JPH086206B2 - 超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の分子配向成形体 - Google Patents

超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の分子配向成形体

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JPH086206B2
JPH086206B2 JP62108814A JP10881487A JPH086206B2 JP H086206 B2 JPH086206 B2 JP H086206B2 JP 62108814 A JP62108814 A JP 62108814A JP 10881487 A JP10881487 A JP 10881487A JP H086206 B2 JPH086206 B2 JP H086206B2
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和雄 八木
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体
の分子配向成形体に関するもので、より詳細には新規な
結晶融解特性を有し、耐熱性及び耐クリープ性に優れた
超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の分子配向成
形体、特に繊維に関する。
(従来の技術) 超高分子量ポリエチレンを繊維、テープ等に成形し、
これを延伸することにより、高弾性率、高引張強度を有
する分子配向成形体とすることは既に公知であり、例え
ば、特開昭56−15408号公報には、超高分子量ポリエチ
レンの希薄溶液を紡糸し、得られるフィラメントを延伸
することが記載されている。また、特開昭59−130313号
公報には、超高分子量ポリエチレンとワックスとを溶融
混練し、この混練物を押出し、冷却固化後延伸すること
が記載され、更に特開昭59−187614号公報には、上記溶
融混練物を押出し、ドラフトをかけた後冷却固化し、次
いで延伸することが記載されている。
(発明が解決しようとする問題点) 超高分子量ポリエチレンを繊維の形態に成形し、これ
を強延伸することにより、延伸倍率の増大に伴って、弾
性率及び引張強度の増大が得られ、この延伸繊維は、高
弾性率、高引張強度という機械的性質、軽量性、耐水
性、耐候性等には優れているが、その耐熱性はポリエチ
レンの融点が一般に120乃至140℃の比較的低い範囲内に
あるという制約を根本的に免れないものであり、更に超
高分子量ポリエチレン繊維を高温で使用する場合には、
強度の保持率が著しく減少し、またクリープが著しく増
大するという欠点がある。
従って、本発明の目的は、新規な結晶融解特性を有
し、耐熱性と耐クリープ性とが顕著に改善された超高分
子量ポリエチレン系の分子配向成形体を提供するにあ
る。
本発明の他の目的は、例えば170℃で5分間の熱処理
のような高温熱履歴を受けた場合にも、著しく高い強度
保持率及び弾性率保持率を示し、且つ高温下でのクリー
プが著しく低いレベルに抑制された超高分子量ポリエチ
レン系の分子配向成形体を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は、ブテン−1を限定された少量でエチレ
ンと共重合せしめた超高分子量エチレン・ブテン−1共
重合体を、押出成形し、強延伸して分子配向成形体とす
るときには、従来のポリエチレンの延伸成形体には全く
認められない融解温度の向上現象のある新規な分子配向
成形体が得られること、及びこの分子配向成形体は、17
0℃で5分間熱処理した場合にも強度や弾性率が殆んど
低下しないか、或いは逆にこれらの値が向上するという
高温時の機械的特性を有することを見出した。更にこの
分子配向成形体は、超高分子量ポリエチレンの延伸成形
体に特有の高強度及び高弾性率を保有しながら、顕著に
改善された耐クリープ性を有することもわかった。
即ち、本発明によれば、極限粘度〔η〕が少なくとも
5dl/gでブテン−1の含有量が炭素数1000個あたり平均
0.1乃至15個である超高分子量エチレン・ブテン−1共
重合体の分子配向成形体であって、該成形体は拘束状態
で示差走査熱量計で測定したとき、少なくとも2個の結
晶融解吸熱ピークを有すると共に、二回目昇温時の主融
解吸熱ピークとして求められる超高分子量エチレン・ブ
テン−1共重合体本来の結晶融解温度(Tm)よりも少な
くとも20℃高い温度に少なくとも1個の結晶融解吸熱ピ
ーク(Tp)を有し、且つ全融解熱量当りのこの結晶融解
吸熱ピーク(Tp)に基づく熱量が15%以上であることを
特徴とする分子配向成形体が提供される。
(作 用) 本発明は、限定された量のブテン−1をエチレンと共
重合させて得られた超高分子量エチレン・ブテン−1共
重合体を押出成形し、強延伸して分子配向成形体とする
と、分子配向成形体を構成する重合体鎖の融点が拘束条
件下において向上するという驚くべき知見に基づくもの
である。
尚、本明細書において、拘束状態乃至拘束条件とは、
分子配向成形体に積極的な緊張は与えられていないが、
自由変形が防止されるように端部が固定されていること
を意味する。
重合体の融点は、重合体中の結晶の融解に伴なうもの
であり、一般に示差走査熱量計での結晶融解に伴なう吸
熱ピーク温度として測定される。この吸熱ピーク温度
は、重合体の種類が定まれば一定であり、その後処理、
例えば延伸処理や架橋処理等によってそれが変動するこ
とは殆んどなく、変動しても、最も変動する場合として
良く知られている延伸熱処理でも高々15℃程度高温側へ
移動するに留まる。
添付図面第1図は本発明に用いる超高分子量エチレン
・ブテン−1共重合体原料、第2図はこのエチレン−ブ
テン−1共重合体の高延伸フィラメント、第3図は通常
の超高分子量ポリエチレンのホモポリマー原料、及び第
4図はこの超高分子量ポリエチレンの高延伸フィラメン
トの各々についての示差走査熱量計による吸熱曲線であ
り、高延伸フィラメントの吸熱曲線はフィラメントの拘
束条件で測定されたものである。尚、第1図および第3
図の原料粉末の吸熱曲線の測定は重合時の諸履歴を消去
するためにASTM D 3418に記載の方法で測定した。各
重合体の組成及びフィラメントの処理条件については後
述する例を参照されたい。
これらの結果から、通常の超高分子量ポリエチレンの
延伸フィラメントでは、原料の超高分子量ポリエチレン
から約15℃高い約150℃の温度に結晶融解に伴なう吸熱
ピークを示すのに対して、本発明による超高分子量エチ
レン・ブテン−1共重合体の延伸フィラメントでは、原
料共重合体に比して何れも吸熱ピークが本来の吸熱ピー
クに比してさらに約20℃以上高温側に移行していると共
に、超高分子量ポリエチレンのホモ重合体の延伸フィラ
メントに比して吸熱ピークが多重ピーク化していること
がわかる。
第5図は夫々、第2図の試料をセカンド・ラン(第2
図の測定を行った後、2回目の昇温測定)に賦したとき
の吸熱曲線を示す。第5図の結果から、再昇温の場合に
は結晶融解の主ピークは原料の超高分子量エチレン・ブ
テン−1共重合体の融解ピーク温度と殆んど同じ温度に
現われ、しかも第5図の測定時には試料中の分子配向は
殆んど消失していることから、第2図の試料における吸
熱ピークの高温側への移行は成形体中での分子配向と密
接に関連していることを示している。
また、第2図と第4図との対比から、第2図の試料に
おける吸熱ピークの多重ピーク化は、重合体鎖中への少
量のブテン−1の組込みによって生じた分岐鎖の存在と
も密接に関連していることがわかる。
本発明の分子配向成形体において、エチレンに少量の
ブテン−1を共重合させたものを用いることにより、重
合体鎖の共単量体成分の導入は結晶性の低下と融点の低
下とをもたらすという一般的事実に徴しても、該分子配
向成形体の融点が超高分子量ポリエチレンの分子配向成
形体の融点と同等もしくはそれ以上になるということ、
及び後述のように耐クリープ性が改良されるという事実
は真に意外のものであることがわかる。
本発明の分子配向成形体において、結晶融解温度の高
温側への移行が大きくなる理由は未だ十分に解明される
に至っていないが、前述した測定結果の解析から次のよ
うに推定される。即ち、超高分子量ポリエチレンの分子
配向成形体では、多数の重合体鎖が結晶部と非晶部とを
交互に通り且つ重合体鎖が延伸方向に配向した構造をと
ると考えられるが、この高分子量ポリエチレンにブテン
−1の少量を共重合により導入したものの分子配向成形
体では、導入されたブテン−1鎖の部分、即ち側鎖が形
成された部分が選択的に非晶部となり、この非晶部を介
して反復エチレン鎖の部分が配向結晶部となると信じら
れる。この際、重合体鎖中に炭素原子1000個当り平均0.
1乃至15個の数で導入された側鎖部分が非晶部に集中す
ることにより反復エチレン鎖の部分の配向結晶化がかえ
って規則性良く大きなサイズ迄進行するか、或いは配向
結晶部両端の非晶部で分子鎖間の絡み合いが増大して重
合体鎖が動きにくくなるため、配向結晶部の融解温度が
上昇するものと思われる。
本発明における分子配向成形体は、170℃で5分間熱
処理した場合にも、未熱処理のものに比して、強度の低
下が実質上なく、しかも弾性率が未処理のものに比して
むしろ向上するという特徴を有する。更に、この分子配
向成形体は高温での耐クリープ性においても顕著に優れ
ており、後に詳述する方法で求めたクリープ(CR90
が、通常の超高分子量ポリエチレン配向成形体の1/2以
下、特に1/3以下であり、またクリープ速度ε90-180(s
ec-1)が超高分子量ポリエチレン配向成形体のそれより
も2桁程度のオーダーで小さいという驚くべき特性を有
している。これらの特性の顕著な改良は、前述した配向
結晶部の新規な微細構造に由来するものと思われる。
本発明の分子配向成形体に用いるエチレン・ブテン−
1共重合体は、ブテン−1を炭素数1000個当り0.1乃至1
5個、特に0.5乃至10個の量で含有することが重要であ
る。即ち、ブテン−1を共単量体とした超高分子量エチ
レン共重合体は、超高分子量ポリエチレンや共単量体と
してプロピレンを含む超高分子量エチレン共重合体に比
して耐クリープ性に優れた分子配向成形体を与える。こ
のブテン−1が上記量で含有されることも極めて重要で
あり、この含有量が上記範囲よりも少ない場合には、分
子配向による結晶融解温度の上昇効果が殆んど認められ
ず、また上記範囲よりも大きいと、エチレン・ブテン−
1共重合体そのものの融点が低下する傾向が大きくなる
と共に、分子配向による結晶融解温度の上昇効果、弾性
率の向上も小さくなる傾向がある。
また、このエチレン・ブテン−1共重合体は、極限粘
度〔η〕が5dl/g以上、特に7乃至30dl/gの範囲にある
ことも分子配向成形体の機械的特性や耐熱性から重要で
ある。即ち、分子端末は繊維強度に寄与しなく、分子端
末の数は分子量(粘度)の逆数であることから、極限粘
度〔η〕の大きいものが高強度を与えることがわかる。
本発明の分子配向成形体は、二回目昇温時の主融解吸
熱ピークとして求められ超高分子量エチレン・ブテン−
1共重合体本来の結晶融解温度(Tm)よりも少なくとも
20℃高い温度に少なくとも1個の結晶融解吸熱ピーク
(Tp)を有すること、及び全融解熱量当りのこの結晶融
解吸熱ピーク(Tp)に基づく熱量が15%以上、好ましく
は20%、特に30%以上であることが、分子配向成形体の
耐熱性、即ち高温下での強度や弾性率の保持性や高温下
での耐クリープ性の点で重要である。
即ち、Tmよりも20℃以上高い温度領域に結晶融解吸熱
ピーク(Tp)を有しない分子配向成形体や、この温度領
域に結晶融解吸熱ピークを有していてもそれに基づく吸
熱量が全融解熱量の15%を下廻る分子配向成形体では、
170℃で5分間熱処理したときの強度保持率や弾性率保
持率が実質上低下する傾向があり、また加熱時における
クリープやクリープ速度も大きくなる傾向がある。
(好適実施態様の説明) 本発明を、その理解が容易なように、原料、製造方法
及び目的物の順に以下に説明する。
原 料 本発明に用いる超高分子量エチレン・ブテン−1共重
合体は、エチレンとコモノマーとしてのブテン−1と
を、チーグラー系触媒の存在下に、例えば有機溶媒中で
スラリー重合させることにより製造される。
この場合、用いるブテン−1コモノマーの量は、炭素
数1000個当り前述した範囲の重合体鎖中のブテン−1含
有量を与えるものでなければならない。また、用いる超
高分子量エチレン・ブテン−1共重合体は、前述した極
限粘度〔η〕に対応する分子量を有するべきである。
ブテン−1含有量が1000炭素原子当り0.2個以下の場
合には、耐クリープ性改良に有効な構造を作ることがで
きないし、又、逆にブテン−1含有量が1000炭素原子当
り15個以上の場合には結晶化度が著しく低下し、高弾性
率を得ることができない。本発明における超高分子量エ
チレン・ブテン−1共重合体のブテン−1成分の定量は
赤外分光光度計(日本分光工業製)によって行なった。
つまりエチレン鎖の中に取り込まれたブテン−1の分岐
末端のメチル基の変角振動に基づく1378cm-1の吸光度を
測定し、これからあらかじめ13C核磁気共鳴装置にて、
モデル化合物を用いて作成した検量線にて、容易に1000
炭素原子当りのメチル分岐数に換算することにより測定
した値である。
製造方法 本発明では、上記超高分子量エチレン・ブテン−1共
重合体の溶融成形を可能にするために、上記成分と共に
稀釈剤を配合する。このような稀釈剤としては、超高分
子量エチレン共重合体に対する溶剤や、超高分子量エチ
レン共重合体に対して相溶性を有する各種ワックス状物
が使用される。
溶剤は、好ましくは前記共重合体の融点以上、更に好
ましくは融点+20℃以上の沸点を有する溶剤である。
かかる溶剤としては、具体的には、n−ノナン、n−
デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−テトラデ
カン、n−オクタデカンあるいは流動パラフィン、灯油
等の脂肪族炭化水素系溶媒、キシレン、ナフタリン、テ
トラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシ
ルベンゼン、ジエチルベンゼン、ベンチルベンゼン、ド
デシルベンゼン、ビシクロヘキシル、デカリン、メチル
ナフタリン、エチルナフタリン等の芳香族炭化水素系溶
媒あるいはその水素化誘導体、1,1,2,2−テトラクロロ
エタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,
2,3−トリクロロプロパン、ジクロロベンゼン、1,2,4−
トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭
化水素溶媒、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系
プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等の鉱油が挙
げられる。
ワックス類としては、脂肪族炭化水素化合物或いはそ
の誘導体が使用される。
脂肪族炭化水素化合物としては、飽和脂肪族炭化水素
化合物を主体とするので、通常分子量が2000以下、好ま
しくは1000以下、更に好ましくは800以下のパラフィン
系ワックスと呼ばれるものである。これら脂肪族炭化水
素化合物としては、具体的にはドコサン、トリコサン、
テトラコサン、トリアコンタン等の炭素数22以上のn−
アルカンあるいはこれらを主成分とした低級n−アルカ
ンとの混合物、石油から分離精製された所謂パラフィン
ワックス、エチレンあるいはエチレンと他のα−オレフ
ィンとを共重合して得られる低分子量重合体である中・
低圧ポリエチレンワックス、高圧法ポリエチレンワック
ス、エチレン共重合ワックスあるいは中・低圧法ポリエ
チレン、高圧法ポリエチレン等のポリエチレンを熱減成
等により分子量を低下させたワックス及びそれらのワッ
クスの酸化物あるいはマレイン酸変性等の酸化ワック
ス、マレイン酸変性ワックス等が挙げられる。
脂肪族炭化水素化合物誘導体としては、例えば脂肪族
炭化水素基(アルキル基、アルケニル基)の末端もしく
は内部に1個又はそれ以上、好ましくは1ないし2個、
特に好ましくは1個のカルホキシル基、水酸基、カルバ
モイル基、エステル基、メルトカプト基、カルボニル基
等の官能基を有する化合物である炭素数8以上、好まし
くは炭素数12〜50又は分子量130〜2000、好ましくは200
〜800の脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、脂
肪酸エステル、脂肪族メルカプタン、脂肪族アルデヒ
ド、脂肪族ケトン等を挙げることができる。
具体的には、脂肪酸としてカプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、脂肪族アルコールとしてラウリンアルコール、ミリ
スチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアル
コール、脂肪酸アミドとしてカプリンアミド、ラウリン
アミド、パルミチンアミド、ステアリルアミド、脂肪酸
エステルとしてステアリル酢酸エステル等を例示するこ
とができる。
超高分子量エチレン共重合体と稀釈剤との比率は、こ
れらの種類によっても相違するが、一般的に言って3:97
乃至80:20、特に15:85乃至60:40の重量比で用いるのが
よい。稀釈剤の量が上記範囲よりも低い場合には、溶融
粘度が高くなり過ぎ、溶融混練や溶融成形が困難となる
と共に、成形物の肌荒れが著しく、延伸切れ等を生じ易
い。一方、稀釈剤の量が上記範囲よりも多いと、やはり
溶融混練が困難となり、また成形品の延伸性が劣るよう
になる。
溶融混練は一般に150乃至300℃、特に170乃至270℃の
温度で行なうのが望ましく、上記範囲よりも低い温度で
は、溶融粘度が高すぎて、溶融成形が困難となり、また
上記範囲よりも高い場合には、熱減成により超高分子量
エチレン共重合体の分子量が低下して高弾性率及び高強
度の成形体を得ることが困難となる。尚、配合はヘンシ
ェルミキサー、V型ブレンダー等による乾式ブレンドで
行ってもよいし、或いは単軸或いは多軸押出機を用いる
溶融混合で行ってもよい。
溶融成形は、一般に溶融押出成形により行われる。例
えば、紡糸口金を通して溶融押出することにより、延伸
用フィラメントが得られ、またフラットダイ或いはリン
グダイを通して押出すことにより、延伸用フィルム或い
はシート或いはテープが得られ、更にサーキュラーダイ
を通して押出すことにより、延伸ブロー成形用パイプ
(パリソン)が得られる。本発明は特に、延伸フィラメ
ントの製造に有用であり、この場合、紡糸口金より押出
された溶融物にドラフト、即ち溶融状態での引き伸しを
加えることもできる。溶融樹脂のダイ・オリフィス内で
の押出速度V0と冷却固化した未延伸物の巻き取り速度V
との比をドラフト比として次式で定義することができ
る。
ドラフト比=V/V0 ……(2) かかるドラフト比は混合物の温度及び超高分子量エチ
レン共重合体の分子量等によるが通常は3以上、好まし
くは6以上とすることができる。
勿論、溶融成形は押出成形のみに限定されず、各種延
伸成形容器等の製造の場合には、射出成形で延伸ブロー
成形用のプリフォームを製造することも可能である。成
形物の冷却固化は風冷、水冷等の強制冷却手段で行うこ
とができる。
かくして得られる超高分子量エチレン共重合体の未延
伸成形体を延伸処理する。延伸処理の程度は、勿論、成
形体の超高分子量エチレン共重合体に少なくとも一軸方
向の分子配向が有効に付与されるようなものである。
超高分子量エチレン共重合体の成形体の延伸は、一般
に40乃至160℃、特に80乃至145℃の温度で行うのが望ま
しい。未延伸成形体を上記温度に加熱保持するための熱
媒体としては、空気、水蒸気、液体媒体の何れをも用い
ることができる。しかしながら、熱媒体として前述した
稀釈剤を溶出除去することができる溶媒でしかもその沸
点が成形体組成物の融点よりも高いもの、具体的にはデ
カリン、デカン、灯油等を使用して、延伸操作を行なう
と、前述した稀釈剤の除去が可能となると共に、延伸時
の延伸むらの解消並びに高延伸倍率の達成が可能となる
ので好ましい。
勿論、超高分子量エチレン共重合体から過剰の稀釈剤
を除去する手段は、前記方法に限らず、未延伸物をヘキ
サン、ヘプタン、熱エタノール、クロロホルム、ベンゼ
ン等の溶剤で処理後延伸する方法、延伸物をヘキサン、
ヘプタン、熱エタノール、クロロホルム、ベンゼン等の
溶剤で処理する方法によっても、成形物中の過剰の稀釈
剤の除去を有効に行ない、高弾性率、高強度の延伸物を
得ることができる。
延伸操作は、一段或いは二段以上の多段で行うことが
できる。延伸倍率は、所望とする分子配向及びこれに伴
なう融解温度向上の効果にも依存するが、一般に5乃至
80倍、特に10乃至50倍の延伸倍率となるように延伸操作
を行えば満足すべき結果が得られる。
一般には、二段以上の多段延伸が有利であり、一段目
では80乃至120℃の比較的低い温度で押出成形体中の稀
釈剤を抽出しながら延伸操作を行い、二段目以降では、
120乃至160℃の温度でしかも一段目延伸温度よりも高い
温度で成形体の延伸操作を続行するのがよい。
フィラメント、テープ或いは一軸延伸等の一軸延伸操
作の場合には、周速の異なるローラ間で引張延伸を行え
ばよく、また二軸延伸フィルムの場合には、周速の異な
るローラ間で縦方向に引張延伸を行なうと共に、テンタ
ー等により横方向にも引張延伸を行う。また、インフレ
ーション法による二軸延伸も可能である。更に、容器等
の立体成形物の場合には、軸方向への引張り延伸と周方
向への膨脹延伸との組合せにより二軸延伸成形体を得る
ことができる。
かくして得られる分子配向成形体は、所望により拘束
条件下に熱処理することができる。この熱処理は、一般
に140乃至180℃、特に150乃至175℃の温度で、1乃至20
分間、特に3乃至10分間行うことができる。熱処理によ
り、配向結晶部の結晶化が一層進行し、結晶融解温度の
高温側移行、強度及び弾性率の向上及び高温での耐クリ
ープ性の向上がもたらされる。
分子配向成形体 既に述べた通り、本発明による超高分子量エチレン・
ブテン−1共重合体の分子配向成形体は、該共重合体本
来の結晶融解温度(Tm)よりも少なくとも20℃高い温度
に少なくとも1個の結晶融解ピーク(Tp)を有し、しか
も全融解熱量当りのこの結晶融解ピーク(Tp)に基づく
融解熱量が15%以上、好ましくは20%以上、特に30%以
上であるという特徴を有する。
超高分子量エチレン共重合体本来の結晶融解温度(T
m)は、この成形体を一度完全に融解した後冷却して、
成形体における分子配向を緩和させた後、再度昇温させ
る方法、所謂示差走査型熱量計におけるセカンド・ラン
で求めることができる。
更に説明すると、本発明の分子配向成形体では、前述
した共重合体本来の結晶融解温度域には結晶融解ピーク
は全く存在しないか、存在するとしても極くわずかにテ
ーリングとして存在するにすぎない。結晶融解ピーク
(Tp)は一般に、温度範囲Tm+20℃〜Tm+50℃の領域に
表われるのが普通であり、このピーク(Tp)は上記温度
範囲内に複数個のピークとして表われることが多い。
これらの高温度領域の結晶融解ピーク(Tp)は、超高
分子量エチレン・ブテン−1共重合体の成形体の耐熱性
を顕著に向上させ、、かつ高温の熱履歴後での強度保持
率や弾性率保持率に寄与するものであると思われる。
本発明における融点及び結晶融解熱量は以下の方法に
より測定した。
融点は示差走査熱量計で以下の様に行なった。示差走
査熱量計はDSC II型(パーキンエルマー社製)を用い
た。試料は約3mgを4mm×4mm、厚さ0.2mmのアルミ板に巻
きつけることにより配向方向に拘束した。次いでアルミ
板に巻きつけた試料をアルミパンの中に封入し、測定用
試料とした。又、リファレンスホルダーに入れる通常空
のアルミパンには試料に用いたと同じアルミ板を封入し
熱バランスを取った。まづ試料を30℃で約1分間保持
し、その後10℃/minの昇温速度で250℃まで昇温し、第
1回目昇温時の融点測定を完了した。引き続き250℃の
状態で10分間保持し、次いで20℃/minの降温速度で降温
し、さらに30℃で10分間試料を保持した。次いで二回目
の昇温を10℃/minの昇温速度で250℃まで昇温し、この
際2回目昇温時(セカンドラン)の融点測定を完了し
た。このとき融解ピークの最大値をもって融点とした。
ショルダーとして現われる場合はショルダーのすぐ低温
側の変曲点とすぐ高温側の変曲点で接線を引き交点を融
点とした。
また吸熱曲線の60℃と240℃との点を結び該直線(ベ
ースライン)と二回目昇温時の主融解ピークとして求め
られる超高分子量エチレン共重合体本来の結晶融解温度
(Tm)より20℃高い点に垂線を引き、これらによって囲
まれた低温側の部分を超高分子量エチレン共重合体本来
の結晶融解(Tm)に基づくものとし、又高温側の部分を
本発明成形体の機能を発現する結晶融解(Tp)に基づく
ものとし、それぞれの結晶融解熱量は、これらの面積よ
り算出した。
成形体における分子配向の程度は、X線回折法、複屈
折法、螢光偏光法等で知ることができる。本発明の超高
分子量エチレン共重合体の延伸フィラメントの場合、例
えば呉祐吉、久保輝一郎:工業化学雑誌第39巻、992頁
(1939)に詳しく述べられている半価巾による配向度、
即ち式 式中、H゜は赤道線上最強のパラトロープ面のデバイ環
に沿っての強度分布曲線の半価幅(゜)である。
で定義される配向度(F)が0.90以上、特に0.95以上と
なるように分子配向されていることが、機械的性質の点
で望ましい。
本発明の超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の
延伸フィラメントは、170℃で5分間の熱履歴を与えた
後での強度保持率が95%以上、特に98%以上で、弾性率
保持率が95%以上、特に98%以上と、従来のポリエチレ
ンの延伸フィラメントには全く認められない優れた耐熱
性を有している。
また、この延伸フィラメントは高温下での耐クリープ
特性に際立って優れており、荷重を30%破断荷重とし、
雰囲気温度を70℃とし、90秒後の延び(%)として求め
たクリープが7%以下、特に5%以下であり、更に90秒
から180秒後のクリープ速度(ε,sec-1)が1×10-4sec
-1以下、特に5×10-4sec-1以下である。
更に、本発明に超高分子量エチレン・ブテン−1共重
合体の分子配向成形体は機械的特性にも優れており、例
えば延伸フィラメントの形状で20GPa以上、特に30GPa以
上の弾性率と、1.2GPa以上、特に1.5GPa以上の引張強度
とを有している。
本発明によるエチレン−ブテン−1共重合体繊維は、
破断荷重よりも若干小さい荷重を室温で印加したとき、
破断する迄の時間が著しく長いという特徴を有する。即
ち、これらの繊維は、室温で750乃至1500MPaの荷重
(F)を印加したときの破壊時間(T1hour)が であるという特許を有する。超高分子量のホモポリエチ
レン繊維やエチレン−プロピレン共重合体繊維では、こ
の破壊時間(T)が上記のものに比してかなり短い。
<クリープ破壊時間の測定> クリープ破壊時間は以下の様にして求めた。試料長約
150cmの試料中央から等間隔で100cmの標線間距離を設
け、標線を入れる。雰囲気温度23℃、相対湿度55%の条
件で試料に所望の荷重を印加する。印加直後から破断ま
での経過時間を測定し、クリープ破壊時間とする。標線
間外で破断したものは除き、6測定で最低破壊時間の1
測定を除き、5測定の平均クリープ破壊時間を測定値と
する。
(発明の効果) 本発明の超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の
分子配向成形体は、耐熱性、耐クリープ性、機械的性質
の組合せに優れている。かくして、この特性を利用し
て、本発明の分子配向成形体は、高強度マルチフィラメ
ント、ひも、ロープ、織布、不織布等の産業用紡織材料
の他に、梱包用テープ等の包装材料として有用である。
また、フィラメントの形態の成形体を、エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル等の各種樹脂や合成ゴム等に対する
補強繊維として使用すると、従来の超高分子量ポリエチ
レン延伸フィラメントに比して、耐熱性や耐クリープ性
の点で著しい改善がなされていることが明白であろう。
又、このフィラメントは高強度でしかも密度が小さいこ
とから従来のガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、芳香
族ポリアミド繊維、芳香族ポリイミド繊維等を用いた成
形物に比べ、特に軽量化を計れるので有効である。ガラ
ス繊維等を用いた複合材料と同様に、UD(Unit Directi
onal)積層板、SMC(Sheet Molding Compound)、BMC
(Bulk Molding Compound)等の成形加工を行うことが
でき、自動車部品、ボートやヨットの構造体、電子回路
用基板等の軽量、高強度分野での各種複合材料用途が期
待される。
実施例 1 <超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の重合> チーグラ系触媒を用い、n−デカン1を重合溶媒と
して超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体のスラリ
ー重合を行った。エチレンとブテン−1との組成がモル
比で97.2:2.86の比率の混合モノマーガスを圧力が5Kg/c
m2の一定圧力を保つ様に反応器に連続供給し、重合は反
応温度70℃で2時間で終了した。得られた超高分子量エ
チレン・ブテン−1共重合体粉末の収量は145gで極限粘
度(デカリン:135℃)は7.25dl/g、赤外分光光度計によ
るブテン−1含量は1000炭素原子あたり4.7個であっ
た。
<超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体延伸配向物
の調製> 上述の重合により得られた超高分子量エチレン・ブテ
ン−1共重合体粉末20重量部とパラフィンワックス(融
点=69℃,分子量=490)80重量部との混合物を次の条
件で溶融紡糸した。
該混合物100重量部にプロセス安定剤として3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ハイドロキシトルエンを0.1重量部
配向した。次いで該混合物をスクリュー式押出機(スク
リュー径:25mm、L/D=25、サーモプラスチックス社製)
を用いて、設定温度190℃で溶融混練を行った。引き続
き、該混合溶融物を押出機に付属するオリフィス径2mm
の紡糸ダイより溶融紡糸した。押出溶融物は180cmのエ
アーギャップで36倍のドラフト比で引き取られ、空気中
にて冷却、固化し、未延伸繊維を得た。さらに該未延伸
繊維を次の条件で延伸した。
三台のゴデットロールを用いて二段延伸を行った。こ
のとき第一延伸槽の熱媒はn−デカンであり、温度は11
0℃、第2延伸槽の熱媒はトリエチレングリコールであ
り、温度は145℃であった。槽の有効長はそれぞれ50cm
であった。延伸に際しては第1ゴデットロールの回転速
度を0.5m/minとして第3ゴデットロールの回転速度を変
更することにより、所望の延伸比の配向繊維を得た。第
2ゴデットロールの回転速度は安定延伸可能な範囲で適
宜選択した。初期に混合された、パラフィンワックスは
ほぼ全量が延伸時n−デカン中に抽出された。このあと
配向繊維は水洗し、減圧下室温にて一昼夜乾燥し、諸物
性の測定に供した。なお延伸比は、第1ゴデットロール
と第3ゴデットロールの回転速度比から計算で求めた。
<引張特性の測定> 弾性率および引張強度は島津製作所製DCS−50M型引張
試験機を用い、室温(23℃)にて測定した。
このときクランプ間の試料長は100mmで引張速度は100
mm/min(100%/分歪速度)であった。弾性率は初期弾
性率で接線の傾きを用いて計算した。計算に必要な繊維
断面積は密度を0.960g/ccとして重量から計算で求め
た。
<熱履歴後の引張弾性率、強度保持率> 熱履歴試験はギャーオーブン(パーフェクトオーブ
ン:田葉井製作所製)内に放置することによって行っ
た。
試料は約3mの長さでステンレス枠の両端に複数個の滑
車を装置したものに折り返しかけて試料両端を固定し
た。この際試料両端は試料がたるまない程度に固定し、
積極的に試料に張力はかけなかった。熱履歴後の引張特
性は前述の引張特性の測定の記載に基づいて測定した。
<耐クリープ性の測定> クリープ特性の測定は熱応力歪測定装置TMA/SS10(セ
イコー電子工業社製)を用いて、試料長1cm、雰囲気温
度70℃、荷重は室温での破断荷重の30%に相当する重量
の促進条件下で行った。クリープ量を定量的に評価する
ため以下の二つの値を求めた。つまり荷重後、90秒後の
スリープ伸び%をCR90、そして90秒後から180秒後の間
の平均クリープ速度(sec-1)εである。
表1に得られた延伸配向繊維の引張特性を示す。
試料1の示差走査熱量計による第1回目昇温時の吸熱
特性曲線を第2図に、又、第2回目昇温時(セカンドラ
ン)の吸熱特性曲線を第5図に示す。超高分子量エチレ
ン・ブテン−1共重合体延伸配向繊維(試料−1)の本
来の結晶融解ピークは126.9℃、全結晶融解ピーク面積
に対するTpの割り合いは33.7%であった。また耐クリー
プ性はCR90=3.2%,ε=3.03×10-5であった。尚、第
9図に試料1のクリープ特性を示す。さらに170℃、5
分間の熱履歴後の弾性率保持率は101.2%、強度保持率
は102.7%であり、熱履歴により性能の低下は示さなか
った。
実施例 2 <超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の重合> チーグラー系触媒を用い、n−デカン1を重合溶媒
として超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体のスラ
リー重合を行った。エチレンとブテン−1との組成がモ
ル比で98.7:1.3の比率の混合モノマーガスを圧力が5Kg/
cm2の一定圧力を保つ様に反応器に連続供給した。重合
は反応温度70℃で2時間で終了した。得られた超高分子
量エチレン・ブテン−1共重合体粉末の収量は179gで、
その極限粘度〔η〕(デカリン、135℃)は9.4dl/g、赤
外分光光度計によるブテン−1含量は1000炭素原子あた
り1.5個であった。
<超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体延伸配向物
の調製および物性> 上述の重合で得られた超高分子量エチレン・ブテン−
1共重合体粉末を用い、実施例1と同様な方法にて超高
分子量エチレン・ブテン−1共重合体延伸配向繊維を調
製した。得られた延伸配向繊維の引張特性を表2に示
す。
超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体延伸配向繊
維試料2の示差走査熱量計による第1回目昇温時の吸熱
特性曲線を第6図に、また、第2回目昇温時(セカンド
ラン)の吸熱特性曲線を第7図に示す。超高分子量エチ
レン・ブテン−1共重合体延伸配向繊維(試料2)の本
来の結晶融解ピークは129.8℃、全結晶融解ピーク面積
に対するTpの割り合いは38.9%であった。
また耐クリープ性はCR90=1.29%、ε=1.21×10-5
あった。尚、試料−2のクリープ特性を第9図に示す。
さらに170℃、5分間の熱履歴後の弾性率保持率は100.3
%、強度保持率は103.0%であり熱履歴により性能の低
下は示さなかった。
試料−2の印加荷重とクリープ破壊時間との関係を表
3に示した。
室温で印加荷重と破壊時間との関係を第13図に示し
た。
比較例 1 超高分子量ポリエチレン(ホモポリマー)粉末(極限
粘度〔η〕=7.42dl/g、デカリン,135℃):20重量部と
パラフィンワックス(融点=69℃、分子量=490):80重
量部の混合物を実施例1の方法で溶融紡糸、延伸し、配
向延伸繊維を得た。表4に得られた延伸配向繊維の引張
特性を示す。
超高分子量ポリエチレン延伸配向繊維(試料3)の示
差走査熱量計による第1回目昇温時の吸熱特性曲線を第
4図に示し、また第2回目の昇温(セカンドラン)時の
吸熱特性曲線を第8図に示す。超高分子量ポリエチレン
試料3本来の結晶融解ピークは135.1℃、全結晶融解ピ
ーク面積に対するTpの割り合いは8.8%であった。また
同様に全結晶融解ピーク面積に対する高温側ピークTp1
の割り合いは1.0%であった。耐クリープ性はCR90=12.
0%、ε=1.07×10-3sec-1であった。試料3のクリープ
特性を第9図に試料1、試料2と合せて示す。さらに17
0℃、5分間の熱履歴後の弾性率保持率は80.4%、強度
保持率は79.2%であり、弾性率、強度は熱履歴により低
下した。
比較例2 超高分子量ポリエチレン(ホモポリマー)粉末(極限
粘度〔η〕=10.2dl/g、デカリン、135℃):20重量部と
パラフィンワックス(融点=69℃、分子量=490):80重
量部の混合物を実施例1記載の方法で溶融紡糸し、延伸
し、延伸・配合繊維を得た。表5に得られた延伸配向繊
維の引張特性を示す。
超高分子量ポリエチレン延伸配向繊維試料−4の示差
走査熱量計による第1回目昇温時の吸熱特性曲線を第11
図に示し、また第2回目昇温(セカンドラン)時の吸熱
特性曲線を第12図に示す。超高分子量ポリエチレン繊維
試料−4本来の結晶融解ピークは135.5℃、全結晶融解
ピーク面積に対するTPおよびTP1の割合はそれぞれ13.8
%および1.1%であった。試料−4の耐クリープ性はCR
90=8.2%、ε=4.17×10-4sec-1であった。試料−4の
クリープ特性を第12図に示す。さらに170℃、5分間の
熱履歴後の弾性率保持率は86.1%、強度保持率は93.1%
であり、特に弾性率が著しく低下した。
試料−4の印加荷重とクリープ破壊時間との関係を表
6に示した。
室温で印加荷重と破壊時間との関係を試料−2と合せ
て第13図に示した。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で用いた超高分子量エチレン・ブテン
−1共重合体粉末の示差走査熱量計による吸熱特性曲
線、 第2図は実施例1で得られた超高分子量エチレン・ブテ
ン−1共重合体延伸配向繊維の拘束状態での示差走査熱
量計による吸熱特性曲線、 第3図は比較例1で用いた超高分子量ポリエチレン粉末
の示差走査熱量計による吸熱特性曲線、 第4図は比較例1で得られた超高分子量ポリエチレン延
伸配向繊維の拘束状態での示差走査熱量計による吸熱特
性曲線、 第5図は第2図の試料を2回目の昇温測定(セカンドラ
ン)に付したときの吸熱特性曲線、 第6図は実施例2で得られた超高分子量エチレン・ブテ
ン−1共重合体延伸配向繊維の拘束状態での示差走査熱
量計による吸熱特性曲線、 第7図は第6図の試料を2回目の昇温測定に付したとき
の吸熱特性曲線、 第8図は第4図の試料を2回目の昇温測定に付したとき
の吸熱特性曲線、及び 第9図は、実施例1、実施例2及び比較例1で得られた
各重合体の延伸配向繊維のクリープ特性曲線を示す。 第10図は比較例2で得られた超高分子量ポリエチレン延
伸配向繊維の拘束状態での示差走査熱量計による吸熱特
性曲線、 第11図は第10図の試料を2回目の昇温測定に付したとき
の吸熱特性曲線、 第12図は比較例2で得られた延伸配向繊維のクリープ特
性曲線を示す。 第13図は、試料−2、試料−4の各繊維について、室温
での印加荷重と破壊時間との関係を示す線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 210/16 MJM

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極限粘度〔η〕が少なくとも5dl/gでブテ
    ン−1の含有量が炭素数1000個あたり平均0.1〜15個で
    ある超高分子量エチレン・ブテン−1共重合体の分子配
    向成形体であって、 該成形体は拘束状態で示差走査熱量計で測定したとき、
    少なくとも2個の結晶融解吸熱ピークを有すると共に、
    二回目昇温時の主融解吸熱ピークとして求められる超高
    分子量エチレン・ブテン−1共重合体本来の結晶融解温
    度(Tm)よりも少なくとも20℃高い温度に少なくとも1
    個の結晶融解吸熱ピーク(Tp)を有し、且つ全融解熱量
    当りのこの結晶融解吸熱ピーク(Tp)に基づく熱量が15
    %以上であることを特徴とする分子配向成形体。
  2. 【請求項2】ブテン−1の含有量が炭素数1000個当り平
    均0.5乃至10個である特許請求の範囲第1項記載の分子
    配向成形体。
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