JPH08155589A - サスペンションアーム鋳造用鋳型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋳物製品であるサスペンションアームの軸部
と軸孔とについて、鋳造段階での寸法精度および鋳肌面
精度を高めて後加工を不要にする。 【構成】 砂型よりなるサスペンションアーム鋳造用の
鋳型１について、相手側部品との結合部となるピン８の
外周面８ａの成形を直接司る部分と、同じく筒状部７の
の内周面７ａの成形を直接司る部分とに、セラミックで
形成された中空円筒状の中子９または１０を配置する。
各中子９，１０の内径をピン８の外径に合わせるととも
に、各中子９，１０の外径を筒状部７の内径に合わせる
ことにより、双方の中子９，１０をピン８の成形と筒状
部７の成形とに共用できるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車用の鋳鉄製サス
ペンションアームを砂型鋳造法によって鋳造するための
鋳型の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より主流を占めていた板金製のもの
から鋳鉄製のものに置換した自動車用のサスペンション
アームが一部において実用化されている。この鋳鉄製の
サスペンションアームを製造するには、例えば砂型鋳造
法によりサスペンションアームの総形形状を鋳造した後
に、相手側部品との結合部となる軸部や軸孔（ブッシュ
取付部）に機械加工を施して最終製品形状として必要な
所定の寸法および精度に仕上げたり、あるいは上記の軸
部や軸孔までも含む最終製品形状を金型を用いた鋳造法
により精度よく成形するなどの方法が採られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来のサスペンションアームの製造方法において
は、砂型鋳造法により鋳造した場合には、後工程での機
械加工が不可欠であるために加工工数の増加を招くほ
か、サスペンションアーム自体が複雑形状であるために
旋削等の機械加工に際してチャッキングが難しく、した
がって大型の切削加工機もしくは専用の切削加工機を必
要とすることから、設備費の高騰を招く結果となって好
ましくない。

【０００４】また、金型を用いた鋳造法により鋳造し場
合には、後工程での機械加工工数を大幅に削減もしくは
不要にすることができるものの、上記のようにサスペン
ションアーム自体が複雑形状であるために、鋳造方案に
あたって例えば湯流れ性の改善等の充分な配慮が必要に
なるとともに金型構造も複雑となり、上記と同様にその
金型を含む設備全体の費用の高騰を招くことになる。

【０００５】本発明は以上のような課題に着目してなさ
れたもので、砂型鋳造用の鋳型にわずかな改良を加える
だけで後工程でのサスペンションアームの機械加工工数
を大幅に削減もしくは不要にすることができ、それによ
って設備費の抑制ひいてはサスペンションアームのコス
トダウンを可能にしたサスペンションアーム鋳造用鋳型
の構造を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、相手側部品との結合部となる軸部と軸孔のうち少な
くともいずれか一方を有する鋳鉄製のサスペンションア
ームを砂型鋳造法により鋳造するための鋳型において、
砂型よりなる鋳型のうちサスペンションアームの軸部も
しくは軸孔の成形を司る部分にセラミック製の筒状の中
子を配設したことを特徴としている。

【０００７】請求項２に記載の発明は、請求項１に記載
のサスペンションアーム鋳造用鋳型において、鋳型のう
ちサスペンションアームの軸部の成形を司る部分と軸孔
の成形を司る部分にセラミックにて形成された同一寸法
の中空円筒状の中子が個別に配設されていて、その中子
の外径が軸孔の内径に合わせた寸法に設定されていると
ともに、該中子の内径が軸部の外径に合わせた寸法に設
定されていることを特徴としている。

【０００８】

【作用】請求項１に記載の構造によると、砂型よりなる
鋳型について、サスペンションアームのうち相手側部品
との結合部となる軸部もしくは軸孔の成形を司る部分に
セラミック製の筒状の中子を配置したものであるから、
例えば軸部の成形を司る部分にセラミック製の中子を配
置した場合には、その軸部の外周面形状は中子の内周面
形状が転写されたものとなる一方、軸孔の成形を司る部
分にセラミック製の中子を配置した場合には、その軸孔
の内周面形状は中子の外周面形状が転写されたものとな
る。したがって、その軸部もしくは軸孔の寸法精度およ
び鋳肌面精度が大幅に向上し、いずれの場合にもそれら
の軸部もしくは軸孔の寸法精度および鋳肌面精度につい
て後工程での機械加工が不要な程度にまで鋳造段階で高
精度に仕上げることができる。

【０００９】また、請求項２に記載の構造によると、鋳
型のうちサスペンションアームの軸部の成形を司る部分
と軸孔の成形を司る部分にセラミックにて形成された同
一寸法の中空円筒状の中子が個別に配設されていて、そ
の中子の外径が軸孔の内径に合わせた寸法に設定されて
いるとともに、該中子の内径が軸部の外径に合わせた寸
法に設定されていることから、実質的に軸部成形用の中
子と軸孔成形用の中子とに共通のものを使用して所期の
目的を達成できる。

【００１０】

【実施例】図１〜６は本発明の一実施例を示す図で、特
に図３は下型のみの平面図を示している。図３のほか図
１，２および図４，５に示すように、砂型よりなる鋳型
１は、型合わせ面２ａ，３ａで図示外の鋳枠とともに相
互に型合わせされる上型２と下型３とから構成され、そ
れら上型２と下型３とで形成される製品部空間４に溶湯
を流し込むことにより鋳物であるサスペンションアーム
５が鋳造される。

【００１１】このサスペンションアーム５は、相手側部
品との結合部となる筒状部７と軸部となるピン８とが互
いに同一軸線上に位置するようにアーム本体６と一体に
形成されていて、筒状部７にはその内周面７ａを軸孔と
して図示外のマウントゴムブッシュを介して相手側の軸
が挿入，結合される。

【００１２】そして、本実施例では、図３のほか図１，
２および図４，５，６に示すように、鋳型１のうち上記
のピン８の成形を司る部分にセラミックにて形成された
中空円筒状の中子９が予め配置されているとともに、同
じく筒状部７の成形を司る部分にセラミックにて形成さ
れた中空円筒状の中子１０が予め配置されている。これ
らの中子９，１０は鋳物砂よりなる下型３側に予めセッ
トされた上で上型２と型合わせされる。すなわち、一方
の中子９は、図１，２に示すように、ピン８の外周面８
ａとそれに隣接するフランジ部１１の端面１１ａの成形
を直接司るように配置されている一方、他方の中子１０
は図４，５，６に示すように筒状部７の内周面７ａの成
形を直接司るように配置されている。

【００１３】また、上記二つの中子９，１０はいずれも
同一寸法の共通仕様のものが使用されていて、それらの
中子９，１０の内径寸法はピン８の最終製品形状として
必要なそのピン８の外径寸法に合わせて設定されている
一方、中子９，１０の外径寸法は前記筒状部７の内周面
７ａの最終製品形状として必要なその内周面７ａの内径
寸法に合わせて設定されている。

【００１４】したがって、本実施例構造によれば、図
１，２および図４，５，６に示すように、鋳型１に双方
の中子９，１０がセットされた状態で常法により注湯を
行うことによりサスペンションアーム５が鋳造される。

【００１５】この場合、図１，２に示すように、ピン８
の外周面８ａとそのピン８に隣接するフランジ部１１の
端面１１ａとは一方の中子９の形状が直接転写されるか
たちで成形される一方、図４，５，６に示すように筒状
部７の内周面７ａは他方の中子１０の形状が直接転写さ
れるかたちで成形される。

【００１６】その結果、上記のピン８の外周面８ａと筒
状部７の内周面７ａについては砂型鋳造でありながら、
その寸法精度と鋳肌面精度が大幅に向上することにな
り、そのピン８の外周面８ａと筒状部７の内周面７ａに
ついては基本的に後工程での切削等の機械加工を不要に
することができる。しかも、双方の中子９，１０として
同一寸法のものを使用して共通化したことにより、中子
の製作工数や管理工数を大幅に削減することができる。

【００１７】ここで、前記実施例においては、ピン８を
成形する部分と筒状部７を成形する部分とにそれぞれ中
子９，１０を配置したが、必要に応じていずれか一方に
ついてはセラミック製の中子９または１０に代えて周知
の鋳砂製の中子を採用してもよい。

【００１８】また、上記実施例では中子９，１０を互い
に共通仕様のものとしたが、ピン８の外径寸法や筒状部
７の内径寸法によっては共通仕様とすることができない
こともあり得るので、そのような場合にはピン８および
筒状部７ごとに別個の中子を使用する。このような場合
には、筒状部７の内周面７ａの成形を司る中子について
は必ずしも中空状のものである必要はなく中実状のもの
であってもよく、同様にピン８の成形を司る中子につい
ては必ずしも外周面が円形である必要はなく例えば角形
のものでもよい。

【００１９】

【発明の効果】以上のように請求項１に記載の発明によ
れば、砂型よりなる鋳型について、サスペンションアー
ムのうち比較的寸法精度および面粗度精度を必要とする
軸部もしくは軸孔の成形を司る部分にセラミック製の筒
状の中子を配設したことにより、その中子形状が転写さ
れることにより成形された部分については寸法精度およ
び面粗度精度ともに大幅に向上することから、その部分
についての後工程での機械加工工数を大幅に削減もしく
は省略できる。その結果、鋳型のコストひいては製品で
あるサスペンションアームのコストを大幅に低減でき
る。

【００２０】加えて、上記のように基本的に後加工を必
要としない軸部もしくは軸孔とアーム本体との相対位置
精度が鋳造と同時に決定されるので、従来のように後加
工を行った場合よりも軸部もしくは軸孔とアーム本体と
の相対位置精度が一段と向上する利点がある。

【００２１】また、請求項２に記載の発明のように、軸
部成形用の中子と軸孔成形用の中子とを同一寸法のもの
とすることにより中子の共通化が図れ、それによって中
子の製作工数と管理工数を大幅に削減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す図で、図３のＡ−Ａ線
に沿う拡大断面図。

【図２】図１のＢ−Ｂ線に沿う断面図。

【図３】本発明の一実施例を示す図で、鋳型を形成する
下型のみの平面図。

【図４】図３のＣ−Ｃ線に沿う拡大断面図。

【図５】図４のＤ−Ｄ線に沿う断面図。

【図６】図３に示すサスペンションアームの要部拡大斜
視図。

【符号の説明】

１…鋳型 ２…上型 ３…下型 ５…サスペンションアーム ６…アーム本体 ７…筒状部 ７ａ…内周面（軸孔） ８…ピン（軸部） ９，１０…中子

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 相手側部品との結合部となる軸部と軸孔
   のうち少なくともいずれか一方を有する鋳鉄製のサスペ
   ンションアームを砂型鋳造法により鋳造するための鋳型
   において、 砂型よりなる鋳型のうちサスペンションアームの軸部も
   しくは軸孔の成形を司る部分にセラミック製の筒状の中
   子を配設したことを特徴とするサスペンションアーム鋳
   造用鋳型。
2. 【請求項２】 請求項１記載のサスペンションアーム鋳
   造用鋳型において、 鋳型のうちサスペンションアームの軸部の成形を司る部
   分と軸孔の成形を司る部分にセラミックにて形成された
   同一寸法の中空円筒状の中子が個別に配設されていて、
   その中子の外径が軸孔の内径に合わせた寸法に設定され
   ているとともに、該中子の内径が軸部の外径に合わせた
   寸法に設定されていることを特徴とするサスペンション
   アーム鋳造用鋳型。