JPH10262635A - 膨化たばこ材料の製造方法 - Google Patents

膨化たばこ材料の製造方法

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JPH10262635A
JPH10262635A JP9075814A JP7581497A JPH10262635A JP H10262635 A JPH10262635 A JP H10262635A JP 9075814 A JP9075814 A JP 9075814A JP 7581497 A JP7581497 A JP 7581497A JP H10262635 A JPH10262635 A JP H10262635A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】品質および膨化率の優れた膨化たばこ材料を、
必要最少限の二酸化炭素を用い、簡単な構成の装置を用
いて製造する。 【解決手段】たばこ材料(TM)を圧力容器(11)に
入れた後、二酸化炭素ガス(22)を導入し、これによ
り圧力容器(11)内を所定の含浸圧力まで加圧する。
ついで、含浸圧力を維持しながら、たばこ材料(TM)
の上方から焼結金属板(13)等を介して液体二酸化炭
素(21)を供給して、圧力容器(11)内を供給され
た液体二酸化炭素の蒸発により二酸化炭素ガスで飽和さ
せるとともに、蒸発潜熱によりたばこ材料を冷却して二
酸化炭素を含浸させる。この二酸化炭素含浸たばこ材料
を気流乾燥機中で高温の気流と接触させ膨化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膨化たばこ材料の
製造方法に係り、特には、膨化助剤として二酸化炭素を
用いた膨化たばこ材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紙巻たばこ等のたばこ製品におけるたば
こ材料の使用量を節減するとともに、たばこ製品の香喫
味等を緩和させるために、たばこ材料を膨化させること
が行われている。この膨化は、乾燥・収縮したたばこ組
織を生葉に近い状態まで膨張・復元させる技術であり、
たばこ製品の製造において重要な技術をなしている。
【0003】たばこ材料の膨化は、基本的に、たばこ組
織内に膨化助剤を浸透させた後、加熱することによって
膨化助剤を体積膨張させ、収縮したたばこ組織をそれに
より押し広げることにより行われる。
【0004】このようなたばこ材料の膨化方法として、
二酸化炭素を膨化助剤として使用する方法が知られてい
る。
【0005】例えば、特公昭56−50830号公報に
は、例えば約24.6〜31.6kg/cm2 の圧力の
下で液体二酸化炭素にたばこ材料を浸漬してたばこ材料
に液体二酸化炭素を含浸させ、含浸した液体二酸化炭素
を固体二酸化炭素に変換させた後、高温下で固体二酸化
炭素を蒸発させてたばこ組織を膨張させる方法が開示さ
れている。この方法では、たばこ材料全体を液体二酸化
炭素に浸漬するため、たばこ材料中の香味成分が液体二
酸化炭素中に抽出されてしまい、膨張たばこ材料の香喫
味が低下する。また、たばこ材料に多量に付着した液体
二酸化炭素が固体二酸化炭素に変換される結果、たばこ
材料を固着・固結させる。固着したたばこ材料は、加熱
膨張工程に供する前にこれを相当程度の力をもって解き
ほぐす必要があり、その際紙巻たばこを製造するには不
適切な細粉を発生させ、収率を低下させる。そこで、た
ばこ材料を液体二酸化炭素に浸漬した後、液体二酸化炭
素の連続液体流がやむまでたばこ材料からの液体二酸化
炭素の液切りを行うことが推奨されているが、液切りの
ための時間が付加されるばかりでなく、なお満足し得る
結果が得られていない。
【0006】特公昭56−50952号には、二酸化炭
素をガス状でたばこ材料に含浸させた後、これを急速加
熱することによって膨張(膨化)させる方法が開示され
ている。この二酸化炭素ガスによる膨張方法は、液体二
酸化炭素を使用する上記方法における問題点を回避でき
るが、たばこ材料に保持される二酸化炭素の量がわずか
であるため、加熱膨張工程に移行するまでに二酸化炭素
が揮散しやすく、十分なたばこ材料の膨張が達成できな
い。
【0007】特開平4−228055号公報や特開平5
−219928号公報には、二酸化炭素ガスの凝縮によ
って二酸化炭素の含浸量を増大させるために、予めたば
こを十分に冷却するたばこの膨張方法が開示されてい
る。より具体的には、特開平4−228055号公報に
開示された方法では、水平な混合タンク内に供給された
たばこを混合タンク内を移送しながら、液体二酸化炭素
を混合タンク内に導入して膨張させることによって生成
した冷気体二酸化炭素、二酸化炭素スノー等からなる霧
状の冷混合体と接触・混合してたばこを冷却する。この
冷却たばこを混合タンクと接続する垂直な圧力タンクに
導入し、この圧力タンク内で冷却たばこを気体二酸化炭
素と接触させ、所望の含浸を行う。この方法では、予備
冷却に特別の装置を必要とするばかりでなく、霧状冷混
合体(主として、スノー)とたばことの熱交換(熱伝
達)状態が局部的になりやすく、たばこ温度に分布(む
ら)が生じやすい。また、特開平5−219928号公
報に開示された方法では、たばこに二酸化炭素ガスを通
じてたばこの予備冷却を行っている。この予備冷却に
は、二酸化炭素ガスを圧力容器内に循環させなければな
らないため、別途循環設備が必要となる。また、この方
法においては、冷却に用いる二酸化炭素ガスの顕熱(比
熱)が小さいため、十分低い所定の温度までたばこを冷
却するためには、たばこを多量の二酸化炭素ガスと接触
させる必要がある。さらに、これら従来の方法では、た
ばこ材料の冷却効率が低いので、冷却に多量の二酸化炭
素を要するばかりでなく、たばこを予備冷却しても、そ
の後二酸化炭素ガスによる含浸のために圧力容器内で二
酸化炭素ガスを所定の含浸圧力まで昇圧すると、発生す
る圧縮熱により、たばこが温められてしまう。従って、
必要以上の低い温度まで過剰に予備冷却しなければなら
ず、経済的でない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題とすると
ころは、必要最少限量の二酸化炭素を用いて二酸化炭素
をたばこ材料に短時間で十分に含浸させることができ、
かつ品質の優れた膨化率の高い膨化たばこ材料を簡単な
構成の装置を用いて製造することができる膨化たばこ材
料の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、二酸化炭素
を、主として二酸化炭素ガスを利用してたばこ材料を膨
化させる方法であって、二酸化炭素によるたばこ材料の
含浸に液体二酸化炭素の蒸発潜熱によるたばこ材料の冷
却を利用する方法を提供する。
【0010】本発明者は、上記課題を解決するために、
主として二酸化炭素ガスを利用するたばこの膨化方法に
つき鋭意研究した結果、二酸化炭素をたばこ材料に十分
に含浸させるには、圧力容器内の二酸化炭素の状態はそ
のたばこ材料と接触する部分が薄膜状の液ないし霧状の
飽和ガス状態にあることがよく、そのためには、たばこ
材料を二酸化炭素含浸時の圧力(含浸圧力)に対応する
飽和温度に冷却することが効果的であること、そしてこ
のたばこ材料の冷却に、液体二酸化炭素が二酸化炭素ガ
スに相変化する際の蒸発潜熱を利用することが極めて有
効であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、二酸化炭素をたばこ
材料に十分に含浸させるべく圧力容器内に収容されたた
ばこ材料を冷却するために、液体二酸化炭素の蒸発潜熱
を利用する。たばこ材料を収容するたば圧力容器を所望
の含浸圧力まで二酸化炭素ガスで加圧した後、この含浸
圧力を維持しながら、たばこ材料に液体二酸化炭素を供
給する。供給された液体二酸化炭素は、たばこ材料と接
触して圧力容器内で蒸発し、圧力容器内を二酸化炭素ガ
スで飽和させる。その際の液体二酸化炭素の蒸発潜熱に
よりたばこ材料は当該含浸圧力に対応する二酸化炭素ガ
スの飽和温度に相当する温度まで冷却され、圧力容器内
雰囲気の二酸化炭素で十分に含浸される。この二酸化炭
素含浸たばこ材料を加熱膨化させることによって膨化た
ばこ材料が得られる。
【0012】本発明においては、圧力容器内のたばこ材
料全体が上記飽和温度に達したら、液体二酸化炭素の供
給を停止して、直ちに容器内圧力を(通常、ほぼ大気圧
まで)解放してたばこ材料を取り出してもよいが、液体
二酸化炭素の供給を停止した後圧力開放までの間に所定
時間保持することが好ましい。また、含浸圧力は、液体
二酸化炭素が固体二酸化炭素に変換される開始点、すな
わち二酸化炭素状態図の三重点での圧力(ゲージ圧で約
4.3kg/cm2 )以上の圧力であることが好まし
い。また、たばこ材料の膨化は、たばこ材料を気流乾燥
機において高温の気流と接触させることにより行うこと
が好ましく、この接触後、膨化たばこ材料を高温のガス
流から分離する。
【0013】すなわち、本発明の1つの側面によれば、
(a)たばこ材料を圧力容器に入れ、(b)二酸化炭素
ガスにより該圧力容器内をゲージ圧で少なくとも約4.
3kg/cm2 の含浸圧力まで加圧し、(c)該含浸圧
力を維持しながら、該たばこ材料の上方から液体二酸化
炭素を供給して該圧力容器内を該液体二酸化炭素の蒸発
により二酸化炭素ガスで飽和させ、(d)所定時間保持
した後、該圧力容器内の圧力をほぼ大気圧まで減圧し、
(e)該圧力容器からたばこ材料を取り出し、(f)取
り出したたばこ材料を気流乾燥機に供給し、該気流乾燥
機において高温の気流と接触させることによりたばこ材
料を膨化させ、(g)該高温の気流から膨化たばこ材料
を分離する各工程を備えたことをを特徴とする膨化たば
こ材料の製造方法が提供される。
【0014】また、本発明の別の側面によれば、(a)
第1の温度にあるたばこ材料を圧力容器に入れる工程、
(b)該第1の温度における二酸化炭素ガスの飽和圧力
よりも低い含浸圧力まで該圧力容器内を二酸化炭素ガス
で加圧する工程、(c)該圧力容器内のたばこ材料が該
含浸圧力における二酸化炭素ガスの飽和温度に相当する
第2の温度に達するに必要最少限量の液体二酸化炭素を
該圧力容器内のたばこ材料の上方から該たばこ材料に供
給してたばこ材料と接触させ、該液体二酸化炭素の蒸発
潜熱により該たばこ材料を該第2の温度まで冷却するこ
とにより、二酸化炭素を該たばこ材料に含浸させる工
程、(d)該圧力容器から二酸化炭素含浸たばこ材料を
取り出す工程、(e)該取り出した二酸化炭素含浸たば
こ材料を加熱膨化させる工程を備えた膨化たばこ材料の
製造方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0016】本発明によると、まず、たばこ材料を圧力
容器(含浸容器)に入れる。
【0017】たばこ材料は、一般的には、通常の刻み状
であるか、細片(スモールラミナ)状のものであり、種
々の種類のたばこ品種のものを用いることができる。
【0018】たばこ材料の水分量は、乾燥重量基準で1
2ないし33%であることが好ましく、乾燥重量基準で
12ないし25%であることがより好ましい。また、圧
力容器に導入される際のたばこ材料の温度(初期品温)
は、たばこ製造工場の温度管理によって工場内の室温と
同等の20ないし30℃となっているのが一般的であ
り、通常、たばこ材料は、この温度で圧力容器に収容さ
れる。いうまでもなく、これより低い初期品温または高
い初期品温を有するたばこ材料を用いることもできる。
【0019】次に、通常行われているように、たばこ材
料を収容した圧力容器内の空気をパージする。このパー
ジは、二酸化炭素ガスを圧力容器内に通じるか、または
真空ポンプを用いて圧力容器内を減圧することによって
行うことができる。
【0020】パージ終了後、たばこ材料を収容した圧力
容器内を所望の含浸圧力まで二酸化炭素ガスにより加圧
する。この含浸圧力は、液体二酸化炭素が固体二酸化炭
素に変換される開始点、すなわち二酸化炭素状態図の三
重点での圧力(ゲージ圧で約4.3kg/cm2 )以上
の圧力であることが好ましい。含浸圧力をこのように二
酸化炭素状態図の三重点での圧力以上の圧力に設定する
ことにより、後に供給される液体二酸化炭素が固体二酸
化炭素に変換されて圧力容器壁に固着したり、圧力容器
の配管系を閉塞したりするおそれがなくなる。
【0021】本発明においては、液体二酸化炭素の蒸発
潜熱を利用してたばこ材料を冷却することとしているの
で、含浸圧力は、より厳密にいうと、圧力容器に収容さ
れたたばこ材料の初期品温(例えば、20℃ないし30
℃)における二酸化炭素ガスの飽和圧力よりも低い圧
力、と規定される。
【0022】本発明において、含浸圧力は、たばこ材料
の低温に対するもろさ(脆性)、含浸系統を低温に維持
するための設備を含む経済性等の観点から、二酸化炭素
ガスの飽和温度が約−37℃である10kg/cm
2 (ゲージ圧)以上がより望ましい。
【0023】そして、たばこ材料のより高い膨化率を達
成し得るという点からは、含浸圧力はできるだけ高い方
が好ましい。しかしながら、二酸化炭素には、比較的低
い圧力および温度に臨界点(74.2kg/cm2 (ゲ
ージ圧)、31.1℃)があり、この圧力および温度を
越えると、二酸化炭素は液状を保たなくなり、制御系も
複雑になるばかりでなく、膨化率のさらなる向上も達成
し得ないことから、実用的には、含浸圧力は、この圧力
を、通常ゲージ圧で約74kg/cm2 (二酸化炭素ガ
ス飽和温度31℃)を越えるべきではない。
【0024】他方、含浸圧力が低いほど、圧力容器に要
求される強度が低くてすみ、圧力容器のコストが節減さ
れる。
【0025】以上のことから、実際的な含浸圧力は、た
ばこ材料の所望の膨化率、使用する液体二酸化炭素の量
(以下述べる)、圧力容器の強度、作業性等を勘案して
設定される。通常、たばこ材料の品温が、20ないし3
0℃であることから、ゲージ圧で30〜60kg/cm
2 の含浸圧力が都合よく使用できる。
【0026】以上のようにして含浸圧力まで二酸化炭素
ガスを圧力容器内に導入した後、含浸圧力を維持しなが
ら、たばこ材料の上方から液体二酸化炭素を供給する。
【0027】液体二酸化炭素の供給は、圧力容器の上蓋
の下部に設置された1またはそれ以上のスプレーノズル
を通して、圧力容器の上蓋の下部で圧力容器の開口を横
断するように設置された孔径2〜200μmの焼結金属
板を通して、または圧力容器の開口端近傍の周壁に設置
されたスプレーノズルを通して、あるいはその他の好適
な手段により、行うことができる。
【0028】供給する液体二酸化炭素の量は、圧力容器
内のたばこ材料が上記含浸圧力における飽和二酸化炭素
ガスの温度に相当する温度に達するに必要最少限量であ
ると規定することができる。
【0029】一例を挙げると、上に述べたように、たば
こ材料の初期品温は、通常、20ないし30℃であり、
この温度における二酸化炭素ガスの飽和圧力は、ゲージ
圧でおよそ57ないし72kg/cm2 である。含浸圧
力をたばこ材料の初期品温における二酸化炭素ガスの飽
和圧力未満の圧力に設定すると、たばこ材料を収容する
圧力容器内に供給された液体二酸化炭素は、圧力容器内
でたばこ材料と接触して蒸発することとなり、その際の
蒸発潜熱によりたばこ材料は冷却される。従って、制御
された量の液体二酸化炭素を圧力容器内に供給すれば、
その液体二酸化炭素はすべて気化し、圧力容器内で飽和
状態となり、従って、たばこ材料の品温は、含浸圧力に
おける二酸化炭素ガスの飽和温度となる。液体二酸化炭
素の蒸発により圧力容器内圧力が上昇しようとするが、
これを例えば圧力容器に付設した保圧弁のような当業者
によく知られている保圧手段を用いて適宜排出すること
により、圧力容器内の圧力を含浸圧力に維持することが
容易にできる。
【0030】液体二酸化炭素の供給量の求め方を、初期
品温が25℃であって25%(乾燥重量基準)の水分を
含有するたばこ材料(刻み)を用い、含浸圧力がゲージ
圧で30kg/cm2 である場合を例に取り、以下に説
明する。
【0031】(1)まず、25℃の温度状態にあるたば
こ刻みを含浸圧力30kg/cm2(ゲージ圧)におけ
る二酸化炭素ガスの飽和温度(−4.5℃)まで冷却す
るに必要な熱量を次のように求める。
【0032】(a)たばこ刻みの比熱は、原料の種類に
よって若干異なり、またたばこの水分量によっても変化
するが、一般には、乾燥たばこの比熱(0.34kca
l/kg℃)に乾燥重量基準で示される水分量の値を加
えたものとみなすことができる。従って、水分が25%
(0.25kgH2 O/kg乾燥刻み)のたばこ刻みの
比熱は、約0.6kcal/kg℃となる。
【0033】(b)この値に、冷却する温度{25℃−
(−4.5℃)=29.5℃}を乗じると、たばこ刻み
1kg(乾燥重量)当りの冷却に必要な熱量=約18k
cal/kgが求められる。
【0034】(2)次に、液体二酸化炭素の蒸発潜熱
は、パーガモン・プレス社刊「純粋および応用化学の国
際単位」や日本機械学会による熱物性値集等の科学文献
に記載されており、ゲージ圧で30kg/cm2 におけ
る液体二酸化炭素の蒸発潜熱は、約60kcal/kg
である。
【0035】(3)従って、たばこ刻みを冷却するに必
要な液体二酸化炭素の量は、刻みを冷却するに必要な上
記熱量約18kcal/kgを液体二酸化炭素の上記蒸
発潜熱約60kcal/kgで除した値となる。すなわ
ち、たばこ刻み1kg(乾燥重量)を冷却するには、
0.29kgの液体二酸化炭素を供給すればよいことと
なる。
【0036】しかしながら、実際には、圧力容器系外か
らの侵入熱、および供給する液体二酸化炭素の圧力や温
度の状態の影響があるため、上記算出(理論)供給量よ
りやや過剰の液体二酸化炭素を供給することが望まし
い。すなわち、供給する液体二酸化炭素の量は、上記理
論値の1〜約7倍、好ましくは1.5〜4倍量であるこ
とが好ましい。
【0037】通常、たばこ材料重量に対する割合でいう
と、液体二酸化炭素は、乾燥重量基準のたばこ材料重量
の0.04ないし約2.4倍、好ましくは0.06ない
し約1.4倍重量の割合で供給することが望ましい。こ
の割合は、たばこ材料が、乾燥重量基準で12ないし2
5%の水分を含有し、20ないし30℃の初期品温を有
するものであり、含浸圧力がゲージ圧で30ないし60
kg/cm2 である場合に特に適切である。含浸圧力が
高いほど、二酸化炭素の供給量は少なくてすむ。
【0038】こうして、たばこ材料は、供給された液体
二酸化炭素の蒸発潜熱により、含浸圧力における二酸化
炭素ガスの飽和温度まで冷却され、二酸化炭素で十分に
含浸される。
【0039】液体二酸化炭素の供給量が少ない場合に
は、供給された液体二酸化炭素の全てが乾きガス状態に
気化し、たばこ材料の温度は、上記飽和温度に達しない
ので、液体二酸化炭素を追加する。この状態は、たばこ
材料に接して設けた温度センサーにより検知できる。他
方、液体二酸化炭素の供給量が多すぎる場合には、液体
二酸化炭素は一部液体状態のまま残る。この残存液体二
酸化炭素部分は、重力によって圧力容器の底部に集るの
で、これを回収すればよい。この状態は、圧力容器の底
部に設けた観察窓を通して監視することができる。
【0040】圧力容器内が二酸化炭素の飽和状態に達し
たことは、たばこ材料の最下部もしくは圧力容器の底部
出口(回収配管)に設置した温度センサーが当該飽和温
度を示すことにより確認することができる。あるいは、
圧力容器の底部に液体二酸化炭素がわずかでも存在する
ことを上記観察窓から確認した時点を上記飽和状態に達
した時点としてもよい。
【0041】しかる後、液体二酸化炭素の供給を停止
し、圧力容器をほぼ大気圧まで解放した後、二酸化炭素
含浸たばこ材料を圧力容器から取り出し、これを加熱膨
化工程へ移送し、加熱膨化を行う。
【0042】圧力容器から取り出したままのたばこ材料
は、上記含浸作用の影響により、容器内形状を保持して
いることがあるが、その場合であってもたばこ材料は固
結・固着してはおらず、手で軽く握ると簡単に崩れる程
度である。そのような場合には、それぞれ複数のピンを
立設した一対のローラ間にたばこ材料を通すことによっ
てたばこ材料を解除することが好都合である。この解除
によっては、たばこ材料は破砕しない(すなわち、く
ず、細片等を生じない)。従って、本発明によって処理
された二酸化炭素含浸たばこ材料は、これを破砕するこ
となく、加熱膨化工程へ移行させることができる。
【0043】加熱膨化工程では、通常、気流乾燥機にお
いて二酸化炭素含浸たばこ材料を高温の気流と接触させ
る。
【0044】気流乾燥機は、それ自体よく知られている
ように、通常ステンレス鋼管からなる膨化管中を高温の
気流が高速で流れるものである。高温気流は、通常、大
部分の水蒸気を含む。
【0045】加熱膨化において、一般に、加熱温度が高
いほど、たばこ組織中の二酸化炭素の膨張速度が速くな
り、より高い膨化率が得られる。しかしながら、本発明
においては、含浸後にたばこ材料に付着した固体二酸化
炭素がないか、ほとんどないので、膨化温度が比較的低
温であっても、所望の膨化率が達成できる。いずれにし
ろ、たばこ材料の膨化には、急速な加熱が好ましく、さ
らに膨化したたばこ組織を一旦固定させるために、例え
ば8%(乾燥重量基準)以下の水分まで乾燥することが
好ましい。このような急速加熱手段としては、上記気流
乾燥機が適している。そして、加熱温度と時間とは、所
望の膨化率と香喫味(例えば、焦げ臭のないこと等)と
を勘案して決定することができる。本発明では、約26
0℃〜350℃の高温気流にわずか1〜2秒間接触させ
ることにより、高い膨化率が達成できる。
【0046】膨化に引続き、膨化たばこ材料を高温ガス
から分離する。この分離は、当該分野で知られているよ
うに、気流乾燥機に接続したタンジェンシャルセパレー
ターにより行うことができる。
【0047】なお、液体二酸化炭素を導入して圧力容器
が飽和状態に達した後、すぐに圧力を解放せずに、二酸
化炭素のたばこ材料への含浸をより確実にするために、
そのままの状態を保持してから圧力を解放することがで
きる。この保持時間は、10秒以上であることが好まし
く、20分程度までで十分である。この保持時間は、含
浸圧力が低いほど長くし、含浸圧力が高いほど短くする
ことができる。
【0048】ところで、本発明において、含浸圧力と、
たばこ材料中の初期水分量との間に相関関係があること
がわかった。以下に示す実施例にも示されているよう
に、含浸圧力が高いほど、最も高い範囲の膨化率を達成
するたばこ材料の初期水分量(以下、適正初期水分量と
いう)が少なくてよいことがわかった。例えば、含浸圧
力がゲージ圧で30kg/cm2 の場合は、たばこ材料
の初期水分は20〜25%(乾燥重量基準)であり、含
浸圧力がゲージ圧で40kg/cm2 の場合は、たばこ
材料の初期水分は18〜23%(乾燥重量基準)であ
り、含浸圧力がゲージ圧で50kg/cm2 の場合は、
たばこ材料の初期水分は、16〜21%(乾燥重量基
準)であれば、それぞれの含浸圧力において最も高い範
囲の膨化率が達成される。
【0049】適正初期水分量は、たばこ材料の品種や、
葉分け等級等によって多少変動し得るが、特に種々のた
ばこ原料が混合されたブレンド刻みを用いる際には、上
記水分範囲内に含まれる。
【0050】また、適正初期水分量を含有するたばこ材
料を用いると、含浸圧力が高いほど、高い膨化率が達成
されることもわかった。
【0051】含浸圧力が高いことの別の利点は、使用す
る液体二酸化炭素の必要最少量を低減でき、また、含浸
後のたばこ材料の固着の可能性をより一層排除できると
いうことである。すなわち、例えば、二酸化炭素ガスの
飽和温度は、ゲージ圧で30kg/cm2 においては約
−4.5℃であるが、ゲージ圧で50kg/cm2 にお
いては約+14.5℃である。従って、20〜30℃の
初期品温のたばこ材料を飽和温度までに冷却するに必要
な熱量(従って、液体二酸化炭素の量)は、含浸圧力が
高いほど少なくてよいこととなる。加えて、上に述べた
ように、たばこ材料の適正初期水分量は、含浸圧力が高
いほど、低くなる傾向にあるので、たばこ材料の水分量
に対応する顕熱も少なくなり、冷却に必要な熱量(従っ
て、液体二酸化炭素の量)は、一層低減される。かくし
て、含浸圧力が高いほど、使用する液体二酸化炭素の量
が少なく、含浸中にたばこ材料が到達する温度(二酸化
炭素ガスの飽和温度)が高く、またたばこ材料の適正水
分が低くなるので、たばこ材料の固着の可能性をより一
層排除できる。
【0052】下記表1〜表4に、含浸圧力が、ゲージ圧
で30kg/cm2 (飽和温度−4.5℃、液体二酸化
炭素の蒸発潜熱60kcal/kg)、40kg/cm
2 (飽和温度+6.3℃、液体二酸化炭素の蒸発潜熱5
0kcal/kg)、50kg/cm2 (飽和温度+1
4.5℃、液体二酸化炭素の蒸発潜熱43kcal/k
g)、および60kg/cm2 (飽和温度+22.0
℃、液体二酸化炭素の蒸発潜熱34kcal/kg)、
それぞれの場合における、たばこ材料の初期水分(乾燥
重量基準)とたばこ材料の初期品温と、必要最少量の液
体二酸化炭素量(たばこ材料1kg(乾燥重量基準)に
対する計算値)との関係を示す。なお、表1〜表4に
は、それぞれの含浸圧力において、最も高い膨化率を達
成するたばこ材料の初期水分値を最適水分として示して
ある。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】図1は、本発明の方法において二酸化炭素
によりたばこ材料を含浸させるために使用する含浸装置
の一例を概略的に示す図である。この含浸装置10は、
金属金網容器MCに収容された状態でたばこ原料TMを
収容するための圧力容器(含浸容器)11を備える。こ
の圧力容器11は、例えば、ステンレス鋼で作られ、円
筒状の胴体を有する。この圧力容器11の上部開口端に
は、上蓋12が圧力容器11を気密に閉塞し得るように
開閉自在に取り付けられている。
【0058】上蓋12の下側には、孔径2〜200μm
の多孔質の焼結金属板からなる液体二酸化炭素散布部材
13が上蓋12の下面から離間して設けられている。こ
の散布部材13は、圧力容器11の内部断面平面形状と
同じ平面形状を有し、上蓋12により圧力容器11を気
密に閉じたとき圧力容器11の開口断面を横断するよう
に配置される。
【0059】圧力容器11の外周面は、圧力容器内への
外部熱の侵入を防止して圧力容器11内の含浸圧力を、
従って圧力容器11内の二酸化炭素ガスの飽和温度を維
持するためのジャケット14により覆われている。この
ジャケット14内には、上記飽和温度を維持するために
必要な冷媒または熱媒を循環させることができる。
【0060】圧力容器11の外部には、液体二酸化炭素
を貯蔵するリザーバ20が配置されている。このリザー
バ20内の液体二酸化炭素21の上方は、二酸化炭素ガ
ス22で満たされている。
【0061】圧力容器11に二酸化炭素ガス22を供給
するために、一端部で上蓋12を介して圧力容器11内
と連通し、他端部でリザーバ20の上部と連通するライ
ンL1が設けられている。ラインL1には、圧力容器1
1の頂部近傍に開閉弁V1が設けられている。圧力容器
11内への二酸化炭素ガス22の供給およびその停止
は、弁V1の開閉により制御される。
【0062】リザーバ20の底部と連通して、圧力容器
11内に液体二酸化炭素21を供給するためのラインL
2が設けられている。この液体二酸化炭素供給ラインL
2には、リザーバ20側から順に開閉弁V2、液体二酸
化炭素供給ポンプP、流量計FM、減圧弁V3が設けら
れている。弁V2を開放し、供給ポンプPを駆動するこ
とにより、リザーバ20内の液体二酸化炭素21は、圧
力容器11に向かって流れる。流量計FMは、この液体
二酸化炭素の流量を測定し、設定された積算値に達する
と供給ポンプPを停止する信号を発生する。この信号に
応答して供給ポンプPを停止させることができる。減圧
弁V3は、ラインL2を通って圧力容器11へ供給され
る液体二酸化炭素21を所定の圧力に調節する。
【0063】ラインL2は、減圧弁V3の下流側で2つ
のラインL3およびL4に分岐している。分岐ラインL
3は、圧力容器11の外部でラインL1に合流してい
る。他方の分岐ラインL4は、圧力容器11の上部周囲
において圧力容器11の内部に向かって配設されたスプ
レーノズル(図示せず)と接続している。
【0064】ラインL3を通って供給される液体二酸化
炭素は焼結金属板13の孔を通してたばこ材料TMに散
布される。また、ラインL4を通って供給される液体二
酸化炭素は、上記スプレーノズルからたばこ材料TMに
散布される。分岐ラインL3および分岐ラインL4を通
じる液体二酸化炭素の供給は、同時に行ってもよいし、
適宜切り替えて行ってもよい。そのために、ラインL3
およびラインL4には、それぞれ、開閉弁V4およびV
5が設けられている。なお、ラインL3を通じる液体二
酸化炭素の供給と、ラインL4を通じる液体二酸化炭素
の供給は、いずれか一方のみを行ってもよいので、ライ
ンL3およびラインL4のいずれか一方を省略すること
ができ、その場合、残したライン(L3またはL4)中
の弁(V4またはV5)も不要である。さらにまた、焼
結金属板13の代りに、複数のスプレーノズルを設けた
ディスクを設置して、ラインL3からの液体二酸化炭素
をそのスプレーノズルから散布するようにすることもで
きる。
【0065】さて、圧力容器11内に収容されるたばこ
材料TMの上部、底部および中間部に位置するように、
それぞれ、測温手段例えば熱電対TC1、TC3および
TC2が設置され、その指示温度は、圧力容器11外部
の温度検出器TDにより検出される。
【0066】また、圧力容器11の下方には、液体二酸
化炭素回収タンク15が配置されており、圧力容器11
に供給された液体二酸化炭素がたばこ材料TMを通って
わずかに流れ出る場合に、開閉弁V6を介装したライン
L5を介して、これを受け取る。この回収タンク15に
回収された液体二酸化炭素は、開閉弁V7を介装したラ
インL6を通り、図示しない回収設備において回収・精
製工程を経てリザーバ20に戻される。また、ラインL
5には、弁V6の上流側に、圧力解放ラインL7が接続
しており、これに介装された開閉弁V8の開放により、
圧力容器11内の圧力をほぼ大気圧まで解放することが
できる。圧力解放弁V8からラインL7を通じて排出さ
れた二酸化炭素ガスも図示しない回収設備に送られる。
【0067】さらに、圧力容器11の上部には、圧力容
器11内と連通して保圧弁V9を介装したラインL8が
設けられている。保圧弁V9は、圧力容器11内の二酸
化炭素ガス圧が設定された含浸圧力を超えないように調
節するものであり、減圧弁V3との協働により、含浸圧
力を良好な精度で調節することができる。なお、保圧弁
V9からラインL8を通じて排出された二酸化炭素ガス
も図示しない回収設備に送られる。
【0068】この含浸装置10を用いてたばこ材料を二
酸化炭素で含浸させるために、まず、金網容器MCに収
容されたたばこ材料TMを圧力容器11に入れる。しか
る後、上蓋12を閉じ、弁V1を開放するとともに弁V
8を開放して二酸化炭素ガスを圧力容器11内に短時間
通じ、圧力容器11内をパージする。
【0069】ついで、弁V8を閉じ、圧力容器11内を
二酸化炭素ガスにより所望の含浸圧力まで加圧する。加
圧終了後、弁V1を閉じ、弁V2を開放するとともに、
弁V4および/または弁V5を開放して液体二酸化炭素
をたばこ材料TMの上方から散布する。熱電対TC1〜
TC3全てが含浸圧力での二酸化炭素ガスの飽和温度を
示したら直ちに弁V2、さらには弁V4および/または
弁V5を閉じて液体二酸化炭素の供給を停止する。その
直後、またはそれから所定の保持時間を経過した後、圧
力開放弁V8を開放して圧力容器11内の圧力をほぼ大
気圧まで解放する。しかる後、上蓋12を開けて、二酸
化炭素含浸たばこ材料を取りだし、これを気流乾燥機
(図示せず)に入れて所定の加熱膨化処理を行う。
【0070】以上の説明からもわかるように、この含浸
装置10は、たばこ材料の予備冷却のための別個の装置
を必要とせず、圧力容器に液体二酸化炭素散布手段を付
設するだけの簡単な構成である。本発明によれば、この
ような簡単な構成の装置を用いてたばこ材料に二酸化炭
素を含浸させることにより、膨化処理後、優れた膨化率
(膨嵩性)を有する膨化たばこが得られる。
【0071】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに記載
する。以下の実施例において、二酸化炭素の含浸に用い
た装置は、図1に示す二酸化炭素含浸装置と同様の構造
を有するものであり、本発明による液体二酸化炭素の散
布には、焼結金属板13のみを用いた。含浸装置の操作
は、図1に関して述べた通りに行った。なお、以下の実
施例等において、圧力は、全てゲージ圧である。
【0072】以下の実施例等において各用語は、次のよ
うに定義される。
【0073】水分:100℃の自然対流オーブンにたば
こ材料試料を1時間入れた後に減少した重量を水分量と
する。たばこ材料の乾燥重量に対する水の割合で表す。
なお、この水分の定義は、本明細書を通じて全て適用さ
れる。
【0074】膨嵩性:紙巻たばこを製造する場合のたば
こ材料の充填能力を示す値。ドイツ国のボルグワルド社
(Borgwaldt GmbH)製DD60A型の嵩密度測定器(de
nsimeter)を用いて、以下のように測定する。
【0075】(1)たばこ材料試料を直径60mmの円
筒容器(シリンダー)に充填する。試料は、膨化処理前
の試料は15gを、膨化処理後の試料は再調湿した後1
0gを用いる。
【0076】(2)3kgの荷重がかかった直径56m
mのピストンで充填たばこ材料試料を30秒間圧縮す
る。
【0077】(3)圧縮されたたばこ材料の層の高さが
表示されるので、その値からたばこ材料の見掛け体積を
求める。この見掛け体積をたばこ試料重量で除して得た
値を膨嵩性とする(表示単位cc/g)。
【0078】なお、膨嵩性の数値が高いほど、たばこ材
料の充填能力が高く、紙巻たばこ1本当りに充填するた
ばこ材料の重量が少なくてすむ。
【0079】膨嵩性向上率:膨化処理後のたばこ材料の
膨嵩性を膨化処理前のたばこ材料の膨嵩性で除した値。
この数値が大きいほど、充填能力が向上したこととな
る。
【0080】CO2 保持率:含浸の前後において試料の
重量を測定し、増加重量分を二酸化炭素(CO2 )保持
量とし、このCO2 保持量を含浸前の試料重量(乾燥重
量)で除した値をCO2 保持率とする。
【0081】再調湿:膨化させたたばこ材料を紙巻たば
こ用の適正水分に調整すること。温度22℃、相対湿度
60%の部屋で、1週間蔵置することによって行う。
【0082】喫味品質:たばこの香り、味等を判定する
専門の訓練を受けたパネル10名によって、喫味を官能
評価した結果である。各パネルが、喫味品質を−3、−
2、−1、0、+1、+2、+3の7段階で表し、その
平均値を取る。比較対象(基準)を0として、差がある
を1、かなり差があるを2、きわめて差があるを3とし
て示す。符号+は、喫味品質が良いことを、符号−は、
喫味品質が悪いことを表す。すなわち、−3は、喫味品
質がきわめて悪く、+3は、喫味品質がきわめてよいこ
とを意味する。
【0083】実施例1 代表的なたばこブレンド刻み(記号:B−3)に水を噴
霧して加湿し、下記表5に示す通りの初期水分量の異な
る5種類の試料を調製した。
【0084】加湿後5時間以上経過した各刻み(乾燥重
量で約100g)をステンレス鋼製金網容器に入れ、こ
れを圧力容器(内容積1L(リットル)、直径80m
m、深さ200mm)に収容した。ついで、圧力容器内
を二酸化炭素ガスで10秒間パージした。
【0085】続いて、二酸化炭素ガスを圧力容器内に導
入して圧力容器内を30、40または50kg/cm2
の含浸圧力まで加圧した。
【0086】二酸化炭素ガスの供給を停止した後、圧力
容器の上方からの液体二酸化炭素の供給を開始した。液
体二酸化炭素は、徐々に、たばこ刻み層中の上部、中間
部および最下部にそれぞれ位置する熱電対TC1〜TC
3の全てが含浸圧力における二酸化炭素ガスの飽和温度
示すまで散布した。
【0087】最下部の熱電対が上記飽和温度を示すのと
ほぼ同時に圧力容器の底部からほんのわずかな液体二酸
化炭素が垂れ出た。この時点で、液体二酸化炭素の供給
を停止した。
【0088】供給を停止してから1分経過後、圧力容器
内圧力を約10秒で大気圧まで解放し、二酸化炭素含浸
たばこ刻みを取り出した。
【0089】このたばこ刻みを気流乾燥機に投入して加
熱膨化を行った。気流乾燥機は、内径84.9mm、長
さ12mのステンレス鋼管(膨化管)からなり、80体
積%の水蒸気を含有する高温気流が38m/秒の速度で
流れるものであった。気流乾燥機の入口温度は350℃
に制御した。たばこ刻みの膨化管内通過時間は約1秒で
あった。膨化管を通過した膨化刻みは、タンジェンシャ
ルセパレータで気流から分離され、取り出された。得ら
れた膨化刻みの水分は、3〜4%であった。
【0090】各膨化刻みを再調湿した後、膨嵩性、膨嵩
性向上率およびCO2 保持率を測定した。結果を表5に
示す。
【0091】
【表5】
【0092】表5に示す結果から、本発明の方法により
優れた膨嵩性が達成できることがわかる。また、これら
の結果から、含浸圧力が高いほど、たばこ材料の初期水
分を低くすると、膨嵩性が向上することが確認された。
【0093】本実施例において、最も膨嵩性が高い膨化
刻みが得られた条件(すなわち、含浸圧力50kg/c
2 、たばこ刻みの初期水分18.4%)で、同様の二
酸化炭素含浸処理を行った後、二酸化炭素含浸たばこ刻
みをステンレス鋼製の真空断熱容器に保存・蔵置した。
30分間蔵置した後に、同様に気流乾燥機で加熱膨化を
行った。この蔵置後でも、断熱容器内のたばこ刻みの温
度は、−40℃を維持しており、膨化刻みの膨嵩性は
9.68cc/gであり、蔵置することなく加熱膨化し
た場合の膨嵩性9.77cc/gと遜色なかった。
【0094】一般に、たばこ組織内から揮散する二酸化
炭素の量を最少限に抑制するために、二酸化炭素含浸た
ばこ材料は、含浸後即座に加熱膨張させることが好まし
いとされている。しかしながら、上記結果から、本発明
によれば、適切な保冷手段を採用し、たばこ組織内に3
%(乾燥重量基準)程度の二酸化炭素を含浸させれば、
十分な膨化効果が得られることがわかった。
【0095】実施例2 国内産黄色種たばこ刻み(記号:ESE)のその水分が
25%になるように水を噴霧し加湿した。5時間以上経
過したこの加湿刻み約100g(乾燥重量基準)をステ
ンレス鋼製の金網容器に入れ、実施例1と同様の含浸装
置に収容した後、二酸化炭素ガスで10秒間パージし
た。
【0096】続いて、二酸化炭素ガスで30kg/cm
2 まで加圧した後、液体二酸化炭素を散布した。その1
2秒後に、たばこ刻み中に位置する3つの熱電対TC1
〜TC3は全て、二酸化炭素の30kg/cm2 に対応
する飽和温度すなわち−4.5℃を示した。この時点で
液体二酸化炭素の供給を停止した。供給した液体二酸化
炭素の量は、68gであった。
【0097】液体二酸化炭素の供給を停止してから8秒
後に、圧力容器内の圧力を約10秒間で大気圧まで解放
した。
【0098】含浸処理に要した時間(二酸化炭素ガスに
よる加圧した後から大気圧への解放終了まで)、すなわ
ち含浸時間は、約30秒であった。
【0099】圧力解放後直ちにたばこ刻みを取り出して
重量を測定したところ143.8gであった。二酸化炭
素による含浸処理前のたばこ刻みの重量は122.1g
であったので、含浸後のたばこ刻みは、21.7gの二
酸化炭素を保持したこととなる。これは、たばこ刻みの
乾燥重量に対して22.1%に相当する。
【0100】二酸化炭素含浸たばこ刻みは、圧力容器内
部に対応する円柱形状を維持していたが、手で軽く握る
と容易に崩れ、固着は一切なかった。
【0101】この二酸化炭素含浸刻みを実施例1と同様
の気流乾燥機中で加熱膨化させた。得られた膨化たばこ
刻みの水分は3.4%であった。
【0102】再調湿した後、膨嵩性を測定したところ、
9.42cc/gであった。なお、未処理刻みの膨嵩性
は、4.09cc/gであった。
【0103】次に、保持時間を変えて、同じロットの加
湿刻みを用いて同様の含浸、膨化処理を行った。
【0104】以上の結果をまとめて下記表6に示す。な
お、表6には、含浸時間も記してある。
【0105】
【表6】
【0106】表6に示す結果からわかるように、保持時
間を長くするほど、余剰の少量の液体二酸化炭素が重量
により圧力容器の底部に集まり、CO2 保持率が低下す
る傾向にあるが、膨嵩性は、含浸時間あるいは保持時間
いかんにかかわらず優れていた。従って、必要最少量の
液体二酸化炭素を散布してたばこ原料を確実に冷却すれ
ば、30秒もの短い含浸時間でも良好な膨嵩性を達成で
きることが明らかとなった。
【0107】比較例1 実施例2で用いた加湿刻みを用いて、特公昭56−50
830号公報記載の実施例の手法に基づいて二酸化炭素
を含浸させた。すなわち、実施例2で使用した圧力容器
内に同様に加湿刻みを収容し、二酸化炭素ガスでパージ
した後、液体二酸化炭素を圧力容器上部の保圧弁V9か
ら液体二酸化炭素が吹き出てくるまで圧力容器内に供給
した。液体二酸化炭素を圧力容器に充満させるまでの時
間は、圧力容器の容積、ポンプ能力、配管および供給弁
の大きさによって異なるが、本比較例では、1分30秒
の時間を要した。
【0108】ついで、圧力容器から回収タンクへと液体
二酸化炭素を抜き取った。この抜き取りには1分を要し
た。
【0109】連続した液体二酸化炭素の吹き出しが終わ
った後、弁V6を閉め、液切りのために下記表7に示す
液切り時間を経過した後に、圧力を大気圧まで解放し
た。圧力解放に要した時間は、実施例1と同様約10秒
であった。
【0110】従って、パージ時間以外の含浸処理に要し
た時間は、液抜き後の液切り時間に加えて2分40秒必
要であった。
【0111】取り出した含浸刻みは、固結しており、手
で強くほぐしてから、実施例1と同じ条件で気流乾燥機
により加熱膨化させた。結果を表7に示す。
【0112】
【表7】
【0113】液体二酸化炭素の浸漬による含浸では、液
抜き後に液切りのために所定の液切り時間を設けること
により二酸化炭素保持率を低下させて含浸刻みの固結を
減少させることが有効であるとされている。しかしなが
ら、液抜き後液切り時間を5分取った場合であっても、
実施例2における含浸時間30秒の場合の保持率と同程
度となったに過ぎず、膨嵩性もやや劣っていた。これ
は、たばこ材料全体を液体二酸化炭素に浸漬すると、過
剰の液体二酸化炭素がたばこ材料に対して存在すること
となり、連続した液体二酸化炭素の流れが停止しても、
なおたばこ材料の間隙に液体二酸化炭素が残留してしま
うためと考えられる。また、たばこ材料の表面に付着し
た固体二酸化炭素の量が多いので、これを昇華させるた
めに熱が奪われてしまい、気流乾燥機で瞬間的に含浸刻
みを加熱してもその分膨化効果が低下するものと考えら
れる。
【0114】実施例3 実施例1における3水準の含浸圧力の下でそれぞれ最も
高い膨嵩性を示した初期水分を含有するたばこ材料(加
湿刻み)を実施例1と同様の操作により二酸化炭素で含
浸させた。取り出したたばこ材料を実施例1で使用した
気流乾燥機とは異なる気流乾燥機を用いて加熱膨化させ
た。本実施例で使用した気流乾燥機は、膨化管の長さが
20mであり、入口温度を180℃または260℃に制
御した。気流の流速は、実施例1と同じであった。得ら
れた結果を下記表8に示す。表8には、実施例1の加熱
膨化条件の下での結果も併記した。
【0115】
【表8】
【0116】表8の結果から明らかなように、260℃
で2秒間の加熱膨化処理により、350℃で1秒間の加
熱膨化処理の場合と同等の膨嵩性が得られている。20
0℃で2秒間の加熱膨化処理による膨嵩性は、これより
もやや劣るものの、高い値であった。
【0117】実施例4 この実施例では、容量10L(直径200mm、深さ3
20mm)の圧力容器を使用して、ブレンド刻み(B−
3;初期水分25%)を実施例2と同様の操作により膨
化させた。
【0118】すなわち、約1250g(乾燥重量で10
00g)のブレンド刻みを圧力容器に充填した後、二酸
化炭素ガスにより30kg/cm2 まで加圧し、790
gの液体二酸化炭素を散布した。この液体二酸化炭素の
供給量は、乾燥重量基準でブレンド刻みの79%に相当
する。
【0119】二酸化炭素ガスによる上記含浸圧力までの
加圧と液体二酸化炭素の散布は、1分間で行った。液体
二酸化炭素の供給が終了してから1分後に、ブレンド刻
み層中の3箇所の熱電対TC1〜TC3は全て飽和温度
(−4.5℃)を示した。
【0120】保持時間を0分(なし)、3分または8分
取り、その後圧力容器内の圧力を約30秒間で大気圧ま
で解放した。
【0121】取り出したブレンド刻みを、それぞれ複数
本の長さ30mmのピンを立設した一対のローラーから
なる刻み解除機に通した後、実施例1と同じ条件の下
で、気流乾燥機で加熱膨化させた。結果を下記表9に示
す。
【0122】比較例2 実施例4で使用した圧力容器を用い、比較例1の手法に
より同様のブレンド刻みを液体二酸化炭素に浸漬し、そ
の後の処理を行った。
【0123】この比較例2においては、ブレンド刻みを
液体二酸化炭素に浸漬させるために8分、液体二酸化炭
素を液抜きするために2分の時間を要した。
【0124】液切り時間0分(なし)、3分または8分
を経過した後、圧力容器内圧力を約30秒間で大気圧ま
で解放した。
【0125】取り出したブレンド刻みを実施例4で用い
た刻み解除機に通した後、同様の気流乾燥機で同条件で
加熱膨化させた。
【0126】結果を下記表9に併記する。表9におい
て、「経過時間」は、実施例4においては、上記保持時
間を意味し、比較例2においては、上記液切り時間を意
味する。
【0127】
【表9】
【0128】表9からも明らかなように、液体二酸化炭
素を散布する本発明の方法によれば、余分な二酸化炭素
をほとんど使用しないため、どのような装置規模であっ
ても液体二酸化炭素に浸漬する方法よりも含浸時間を短
縮することができる。含浸時間が短縮されれば、単位時
間当たりの処理量を増加させることができるか、あるい
は装置を小型化できる。
【0129】さらに、容積が大きい圧力容器を用いる
と、本発明の液体二酸化炭素散布法と従来の液体二酸化
炭素浸漬法による二酸化炭素保持率が大きく異なってい
た(表9参照)。従来の浸漬方法では、余分な二酸化炭
素がかなり残留しており、8分間の液切り保持時間を取
っても、二酸化炭素保持率は、約28%であった。取り
出したたばこ刻みの下半分は、著しく固着しており、手
で握っても崩れないため、刻み解除機を用いてその塊を
ほぐす必要があった。たばこ刻みを固着させるような余
分な二酸化炭素は、回収することが困難であり、環境や
製造コストに悪影響を及ぼす可能性があるため、好まし
くない。
【0130】他方、液体二酸化炭素の散布による本発明
の方法では、予め決められた必要最少限量の二酸化炭素
を有効に使用するため、余分な二酸化炭素はほとんどな
い。従って、取り出した刻みは固着しておらず、はじめ
からほぐれており、刻み解除機のローラー間をほとんど
素通りした。
【0131】次に、それぞれ実施例4および比較例2に
おいて保持時間を8分間取った両方法による膨化後の刻
みを篩分けした。篩分け機としてドイツ国のJEL社
(J. Engelsmann AG)のPRUEFSIB JEL20
0型を用い、篩として国際標準化機構(ISO)、日本
工業規格(JIS)により制定された目開き4.00、
3.15、2.00、1.00および0.50mmの篩
を重ねて上記篩分け機に設置した。
【0132】まず、膨化刻みを十分に混合して縮分して
25gを計り取った。この刻みを2分間の篩いに供し、
それぞれの篩上に残った刻みおよび0.50mmの篩を
通過した刻みの重量を正確に測り、初めの刻み重量(2
5g)に対するそれぞれの割合を求めた。この測定操作
を1試料につき8回繰り返し、平均値を求めた。結果を
表10に示す。
【0133】
【表10】
【0134】刻みが固着すると、これを解除する際に刻
みの破砕が生じる。1mmの目開きの篩を通過するよう
な微細な刻み(細粉)は、紙巻たばこの製造には不適当
であり、歩留まりが低下してしまう。
【0135】表10からもわかるように、従来の二酸化
炭素浸漬法では、含浸刻みの固着が著しく、刻み解除に
よる破砕が大きく、本発明の液体二酸化炭素散布法によ
るものと比較して全体的に刻みの長さが短くなってい
た。特に、1mmの篩を通過した細粉の割合が20%を
超えていた。
【0136】これに対し、本発明の液体二酸化炭素散布
法によるものは、刻み解除機をほとんど素通りすること
から、含浸刻みの破砕が少なく、細粉の割合は11%で
あり、従来の浸漬法によるものの半分であった。
【0137】次に、この篩い分けに用いた残りの膨化刻
みを紙巻たばこに巻き上げて、処理方法を明かさないで
喫味品質の比較を行った。判定結果は、従来の浸漬法に
よるものを0とした場合に、本発明の散布法によるもの
は、+2であり、明らかに喫味品質が優れていた。これ
は、従来の浸漬法によるものは、特に、液体二酸化炭素
が揮発性成分を溶解するので、たばこの香りがぬけてし
まうことに起因していると考えられる。
【0138】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明によれば、必要
最少限の二酸化炭素を用いて二酸化炭素をたばこ材料に
短時間で含浸させることができ、かつ品質の優れた膨化
たばこ材料を簡単な構成の装置を用いて製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法においてたばこ材料を二酸化炭素
により含浸させるために使用する含浸装置の一例を概略
的に示す図。
【符号の説明】
11…圧力容器(含浸容器) 12…上蓋 13…液体二酸化炭素散布手段(焼結金属板) 15…液体二酸化炭素回収タンク 20…二酸化炭素リザーバ 21…液体二酸化炭素 22…二酸化炭素ガス TM…たばこ材料 L1〜L8…ライン V1〜V9…弁 TC1〜TC3…熱電対
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内山 研輔 神奈川県横浜市青葉区梅が丘6−2 日本 たばこ産業株式会社たばこ中央研究所内

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)たばこ材料を圧力容器に入れ、 (b)二酸化炭素ガスにより該圧力容器内をゲージ圧で
    少なくとも約4.3kg/cm2 の含浸圧力まで加圧
    し、 (c)該含浸圧力を維持しながら、該たばこ材料の上方
    から液体二酸化炭素を供給して該圧力容器内を該液体二
    酸化炭素の蒸発により二酸化炭素ガスで飽和させ、 (d)所定時間保持した後、該圧力容器内の圧力をほぼ
    大気圧まで減圧し、 (e)該圧力容器からたばこ材料を取り出し、 (f)取り出したたばこ材料を気流乾燥機に供給し、該
    気流乾燥機において高温の気流と接触させることにより
    たばこ材料を膨化させ、 (g)該高温の気流から膨化たばこ材料を分離する各工
    程を備えたことをを特徴とする膨化たばこ材料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 工程(a)におけるたばこ材料が、乾燥
    重量基準で12ないし33%の水分を有することを特徴
    とする請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 工程(a)におけるたばこ材料が、20
    ないし30℃の温度にあることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 工程(b)における含浸圧力が、ゲージ
    圧で10ないし74kg/cm2 であることを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれか1項記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 工程(b)における含浸圧力が、ゲージ
    圧で30ないし60kg/cm2 であることを特徴とす
    る請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 工程(b)における含浸圧力が高いほ
    ど、少ない水分を有するたばこ材料を工程(a)で用い
    ることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項記
    載の製造方法。
  7. 【請求項7】 工程(c)における液体二酸化炭素の供
    給量が、乾燥重量基準のたばこ材料の重量の0.04な
    いし約2.4倍であることを特徴とする請求項1ないし
    6のいずれか1項記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 工程(c)における液体二酸化炭素の供
    給量が、乾燥重量基準のたばこ材料の重量の0.06な
    いし約1.4倍であることを特徴とする請求項7記載の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 工程(c)において、たばこ材料の温度
    が含浸圧力における二酸化炭素ガスの飽和温度に達した
    直後に液体二酸化炭素の供給を停止することを特徴とす
    る請求項1ないし8のいずれか1項記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 工程(c)において、液体二酸化炭素
    が圧力容器の底部からわずかに流出した時点で液体二酸
    化炭素の供給を停止することを特徴とする請求項1ない
    し8のいずれか1項記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 工程(d)における保持時間が、10
    秒以上であることを特徴とする請求項1ないし10のい
    ずれか1項記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 工程(f)における高温の気流が水蒸
    気を含み、260℃ないし350℃の温度にあることを
    特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項記載の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 工程(f)において、たばこ材料を高
    温の気流と1ないし2秒間接触させることを特徴とする
    請求項12記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 工程(f)において、たばこ材料を乾
    燥重量基準で8%以下の水分となるまで膨化させること
    を特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項記載の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 (a)第1の温度にあるたばこ材料を
    圧力容器に入れる工程、 (b)該第1の温度における二酸化炭素ガスの飽和圧力
    よりも低い含浸圧力まで該圧力容器内を二酸化炭素ガス
    で加圧する工程、 (c)該圧力容器内のたばこ材料が該含浸圧力における
    二酸化炭素ガスの飽和温度に相当する第2の温度に達す
    るに必要最少限量の液体二酸化炭素を該圧力容器内のた
    ばこ材料の上方から該たばこ材料に供給してたばこ材料
    と接触させ、該液体二酸化炭素の蒸発潜熱により該たば
    こ材料を該第2の温度まで冷却することにより、二酸化
    炭素を該たばこ材料に含浸させる工程、 (d)該圧力容器から二酸化炭素含浸たばこ材料を取り
    出す工程、 (e)該取り出した二酸化炭素含浸たばこ材料を加熱膨
    化させる工程を備えた膨化たばこ材料の製造方法。
  16. 【請求項16】 工程(a)における第1の温度が、2
    0ないし30℃の温度であることを特徴とする請求項1
    5記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 工程(a)におけるたばこ材料が、乾
    燥重量基準で12ないし25%の水分を有することを特
    徴とする請求項15または16記載の製造方法。
  18. 【請求項18】 工程(b)における含浸圧力が、二酸
    化炭素の三重点における圧力以上、臨界点における圧力
    未満であることを特徴とする請求項15ないし17のい
    ずれか1項記載の製造方法。
  19. 【請求項19】 工程(b)における含浸圧力が、ゲー
    ジ圧で10ないし74kg/cm2 であることを特徴と
    する請求項18記載の製造方法。
  20. 【請求項20】 工程(b)における含浸圧力が高いほ
    ど、少ない水分を有するたばこ材料を工程(a)で用い
    ることを特徴とする請求項15ないし19のいずれか1
    項記載の製造方法。
  21. 【請求項21】 工程(c)における液体二酸化炭素の
    供給量が、理論量の1ないし約7倍であることを特徴と
    する請求項15ないし20のいずれか1項記載の製造方
    法。
  22. 【請求項22】 工程(c)における液体二酸化炭素の
    供給量が、理論量の1.5ないし約4倍であることを特
    徴とする請求項21記載の製造方法。
  23. 【請求項23】 工程(c)において、たばこ材料の温
    度が第2の温度に達した直後に液体二酸化炭素の供給を
    停止することを特徴とする請求項15ないし22のいず
    れか1項記載の製造方法。
  24. 【請求項24】 工程(c)において、液体二酸化炭素
    が圧力容器の底部からわずかに流出した時点で液体二酸
    化炭素の供給を停止することを特徴とする請求項15な
    いし22のいずれか1項記載の製造方法。
  25. 【請求項25】 工程(e)において、二酸化炭素含浸
    たばこ材料を水蒸気を含み、260℃ないし350℃の
    温度にある気流と接触させることを特徴とする請求項1
    5ないし24のいずれか1項記載の製造方法。
  26. 【請求項26】 工程(e)において、二酸化炭素含浸
    たばこ材料を1ないし2秒間気流と接触させることを特
    徴とする請求項25記載の製造方法。
  27. 【請求項27】 工程(e)において、たばこ材料を乾
    燥重量基準で8%以下の水分となるまで膨化させること
    を特徴とする請求項15ないし26のいずれか1項記載
    の製造方法。
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