JPH09193604A - 路面の摩擦係数向上装置 - Google Patents

路面の摩擦係数向上装置

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JPH09193604A
JPH09193604A JP945996A JP945996A JPH09193604A JP H09193604 A JPH09193604 A JP H09193604A JP 945996 A JP945996 A JP 945996A JP 945996 A JP945996 A JP 945996A JP H09193604 A JPH09193604 A JP H09193604A
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JP
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road
road surface
vehicle
friction material
wheel
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JP945996A
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Satoshi Shimizu
聡 清水
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は所定値を超えるスリップ量が生じた
場合に車輪の前方に摩擦材を放出する路面の摩擦係数向
上装置に関し、走行路が低μ路である場合にのみ摩擦材
を放出させることを目的とする。 【解決手段】 車輪FL,FRの前方に噴射ノズル10
L,10Rを配設する。噴射ノズル10L,10Rに放
出制御バルブ12L,12Rおよび圧力管14L,14
Rを介して摩擦材タンク16L,16Rを接続する。摩
擦材タンク16L,16Rに砂を充填する。ECU30
は加速度センサ32、車輪速センサ38FL,38F
R,38RL,38RR等の検出信号に基づいて走行路
が低μ路であると判別されており、かつ、ABS制御の
実行条件が成立している場合に放出制御バルブ12L,
12Rを開弁する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、路面の摩擦係数向
上装置に係り、特に、車輪に所定値を超えるスリップ量
が生じた場合に車輪の前方に摩擦材を放出する路面の摩
擦係数向上装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平3−20870
1号に開示される如く、車輪に所定値を超えるスリップ
量が生じた場合に車輪の前方に摩擦材を放出する路面の
摩擦係数向上装置が知られている。車両が凍結路等の低
摩擦係数路を走行している場合には、制動時において車
輪に過剰なスリップ量が生じ易い。上記従来の装置の如
く、車輪前方に摩擦材が放出されると、凍結路等の低摩
擦係数路と車輪との間の摩擦係数が向上する。このた
め、上記従来の装置によれば、低摩擦係数路における車
両の制動能力を高めることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車輪には、
例えば車両が乾燥した舗装道路上を走行している場合に
おいても大きなスリップ量が生ずる場合がある。上記従
来の装置によれば、かかる高摩擦係数路で車輪に所定値
を超えるスリップ量が生じた場合にも、車輪の前方に摩
擦材が放出される。
【0004】車輪と路面との摩擦係数は、車両が凍結路
等の低摩擦係数路を走行している場合には、摩擦材が放
出されることにより向上する。しかしながら、車両が乾
燥した舗装路等の高摩擦係数路を走行している場合に
は、摩擦材が放出されることにより、却って車輪と路面
との摩擦係数が低下する場合がある。この点、上記従来
の装置は、高摩擦係数路上で車輪に大きなスリップ量が
生じた場合に、そのスリップ量を更に助長する可能性を
有するものであった。
【0005】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、車両が低摩擦係数路を走行している場合に限り
摩擦材の放出を許容する路面の摩擦係数向上装置を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、車輪の前方に摩擦材を放出する摩擦材
放出手段を備え、車輪のスリップ量が所定値を超える場
合に、前記摩擦材放出手段から摩擦材を放出する路面の
摩擦係数向上装置において、路面状態を検出する路面状
態検出手段と、路面が所定の低摩擦係数路である場合に
摩擦材の放出を許容する放出制御手段と、を備える路面
の摩擦係数向上装置により達成される。
【0007】請求項1記載の発明において、放出制御手
段は、路面状態検出手段の検出結果に基づいて路面が所
定の低摩擦係数路であると判断される場合に摩擦材の放
出を許容する。従って、車両が高摩擦係数路を走行して
いる場合に摩擦材が放出されることはない。
【0008】また、上記の目的は、請求項2に記載する
如く、上記請求項1記載の路面の摩擦係数向上装置にお
いて、前記摩擦材放出手段が左右の車輪それぞれの前方
に少なくとも1つ配設され、前記路面状態検出手段が、
左右の車輪それぞれが接触する路面の状態を検出する左
右路面状態検出手段を備え、前記放出制御手段が、左右
の車輪それぞれが接触する路面の状態に応じて、左右の
車輪それぞれの前方に配設される前記摩擦材放出手段を
独立に制御する独立制御手段を備える路面の摩擦係数向
上装置によっても達成される。
【0009】本発明において、放出制御手段が備える独
立制御手段は、左右の車輪の前方に配設される摩擦材放
出手段を独立に制御する。左右の車輪の前方に配設され
る摩擦材放出手段は、左右路面状態検出手段の検出結果
に応じて、車輪が接触する路面が所定の低摩擦係数路で
ある場合にのみ摩擦材の放出を許容する。従って、車両
がまたぎ路を走行している場合には、摩擦係数の低い路
面部には摩擦材が放出され、一方、摩擦係数の高い路面
部には摩擦材が放出されない。
【0010】更に、請求項3に記載する如く、請求項1
および2記載の路面の摩擦係数向上装置において、車両
の旋回状態を検出する旋回状態検出手段を備えると共
に、前記摩擦材放出手段が、車両の旋回状態に応じて前
記摩擦材放出手段を制御する路面の摩擦係数向上装置
は、車両の旋回挙動の安定化を図るうえで有効である。
【0011】本発明において、摩擦材放出手段は、旋回
状態検出手段の検出結果に応じて摩擦材放出手段を制御
する。車両の旋回中は、車両挙動に変化が生じ易い。従
って、本発明の如く、車両の旋回状態に応じて摩擦材の
放出状態が制御されると、車両の旋回挙動が安定に維持
される。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例のシス
テム構成図を示す。図1は、路面の摩擦係数向上装置を
車両搭載状態における正面視で表した図を示す。本実施
例の摩擦係数向上装置は、車両の左右前輪FL,FRの
前方に配設される噴射ノズル10L,10Rを備えてい
る。噴射ノズル10L,10Rには、それぞれ放出制御
バルブ12L,12Rが接続されている。放出制御バル
ブ12L,12Rは、常態で閉弁状態を維持する電磁開
閉弁である。
【0013】放出制御バルブ12L,12Rには、圧力
管14L,14Rを介して摩擦材タンク16L,16R
が連通している。摩擦材タンク16L,16Rには、路
面上に摩擦材として放出する砂が充填されている。摩擦
材タンク16L,16Rは、それらの底部に、それぞれ
タンク内の砂が消費された場合にオン出力を発する残砂
センサ18L,18Rを備えている。
【0014】圧力管14L,14Rには、電磁開閉弁2
0L,20Rを介してエアタンク22が連通している。
エアタンク22には、コンプレッサ24が連通してい
る。コンプレッサ24は、エアタンク22内の圧力が所
定値以下となると、その内圧が所定圧に達するまでエア
タンク22内に空気を圧送する。
【0015】本実施例の摩擦係数向上装置は、電子制御
ユニット30(以下、ECU30と称す)を備えてい
る。ECU30には、車両に生ずる前後方向加速度Gを
検出する加速度センサ32、ブレーキペダル34が踏み
込まれることによりオン出力を発するブレーキスイッチ
36、左右前輪FL,FRおよび左右後輪RL,RRの
車輪速を検出する車輪速センサ38FL,38FR,3
8RL,38RR(以下、これらを総称する場合には、
符号38を付して表す)、および車室内に配設されるイ
ンジケータランプ40が接続されている。ECU30
は、加速度センサ32、ブレーキスイッチ36、および
車輪速センサ38の出力信号に基づいて上述した放出制
御バルブ12L,12Rおよび電磁開閉弁20L,20
Rを駆動する。また、ECU30は、上述した残砂セン
サ18R,18Lにより摩擦材タンク16L,16R内
の砂が消費されたことが検出された場合にインジケータ
ランプ40を点灯させる。
【0016】図2は、ECU30が放出制御バルブ12
L,12Rおよび電磁開閉弁20L,20Rを駆動すべ
く実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示
す。図2に示すルーチンが起動されると、先ずステップ
100において、公知のアンチロックブレーキ制御(以
下、ABS制御と称す)が実行されているか否かが判別
される。ABS制御は、制動操作中(ブレーキスイッチ
36からオン信号が出力されている間)に、何れかの車
輪に所定値を超えるスリップ率Sが生じた場合に実行さ
れる。スリップ率Sは、推定車体速度VS0と車輪速V
wとを用いて次式の如く演算される。尚、推定車体速度
VS0は、制動時において最も高速で回転している車輪
の車輪速Vwに基づいて演算される。
【0017】 S=(VS0−Vw)×100/VS0 ・・・(1) 上記ステップ100において、ABS制御中ではないと
判別された場合は、全ての車輪が適正なグリップ状態を
維持しており、摩擦材である砂を路面に放出する必要が
ないと判断され、以後、何ら処理が進行されることなく
今回のルーチンが終了される。一方、上記ステップ10
0においてABS制御中であると判別された場合は、ス
テップ102において、走行中の道路が所定の低摩擦係
数路(以下、低μ路と称す)であるか否かが判別され
る。
【0018】図3は、走行中の路面が低μ路であるか否
かを判別すべくECU30が実行するサブルーチンの一
例のフローチャートを示す。尚、図3に示すルーチン
は、所定時間毎に実行される定時割り込みルーチンであ
る。図3に示すルーチンが起動されると、先ずステップ
200においてABS制御中であるか否かが判別され
る。ABS制御中でない場合は、何ら処理が進行される
ことなく今回のルーチンが終了される。一方、ABS制
御中であると判別された場合は、ステップ202におい
て加速度センサ32の出力信号、すなわち車両に作用す
る前後方向の加速度Gが読み込まれる。
【0019】加速度Gの読み込みが終了すると、次にス
テップ204において、加速度Gが所定の判別値Gaに
比して小さいか否かが判別される。ABS制御は、上述
の如く制動時において何れかの車輪のスリップ率が所定
値を超える場合に実行される。かかる状況下では、路面
と車輪との摩擦係数μに応じた減速加速度が車両に作用
する。従って、車両が高摩擦係数路(以下、高μ路と称
す)を走行している場合には、ABS制御の実行中に加
速度センサ32により大きな減速加速度が検出される。
また、車両が低μ路を走行している場合には、ABS制
御の実行中に加速度センサ32により小さな減速加速度
が検出される。
【0020】上記ステップ204において、G<Gaが
成立すると判別された場合は、車両が低μ路を走行して
いると判断することができる。このため、上記の判別が
なされた場合は、ステップ206において低μ路フラグ
に“1”がセットされた後に今回のルーチンが終了され
る。一方、上記ステップ204において、G<Gaが成
立しないと判別された場合は、車両が高μ路を走行して
いると判断することができる。このため、上記の判別が
なされた場合は、ステップ208において低μ路フラグ
に“0”がセットされた後に今回のルーチンが終了され
る。尚、本実施例において、判別値Gaは、走行中の道
路が凍結路等の低μ路である場合にG<Gaなる条件が
成立する値に設定されている。
【0021】図2に示すルーチン中ステップ102で
は、上記の如く“1”または“0”がセットされる低μ
路フラグの状態に基づいて、走行中の道路が低μ路であ
るか否かが判別される。その結果、車両の走行中の道路
が低μ路であると判別された場合は、ステップ103に
おいて砂を放出するための処理が実行された後、今回の
ルーチンが終了される。
【0022】本実施例のシステムにおいて、砂の放出
は、放出制御バルブ12L,12Rおよび電磁開閉弁2
0L,20Rを開弁することにより実行される。電磁開
閉弁20L,20Rが開弁されると、圧力管14L,1
4Rの内部に高圧エアが導入される。圧力管14L,1
4R内部に高圧エアが導入された状況下で放出制御バル
ブ12L,12Rが開弁されると、圧力管14L,14
R内部の砂が左右前輪FL,FRの前方に放出される。
車両が凍結路等の低μ路を走行している場合に車輪F
L,FR前方に砂が放出されると、路面と車輪FL,F
Rとの摩擦係数が向上する。その結果、砂が放出されな
い場合に比して高い制動能力を得ることができる。
【0023】車両が走行している道路が、左右輪の接触
部位における摩擦係数の異なる道路、すなわち、いわゆ
る“またぎ路”である場合は、上記ステップ102で走
行中の道路が低μ路であると判別されない場合がある。
車両がまたぎ路を走行している場合に、摩擦係数の低い
側に砂を放出すると、左右の車輪において共に高い制動
力を得ることができる。このため、本実施例のシステム
では、後述の如く、走行中の道路がまたぎ路である場合
は、上記ステップ102で走行中の道路が低μ路である
と判別されない場合であっても砂の放出を行うこととし
ている。
【0024】しかしながら、車両が旋回中である場合に
左右輪の一方の前方にのみ砂が放出されると、車両の旋
回挙動が不安定化する可能性がある。かかる観点より、
本実施例のシステムでは、車両がまたぎ路を走行してい
る場合であっても、車両が旋回中である場合には砂の放
出を禁止することとしている。
【0025】上記の機能を実現すべく、ステップ102
で車両が走行中の道路が低μ路ではないと判別された場
合は、次にステップ104において、車両が旋回中であ
るか否かが判別される。その結果車両が旋回中であると
判別された場合は、以後、ステップ106で砂の放出が
停止された後図2に示すルーチンが終了される。
【0026】以下、図4および図5を参照して、本実施
例のシステムにおいて車両が旋回中であるか否かを判別
する手法について説明する。図4は、車輪のμ−S特性
図、すなわち、車輪のスリップ率と摩擦係数μとの関係
を表す特性図を示す。図4に示す如く、車輪のスリップ
率Sが所定値S0 より小さい領域では、摩擦係数μとス
リップ率Sとはほぼ比例関係となる。また、スリップ率
Sが所定値S0 を超える領域では、摩擦係数がピーク値
μ0 に比して小さな値となる。
【0027】上述したABS制御は、各車輪についてス
リップ率Sを監視し、SがS0 を超える場合に、または
SがS0 をこえる可能性が検知された場合に、過剰な制
動力を抑制すべく開始される。従って、ABS制御が開
始された時点では、より具体的には、ABS制御により
ホイルシリンダ圧が減圧された時点では、その制御対象
とされている車輪のスリップ率Sが所定値S0 に、また
は所定値S0 近傍の他の所定値に一致する。
【0028】旋回外輪のスリップ率SOUT および旋回内
輪のスリップ率SINは、それぞれ旋回外輪の車輪速V
WOUT,VWIN を上記(1)式に代入することにより、次
式の如く表すことができる。 SOUT =(VS0−VWOUT)×100/VS0 ・・・(2) SIN =(VS0−VWIN )×100/VS0 ・・・(3) 車両の旋回中は、旋回内輪の走行軌跡と旋回外輪の走行
軌跡との差に起因して、旋回外輪に旋回内輪に比して大
きな車輪速が生ずる。また、車両の旋回中は車両の荷重
が旋回外輪側へ移行するため、旋回内輪の車輪速VWIN
が旋回外輪の車輪速VWOUTに比して減速され易い。この
ため、旋回制動時においては、制動操作が開始された
後、旋回内輪のスリップ率SINが、旋回外輪のスリップ
率SOUT に先行してS0 に到達する。従って、車両の旋
回制動時には、旋回外輪に先行して旋回内輪側からAB
S制御の実行が開始される。
【0029】SINがS0 に到達した後、更に制動操作が
継続されると、S0UT がS0 に到達する場合が生ずる。
上記の過程において、SINがS0 に到達した時点での推
定車体速度VS0がVS0IN、S0UT がS0 に到達した
時点での推定車体速度VS0がVS0OUT であるとする
と、VS0IN>VS0OUT が成立する。従って、ABS
制御の実行条件が成立した時点での、すなわちSIN=S
0 またはSOUT =S0が成立した時点での旋回内外輪の
スリップ量ΔVSNIN=(VS0−VWIN );ΔVSN
OUT =(VS0−VWOUT)を比較すると、ΔVSNIN
ΔVSNOUT が成立する。本実施例においては、上記の
特性に鑑みて、ABS制御が開始された時点で左右輪の
スリップ量ΔVSNを比較し、両者に所定値を超える差
が存在する場合には、車両が旋回中であると判別するこ
ととしている。
【0030】図5は、本実施例のシステムにおいて車両
が旋回中であるか否かを判別すべくECU30が実行す
るサブルーチンの一例のフローチャートである。図5に
示すルーチンは、所定時間毎に起動される定時割り込み
ルーチンである。図5に示すルーチンが起動されると、
先ずステップ300において、左前輪の車輪速VWFL
変化量|ΔVWFL |が所定値を超えているか否かが判別
される。左前輪FLについてABS制御が開始された直
後、すなわち、左前輪FLのスリップ率Sが上限値S0
に到達した直後は、徐々に減速されていた車輪速VWFL
が急激に減速される。このため、|ΔVWFL |>αが成
立する場合は、左前輪についてABS制御の開始条件が
成立したと判断される。
【0031】上記ステップ300で|ΔVWFL |>αが
成立すると判別された場合は、次にステップ302で、
左前輪のスリップ量ΔVSNFLが演算される。スリップ
量ΔVSNFLは、他のルーチンで公知の手法により演算
される推定車体速度VS0から左前輪の車輪速VWFL
減算することにより演算される。一方、上記の条件が不
成立である場合は、ステップ302の処理がジャンプさ
れ、次いでステップ304の処理が実行される。
【0032】ステップ304では、右前輪の車輪速V
WFR の変化量|ΔVWFR |が所定値を超えているか否か
が判別される。|ΔVWFR |>αが成立する場合は、右
前輪についてABS制御の開始条件が成立したと判断さ
れる。かかる判別がなされた場合は、次にステップ30
6で、右前輪のスリップ量ΔVSNFRが演算される。ス
リップ量ΔVSNFRは、推定車体速度VS0から右前輪
の車輪速VWFR を減算することにより演算される。一
方、上記の条件が不成立である場合は、ステップ306
の処理がジャンプされ、次いでステップ308の処理が
実行される。
【0033】ステップ308では、左右前輪のスリップ
量の差|ΔVSNFL−ΔVSNFR|が所定値βを超えて
いるか否かが判別される。その結果、|ΔVSNFL−Δ
VSNFR|>βが成立する場合は、以後ステップ310
で旋回中フラグに“1”がセットされた後、今回のルー
チンが終了される。一方、|ΔVSNFL−ΔVSNFR
>βが不成立である場合は、以後ステップ312で旋回
中フラグに“0”がセットされた後、今回のルーチンが
終了される。図2に示すルーチン中、ステップ104で
は、上記の如く“1”または“0”がセットされる旋回
中フラグの状態に基づいて、車両が旋回中であるか否か
が判断される。
【0034】次に、図2に示すステップ104におい
て、車両が旋回中でないと判別された場合の処理につい
て説明する。本実施例のシステムにおいて、上記の判別
がなされた場合は、次にステップ108において、車両
が走行中の道路がまたぎ路であるか否かが判別される。
その結果、走行路がまたぎ路ではないと判別された場合
は、次いでステップ106の処理が実行された後、今回
のルーチンが終了される。一方、またぎ路であると判別
された場合は、ステップ110で低μ路側に配設されて
いる噴射ノズル10Lまたは10Rから砂を放出するた
めの処理が実行された後、今回のルーチンが終了され
る。
【0035】以下、図6乃至図9を参照して、車両が走
行している道路がまたぎ路であるか否かを判別する手法
について説明する。図6は、左右後輪RL,RRについ
てABS制御の実行条件が成立した場合に、左右後輪R
L,RRそれぞれに対して設定すべきモードを決定する
ためにECU30が実行する制御ルーチンの一例のフロ
ーチャートを示す。
【0036】図6に示すルーチンは、所定時間毎に、左
右後輪RL,RRそれぞれについて実行される。図6に
示すルーチンが起動されると、先ずステップ400にお
いて、制御対象とされている車輪について減圧モードの
条件が成立しているか否かが判別される。減圧モードの
条件が成立している場合は、ステップ402において、
制御対象車輪についての設定モードが減圧モードとされ
た後、今回のルーチンが終了される。
【0037】上記ステップ400において、制御対象車
輪について減圧モードの条件が成立していない場合は、
ステップ404において、保持モードの条件が成立して
いるか否かが判別される。保持モードの条件が成立して
いる場合は、ステップ406において、制御対象車輪に
ついての設定モードが保持モードとされた後、今回のル
ーチンが終了される。
【0038】上記ステップ404において、保持モード
の条件が成立していないと判別された場合は、次にステ
ップ408において、制御対象車輪についての設定モー
ドが増圧モードとされた後、今回のルーチンが終了され
る。上記のルーチンが、左右後輪RL,RRそれぞれに
ついて実行されることにより、ABS制御の実行中、左
右後輪RL,RRの設定モードは互いに独立に設定され
る。
【0039】図7は、上記の如く設定されたモードに基
づいて、左右後輪RL,RRのホイルシリンダに連通す
る液圧回路を制御すべくECU30が実行する制御ルー
チンの一例のフローチャートを示す。図7に示すルーチ
ンは、所定時間毎に、左右後輪RL,RRの双方を制御
対象車輪として実行される。
【0040】図7に示すルーチンが起動されると、先ず
ステップ500において、ABS制御の実行中であるか
否かが判別される。ABS制御の実行中でない場合は、
以後の処理を進行する実益がないため、そのまま今回の
処理が終了される。一方、ABS制御の実行中である場
合は、ステップ502の処理が実行される。
【0041】ステップ502では、左右後輪RL,RR
の何れかが減圧モードに設定されているか否かが判別さ
れる。その結果、何れかの車輪の設定モードが減圧モー
ドである場合は、ステップ504において、左右後輪R
L,RRに対応する液圧回路が共に減圧制御された後、
今回のルーチンが終了される。
【0042】上記ステップ502において、左右後輪R
L,RRの何れも減圧モードでないと判別された場合
は、次にステップ506において、左右後輪RL,RR
の何れかが保持モードに設定されているか否かが判別さ
れる。その結果、何れかの車輪の設定モードが保持モー
ドである場合は、ステップ508において、左右後輪R
L,RRに対応する液圧回路が共に保持制御された後、
今回のルーチンが終了される。
【0043】上記ステップ506において、左右後輪R
L,RRの何れも保持モードでないと判別された場合
は、すなわち、左右後輪L,RRの設定モードが何れも
増圧モードである場合は、次にステップ510におい
て、左右後輪RL,RRに対応する液圧回路が共に増圧
制御された後、今回のルーチンが終了される。上記の処
理によれば、左右後輪RL,RRのホイルシリンダ圧
が、何れか低圧側に統一される制御、すなわち、いわゆ
るローセレクト制御が実現される。
【0044】図8は、ABS制御の実行中に、左右後輪
RL,RRについて減圧制御が実行された時間を係数す
べくECU30が実行する制御ルーチンの一例のフロー
チャートを示す。図8に示すルーチンは、所定時間毎
に、左右後輪RL,RRそれぞれについて実行される。
【0045】図8に示すルーチンが起動されると、先ず
ステップ600において、ABS制御の実行中であるか
否かが判別される。ABS制御の実行中ではないと判別
された場合は、ステップ602において、カウンタC
t,Crが共に“0”にリセットされた後、今回のルー
チンが終了される。尚、カウンタCtは、後述の如くA
BS制御の実行時間を係数するためのカウンタである。
また、カウンタCrは、後述の如く制御対象の車輪につ
いて減圧モードが設定された時間を係数するためのカウ
ンタである。
【0046】上記ステップ600において、ABS制御
の実行中であると判別された場合は、次にステップ60
4の処理が実行される。ステップ604では、後輪を対
象としてABS制御が実行されているか否かが判別され
る。後輪がABS制御の対象とされていないと判別され
た場合は、以後何ら処理が進行されることなく今回のル
ーチンが終了される。一方、後輪がABS制御の対象で
あると判別された場合は、次にステップ606の処理が
実行される。
【0047】ステップ606では、制御対象車輪につい
ての設定モードが減圧モードであるか否かが判別され
る。その結果、設定モードが減圧モードであると判別さ
れた場合は、ステップ608でカウンタCrがインクリ
メントされる。一方、設定モードが減圧モードでないと
判別された場合は、ステップ608がジャンプされ、ス
テップ610でカウンタCtがインクリメントされた
後、今回のルーチンが終了される。上記の処理が、左右
後輪RL,RRそれぞれについて実行されることによ
り、左右後輪RL,RRについて減圧モードが設定され
た時間の累積値を、個々に求めることができる。
【0048】図9は、上述したカウンタCt,Crに基
づいて、車両が走行している道路がまたぎ路であるか否
かを判別すべくECU30が実行する制御ルーチンの一
例のフローチャートを示す。図9に示すルーチンは、所
定時間毎に起動される定時割り込みルーチンである。
【0049】図9に示すルーチンが起動されると、先ず
ステップ700において、所定時間T2 前の時点から、
現在時点までの間にカウンタCt,Crに係数された係
数値が読み込まれる。次にステップ702で、カウンタ
Ctの係数値、すなわちABS制御の実行時間の累積値
が所定時間T1 を超えているか否かが判別される。Ct
>T1 が不成立である場合は、またぎ路の判定を精度良
く実行するために必要な情報量が不足していると判断さ
れ、以後何ら処理が進行されることなく今回のルーチン
が終了される。
【0050】上記ステップ702において、Ct>T1
が成立すると判別された場合は、次にステップ704に
おいて、右後輪RRについてのカウンタCrの値(以
下、Cr(RR)と記す)、すなわち、右後輪RRにつ
いて減圧モードが設定された時間の累積値が、左後輪R
LについてのカウンタCrの値(以下、Cr(RL)と
記す)と所定値Kとの乗算値、すなわち、右後輪RLに
ついて減圧モードが設定された時間の累積値と所定値K
(K>1)との乗算値に比して大きいか否かが判別され
る。
【0051】走行路が、一様な摩擦係数を示す道路、す
なわち一様路であれば、左後輪RLについて減圧モード
が設定される時間と、右後輪RRについて減圧モードが
設定される時間とに大きな差が生ずることはない。従っ
て、上記ステップ704の条件が成立する場合は(右後
輪RR側に著しく偏って減圧モードが設定されている場
合)、右後輪RRが接触している路面が、左後輪RLの
接触している路面に比して低μであると判断できる。こ
のため、上記ステップ704の条件が成立する場合は、
次にステップ706において、車両の走行路が、右後輪
RR側の摩擦係数が左後輪RL側の摩擦係数に比して低
いまたぎ路であると記憶された後、今回のルーチンが終
了される。
【0052】一方、上記ステップ704で、Cr(R
R)>K・Cr(RL)が不成立であると判別された場
合は、次にステップ708において、Cr(RL)>K
・Cr(RR)が成立するか否かが判別される。上記の
条件が成立する場合は(左後輪RL側に著しく偏って減
圧モードが設定されている場合)、左後輪RLが接触し
ている路面が、右後輪RRの接触している路面に比して
低μであると判断できる。このため、上記ステップ70
8の条件が成立する場合は、次にステップ710におい
て、車両の走行路が、右後輪RR側の摩擦係数が左後輪
RL側の摩擦係数に比して低いまたぎ路であると記憶さ
れた後、今回のルーチンが終了される。
【0053】図2に示すステップ110では、上記の如
く記憶された道路状態に関する情報に基づいて、車両の
走行路がまたぎ路であるか否かが判別され、かつ、走行
路がまたぎ路である場合は、左右何れ側が低μ側である
かが決定される。以後、上述の如く、低μ側にのみ摩擦
材である砂が放出され、またぎ路において、左右輪が共
に高い制動力を発揮し得る状態が形成される。
【0054】図10は、またぎ路において低μ側にのみ
砂を放出することにより得られる効果を説明するための
図を示す。図10(A)には、またぎ路の低μ側に砂が
放出されていない場合に、前後左右FL,FR,RL,
RRの車輪で発生される制動力をベクトル表示してい
る。また、図10(B)には、またぎ路の低μ側に砂を
放出した場合に、前後左右FL,FR,RL,RRの車
輪で発生される制動力をベクトル表示している。
【0055】図10(A),(B)に示す如く、またぎ
路において制動操作がなされた場合は、左右前輪FL,
FRの制動力に比較的大きな偏差が生ずる。尚、左右後
輪RL,RRの制動力は、上述したローセレクト制御に
より、ほぼ均一に制御される。左右前輪FL,FRの制
動力に生ずる偏差は、車両を重心回りに回転させようと
するモーメントを発生させる。従って、車両挙動の安定
化を図るうえでは、左右前輪FL,FRの制動力差が小
さいことが望ましい。図10(A),(B)に示す如
く、低μ路側に砂が放出されると、左右前輪FL,FR
の制動力差が縮小される。従って、本実施例のシステム
によれば、またぎ路において車両挙動の安定化を図るこ
とが可能である。
【0056】次に、走行路が低μ路であるか否かを判別
するための第2の手法について説明する。上述の如く、
本実施例のシステムにおいて、ECU30は上記図3に
示すルーチンを実行することにより走行路が低μ路であ
るか否かを判別している。上記図3に示すルーチンで
は、加速度センサ32により減速加速度Gを検出し、A
BS制御の実行中に検出された減速加速度Gが所定値G
aより小さい場合に走行路が低μ路であると判断され
る。
【0057】車両の減速加速度Gは車体速度の変化率で
ある。従って、減速加速度Gは、加速度センサ32によ
り実測する他、対地車速センサ等を用いて測定される実
測車体速度Vまたは上述した推定車体速度VS0の変化
率として演算することができる。このため、走行路が低
μ路であるか否かは、実測車体速度Vまたは推定車体速
度VS0を、所定時間ΔTで除することにより得られる
V/ΔTまたはVS0/ΔTが所定値Gbより小さいか
否かに基づいて判断してもよい。
【0058】次に、走行路が低μ路であるか否かを判別
するための第3の手法について説明する。図11は、か
かる第3の手法を実現すべくECU30が実行する制御
ルーチンの一例のフローチャートを示す。尚、図11に
おいて、上記図3に示すステップと同一のステップに
は、同一の符号を付してその説明を省略する。図11に
示すルーチンにおいては、ステップ200でABS制御
の実行中であると判別された場合に、次にステップ21
0で、制御対象車輪について連続的に実行された減圧時
間が所定時間Trを超えているか否かが判別される。
【0059】上記の判別の結果、減圧時間がTrを超え
ていないと判別された場合は、以後何ら処理を進行させ
ることなく今回のルーチンが終了される。一方、減圧時
間がTrを超えていると判別された場合は、次にステッ
プ212の処理が実行される。ステップ212では、制
御対象車輪の車輪速Vwの変化量ΔVwが所定値Gcよ
り小さいか否かが判別される。
【0060】減圧制御が所定時間Trを超えて継続的に
実行された場合、制御対象車輪のホイルシリンダ圧は大
きく減圧される。従って、車両の走行路が高μ路であれ
ば、制御対象車輪の車輪速Vwには比較的大きな加速度
が生ずる。一方、車両の走行路が低μ路であれば、制御
対象車輪の車輪速Vwに大きな加速度が生ずることはな
い。
【0061】このため、上記ステップ212でΔVw<
Gcが成立すると判別された場合は、走行路が低μ路で
あると判断することができる。かかる判別がなされた場
合、以後、ステップ206で低μ路フラグに“1”がセ
ットされた後今回のルーチンが終了される。また、上記
ステップ212でΔVw<Gcが不成立であると判別さ
れた場合は、走行路が高μ路であると判断することがで
きる。かかる判別がなされた場合、以後、ステップ20
8で低μ路フラグに“0”がセットされた後今回のルー
チンが終了される。上記の処理によれば、上記図3に示
すルーチンを実行する場合と同様に、走行路が低μ路で
あるか否かを正確に判断することができる。
【0062】尚、上記の実施例においては、砂が前記請
求項1記載の摩擦材に、噴射ノズル10L,10R;放
出制御バルブ12L,12R;圧力管14L,14R;
摩擦材タンク16L,16R;電磁開閉弁20L,20
R;エアタンク22;およびコンプレッサ24が前記請
求項1記載の摩擦材放出手段に、それぞれ相当してい
る。また、上記の実施例においては、ECU30が上記
ステップ102の処理(図3または図11に示すサブル
ーチン)を実行することにより前記請求項1記載の路面
状態検出手段が、ステップ103の処理を実行すること
により前記請求項1記載の放出制御手段がそれぞれ実現
される。
【0063】更に、上記の実施例においては、ECU3
0が上記ステップ108の処理(図6乃至図9に示すサ
ブルーチン)を実行することにより前記請求項2記載の
左右路面状態検出手段が、上記ステップ110の処理を
実行することにより前記請求項2記載の独立制御手段
が、上記ステップ104の処理(図5に示すサブルーチ
ン)を実行することにより前記請求項3記載の旋回状態
検出手段が、ステップ104の判別結果に基づいて上記
ステップ106または108の処理を実行することによ
り前記請求項3記載の摩擦材放出手段が、それぞれ実現
される。
【0064】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。本実施例のシステムは、上記図1に示すシステム構
成にスロットルセンサを加設し、かつ、ECU30に図
12に示す制御ルーチンを実行させることにより実現さ
れる。尚、本実施例は、前輪駆動車両用のシステムであ
り、噴射ノズル10Lおよび10Rが配設される左右前
輪FL,FRは車両の駆動輪である。
【0065】図12は、ECU30が公知のトラクショ
ンコントロール制御(以下、TRC制御と称す)の実行
中に放出制御バルブ12L,12Rおよび電磁開閉弁2
0L,20Rを駆動すべく実行する制御ルーチンの一例
のフローチャートを示す。図12に示すルーチンが起動
されると、先ずステップ800においてTRC制御が実
行されているか否かが判別される。TRC制御は、スロ
ットルセンサの出力信号に基づいて車両が加速中である
ことが検出されており、かつ、何れかの車輪に所定値を
超えるスリップ率Sが生じている場合に実行される。ス
リップ率Sは、推定車体速度VS0と車輪速Vwとを用
いて次式の如く演算される。尚、加速時における推定車
体速度VS0は、従動輪の車輪速Vwに基づいて演算さ
れる。
【0066】 S=(VS0−Vw)×100/Vw ・・・(4) 上記ステップ800において、TRC制御中ではないと
判別された場合は、全ての車輪が適正なグリップ状態を
維持しており、摩擦材である砂を路面に放出する必要が
ないと判断され、以後、ステップ806で砂の放出が停
止された後図12に示すルーチンが終了される。一方、
上記ステップ800においてTRC制御中であると判別
された場合は、ステップ802で走行路が低μ路である
か否かが判別される。
【0067】図13は、本実施例において、走行中の路
面が低μ路であるか否かを判別すべくECU30が実行
するサブルーチンの一例のフローチャートを示す。尚、
図13に示すルーチンは、所定時間毎に実行される定時
割り込みルーチンである。図13に示すルーチンが起動
されると、先ずステップ900においてTRC制御中で
あるか否かが判別される。TRC制御中でない場合は、
何ら処理が進行されることなく今回のルーチンが終了さ
れる。一方、TRC制御中であると判別された場合は、
ステップ902において加速度センサ32の出力信号、
すなわち車両に作用する前後方向の加速度Gが読み込ま
れる。
【0068】加速度Gの読み込みが終了すると、次にス
テップ904において、加速度Gが所定の判別値Gdに
比して小さいか否かが判別される。TRC制御は、上述
の如く加速時において何れかの車輪のスリップ率が所定
値を超える場合に実行される。かかる状況下では、路面
と車輪との摩擦係数μに応じた加速度が車両に作用す
る。従って、走行路が高μ路である場合には、TRC制
御の実行中に大きな加速度が検出される。また、走行路
が低μ路である場合には、TRC制御の実行中に小さな
加速度が検出される。
【0069】従って、上記ステップ904において、G
<Gdが成立すると判別された場合は、車両が低μ路を
走行していると判断することができる。この場合、以後
ステップ906において低μ路フラグに“1”がセット
された後、今回のルーチンが終了される。一方、上記ス
テップ904において、G<Gdが成立しないと判別さ
れた場合は、車両が高μ路を走行していると判断するこ
とができる。この場合は、以後ステップ208において
低μ路フラグに“0”がセットされた後、今回のルーチ
ンが終了される。尚、本実施例において、判別値Gd
は、走行中の道路が凍結路等の低μ路である場合にG<
Gdなる条件が成立する値に設定されている。
【0070】図12に示すルーチン中ステップ802で
は、上述した低μ路フラグの状態に基づいて、走行路が
低μ路であるか否かが判別される。その結果、車両の走
行路が低μ路であると判別された場合は、ステップ80
4で砂を放出するための処理が実行された後、今回のル
ーチンが終了される。一方、走行路が低μ路でないと判
別された場合は、ステップ806で砂の放出を停止する
ための処理が実行された後、今回のルーチンが終了され
る。
【0071】上述の如く、本実施例のシステムによれ
ば、車両が凍結路等の低μ路を走行している場合に、T
RC制御の実行と共に駆動輪の前方に砂を放出すること
ができる。駆動輪の前方に砂が放出されると、路面と駆
動輪との摩擦係数が向上する。従って、本実施例のシス
テムによれば、砂が放出されない場合に比して、凍結路
等の低摩擦係数路上で高い駆動力を得ることができる。
【0072】ところで、上記の第2実施例においては、
またぎ路での砂の放出制御、および旋回制動中における
砂の放出禁止制御を実行しないこととしているが、本発
明はこれに限定されるものではなく、上述した第1実施
例の場合と同様に、これらの制御を実行することとして
もよい。また、上記の第2実施例においては、加速度セ
ンサ32の出力信号に基づいて走行路が低μ路であるか
否かを判別することとしているが、本発明はこれに限定
されるものではなく、実測車体速度Vまたは推定車体速
度VS0の変化率から算出される加速度Gに基づいて走
行路が低μ路であるか否かを判別してもよい。
【0073】尚、上記の実施例においては、ECU30
が上記ステップ802の処理(図13に示すサブルーチ
ン)を実行することにより前記請求項1記載の路面状態
検出手段が、ステップ804の処理を実行することによ
り前記請求項1記載の放出制御手段がそれぞれ実現され
る。
【0074】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、車両が低摩擦係数路を走行している場合にのみ、車
輪の前方に摩擦材を放出させることができる。従って、
本発明に係る路面の摩擦係数向上装置によれば、高摩擦
係数路において摩擦材が放出されることにより却って路
面と車輪との摩擦係数を低下させる不都合を回避するこ
とができる。
【0075】請求項2記載の発明によれば、車両がまた
ぎ路を走行している場合に、摩擦係数の低い側に摩擦材
を放出し、かつ、摩擦係数の高い側に摩擦材を放出しな
いことができる。従って、本発明に係る路面の摩擦係数
向上装置によれば、またぎ路において安定した車両挙動
を得ることができる。
【0076】請求項3記載の発明によれば、車両の旋回
状態に応じて摩擦材の放出を制御することができる。従
って、本発明に係る路面の摩擦係数向上装置によれば、
車両の旋回中に摩擦材が放出されることにより、車両の
旋回挙動が不安定化するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のシステム構成図である。
【図2】図1に示す電子制御ユニットにおいて実行され
る制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図3】図1に示す電子制御ユニットにおいて実行され
る低μ路判定ルーチンの一例のフローチャートである。
【図4】車輪のスリップ率と摩擦係数との関係を示す特
性図である。
【図5】図1に示す電子制御ユニットにおいて実行され
る旋回中判定ルーチンの一例のフローチャートである。
【図6】図1に示す電子制御ユニットにおいて実行され
るモード設定ルーチンの一例のフローチャートである。
【図7】図1に示す電子制御ユニットにおいて実行され
る制御内容決定ルーチンの一例のフローチャートであ
る。
【図8】図1に示す電子制御ユニットにおいて実行され
るまたぎ路判定ルーチン(その1)の一例のフローチャ
ートである。
【図9】図1に示す電子制御ユニットにおいて実行され
るまたぎ路判定ルーチン(その2)の一例のフローチャ
ートである。
【図10】図10(A)はスリップ防止制御が実行され
ない場合に生ずる制動力分布を表す図である。図10
(B)はスリップ防止制御が実行された場合に生ずる制
動力分布を表す図である。
【図11】図1に示す電子制御ユニットにおいて実行さ
れるまたぎ低μ路判定ルーチンの他の例のフローチャー
トである。
【図12】本発明の第2実施例において実行される制御
ルーチンの一例のフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施例において実行される低μ
路判定ルーチンの一例のフローチャートである。
【符号の説明】
10L,10R 噴射ノズル 12L,12R 放出制御バルブ 14L,14R 圧力管 16L,16R 摩擦材タンク 18L,18R 残砂センサ 20L,20R 電磁開閉弁介 22 エアタンク 24 コンプレッサ 30 電子制御ユニット(ECU) 32 加速度センサ 36 ブレーキスイッチ 38FL,38FR,38RL,38RR 車輪速セン
サ 40 インジケータランプ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪の前方に摩擦材を放出する摩擦材放
    出手段を備え、車輪のスリップ量が所定値を超える場合
    に、前記摩擦材放出手段から摩擦材を放出する路面の摩
    擦係数向上装置において、 路面状態を検出する路面状態検出手段と、 路面が所定の低摩擦係数路である場合に摩擦材の放出を
    許容する放出制御手段と、 を備えることを特徴とする路面の摩擦係数向上装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の路面の摩擦係数向上装置
    において、 前記摩擦材放出手段が左右の車輪それぞれの前方に少な
    くとも1つ配設され、 前記路面状態検出手段が、左右の車輪それぞれが接触す
    る路面の状態を検出する左右路面状態検出手段を備え、 前記放出制御手段が、左右の車輪それぞれが接触する路
    面の状態に応じて、左右の車輪それぞれの前方に配設さ
    れる前記摩擦材放出手段を独立に制御する独立制御手段
    を備えることを特徴とする路面の摩擦係数向上装置。
  3. 【請求項3】 請求項1および2記載の路面の摩擦係数
    向上装置において、 車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段を備えると
    共に、 前記摩擦材放出手段が、車両の旋回状態に応じて前記摩
    擦材放出手段を制御することを特徴とする路面の摩擦係
    数向上装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000043223A1 (en) * 1999-01-22 2000-07-27 Skarie James B Traction-enhancing system for vehicles
KR100436457B1 (ko) * 2001-08-24 2004-06-22 김춘산 자동차의 타이어 미끄럼 방지용 분사장치
US6988608B2 (en) 2000-12-21 2006-01-24 Kone Corporation Drive system for escalators and pedestrian conveyors

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