JPH1045918A - ポリイミド粉末、粉末成形体の製法 - Google Patents

ポリイミド粉末、粉末成形体の製法

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JPH1045918A
JPH1045918A JP8635397A JP8635397A JPH1045918A JP H1045918 A JPH1045918 A JP H1045918A JP 8635397 A JP8635397 A JP 8635397A JP 8635397 A JP8635397 A JP 8635397A JP H1045918 A JPH1045918 A JP H1045918A
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polyimide
polyimide powder
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aromatic polyimide
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性および寸法安定性を保持しており、し
かも機械的強度、伸びが大きい成形体が得られ、二次成
形加工性が良好なポリイミド粉末、該粉末の成形体の製
法を提供する。 【構成】 高耐熱性の結晶性芳香族ポリイミドからなる
固形分を非結晶性ポリイミドの被覆層で覆ってなる芳香
族ポリイミド粉末、該粉末を圧縮成形するポリイミド粉
末成形体の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば主要単位
として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン
酸成分、少量単位として2,3,3’,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸成分を、芳香族ジアミン成分として
パラフェニレンジアミンを有する極めて高いレベルの耐
熱性を保持しているとともに、特に曲げ強度や引張強度
が大きく、伸びの大きい芳香族ポリイミド粉末成形体の
製法およびその製造に使用される芳香族ポリイミド粉末
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、3,3’,4,4’−ビフェニル
テトラカルボン酸成分とパラフェニレンジアミン成分と
からなるポリイミド粉末成形体の製法としては、例えば
特開昭61−241326号公報、特開平1−2661
34号公報などに記載されている。これらの文献による
と、上記成形体は耐熱性、寸法安定性、圧縮強度等の機
械的強度に優れていることが示されている。
【0003】しかし、上記の公知文献に記載されている
ポリイミド粉末は、融点(またはガラス転移温度)が実
質的に測定されず、加熱圧縮成形時の粉体どうしの融着
が充分でないためか、機械的強度のうち特に曲げ強度や
引張強度が必ずしも充分に満足できるものではなかっ
た。また、成形体を切削加工等によって種々の形状に二
次加工するさいに、伸びと曲げ強度や引張強度が充分大
きくないためか、成形時に欠けたりして生産性が高くな
いという問題点が指摘されている。
【0004】このため、成形体の伸びおよび機械強度を
大きくするために加熱圧縮成形時の粉体どうしの融着性
を改良するための試みがなされた。例えば、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分とパラフェ
ニレンジアミン成分とから得られるポリイミドに熱可塑
性ポリイミドを混合して得られるポリイミド粉末を圧縮
成形する方法が試みられたが、性質の全く異なる両成分
の均一混合が困難であり、得られる成形体の機械的強度
および伸びは未だ満足できるレベルに達するものではな
く、また耐熱性が却って低下するという問題点が指摘さ
れている。従って、従来の技術では、耐熱性、機械的強
度および伸びを併せて満足する芳香族ポリイミド粉末成
形体を得ることができなかったのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、従
来公知の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボ
ン酸成分とパラフェニレンジアミンとを主成分とするポ
リイミド粉末成形体のような、耐熱性と寸法安定性、圧
縮強度等を低下させることなく、機械的強度および伸び
を高いレベルで有している芳香族ポリイミド粉末成形体
の製法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明者らは、前記の
課題を達成するために鋭意検討した結果、ポリイミド粉
末として、高耐熱性の結晶性芳香族ポリイミドと非結晶
性ポリイミドとの特定の組合せおよび構造にすることに
よって、前記の矛盾する物性を両立することができるこ
とを見出し、この発明を完成したものである。
【0007】すなわち、この発明は、ガラス転移温度
(Tg)が室温〜400℃の温度範囲では観測されない
高耐熱性の結晶性芳香族ポリイミドから主としてなる固
形分を非結晶性ポリイミドからなる被覆層で覆ってな
り、対数粘度(30℃、0.5g/100ml濃硫酸)
による測定によって高分子量とみなすことができ、広角
X線回折法により結晶化度が確認される芳香族ポリイミ
ド粉末を金型内に充填し、圧力および熱を同時あるいは
別々に加えて成形することを特徴とするポリイミド粉末
成形体の製法に関する。
【0008】また、この発明は、ガラス転移温度(T
g)が室温〜400℃の温度範囲では観測されない高耐
熱性の結晶性芳香族ポリイミドから主としてなる固形分
を非結晶性ポリイミドからなる被覆層で覆ってなり、対
数粘度(30℃、0.5g/100ml濃硫酸)による
測定によって高分子量とみなすことができ、広角X線回
折法により結晶化度が確認されることを特徴とする芳香
族ポリイミド粉末に関する。
【0009】この発明における芳香族ポリイミド粉末
は、ガラス転移温度(Tg)が室温〜400℃の温度範
囲では観測れない高耐熱性の結晶性芳香族ポリイミドか
ら主としてなる固形分、好適には3,3’,4,4’−
ビフェニルテトラカルボン酸成分とパラフェニレンジア
ミンより誘導されるポリイミド固形分(粒子)を非結晶
性ポリイミドからなる被覆層で覆ってなり、対数粘度
(30℃、0.5g/100ml濃硫酸)による測定に
よって高分子量とみなすことができる、広角X線回折法
により結晶化度が確認され、好適には高耐熱性の結晶性
芳香族ポリイミド粒子の表面を非結晶性のポリイミドポ
リマ−からなる被覆層で覆ってなる2層構造を有する前
記の対数粘度が0.4以上、特に0.5〜3の粒子であ
る。すなわち、粒子の内層部分は結晶性芳香族ポリイミ
ドであるのに対し、その外層は非結晶性ポリイミドの薄
い層の2層構造となっている粉末である。
【0010】前記の非結晶性のポリイミドによる被覆
は、結晶性芳香族ポリイミド粒子のほぼ全面であること
が好ましいが、これは必ずしも必須ではなく、ポリイミ
ド粉末の粒子表面のある部分(例えば40%以下)であ
れば結晶性芳香族ポリイミド粒子面が表面層を形成して
いてもよい。この発明のポリイミド粉末によれば、成形
の際に粉末粒子表面のポリマ−溶融が充分で、かつ相互
に融合し合って結合するため、耐熱性と機械的強度、伸
びが高度にバランスした成形品が得られると考えられ
る。
【0011】この発明における芳香族ポリイミド粉末
を、この発明の一実施例の粉末の透過型電子顕微鏡によ
る断面写真図である図1、従来のポリイミド粉末の断面
写真図である図2、およびこの発明の一実施例の粉末と
従来のポリイミド粉末の両方の広角X線回折法(WAX
S)によるX線回折スペクトル図である図3を用いて説
明する。
【0012】図1において、この発明のポリイミド粉末
の内層部分は、図2と同様に結晶構造の明瞭な構造とな
っており、その外層に内層とは異なる無定形の非結晶性
芳香族ポリイミドである被覆層でほぼ全面を薄く覆って
なる構造である。
【0013】また、図3において、非結晶性芳香族ポリ
イミドを導入したこの発明の粉末の方が従来のもの(後
述の比較例1のもの)よりも低い結晶化度を有すことが
明らかである。これらの強度〔cps〕とピ−ク位置
(2θ)とを観察すると、2θが11.2929、1
8.4398、21.0729、23.1386、2
4.2767、25.7922、27.6764、2
9.0357に結晶性ポリイミドに基づくピ−クが認め
られる。
【0014】この発明における芳香族ポリイミドの粉末
は、好適には次の方法、すなわち、結晶性芳香族ポリイ
ミドを与える芳香族テトラカルボン酸成分、例えば好適
には3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
あるいはその酸二無水物またはその酸と低級アルコ−ル
とのエステル化物、および非結晶性ポリイミドを与える
テトラカルボン酸成分、例えば好適には2,3,3’,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸あるいはその酸二無
水物またはその酸と低級アルコ−ルとのエステル化物
(いずれも好適には酸二無水物)を主成分とし、非結晶
性ポリイミドを与えるテトラカルボン酸成分(好適には
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類)
を全テトラカルボン酸成分に対して約0.5モル%以上
30モル%未満、特に1モル%以上25モル%未満、そ
の中でも特に1.5モル%以上20モル%未満の割合で
含む芳香族テトラカルボン酸成分と、パラフェニレンジ
アミンを全ジアミン成分に対して少なくとも約80モル
%以上の割合で含む芳香族ジアミン成分とを、略等モル
量を公知の方法で有機極性溶媒中で、重合およびイミド
化、ついで反応系からの粉末回収によって製造される、
高分子量の芳香ポリイミドからなる平均粒子径(一次粒
子)が0.5〜100μm、特に1〜50μmの粉末で
ある。
【0015】前記の方法によれば、結晶性芳香族ポリイ
ミドの微小粒子を生成させながら高分子化、イミド化
後、非結晶性ポリイミドを不溶性にしてポリイミド粉末
を析出させた後、粉末回収してポリイミド粉末を得るこ
とができる。この方法によれば重合およびイミド化に特
別の操作を加えなくても、2層構造を有するポリイミド
粉末であって、残存反応溶媒が少なく、均一な粒子形成
を容易に行うことができる。この場合、非結晶性ポリイ
ミドの割合が多くなると、粒子が多くの溶媒を含みペ−
スト状となり、粉末を回収するための操作が複雑にな
る。
【0016】この発明のポリイミド粉末は、2種のポリ
イミドが実質的に共重合していないが、このことは結晶
化度が組成比とほぼ一致していることから確認される。
一方、結晶性芳香族ポリイミド粉末をあらかじめ添加し
た系で非結晶性ポリイミドを生成させる方法では、2種
(結晶性ポリイミド、非結晶性ポリイミド)の混合物に
なって、非結晶性ポリイミドで被覆した粒子は得られ
ず、このような混合物から得られる成形体は物性が不十
分である。
【0017】前記の芳香族テトラカルボン酸成分として
は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
類と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
類のみを前記の割合で使用することが粉末成形体の高い
レベルの物性(特に機械的強度と使用時の耐熱性)から
望ましいが、ビフェニルテトラカルボン酸類の一部、好
適には50モル%以下、特に20モル%以下を他の芳香
族テトラカルボン酸類で置き換えてもよい。
【0018】これらの芳香族テトラカルボン酸類として
は、ピロメリット酸またはその酸二無水物、3,3’,
4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸またはその
酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)プロパンまたはその酸二無水物、ビス(3,4
−ジカルボキシフェニル)メタンまたはその酸二無水
物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−テルま
たはその酸二無水物などを挙げることができる。
【0019】また、前記のパラフェニレンジアミンは粉
末成形品の物性と重合・イミド化の操作の簡単さから単
独で使用することが望ましいが、物性を実質的に損なわ
ない範囲でその少量部、好適には約20モル%以下を他
の芳香族ジアミン、ジアミノポリシロキサンなどのジア
ミンで置き換えてもよい。例えば、このようなジアミン
としては、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミ
ノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニル
メタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、ビス
(4−アミノフェニル)ジメチルシラン、1,4−ビス
(4−アミノ−フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス
(4−アミノ−フェノキシ)ベンゼンなどを挙げること
ができる。
【0020】この発明において、前記の芳香族ポリイミ
ドの粉末を金型内に充填し、圧力および熱を同時あるい
は別々に加えて成形してポリイミド粉末成形体を製造す
る。前記の芳香族ポリイミドの粉末はそのまま使用する
か、あるいは前記粉末から予備成形体を形成するかし
て、成形温度200〜600℃、好ましくは250〜5
50℃、特に好ましくは300〜500℃、および成形
圧力300〜10000Kg/cm2 、好ましくは50
0〜8000Kg/cm2 、特に好ましくは600〜6
000Kg/cm2 で圧縮成形することによって好適に
製造することができる。これらの温度や圧力は前記の範
囲内であれば任意に選択すればよい。
【0021】あるいは、前記の芳香族ポリイミド粉末
を、好適には充分乾燥(前焼成)した後あるいはその予
備成形体を、成形温度:室温〜350℃、成形圧力30
0〜10000Kg/cm2 、好ましくは500〜80
00Kg/cm2 、より好ましくは600〜6000K
g/cm2 で圧縮成形した成形体を、非圧縮下、200
〜600℃、好ましくは250〜500℃にて後焼結す
ることにより製造するものである。この方法によって得
られる成形体は、前述の加熱圧縮成形により得られた成
形体と比較して、総合的な特性は低下するが、並列処理
ができるなど生産性に優れているという特徴がある。
【0022】さらに、この発明の粉末成形体の製法にお
いては、シリカ、マイカ、カオリン、アスベスト、窒化
ほう素、酸化アルミニウム、酸化鉄、グラファイト、硫
化モリブデン、硫化鉄などの無機充填剤、あるいは、ふ
っ素樹脂などの有機充填剤などの各種の充填剤を前記の
ポリイミド粉末と混合(内部添加、外部添加のいずれの
方法で配合したものでもよい。)して使用することがで
きる。
【0023】この発明の製法において、ポリイミド粉末
成形体を製造する装置としては、例えば、4柱式油圧式
プレス、高圧ホットプレスなどを挙げることができる。
また、前記の予備成形体は、例えば、ロ−タリ−プレ
ス、タブレットマシ−ンを使用する方法によって形成す
ることが好ましい。
【0024】この発明の方法によって得られるポリイミ
ド粉末成形体は、前述の特定の芳香族ポリイミド粉末か
ら得られるものであり、従来公知の3,3’,4,4’
−ビフェニルテトラカルボン酸類とパラフェニレンジア
ミンとから得られるポリイミド粉末成形体の優れた耐熱
性、寸法安定性等を低下させることなく、機械的強度や
伸びを向上させることができる。
【0025】
【実施例】以下、この発明の実施例を示す。以下の各例
において、ポリイミド粉末成形体の種々の物性は、次の
試験方法によって測定したものである。 (i) 曲げ試験:ASTM D−790 測定温度23℃
において、曲げ強度(Kg/cm2 )を求めた。 (ii)引張試験:ASTM D−638に準じて、測定温
度23℃において、引張強度(Kg/cm2 )を求め
た。
【0026】実施例1 N−メチル−2−ピロリドン(NMP)1275gと、
パラフェニレンジアミン(PPD)60.47g(0.
559モル)とを、攪拌機、還流冷却器(水分離器付
き)、温度計、窒素導入管を備えた容量2Lの四ツ口セ
パラブルフラスコに、60℃において添加し、その混合
液に窒素ガス流通と攪拌をしながら、3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸(s−BPDA)1
48.08g(0.503モル)と2,3,3’,4’
−ビフェニルテトラカルボン酸(a−BPDA)16.
45g(0.0559モル)とをほぼ同時に添加し、約
20分間で100℃まで昇温し、各モノマ−成分をNM
P溶媒に均一に溶解した溶液を調製した。次いで、その
溶液を窒素ガス流通と攪拌を継続しながら、溶媒と生成
水とを還流させ、生成水を除去しながら、約30分間で
190℃まで昇温した。芳香族ポリイミドの析出は内温
165℃付近から始まった。内温が190℃に達した
後、反応を3時間継続し、反応を完結させた。
【0027】その後、反応液を冷却し、芳香族ポリイミ
ド粉末を濾別し、その粉末をアセトンで洗浄し、さらに
減圧乾燥器中で150℃で10時間乾燥し、次いで30
0℃にて常圧乾燥を30分間行い、芳香族ポリイミド粉
末202.1g(理論収率98.6%)を得た。この芳
香族ポリイミド粉末は、透過型電子顕微鏡による観察
(断面図を示す)から結晶性ポリイミド粒子の表面の全
部を非結晶性のポリイミドからなる被覆層で覆ってなる
2層構造を有しており、そのポリマ−の対数粘度(30
℃、0.5g/100ml濃硫酸)が0.62であり、
平均粒径(一次粒子)は6μmであり、広角X線回折法
(ル−ランド法)による解析で結晶化度は38%であっ
た。またガラス転移温度は400℃まで観測されなかっ
た。このポリイミド粉末をポリイミド粉末−Aと称す
る。
【0028】比較例1 実施例1において、a−BPDAを用いずテトラカルボ
ン酸成分としてs−BPDAのみを164.53g
(0.559モル)を用いた以外は、同様な操作を繰り
返した。得られた粉末は202.5g(理論収率98.
8%)、このポリイミド粉末は対数粘度が0.65、平
均粒子が8μm、透過型電子顕微鏡による観察(断面図
を示す)から結晶化度が43%であり、ガラス転移温度
が400℃まで測定されなかった。このポリイミド粉末
をポリイミド粉末−Bと称する。
【0029】比較例2 実施例1において、s−BPDAを用いずテトラカルボ
ン酸成分としてa−BPDAのみを164.53g
(0.559モル)を用いた以外は、同様な操作を繰り
返した。粉末は得られず、糊状の固形分が得られた。
【0030】実施例2 ポリイミド粉末−Aを、円筒形(直径60mm、高さ6
0mm)の金型内に充填し、350℃に加熱されたオ−
ブン内に入れて、減圧下約3時間の前焼成を行い、その
前焼成されたポリイミド粉末に、圧力2000Kg/c
2 を加えて350℃で10分間加圧し、前記の圧力下
に約120分間で昇温して480℃の温度とし、この圧
力と温度で30分間維持し、この間に揮発分などのガス
抜きをする本焼成を行い、そして、加圧状態を停止し
て、圧縮成形機から取り出し成形品をさらにオ−ブン内
で450℃、2時間の後焼成を行った後放冷して、ポリ
イミド粉末成形体(直径60mm、高さ10mmの円
柱)を得た。このポリイミド粉末成形体を切削加工し
て、ポリイミド粉末成形体からなる板(試験片)を作成
し、曲げ試験を行った。曲げ強度は1700Kg/cm
2 であった。粉末成形体は良好な切削加工性(二次加工
性)を示した。
【0031】比較例3 ポリイミド粉末として、ポリイミド粉末−Bを使用した
ほかは実施例2と同様に加熱圧縮成形を行って、ポリイ
ミド粉末成形体を得た。その成形体の曲げ強度は107
0Kg/cm2 であった。
【0032】実施例3 ポリイミド粉末−Aを300℃に加熱されたオ−ブンに
入れて常圧下、約1時間前焼成し、次に円筒形(直径3
0mm、高さ30mm)の金型内に充填し、圧力200
0Kg/cm2 を加えて常温で10分間加圧し、放圧し
た後金型から取り出した成形品を300℃に加熱された
オ−ブン内に入れて、約120分かけて480℃の温度
とし、この温度で30分間維持し、次いで放冷してポリ
イミド粉末成形体(直径30mm、高さ3mmの円柱)
を得た。このポリイミド粉末成形体を切削加工して試験
片を作成した。この試験片の引張強度は850Kg/c
2 であった。
【0033】比較例4 ポリイミド粉末−Bを使用したほかは、実施例3と同様
にしてポリイミド粉末成形体を得た。その成形体につい
ての引張強度は450Kg/cm2 であった。
【0034】実施例4 粉末成形体の伸びについて、比較例3と実施例3でそれ
ぞれ得られた成形体について相対値(比較例3のものを
1とする)で評価した結果、2.5倍の値であった。ま
た、実施例2、3および比較例3、4で得られた粉末成
形体について、耐熱性を熱重量減少測定により、寸法安
定性を加熱収縮率により、圧縮強度を圧縮試験(AST
M D−695に準ずる方法)により評価したところ、
いずれも実質的に差異は認められず、良好な耐熱性を示
した。
【0035】実施例5 s−BPDAとa−BPDAとの割合を98:2(モル
比)に変えた他は実施例1と同様に実施してポリイミド
粉末を得た。このポリイミド粉末は、実施例1で得られ
たポリイミド粉末(ポリイミド粉末−A)と同様に結晶
性ポリイミド粒子の表面のほぼ全面を非結晶性のポリイ
ミドからなる被覆層で覆ってなる2層構造を有してお
り、そのポリマ−の対数粘度が0.62であり、平均粒
径が6μmであり、結晶化度(全体として)が36%で
あった。またガラス転移温度は400℃まで観測されな
かった。このポリイミド粉末を用いて実施例2と同様に
圧縮成形し、得られた試験片について曲げ強度を測定し
た結果、曲げ強度は1200Kg/cm2 であった。
【0036】実施例6 s−BPDAとa−BPDAとの割合を85:15(モ
ル比)に変えた他は実施例1と同様に実施してポリイミ
ド粉末を得た。このポリイミド粉末は、実施例1で得ら
れたポリイミド粉末(ポリイミド粉末−A)と同様に結
晶性ポリイミド粒子の表面の全面を非結晶性のポリイミ
ドからなる被覆層で覆ってなる2層構造を有しており、
そのポリマ−の対数粘度が0.63であり、平均粒径が
6μmであり、結晶化度(全体として)が28%であっ
た。またガラス転移温度は400℃まで観測されなかっ
た。このポリイミド粉末を用いて実施例2と同様に圧縮
成形し、得られた試験片について曲げ強度を測定した結
果、曲げ強度は1570Kg/cm2 であった。
【0037】
【発明の効果】この発明は以上詳述したような構成を有
しているため、下記のような効果を奏する。
【0038】すなわち、この発明の方法によれば、耐熱
性と寸法安定性、圧縮強度等を低下させることなく、機
械的強度および伸びが高いレベルで調和している芳香族
ポリイミド粉末成形体を得ることができる。
【0039】また、この発明の芳香族ポリイミド粉末
は、成形の際に粉末粒子表面のポリマ−溶融が充分で、
かつ相互に融合し合って結合することが可能であり、耐
熱性と機械的強度、伸びが高度にバランスした成形品を
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の粉末の一例の透過型電子顕微鏡観察
による断面写真図である。
【図2】従来の粉末の一例の透過型電子顕微鏡観察によ
る断面写真図である。
【図3】この発明の粉末の一例と従来の粉末の一例の各
々の広角X線回折法(WAXS)によるX線回折スペク
トル図である。強度の大きいスペクトル図が従来の粉末
のもので、強度の小さいスペクトル図がこの発明の粉末
のスペクトル図を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移温度(Tg)が室温〜400
    ℃の温度範囲では観測されない高耐熱性の結晶性芳香族
    ポリイミドから主としてなる固形分を非結晶性ポリイミ
    ドからなる被覆層で覆ってなり、対数粘度(30℃、
    0.5g/100ml濃硫酸)による測定によって高分
    子量とみなすことができ、広角X線回折法により結晶化
    度が確認される芳香族ポリイミド粉末を金型内に充填
    し、圧力および熱を同時あるいは別々に加えて成形する
    ことを特徴とするポリイミド粉末成形体の製法。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリイミド粉末は広角X線回折法
    により測定される結晶化度が高耐熱性の結晶性芳香族ポ
    リイミド単独の場合よりも低く、また粉末についてのガ
    ラス転移温度が室温から400℃の温度範囲では観測さ
    れないものである請求項1記載のポリイミド粉末成形体
    の製法。
  3. 【請求項3】 芳香族ポリイミド粉末は3,3’,4,
    4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と2,3,
    3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から
    なる芳香族テトラカルボン酸成分およびパラフェニレン
    ジアミンを80モル%以上含む芳香族ジアミン成分とか
    らなり、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボ
    ン酸成分が全芳香族テトラカルボン酸成分中0.5モル
    %以上30モル%未満の範囲にあり、平均粒子径が0.
    5〜100μmである請求項1記載のポリイミド粉末成
    形体の製法。
  4. 【請求項4】 芳香族ポリイミド粉末の成形を成形温度
    200〜600℃および成形圧力300〜10000K
    g/cm2 で加熱圧縮成形、または室温〜350℃およ
    び成形圧力300〜10000Kg/cm2 にて得た予
    備成形体を非圧縮下200〜600℃にて後焼結して行
    う請求項1記載の粉末成形体の製法。
  5. 【請求項5】 ガラス転移温度(Tg)が室温〜400
    ℃の温度範囲では観測されない高耐熱性の結晶性芳香族
    ポリイミドから主としてなる固形分を非結晶性ポリイミ
    ドからなる被覆層で覆ってなり、対数粘度(30℃、
    0.5g/100ml濃硫酸)による測定によって高分
    子量とみなすことができ、広角X線回折法により結晶化
    度が確認されることを特徴とする芳香族ポリイミド粉
    末。
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