JPH1045622A - 抗il−8抗体を有効成分として含有する慢性関節リウマチ治療剤 - Google Patents

抗il−8抗体を有効成分として含有する慢性関節リウマチ治療剤

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JPH1045622A
JPH1045622A JP10162697A JP10162697A JPH1045622A JP H1045622 A JPH1045622 A JP H1045622A JP 10162697 A JP10162697 A JP 10162697A JP 10162697 A JP10162697 A JP 10162697A JP H1045622 A JPH1045622 A JP H1045622A
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antibody
cells
chain
human
region
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JP10162697A
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Toru Akaboshi
透 赤星
Tsunaharu Matsushima
綱治 松島
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Chugai Pharmaceutical Co Ltd
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Chugai Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な慢性関節リウマチ治療剤の提供。 【解決手段】 抗IL-8抗体を有効成分として含有する慢
性関節リウマチ治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗インターロイキン
-8(IL-8)抗体を有効成分として含有する慢性関節リウ
マチ治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】IL-8は、C-X-C ケモカインサブファミリ
ーに属する蛋白質であり、以前は単球由来好中球遊走因
子(monocyte-derived neutrophil chemotactic facto
r)、好中球活性化蛋白−1(neutrophil attractant/a
ctivation protein-1)、好中球活性化因子(neutrophi
l activating factor)等と呼称されていた。IL-8は、
好中球を活性化させ好中球に遊走能を獲得させる因子で
あり、IL-1βや TNFα等の炎症性サイトカイン(Koch,
A. E. et al., J.Investig. Med. (1995) 43, 28-38 ;
Larsen, C. G. et al., Immunology (1989) 68, 31-36)
やPMA ,LPS 等のマイトゲン(Yoshimura, T. et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1987) 84,9233-923
7)、さらにはカドミウム等の重金属(Horiguchi, H. e
t al., Lymphokine Cytokine Res. (1993) 12, 421-428
)によって様々な細胞から産生される。
【0003】慢性関節リウマチ患者の関節滑液から単離
された単核球は、健常人および慢性関節リウマチ患者の
末梢血単核球に比較して、IL-8,GRO, MCAF, MIP-1α,
MIP-1 β等のケモカインを発現上昇していることが報告
されている(Hosaka, S. etal., Clin. Exp. Immunol.
(1994) 97, 451-457 )。こうした種々のケモカインの
過剰発現が、炎症細胞の関節への遊走を促進していると
想定されているが、どのケモカインが病態形成に中心的
な役割を果たしているかは明らかにされていない。
【0004】イン- ビトロ(試験管内)での実験では、
IL-8が好中球を活性化して軟骨破壊を誘導することか
ら、IL-8が慢性関節リウマチの病態に関与している可能
性を示唆する報告もあるが(Elford, P. R. and Coope
r, P. H., Arthritis Rheum. (1991) 34, 325-332)、
慢性関節リウマチ患者由来の滑液中の化学走化活性のレ
ベルとIL-8濃度には相関性がなく、他の好中球走化活性
を有する因子に起因するとの報告もある(Brennan, F.
M. et al., Eur. J. Immunol. (1990) 20, 2141-214
4)。
【0005】イン- ビボ(生体内)では、動物を用いた
実験的急性関節炎に対して抗IL-8抗体が有効であること
が知られ、また、IL-8アンタゴニストやIL-8産生阻害剤
が、急性および慢性関節炎を含む、白血球浸潤が関連す
る炎症性疾患の治療に有用であると示唆がなされていた
(Akahoshi, T. et al., Lymphokine Cytokine Res.(19
94) 13, 113-116)。しかしながら、抗IL-8抗体が慢性
関節リウマチの治療効果を有することは、何ら知られて
いなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これまで慢性関節リウ
マチの治療には、抗リウマチ薬、非ステロイド系抗炎症
剤およびステロイド剤が使用されていたが、これら薬剤
の長期的使用は消化器病変、皮疹、腎障害、骨粗しょう
症などの多くの好ましくない副作用を惹起することが明
らかになっている。このため、副作用の少ない慢性関節
リウマチ治療剤の開発が待たれていた。本発明の目的
は、前記の欠点を有さない慢性関節リウマチ治療剤を提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、抗IL-8抗体が慢性関節リウマチの治療剤
として有用であることを見出し、本発明を完成した。す
なわち、本発明は抗IL-8抗体を有効成分として含有する
慢性関節リウマチ治療剤を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
1. 抗IL-8抗体 本発明で使用される抗IL-8抗体は、慢性関節リウマチに
対する治療効果を有するものであれば、その由来、種類
(モノクローナル、ポリクローナル)および形状を問わ
ない。
【0009】本発明で使用される抗IL-8抗体は、公知の
手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体
として得ることができる。本発明で使用される抗IL-8抗
体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好
ましい。哺乳動物由来のモノクローナル抗体としては、
ハイブリドーマに産生されるもの、および遺伝子工学的
手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換し
た宿主に産生されるものがある。この抗体はIL-8と結合
することにより、好中球等に発現されているIL-8レセプ
ターへの結合を阻害してIL-8のシグナル伝達を遮断し、
IL-8の生物学的活性を阻害する抗体である。
【0010】このような抗体としては、WS-4抗体(Ko,
Y. et al., J. Immunol. Methods (1992) 149, 227-23
5)やDM/C7 抗体(Mulligan, M. S. et al., J. Immuno
l. (1993) 150, 5585-5595)、Pep-1 抗体およびPep-3
抗体(国際特許出願公開番号WO92/04372 )または6G4.
2.5 抗体およびA5.12.14抗体(国際特許出願公開番号WO
95/23865 ;Boylan, A.M. et al., J. Clin. Invest.
(1992) 89, 1257-1267)等が挙げられる。これらのうち
で、特に好ましい抗体としてWS-4抗体が挙げられる。な
お、WS-4抗体産生ハイブリドーマ細胞株は、Mouse hybr
idoma WS-4として、工業技術院生命工学工業技術研究所
(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成8 年4 月
17日に、FERM BP-5507としてブダペスト条約に基づき国
際寄託されている。
【0011】2. 抗体産生ハイブリドーマ モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、基本
的には公知技術を使用し、以下のようにして作製でき
る。すなわち、IL-8を感作抗原として使用して、これを
通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞
を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、
通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体
産生細胞をスクリーニングすることによって作製でき
る。
【0012】具体的には、モノクローナル抗体を作製す
るには次のようにすればよい。例えば、抗体取得の感作
抗原として使用されるIL-8は、ヒトIL-8については、Ma
tsushima, K. et al., J. Exp. Med. (1988) 167, 1883
-1893 に、モルモットIL-8については Yoshimura, T. a
nd Johnson, D. G., J. Immunol . (1993) 151, 6225-
6236に、ブタIL-8についてはGoodman, R. B. et al.,
Biochemistry (1992)31, 10483-10490 に、ウサギIL-8
についてはHarada, A.et al, Int. Immunol. (1993) 5,
681-690に、イヌIL-8についてはIshikawa, J. et al.,
Gene (1993) 131, 305-306 に、ヒツジIL-8については
Seow, H.F. et al., Immunol. Cell Biol. (1994) 72,
398-405 に、サルIL-8についてはVillinger, F. et a
l., J. Immunol. (1995) 155, 3946-3954 に開示された
それぞれのIL-8遺伝子/アミノ酸配列を用いることによ
って得られる。
【0013】ヒトIL-8は、種々の細胞で産生され、N 末
端において異なるプロセシングを受けることが報告され
ている(Leonard, E. J. et al., Am. J. Respir. Cel
l. Mol. Biol. (1990) 2, 479-486)。これまでに、7
9,77,72,71,70および69のアミノ酸残基数を有するI
L-8が知られているが、本発明で使用される抗IL-8抗体
取得のための抗原として使用され得る限りそのアミノ酸
残基数を問わない。IL-8の遺伝子配列を公知の発現ベク
ター系に挿入して適当な宿主細胞を形質転換させた後、
その宿主細胞中または、培養上清中から目的のIL-8タン
パク質を公知の方法で精製し、この精製IL-8タンパク質
を感作抗原として用いればよい。感作抗原で免疫される
哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細
胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択する
のが好ましく、一般的にはげっ歯類の動物、例えば、マ
ウス、ラット、ハムスター等が使用される。
【0014】感作抗原を動物に免疫するには、公知の方
法にしたがって行われる。例えば、一般的方法として、
感作抗原を哺乳動物の腹腔内または、皮下に注射するこ
とにより行われる。具体的には、感作抗原をPBS (Phos
phate-Buffered Saline )や生理食塩水等で適当量に希
釈、懸濁したものを所望により通常のアジュバント、例
えば、フロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化
後、哺乳動物に4-21日毎に数回投与するのが好ましい。
また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することがで
きる。このように免疫し、血清中に所望の抗体レベルが
上昇するのを常法により確認した後に、哺乳動物から免
疫細胞が取り出され、細胞融合に付されるが、好ましい
免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
【0015】前記免疫細胞と融合される他方の親細胞と
しての哺乳動物のミエローマ細胞としては、既に公知の
種々の細胞株、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(Kearney,
J.F. et al., J. Immnol. (1979) 123, 1548-1550
),P3x63Ag8U.1 (Yelton, D.E. et al., Current To
pics in Microbiology and Immunology (1978) 81, 1-
7),NS-1(Kohler, G. and Milstein, C., Eur. J. Im
munol. (1976) 6, 511-519 ),MPC-11(Margulies, D.
H. et al., Cell (1976) 8, 405-415 ),SP2/0(Shul
man, M. et al., Nature (1978) 276, 269-270),FO
(de St. Groth, S.F. and Scheidegger, D., J. Immun
ol. Methods (1980) 35, 1-21),S194(Trowbridge,
I. S., J. Exp. Med. (1978) 148, 313-323 ),R210
(Galfre, G. et al., Nature (1979) 277, 131-133 )
等が好適に使用される。
【0016】前記免疫細胞とミエローマ細胞の細胞融合
は基本的には公知の方法、例えば、ミルステインらの方
法(Galfre, G. and Milstein, C., Methods Enzymol.
(1981) 73, 3-46 )等に準じて行うことができる。より
具体的には、前記細胞融合は例えば、細胞融合促進剤の
存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤
としては例えば、ポリエチレングリコール(PEG )、セ
ンダイウィルス(HVJ )等が使用され、更に所望により
融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助
剤を添加使用することもできる。
【0017】免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合
は、例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1-10倍
とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液とし
ては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRP
MI1640培養液、MEM 培養液、その他、この種の細胞培養
に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、
牛胎児血清(FCS )等の血清補液を併用することもでき
る。
【0018】細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細
胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め、37℃
程度に加温したPEG 溶液、例えば、平均分子量1000-600
0 程度のPEG 溶液を通常、30-60%(w/v )の濃度で添加
し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブ
リドーマ)が形成される。続いて、適当な培養液を逐次
添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことに
よりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等
を除去できる。
【0019】当該ハイブリドーマは、通常の選択培養
液、例えば、HAT 培養液(ヒポキサンチン、アミノプテ
リンおよびチミジンを含む培養液)で培養することによ
り選択される。当該HAT 培養液での培養は、目的とする
ハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するの
に十分な時間、通常数日〜数週間継続する。ついで、通
常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハ
イブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニング
が行われる。
【0020】また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上
記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球をin vitro
でIL-8に感作し、感作リンパ球をヒト由来の永久***能
を有するミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、IL-8
への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもでき
る(特公平1-59878 参照)。さらに、ヒト抗体遺伝子の
レパートリーを有するトランスジェニック動物に抗原と
なるIL-8を免疫して抗IL-8抗体産生細胞を取得し、これ
を不死化させた細胞を用いてIL-8に対するヒト抗体を取
得してもよい(国際特許出願公開番号WO 92/03918 ,WO
93/12227 ,WO94/02602 ,WO 94/25585 ,WO 96/33735
およびWO 96/34096 参照)。
【0021】このようにして作製されるモノクローナル
抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継
代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期
保存することが可能である。当該ハイブリドーマからモ
ノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマ
を通常の方法にしたがい培養し、その培養上清として得
る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある
哺乳動物に移植して増殖させ、その腹水として得る方法
などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得る
のに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産
に適している。
【0022】3. 組換え型抗体 モノクローナル抗体として、抗体遺伝子をハイブリドー
マからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、
これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生さ
せた組換え型抗体を本発明に用いることができる(例え
ば、Borrebaeck, C.A.K. and Larrick, J.W., THERAPEU
TIC MONOCLONAL ANTIBODIES, Publishedin the United
Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD, 1990参照)。
【0023】具体的には、抗IL-8抗体を産生するハイブ
リドーマから、抗IL-8抗体の可変領域(V領域)をコー
ドするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例
えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin, J. M. et al.,
Biochemistry (1979) 18, 5294-5299 )、AGPC法(Chom
czynski, P. and Sacchi, N., Anal. Biochem. (1987)
162, 156-159)等により全RNA を調製し、mRNA Purific
ation Kit (Pharmacia )等を使用して全RNA からmRNA
を精製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit
(Pharmacia )を用いることによりmRNAを直接調製する
こともできる。
【0024】得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体
V 領域のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse
Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit (生
化学工業)等を用いて行うことができる。また、cDNAの
合成および増幅を行うには5'-Ampli FINDER RACE Kit
(Clontech)およびポリメラーゼ連鎖反応(polymerase
chain reaction ;PCR )を用いた5'-RACE 法(Frohma
n, M. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (19
88) 85, 8998-9002 ;Belyavsky,A. et al., Nucleic A
cids Res. (1989) 17, 2919-2932)を使用することがで
きる。
【0025】得られたPCR 産物から目的とするDNA 断片
を精製し、ベクターDNA と連結する。さらに、これより
組換えベクターを作製し、大腸菌等に導入してコロニー
を選択して所望の組換えベクターを調製する。目的とす
るDNA の塩基配列を公知の方法、例えば、ジデオキシヌ
クレオチドチェインターミネーション法により確認す
る。目的とする抗IL-8抗体のV 領域をコードするDNA が
得られれば、これを所望の抗体定常領域(C 領域)をコ
ードするDNA と連結し、これを発現ベクターへ組み込
む。または、抗体のV 領域をコードするDNA を、抗体C
領域のDNA を既に含む発現ベクターに組み込んでもよ
い。
【0026】本発明で使用される抗IL-8抗体を製造する
には、抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサ
ー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベク
ターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細
胞を形質転換し、抗体を発現させる。抗体遺伝子の発現
は、抗体の重鎖(H 鎖)または軽鎖(L 鎖)をコードす
るDNA を別々に発現ベクターに組み込んで宿主細胞を同
時形質転換させてもよいし、あるいはH 鎖およびL 鎖を
コードするDNA を単一の発現ベクターに組み込んで、宿
主細胞を形質転換させてもよい(国際特許出願公開番号
WO 94/11523 参照)。
【0027】4. 改変抗体 本発明では、ヒトに対する異種抗原性を低下させること
等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、
例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト型化(Humanize
d )抗体を使用できる。これらの改変抗体は、既知の方
法を用いて製造することができる。キメラ抗体は、前記
のようにして得た、ヒト抗体以外の抗体V 領域をコード
するDNA をヒト抗体C 領域をコードするDNA と連結し、
これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させ
ることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 12502
3 、国際特許出願公開番号WO 96/02576 参照)。この既
知の方法を用いて、本発明に有用なキメラ抗体を得るこ
とができる。
【0028】なお、キメラWS-4抗体のL 鎖またはH 鎖を
含むプラスミドを有する大腸菌は、各々Escherichia co
li DH5α(HEF-chWS4L-gκ)およびEscherichia coli J
M109(HEF-chWS4H-gγ1 )として、工業技術院生命工学
工業技術研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)
に、平成6 年7 月12日に、各々FERM BP-4739およびFERM
BP-4740としてブダペスト条約に基づき国際寄託されて
いる。ヒト型化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体と
も称され、ヒト以外の哺乳動物、例えばマウス抗体の相
補性決定領域(complementarity determining region;
CDR )をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであ
り、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(欧
州特許出願公開番号EP 125023 、国際特許出願公開番号
WO 96/02576 参照)。
【0029】具体的には、マウス抗体のCDR とヒト抗体
のフレームワーク領域(frameworkregion;FR)を連結
するように設計したDNA 配列を、末端部で互いにオーバ
ーラップする部分を有する数本のオリゴヌクレオチドに
分割して合成し、PCR 法により一本に統合したDNA に合
成する。得られたDNA をヒト抗体C 領域をコードするDN
A と連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを
宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許
出願公開番号EP 239400 、国際特許出願公開番号WO 96/
02576 参照)。CDR を介して連結されるヒト抗体のFR
は、CDR が良好な抗原結合部位を形成するものが選択さ
れる。必要に応じ、ヒト型化抗体のCDR が適切な抗原結
合部位を形成するように抗体のV 領域のFRのアミノ酸を
置換してもよい(Sato, K. et al., Cancer Res. (199
3) 53, 851-856 )。
【0030】キメラ抗体ならびにヒト型化抗体には、目
的によってヒト抗体C 領域が使用され、例えば、 Cγ1,
Cγ2, Cγ3, Cγ4 を使用することができる。また、抗
体またはその産生の安定性を改善するために、ヒト抗体
C 領域を修飾してもよい。例えば、抗体のサブクラスを
IgG4に選択する場合、IgG4のヒンジ領域の一部のアミノ
酸配列CPSCP をIgG1のヒンジ領域のアミノ酸配列CPPCP
に変換する事により、IgG4の構造的不安定性を解消でき
る(Angal, S. et al., Mol. Immunol. (1993)30, 105-
108)。
【0031】キメラ抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体
のV 領域とヒト抗体由来のC 領域からなり、ヒト型化抗
体はヒト以外の哺乳動物由来抗体のCDR とヒト抗体由来
のFRおよびC 領域からなり、ヒト以外の哺乳動物由来の
アミノ酸配列が最小限度に減少しているため、ヒト体内
における抗原性が低下し、本発明の治療剤の有効成分と
して有用である。本発明に使用できるヒト型化抗体の好
ましい具体例としては、ヒト型化WS-4抗体が挙げられる
(国際特許出願公開番号WO 96/02576 参照)。ヒト型化
WS-4抗体は、マウス由来のWS-4抗体のCDR を、L 鎖につ
いてはヒト抗体REI のFRと、H 鎖についてはヒト抗体VD
H26 のFR1-3 およびヒト抗体4B4 のFR4 と連結し、抗原
結合活性を有するようにFRのアミノ酸残基を一部置換し
たものである。
【0032】なお、ヒト型化WS-4抗体のL 鎖またはH 鎖
を含むプラスミドを有する大腸菌は、各々Escherichia
coli DH5α(HEF-RVLa-gκ)およびEscherichia coli J
M109(HEF-RVHg-gγ1 )として、工業技術院生命工学工
業技術研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、
平成6 年7 月12日に、各々FERM BP-4738およびFERM BP-
4741としてブダペスト条約に基づき国際寄託されてい
る。
【0033】5. 抗体修飾物 本発明で使用される抗体は、IL-8に結合し、IL-8の活性
を阻害するかぎり、抗体の断片やその修飾物であってよ
い。例えば、抗体の断片としては、Fab ,F(ab')2 ,Fv
またはH 鎖とL 鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシ
ングルチェインFv(scFv)が挙げられる。具体的には、
抗体を酵素、例えば、パパイン、ペプシンで処理し抗体
断片を生成させるか、または、これら抗体断片をコード
する遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した
後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、Co, M.S. e
t al., J. Immunol. (1994) 152, 2968-2976;Better,
M. and Horwitz, A. H., Methods Enzymol. (1989) 17
8, 476-496 ;Pluckthun, A.and Skerra, A., Methods
Enzymol. (1989) 178, 497-515;Lamoyi, E., Methods
Enzymol. (1986) 121, 652-663;Rousseaux, J. et a
l., Methods Enzymol.(1986) 121, 663-669 ;Bird,
R. E. and Walker, B. W., Trends Biotechnol.(1991)
9, 132-137 参照)。
【0034】scFvは、抗体のH 鎖V 領域とL 鎖V 領域を
連結することにより得られる。このscFvにおいて、H 鎖
V 領域とL 鎖V 領域はリンカー、好ましくは、ペプチド
リンカーを介して連結される(Huston, J. S. et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1988) 85, 5879-588
3)。scFvにおけるH 鎖V 領域およびL 鎖V 領域は、上
記抗体として記載されたもののいずれの由来であっても
よい。V 領域を連結するペプチドリンカーとしては、例
えばアミノ酸12-19 残基からなる任意の一本鎖ペプチド
が用いられる。
【0035】scFvをコードするDNA は、前記抗体のH 鎖
または、H 鎖V 領域をコードするDNA 、およびL 鎖また
は、L 鎖V 領域をコードするDNA を鋳型とし、それらの
配列のうちの所望のアミノ酸配列をコードするDNA 部分
を、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR 法に
より増幅し、次いで、さらにペプチドリンカー部分をコ
ードするDNA およびその両端を各々H 鎖、L 鎖と連結さ
れるように規定するプライマー対を組み合せて増幅する
ことにより得られる。また、一旦scFvをコードするDNA
が作製されれば、それらを含有する発現ベクター、およ
び該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従
って得ることができ、また、その宿主を用いて常法に従
って、scFvを得ることができる。
【0036】これら抗体の断片は、前記と同様にしてそ
の遺伝子を取得し発現させ、宿主により産生させること
ができる。本願特許請求の範囲でいう「抗体」にはこれ
らの抗体の断片も包含される。抗体の修飾物として、ポ
リエチレングリコール(PEG )等の各種分子と結合した
抗IL-8抗体を使用することもできる。本願特許請求の範
囲でいう「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含され
る。このような抗体修飾物を得るには、得られた抗体に
化学的な修飾を施すことによって得ることができる。こ
れらの方法はこの分野において既に確立されている。
【0037】6. 組換え型抗体または改変抗体の発現お
よび産生 前記のように構築した抗体遺伝子は、公知の方法により
発現させ、取得することができる。哺乳類細胞の場合、
常用される有用なプロモーター、発現させる抗体遺伝
子、その3'側下流にポリA シグナルを機能的に結合させ
たDNA を含む発現ベクターにて発現させることができ
る。例えばプロモーター/エンハンサーとしては、ヒト
サイトメガロウィルス前期プロモーター/エンハンサー
(human cytomegalovirus immediate early promoter/e
nhancer )を挙げることができる。
【0038】また、その他に本発明で使用される抗体発
現に使用できるプロモーター/エンハンサーとして、レ
トロウィルス、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、
シミアンウィルス40(SV 40 )等のウィルスプロモータ
ー/エンハンサーやヒトエロンゲーションファクター1
α(HEF1α)などの哺乳類細胞由来のプロモーター/エ
ンハンサーを用いればよい。例えば、SV 40 プロモータ
ー/エンハンサーを使用する場合、Mulligan, R. C. ら
の方法(Nature (1979) 277, 108-114)、また、HEF1α
プロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mizushim
a, Sらの方法(Nucleic Acids Res. (1990)18, 5322)
に従えば容易に実施することができる。
【0039】大腸菌の場合、常用される有用なプロモー
ター、抗体分泌のためのシグナル配列、発現させる抗体
遺伝子を機能的に結合させて発現させることができる。
例えばプロモーターとしては、laczプロモーター、araB
プロモーターを挙げることができる。laczプロモーター
を使用する場合、Ward, E. S. らの方法(Nature (198
9) 341, 544-546;FASEB J. (1992) 6, 2422-2427 )
に、また、araBプロモーターを使用する場合、Better,
M.らの方法(Science (1988) 240, 1041-1043 )に従え
ばよい。
【0040】抗体分泌のためのシグナル配列としては、
大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pelBシグナル
配列(Lei, S. P. et al., J. Bacteriol. (1987) 169,
4379-4383)を使用すればよい。ペリプラズムに産生さ
れた抗体を分離した後、抗体の構造を適切に組み直して
(refold)使用する(例えば、国際特許出願公開番号WO
96/30394 参照)。複製起源としては、SV 40 、ポリオ
ーマウィルス、アデノウィルス、ウシパピローマウィル
ス(BPV )等の由来のものを用いることができ、さら
に、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベク
ターは選択マーカーとして、アミノグリコシドトランス
フェラーゼ(APH )遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺
伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトラン
スフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素
(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
【0041】本発明で使用される抗体の製造のために、
任意の産生系を使用することができ、抗体製造のための
産生系は、in vitroおよびin vivo の産生系がある。in
vitroの産生系としては、真核細胞を使用する産生系や
原核細胞を使用する産生系が挙げられる。真核細胞を使
用する場合、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を用いる産
生系がある。動物細胞としては、(1)哺乳類細胞、例
えば、CHO 、COS 、ミエローマ、BHK (baby hamster k
idney )、HeLa、Vero、(2)両生類細胞、例えば、ア
フリカツメガエル卵母細胞、あるいは(3)昆虫細胞、
例えば、sf9 、sf21、Tn5が知られている。植物細胞と
しては、例えば、ニコティアナ(Nicotiana )属、詳し
くは、ニコティアナ タバカム(Nicotiana tabacum )
由来の細胞が知られており、これをカルス培養すればよ
い。
【0042】真菌細胞としては、(1)酵母、例えば、
サッカロミセス(Saccharomyces )属、詳しくは、サッ
カロミセスセレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、
あるいは(2)糸状菌、例えば、アスペルギルス(Aspe
rgillus )属、詳しくは、アスペルギルス ニガー(As
pergillus niger )が知られている。原核細胞を使用す
る場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞とし
ては、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌が知られて
いる。
【0043】これらの細胞に、目的とする抗体遺伝子を
形質転換により導入し、形質転換された細胞をin vitro
で培養することにより抗体が得られる。培養は、公知の
方法に従い行う。例えば、哺乳類細胞用の培養液とし
て、DMEM,MEM ,RPMI1640,IMDM等を使用することがで
き、牛胎児血清(FCS )等の血清補液を併用することも
できる。また、抗体遺伝子を導入した細胞を動物の腹腔
等へ移植することにより、in vivo にて抗体を産生して
もよい。更なるin vivo の産生系としては、動物を使用
する産生系や植物を使用する産生系が挙げられる。動物
を使用する場合、哺乳類動物、昆虫を用いる産生系があ
る。
【0044】哺乳類動物としては、ヤギ、ブタ、ヒツ
ジ、マウス、ウシを用いることができる(Glaser, V.,
SPECTRUM Biotechnology Applications, 1993 )。ま
た、昆虫としては、カイコを用いることができる。植物
を使用する場合、例えばタバコを用いることができる。
これらの動物または植物に抗体遺伝子を導入し、動物ま
たは植物の体内で抗体を産生させ、回収する。例えば、
抗体遺伝子をヤギβカゼインのような乳汁中に固有に産
生される蛋白質をコードする遺伝子の途中に挿入して融
合遺伝子として調製する。抗体遺伝子が挿入された融合
遺伝子を含むDNA 断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌
のヤギへ導入する。
【0045】胚を受容したヤギから生まれるトランスジ
ェニックヤギまたはその子孫が産生する乳汁から所望の
抗体を得る。トランスジェニックヤギから産生される所
望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモ
ンをトランスジェニックヤギに使用してもよい。(Eber
t, K.M. et al., Bio/Technology (1994) 12, 699-702
)。
【0046】また、カイコを用いる場合、目的の抗体遺
伝子を挿入したバキュロウィルスをカイコに感染させ、
このカイコの体液より所望の抗体を得る(Maeda, S. et
al., Nature (1985) 315, 592-594)。さらに、タバコ
を用いる場合、目的の抗体遺伝子を植物発現用ベクタ
ー、例えばpMON 530に挿入し、このベクターをアグロバ
クテリウム チューメファシエンス(Agrobacterium tu
mefaciens )のようなバクテリアに導入する。このバク
テリアをタバコ、例えばニコティアナ タバカム(Nico
tiana tabacum )に感染させ、本タバコの葉より所望の
抗体を得る(Ma,J. K. et al., Eur. J. Immunol. (199
4) 24, 131-138 )。
【0047】上述のようにin vitroまたはin vivo の産
生系にて抗体を産生する場合、抗体H 鎖またはL 鎖をコ
ードするDNA を別々に発現ベクターに組み込んで宿主を
同時形質転換させてもよいし、あるいはH 鎖およびL 鎖
をコードするDNA を単一の発現ベクターに組み込んで、
宿主を形質転換させてもよい(国際特許出願公開番号WO
94/11523 参照)。
【0048】7. 抗体の分離、精製 前記のように発現、産生された抗体は、細胞内外、宿主
から分離し均一にまで精製することができる。本発明で
使用される抗体の分離、精製はアフィニティークロマト
グラフィーにより行うことができる。アフィニティーク
ロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例えば、プ
ロテインA カラム、プロテインG カラムが挙げられる。
例えば、プロテインA カラムを用いたカラムとして、Hy
per D ,POROS ,Sepharose F.F.(Pharmacia )等が挙
げられる。その他、通常のタンパク質で使用されている
分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるもの
ではない。
【0049】例えば、上記アフィニティークロマトグラ
フィー以外のクロマトグラフィーカラム、フィルター、
限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせれば、
抗体を分離、精製することができる(Antibodies:A La
boratory Manual. Ed Harlowand David Lane, Cold Spr
ing Harbor Laboratory, 1988 )。アフィニティークロ
マトグラフィー以外のクロマトグラフィーとしては、例
えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグ
ラフィー、ゲル濾過等が挙げられる(Strategies for P
rotein Purification and Characterization: A Labora
tory Course Manual. Ed Daniel R. Marshak et al., C
old Spring Harbor Laboratory Press,1996)。
【0050】8. 抗体の濃度測定 7で得られた抗体の濃度測定は吸光度の測定または酵素
結合免疫吸着検定法(enzyme-linked immunosorbent as
say ;ELISA )等により行うことができる。すなわち、
吸光度の測定による場合には、得られた抗体をPBS で適
当に希釈した後、280 nmの吸光度を測定し、種およびサ
ブクラスにより吸光係数は異なるが、ヒト抗体の場合1
mg/ml を1.4 ODとして算出する。また、ELISA による場
合は以下のように測定することができる。
【0051】すなわち、0.1 M 重炭酸緩衝液(pH9.6 )
で1 μg/ml に希釈したヤギ抗ヒトIgG 抗体100 μlを
96穴プレート(Nunc)に加え、4℃で一晩インキュベー
ションし、抗体を固相化する。ブロッキングの後、適宜
希釈した本発明で使用される抗体または抗体を含むサン
プル、あるいは濃度標準品として既知の濃度のヒトIgG1
00μlを添加し、室温にて1時間インキュベーションす
る。洗浄後、5000倍希釈したアルカリフォスファターゼ
標識抗ヒトIgG 抗体100 μlを加え、室温にて1時間イ
ンキュベートする。洗浄後、基質溶液を加えインキュベ
ーションの後、MICROPLATE READER Model 3550(Bio-Ra
d )を用いて405nm での吸光度を測定し、目的の抗体の
濃度を濃度標準ヒトIgG の吸光度より算出する。
【0052】9. 抗体の活性の確認 本発明で使用される抗体の抗原結合活性(Antibodies:
A Laboratory Manual.Ed Harlow and David Lane, Cold
Spring Harbor Laboratory, 1988)、リガンドレセプ
ター結合阻害活性(Harada, A. et al., Int. Immunol.
(1993) 5, 681-690)の測定には公知の手段を使用する
ことができる。
【0053】本発明で使用される抗IL-8抗体の抗原結合
活性を測定する方法として、ELISA、EIA (酵素免疫測
定法)、RIA (放射免疫測定法)あるいは蛍光抗体法を
用いることができる。例えば、ELISA を用いる場合、IL
-8に対するポリクローナル抗体を固相化した96穴プレー
トにIL-8を添加し、次いで目的の抗IL-8抗体を含む試
料、例えば、抗IL-8抗体産生細胞の培養上清や精製抗体
を加える。アルカリフォスファターゼ等の酵素で標識し
た目的の抗IL-8抗体を認識する二次抗体を添加し、プレ
ートをインキュベーション、洗浄した後、p-ニトロフェ
ニル燐酸などの酵素基質を加えて吸光度を測定すること
で抗原結合活性を評価することができる。
【0054】本発明で使用される抗IL-8抗体のリガンド
レセプター結合阻害活性を測定する方法としては、通常
のCell ELISA、あるいは、リガンドレセプター結合アッ
セイを用いることができる。例えば、Cell ELISA法の場
合、IL-8レセプターを発現する血液細胞あるいは癌細
胞、例えば、好中球を96穴プレートで培養して接着さ
せ、パラホルムアルデヒドなどで固定化する。あるい
は、IL-8レセプターを発現する細胞の膜分画を調製して
固相化した96穴プレートを作製する。
【0055】これに、目的の抗IL-8抗体を含む試料、例
えば、抗IL-8抗体産生細胞の培養上清や精製抗体と、放
射性同位元素、例えば、125I等で標識したIL-8を添加
し、プレートをインキュベーション、洗浄した後、放射
活性を測定することでIL-8レセプターに結合したIL-8量
を測定でき、抗IL-8抗体のリガンドレセプター結合阻害
活性を評価することができる。例えば、細胞上のIL-8レ
セプターに対するIL-8の結合阻害アッセイには、IL-8レ
セプターを発現する血液細胞あるいは癌細胞、例えば好
中球を遠心分離等の手段で分離した後、細胞懸濁液とし
て調製する。放射性同位元素、例えば、125I等で標識し
たIL-8溶液、あるいは非標識のIL-8と標識IL-8の混合溶
液と、濃度調製した抗IL-8抗体を含む溶液を細胞懸濁液
に添加する。一定時間の後、細胞を分離し、細胞上に結
合した標識IL-8の放射活性を測定すればよい。
【0056】また、本発明で使用される抗IL-8抗体の好
中球遊走(ケモタキシス;chemotaxis)に対する阻害能
を測定する方法として、公知の通常知られている方法、
例えば、Grob, P.M. らの方法(J. Biol. Chem. (199
0) 265, 8311-8316)を用いることができる。具体的に
は、市販されているケモタキシスチャンバーを用い、抗
IL-8抗体を培養液、例えば、RPMI 1640 ,DMEM,MEM ,
IMDM等で希釈した後、IL-8を加え、これをフィルターで
仕切られたチャンバー下層に分注する。次いで、調製し
た細胞懸濁液、例えば好中球懸濁液をチャンバー上層に
添加し、一定時間放置する。遊走する細胞はチャンバー
に装着されたフィルター下面に付着するので、その細胞
の数を染色液あるいは蛍光抗体等を用いた方法で測定す
ればよい。また、顕微鏡下での肉眼による判定や計測器
を用いた自動測定も可能である。
【0057】10. 投与方法および製剤 慢性関節リウマチの診断所見としては、朝のこわばり、
手領域の関節腫張、対称性関節腫張、多発性関節腫張等
が用いられる(Mimori, T.ら,診断と治療Vol.83, No.
7 1995 (65) 1187-1190, Arnett, F.C. et al., Arthri
tis Rheum. (1988)31, 315-324)。従って、人為的に生
じさせた関節腫張を有する動物は、慢性関節リウマチの
治療効果の実験のための実験動物系として有用である。
本発明の抗IL-8抗体を有効成分として含有する治療剤
は、非経口的に、例えば、点滴等の静脈内注射、筋肉内
注射、腹腔内注射、皮下注射、関節腔内注射等により全
身あるいは局部的に投与することができる。また、患者
の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができ
る。
【0058】本発明の抗IL-8抗体を有効成分として含有
する治療剤は、病気に既に悩まされる患者に、病気およ
びその合併症の症状を治癒するか、あるいは少なくとも
部分的に阻止するために十分な量で投与される。例え
ば、有効投与量は、一回につき体重1kg あたり0.01mgか
ら1000mgの範囲で選ばれる。あるいは、患者あたり5-20
00mg/body の投与量を選ぶことができる。しかしなが
ら、本発明の抗IL-8抗体を含有する治療剤はこれらの投
与量に制限されるものではない。
【0059】また、投与時期としては、慢性関節リウマ
チの診断が確定されてから投与してもよいし、あるい
は、症状から慢性関節リウマチが疑われる時に投与して
もよい。本発明の抗IL-8抗体を有効成分として含有する
治療剤は、常法にしたがって製剤化することができ(Re
mington's Pharmaceutical Science, latest edition,M
ark Publishing Company, Easton, 米国)、医薬的に
許容される担体や添加物を共に含むものであってもよ
い。
【0060】このような担体および医薬添加物の例とし
て、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポ
リビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキ
シビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウ
ム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナ
トリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロ
ース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、寒
天、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、グリセリ
ン、プロピレングリコール、ワセリン、パラフィン、ス
テアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミ
ン(HSA )マンニトール、ソルビトール、ラクトース、
医薬添加物として許容される界面活性剤等が挙げられ
る。
【0061】実際の添加物は、本発明治療剤の剤形に応
じて上記の中から適宜あるいは組み合わせて選ばれる
が、もちろんこれらに限定するものではない。例えば、
注射用剤として使用する場合、精製された抗IL-8抗体を
溶剤、例えば、生理食塩水、緩衝液、ブドウ糖溶液等に
溶解し、それに、吸着防止剤、例えば、Tween 80,Twee
n 20、ゼラチン、ヒト血清アルブミン等を加えたものを
使用することができる。または、使用前に溶解再構成す
るために凍結乾燥したものであってもよく、凍結乾燥の
ための賦形剤としては、例えば、マンニトール、ブドウ
糖等の糖アルコールや糖類を使用することができる。
【0062】
【実施例】以下、参考例および実施例により本発明を具
体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。参考例1 . ヒトIL-8に対するモノクローナル抗体産生ハ
イブリドーマの作製 ヒトIL-8を常法によりBALB/cマウスに免疫し、免疫が成
立したマウスより脾細胞を採取した。ポリエチレングリ
コールを使用する常法によりこの脾細胞をマウス骨髄腫
細胞P3X63Ag8.653と融合させ、ヒトIL-8に対するマウス
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製し
た。ヒトIL-8に対する結合活性を指標としてスクリーニ
ングを行った結果、ハイブリドーマ細胞株WS-4を得た。
また、ハイブリドーマWS-4が産生する抗体は、ヒトIL-8
の好中球への結合を阻害し中和活性を有していた。(K
o, Y. et al., J. Immunol. Methods (1992) 149, 227
-235 )。
【0063】ハイブリドーマWS-4が産生する抗体のH 鎖
およびL 鎖のアイソタイプを、マウスモノクローナル抗
体アイソタイピングキットを用いて調べた。その結果、
ハイブリドーマWS-4が産生する抗体は、マウスκ型L 鎖
およびマウスγ1型H 鎖を有することが明らかになっ
た。なお、ハイブリドーマ細胞株WS-4は、Mouse hybrid
oma WS-4として、工業技術院生命工学工業技術研究所
(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、平成8 年4月1
7日に、FERM BP-5507としてブダペスト条約に基づき国
際寄託された。
【0064】参考例2. ヒトIL-8に対するヒト型化抗体
の作製 ヒト型化WS-4抗体を国際特許出願公開番号WO 96-02576
に記載の方法により作製した。参考例1で作製されたハ
イブリドーマWS-4から、常法により全RNA を調製し、こ
れより一本鎖cDNAを合成した。PCR 法により、マウスWS
-4抗体のH 鎖ならびにL 鎖のV 領域をコードするDNA を
増幅した。PCR 法に使用したプライマーは、Jones, S.
T. and Bendig, M. M., Bio/Technology (1991) 9, 88-
89に記載されているプライマーを用いた。PCR 法で増幅
したDNA 断片を精製し、マウスWS-4抗体L 鎖V 領域をコ
ードする遺伝子を含むDNA 断片およびマウスWS-4抗体H
鎖V 領域をコードする遺伝子を含むDNA 断片を単離し
た。これらのDNA 断片を各々プラスミドpUC 系クローニ
ングベクターに連結し、大腸菌コンピテント細胞に導入
して大腸菌形質転換体を得た。
【0065】この形質転換体を常法により培養し、得ら
れた菌体から上記DNA 断片を含むプラスミドを精製し
た。プラスミド中のV 領域をコードするDNA の塩基配列
を常法に従って決定し、そのアミノ酸配列から各々のV
領域のCDR を特定した。キメラWS-4抗体を発現するベク
ターを作製するため、マウスWS-4抗体のL 鎖およびH 鎖
のV 領域をコードするcDNAを、予めヒトC 領域をコード
するDNA を連結してあるHEF ベクターにそれぞれ別に挿
入した。ヒト型化WS-4抗体を作製するために、CDR 移植
法による遺伝子工学的手法を用いてマウスWS-4抗体のV
領域CDR をヒト抗体へ移植した。適切な抗原結合部位を
形成させるため、CDR を移植した抗体のV 領域のFRのア
ミノ酸を一部置換する為のDNA 配列の置換をおこなっ
た。
【0066】このようにして作製したヒト型化WS-4抗体
のL 鎖およびH 鎖のV 領域を、抗体として哺乳類細胞で
発現させるために、各々をコードするDNA をHEF ベクタ
ーに別々に挿入し、ヒト型化WS-4抗体のL 鎖またはH 鎖
を発現するベクターを作製した。これら二つの発現ベク
ターをCOS 細胞に同時に挿入することにより、ヒト型化
WS-4抗体を産生する細胞株を樹立した。この細胞株を培
養して得られたヒト型化WS-4抗体のIL-8への結合能およ
びIL-8中和能を、各々ELISA およびIL-8/ 好中球結合阻
害試験にて調べた。その結果、ヒト型化WS-4抗体は、マ
ウスWS-4抗体と同程度に、ヒトIL-8に結合してIL-8の好
中球への結合を阻害することが判明した。
【0067】なお、ヒト型化WS-4抗体のL 鎖およびH 鎖
を含むプラスミドを有する大腸菌は、各々Escherichia
coli DH5α(HEF-RVLa-gκ)およびEscherichia coli J
M109(HEF-RVHg-gγ1 )として、工業技術院生命工学工
業技術研究所(茨城県つくば市東1 丁目1 番3 号)に、
平成6 年7 月12日に、各々FERM BP-4738およびFERM BP-
4741としてブダペスト条約に基づき国際寄託された。
【0068】実施例1.リン酸緩衝生理的食塩水(PBS:
ニッスイ製薬)に濃度10mg/ml で溶解したウシ血清ア
ルブミン(BSA: ナカライテスク)溶液を等量のFreun
d's complete adjuvant(Sigma )と混合して乳化させ
た。この乳化液を日本白色種ウサギ(1 群n=6 、雄、3
カ月齢、五木田ラボラトリー)1 匹あたり2ml (背部皮
下2 カ所に各0.4ml 、左右大腿部筋肉に各0.5ml 、及び
左右後肢足蹠に各0.1ml )を注射し感作した。免疫21日
後に、濃度10mg/ml のBSA 溶液(溶媒PBS )とFreund's
incomplete adjuvant(Sigma )を等量混合して乳化さ
せた乳化液0.4ml をBSA 免疫ウサギの背部皮下に注射し
た。
【0069】さらに、7 日後(免疫28日後)に皮内反応
を行って、BSA に対する感作が成立したことを確認し
た。即ち、10μg のBSA を0.1ml のPBS に溶解して右耳
内側皮内に注射し、3 日後に直径10mm以上の発赤を生じ
た場合を陽性とした。BSA に対する感作成立を確認後
(免疫31日後)に、感作が成立したウサギをネンブター
ル(大日本製薬、投与量0.4mg/kg体重)で麻酔し、ヒト
IL-8に対するマウスWS-4抗体を10mgあるいはコントロー
ル抗体であるマウスP3.6.2.8.1抗体10mgを生理的食塩水
(大塚製薬)にて希釈し3ml を耳静脈より注射した。
【0070】抗体投与直後に、濃度10mg/ml のBSA 溶液
(溶媒PBS )0.5ml を生理的食塩水1.5ml で希釈した抗
原溶液を23G 針を用いて左側の膝関節腔内に注射した。
その後、24時間後にネンブタール過剰麻酔(投与量2.0m
g/kg体重)にて安楽死させ、左右の膝関節の直径を膝関
節裂隙部位でノギスにより測量し、関節腫張を惹起した
左側膝関節径と正常の右側膝関節径の差を算出し関節腫
脹とした。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】コントロール抗体投与群における左右膝関
節径差の平均が4.2 ±1.2mm であったのに対し、WS-4抗
体投与群におけるそれは2.7 ±0.8mm であった。左右膝
関節径差に関して両群間で統計学的解析を行ったところ
有意差が認められた。即ち、本実施例において、WS-4抗
体が有意に関節腫張を抑制することが明らかにされた。
抗IL-8抗体が慢性関節リウマチの診断基準および治療効
果の指標である関節腫張を抑制するという報告は今まで
になく、本発明により初めて示された事実である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗IL-8抗体を有効成分として含有する慢
    性関節リウマチ治療剤。
  2. 【請求項2】 抗IL-8抗体がモノクローナル抗体である
    ことを特徴とする請求項1に記載の治療剤。
  3. 【請求項3】 抗IL-8抗体が哺乳類のIL-8に対する抗体
    であることを特徴とする請求項1に記載の治療剤。
  4. 【請求項4】 抗IL-8抗体がヒトIL-8に対する抗体であ
    ることを特徴とする請求項3に記載の治療剤。
  5. 【請求項5】 抗IL-8抗体がWS-4抗体であることを特徴
    とする請求項2ないし4に記載の治療剤。
  6. 【請求項6】 抗IL-8抗体がヒト型化またはキメラ化さ
    れた抗体であることを特徴とする請求項1に記載の治療
    剤。
  7. 【請求項7】 抗IL-8抗体がヒト型化WS-4であることを
    特徴とする請求項2ないし6に記載の治療剤。
JP10162697A 1996-04-19 1997-04-18 抗il−8抗体を有効成分として含有する慢性関節リウマチ治療剤 Pending JPH1045622A (ja)

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