JPH10313715A - 水湿生植物苗の栽培方法及び栽培装置 - Google Patents

水湿生植物苗の栽培方法及び栽培装置

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JPH10313715A
JPH10313715A JP9131317A JP13131797A JPH10313715A JP H10313715 A JPH10313715 A JP H10313715A JP 9131317 A JP9131317 A JP 9131317A JP 13131797 A JP13131797 A JP 13131797A JP H10313715 A JPH10313715 A JP H10313715A
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康 小坂
Norio Futakuchi
徳生 二口
Yoshihisa Iriyama
義久 入山
Sadao Hoshido
貞雄 宝示戸
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヨシなどの水湿生植物の苗を大量に効率良く
生産する方法及び装置を提供する。 【解決手段】 水湿生植物のセル成型苗をセルトレイを
用いて栽培する方法において、底面湛水方法で養液を供
給し、湛水状態と渇水状態を所定の周期で繰り返して苗
の根部を一定期間空気に暴露しながら栽培する。また、
この方法を簡便かつ効果的に行うため、自動的に所定の
水位に湛水後、渇水状態にする水位調整リレー管を具備
する水耕栽培装置を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水湿生植物の効率
的な育苗方法に関するものである。また、本発明は、水
湿生植物の育苗を効率的かつ大量に行うための装置およ
びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自然環境の保全修復、開発行為と
の調和が求められ、それに伴い行政による水環境事業等
が活発に計画・施行されるようになり、ヨシなどの水湿
生植物の需要が全国的に広がっている。多様な水環境の
生態系を再生及び創出するには、多くの種類の水湿生植
物の植栽が必要であり、その種類も水辺空間に本来自生
する植物種の植栽を求められるケースが非常に多くなっ
てきている。従って、水湿生植物の苗の需要が急速に高
まっている。
【0003】しかしながら、水湿生植物の生態特性が未
解明な部分が多く、また栽培期間が長く種子からの栽培
に設備コストがかかり、且つ失敗率が高いため、現状で
は水湿生植物苗の人工的増殖はほとんど行われていな
い。また、水湿生植物の多様性と地域性を同時に確保で
きる苗の需給状況が把握されていないため、自生種の掘
り取り苗及び根塊・地下茎による増殖苗がその自生地域
だけでなく国内全体に流通されているのが現状である。
このような状況を継続していくと、苗の生産効率が非常
に低いだけでなく、水辺環境の遺伝資源の攪乱や貴重種
の絶滅に発展し、後世に大きな問題を残すことになる。
【0004】この問題を解決するには、水湿生植物の地
域種子採取からの栽培を基本とした、短期間の苗生産と
多様植物種対応の集約的な人工環境栽培が求められてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】水湿生植物の苗を栽培
する方法としては、これまでにいくつか開示されてい
る。例えば、特開平5−137473号には、植物繊維
を詰めた底なし容器に水生植物を植え、培養液に浸して
生育させる水耕栽培方法が開示されている。また、特開
平8−228514号には、繊維製苗床を用いて水生植
物を水中で栽培する方法が開示されている。これらの方
法は、いずれも水生植物の種子または苗を繊維製の苗床
で保持して水中に浸して栽培する方法である。水湿生植
物は移植を非常に嫌うため、断根しないで移植できるセ
ル成型苗栽培は非常に有利な方法であり、上記の水耕栽
培はこの目的に合致している。しかしながら、水湿生植
物は非常にデリケートであるため種子の発芽環境の維持
管理及び幼苗期の維持管理が非常に難しく、養水分を持
続的に小さなセル内に供給するだけでは安定的に種子を
発芽させ苗を生長させることは難しい。
【0006】セル成型苗の生産方法において栽培管理の
難しい多種多様な水湿生植物を均一で大量に、且つ効率
よく確実に生産する方法を確立するには、セル成型苗と
いう小さい空間の中で湿地帯と同じ環境をつくることが
重要であるが従来の方法では難しかった。
【0007】本発明者らは、かかる問題を解決するため
鋭意研究を行った結果、セル成型苗の水耕栽培方法にお
いて養液の水位を一定の周期で変化させ、所望の水湿生
植物の苗を水分だけでなく空気に暴露させることによっ
て、健全な苗が安定的に大量に栽培できることを見出
し、本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、水湿生
植物の育苗において、水湿生植物の種子と培土からなる
セル成型苗床を、栽培用養液に浸漬する湛水期と、空気
に接触させる渇水期とを交互に繰り返しながら栽培する
ことを特徴とする水湿生植物苗の栽培方法が提供され
る。
【0009】本発明の方法において、使用できる水湿生
植物としては、木本類の植物と草本類の植物のいずれも
使用できる。水湿生草本植物としては、ヨシ、ガマ、マ
コモ、ミソハギ等の、一般に夏秋に花穂をつける丈の高
い種類から、ミズバショウ、リュウキンカ、ツルコケモ
モ等の、一般に春に花穂をつける丈の低い種類まで幅広
い種類のものが挙げられ、特に限定されるものではな
い。また、水湿生木本植物としては、ヤチダモ、ハルニ
レ、ヤチハンノキ、ヤナギ類などが挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。本発明の方法では、これ
らの水湿生植物の種子と培土からなるセル成型苗を用い
る。培土としては、セル成型苗の生産に一般的に使用さ
れているものを使用することができる。例えば、土、パ
ーライト、バーミキュライトなどの鉱物質から、ピート
モス、植物繊維、合成繊維などの繊維質のものなどが挙
げられ、これらに特に限定されるものではない。
【0010】上記の所望の水湿性植物の種子と培土は、
市販のセルトレイを使用して生育させることができる。
セルトレイの大きさは、特に限定的ではないが、セルの
大きさが所望の植物にとって小さすぎるとセル密度が高
くなり相互に生育に競合が起こり、生育の阻害要因とな
ることがあるので、セルトレイのセルの大きさは生育さ
せる所望の植物の種類に応じて適宜選択する必要があ
る。上記の水湿生植物の種子と培土は、適宜混合した
後、または混合しながら各セルに入れてもよいし、図1
左図に示すように、セルトレイ(13)の各セルに培土
(12)を充填した後、所望の種子(11)を播種して
もよい。このように培土(12)と種子(11)を充填
した後、セルトレイを養液(14)に浸す。養液として
は通常水耕栽培に使用されるものを用いることができる
が、栽培する所望の水湿生植物の生育に適したものを適
宜選択して使用する。
【0011】本発明の方法の特徴は、セルトレイを養液
に浸漬する際に、セルトレイの各セルが養液に浸るよう
にする湛水期(養水分供給モード)と、各セルの培土に
直接養液が接触しない渇水期(空気供給モード)を一定
の時間毎に交互に繰り返すことにある。湛水期と渇水期
の時間は、水湿生植物の種類によって異なるが、通常2
時間〜12時間、好ましくは4時間〜8時間の範囲で繰
り返すことができる。繰り返し時間が短すぎると、空気
供給効果が少なくなり、また、繰り返し時間が長すぎる
と養液の供給が十分でなくなるので好ましくない。湛水
期と渇水期の調節は、セルトレイを養液に浸漬させる適
当な池または防水ベンチの養液水位を適宜調節すること
により行うことができる。養液の給排水は、養液を供給
するポンプと、開閉可能な弁を有する給水管及び排水管
を用いて行うことができる。給排水管の弁の開閉は手動
でもよいし、電磁弁などを用いて電気的に行うこともで
きる。電気的に行う場合は、ポンプの制御と合わせてコ
ントロールすることができる。
【0012】湛水期の養液の水位は、水湿生植物の種類
及び植物の生育ステージによって変えることができる。
例えば、図1左図に示すように種子(11)が発芽する
までの発芽ステージでは、各セルが完全に浸漬するよう
に養液(14)の水位を設定するが、発芽発根後の苗
(15)の生長ステージでは根部全体を浸漬する必要は
なく、水湿生植物によっては、生長ステージにおいては
苗の培土の部分が一部渇水状態である方が生長に好まし
い場合があるので、その場合は図1右図に示すように、
半分くらいまで浸漬した状態に水位を保持してもよい。
一方、渇水期の空気供給モードの場合は、図2に示すよ
うに発芽ステージも生長ステージも養液がセルに接触し
ない水位に保つ。
【0013】実際に多種多様の水湿生植物の苗を生産す
るには、水耕栽培で使用されるような防水ベンチを使用
して管理するのが便利である。本発明者は、水耕栽培用
ベンチを使用して上記の本発明の方法をより効率的に実
施するために鋭意研究を行った結果、防水水耕ベンチの
水位を極めて省力的で且つ効果的に調整して湛水期と渇
水期を自動的に入れ替えることが簡便にできる水耕栽培
装置を完成した。
【0014】即ち、本発明によれば、水湿生植物の育苗
において、水湿生植物の種子と培土からなるセル成型苗
床を、栽培用養液に浸漬する湛水期と、空気に接触させ
る渇水期とを交互に繰り返しながら栽培するための装置
であって、セル成型苗床を敷設し、これを十分に湛水す
ることのできる水位を保持できる高さの外周壁を有する
防水水耕ベンチ(1)と、該防水水耕ベンチ(1)の外
周壁に設置された、それぞれ少なくとも1つの給水管
(2)と水位調整リレー(3)とからなり、該水位調整
リレー(3)が少なくとも1本のリレー管からなり、湛
水期の養液の水位と渇水期の養液の水位を自動的に変換
できることを特徴とする水湿生植物苗の水耕栽培装置
(7)が提供される。
【0015】本発明の水耕栽培装置について図面を参照
しながら説明する。図3に示すように、本発明の水耕栽
培装置において、防水水耕ベンチ(1)は通常の水耕栽
培装置で使用されている材質のベンチを使用することが
できる。この防水水耕ベンチ(1)はその中に所望の水
湿生植物のセルトレイ(13)を敷設するのに十分な面
積と、セルトレイを養液で湛水させるのに十分な高さの
外周壁を有している。この防水水耕ベンチ内にはセルト
レイの設置位置を調節するためにレベル調整嵩上げ台座
(16)を設けてもよい。
【0016】水耕栽培ベンチ(1)には養液を供給する
給水管(2)と、一定の水位になると養液を自動的に排
水して渇水期の水位にすることができる水位調整リレー
(3)が備えられている。給水管(2)と水位調整リレ
ー(3)は所望の給水・排水量に応じてそれぞれの内径
を設定できるし、必要に応じて2つ以上の給水管と水位
調整リレーを設けてもよい。給水管(2)は、水耕栽培
ベンチ(1)の上方から養液を給水するように設置して
もよいし、水耕栽培ベンチ(1)の底面から給水するよ
うに設置してもよい。
【0017】水位調整リレー(3)の構造は特に限定さ
れないが、少なくとも1本のリレー管からなり、その一
方の開口部が該防水水耕ベンチの内側の底面付近に開口
し、その開口部からリレー管が上方に伸長して所望の水
位の位置で防水水耕ベンチの外周壁を貫通し、さらに下
方に伸長して、リレー管のもう一方の開口部が防水水耕
ベンチの底面よりも下方に開口して排水できるように防
水水耕ベンチに設置する。このような構造であれば、給
水管により養液を供給して、養液水位がリレー管の最上
部まで達した後、サイフォンの原理で、水耕ベンチ内に
開口しているリレー管の開口部の水位まで自動的に排水
される。湛水期と渇水期の時間の調整は、養液の給水速
度と排水速度を調節することによって行うことができ
る。養液の給水速度は、排水量可変のポンプを用いて、
あるいは給水管の内径を適宜調節することにより制御す
ることができ、排水速度は、水位調整リレー管の内径を
適宜調節することによって制御することができるが、こ
の給水速度よりも、水位調整リレーによる排水速度を高
くすることが必要である。
【0018】前述のように湛水期の養液の水位は、栽培
する水湿生植物の種類や生育ステージによって変えるこ
とがあるので、湛水期の養液水位を変えることができる
ような構造にすることができる。例えば、図4に示すよ
うな高水位リレー管(4)と低水位リレー管(5)の両
方からなり、少なくとも低水位リレー管に止水コック
(6)が取り付けられており、その止水コック(6)を
操作して随意に低水位リレー管を開閉できる構造のもの
を使うことができる。このような水位調整リレーを用い
ると、例えば、図1左図及び図4に示すような水位にす
る場合には、高水位リレー管(4)は開放し、低水位リ
レー管(5)は止水コック(6)によって閉鎖すること
によって、水耕栽培ベンチ内の養液が高水位に充填する
ようにすることができる。一方、図1右図に示すように
中程度の水位にする場合は、低水位リレー管(5)を開
放することによって、湛水期の水位を低水位リレー管の
最上部の高さに調節することができる。
【0019】本発明者は、更に研究を重ねた結果、上記
の水耕栽培装置を複数用いることによって、複数種類の
水湿生植物を栽培できるだけでなく、養液を循環させて
効率良く水湿生植物の苗を栽培・生産することが出来る
ことを見いだした。即ち、本発明によれば、水湿生植物
の育苗において、水湿生植物の種子と培土からなるセル
成型苗床を、水耕栽培用養液に浸漬する湛水期と、空気
に接触させる渇水期とを交互に繰り返しながら栽培する
ためのシステムであって、複数の前記水湿生植物苗の水
耕栽培装置(7)と、該複数の水耕栽培装置の防水水耕
ベンチの間を繋ぐ複数の連絡排給水管(8)とからな
り、該連絡排給水管(8)がそれぞれ、一つの防水水耕
ベンチ(1)の水位調整リレー(3)のリレー管と別の
防水水耕ベンチ(1’)の給水管(2)とを連結して、
栽培用養液が全ての水耕栽培装置の防水水耕ベンチを流
れるようになっていることを特徴とする水湿生植物苗の
水耕栽培システムも提供される。
【0020】図5に示すように、本発明の水耕栽培シス
テムは、複数の上記の水耕栽培装置を複数の連絡排給水
管(8)で接続している。各連絡排給水管はその一端が
一つの水耕栽培装置の防水水耕ベンチ(1)の水位調整
リレー(3)のリレー管の配水開口部と別の水耕栽培装
置の防水水耕ベンチ(1’)の給水管(2)とを連結し
ており、養液が、水耕栽培システムを構成する水耕栽培
装置の防水水耕ベンチ全てを順次循環するようになって
いる。養液の循環は、貯水タンク(9)に貯めた養液を
ポンプ(10)によって最初の給水管に供給することに
よって行うことができる。この場合水位調整リレー管を
うまく調整することにより、湛水と渇水を順に自動的に
行うことができ、従って、水耕栽培システム全体の養液
供給を自動的に且つ省力的に実施することができる。
【0021】本発明の水耕栽培システムでは、それを構
成する複数の水耕栽培装置は水平に配置してもよいし、
図5に示すように、立体的に縦に配置してもよい。この
水耕栽培システムを用いると一度に大量に同一種類の水
湿生植物苗を栽培生産できるだけでなく、異種類の水湿
生植物苗を同時に栽培生産することも可能である。ま
た、図5に示すように複数の水耕栽培装置を立体的に配
置することによって、上部の水耕栽培装置の水耕ベンチ
は比較的日光のあたる日向ベンチとして利用でき、一
方、下部の水耕栽培装置の水耕ベンチは比較的日光の当
たらない日陰ベンチとして利用できるため、例えば、日
向ベンチには、ヨシ、マコモ、ミソハギ等の一般的に夏
秋に花穂をつける丈の高い種類の水湿生植物を栽培し、
それと同時に日陰ベンチでは、ミズバショウ、リュウキ
ンカ、ツルコケモモ等の一般的に春に花穂をつける比較
的丈の低い種類の水湿生植物を栽培することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の栽培方法及び栽培装置を
用いれば、水湿生植物のセル成型苗を30日〜60日の
短期間でセルから抜き取って移植できるようになる。セ
ルの大きさが比較的小さくセル密度の高い場合は栽培期
間を短縮でき且つ生産スペースを有効に利用することが
できる。一方、セルの大きさをある程度大きくすると栽
培苗の大きさも大きくできるのでセルトレイから抜き取
って所望の場所に直に植えるための苗を生産することが
できる。
【0023】
【実施例】
(実施例1)北海道夕張郡長沼町で採取した自生のヨシ
から種子を採取し、精選処理を行い、発芽率70%以上
に揃えたものを供試した。セル成型苗生産用のセルトレ
イとしては、セルサイズが幅(W)26mm、深さ
(H)57mmで162穴のものを用いた。このセルト
レイの各セルに、市販の培土[製品名:PLUG-MIX、Scot
ts-Sierra Horticultural Products Company(米国)
製]に保水性を向上させるためのピートモスを10重量
%混合したものを充填し、上記のヨシ種子を各セルに1
粒ずつ播種したのち、覆土した。このセルトレイを水耕
用ベンチに設置し、養液として水100リットルに大塚
化学(株)製の肥料「大塚ハウス1号」75g,[同2
号」50gおよび「同3号」3g(該肥料の保証成分量
(%)は下記に示す)を溶解した液を、セルトレイのセ
ルが湛水するように水耕用ベンチ内に給水した。湛水4
時間後、養液をベンチから排出してセルを渇水状態にし
て4時間放置した。以後、この湛水状態4時間、渇水状
態4時間を繰り返しながら栽培を行った。発芽後播種し
たセル数のうち発芽しないセルを数えて発芽率を算出し
た。栽培開始から84日後にセルから苗を抜き取り、伸
長量(草丈と根長)を測定した後、乾燥させ、地上部と
地下部に分けて重量(乾物重量)を測定した。また、地
下部重量(R)に対する地上部重量(T)の比率(T/
R率)を求めた。結果を表1及び図6、7に示す。
【0024】 大塚化学(株)製肥料の保証成分量(%) 大塚ハウス1号: 窒素全量 10.0(%) EDTA鉄 0.18(%) 「アンモニア性窒素 1.5 EDTA銅 0.002 硝酸性窒素 8.2」 硫酸亜鉛 0.006 水溶性りん酸 8.0 モリブデン酸アンモニウム 水溶性加里 27.0 0.002 水溶性苦土 4.0 水溶性マンガン 0.10 水溶性ほう素 大塚ハウス2号: 硝酸性窒素 11.0(%) 大塚ハウス5号: アンモニア性窒素 6.0(%) EDTA鉄 5.7(%) 水溶性加里 9.0 EDTA銅 0.002 水溶性マンガン 2.00 硫酸亜鉛 0.006 水溶性ほう素 2.00 モリブデン酸アンモニウム 0.043
【0025】(実施例2)セルトレイとして、セルサイ
ズが幅16mm、深さ28mmで406穴のものを用い
る以外は実施例1と同様に行い、発芽率、伸長量、乾物
重量及びT/R率を求めた。結果を表1及び図6、7に
示す。
【0026】(実施例3)湛水状態の時間を8時間、渇
水状態の時間を8時間に変える以外は実施例1と同様に
行い、発芽率、伸長量、乾物重量及びT/R率を求め
た。結果を表1及び図6、7に示す。
【0027】(実施例4)湛水状態の時間を8時間、渇
水状態の時間を8時間に変える以外は実施例2と同様に
行い、発芽率、伸長量、乾物重量及びT/R率を求め
た。結果を表1及び図6、7に示す。
【0028】(比較例1)栽培方法を、上面から1日3
回自動的に潅水し、定期的に液肥を散布する通常のセル
成型苗の栽培方法で行う以外は実施例1と同様に行い、
発芽率、伸長量、乾物重量及びT/R率を求めた。結果
を表1及び図6、7に示す。
【0029】(比較例2)栽培方法を、上面から1日3
回自動的に潅水し、定期的に液肥を散布する通常のセル
成型苗の栽培方法で行う以外は実施例2と同様に行い、
発芽率、伸長量、乾物重量及びT/R率を求めた。結果
を表1及び図6、7に示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1の結果から明らかなように、本発明の
方法を用いても従来のセル成型苗の生産方法(比較例1
及び2)と同様の発芽率が得られた。表1及び図6、7
から明らかなように、苗の伸長量については、セルトレ
イ162穴、406穴のいずれの場合でも、また、湛水
/渇水周期が4時間毎、8時間毎いずれの場合でも本発
明の方法(実施例1〜4)の方が、草丈も根長も、従来
の方法(比較例1及び2)よりも2倍〜6倍大きかっ
た。また、地上部と地下部の生育量を示す乾燥重量も同
様に本発明の方法の方が、従来の方法よりも顕著に大き
かった。
【0032】
【発明の効果】本発明の方法によれば、水湿生植物のセ
ル成型苗の水耕栽培生産において、養液浸漬時間と養液
の水位をコントロールすることにより、所望の水湿生植
物の生育ステージにあった栽培ができ、多様な植物種に
おいて苗の促成栽培と出荷時の外環境への馴化栽培を効
果的に行うことができる。また、本発明の水耕栽培装置
及び水耕栽培システムを用いると、本発明の方法を自動
的、省力的且つ効率的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法において、湛水期の状態を示す図
である。
【図2】本発明の方法において、渇水期の状態を示す図
である。
【図3】本発明の水耕栽培装置の要部断面図を示す。
【図4】本発明の水耕栽培装置の水位調整リレー管部分
の要部断面図を示す。
【図5】本発明の水耕栽培システムを示す図である。
【図6】本発明の方法と従来の方法でヨシを栽培した場
合の苗の伸長量を比較した図である。
【図7】本発明の方法と従来の方法でヨシを栽培した場
合の苗の生育量(乾燥重量)を比較した図である。
【符号の説明】
1 防水水耕ベンチ 2 給水
管 3 水位調整リレー 4 高水
位リレー管 5 低水位リレー管 6 止水
コック 7 水耕栽培装置 8 連絡
排給水管 9 貯水タンク 10 ポン
プ 11 種子 12 培土 13 セルトレイ 14 養液 15 苗 16 レベ
ル調整嵩上げ台座 17 支持脚 18 ポン
プ制御パネル
フロントページの続き (72)発明者 宝示戸 貞雄 北海道北広島市里見町5−1−5

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水湿生植物の育苗において、水湿生植物
    の種子と培土からなるセル成型苗床を、栽培用養液に浸
    漬する湛水期と、空気に接触させる渇水期とを交互に繰
    り返しながら栽培することを特徴とする水湿生植物苗の
    栽培方法。
  2. 【請求項2】 水湿生植物の育苗において、水湿生植物
    の種子と培土からなるセル成型苗床を、栽培用養液に浸
    漬する湛水期と、空気に接触させる渇水期とを交互に繰
    り返しながら栽培するための装置であって、 セル成型苗床を敷設し、これを十分に湛水することので
    きる水位を保持できる高さの外周壁を有する防水水耕ベ
    ンチ(1)と、 該防水水耕ベンチ(1)の外周壁に設置された、それぞ
    れ少なくとも1つの給水管(2)と水位調整リレー
    (3)とからなり、 該水位調整リレー(3)が少なくとも1本のリレー管か
    らなり、湛水期の養液の水位と渇水期の養液の水位を自
    動的に変換できることを特徴とする水湿生植物苗の水耕
    栽培装置。
  3. 【請求項3】 水位調整リレー(3)が、高水位リレー
    管(4)と低水位リレー管(5)とからなり、少なくと
    も低水位リレー管(5)が止水コック(6)によって随
    意に開閉できることを特徴とする水湿生植物苗の水耕栽
    培装置。
  4. 【請求項4】 水湿生植物の育苗において、水湿生植物
    の種子と培土からなるセル成型苗床を、栽培用養液に浸
    漬する湛水期と、空気に接触させる渇水期とを交互に繰
    り返しながら栽培するためのシステムであって、 複数の請求項2又は請求項3に記載の水耕栽培装置
    (7)が設けられ、 該複数の水耕栽培装置は、それらの防水水耕ベンチの間
    を複数の連絡排給水管(8)により連結され、 該連絡排給水管(8)は、それぞれ、一つの防水水耕ベ
    ンチ(1)の水位調整リレー(3)のリレー管と他の防
    水水耕ベンチ(1’)の給水管(2)とを連通して、栽
    培用養液が全ての水耕栽培装置の防水水耕ベンチに順次
    流れるようになっていることを特徴とする水湿生植物苗
    の水耕栽培システム。
JP13131797A 1997-05-21 1997-05-21 水湿生植物苗の栽培方法 Expired - Fee Related JP3382503B2 (ja)

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