JPH09291085A - エポキシ化合物およびその合成中間体 - Google Patents

エポキシ化合物およびその合成中間体

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JPH09291085A
JPH09291085A JP10580096A JP10580096A JPH09291085A JP H09291085 A JPH09291085 A JP H09291085A JP 10580096 A JP10580096 A JP 10580096A JP 10580096 A JP10580096 A JP 10580096A JP H09291085 A JPH09291085 A JP H09291085A
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propane
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JP10580096A
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Akinori Nishio
昭徳 西尾
Tetsuo Komata
哲夫 小俣
Katsumi Shimada
克実 嶋田
Hirokatsu Kamiyama
博克 神山
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐吸湿性樹脂、耐光性樹脂、耐熱性樹脂等のモ
ノマーとして用いた場合でも、加熱による亀裂破壊、自
然光による着色、加熱による変形等の問題が生じること
がない新規なエポキシ化合物を提供する。 【解決手段】下記の一般式(1)で表される新規なエポ
キシ化合物である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なエポキシ化
合物およびその合成中間体に関するものである。さらに
詳しくは、環骨格内に不飽和結合を有しない新規なエポ
キシ化合物およびその合成中間体に関するものである。
本発明のエポキシ化合物は、耐吸湿性樹脂、耐光性樹
脂、耐熱性樹脂等のモノマーとして利用することができ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、エポキシ化合物は、樹脂用モノ
マーとして広く用いられている。このようなエポキシ化
合物は、環構造を基本骨格とするものが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のエポキシ化合物は、環骨格内に不飽和結合を有する
構造であるため、親水性に富み、紫外線を吸収するとい
う特徴を備えている。そのため、上記従来のエポキシ化
合物を、耐吸湿性樹脂、耐光性樹脂、耐熱性樹脂等のモ
ノマーとして用いると、加熱によって亀裂破壊が生じた
り、自然光によって着色する等の問題が生じる。
【0004】なお、不飽和結合を有しないエポキシ化合
物としては、基本骨格が上記のように環構造ではなく、
直鎖構造のものが知られているが、この基本骨格が直鎖
構造のものは、構造が柔軟であるため加熱によって変形
する等の問題が生じる。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、耐吸湿性樹脂、耐光性樹脂、耐熱性樹脂等のモ
ノマーとして用いた場合でも、加熱による亀裂破壊、自
然光による着色、加熱による変形等の問題が生じること
がない新規なエポキシ化合物およびその合成中間体の提
供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、下記の一般式(1)で表されるエポキシ
化合物を第1の要旨とする。
【0007】
【化5】
【0008】また、下記の一般式(3)で表されるエポ
キシ化合物の合成中間体を第2の要旨とする。
【0009】
【化6】
【0010】すなわち、本発明者らは、耐吸湿性樹脂、
耐光性樹脂、耐熱性樹脂等のモノマーとして用いた場合
でも、加熱による亀裂破壊、自然光による着色、加熱に
よる変形等の問題が生じることがないエポキシ化合物を
得るために一連の研究を重ねた。そして、その研究の過
程において、基本骨格が環構造であり、しかも環骨格内
に不飽和結合を有しない上記一般式(1)で表される新
規なエポキシ化合物が、耐吸湿性樹脂、耐光性樹脂、耐
熱性樹脂等のモノマーとして優れていることを見いだし
本発明に到達した。
【0011】また、下記の式(2)で表されるエポキシ
化合物、すなわち2,2−ビス(3,5−ジメチル−4
−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパンが、加熱
による亀裂破壊、自然光による着色、加熱による変形等
の問題が生じることがなく、耐吸湿性樹脂、耐熱性樹
脂、耐光性樹脂等のモノマーとして特に優れていること
を突き止めた。
【0012】
【化7】
【0013】そして、下記の一般式(3)で表される新
規化合物から、上記一般式(1)で表される新規なエポ
キシ化合物を容易に合成することができることを突き止
めた。
【0014】
【化8】
【0015】さらに、下記の式(4)で表される新規化
合物、すなわち2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンから、上記式
(2)で表される2,2−ビス(3,5−ジメチル−4
−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパンを容易に
合成することができることを突き止めた。
【0016】
【化9】
【0017】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0018】本発明の新規なエポキシ化合物は、下記の
一般式(1)で表される構造を備えている。
【0019】
【化10】
【0020】すなわち、上記一般式(1)で表される新
規なエポキシ化合物は、基本骨格が環構造であり、しか
も環骨格内に不飽和結合を有しないため、加熱による亀
裂破壊、自然光による着色、加熱による変形等の問題が
生じることがなく、耐吸湿性樹脂、耐光性樹脂、耐熱性
樹脂等のモノマーとして優れているのである。
【0021】なかでも、下記の式(2)、(5)〜(1
4)で表される新規なエポキシ化合物がより好ましい。
【0022】下記の式(2)で表される2,2−ビス
(3,5−ジメチル−4−グリシジルオキシシクロヘキ
シル)プロパン。
【0023】
【化11】
【0024】下記の式(5)で表される2,2−ビス
(3,5−ジイソプロピル−4−グリシジルオキシシク
ロヘキシル)プロパン。
【0025】
【化12】
【0026】下記の式(6)で表される2,2−ビス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−グリシジルオキシシク
ロヘキシル)プロパン。
【0027】
【化13】
【0028】下記の式(7)で表される2,4−ジメチ
ル−3,3−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシ
ル)ペンタン。
【0029】
【化14】
【0030】下記の式(8)で表される2,4−ジメチ
ル−3,3−ビス(3,5−ジメチル−4−グリシジル
オキシシクロヘキシル)ペンタン。
【0031】
【化15】
【0032】下記の式(9)で表される2,4−ジメチ
ル−3,3−ビス(3,5−ジイソプロピル−4−グリ
シジルオキシシクロヘキシル)ペンタン。
【0033】
【化16】
【0034】下記の式(10)で表される2,4−ジメ
チル−3,3−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−グ
リシジルオキシシクロヘキシル)ペンタン。
【0035】
【化17】
【0036】下記の式(11)で表される1,1,1,
3,3,3,−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−グ
リシジルオキシシクロヘキシル)プロパン。
【0037】
【化18】
【0038】下記の式(12)で表される1,1,1,
3,3,3,−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,5
−ジメチル−4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プ
ロパン。
【0039】
【化19】
【0040】下記の式(13)で表される1,1,1,
3,3,3,−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,5
−ジイソプロピル−4−グリシジルオキシシクロヘキシ
ル)プロパン。
【0041】
【化20】
【0042】下記の式(14)で表される1,1,1,
3,3,3,−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−グリシジルオキシシクロヘキシ
ル)プロパン。
【0043】
【化21】
【0044】なかでも、上記式(2)で表される2,2
−ビス(3,5−ジメチル−4−グリシジルオキシシク
ロヘキシル)プロパンが、加熱による亀裂破壊、自然光
による着色、加熱による変形等の問題が生じることがな
く、耐吸湿性樹脂、耐光性樹脂、耐熱性樹脂等のモノマ
ーとしてより優れているため、特に好ましい。
【0045】つぎに、本発明の新規なエポキシ化合物の
製造方法について、下記に示す反応式に基づいて具体的
に説明する。すなわち、下記の一般式(1)で表される
エポキシ化合物は、下記の一般式(15)で表される公
知のビスフェノール誘導体を出発物質として、下記の一
般式(3)で表される本発明の合成中間体A、および下
記の一般式(16)で表される合成中間体Bを経て、以
下のような方法で製造される。
【0046】
【化22】
【0047】 上記一般式(3)で表される合成中間
体Aの製造例 まず、上記一般式(15)で表される公知のビスフェノ
ール誘導体を準備し、これに活性炭担持ルテニウム触媒
等の水素添加触媒を加え、50〜150kgf、好まし
くは100〜120kgfの加圧水素雰囲気下、50〜
200℃×2〜8時間、好ましくは120℃×4時間の
反応条件で、2−プロパノール等の溶媒や、水酸化ナト
リウム等の助触媒を用いて還元反応を行うことにより、
上記一般式(3)で表される合成中間体Aを製造するこ
とができる。
【0048】上記一般式(15)で表されるビスフェノ
ール誘導体は、公知のビスフェノール誘導体であれば特
に制限されるものではないが、ジイソプロピルケトン、
ジトリフルオロメチルケトン等のケトン類と、フェノー
ル、ジメチルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェ
ノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等のフェノ
ール類とから誘導されるビスフェノール誘導体がより好
ましく、特に好ましくは、下記の式(17)で表される
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパンである。
【0049】
【化23】
【0050】上記水素添加触媒としては、活性炭担持ル
テニウム触媒、ラネーニッケル、アルミナ担持ロジウム
触媒、アルミナ担持ルテニウム触媒、酸化白金触媒等が
好ましく、なかでも活性炭担持ルテニウム触媒が特に好
ましい。
【0051】上記溶媒としては、テトラヒドロフラン等
のエーテル類や、ヘキサン、ヘプタン等の飽和炭化水素
類や、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、
2−ブタノール、ペンタノール、2−ペンタノール等の
アルコール類が好ましく、なかでも2−プロパノールが
特に好ましい。
【0052】上記溶媒の上記ビスフェノール誘導体に対
する添加量としては、操作の簡便性や反応時間等を考慮
すれば、30〜70重量%の範囲が好ましく、特に好ま
しくは50重量%である。
【0053】上記助触媒としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等の強塩基性化合物や、酢酸等の弱酸化
合物が好ましく、特に好ましくは水酸化ナトリウムであ
る。また、上記助触媒の上記ビスフェノール誘導体に対
する添加量としては、0.1〜10モル%の範囲が好ま
しく、特に好ましくは0.5モル%である。なお、操作
の簡便性や、反応系を均一にして反応効率を高める等の
点で、上記助触媒を水溶液として使用することもでき
る。
【0054】 上記一般式(16)で表される合成中
間体Bの製造例 上記で得られる合成中間体Aとテトラヒドロフランと
の混合溶液を、水素化ナトリウムとテトラヒドロフラン
との懸濁溶液に加え、加熱還流下、3〜7時間、好まし
くは4〜5時間攪拌を行う。そして、アリルブロマイド
を滴下した後、65〜75℃×25時間攪拌を行うこと
により、上記一般式(16)で表される合成中間体Bを
製造することができる。
【0055】 上記一般式(1)で表されるエポキシ
化合物(最終生産物)の製造例 上記で得られる合成中間体Bに、炭酸水素ナトリウム
等の塩基、および塩化メチレン等の溶媒を加えた反応溶
液を冷水で冷却し、m−塩化過安息香酸等の酸化剤を加
え、室温で、48〜96時間、好ましくは60〜70時
間攪拌を行うことにより、上記一般式(1)で表される
エポキシ化合物(最終生産物)を製造することができ
る。
【0056】上記塩基としては、炭酸水素ナトリウム、
水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等が好ましく、なかで
も炭酸水素ナトリウムが特に好ましい。上記塩基の添加
量としては、酸化剤に対して等量から2当量が好まし
い。
【0057】上記溶媒としては、クロロホルム等のハロ
ゲン化合物や、ヘキサン、トルエン等の炭化水素類が好
ましく、なかでも塩化メチレンが特に好ましい。上記溶
媒の添加量としては、酸化剤が3〜10重量%になるよ
う加えることが好ましい。
【0058】上記酸化剤としては、m−塩化過安息香
酸、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等
が好ましく、なかでもm−塩化過安息香酸が特に好まし
い。上記酸化剤の添加量としては、上記塩基を溶媒の反
応溶液に対して2〜4当量になるよう加えることが好ま
しい。
【0059】また、上記のような酸化剤を用いる方法以
外にも、例えば、エピクロロヒドリン等を用いることに
よっても、上記一般式(1)で表されるエポキシ化合物
(最終生産物)を製造することができる。すなわち、上
記で得られる合成中間体Aに、エピクロロヒドリン
を、水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウムの存在
下、常法により、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンと加熱すること
により合成することができる。
【0060】つぎに、実施例について説明する。
【0061】
【実施例1】 2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−グリシジルオキ
シシクロヘキシル)プロパンの製造例
【0062】本発明の新規なエポキシ化合物である2,
2−ビス(3,5−ジメチル−4−グリシジルオキシシ
クロヘキシル)プロパンは、下記に示す反応式に基づい
て製造した。すなわち、下記の式(17)で表される公
知の2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンを出発物質として、下記の式(4)
で表される2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシシクロヘキシル)プロパン(合成中間体a)、お
よび下記の式(18)で表される2,2−ビス(3,5
−ジメチル−4−アリルオキシシクロヘキシル)プロパ
ン(合成中間体b)を経て、下記の式(2)で表される
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−グリシジルオキ
シシクロヘキシル)プロパン(最終生産物)を製造し
た。
【0063】
【化24】
【0064】 上記式(4)で表される2,2−ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシシクロヘキシル)
プロパン(合成中間体a)の製造例
【0065】(1)まず、上記式(17)で表される公
知の2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンを、自体既知の方法に従って製造し
た。
【0066】すなわち、2,6−キシレノール110g
に、アセトン52ml、塩化鉄0.22g、プロピルチ
オール0.9g、および硫酸19.6gを加えた反応溶
液を、55℃で2時間攪拌した。さらに、アセトン26
ml、塩化鉄0.22g、および硫酸19.6gを加
え、55℃で攪拌を行った。得られた反応生成物を炭酸
水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、さらに硫
酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。この反応生成
物にn−ヘキサンを加え沈殿を生じさせ、これを濾過し
て回収し、この濾物を酢酸エチルで再結晶して精製を行
うことにより、上記式(17)で表される公知の2,2
−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパンを製造した。
【0067】そして、得られた2,2−ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンの生成
は、下記の赤外線吸収スペクトルおよびプロトン核磁気
共鳴スペクトルの各測定により確認した。なお、得られ
た反応生成物の融点は163〜164℃であり、重量は
58.9g(収率46.0%)であった。
【0068】すなわち、上記反応生成物の赤外線吸収ス
ペクトルの吸収波数(cm-1)は、図1のチャート図に
示すように、3350、3050、2950、285
0、1760、1600、1480、1440、138
0、1320、1300、1220、1180、111
0、1020、990、940、880、860、77
0、730、660、580であった。なお、測定は試
料をKBr錠剤法によって調整して行った。
【0069】また、プロトン核磁気共鳴スペクトルのδ
値(ppm)は、図2のチャート図に示すように、1.
6(s,6H)、2.2(s,12H)、4.5(s,
2H)、6.8(s,4H)であった。なお、測定は試
料をクロロホルム溶液(d−CHCl3 )に溶かし、周
波数が100MHzのプロトン核磁気共鳴により行っ
た。
【0070】(2)上記(1)で得られた2,2−ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(化合物17)90.6gに、活性炭担持ルテニウム
触媒5.4g、40%水酸化ナトリウム水溶液1ml、
およびイソプロパノール140mlを加え、初期水素圧
力100kgf、反応温度120℃で4時間攪拌した。
そして、反応混合物からセライト濾過により触媒を取り
除いた後、濃縮した。ついで、反応混合物にジエチルエ
ーテルを加え、2規定水酸化ナトリウム、および2規定
塩酸で洗浄して有機層を抽出した。この有機層を硫酸マ
グネシウムで乾燥し、減圧下加熱することにより濃縮し
た。この反応混合物にn−ヘキサン:エーテル20:1
(重量比)混合溶媒210mlを加え、室温で1日放置
した。この反応混合物を濾過し、濾物として上記式
(4)で表される2,2−ビス(3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(合成中間体
a)の結晶体15.6gを得た。さらに、濾液を濃縮し
て、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
シクロヘキシル)プロパン(合成中間体a)の非晶質体
32.7gを得た。
【0071】そして、得られた2,2−ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン
(合成中間体a)の生成は、下記の赤外線吸収スペクト
ルおよびプロトン核磁気共鳴スペクトルの各測定により
確認した。また、得られた反応生成物の結晶体を元素分
析した結果、分子式はC19362 であり、結晶体と非
晶質体とをあわせた総重量は48.3g(収率51.9
%)であった。得られた合成中間体aは、結晶体は外観
が白色粉末様であり、非晶質体は外観が飴状であった。
このように同一構造の化合物が異なる外観をもつ物質と
して生成する理由は、結晶体、非晶質体それぞれに含ま
れる配座異性体の混合比が異なることによるので、これ
は還元反応による触媒、反応条件等により変化させるこ
とが可能である。なお、結晶体の融点は166〜167
℃であった。
【0072】すなわち、上記反応生成物の赤外線吸収ス
ペクトルの吸収波数(cm-1)は、結晶体および非晶質
体ともに、図3のチャート図に示すように、3375、
2980、2870、1460、1360、1300、
1180、1100、1050、970、840、62
0、540であった。なお、測定は試料をKBr錠剤法
によって調整して行った。
【0073】また、プロトン核磁気共鳴スペクトルのδ
値(ppm)は、結晶体および非晶質体ともに、図4の
チャート図に示すように、0.6〜0.8(m,6
H)、0.9〜1.2(m,12H)、1.2〜1.8
(m,14H)、2.0〜3.5(m,2H)であっ
た。なお、測定は試料をクロロホルム溶液(d−CHC
3)に溶かし、周波数が100MHzのプロトン核磁
気共鳴により行った。
【0074】 上記式(18)で表される2,2−ビ
ス(3,5−ジメチル−4−アリルオキシシクロヘキシ
ル)プロパン(合成中間体b)の製造例
【0075】まず、上記で得られた合成中間体a8
9.3gとテトラヒドロフラン680mlとの混合溶液
を、水素化ナトリウム26.7gとテトラヒドロフラン
120mlとの懸濁溶液に加え、加熱還流下、5時間攪
拌を行った。そして、アリルブロマイド219gを滴下
し、65〜75℃で25時間攪拌を行った。そして、氷
冷下で反応生成物に食塩水を加えた後有機層を抽出し、
硫酸マグネシウムで抽出物を乾燥後濃縮した。この反応
生成物をシリカゲル3600g、n−ヘキサン:酢酸エ
チル=5:1(重量比)溶媒で精製を行うことにより、
上記式(18)で表される2,2−ビス(3,5−ジメ
チル−4−アリルオキシシクロヘキシル)プロパン(合
成中間体b)を作製した。
【0076】そして、得られた2,2−ビス(3,5−
ジメチル−4−アリルオキシシクロヘキシル)プロパン
(合成中間体b)の生成は、下記の赤外線吸収スペクト
ルおよびプロトン核磁気共鳴スペクトルの各測定により
確認した。なお、得られた反応生成物の重量は47.9
g(収率42.2%)である。
【0077】すなわち、上記反応生成物の赤外線吸収ス
ペクトルの吸収波数(cm-1)は、図5のチャート図に
示すように、3070、2930、2850、164
0、1450、1400、1380、1360、134
0、1280、1140、1100、1080、92
0、800、660、450であった。なお、測定は試
料をNeatでKBr板に挟んだものを用い行った。
【0078】また、プロトン核磁気共鳴スペクトルのδ
値(ppm)は、図6のチャート図に示すように、0.
6〜0.8(m,6H)、0.9〜1.2(m,12
H)、1.2〜1.8(m,14H)、2.0〜3.2
(m,2H)、3.4〜4.2(m,4H)、4.9〜
5.4(m,4H)、5.6〜6.1(m,2H)であ
った。なお、測定は試料をクロロホルム溶液(d−CH
Cl3 )に溶かし、周波数が100MHzのプロトン核
磁気共鳴により行った。
【0079】 上記式(2)で表される2,2−ビス
(3,5−ジメチル−4−グリシジルオキシシクロヘキ
シル)プロパン(最終生産物)の製造例
【0080】上記で得た合成中間体b110gに、炭
酸水素ナトリウム100.32g、および塩化メチレン
2820gを加えた反応溶液を冷水で冷却し、m−塩化
過安息香酸177.9gを加え、室温で72時間攪拌し
た。この反応溶液にチオ硫酸ナトリウム五水和物水溶液
1.6リットルを加え、室温で3時間攪拌した。そし
て、有機層を抽出し、水、飽和食塩水の順で洗浄し、硫
酸マグネシウムで乾燥した後濃縮した。この回収物をシ
リカゲル2000g、n−ヘキサン:酢酸エチル=4:
1(重量比)で精製することにより、上記式(2)で表
される2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−グリシジ
ルオキシシクロヘキシル)プロパン(最終生産物)を製
造した。
【0081】そして、得られた2,2−ビス(3,5−
ジメチル−4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロ
パン(最終生産物)の生成は、下記のガスクロマトグラ
フィー−質量スペクトル、赤外線吸収スペクトルおよび
プロトン核磁気共鳴スペクトルの各測定により確認し
た。なお、得られた反応生成物の重量は104.2g
(収率87.5%)であり、外観が粘ちょうな油状物質
であった。
【0082】すなわち、上記反応生成物をガスクロマト
グラフィー−質量スペクトルで分析を行ったところ、図
7のチャート図に示すように、親ピークが2,2−ビス
(3,5−ジメチル−4−グリシジルオキシシクロヘキ
シル)プロパン(最終生産物)の生成を支持する結果が
得られた。
【0083】また、上記反応生成物の赤外線吸収スペク
トルの吸収波数(cm-1)は、図8のチャート図に示す
ように、3020、2860、2830、1720、1
460、1380、1360、1280、1260、1
160、1090、1000、910、840、80
0、760、660、440であった。なお、測定は試
料をNeatでKBr板に挟んだものを用い行った。
【0084】さらに、プロトン核磁気共鳴スペクトルの
δ値(ppm)は、図9のチャート図に示すように、
0.6〜0.8(m,6H)、0.9〜1.2(m,1
2H)、1.2〜1.8(m,14H)、2.0〜3.
4(m,12H)であった。なお、測定は試料をクロロ
ホルム−dに溶かし、周波数が100MHzのプロトン
核磁気共鳴により行った。
【0085】なお、実施例1以外の他のエポキシ化合物
については、反応に直接関与しない置換基が異なるだけ
か、あるいはその置換位置が異なるだけの相違しかない
ので、実施例1と同様のプロセスで実施例1に準じて製
造することができる。
【0086】このようにして得られた実施例品のエポキ
シ化合物について、下記の基準に従い、耐吸湿性および
耐光性について測定評価を行った。
【0087】〔耐吸湿性〕上記エポキシ化合物50g
と、硬化剤であるメチルヘキサヒドロ無水フタル酸50
gとを混合し、150℃で2時間硬化させ、直径30m
mの円板状の試料を作製した。つぎに、この試料を65
℃×85%の雰囲気下で1週間放置し、吸湿率を測定し
た。その結果、吸湿率は3%であり、従来の硬化物に比
べてより優れていることが確認された。
【0088】〔耐光性〕上記硬化物を、150℃で10
00時間放置したところ、着色等が観察されなかった。
【0089】
【発明の効果】以上のように、本発明の新規なエポキシ
化合物は、上記一般式(1)で表される構造を備えてい
る。すなわち、基本骨格が環構造であり、しかも環骨格
内に不飽和結合を有しないため、加熱による亀裂破壊、
自然光による着色、加熱による変形等の問題が生じるこ
とがない。そのため、本発明の新規なエポキシ化合物
は、耐熱性樹脂、耐吸湿性樹脂、耐光性樹脂等のモノマ
ーとして優れている。
【0090】また、上記式(2)で表されるエポキシ化
合物、すなわち2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−
グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパンが、加熱に
よる亀裂破壊、自然光による着色、加熱による変形等の
問題が生じることがなく、耐熱性樹脂、耐吸湿性樹脂、
耐光性樹脂等のモノマーとして特に優れている。
【0091】そして、上記一般式(3)で表される新規
化合物から、上記一般式(1)で表される新規なエポキ
シ化合物を容易に合成することができるため、上記一般
式(3)で表される化合物は、上記上記一般式(1)で
表される新規なエポキシ化合物の合成中間体として優れ
ている。
【0092】さらに、上記式(4)で表される新規化合
物、すなわち2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシシクロヘキシル)プロパンから、上記式(2)
で表される2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−グリ
シジルオキシシクロヘキシル)プロパンを容易に合成す
ることができるため、上記式(4)で表される化合物
は、上記式(2)で表される新規なエポキシ化合物の合
成中間体として優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンの赤外線吸収スペクトルの分析
結果を示すチャート図である。
【図2】2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンのプロトン核磁気共鳴スペクト
ルの分析結果を示すチャート図である。
【図3】2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシシクロヘキシル)プロパン(合成中間体a)の赤外
線吸収スペクトルの分析結果を示すチャート図である。
【図4】2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシシクロヘキシル)プロパン(合成中間体a)のプロ
トン核磁気共鳴スペクトルの分析結果を示すチャート図
である。
【図5】2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−アリル
オキシシクロヘキシル)プロパン(合成中間体b)の赤
外線吸収スペクトルの分析結果を示すチャート図であ
る。
【図6】2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−アリル
オキシシクロヘキシル)プロパン(合成中間体b)のプ
ロトン核磁気共鳴スペクトルの分析結果を示すチャート
図である。
【図7】2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−グリシ
ジルオキシシクロヘキシル)プロパン(最終生産物)の
ガスクロマトグラフィー−質量スペクトルの分析結果を
示すチャート図である。
【図8】2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−グリシ
ジルオキシシクロヘキシル)プロパン(最終生産物)の
赤外線吸収スペクトルの分析結果を示すチャート図であ
る。
【図9】2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−グリシ
ジルオキシシクロヘキシル)プロパン(最終生産物)の
プロトン核磁気共鳴スペクトルの分析結果を示すチャー
ト図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神山 博克 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1)で表されるエポキシ
    化合物。 【化1】
  2. 【請求項2】 エポキシ化合物が、下記の式(2)で表
    される2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−グリシジ
    ルオキシシクロヘキシル)プロパンである請求項1記載
    のエポキシ化合物。 【化2】
  3. 【請求項3】 下記の一般式(3)で表されるエポキシ
    化合物の合成中間体。 【化3】
  4. 【請求項4】 エポキシ化合物の合成中間体が、下記の
    式(4)で表される2,2−ビス(3,5−ジメチル−
    4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンである請求項
    3記載のエポキシ化合物の合成中間体。 【化4】
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11302508A (ja) * 1998-04-15 1999-11-02 Mitsubishi Chemical Corp エポキシ樹脂組成物
US20120172568A1 (en) * 2010-12-29 2012-07-05 Empire Technology Development Llc Substances for use as bisphenol a substitutes
JP2015120900A (ja) * 2013-12-18 2015-07-02 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 変形力のある波長変換媒体

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