JPH1037440A - 防音床材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工時に接着剤がクッション材に浸透するこ
とによる防音性能の低下がなく、しかも、反りが発生し
にくく、かつ床下地に対して十分な接着力が得られ、剥
がれなどの不具合が発生しにくい防音床材の提供。 【解決手段】 木質板１の裏面に複数本の溝1aを穿設
し、この木質板１の裏面に、シート状のクッション材
２、ポリエチレンシート３、不織布４を順に積層一体化
している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は床下地に直張りして
用いられる防音床材に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の防音床材としては、たとえば、実
開平４−１０３９４３号公報に示されるものがある。こ
の防音床材は、図２に示すように、裏面に複数の溝1aを
有する木質板１の裏面に、フェルトをクッション材４と
して積層接着させ、さらにこのクッション材４の裏面側
に接着剤を通さないシート状体10を積層一体化して形成
されている。

【０００３】このような構成の防音床材は、シート状体
10がコンクリートスラブなどの床下地に含まれる水分を
通過させないので、木質板１が吸湿して反ることが防止
される。また、このような防音床材を床下地に接着施工
するためには、シート状体10裏面に接着剤が供給され
る。しかし、この接着剤をシート状体10が通さないの
で、クッション材４に接着剤が浸透することがなく、ク
ッション材４が有する空隙が失われず、防音性能が低下
することがないものになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来例にあっては、シート状体10としてポリエチレンシ
ートなどを用いると、このようなポリエチレンシートは
床下地に接着させにくく、施工後に剥がれが起きやすい
という問題点がある。かといって、このシート状体10を
省いて、フェルトなどのクッション材４を直接、床下地
に接着させるように構成すると、十分な接着力が得られ
るものの、吸湿による反りが発生しやすく、施工時の接
着剤によっても防音性能が低下するという問題点が発生
するのである。

【０００５】本発明は、以上のような問題点を解決する
ためになされたものであり、その目的は、施工時に接着
剤がクッション材に浸透することによる防音性能の低下
がなく、しかも、反りが発生しにくく、かつ床下地に対
して十分な接着力が得られ、剥がれなどの不具合が発生
しにくい防音床材の提供にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項１記載の発明は、木質板１の裏面に複数本の溝1aを穿
設し、この木質板１の裏面に、シート状のクッション材
２、ポリエチレンシート３、不織布４を順に積層一体化
して成ることを特徴として構成している。

【０００７】このような防音床材では、木質板１裏面の
溝1aおよびシート状のクッション材２によって、空気伝
搬音および固体伝搬音を遮断して防音性能が得られてい
る。また、ポリエチレンシート３が水分を遮断して、床
下地からの水分がクッション材２および木質板１に吸収
されることを防止している。また、最下層の不織布４に
接着剤が供給され、強固に床下地に接着される。このと
き、接着剤はポリエチレンシート３に遮られて、クッシ
ョン材２まで浸透することがなく、したがってクッショ
ン材２の防音機能を損うことがない。

【０００８】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明において、コロナ放電加工を施したポリエチレンシー
ト３を用いて成ることを特徴として構成している。

【０００９】このような防音床材では、コロナ放電加工
が施されて、ポリエチレンシート３が接着しやすい状態
になっている。そして、この接着しやすい状態におい
て、クッション材２と不織布４との間に介装され、強固
に接着一体化されている。

【００１０】請求項３記載の発明は、クッション材２裏
面に凹凸形状５を形成して成ることを特徴として構成し
ている。

【００１１】このような防音床材では、クッション材２
裏面が凹凸形状５になっているので、クッション材２と
ポリエチレンシート３との間に隙間が形成され、この隙
間が空気伝搬音および固体伝搬音の遮断に寄与してい
る。その上、床下地に凹凸があっても、前記凹凸形状５
によって最下層の不織布４が床下地の凹凸になみやす
く、この不織布４の全裏面が床下地に接触して接着す
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の一つの実施の形態である
防音床材を、同防音床材を示す断面図である図１を参照
して以下に説明する。

【００１３】図１に示すように、この防音床材は、木質
板１の裏面に複数本の溝1aを穿設し、この木質板１の裏
面に、シート状のクッション材２、ポリエチレンシート
３、不織布４を順に積層接着させ、一体化して形成され
ている。

【００１４】このような防音床材は、集合住宅のコンク
リートスラブまたは一般戸建住宅の根太上の捨て貼り板
などのような床下地に、直接、貼着施工して容易に床面
を形成することができ、主に階下への音の伝搬を防止す
るためによく使用されるものである。

【００１５】木質板１としては、突板が貼着されて表面
仕上げされた合板などが用いられる。この木質板１裏面
の溝1aおよびシート状のクッション材２によって、空気
伝搬音および固体伝搬音を遮断して防音性能が得られて
いる。クッション材２としては、発泡ウレタン、フェル
トなどの不織布、紙などが使用される。

【００１６】この図に示すクッション材２の裏面には、
エンボス加工が施されて凹凸形状５が形成されている。
このような凹凸形状５によって、クッション材２とポリ
エチレンシート３との間に隙間が形成され、この隙間が
空気伝搬音および固体伝搬音の遮断に寄与している。そ
の上、床下地に凹凸があっても、前記凹凸形状５によっ
て最下層の不織布４が床下地の凹凸になじんで、この不
織布４の略全裏面が床下地に接触して強固に接着するも
のになっている。また、不織布４としては、ポリプロピ
レンなどの合成繊維のものがよく用いられる。

【００１７】なお、このような凹凸形状５は表側に形成
されてもよく、同様に、木質板１裏面との間に隙間が形
成されて防音性能が向上する。また、両面に形成されて
もよいものである。また、場合によっては、逆にこのよ
うな凹凸形状５を省いて表面がフラットな形状のものと
し、形成容易なクッション材２としてもよいのである。

【００１８】また、ポリエチレンシート３は水分を遮断
して、床下地からの水分がクッション材２および木質板
１に吸収されることを防止している。特に木質板１の裏
面側の水分含有率が上昇すると、この裏面側の寸法が伸
びて木質板１に反りが発生することになるが、ポリエチ
レンシート３によって、床下地からの水分が遮断される
ので、このような反りの発生が防止されるのである。

【００１９】また、この防音床材は最下層の不織布４に
接着剤を供給して、床下地に直接、接着施工される。こ
のとき、接着剤は不織布４に含浸されて接着に寄与する
ので、強固にこの防音床材を床下地に接着させることが
できる。また、この場合、接着剤はポリエチレンシート
３に遮られて、クッション材２まで浸透することがない
ものである。したがって、クッション材２に接着剤が含
浸されることがないので、クッション材２の空隙が失わ
れず、防音性能を損うことがないものになっている。

【００２０】ところで、この床材は、木質板１、クッシ
ョン材２、ポリエチレンシート３、不織布４を積層接着
して形成されるが、ポリエチレンシート３の接着性を向
上させるためにコロナ放電加工を施したものを用いると
より好ましいものである。

【００２１】このようなポリエチレンシート３によれ
ば、クッション材２と不織布４とがこのポリエチレンシ
ート３を介して強固に接着一体化され、層間剥離の心配
のない防音床材となっている。

【００２２】また、このようなコロナ放電加工によって
付与された接着性能の向上効果は、時間経過とともに低
下する。しかし、この防音床材は、前述したように、床
下地との接着が不織布４においてなされるので、床下地
に対して十分な接着力が得られ、剥がれなどの不具合が
発生しにいものになっている。

【００２３】

【発明の効果】請求項１記載の発明では、ポリエチレン
シートが水分を遮断して、床下地からの水分がクッショ
ン材から木質板に達することがないため、吸湿による反
りが発生しにくくなっている。

【００２４】また、床下地との接着が最下層の不織布に
接着剤を供給してなされるので、床下地に対して十分な
接着力が得られ、剥がれなどの不具合が発生しにくくな
っている。そのうえ、接着剤はポリエチレンシートに遮
られて、クッション材まで浸透することがなく、したが
って、クッション材の防音機能が損なわれないものにな
っている。

【００２５】請求項２記載の発明では、コロナ放電加工
が施されてポリエチレンシートが接着しやすい状態にな
っている。そして、この接着しやすい状態において、ク
ッション材と不織布との間に介装されて接着一体化され
ているので、クッション材と不織布とがこのポリエチレ
ンシートを介して強固に接着一体化され、層間剥離の心
配のない防音床材となっている。

【００２６】また、このようなコロナ放電加工によって
付与された接着性能の向上効果は、時間経過とともに低
下する。しかし、床下地との接着が不織布においてなさ
れるので、床下地に対して十分な接着力が得られ、剥が
れなどの不具合が発生しにいものになっている。

【００２７】請求項３記載の発明では、クッション材と
ポリエチレンシートとの間に隙間が形成され、この隙間
が空気伝搬音および固体伝搬音の遮断に寄与し、防音性
能が向上している。

【００２８】また、床下地に凹凸があっても、クッショ
ン材裏面の凹凸形状によって最下層の不織布が床下地の
凹凸になじんで、この不織布の全裏面が床下地に接触す
る。このため、この防音床材は床下地に強固に接着し、
剥がれ等の不具合が発生しにくいものになっている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一つの実施の形態である防音床材を示
す断面図である。

【図２】従来例の防音床材を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 木質板 1a 溝 ２ クッション材 ３ ポリエチレンシート ４ 不織布 ５ 凹凸形状 10 シート状体

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 木質板の裏面に複数本の溝を穿設し、こ
   の木質板の裏面にシート状のクッション材、ポリエチレ
   ンシート、不織布を順に積層一体化して成ることを特徴
   とする防音床材。
2. 【請求項２】 コロナ放電加工を施したポリエチレンシ
   ートを用いて成ることを特徴とする請求項１記載の防音
   床材。
3. 【請求項３】 クッション材裏面に凹凸形状を形成して
   成ることを特徴とする請求項１ないし２のいずれかに記
   載の防音床材。