JPH1030045A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法

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JPH1030045A
JPH1030045A JP18484096A JP18484096A JPH1030045A JP H1030045 A JPH1030045 A JP H1030045A JP 18484096 A JP18484096 A JP 18484096A JP 18484096 A JP18484096 A JP 18484096A JP H1030045 A JPH1030045 A JP H1030045A
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flame
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thermoplastic resin
drip
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JP18484096A
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Kazunori Maruyama
和則 丸山
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐ドリップ性及び外観に優れた樹脂成形品を
得ることができる難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法
を提供する。 【解決手段】 有機ハロゲン化合物及び/又は有機リン
化合物からなる難燃剤とパーフルオロポリマーからなる
ドリップ防止剤を配合する際に、特定のドリップ防止剤
を用いる熱可塑性樹脂組成物の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐ドリップ性及び外
観に優れた樹脂成形品を容易に得ることができる難燃性
熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ABS、HIPS等に代表されるスチレ
ン系樹脂は優れた成形加工性、機械的特性、外観等の特
徴から、電機製品、OA機器、事務機器等の用途に広く
用いられている。これらの用途では、内部部品の発熱な
どの問題から樹脂の難燃化が必要な場合が多く、有機ハ
ロゲン化合物や有機リン化合物を難燃剤として添加し、
樹脂を難燃化する技術が広く用いられている。
【0003】一方、樹脂の難燃性の指標として一般に用
いられている、米国アンダーライターラボラトリーズ
(UL)の難燃性規格(UL94)には燃焼時の火種の
垂れ落ち(ドリップ)に関する規定があり、当該用途で
通常要求される難燃性レベルであるV−0クラス、5V
クラスでは燃焼時にドリップしないことが要求される。
この要求を満たすために、近年樹脂に上記難燃剤に加
え、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのパ
ーフルオロポリマー(PFP)パウダーをドリップ防止
剤として添加する技術が提案されている。例えば、特開
昭50−44241号公報、特開昭59−98158号
公報、特開昭61−89241号公報、及び特開昭63
−135442号公報にはABSに難燃剤及びPTFE
パウダーを配合する技術が開示されている。
【0004】しかしながら、従来熱可塑性樹脂用のドリ
ップ防止剤として用いられてきたPFPパウダーは乳化
重合法で製造され、粒子形が不均一であるため、粉末流
動性に劣るという欠点があった。またこのようなPFP
粒子は嵩密度が低く、若干の加圧、加熱でPFP粒子が
容易に融着してしまうという欠点も有していた。樹脂組
成物の製造では押出機等を用いた混練に先立ち、ヘンシ
ェルミキサーなどを用いて他の添加剤と混合するプレミ
ックス工程がある。従来のPFPパウダーを樹脂用ドリ
ップ防止剤として添加した場合、前述の欠点により、ミ
キサー内でせん断がかかりやすくかつ各粒子が融着しや
すいために、PFP粒子が容易にクモの巣状に形態変化
し、他の樹脂や添加剤と絡み合い分散困難な添加剤塊を
形成してしまうという問題があった。その結果、押出機
の原料送りフィーダーが閉塞したり、押出機での混練時
に添加剤塊が分散せず、得られる樹脂組成物中に未混練
の添加剤塊が混入して、得られる成形品の外観が不良に
なる等の問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は特定形態のP
FPをドリップ防止剤として使用することにより、耐ド
リップ性及び外観に優れた樹脂成形品を得ることができ
る、難燃性熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する事
を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を行った結果、従来のPFPパウダ
ーとは全く異なった特定の形態のPFPを、ドリップ防
止剤として使用することにより、プレミックス時の他の
添加剤との絡み合いを抑制し、得られる樹脂組成物中で
のPFPの分散不良を解消できることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明の要旨は、(A)下記の
(A1)及び/又は(A2)からなるか、(A1)及び
/又は(A2)と、(A3)からなる熱可塑性樹脂混合
物100重量部に、(B)有機ハロゲン化合物及び/又
は有機リン化合物からなる難燃剤1〜35重量部と
(C)パーフルオロポリマーからなるドリップ防止剤
0.01〜1重量部を配合するに際し、前記ドリップ防
止剤として、数平均分子量1×106 以上、嵩密度0.
6g/ml以上、平均粒子径100〜1000μmの球
状粒子であるパーフルオロポリマー(以下、PFPと略
称する)を用いることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂
組成物の製造方法に存する。
【0008】(A1)芳香族ビニル単量体60〜100
重量%及び芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体0
〜40重量%の混合物を、ゴム質重合体の存在下でグラ
フト共重合させたグラフト共重合体 (A2)芳香族ビニル単量体60〜100重量%及び芳
香族ビニル単量体と共重合可能な単量体0〜40重量%
を共重合させた共重合体 (A3)ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、
飽和ポリエステルよりなる群から選ばれた少なくとも1
種の重合体。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明で用いられる(A)樹脂混合物とは、(A1)グラ
フト共重合体及び/又は(A2)共重合体、又は、さら
に(A3)重合体とからなる熱可塑性樹脂の混合物であ
る。本発明で用いられる(A1)グラフト共重合体と
は、芳香族ビニル単量体60〜100重量%及び芳香族
ビニル単量体と共重合可能な単量体0〜40重量%の混
合物を、ゴム質重合体の存在下でグラフト共重合させて
得られるグラフト共重合体をいう。
【0010】本発明によって製造される樹脂組成物が優
れた物性、難燃性、加工性を有するためには、(A1)
グラフト共重合体の含有するゴム質重合体の重量平均粒
子径は0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜3μm
であり、ゴム含有量は1〜80重量%、より好ましくは
5〜70重量%である方がよい。これらの値が上記範囲
に満たないと最終的に得られる樹脂成形品の耐衝撃性が
低下し、上記範囲を越えると最終的に得られる樹脂成形
品の難燃性が低下する傾向となる。
【0011】(A1)グラフト共重合体で用いられるゴ
ム質重合体とは、ガラス転移温度が0℃以下、好ましく
は−20℃以下のものであり、例えばポリブタジエン
や、ブタジエンと他の共重合性単量体との共重合体から
成るゴム質重合体等が挙げられる。(A1)グラフト共
重合体の構成成分である芳香族ビニル単量体の具体例と
しては、スチレン、α−メチルスチレン等のα−アルキ
ルスチレン、p−メチルスチレン等の核置換アルキルス
チレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらは
1種又は2種以上の混合物であってもよい。
【0012】芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体
の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル等のシアン化ビニル系単量体、アクリル酸、メタク
リル酸、及びそれらのアルキルエステル等のアクリル系
単量体、無水マレイン酸、及びそのイミド化物等の不飽
和無水酸誘導体系の単量体等が挙げられる。これらは1
種又は2種以上の混合物であってもよい。
【0013】(A1)グラフト共重合体に使用する単量
体混合物中の芳香族ビニル単量体成分の比率は、60〜
100重量%の範囲とする。60重量%に満たないと、
製造される樹脂組成物から得られる樹脂成形品の耐熱性
や耐衝撃性、色調などが悪化する。(A1)グラフト共
重合体は、上記の単量体ないしはその混合物から公知の
方法、例えば乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊
状重合法等の方法を用いて、回分方式又は連続方式で製
造する事ができる。
【0014】(A1)グラフト共重合体の具体例として
は、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロ
ニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹
脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共
重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリ
ロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(MABS
樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共
重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプ
ロピレン系ゴム・スチレン共重合体(AES樹脂)、ア
クリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合
体(ACS樹脂)等の樹脂、又はこれらの混合物が挙げ
られる。
【0015】本発明に用いられる(A2)共重合体と
は、芳香族ビニル単量体60〜100重量%と芳香族ビ
ニル単量体と共重合可能な単量体0〜40重量%とを共
重合させて得られる共重合体をいう。(A2)共重合体
の構成成分である、芳香族ビニル単量体の具体例として
は、(A1)グラフト共重合体におけると同様の単量体
を挙げることができる。
【0016】(A2)共重合体の構成成分である、芳香
族ビニル単量体と共重合可能な単量体の具体例として
も、(A1)グラフト共重合体におけると同様の単量体
を挙げることができる。(A2)共重合体に使用する芳
香族ビニル単量体成分の比率は、60〜100重量%の
範囲とする。60重量%に満たないと、製造される樹脂
組成物から得られる樹脂成形品の耐熱性や耐衝撃性、色
調などが低下する。
【0017】この(A2)共重合体は、例えば公知のア
クリロニトリル−スチレン共重合体の製造技術に準じ
て、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法
等の方法を用いて、回分方式又は連続方式で製造する事
ができる。また(A2)共重合体は、(A1)グラフト
共重合体の重合操作において同時に同一の重合系内で製
造することもできるし、別途重合方法および重合条件を
設定して製造することもできる。
【0018】本発明に用いられる(A3)重合体とは、
ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、飽和ポリ
エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の重合
体であって、必要に応じて(A1)グラフト共重合体及
び/又は(A2)共重合体に加えて任意に配合される。
ここでいうポリカーボネートとは、芳香族ジヒドロキシ
化合物をベースとしたホモポリカーボネート及びコポリ
カーボネートであり、特にビスフェノールAとホスゲン
から合成された、重量平均分子量1700〜30000
のビスフェノールA型ポリカーボネートが好ましく使用
される。
【0019】ポリフェニレンエーテルとは、フェノール
類の酸化重合によって得られる重合体であり、本発明に
おいては特に2,6−キシレノールの重合体である、ポ
リ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
が好ましく使用される。飽和ポリエステルとはジカルボ
ン酸とジヒドロキシ化合物との縮合重合によって得られ
る重合体であり、本発明においては特にポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)が好ましく使用される。
【0020】本発明に関わる(A)樹脂混合物において
は(A1)グラフト共重合体、(A2)共重合体、(A
3)重合体を任意の割合で配合することができるが、
(A)樹脂混合物には必須成分として(A1)グラフト
共重合体及び/又は(A2)共重合体が含まれていなく
てはならず、その量は(A)樹脂混合物の全体量に対し
て10重量%以上が好ましい。(A)樹脂混合物が(A
1)グラフト共重合体及び(A2)共重合体のいずれも
含まない場合は、本発明によって製造される樹脂組成物
の成形性等が低下する。
【0021】(A)樹脂混合物が(A1)グラフト共重
合体と(A2)共重合体のみからなる場合は、(A1)
グラフト共重合体の配合量が10重量%未満では得られ
る樹脂成形品の耐衝撃性が低下するが、そのような場合
であっても後述する(C)ドリップ防止剤のドリップ防
止効果及び分散効果は有効である。本発明では必要に応
じて、更に任意の他の樹脂を添加する事ができる。添加
する事のできる他樹脂の例としてはポリアミド樹脂等が
挙げられる。
【0022】本発明で使用される(B)難燃剤は有機ハ
ロゲン化合物及び/又は有機リン化合物であり、樹脂に
添加した際に十分な難燃性を付与することができる慣用
のものを使用することができるが、有機ハロゲン化合物
としては、臭素及び/又は塩素を含有する化合物が、ま
た有機リン化合物としてはホスフェート化合物及び/又
はホスファゼン化合物が、樹脂に添加した際の難燃化能
が高いため好ましい。
【0023】(B)難燃剤として有機ハロゲン化合物を
用いる場合には、ハロゲン化ビスフェノール化合物、ハ
ロゲン化エポキシ化合物、及びハロゲン化トリアジン化
合物から成る群より選ばれた少なくとも1種の化合物を
用いた場合が(B)難燃剤の難燃化能が高く、本発明の
効果が最大限に発揮されるため最も好ましい。本発明で
用いられるハロゲン化ビスフェノール化合物とは、ビス
フェノールのハロゲン化物であって、例えば、テトラブ
ロモビスフェノールA、ジブロモビスフェノールA、テ
トラクロロビスフェノールA、ジクロロビスフェノール
A、テトラブロモビスフェノールF、ジブロモビスフェ
ノールF、テトラクロロビスフェノールF、ジクロロビ
スフェノールF、テトラブロモビスフェノールS、ジブ
ロモビスフェノールS、テトラクロロビスフェノール
S、ジクロロビスフェノールS等が挙げられる。これら
は1種又は2種以上の混合物であっても良い。
【0024】本発明で用いられるハロゲン化エポキシ化
合物とは、ハロゲン化ビスフェノール化合物と、エピハ
ロヒドリン又はハロゲン化ビスフェノールジグリシジル
エーテルとの反応生成物であり、下記一般式で表され
る。
【0025】
【化1】
【0026】(式中、nは0又は1以上の整数、Xは臭
素原子又は塩素原子、a,b,c,dは1〜4の整数、
1 はイソプロピリデン基、メチレン基又はスルホン
基、R 2 、R3 はそれぞれ2,3−エポキシプロピル基
又は−CH2 CH(OH)CH 2 OR4 基[R4 は臭素
原子又は塩素原子で置換されていてもよいアルキル基又
はアリル基]を示す。)
【0027】ハロゲン化エポキシ化合物の原料として用
いられるハロゲン化ビスフェノール化合物の具体例とし
ては前段に例示したものが同様に挙げられる。ハロゲン
化エポキシ化合物の重合度nは0又は1以上の整数、よ
り好ましくは0〜15の整数であり、また、重合度nの
異なるもの2種類以上を併用しても良い。
【0028】ハロゲン化エポキシ化合物の末端はエポキ
シ基であっても、アリル基やアルキル基などでエポキシ
基が封止されていてもよく、末端を封止するアリル基や
アルキル基は必要に応じて塩素、臭素などのハロゲン原
子で置換されていてもよい。末端封止基の具体例として
はフェニル基、ナフチル基等の無置換アリル基、トリブ
ロモフェニル基、ペンタブロモフェニル基、トリクロロ
フェニル基、ペンタクロロフェニル基等のハロゲン化ア
リル基、ステアリル基等のアルキル基等が挙げられる。
【0029】本発明で用いられるハロゲン化エポキシ化
合物の末端は上記の範囲内であれば制限はなく、一方の
末端と他方の末端の構造は同一であっても異なっていて
もよい。本発明で用いられるハロゲン化トリアジン化合
物とは、トリアジン骨格を有する有機ハロゲン化合物で
あって、下記一般式で表される。
【0030】
【化2】
【0031】(式中、Yは−O−基または−NH−基、
4 は臭素化又は塩素化されたアリル基及び/又はアル
キル基を示す。) このような化合物は一般にシアヌル酸やメラミン等のト
リアジン骨格含有化合物に臭素化又は塩素化されたフェ
ノール類、アルコール類などの水酸基含有化合物やアミ
ン化合物を反応させることにより得られる。
【0032】(B)難燃剤として有機リン化合物を用い
る場合には、ホスフェート化合物を用いた場合が(B)
難燃剤の難燃化能が高く、本発明の効果が最大限に発揮
されるため最も好ましい。本発明で用いられるホスフェ
ート化合物とは、リン酸とフェノール類とのエステルで
あって下記一般式で表される。
【0033】
【化3】
【0034】(式中、nは0〜10の数、R5 はハロゲ
ン原子で置換されていてもよいアリル基及び/又はアル
キル基を示す。) (B)難燃剤は必ずしも1種のみ用いる必要はなく、2
種以上の異なった化合物を使用してもよいし、有機ハロ
ゲン化合物と有機リン化合物を併用してもよい。(B)
難燃剤の配合量は(A)樹脂混合物100重量部に対し
て1〜35重量部、好ましくは5〜30重量部である。
配合量が35重量部を越えると得られる樹脂成形品の物
性、耐光性が低下し、配合量が1重量部に満たないと得
られる樹脂成形品に十分な難燃性を付与する事ができな
い。
【0035】本発明で用いる(C)ドリップ防止剤は数
平均分子量1×106 以上のPFPであり、嵩密度0.
6g/ml以上、平均粒子径100〜1000μmであ
り、しかも、球状粒子を有するものである。なお、本発
明におけるPFPとはテトラフルオロエチレンの単独重
合体、及びテトラフルオロエチレンと、ヘキサフルオロ
プロピレン、パーフルオロアルコキシエチレン等との二
元又は三元共重合体等をいい、公知の懸濁重合法または
乳化重合法によって重合されたPFPを、造粒機によっ
て規定の大きさに造粒することによって得られる。重合
法は懸濁重合法、乳化重合法のいずれでもよいが、上記
のPFPを得るためには懸濁重合法によるのが好まし
い。
【0036】本発明で使用するPFPの数平均分子量は
1×106 以上であり、好ましくは5×106 以上、よ
り好ましくは1×107 〜1×108 である。数平均分
子量が1×106 未満では燃焼時のPFPの繊維化能が
低く、十分なドリップ防止効果を得ることができない。
本発明に関わる(C)ドリップ防止剤が優れた分散性を
有するためには粒子径100〜1000μm、好ましく
は200〜800μmの球状に造粒されていなければな
らない。粒子径が100μm未満では、粉体流動性が低
下してプレミックス時のせん断が大きくなり、PFPの
分散性が悪化するために、粒子径が1000μmを超え
ると、粒子強度が低下してプレミックス時に粒子破壊が
起こりやすくなるために、それぞれ好ましくない。
【0037】(C)ドリップ防止剤の嵩密度は0.6g
/ml以上であり、好ましくは0.6〜1.5g/ml
である。嵩密度が0.6未満の場合はプレミックス時に
PFP粒子がミキサー内で破壊されて繊維化し、粒子同
士の融着も発生するため、得られる樹脂組成物に未混練
の添加剤塊が残りやすくなる。嵩密度が1.5g/ml
を超えると、混練時においてもPFP粒子が破壊されに
くくなるため、製造される樹脂組成物にPFP粒子が未
混練のまま混入する恐れがある。
【0038】本発明で用いられる(C)ドリップ防止剤
の例としては、例えば、旭アイシーアイフロロポリマー
ズ(株)製、商品名「フルオン G−307」、「同
G−320」、「同 G−340」、「同 G−35
0」、三井デュポンフロロケミカル(株)製、商品名
「テフロン 820−J」、ダイキン工業(株)製「ポ
リフロンTFEモールディングパウダー M−24」、
「同 M−25」、「同M−31」、「同 M−3
2」、「同 M−33」等が挙げられる。以上に例示し
たPFPは従来樹脂添加剤用途ではなくシート、丸棒、
ビレット成形等の圧縮成形用途に市販されていたもので
あり、これまで樹脂に添加してもドリップを防止する効
果はないとされていた。本発明者はこれらの圧縮成形用
PFPを熱可塑性樹脂に添加した場合に、従来使用され
ていた樹脂添加用PFPパウダー同等のドリップ防止性
を付与し、しかも樹脂組成物製造工程におけるプレミッ
クス時の添加剤塊発生を抑制できるという事実を見出
し、本発明に至ったものである。
【0039】(C)ドリップ防止剤の配合量は(A)樹
脂混合物100重量部に対して0.01〜1重量部、好
ましくは0.05〜0.5重量部である。配合量が0.
01重量部に満たないと得られる樹脂成形品に十分なド
リップ防止性を付与する事ができず、配合量が1重量部
を越えると経済的に不利益となるばかりでなく得られる
樹脂組成物の流動性が低下する。
【0040】本発明に係わる樹脂組成物の製造は、
(A)樹脂混合物、(B)難燃剤、(C)ドリップ防止
剤を上記の範囲で秤量し、公知の方法で混合、混練する
ことによりなされる。例えば、粉末、ビーズ、フレーク
又はペレット状の各構成物の混合物を、単軸押出機、二
軸押出機等の押出機、又はバンバリーミキサー、加圧ニ
ーダー、二本ロール等の混練機等を用いて溶融混練する
事により樹脂組成物を製造することができる。液体を配
合する必要のある場合には公知の液体注入装置を用いて
上記の方法で混練すればよい。また、その際必要に応じ
て製造せんとする樹脂組成物の性質を阻害しない種類お
よび量の潤滑剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、酸化防
止剤、他の難燃剤、三酸化アンチモンなどの難燃助剤、
他のドリップ防止剤、紫外線吸収剤、耐熱性安定剤等の
各種樹脂添加剤や、タルク等の充填材、ガラス繊維、炭
素繊維、ウィスカー等の補強材等を適宜組合せて添加す
ることができる。
【0041】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて具体的に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。 実施例1〜8及び比較例1〜4 (1)(A1)グラフト共重合体 (A1−1)乳化重合法により、ブタジエンゴム含量5
0重量%、ゴムの重量平均粒径0.3μm、グラフト率
40%、アクリロニトリル含量25重量%、マトリック
スの重量平均分子量80000の白色粉末状のアクリロ
ニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体を重合し、こ
れを(A1−1)として用いた。
【0042】(A1−2)懸濁重合法により、ブタジエ
ンゴム含量15重量%、ゴムの重量平均粒径1.4μ
m、グラフト率60%、アクリロニトリル含量24重量
%、マトリックスの重量平均分子量130000の白色
ビード状のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共
重合体を重合し、これを(A1−2)として用いた。
【0043】(2)(A2)共重合体 塊状重合法によりアクリロニトリル含量26重量%、重
量平均分子量160000のアクリロニトリル−スチレ
ン共重合体を重合し、(A2)共重合体として用いた。
【0044】(3)(A3)重合体 市販のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプ
ラスチック(株)製、商品名 ノバレックス7022
A、同7030A)を使用した。 (4)(B)難燃剤 (B−1)ハロゲン化ビスフェノール化合物 市販のテトラブロモビスフェノールA(アルベマールコ
ーポレーション製、商品名 RB100PC)を使用し
た。構造を以下に示す。
【0045】
【化4】
【0046】(B−2)ハロゲン化エポキシ化合物 市販の末端半封止型テトラブロモビスフェノールA型エ
ポキシオリゴマー(東都化成(株)製、商品名 エポト
ートTB62)を使用した。構造を以下に示す。
【0047】
【化5】
【0048】(但し、n=0、1の混合物。)
【0049】(B−3)ハロゲン化トリアジン化合物 市販のトリス(トリブロモフェノキシ)シアヌル酸エス
テル(第一工業製薬(株)製、商品名 ピロガードSR
245)を使用した。構造を以下に示す。
【0050】
【化6】
【0051】(B−4)ホスフェート化合物 ホスフェート化合物として下記の構造を有する市販のリ
ン酸エステルダイマー(大八化学工業(株)製、商品名
PX−200)を使用した。
【0052】
【化7】
【0053】(5)(C)ドリップ防止剤 (C−1)市販の圧縮成形用PFP造粒品(旭アイシー
アイフロロポリマーズ(株)製、商品名 フルオンG3
50)を(C−1)として使用した。分析値を表1に示
す。
【0054】(C−2)市販の圧縮成形用PFP造粒品
(旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製、商品名
フルオンG345)を(C−2)として使用した。分析
値を表1に示す。
【0055】(C−3)比較例として市販のPFPパウ
ダー(三井デュポンフロロケミカル(株)製、商品名
テフロン6CJ)を(C−3)として使用した。分析値
を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】(6)(D)三酸化アンチモン 難燃助剤として、市販の三酸化アンチモン(ローレルイ
ンダストリー(株)製、商品名 ファイアシールドH)
を使用した。
【0058】(7)樹脂組成物の製造と評価 上記の(A1)グラフト共重合体、(A2)共重合体、
(A3)重合体、(B)難燃剤、(C)PFP、(D)
三酸化アンチモンを、第2表及び第3表に記載した配合
割合(重量部)で秤量、タンブラーで混合し、得られた
混合物をスクリューフィーダー付二軸押出機で混練し
て、樹脂組成物のペレットを製造した。この樹脂組成物
のペレットからメルトフローレートを測定し、さらに射
出成形法により試験片を作製した。各々の試験片につい
て、以下に示す方法でアイゾッド衝撃強さを測定し、U
L燃焼試験を実施した。添加剤の分散状態については9
0×50×3mmの試験片を10枚成形し、成形品表面
に未混練の添加剤塊が確認された試験片の数で判定し
た。これらの測定結果を表2及び表3に示す。
【0059】・メルトフローレート JIS−K7210に準拠した方法で220℃で10k
gの荷重をかけて測定し、流動性の指標とした。 ・アイゾッド衝撃強さ JIS−K7110に準拠した方法で23℃で測定し、
耐衝撃性の指標とした(試験片厚み1/8インチ、Vノ
ッチ入り)。 ・UL燃焼試験 米国アンダーライターラボラトリーズ発行のUL94に
準拠した方法で垂直燃焼試験を行い、難燃性の指標とし
た。V−0クラスの試験片厚み1/12インチ、5Vク
ラスの試験片厚み1/10インチ。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】表2及び表3より、本発明に関わる樹脂組
成物の製造方法において、特定の(C)ドリップ防止剤
を使用したことにより、樹脂組成物の優れた流動性、及
び樹脂成形品の優れた耐衝撃性、難燃性を維持したま
ま、ドリップ防止剤の分散性が向上し、押出機の原料送
りフィーダーの閉塞や、得られる樹脂組成物中への未混
練添加剤塊の混入等の問題が解消することがわかる(実
施例1〜8)。ドリップ防止剤として市販の樹脂添加用
PFPパウダーを使用した場合は原料送りフィーダーが
閉塞するのに加えて、添加剤の分散が不良となり得られ
た樹脂組成物中に未混練の添加剤塊が多量に含まれるこ
とがわかる(比較例1〜4)。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、ドリップ防止剤として
特定形態のPFPを用いることにより、優れた物性及び
難燃性を保持したまま、外観及びドリップ防止効果の優
れた難燃性熱可塑性樹脂組成物を容易に製造する方法を
提供することができ、その産業上の利用価値は極めて高
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 25/04 LEB C08L 25/04 LEB LEC LEC LED LED 67/02 LNZ 67/02 LNZ 69/00 LEC 69/00 LEC 71/12 LED 71/12 LED //(C08L 51/04 27:12)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記の(A1)及び/又は(A
    2)からなるか、(A1)及び/又は(A2)と、(A
    3)からなる熱可塑性樹脂混合物100重量部に、
    (B)有機ハロゲン化合物及び/又は有機リン化合物か
    らなる難燃剤1〜35重量部と(C)パーフルオロポリ
    マーからなるドリップ防止剤0.01〜1重量部を配合
    するに際し、前記ドリップ防止剤として、数平均分子量
    1×106 以上、嵩密度0.6g/ml以上、平均粒子
    径100〜1000μmの球状粒子であるパーフルオロ
    ポリマーを用いることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂
    組成物の製造方法。 (A1)芳香族ビニル単量体60〜100重量%及び芳
    香族ビニル単量体と共重合可能な単量体0〜40重量%
    の混合物を、ゴム質重合体の存在下でグラフト共重合さ
    せたグラフト共重合体 (A2)芳香族ビニル単量体60〜100重量%及び芳
    香族ビニル単量体と共重合可能な単量体0〜40重量%
    を共重合させた共重合体 (A3)ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、
    飽和ポリエステルよりなる群から選ばれた少なくとも1
    種の重合体
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001152004A (ja) * 1999-11-26 2001-06-05 Ge Plastics Japan Ltd 難燃性樹脂組成物およびその成型品
JP2001342264A (ja) * 2000-03-31 2001-12-11 Ge Plastics Japan Ltd 難燃性樹脂成型品
JP2010235650A (ja) * 2009-03-30 2010-10-21 Daicel Polymer Ltd 難燃性透明ポリカーボネート系樹脂組成物
US20110118371A1 (en) * 2008-07-07 2011-05-19 Basf Se Rubber-modified flame-retardant molding compounds

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