JPH11171901A - 球状再生セルロース微粒子及びそれからなる水懸濁液、ゲル状物質及び球状再生セルロース微粒子の製法 - Google Patents

球状再生セルロース微粒子及びそれからなる水懸濁液、ゲル状物質及び球状再生セルロース微粒子の製法

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JPH11171901A
JPH11171901A JP9350241A JP35024197A JPH11171901A JP H11171901 A JPH11171901 A JP H11171901A JP 9350241 A JP9350241 A JP 9350241A JP 35024197 A JP35024197 A JP 35024197A JP H11171901 A JPH11171901 A JP H11171901A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた増粘性、分散安定効果を有し、か
つ各種コーティング剤やゲル化剤として利用可能なセル
ロース系分散体およびそのためのセルロース微粒子の提
供。 【解決手段】 動的光散乱法(DLS)で求めた0.0
1wt%水懸濁液の数平均粒径が20nm〜100nm
である球状再生セルロース微粒子および動的光散乱法
(DLS)で求めた0.01wt%水懸濁液の数平均粒
径が20nm〜100nmであり、かつその粒径分布曲
線の半値幅が50nm以下である球状再生セルロース微
粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセルロース微粒子及
びそれから得られる水懸濁液、ゲル状物質及びセルロー
ス微粒子の製法に関するものであり、さらに詳しくは食
品、医薬、塗料用途などに有用な再生セルロース微粒
子、水懸濁液、ゲルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、ナイロン、ポリエチレン、ポリア
クリロニトリル、セルロースなど数多くの高分子微粒子
が様々な工業用途に用いられている。これらの中でも特
にセルロースは生体適合性に優れていること、食物繊維
としての性能があることなどから、食品、医薬分野で非
常に幅広い用途があり、用途に応じて微粒子の形態を変
化させて使用されている。例えば、セルロース微粒子を
水に分散させた水懸濁液は、ココアや牛乳などの飲料の
分散安定剤として用いられている。また乾燥させた微粉
化セルロースはアイスクリームなどの食品添加剤、錠剤
整形時の形態安定剤、あるい化粧クリームや洗剤などの
添加剤などに用いられている。
【0003】一般にこれらのセルロース微粒子の性能を
支配している構造因子は粒径とその分布、形態などであ
る。特に食品、化成品など一部の用途では微粒子の粒径
を小さくすることが望まれており、今までにも数多くの
微細化の試みがなされてきた。これらの中で最も容易な
ものは物理的方法である。これはボールミルなどの機械
力によって粒子同士を衝突させる方法、あるいは凍結割
断法などである。これらの方法では化学的にセルロース
が変性する心配がない反面、粒径はそれほど小さくなら
ないこと、また粒子の形状、粒径などは一定ではなく分
布が広いという致命的な欠点がある。例えばこれを応用
したものとして特開昭56−100801の微小繊維状
セルロース(ミクロフィブリル化セルロース)が挙げら
れる。これはパルプの水懸濁液を高圧用均質化装置で処
理したものであるが、これで得られたセルロースは大き
さの不均一なフィブリル状であり、かつその大きさは数
10μmにも及ぶ。よってこれらの懸濁液はざらつき感
が非常に強く用途はかなり限定される。
【0004】一方化学的処理によって得られた微結晶素
材として微結晶セルロース(特公昭40−26274)
がある。これは木材パルプあるいはコットンリンターの
ようなセルロース原料の非晶部分を鉱酸で加水分解して
崩壊させて得た結晶の集合体からなる粉体である。ただ
これらの微粒子の平均粒径は15〜40μmであり、1
μm以下の微結晶はほんの0〜2%であることが特開平
3−163135の追試実験によって示されている。特
開平3−163135ではこれらの問題をクリアしさら
に微細化したセルロースの分率を増加させることを目的
として、酸加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、ス
チームエクスプロージョン分解、水蒸気蒸煮のうちの1
つまたは2つ以上の組み合わせ処理を前処理として、そ
の後に媒体を湿式粉砕するという方法を開発した。この
方法によると水懸濁液にした際、積算体積50%の粒径
が0.3〜6μであり、かつ3μ以下の積算体積割合が
25%以上の微粒化セルロース素材が得られる。
【0005】しかし、上記の特公昭40−26274及
び特開平3−163135の方法で得られる微粒化セル
ロースから得られる懸濁液の粒径は少なくともサブミク
ロン以上の混合物であるため、水懸濁液の透明感は著し
く低いという欠点があり、ある種の食品分野への応用が
制限されている。
【0006】また天然セルロースを60%以上の濃厚硫
酸で極限まで加水分解することによって幅30nm、長
さ100〜200nmの比較的小さいrod状微結晶セ
ルロースが得られることが知られている。これを1〜2
0%含むサスペンションも透明感に優れている。ただ、
これらの微結晶セルロースは長軸方向と短軸方向の比
(L/D)が10以上のrod状であり、食品として大
量に使用した際、食感として若干の苦み感を生ずるとい
う問題点がある。また粒径としても長軸方向の長さは1
00〜200nmと比較的大きい。よって食品添加剤と
して他の懸濁液などと混合する際、均一性が低くなりや
すいなどの問題点もある。
【0007】他方、錠剤成型用の補助助剤としてセルロ
ース微粒子が用いられている。錠剤の中でも一面の中央
に割線を有した、いわゆる割線錠は、患者の服用性を向
上させるために比較的弱い力で分割することが求められ
ている。その反面、輸送時の錠剤の摩損や破壊などが少
ないことも要求されており、そのバランスを保つことが
課題の一つとされている。従来技術では割線錠の形態を
変えることでそれらの値を向上させようという試みがな
されてきたが充分な結果は得られていない。また助剤で
あるセルロース微粒子の種類を変えても満足な結果は今
のところ得られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、食品
として用いた際、ざらつき感、苦み感がなく、分散性の
高い透明性に優れたセルロース水懸濁液及びゲル状物質
を調製できるようなセルロース微粒子、及び錠剤を形成
した際に低打圧でも成形性が良く、かつ摩損性の低いセ
ルロース微粒子を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記のように従来技術に
は様々な問題点が存在する。本発明者らはかかる点に鑑
み、これらの問題点をクリアすべく鋭意検討を重ねた結
果、原料セルロースに再生セルロースを用い、硫酸ある
いは塩酸による加水分解処理を行って得られる再生微粒
子セルロースが、平均粒径20〜100nmの範囲であ
り、ほぼ均一な球状であることを見いだした。そして驚
くべきことに、これらのセルロース微粒子の中で結晶化
度が高いサンプルから形成される錠剤は、低打圧で成形
可能で摩損性が非常に小さいことを見いだした。またこ
の範囲の再生セルロース微粒子から得られる水懸濁液
は、幅広いPHにおける分散性、透明感、食感が従来の
ものに比べて著しく優れていること、この懸濁液を水溶
液中で濃縮した場合、透明かつ弾性率が高いゲル状物質
が生成することを見いだし、本発明に至った。
【0010】すなわち、本発明は以下のとおりである。 (1)動的光散乱法(DLS)で求めた0.01wt%
水懸濁液の数平均粒径が20nm〜100nmである球
状再生セルロース微粒子。 (2)動的光散乱法(DLS)で求めた0.01wt%
水懸濁液の数平均粒径が20nm〜100nmであり、
かつその粒径分布曲線の半値幅が50nm以下である球
状再生セルロース微粒子。 (3)広角X線回折法から求められる結晶化度が60%
以上であることを特徴とする上記(1)記載の球状再生
セルロース微粒子。 (4)動的光散乱法(DLS)で求めた0.01wt%
水懸濁液の数平均粒径が20nm〜100nmである球
状再生セルロース微粒子と水からなる水懸濁液。 (5)動的光散乱法(DLS)で求めた0.01wt%
水懸濁液の数平均粒径が20nm〜100nmである球
状再生セルロース微粒子と水からなるゲル状物質。 (6)重量比で3wt%以下の界面活性剤を含む上記
(4)記載の水懸濁液。 (7)再生セルロースを重量比で20%以上55%以下
の硫酸あるいは2N以上4N以下の塩酸でで加水分解処
理することを特徴とする上記(1)記載の球状再生セル
ロース微粒子の製法。
【0011】本発明における平均粒径とは、動的光散乱
法(DLS)で求めた水懸濁液中での数平均の値であ
る。この際0.01wt%に調製した懸濁液をDLS測
定するものとする。本発明における粒径分布曲線とは上
記DLS測定で得られたものである。本発明における球
状とは、凍結乾燥後のセルロース微粒子の電子顕微鏡写
真もしくはAFM(原子間力顕微鏡)写真において観察
される微粒子の直径が、おおよそプラスマイナス25%
以内の範囲に収まることを言う。本発明における球状再
生セルロース微粒子は、平均粒径が20nm〜100n
mの範囲に収まり、かつ形状が球状な再生セルロースで
あることを条件とする。これらの条件が満たされれば、
従来技術に比べて透明度、分散性が高く、かつ食品とし
てのざらつき感、苦み感がない懸濁液が得られる。
【0012】そしてここで粒径分布曲線の半値幅が50
nmの条件が満たされれば、さらにその性能は著しく向
上する。
【0013】本発明における結晶化度とは、磯貝らによ
って報告された方法[AkiraIsogai and
Makoto Usuda 繊維学会誌 Vol.4
6,No.8 p.324(1990)]に従い、広角
X線回折パターンから(1)式を用いて求められるセル
ロースII型についての値である。 χc = I(002)−Iam/I(002) X 100 (1)
【0014】ここでI(002)、Iamはそれぞれ図
1に示すように2θ=12゜における全回折強度及び非
晶成分のみの回折強度を表す。セルロース微粒子のχc
は水懸濁液の分散性や透明性にそれほど影響を及ぼさな
いが、χcが60%以上であれば、それから得られる錠
剤は低打圧でも強度が高く、かつ摩損性が著しく低い。
χcを60%以上にするためには、後述する加水分解反
応の条件として、酸濃度を高くするか反応時間を長くす
る必要がある。
【0015】本発明における水懸濁液とは、本発明にお
けるセルロース微粒子が液全体に均一に分散したものを
指し、一部の微粒子が沈降したり、2相、3相に分離し
たような不均一なものは含まない。水懸濁液の分散性
は、懸濁液の濁度を尺度として評価することができる。
本発明における濁度とは、1wt%水懸濁液の660n
mの吸光度を指し、吸光度が高いほど懸濁液の濁度は高
い。様々なPHにおける水懸濁液の濁度は以下の実験方
法に従って測定する。PH=2〜10に調製した所定濃
度の水懸濁液に2分間超音波処理を施した後濁度をそれ
ぞれ測定し、それ以後一日おきに濁度を測定する。本発
明における水懸濁液は、サンプル調製時点で、PH=2
〜10の9種類の懸濁液の濁度のふれ幅が20%以内に
収まり、かつその状態が10日以上継続する。
【0016】本発明における界面活性剤を含む水懸濁液
は、フィルム作成やコーティングの際に安定に懸濁液を
キャストできると共に他の素材に対する接着性を増大さ
せる働きがある。一般に、界面活性剤は親水基の種類に
よってアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性の4
種類に分類できるが、本発明においてはその種類は問わ
ないが、透明な液体状であることが望ましい。界面活性
剤の濃度は3wt%以下でなければならない。3wt%
を越える界面活性剤はセルロース微粒子の分散性を阻害
する。懸濁液のコーティング安定性は、懸濁液と素材と
の接触角の大きさを指標として判定することができる。
すなわち懸濁液の水滴を素材の上に滴下し、その水滴を
写真撮影した際、その接触角が小さいほど素材との親和
性は高く、コーティング安定性は高い。
【0017】本発明におけるゲル状物質とは、本発明に
おけるセルロース微粒子と水からなり、系全体に微粒子
が分散したままゲル状となったものを指し、一部の微粒
子が沈降したり、水が遊離したような不均一なものは含
まない。懸濁液とゲル状物質との違いは、動的粘弾性測
定において損失弾性率(G’’)と貯蔵弾性率(G’)
との比tanδ(G’’/G’)で判定することができ
る。この際測定はG’が線型領域で行うものとする。本
発明ではtanδが1より小さいものはゲル状物質とす
る。
【0018】本発明におけるセルロース微粒子は、20
〜55%の硫酸水溶液、あるいは2N〜4Nの塩酸で再
生セルロースを加水分解処理したスラリーを脱イオン水
で希釈し、遠心分離−デカンデーション処理したを繰り
返した後、0.1wt%以下の濃度に希釈したのち凍結
乾燥、あるいは臨界点乾燥あるいはスプレードライ法を
用いて乾燥する事によって得られる。この際、水をアセ
トンやエタノールに置換した後に凍結乾燥あるいは臨界
点乾燥することによっても微粒子の凝集を防ぐことがで
きる。またセルロース微粒子を水懸濁液やゲル状物質と
して用いる場合は、凍結乾燥することなく、「NEVE
R DRY」の状態で上記の溶液からそのまま、あるい
は濃縮することによっても単離できる。遠心分離−デカ
ンデーション処理でサスペンションが中性になりにくい
場合は、脱イオン水による透析、あるいは中和処理を併
用することも好ましい。反応の際の酸濃度は酸の種類に
よって異なる。硫酸を用いた場合は20%〜55%、塩
酸の場合は2N〜4Nでなければならない。酸濃度が上
記範囲より低い場合は加水分解反応が充分に起こらな
い。一方酸濃度が高い場合はセルロースが一部溶解して
収率が著しく低下する。反応時間、反応温度については
酸濃度に併せて適宜変化させる必要がある。硫酸を用い
た場合、おおよそ反応温度は25〜75度、反応時間は
5hから100h程度である。一方塩酸を用いた場合
は、反応温度は60度から90度、反応時間は150分
〜300分である。反応の終了は溶液をサンプリングし
て酸濃度を希釈し、DLSを測定してその粒径から判断
する。
【0019】本発明における再生セルロースとは、天然
セルロースを一度溶剤に溶解し、再生して得られるもの
であれば形態、重合度は何でも良い。また原料となる天
然セルロースの種類、溶剤の種類は問わない。但し上記
(1)式から求められるX線結晶化度χcが20%以上
であることを条件とする。
【0020】本発明における微粒子の平均粒径、形状の
確認に用いた測定法の詳細について以下に示す。 1)粒径分布:大塚電子製DLS700を用い、0.0
1wt%の水懸濁液を25℃、散乱角60°で測定し
た。また粒径は数平均での値を用いた。 2)形状:Degital Instruments社
製 Nano ScopeIIIを用い、0.1wt%の水
懸濁液を凍結乾燥した後、25℃、大気中でのtapp
ingモードで測定した。
【0021】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳細に説
明する。
【0022】実施例1〜3および比較例1〜3 公知の方法で調製した銅アンモニアセルロース溶液から
得られた再生セルロース不織布10gを50wt%の硫
酸1000gに浸責し、70℃で16時間加水分解処理
した。得られたセルロース微結晶分散液を10000r
pmの速度で10分遠心分離した。沈殿物をデカンデー
ションにより取り出し、脱イオン水を注入して攪拌し、
再び遠心分離した。この操作を数回繰り返すことによっ
て、セルロースは沈殿することなくセルローススラリー
が得られた。これを凍結乾燥して得られたサンプルを実
施例1とする。
【0023】また加水分解に用いる酸が2Nの塩酸であ
り、反応温度が90度、反応時間が200時間であるこ
と以外は実施例1と全く同じ条件で球状再生セルロース
微粒子を調製した。これを実施例2とした。
【0024】また加水分解に用いる硫酸濃度が38wt
%であること以外は実施例1と全く同じ条件で球状再生
セルロース微粒子を調製した。これを実施例3とする。
【0025】また硫酸濃度が18%である以外は実施例
1と同様の条件で球状再生セルロース微粒子を調製し
た。これを比較例1とする。
【0026】また公知の方法で天然セルロースの微結晶
セルロースサスペンションを調製した。以下にその製法
を示す。DP=1500のアラスカパルプを64wt%
の硫酸で70度、10分間加水分解処理した。得られた
分散液を上記と同様の方法で連続の遠心分離−デカンデ
ーションの繰り返し処理を行い、比較サンプルとして
0.01wt%のサスペンションを得た。これを実施例
1と同様に凍結乾燥して得られたセルロースを比較例2
とする。
【0027】また特開平3−163135記載の方法で
調製した0.01wt%のセルロース懸濁液から凍結乾
燥で得られたセルロースを比較例3とする。
【0028】これらのサンプルのAFM写真を図2〜4
に示す。すなわち、実施例1、2のセルロース微粒子は
図2に、実施例3および比較例1のセルロース微粒子は
図3に、そして比較例2および比較例3のセルロース微
粒子は図4に示す。比較例2、3はrod状であるのに
対して、実施例1、2、3及び比較例1はほぼ球状の微
粒子から形成されていることがわかる。また実施例1〜
3及び比較例1のセルロース微粒子を広角X線回折測定
し、結晶化度χcを求めた結果を表1に示す。ここで比
較例2、3についてはセルロースI型の結晶型を持つた
め、本法では結晶化度は算出できない。実施例1、2に
比べて実施例3のχcは小さく、酸加水分解の際の硫酸
濃度がχcに影響を及ぼすことが明らかになった。さら
にこれら実施例1〜3及び比較例1〜3のセルロース微
粒子を0.01%含む水懸濁液を調製し、これらのDL
S測定から求めた数平均の粒径及びその粒径分布の半値
幅を表1に併せて示す。実施例1、2、3の平均粒径は
比較例3に比べて著しく小さい。また比較例1、2に比
べても実施例1、2、3の平均粒径は小さいことがわか
る。
【0029】 表 1 サンプル名 χc/% 粒径/nm 半値幅/nm 実施例1 86 30 30 実施例2 78 30 80 実施例3 48 45 65 比較例1 55 120 95 比較例2 150 100 比較例3 1000 500
【0030】実施例4〜7および比較例4〜6 実施例1〜3の球状再生セルロース微粒子を1%含む水
懸濁液を調製し、それぞれ実施例4〜6とした。また実
施例4の水懸濁液に0.5wt%の界面活性剤[旭化成
工業社製アミノ酸系界面活性剤「アミノサーファクタン
ト」(アニオン性)]を添加したサンプルを実施例7と
した。また比較例1〜3のセルロース微粒子を1wt%
含む水懸濁液を調製しそれぞれ比較例4〜6とした。こ
れらのサンプルについて分散性試験を行った結果を表2
に示す。またこれら6種類の水懸濁液のポリ塩化ビニル
フィルム上での接触角を測定した結果も併せて示す。
【0031】分散性の指標である濁度は上述の方法に従
って測定した。すなわち1wt%水懸濁液をPH=2〜
10に調製し、温度25℃、周波数45kHz、本田電
子社製強力超音波洗浄機を用いて2分間超音波処理を施
した後660nmの吸光度を測定する。それ以後一日お
きに濁度を測定する。
【0032】ここではPH違いによる濁度のふれ幅が1
0%未満の状態が10日以上継続するサンプルを◎、1
0%以上20%未満のサンプルを○、10日までに濁度
の値が20%以上に変化してしまうものを△、固形分が
沈殿して吸光度が測定できない場合を×として表示し
た。比較例5はPH=2,3の条件で濁度が50%以上
高くなった。また比較例6はPH=2〜4の条件下、調
製後すぐに沈殿物を生じた。これに対して実施例4、
5、6はPH=2〜10のすべての範囲で濁度の変化幅
は20%未満であり、全てのPHにおいて良好な分散性
を示した。またその状態は10日以上継続した。特に実
施例1はこの効果が高いことがわかる。このように本発
明において得られるセルロース微粒子からなる水懸濁液
は、従来のものに比べて幅広いPHで分散性が高いこと
が明らかになった。さらに粒径分布の狭い単分散性の高
い水懸濁液は著しくその効果が高いことが明らかになっ
た。
【0033】また接触角の結果から本発明における水懸
濁液は従来品に比べて汎用プラスチックであるポリ塩化
ビニルフィルムとの接触角が小さく、コーティング安定
性が高いことが予想される。中でも、少量の界面活性剤
を含むサンプルは著しくその効果が大きいことが示され
た。
【0034】表 2 サンプル名 分散性 接触角 実施例4 ◎ 49 実施例5 ○ 47 実施例6 ○ 45 実施例7 △ 39 比較例4 △ 51 比較例5 △ 62 比較例6 × 60
【0035】次に実施例4〜6及び比較例4〜6の水懸
濁液の食品としての苦み感を100人のパネラーにラン
ク付けをさせ、性能を調査した。この際ランクとしては
ABCDの4種類を選びAを最高ランク(苦み感な
し)、Dを最低ランク(苦み感強い)とした。その結果
を表4に示す。また実施例1〜3の球状再生セルロース
微粒子を4wt%含むゲル状物質を調製し、それぞれ実
施例8〜10とした。また比較例1〜3のセルロース微
粒子を4wt%含む懸濁液を調製し、比較例7〜9とし
た。これらの6種類のサンプルについても同様に苦み感
の検査を行った。この結果を表5に示す。
【0036】これらの結果から、本発明で得られる水懸
濁液、及びゲル状物質は食品としての苦み感が非常に低
いことがわかる。さらに粒径分布の狭い実施例1はこの
効果が著しい。
【0037】
【0038】
【0039】次に実施例1〜3及び比較例1〜3のセル
ロース微粒子600g、フェナセチン800g、とうも
ろこしでんぷん200g、乳糖400gをポリ袋中で3
分間混合し、ついでステアリン酸マグネシウムを10g
加え更に30秒間混合したものをロータリー打錠機で
8.5mmφ、隅角平杵(割線付き)の杵を用いてターン
テーブル回転速度24rpmで打錠し、片面に割線のあ
る錠剤を得た。これを実施例11〜13及び比較例10
〜12とする。この錠剤の高度及び摩損度を表6に示
す。
【0040】 表 6 打錠圧/Kgf 硬度/Kgf 摩損度/% 実施例11 500 3.9 0.2 1000 7.5 0.1 実施例12 500 3.8 0.3 1000 7.9 0.1 実施例13 500 2.3 0.7 1000 5.8 0.4 比較例10 500 1.5 1.7 1000 3.0 0.9 比較例11 500 1.2 1.9 1000 2.5 1.2 比較例12 500 1.9 2.2 1000 3.5 1.0
【0041】これらの結果から、本発明の球状再生セル
ロース微粒子から作成された割線錠は、比較例に比べて
同じ打錠圧で比較するとより高い硬度となり、かつ低い
摩損度となる。さらに本発明の球状再生セルロース微粒
子の中でもX線結晶化度の高いサンプルはその効果が著
しいことが明らかになった。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
幅広いPHにおいて分散性が高くかつ食品としての苦み
感の低い水懸濁液やゲル状物質を調製できるような球状
再生セルロース微粒子を得ることができ、またこの中で
粒径分布の一定範囲以下のサンプルについては著しい効
果が得られる。またX線結晶化度の高い微粒子から得ら
れる錠剤は低打圧でも成形性が高く、かつ摩損性が小さ
い優れたものである。よって本発明から得られるセルロ
ース微粒子は、食品分野だけでなく医薬、建築材料をは
じめ様々な用途で展開可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】球状再生セルロース微粒子の広角X線回折パタ
ーン。
【図2】実施例1、2の球状再生セルロース微粒子のA
FM写真。
【図3】実施例3および比較例1の同写真。
【図4】比較例2、3の同写真。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動的光散乱法(DLS)で求めた0.0
    1wt%水懸濁液の数平均粒径が20nm〜100nm
    である球状再生セルロース微粒子。
  2. 【請求項2】 動的光散乱法(DLS)で求めた0.0
    1wt%水懸濁液の数平均粒径が20nm〜100nm
    であり、かつその粒径分布曲線の半値幅が50nm以下
    である球状再生セルロース微粒子。
  3. 【請求項3】 広角X線回折法から求められる結晶化度
    が60%以上であることを特徴とする請求項1記載の球
    状再生セルロース微粒子。
  4. 【請求項4】 動的光散乱法(DLS)で求めた0.0
    1wt%水懸濁液の数平均粒径が20nm〜100nm
    である球状再生セルロース微粒子と水からなる水懸濁
    液。
  5. 【請求項5】 動的光散乱法(DLS)で求めた0.0
    1wt%水懸濁液の数平均粒径が20nm〜100nm
    である球状再生セルロース微粒子と水からなるゲル状物
    質。
  6. 【請求項6】 重量比で3wt%以下の界面活性剤を含
    む請求項4記載の水懸濁液。
  7. 【請求項7】 再生セルロースを20%以上55%以下
    の硫酸、あるいは2N以上4N以下の塩酸で加水分解処
    理することを特徴とする請求項1記載の球状再生セルロ
    ース微粒子の製法。
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