けられており、基材2と熱溶
融性インク層3との間に潤滑保護層4が設けられてい
る。更に、基材2の裏面上にバックコート層5が設けら
れている。以下、これらの層および基材の詳細について
それぞれ説明する。
【0012】熱溶融性インク層3は上記式(A−1)又
は(A−2)で表される化合物と、高級脂肪酸多価アル
コールエステルのイソシアネート付加物とを含有してい
る。上記式(A−1)又は(A−2)で表される化合物
は色材として用いられる。また、高級脂肪酸多価アルコ
ールエステルのイソシアネート付加物はバインダーとし
て用いられる。
【0013】先ず、色材として用いられる上記式(A−
1)及び(A−2)で表される化合物について説明する
と、これらの化合物は何れもイエロー系染料であり、各
式中、R1 〜R3 は、上述の通り、それぞれ独立に、水
素原子、ハロゲン原子、アミノ基、スルホン基、水酸
基、ニトロ基、カルボキシレート基又は置換されていて
もよい炭素原子数1〜1000の炭化水素基である。R
1 〜R3 は同一でも又は異なっていてもよい。
【0014】R1 〜R3 がハロゲン原子の場合、該ハロ
ゲン原子としてはF、Cl、Br、Iが好適に用いられ
る。R1 〜R3 が炭化水素基の場合、該炭化水素基とし
ては、炭素原子数1〜200のアルキル基もしくはアル
ケニル基または炭素原子数6〜400の芳香族炭化水素
基が好適に用いられる。上記アルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−エチルオクチ
ル基等の直鎖又は分岐の炭素原子数1〜100のアルキ
ル基が特に好ましく、上記芳香族炭化水素基としては、
フェニル基等の炭素原子数6〜200の芳香族炭化水素
基が特に好ましい。これらのアルキル基、アルケニル基
及びフェニル基は、それらの水素原子の一部がハロゲン
原子、アミノ基、スルホン基、ニトロ基、水酸基及びカ
ルボキシレート基等で置換されていてもよい。
【0015】上記式(A−1)で表される化合物として
好ましいものの具体例としては、R 1 が2−エチルヘキ
シル基または2−エチルオクチル基、R2 がブチル基、
3がメチル基である化合物が挙げられる。一方、上記
式(A−2)で表される化合物として好ましいものの具
体例としては、R1 及びR2 がそれぞれメチル基である
化合物、並びにR1 及びR2 がそれぞれエチル基である
化合物が挙げられる。
【0016】上記式(A−1)又は(A−2)で表され
る化合物は、上記高級脂肪酸多価アルコールエステルの
イソシアネート付加物100重量部に対して20〜10
00重量部、特に100〜1000重量部含有されるこ
とが好ましい。これらの化合物の含有量が20重量部に
満たないと、十分な印字濃度が得られず印字画像が不鮮
明となることがあり、1000重量部を超えると、彩度
が低下し2色以上の重ね合わせ印刷を行った場合に下地
色が隠蔽され、目的の色が得られないおそれがあるので
上記範囲内とすることが好ましい。
【0017】本発明においては、上記式(A−1)及び
(A−2)で表される化合物と他の色材とを併用しても
よい。そのような色材としては、例えば特開平7−22
3377号公報の第4欄49行〜第5欄18行に記載の
染顔料が挙げられる。更に、体質顔料や白色顔料と混合
し、色調を調整してもよい。また、耐熱安定性の向上を
目的として、有機又は無機微粒子を添加してもよい。
【0018】高級脂肪酸多価アルコールエステルのイソ
シアネート付加物は、高級脂肪酸と多価アルコールとの
エステル化物に、イソシアネート化合物を付加反応させ
て得られる。ここで用いられる高級脂肪酸としては、例
えば特開平8−80673号公報の第3欄28行〜第4
欄1行に記載のもの等が挙げられ、特に融点が20℃以
上で炭素数が10〜40の脂肪酸が好適に使用できる。
なかでもラノリン脂肪酸、及びベヘン酸を用いた場合が
最適である。
【0019】多価アルコールとしては、飽和脂肪族ポリ
オール、不飽和脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール、
含酸素脂肪族ポリオール等が用いられ、特開平8−80
673号公報の第4欄6〜27行に記載のもの等が具体
的に例示される。特に好ましく用いられる多価アルコー
ルは、ペンタエリスリトール、グリセリン、グリコール
類等である。
【0020】イソシアネート化合物としては、例えば特
開平8−80673号公報の第4欄29〜47行に記載
のもの等が挙げられる。特に好ましく用いられるイソシ
アネート化合物は、トリレンジイソシアネート、4,4
−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3 −ビス(イ
ソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジ
イソシアネート等である。
【0021】上記高級脂肪酸と多価アルコールとのエス
テル化反応は従来公知のいかなる方法によっても実施す
ることができる。エステル化度は特に限定されない。ま
た、高級脂肪酸多価アルコールエステルと、前記イソシ
アネート化合物との付加反応は、従来公知の方法で行う
ことができる。イソシアネート化合物の付加モル数は特
に限定されないが、高級脂肪酸多価アルコールエステル
1モル当たり、0.1〜5モル程度が好ましい。尚、上
記高級脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート
付加物として市販品を用いることもでき、例えばラノッ
クスFPK−210(日本精化製)等が使用可能であ
る。
【0022】上記高級脂肪酸多価アルコールエステルの
イソシアネート付加物を、エステルオリゴマーと併用し
てもよい。このようにすると、いわゆるベタ被覆性が向
上し、2色以上の重ね合せが可能となるので好ましい。
このエステルオリゴマーとしては、多価アルコールと多
価カルボン酸との重縮合反応生成物が用いられ、好まし
くはジオキシ化合物と二塩基酸又は二塩基酸の酸無水物
との重縮合反応生成物が用いられる。該エステルオリゴ
マーは、従来のポリエチレンテレフタレート系ポリエス
テルに比べて重合度が低く、熱転写インク層用のバイン
ダーとして適した比較的低い融点で且つ狭い温度範囲で
融解する。該エステルオリゴマーの数平均分子量は、通
常末端基から算出した数平均分子量が一般に100〜3
0000、好ましくは300〜10000、更に好まし
くは400〜5000である。該エステルオリゴマーの
ガラス転移点は一般に40〜160℃、好ましくは50
〜110℃である。
【0023】エステルオリゴマーは1種または2種以上
を用いることができる。エステルオリゴマーの合成方法
には特に制限はなく、公知のいずれの方法によっても得
ることができる。エステルオリゴマーは、上記式(A−
1)又は(A−2)で表される化合物100重量部に対
して0〜500重量部、特に0〜300重量部配合され
ることが好ましい。
【0024】上記高級脂肪酸多価アルコールエステルの
イソシアネート付加物を、エチレン−酢酸ビニル共重合
体と併用することも好ましい。このエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体としては、メルトフローレート(MFR)が
5〜2000dg/min(特に5〜1000dg/m
in)のものが特に好ましい。MFRが5dg/min
未満であると、インクの切れが悪く解像度が低下する場
合があり、2000dg/minを超えるとインクの流
れなどが起こり、正常均一な熱転写記録ができない場合
があるので上記範囲内とすることが好ましい。上記エチ
レン−酢酸ビニル共重合体は、上記式(A−1)又は
(A−2)で表される化合物100重量部に対して0〜
500重量部、特に0〜200重量部配合されることが
好ましい。
【0025】上記熱溶融性インク層3には必要に応じ
て、他のバインダーを添加してもよい。添加し得るバイ
ンダーとしては、例えば特開平8−80675号公報の
第5欄13〜40行に記載のもの等が挙げられる。他の
バインダーは、上記式(A−1)又は(A−2)で表さ
れる化合物100重量部に対して100重量部まで配合
されることが好ましい。
【0026】更に、必要に応じて従来の熱転写記録媒体
におけるバインダーとして用いられていたワックス類、
オイル類、(液体)可塑剤類または樹脂を、熱溶融性イ
ンク層3に添加してもよい。また、特開平8−8067
3号公報の第6欄35〜43行に記載の各種添加剤を熱
溶融性インク層3中又はこれ以外の層中に添加してもよ
い。
【0027】熱溶融性インク層3は、上述の成分を所定
の溶剤と混合し、ディスパー、ホモミキサー、ディゾル
バー、超音波混合機、ボールミル、サンドミル、アトラ
イター、ダイノミル又は3本ロール等の混合分散機によ
り混合・分散させて得られた塗料を、グラビアコーター
やワイヤーバー等を用いた溶液または溶融コート法で塗
布・印刷することによって形成される。熱溶融性インク
層3の乾燥厚みは、インク転写後の被転写面の隠蔽性と
網点再現性の点から0.1〜5.0μm、特に0.5〜
3.0μmとすることが好ましい。
【0028】潤滑保護層4は、転写画像の保護および熱
溶融性インク層3の剥離力の低減を目的として設けられ
る。潤滑保護層4はワックスを主体として構成される。
該ワックスとしては、100℃における溶融粘度が15
cp未満、特に12cp未満、とりわけ7cp未満であ
るものを用いることが好ましい。100℃における溶融
粘度が15cp以上のワックスを用いると、剥離力が十
分に低下しないことに起因して熱転写記録媒体の走行性
が低下することがある。尚、上記ワックスの溶融粘度は
一般にその分子量及び密度に依存する。
【0029】更に、上記ワックスは、ASTM D−3
104に基づく滴点が100℃以下、特に98℃以下で
あることも好ましい。滴点が100℃より高いと、やは
り剥離力が十分に低下しないことに起因して熱転写記録
媒体の走行性が低下することがある。
【0030】更に、上記ワックスは、JIS−Z−02
37に基づいて測定された40〜150℃の範囲に於け
るプローブタックの最大値が0.1〜60gf、特に1
〜50gf、とりわけ1〜40gfであることが、熱溶
融性インク層の剥離特性の向上の点から好ましい。上記
プローブタックの最大値は、プローブの直径5.1m
m、接触荷重300gf/cm2 、接触時間0.1秒及
び引き剥がし速度120mm/秒の条件下で測定された
ものである。
【0031】上記ワックスとしては、例えば、特開平8
−258436号公報の第4欄14〜18行に記載のも
の等が挙げられ、特にポリエチレンワックス及びパラフ
ィンワックスが好ましく用いられる。とりわけ低エネル
ギー印字中の熱転写記録媒体の走行性に鑑みポリエチレ
ンワックスを用いることが望ましい。ポリエチレンワッ
クスとしては、例えば特開平8−258436号公報の
第4欄25〜43行に記載のもの等が挙げられる。
【0032】潤滑保護層4は、上記ワックスのみから構
成されていてもよく、或いは該ワックス及びその他の成
分から構成されていてもよい。その他の成分としては、
潤滑保護層4の塗膜強度や柔軟性を向上させ得るエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合
体、ポリエチレン、石油樹脂等の樹脂類が挙げられる。
これらの樹脂類は1種または2種以上を用いることがで
きる。これらの成分は、潤滑保護層4中に1〜50重量
%、特に1〜20重量%含有されることが好ましい。
【0033】潤滑保護層4は、上記ワックス及び必要に
応じてその他の成分を所定の溶剤に溶解または分散させ
て得られた塗料を塗布し乾燥させることにより形成され
る。潤滑保護層4の乾燥厚みは0.1μm以上5.0μ
m未満、特に0.1以上3.0μmであることが、熱転
写記録媒体1の転写感度が一層向上し、しかも走行安定
性が一層向上するので好ましい。
【0034】基材2としては、コンデンサー紙、グラシ
ン紙等の紙類、ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボ
ネート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等
のプラスチック類の薄膜シート、フィルム類が用いられ
る。基材2の厚みは約0.2〜20μm、特に0.5〜
6.0μmの範囲が好ましい。。
【0035】バックコート層5は、熱転写記録媒体1の
耐熱性や滑り性、走行性等を改善するために設けられる
ものである。バックコート層5を構成する材料として
は、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、樹脂、架橋
ポリマー、金属オイル等が用いられる。
【0036】本発明の熱転写記録媒体では、上記式(A
−1)又は(A−2)で表される化合物を含有する上記
熱溶融性インク層および該化合物以外の色に着色された
少なくとも一つの熱溶融性インク層を基材2上に設けた
構成となすことにより、該熱転写記録媒体を、同一記録
紙上に任意の像状に熱溶融転写させ多色の印字画像を形
成する記録システムに用いることができる。この場合に
用い得る色材としてはマゼンタ系色材およびシアン系色
材が挙げられる。特にマゼンタ系色材として下記式(M
−1)で表される化合物を用い、且つシアン系色材とし
て下記式(C−1)、(C−2)又は(C−3)で表さ
れる化合物を用いると、階調性が一層向上するので好ま
しい。また、これらマゼンタ系色材およびシアン系色材
によって着色された熱溶融性インク層に、上記高級脂肪
酸多価アルコールエステルのイソシアネート付加物が含
有されていることも好ましい。
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】上記式(M−1)で表される化合物として
好ましいものの具体例としては、R 1 及びR3 がそれぞ
れエチル基、R2 、R4 、R5 〜R11がそれぞれ水素原
子である化合物、R1 〜R4 がそれぞれエチル基、R5
〜R11がそれぞれ水素原子である化合物、及びR1 〜R
5 がそれぞれエチル基、R6 及びR7 がそれぞれメチル
基、R8 〜R11がそれぞれ水素原子である化合物が挙げ
られる。
【0040】上記式(C−1)で表される化合物として
好ましいものの具体例としては、R 1 及びR2 がそれぞ
れヒドロキシエチル基、R3 〜R5 及びR8 がそれぞれ
水素原子、R6 及びR7 がそれぞれ水酸基である化合物
が挙げられる。上記式(C−2)で表される化合物とし
て好ましいものの具体例としては、R1 及びR2 がそれ
ぞれ2−スルホン−4−メチルフェニル基、R3 〜R7
がそれぞれ水素原子、R8 及びR9 が水酸基である化合
物が挙げられる。上記式(C−3)で表される化合物と
して好ましいものの具体例としては、R1 〜R4 及びR
6 〜R8 がそれぞれ水素原子、R5 及びR9 がアミノ基
である化合物が挙げられる。
【0041】以上、本発明の熱転写記録媒体をその好ま
しい実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形
態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲におい
て種々の変更が可能である。例えば、熱溶融性インク層
と記録紙との密着性を向上させるために、熱溶融性イン
ク層上に一層以上の層を設けてもよい。また、上記式
(A−1)又は(A−2)で表される化合物を含有する
熱溶融性インク層と、該化合物の色以外の色に着色され
た熱溶融性インク層とを設ける場合には、各熱溶融性イ
ンク層をどのような順序で設けてもよい。また、該化合
物の色以外の色に着色された熱溶融性インク層として、
ブラックに着色された熱溶融性インク層を更に設けても
よい。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
すると共に本発明の有効性を例証する。しかしながら、
本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。尚、
以下の例中、特に断らない限り「部」は「重量部」を表
す。
【0043】〔実施例1〕下記の配合物をボールミルを
用いて分散させて潤滑保護層用塗料を調製した。シリコ
ーン系バックコートを塗布した2.5μmのPETフィ
ルム上に、この潤滑保護層用塗料をワイヤバーコーター
を用いて塗布し、次いで80℃の熱風乾燥機で60秒間
乾燥を行い、厚さ1.0μmの潤滑保護層を形成した。
次に、下記の配合物を12時間分散処理して熱溶融性イ
ンク層用塗料を調製した。この熱溶融性インク層用塗料
を上記潤滑保護層上にワイヤバーコーターを用いて塗布
し、乾燥させて固形分のみとし、厚さ2μmの熱溶融性
インク層形成し、目的の熱転写記録媒体を得た。
【0044】 〔潤滑保護層用塗料〕 ・パラフィンワックス 80部 〔HNP-10(日本精蝋製)、100℃における溶融粘度8cp、滴点75℃、プロ ーブタック最大値40gf〕 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 20部 〔EV-210ET(三井デュポンポリケミカル製)〕 ・溶剤(トルエン) 400部
【0045】 〔熱溶融性インク層用塗料〕 ・化合物(A−1)(表1参照) 10部 ・ラノリン脂肪酸多価アルコールのイソシアネート付加物 40部 〔ラノックスFPK-210 (日本精化製)〕 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 30部 〔EV-210ET(三井デュポンポリケミカル製)〕 ・ポリエステル樹脂 20部 (ビスフェノールAグリコール系エステルオリゴマー、数平均分子量1675) ・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン) 400部
【0046】このようにして得られた熱転写記録媒体を
幅12.7mmにスリットして、インクリボンを得た。
このインクリボンをシリアル型感熱転写プリンタ〔日本
電気(株)製、文豪JX70MAパーソナルワードプロ
セッサー400dpi〕によって普通紙(BEKK平滑
度300秒)の上に印字を行い、転写画像の濃度を測定
した。印字エネルギーと転写画像濃度の関係を調べる為
に、濃度調整レバーを操作して印字電圧を30.0〜3
6.5Vの間で変化させ、転写濃度をマクベス濃度計
(RD514型)で測定した。その結果、濃度1.0の
転写画像を得るために必要な印加電圧は32.0Vであ
った。転写画像は、彩度および透明性に優れ、重ね合わ
せ適性がよいものであった。印字に際して地肌汚れは全
く認められず、インクリボンの走行性及び転写画像の堅
牢性は良好であった。
【0047】〔実施例2〕下記の潤滑保護層用塗料を用
いて潤滑保護層を形成し、且つ下記の熱溶融性インク層
用塗料を用いて熱溶融性インク層を形成する以外は実施
例1と同様にしてインクリボンを得た。
【0048】 〔潤滑保護層用塗料〕 ・ポリエチレンワックス 80部 〔ポリワックスPW-500(東洋ペトロライト製)、100℃における溶融粘度6c p、滴点87℃、プローブタック最大値40gf〕 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 20部 〔EV-210ET(三井デュポンポリケミカル製)〕 ・溶剤(トルエン) 400部
【0049】 〔熱溶融性インク層用塗料〕 ・化合物(A−2)(表1参照) 10部 ・ベヘン酸とペンタエリスリトールのエステル化反応物とトリレンジイソシアネ ートを付加反応させて得られた反応物 50部 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 40部 〔EV-210ET(三井デュポンポリケミカル製)〕 ・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン) 400部
【0050】上記インクリボンを用いて実施例1と同様
の印字を試みた。その結果、濃度1.0の転写像を得る
ために必要な印加電圧は34.0Vであった。転写画像
は、彩度および透明性に優れ、重ね合わせ適性がよいも
のであった。印字に際して地肌汚れは全く認められず、
インクリボンの走行性及び転写画像の堅牢性は良好であ
った。
【0051】〔比較例1〕下記の潤滑保護層用塗料を用
いて厚さ1.0μmの潤滑保護層を形成し、且つ下記の
熱溶融性インク層用塗料を用いて厚さ2μmの熱溶融性
インク層を形成する以外は実施例1と同様にしてインク
リボンを得た。
【0052】 〔潤滑保護層用塗料〕 ・カルバナワックス 80部 〔精製No.1(セラリカ野田製)、100℃における溶融粘度27cp、滴点83 ℃、プローブタック最大値110gf〕 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 20部 〔EV-210ET(三井デュポンポリケミカル製)〕 ・溶剤(トルエン) 400部
【0053】 〔熱溶融性インク層用塗料〕 ・化合物(A−1)(表1参照) 30部 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 40部 〔EV-210ET(三井デュポンポリケミカル製)〕 ・エステルワックス 30部 ・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン) 400部
【0054】上記インクリボンを用いて実施例1と同様
の印字を試みた。その結果、濃度1.0の転写像を得る
ために必要な印加電圧は36.5Vであった。転写画像
は、彩度および透明性に関しては良好であったが、重ね
合わせ適性が悪かった。また、インクリボンの走行性
は、印字開始直後において不安定であり、転写画像の堅
牢性も悪かった。
【0055】〔比較例2〕下記の潤滑保護層用塗料を用
いて潤滑保護層を形成し、且つ下記の熱溶融性インク層
用塗料を用いて厚さ2μmの熱溶融性インク層を形成す
る以外は実施例1と同様にしてインクリボンを得た。
【0056】 〔潤滑保護層用塗料〕 ・マイクロクリスタリンワックス 80部 〔ポリワックスPW2000(東洋ペトロライト製)、149℃における溶融粘 度48cp、滴点125℃、プローブタック最大値190gf〕 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 20部 〔EV-210ET(三井デュポンポリケミカル製)〕 ・溶剤(トルエン) 400部
【0057】 ・化合物D(着色成分、下記式D参照) 10部 ・ラノリン酸脂肪酸多価アルコールのイソシアネート付加物 50部 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 30部 〔EV-210ET(三井デュポンポリケミカル製)〕 ・ポリエステル樹脂 10部 〔芳香族ジカルボン酸系エステルオリゴマー、数平均分子量16,000〕 ・溶剤(メチルエチルケトン/トルエン) 400部
【0058】
【化5】
【0059】上記インクリボンを用いて実施例1と同様
の印字を試みた。その結果、濃度1.0の転写像を得る
ことができなかった。また、転写画像は、重ね合わせ適
性および堅牢性に関しては良好であったが、彩度および
透明性が悪かった。また、インクリボンの走行性は、印
字開始直後において不安定であった。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明の熱転写記
録媒体によれば、鮮明性および摩擦堅牢性に優れた転写
画像が得られる。また、本発明の熱転写記録媒体によれ
ば、粗表面紙上でも2色以上の重ね合せ転写画像や網点
がきれいに印字でき、階調性に優れた転写画像が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写記録媒体の一実施形態の構成を
示す模式図である。
【符号の説明】
1 熱転写記録媒体 2 基材 3 熱溶融性インク層 4 潤滑保護層 5 バックコート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 茂樹 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に熱溶融性インク層が設けられて
    なる熱転写記録媒体において、該熱溶融性インク層が下
    記式(A−1)又は(A−2)で表される化合物と高級
    脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート付加物
    とを含有することを特徴とする熱転写記録媒体。 【化1】
  2. 【請求項2】 上記高級脂肪酸多価アルコールエステル
    のイソシアネート付加物100重量部に対して、上記式
    (A−1)又は(A−2)で表される化合物が20〜1
    000重量部含有されることを特徴とする請求項1記載
    の熱転写記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記基材と上記熱溶融性インク層との間
    に、ワックスを主体とする潤滑保護層が設けられている
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の熱転写記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 上記熱溶融性インク層と、上記式(A−
    1)及び(A−2)で表される化合物以外の色に着色さ
    れた少なくとも一つの熱溶融性インク層とが上記基材上
    に設けられ、同一記録紙上に任意の像状に熱溶融転写さ
    せ多色の印字画像を形成する記録システムに用いられる
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の熱転写
    記録媒体。
JP3645498A 1998-02-18 1998-02-18 熱転写記録媒体 Pending JPH11227341A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007530321A (ja) * 2004-03-30 2007-11-01 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング プラスチック上の刻印の密封

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JP2007530321A (ja) * 2004-03-30 2007-11-01 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング プラスチック上の刻印の密封

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