JPH08121227A - エンジンの電子制御装置 - Google Patents

エンジンの電子制御装置

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Publication number
JPH08121227A
JPH08121227A JP7020679A JP2067995A JPH08121227A JP H08121227 A JPH08121227 A JP H08121227A JP 7020679 A JP7020679 A JP 7020679A JP 2067995 A JP2067995 A JP 2067995A JP H08121227 A JPH08121227 A JP H08121227A
Authority
JP
Japan
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engine
temperature
transistor
electronic control
control unit
Prior art date
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Pending
Application number
JP7020679A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Ina
博之 伊奈
Kazunori Kurokawa
和徳 黒川
Hideyasu Kawai
秀泰 河合
Takahide Abe
孝秀 阿部
Kengo Sugiura
健悟 杉浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
Application filed by NipponDenso Co Ltd filed Critical NipponDenso Co Ltd
Priority to JP7020679A priority Critical patent/JPH08121227A/ja
Publication of JPH08121227A publication Critical patent/JPH08121227A/ja
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フライバック電圧消弧用ツェナーダイオード
が接続されたインダクタンス負荷駆動用トランジスタの
使用限界温度範囲を超えての発熱を抑制する。 【構成】 エンジンの電子制御装置30には、マイクロ
コンピュータ310から出力される駆動指令に基づいて
燃料噴射弁9の駆動を制御する駆動回路341が内蔵さ
れている。この駆動回路にあっては、燃料噴射弁駆動用
のトランジスタのベース−コレクタ間にフライバック電
圧消弧用のツェナーダイオードを挿入し、燃料噴射弁9
のオフ時に発生するフライバックエネルギを同トランジ
スタで吸収するようになる。ここではこのトランジスタ
近傍にサーミスタ352を配設し、該サーミスタの端子
間電圧に基づいて同トランジスタの周囲温度を演算する
とともに、該演算された周囲温度が所定の限界値以上と
なるとき、エンジンの高回転燃料カット判定値を引き下
げて、上記トランジスタの発生電力を制限する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エンジンの運転を電
子制御するエンジンの電子制御装置に関し、特に、燃料
噴射弁等のインダクタンス負荷をエンジンの回転に同期
して駆動するトランジスタに接続されて同負荷のオフ時
に発生するフライバック電圧を消弧するツェナーダイオ
ードを具えるものにあって、上記トランジスタの熱的保
護を的確に実現する装置の具現に関する。
【0002】
【従来の技術】こうしたエンジンの電子制御装置にあっ
ては、その更なる小型化を図るべく、燃料噴射弁駆動用
のトランジスタのベース−コレクタ間に上記フライバッ
ク電圧消弧用のツェナーダイオードを挿入し、同燃料噴
射弁のオフ時に発生するフライバックエネルギを上記ト
ランジスタで吸収するようにしている。
【0003】ただし、このようにフライバックエネルギ
を上記トランジスタ自身で吸収するようにした場合、燃
料噴射弁駆動時の発熱に加え更にこのフライバックエネ
ルギによる発熱が加わることとなり、同トランジスタの
耐熱性に関する問題が大きくクローズアップされるよう
になってきている。
【0004】すなわち、上記フライバック電圧の消弧方
法として単にこのような方法を採っただけでは熱的に非
常に厳しいものとなり、上記トランジスタの使用限界と
なる温度範囲を超えてしまう可能性がある。
【0005】そこで従来は、それらトランジスタ等を放
熱フィン上に取り付けたり、或いはそれらトランジスタ
自身にヒートシンクを装着するなどの放熱対策を施すよ
うにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記燃料噴射弁駆動用
のトランジスタ等に対して、このような放熱対策を施す
ことにより、該トランジスタはもとより、これを内蔵す
る電子制御装置自身も、確かにその信頼性は向上される
ようになる。
【0007】しかし、その経済性、或いはエンジンとい
ったいわば特殊な機器を制御対象とする電子制御装置と
いう観点からすれば、必ずしもこのような放熱対策が得
策であるとは限らない。
【0008】すなわち、燃料噴射弁のオフ時に発生する
フライバック電圧を消弧する方法として上記方法を採用
した場合、同燃料噴射弁駆動用のトランジスタの使用限
界温度範囲を超えてしまう可能性があるとはいえ、現実
にそのような状況に陥るのは、例えばその周囲温度が高
温で且つ燃料噴射弁の抵抗値が低く(すなわち温度
低)、しかもエンジンが高速回転しているときといった
ような、それこそ特殊な場合に限られる。
【0009】したがって、そのような特殊な状況に備え
て上記放熱対策を施したとしても、その技術的効果は薄
く、経済的にも有効なコストのかけ方であるとはいい難
い。また、ただ単に上記態様での放熱対策を施したとこ
ろで、その周囲温度自体が高温となる場合には、有効な
放熱が行われず、その発熱に対する根本的な対策にはな
らない。
【0010】なお、上記燃料噴射弁駆動用のトランジス
タに限らず、電子制御装置に内蔵され、上述した態様で
フライバックエネルギを吸収するようになるインダクタ
ンス負荷駆動用のトランジスタにあっては、こうした実
情も概ね共通したものとなっている。
【0011】この発明は、上記実情に鑑みてなされたも
のであり、いたずらに放熱にコストをかけずとも、フラ
イバック電圧消弧用のツェナーダイオードが接続される
インダクタンス負荷駆動用のトランジスタの熱的保護を
的確に実現することのできるエンジンの電子制御装置を
提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】こうした目的を達成する
ため、請求項1記載の発明では、インダクタンス負荷を
エンジンの回転に同期して駆動するトランジスタと、同
トランジスタに接続されて前記負荷のオフ時に発生する
フライバック電圧を消弧するツェナーダイオードとを具
えるエンジンの電子制御装置にあって、前記トランジス
タの温度若しくはその周囲温度を監視する温度監視手段
と、該監視される温度若しくはその相当値が所定の限界
値以上となるときエンジン回転数を制限する回転数制限
手段とを具える構成とする。
【0013】また、請求項2記載の発明では、前記回転
数制限手段を、エンジンの高速回転に伴う燃料カット回
転数の判定値を引き下げる燃料カット判定値変更手段を
具えるものとして構成する。
【0014】また、請求項3記載の発明では、前記回転
数制限手段を、エンジンへの燃料噴射を所定の時間ずつ
間引きして同エンジンの最高回転数を低下せしめる燃料
噴射間引き手段を具えるものとして構成する。
【0015】また、請求項4記載の発明では、前記回転
数制限手段を、エンジンの任意気筒への燃料噴射を停止
して同エンジンの最高回転数を低下せしめる減筒制御手
段を具えるものとして構成する。
【0016】また、請求項5記載の発明では、前記回転
数制限手段を、エンジンへの燃料噴射量を所定に減量し
て同エンジンの最高回転数を低下せしめる噴射量減量手
段を具えるものとして構成する。
【0017】また、請求項6記載の発明では、前記回転
数制限手段を、エンジンの吸気絞り弁を強制駆動して同
エンジンの最高回転数を低下せしめる吸気制限手段を具
えるものとして構成する。
【0018】また、請求項7記載の発明では、これら請
求項1乃至6記載の発明の何れかの構成において、前記
温度監視手段を、前記トランジスタの近傍に配設された
サーミスタと、該サーミスタの端子間電圧に基づいて同
トランジスタの周囲温度を演算する演算手段とを具える
ものとして構成する。
【0019】また、請求項8記載の発明では、同じく請
求項1乃至6記載の発明の何れかの構成において、前記
温度監視手段を、同電子制御装置内に配されて定電流駆
動されるダイオードと、該ダイオードの順方向電圧に基
づいて前記トランジスタの周囲温度を演算する演算手段
とを具えるものとして構成する。
【0020】また、請求項9記載の発明では、この請求
項8記載の発明の構成において、前記ダイオードを、電
子制御装置内に同温度監視手段として別途に配設するよ
うにする。
【0021】また、請求項10記載の発明では、同じく
請求項8記載の発明の構成において、前記ダイオード
を、電子制御装置内に制御部品として予め配設されてい
るものを流用するようにする。
【0022】また、請求項11記載の発明では、ダイオ
ードを用いたこれら請求項8または9または10記載の
発明の構成において、前記演算手段を、電源投入後所定
の時間以内であること、及びエンジンの冷却水温並びに
吸気温が共に所定の第1の温度以下でその温度差も所定
の第2の温度以下であること、及びエンジンが回転して
いないことの論理積条件が満たされることに基づき前記
ダイオードの順方向電圧−温度特性を校正する手段と、
前記条件の何れか1つでも満たされなくなるとき、該ダ
イオードの校正された順方向電圧−温度特性に基づいて
その都度の温度を前記トランジスタの周囲温度として算
出する手段とを具えて構成するようにする。
【0023】また、請求項12記載の発明では、先の請
求項1乃至6記載の発明の何れかの構成において、前記
温度監視手段を、前記トランジスタの周囲温度をバッテ
リの電圧値に換算して監視するものとし、前記回転数制
限手段は、この換算されたバッテリの電圧値が所定の限
界値以上となるとき前記エンジン回転数を制限するもの
とする。
【0024】また、請求項13記載の発明では、同じく
請求項1乃至6記載の発明の何れかの構成において、前
記温度監視手段を、前記トランジスタの定電流駆動時の
ベース電位を抽出するベース電位抽出手段と、該抽出さ
れたベース電位に基づいて同トランジスタ自身の温度を
演算する演算手段とを具えるものとして構成する。
【0025】また、請求項14記載の発明では、この請
求項13記載の発明の構成において、前記演算手段を、
前記トランジスタがオンになって以後一定時間が経過し
たことに基づいて同トランジスタが定電流駆動状態にあ
る旨検出する手段と、該定電流駆動状態にある旨の検出
に基づいて前記抽出されたベース電位を読み込み、その
ベース電位−温度特性に基づいて同トランジスタの温度
を算出する手段とを具えて構成するようにする。
【0026】また、請求項15記載の発明では、同じく
請求項13記載の発明の構成において、前記温度監視手
段が更に、前記負荷の電源電位を抽出する電源電位抽出
手段を具えて構成されるものとするとき、前記演算手段
を、前記トランジスタがオンになって以後一定時間が経
過したことに基づいて同トランジスタが定電流駆動状態
にある旨検出する手段と、該定電流駆動状態にある旨の
検出に基づいて前記抽出されたベース電位並びに電源電
位を読み込み、その都度の電源電位に応じたベース電位
−温度特性に基づいて同トランジスタの温度を算出する
手段とを具えて構成するようにする。
【0027】また、請求項16記載の発明では、インダ
クタンス負荷をエンジンの回転に同期して駆動するトラ
ンジスタと、同トランジスタに接続されて前記負荷のオ
フ時に発生するフライバック電圧を消弧するツェナーダ
イオードとを具えるエンジンの電子制御装置にあって、
前記インダクタンス負荷の温度を監視する負荷温度監視
手段と、該監視される負荷温度に応じてエンジン回転数
を制限する回転数制限手段とを具える構成とする。
【0028】また、請求項17記載の発明では、上記請
求項16記載の発明の構成において、前記回転数制限手
段を、エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数の判
定値を前記監視される負荷温度に応じて変更する燃料カ
ット判定値変更手段を具えるものとして構成する。
【0029】また、請求項18記載の発明では、同請求
項16記載の発明の構成において、前記回転数制限手段
を、エンジンへの燃料噴射を前記監視される負荷温度に
応じた所定の時間ずつ間引きして同エンジンの最高回転
数を低下せしめる燃料噴射間引き手段を具えるものとし
て構成する。
【0030】また、請求項19記載の発明では、同請求
項16記載の発明の構成において、前記回転数制限手段
を、前記監視される負荷温度に応じて決定される数の気
筒への燃料噴射を停止して同エンジンの最高回転数を低
下せしめる減筒制御手段を具えるものとして構成する。
【0031】また、請求項20記載の発明では、同請求
項16記載の発明の構成において、前記回転数制限手段
を、エンジンへの燃料噴射量を前記監視される負荷温度
に応じた所定量だけ減量して同エンジンの最高回転数を
低下せしめる噴射量減量手段を具えるものとして構成す
る。
【0032】また、請求項21記載の発明では、同請求
項16記載の発明の構成において、前記回転数制限手段
を、エンジンの吸気絞り弁を前記監視される負荷温度に
応じた所定量だけ強制駆動して同エンジンの最高回転数
を低下せしめる吸気制限手段を具えるものとして構成す
る。
【0033】また、請求項22記載の発明では、これら
請求項16乃至21の何れかに記載の発明の構成におい
て、前記負荷温度監視手段を、前記インダクタンス負荷
に配設されてその温度を直接測定する温度測定手段を具
えるものとして構成する。
【0034】また、請求項23記載の発明では、同じく
請求項16乃至21の何れかに記載の発明の構成におい
て、前記負荷温度監視手段を、エンジンの冷却水温を検
出する水温センサと、該検出される冷却水温に基づいて
前記インダクタンス負荷の温度を推定する推定手段とを
具えるものとして構成する。
【0035】また、請求項24記載の発明では、上記請
求項23記載の発明の構成において、前記推定手段を、
エンジン始動時からの累積回転数を演算する演算手段
と、該演算された累積回転数が所定の値以上となると
き、前記検出される冷却水温若しくは同冷却水温に応じ
たエンジン回転数制限量の許容幅を所定に増加補正する
補正手段とを具えるものとして構成する。
【0036】また、請求項25記載の発明では、この請
求項24記載の発明の構成において、前記推定手段を、
エンジンの停止後も、イグニションオフとなるまでは前
記演算された累積回転数を保持するものとして構成す
る。
【0037】
【作用】燃料噴射弁等、インダクタンス負荷のオフ時に
発生するフライバック電圧を消弧する方法として、ツェ
ナーダイオードをその駆動用のトランジスタに接続した
場合、同トランジスタの使用限界温度範囲を超えてしま
う可能性があるとはいえ、現実にそのような状況に陥る
のは、例えばその周囲温度が高温で且つ燃料噴射弁の抵
抗値が低く(すなわち温度低)、しかもエンジンが高速
回転しているとき、といったような特殊な場合に限られ
ることは前述した通りである。
【0038】そこで、上記請求項1記載の発明によるよ
うに、 ・前記トランジスタの温度若しくはその周囲温度を監視
する温度監視手段と、 ・該監視される温度若しくはその相当値が所定の限界値
以上となるときエンジン回転数を制限する回転数制限手
段と、をそれぞれ具えるようにすれば、上記トランジス
タから発生される電力も自ずと制限されるようになり、
上記トランジスタに対して必ずしも前述したような放熱
対策を施さずとも、その使用限界温度範囲を超えての発
熱といったものは的確に抑えられるようになる。
【0039】したがって、いたずらに放熱にコストをか
けずとも、まさかのときには確実にそれら素子の保護を
図ることができるようになる。なお、上記トランジスタ
から発生される電力は、同トランジスタのオン時にはそ
のオンデューティに比例し、またオフ時、すなわちフラ
イバックエネルギの吸収時には、エンジン回転数に比例
したものとなる。このため、オンデューティが変わらな
いものと仮定すれば、エンジン回転数を制限することで
その発生される電力は制限され、同トランジスタの異常
発熱も好適に抑制されるようになる。
【0040】また、上記請求項2記載の発明によるよう
に、前記回転数制限手段を、 ・エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数の判定値
を引き下げる燃料カット判定値変更手段を具えるもの。 として構成すれば、その変更された燃料カット判定値以
上の回転数では燃料噴射が全面的に禁止され、エンジン
回転数がそれ以上に上昇することもなくなる。
【0041】このため、車両の通常の走行に何らの影響
も与えることなく、同トランジスタの異常発熱を抑え、
ひいてはこれを保護することができるようになる。ま
た、前記回転数制限手段については他にも、例えば請求
項3記載の発明によるように、 ・エンジンへの燃料噴射を所定の時間ずつ間引きして同
エンジンの最高回転数を低下せしめる燃料噴射間引き手
段を具えるもの。 或いは請求項4記載の発明によるように、 ・エンジンの任意気筒への燃料噴射を停止して同エンジ
ンの最高回転数を低下せしめる減筒制御手段を具えるも
の。 或いは請求項5記載の発明によるように、 ・エンジンへの燃料噴射量を所定に減量して同エンジン
の最高回転数を低下せしめる噴射量減量手段を具えるも
の。 或いは請求項6記載の発明によるように、 ・エンジンの吸気絞り弁(スロットルバルブなど)を強
制駆動して同エンジンの最高回転数を低下せしめる吸気
制限手段を具えるもの。 として構成することもできる。
【0042】回転数制限手段としてのこのような構成に
よっても、エンジン回転数を好適に制限することがで
き、ひいては上記トランジスタの発生電力を制限するこ
とができるようになる。
【0043】一方、上記請求項7記載の発明によるよう
に、以上の各構成において、前記温度監視手段について
はこれを、 ・前記トランジスタの近傍に配設されたサーミスタと、
該サーミスタの端子間電圧に基づいて同トランジスタの
周囲温度を演算する演算手段とを具えるもの。 として構成することができる。温度監視手段としてのこ
のような構成によれば、上記トランジスタの周囲温度を
直接、しかも簡単に監視することができるようになる。
【0044】また、上記請求項8記載の発明によるよう
に、同温度監視手段についてはこれを、 ・電子制御装置内に配されて定電流駆動されるダイオー
ドと、該ダイオードの順方向電圧に基づいて前記トラン
ジスタの周囲温度を演算する演算手段とを具えるもの。 として構成することもできる。特に、温度監視手段とし
てのこうした構成によれば、前記ダイオードについてこ
れを例えば請求項9記載の発明によるように、 A.電子制御装置内に同温度監視手段として別途に配設
する。或いは請求項10記載の発明によるように、 B.電子制御装置内に制御部品として予め配設されてい
るものを流用する。 といった態様での利用が可能となる。
【0045】前者A.の構成によれば、温度監視対象と
なるトランジスタ近傍の任意の位置に前記ダイオードを
配設することができ、またその定電流源としても任意の
ものを使用することができる自由度がある。
【0046】また、後者B.の構成によれば、こうした
自由度はないものの、新たに電子部品を追加する必要が
なく、より経済的に同温度監視手段を構成することがで
きるようになる。なお、この電子制御装置内に制御部品
として予め配設されて定電流駆動されるダイオードとし
ては、例えば車速センサなどの波形整形回路にあって、
そのセンサ信号を2値化するための比較基準電位を生成
するダイオードなどがある。
【0047】また、請求項11記載の発明によるよう
に、温度監視手段としてダイオードを用いたこれらの構
成にあって、前記演算手段を、 ・電源投入後所定の時間以内であること、及びエンジン
の冷却水温並びに吸気温が共に所定の第1の温度以下で
その温度差も所定の第2の温度以下であること、及びエ
ンジンが回転していないことの論理積条件が満たされる
ことに基づき前記ダイオードの順方向電圧−温度特性を
校正する手段と、 ・前記条件の何れか1つでも満たされなくなるとき、該
ダイオードの校正された順方向電圧−温度特性に基づい
てその都度の温度を前記トランジスタの周囲温度として
算出する手段と、をそれぞれ具えて構成すれば、こうし
てダイオードを用いて温度監視手段を実現する場合であ
れ、その順方向電流に起因する温度特性のばらつきを的
確に吸収して、前記周囲温度についての精度の高い監視
を行うことができるようになる。
【0048】ところで、上記トランジスタの発生電力は
その電源電圧、すなわちバッテリ電圧と強い相関があ
り、同トランジスタの許容される周囲温度も、このバッ
テリ電圧に換算して監視することができる。
【0049】そこで、先の請求項1乃至6記載の発明の
構成においても、請求項12記載の発明によるように、
前記温度監視手段を、 ・前記トランジスタの周囲温度をバッテリの電圧値に換
算して監視するもの。 として構成し、前記回転数制限手段についてもこれを、 ・この換算されたバッテリの電圧値が所定の限界値以上
となるとき前記エンジン回転数を制限するもの。 として構成すれば、基本的にバッテリ電圧を測定するだ
けの非常に簡単な構成にて、上記トランジスタの発熱を
抑えることができ、確実に同素子の保護を図ることがで
きるようになる。
【0050】他方、上記トランジスタ自身のベース電位
(ベース−エミッタ間電圧)も、上述したダイオードの
順方向電圧と同様、温度と強い相関をもって変化するこ
とが知られている。
【0051】そこで、同じく請求項1乃至6記載の発明
の構成において、請求項13記載の発明によるように、
前記温度監視手段を、 ・前記トランジスタの定電流駆動時のベース電位を抽出
するベース電位抽出手段と、該抽出されたベース電位に
基づいて同トランジスタ自身の温度を演算する演算手段
とを具えるもの。 として構成すれば、監視対象とするトランジスタの特性
を直接利用してその温度を監視することができるように
なる。すなわちこの場合、その周囲温度が上昇する以前
に同トランジスタ自身の温度が急上昇したような場合で
あっても、該温度変動が的確に捕らえられ、その異常発
熱等も確実に抑制されるようになる。
【0052】なおこの場合、その演算手段としては、例
えば請求項14記載の発明によるように、 ・前記トランジスタがオンになって以後一定時間が経過
したことに基づいて同トランジスタが定電流駆動状態に
ある旨検出する手段と、該定電流駆動状態にある旨の検
出に基づいて前記抽出されたベース電位を読み込み、そ
のベース電位−温度特性に基づいて同トランジスタの温
度を算出する手段とを具えるもの。 或いは請求項15記載の発明によるように、同温度監視
手段が更に、前記負荷の電源電位を抽出する電源電位抽
出手段を具えるとするときに、 ・前記トランジスタがオンになって以後一定時間が経過
したことに基づいて同トランジスタが定電流駆動状態に
ある旨検出する手段と、該定電流駆動状態にある旨の検
出に基づいて前記抽出されたベース電位並びに電源電位
を読み込み、その都度の電源電位に応じたベース電位−
温度特性に基づいて同トランジスタの温度を算出する手
段とを具えるもの。 として構成することができる。
【0053】因みに、上記ベース電位の温度に対する変
化量は、ベース電流の増加、すなわち電源電位の増加と
ともに小さくなる。このため、特に上記請求項15記載
の発明の構成によれば、たとえ電源電位が変動しても、
その算出される温度の精度は好適に維持されるようにな
り、上述したトランジスタ自身の温度についてのより信
頼性の高い監視が行われるようになる。
【0054】ところで、これら請求項1乃至15に記載
の発明では何れも、上記トランジスタ自身若しくはその
周囲の温度を監視するとともに、その監視する温度若し
くは相当値が所定の限界値以上となるときエンジンの回
転数を制限するようにした。しかし、トランジスタ自身
の発生電力以外に、上記インダクタンス負荷側の発生電
力を抑制することでも、上記に準じた態様をもって、ト
ランジスタの熱的保護を図ることはできる。
【0055】すなわち、請求項16記載の発明によるよ
うに、上記エンジンの電子制御装置において、 ・前記インダクタンス負荷の温度を監視する負荷温度監
視手段と、 ・該監視される負荷温度に応じてエンジン回転数を制限
する回転数制限手段と、をそれぞれ具えることでも、イ
ンダクタンス負荷から発生される電力が制限され、ひい
てはトランジスタ自身から発生される電力も抑制される
ようになる。そしてこの場合であっても、トランジスタ
に対して必ずしも前述した放熱対策を施さずとも、その
使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは的確に
抑えられるようになる。
【0056】因みに、上記負荷から発生される電力は、
エンジン回転数が高いほど、また同負荷自らの温度が低
いほど大きくなる。一方、トランジスタにあっては、そ
の温度が高いほど、消費可能なエネルギは低下する。す
なわち、トランジスタにとって熱的に厳しい状況とは、
負荷の温度が低く(発生電力が大)、トランジスタ自身
の温度が高い(消費可能電力が小)ときであると考える
ことができる。したがって、トランジスタ自信の温度が
ある程度高いことを想定して同トランジスタを熱的に保
護するためには、上記負荷から発生される電力を抑制す
ればよく、またそのための具体手法としては、同負荷の
温度に応じて上記エンジン回転数を制限すればよい。
【0057】また、このエンジン回転数を制限するため
の手法として、前記回転数制限手段を、例えば上記請求
項17記載の発明によるように、 ・エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数の判定値
を前記監視される負荷温度に応じて変更する燃料カット
判定値変更手段を具えるもの。 として構成すれば、前述同様、その変更された燃料カッ
ト判定値以上の回転数では燃料噴射が全面的に禁止さ
れ、エンジン回転数がそれ以上に上昇することはなくな
る。
【0058】なおこの場合、上記燃料カット判定値は、
インダクタンス負荷の温度が低いほど小さい値(低いエ
ンジン回転数に対応した値)として変更されるが、その
具体的な変更態様は任意であり、例えば a.上記負荷のある温度範囲においてほぼリニアな関係
で変更する。或いは b.ある負荷温度を境に2値的若しくは多値的に変更す
る。等々、種々の態様での具現が可能である。
【0059】またこの場合も、前記回転数制限手段につ
いては他に、例えば請求項18記載の発明によるよう
に、 ・エンジンへの燃料噴射を前記監視される負荷温度に応
じた所定の時間ずつ間引きしてエンジンの最高回転数を
低下せしめる燃料噴射間引き手段を具えるもの。或いは
請求項19記載の発明によるように、 ・前記監視される負荷温度に応じて決定される数の気筒
への燃料噴射を停止してエンジンの最高回転数を低下せ
しめる減筒制御手段を具えるもの。 或いは請求項20記載の発明によるように、 ・エンジンへの燃料噴射量を前記監視される負荷温度に
応じた所定量だけ減量してエンジンの最高回転数を低下
せしめる噴射量減量手段を具えるもの。 或いは請求項21記載の発明によるように、 ・エンジンの吸気絞り弁を前記監視される負荷温度に応
じた所定量だけ強制駆動してエンジンの最高回転数を低
下せしめる吸気制限手段を具えるもの。 として構成することができる。
【0060】回転数制限手段としてのこのような構成に
よっても、エンジン回転数を好適に制限することがで
き、ひいては負荷、並びにトランジスタの発生電力を制
限することができるようになる。
【0061】因みに、上記エンジンの最高回転数を低下
せしめるためには、上記請求項18記載の発明にあって
は、負荷の温度が低いほど長い間引き時間が設定され、
上記請求項19記載の発明にあっては、負荷の温度が低
いほど多い減筒数が設定され、上記請求項20記載の発
明にあっては、負荷の温度が低いほど多い減量値が設定
され、上記請求項21記載の発明にあっては、負荷の温
度が低いほど大きな駆動量が設定される。もっとも、そ
れら具体的な態様は任意であり、ここでも、上記a.と
して示したようなリニアな関係による設定、或いは上記
b.として示したような2値的若しくは多値的な設定
等、種々の態様での設定が可能である。
【0062】一方、これらの各構成において、前記負荷
温度監視手段については、例えば請求項22記載の発明
によるように、 ・前記インダクタンス負荷に配設されてその温度を直接
測定する温度測定手段を具えるもの。 或いは請求項23記載の発明によるように、 ・エンジンの冷却水温を検出する水温センサと、該検出
される冷却水温に基づいて前記インダクタンス負荷の温
度を推定する推定手段とを具えるもの。として構成する
ことができる。
【0063】前者の請求項22記載の発明の構成によれ
ば、上記インダクタンス負荷の温度についてこれを正確
に把握することができるようになる。なお、上記温度測
定手段としては熱電対などがある。
【0064】また、後者の請求項23記載の発明の構成
によれば、同インダクタンス負荷の温度情報そのものの
精度は多少劣るものの、それ専用のセンサを別途設ける
必要はなくなる。すなわち、上記専用のセンサを用いず
とも、同インダクタンス負荷の温度をある程度把握する
ことができるようになる。因みに、上記水温センサの出
力(エンジン冷却水温)はエンジン本体の暖機状態に対
応したものとなる。該エンジン本体の温度が低いときに
は、燃料噴射弁等、上記インダクタンス負荷の温度も低
いと考えてよい。
【0065】また特に、後者の請求項23記載の発明の
構成において、前記推定手段を、請求項24記載の発明
によるように、 ・エンジン始動時からの累積回転数を演算する演算手段
と、該演算された累積回転数が所定の値以上となると
き、前記検出される冷却水温若しくは同冷却水温に応じ
たエンジン回転数制限量の許容幅を所定に増加補正する
補正手段とを具えるもの。 として構成すれば、上記インダクタンス負荷のより実状
に近い温度に対応して、エンジン回転数の制限にかかる
上記各種の制御を実行することができるようになる。す
なわち、上記冷却水温が低い状態においても、燃料噴射
弁等、上記インダクタンス負荷の駆動時間がある程度の
時間に達していれば、その温度は上昇していることが考
えられるため、こうして冷却水温若しくは同冷却水温に
応じたエンジン回転数制限量の許容幅を増加補正するこ
とにより、過剰な制限を抑えることができるようにもな
る。
【0066】また、推定手段のこうした構成において、
同推定手段を更に請求項25記載の発明によるように、 ・エンジンの停止後も、イグニションオフとなるまでは
前記演算された累積回転数を保持するもの。 として構成すれば、例えばエンジンストール等の直後に
同エンジンが再起動されるような場合でも、上記累積回
転数の演算が再度「0」からやり直しされることなく、
上記インダクタンス負荷のより実状に近い温度に基づく
エンジン回転数の制限態様が維持されるようになる。す
なわち、上記請求項24記載の発明の構成とも併せ、上
記トランジスタの熱的保護を図る上で、より効率よく同
電子制御装置を運用することができるようになる。
【0067】
【実施例】
(第1実施例)図1〜図8に、この発明にかかるエンジ
ンの電子制御装置の第1の実施例を示す。
【0068】この第1の実施例の装置は、燃料噴射弁の
駆動回路が内蔵されるエンジンの電子制御装置にあっ
て、同駆動回路の出力トランジスタ近傍に配設したサー
ミスタを通じてその周囲温度を監視し、該温度が所定値
以上となるとき、エンジンの高回転燃料カット判定値の
引き下げを行う装置として構成されている。
【0069】はじめに、図1を参照して、同電子制御装
置が制御対象とするエンジン並びにその周辺装置の構成
を説明する。同図1に示されるように、エンジン1は、
そのシリンダ2とピストン3、及びシリンダヘッド4に
よって燃焼室5が形成されるようになっている。燃焼室
5には点火プラグ6が配設されている。
【0070】こうしたエンジン1において、その吸気系
統は、上記燃焼室5に吸気バルブ7を介して連通する吸
気マニホールド8、該吸気マニホールド8に燃料を噴射
する燃料噴射弁9、同吸気マニホールド8に連通する吸
気管10、吸入空気の脈動を吸収するサージタンク1
1、スロットルバルブ12、そしてエアクリーナ13を
具えた構成となっている。
【0071】他方、同エンジン1の排気系統は、上述し
た燃焼室5に排気バルブ14を介して連通する排気マニ
ホールド15を有して構成されている。更に、同エンジ
ン1には、点火に必要な高電圧を出力するイグナイタ1
6、及び図示しないクランク軸に連動して該イグナイタ
16で発生した高電圧を各気筒の点火プラグ6に分配供
給するディストリビュータ17が設けられている。
【0072】一方、エンジン1には、次のような各種セ
ンサが併せ設けられている。 ・水温センサ20:エンジン1の冷却系統に設けられて
その冷却水温を検出する。 ・吸気温センサ21:上記エアクリーナ13内に設けら
れて同エンジン1に送られる吸入空気温度を検出する。 ・スロットルポジションセンサ22:上記スロットルバ
ルブ12に連動して該スロットルバルブ12の開度を検
出する。 ・吸気管内圧力センサ23:吸気管10内の圧力を測定
する。 ・酸素濃度センサ24:排気マニホールド15に設けら
れて排気ガス中の残存酸素濃度を検出する。 ・回転角センサ25:上記ディストリビュータ17内に
取り付けられて、該ディストリビュータ17のカムシャ
フトの1/24回転毎に、すなわち図示しないクランク
軸の0°CA(クランク角)から30°CAの整数倍毎
に回転角信号(パルス)を出力する。同エンジン1の回
転速度センサを兼ねる。 ・気筒判別センサ26:同じくディストリビュータ17
内に取り付けられて、同ディストリビュータ17のカム
シャフトの1回転毎に、すなわち図示しないクランク軸
の2回転毎に、気筒判別のための基準信号(パルス)を
1回出力する。 ・車速センサ28:エンジン1が搭載された車両の車軸
に設けられたシグナルロータ27を通じて車輪の回転に
応じたパルスを発生する。
【0073】これら各センサによる出力は何れも電子制
御装置30に入力される。電子制御装置30は基本的
に、これら各センサの出力内容に基づき上記燃料噴射弁
9及びイグナイタ16を駆動して、エンジン1の運転を
制御する装置である。
【0074】次に、図2を併せ参照して、該電子制御装
置30の構成を説明する。同図2に示されるように、電
子制御装置30は、マイクロコンピュータ310と、上
記各種センサの出力をこのマイクロコンピュータ310
に取り込むために前処理する回路、及び同マイクロコン
ピュータ310から出力される駆動指令を処理して上記
燃料噴射弁9及びイグナイタ16を駆動する回路とによ
って大きくは構成されている。
【0075】ここで、マイクロコンピュータ310自身
は、CPU311、ROM312、RAM313及びバ
ックアップRAM314を基本的に具える論理演算回路
として構成されている。
【0076】このうち、CPU311は、上記各種セン
サの出力を制御プログラムに従って入力し、同制御プロ
グラムに基づく所定の演算を実行しつつ、上記燃料噴射
弁9及びイグナイタ16を駆動するための制御指令を出
力する部分である。
【0077】また、ROM312は、上記制御プログラ
ムや初期データ等が予め記憶されている読み出し専用の
メモリであり、RAM313は、上記入力される各種セ
ンサ出力や、演算或いは制御の実行に際して必要とされ
るデータが一時的に記憶されるメモリである。
【0078】また、バックアップRAM314は、バッ
テリによってバックアップされた不揮発性のRAM(ラ
ンダムアクセスメモリ)である。図示しないキースイッ
チがオフ操作され、同制御装置への給電が停止された後
も継続的に使用されるデータは、該バックアップRAM
314に対して記憶されるようになる。
【0079】また、同マイクロコンピュータ310にお
いて、入出力ポート315及び入力ポート316は何れ
も、上記各種センサの出力を該マイクロコンピュータ3
10内に取り込む部分である。
【0080】一方、出力ポート317は、CPU311
を通じて生成された上記燃料噴射弁9やイグナイタ16
に対する駆動指令をその外部に出力する部分である。同
マイクロコンピュータ310の内部において、上記論理
演算回路を構成するCPU311、ROM312、RA
M313及びバックアップRAM314とこれら各ポー
ト315〜317とは、コモンバス318によって電気
的且つ論理的に接続されている。
【0081】クロック発生器319は、こうしたマイク
ロコンピュータ310の各部に対して動作クロックCK
を供給する部分である。また同電子制御装置30におい
て、上記各種センサの出力をこのマイクロコンピュータ
310に取り込むために前処理する回路としては、バッ
ファ回路321〜324、マルチプレクサ325、A/
D変換器326、バッファ331、コンパレータ33
2、そして波形整形回路333及び334がある。
【0082】ここで、マルチプレクサ325は、バッフ
ァ回路321〜324にそれぞれ入力される上記吸気管
内圧力センサ23、水温センサ20、吸気温センサ2
1、及びスロットルポジションセンサ22の各出力、並
びに後述するサーミスタ352の出力(端子間電圧)を
上記マイクロコンピュータ310からの指令に基づいて
選択出力する回路である。この選択されたセンサ出力若
しくはサーミスタ352の出力はA/D変換器326に
対して入力される。
【0083】A/D変換器326は、この入力されるセ
ンサ出力若しくはサーミスタ352の出力を、これも上
記マイクロコンピュータ310からの指令に基づいてA
/D(アナログ/ディジタル)変換する回路である。上
記各センサ出力、並びにサーミスタ352の出力は、こ
うしてディジタル信号に変換され、上記入出力ポート3
15を介してマイクロコンピュータ310に取り込まれ
るようになる。
【0084】一方、コンパレータ332は、バッファ回
路331に入力される上記酸素濃度センサ24の出力と
所定の基準電圧との比較に基づいて、リッチ若しくはリ
ーンを示す2値化信号を生成する回路である。この生成
される2値化信号は、空燃比フィードバック制御にあっ
てそのモニタ信号として使用される信号であり、上記入
力ポート316を介してマイクロコンピュータ310に
取り込まれる。
【0085】また、波形整形回路333は、上記気筒判
別センサ26及び回転角センサ25の各出力信号波形を
各々2値のパルス信号波形に整形する回路である。これ
ら各波形整形信号も、入力ポート316を介してマイク
ロコンピュータ310に取り込まれる。
【0086】また、波形整形回路334は、上記車速セ
ンサ28の出力信号波形を同じく2値のパルス信号波形
に整形する回路である。そして、該波形整形信号も同様
に、入力ポート316を介してマイクロコンピュータ3
10に取り込まれる。
【0087】そして同電子制御装置30において、マイ
クロコンピュータ310から出力される駆動指令を処理
して上記燃料噴射弁9及びイグナイタ16を駆動する回
路としては、それぞれ駆動回路341及び駆動回路34
2がある。
【0088】このうち、駆動回路341は、マイクロコ
ンピュータ310から出力される駆動指令(燃料噴射量
に対応した時間信号)に基づき燃料噴射弁9を所定の時
間だけ開弁駆動せしめる回路である。図1に示したエン
ジン1において、図示しない燃料ポンプから圧送される
燃料は、該燃料噴射弁9の開弁時間に比例した量だけ、
前記吸気マニホールド8内に噴射供給されるようにな
る。
【0089】また、駆動回路342は、同マイクロコン
ピュータ310から出力される駆動指令(点火信号)に
基づきイグナイタ16への通電を制御して前記点火プラ
グを駆動(スパーク)せしめる回路である。
【0090】なお、駆動回路341にあっては、燃料噴
射弁9のオフ時に発生するフライバックエネルギをその
駆動用のトランジスタで吸収する構成を採る都合上、同
トランジスタには相当に大きな電流が流れ、それら素子
の使用限界となる温度範囲を超えてしまう可能性がある
ことは前述した通りである。
【0091】そこで同第1の実施例の装置では、図2に
併せ示されるように、該駆動回路341の出力トランジ
スタ近傍にサーミスタ352を配設し、サーミスタ35
2の端子間電圧に基づいてその周囲温度を監視するよう
にしている。なお、このサーミスタ352は、抵抗器3
51によってA/D変換器326の電源電圧電位にプル
アップされ、該プルアップされた抵抗器351との接続
点の電位が、同サーミスタ352の出力電圧としてマル
チプレクサ325を介してA/D変換器326に取り込
まれるようになっている。
【0092】次に、図3及び図4を参照して、上記駆動
回路341の回路例、並びにその出力トランジスタとサ
ーミスタ352との物理的な位置関係を説明する。図3
に、上記駆動回路341及び同駆動回路341によって
駆動される燃料噴射弁9(ここではその励磁コイル91
のみを示す)の回路構成を示す。
【0093】この図3に示されるように、上記マイクロ
コンピュータ310から駆動回路341に対して出力さ
れる駆動指令は、ドライブ用のトランジスタ3413に
よって増幅された後、パワートランジスタ(出力トラン
ジスタ)3417のベース電極に加えられる。
【0094】一方、このパワートランジスタ3417の
コレクタ電極には、他方端に電源電圧+Bが印加されて
いる燃料噴射弁励磁コイル91が接続されている。この
ため、上記ドライブ用のトランジスタ3413の出力が
このパワートランジスタ3417のベース電極に加えら
れて、同トランジスタ3417がオンとなっている期間
だけ、上記励磁コイル91が通電され、燃料噴射弁9が
開弁されるようになる。燃料ポンプから圧送される燃料
が、この燃料噴射弁9の開弁時間に比例した量だけ、前
記吸気マニホールド8内に噴射供給されるようになるこ
とは上述した通りである。
【0095】そして同駆動回路341において、ツェナ
ーダイオード3415が、上記パワートランジスタ34
17がオフするときにインダクタンス負荷である燃料噴
射弁励磁コイル91のために発生する高電圧(フライバ
ック電圧)を同トランジスタ3417のコレクタ電極−
エミッタ電極間の耐電圧以下にクランプするいわゆるフ
ライバックダイオードである。
【0096】なお、上記燃料噴射弁9が複数配設される
場合には、それら各燃料噴射弁9に対応して、こうした
トランジスタ3413及び3417やフライバックダイ
オード3415をはじめ、抵抗器3411、3412、
3414、及び3416を具える回路が並列に設けられ
ることとなる。
【0097】さて、このような駆動回路341のパワー
トランジスタ3417に対し、上記サーミスタ352
は、電子制御装置30内において図4に示される態様で
配設されている。
【0098】この図4は、上述した電子制御装置30の
概観を示したものであり、同図4において、符号301
は同装置30のケース、符号302は、外部ハーネスと
の接続に使用されるコネクタ、符号303は、図2に示
される各種回路や素子が実装されるプリント基板、符号
304は、それら回路や素子を埃等から保護するカバー
をそれぞれ示している。
【0099】このような概観を有する電子制御装置30
において、駆動回路341を構成する上記各素子が、抵
抗器3411、3412、3414、及び3416も含
めて同図4に示される態様でプリント基板303上に実
装されているとすると、上記サーミスタ352及びその
プルアップ抵抗351は、これも同図4に示される態様
で、その近傍に実装される。特にサーミスタ352は、
パワートランジスタ3417(ここでは上記フライバッ
クダイオード3415が一体にパッケージされているタ
イプのものを想定)の周囲温度を極力正確に監視、測定
するために、同トランジスタ3417から例えば1cm
以内に配設されるものとする。
【0100】図5は、上記パワートランジスタ3417
の電圧並びに電流チャートと示したものであり、次に、
この図5を併せ参照して、同トランジスタ3417から
発生される電力、並びに上記監視される周囲温度の許容
値について考察する。
【0101】上記駆動回路341にあっては、先の図3
にも示されるように、マイクロコンピュータ310から
出力される駆動指令が論理L(ロー)レベルになるとき
トランジスタ3413がオンとなって、パワートランジ
スタ3417にベース電流が供給される。
【0102】こうしてベース電流が供給されることによ
り、同パワートランジスタ3417はオンとなり、その
コレクタ−エミッタ間電圧VCEは小さな値となるが、
図5(b)に示されるように、飽和電圧と呼ばれる電圧
VCEsatは発生する。
【0103】またこのとき、同パワートランジスタ34
17のコレクタ電極には、図5(c)に示されるような
コレクタ電流(IC)が流れることとなる。同図5
(c)において、電流値ICOは、該コレクタ電流IC
の飽和値を示している。
【0104】また、図5(a)及び(d)に示されるよ
うに、上記駆動指令の周期すなわちパワートランジスタ
3417のオン周期をTO、またそのときの同トランジ
スタ3417への通電時間をTとすると、そのオンデュ
ーティDonは Don=(T/TO) として表されることとなる。
【0105】したがって、上記パワートランジスタ34
17がオンとなっているとき同トランジスタ3417か
ら発生される電力(以下ではオン時電力という)は、こ
れをPonとすると次式のようになる。 Pon=VCEsat×ICO×Don …(1) 一方、マイクロコンピュータ310から出力される駆動
指令が論理H(ハイ)レベルになると、トランジスタ3
413はオフとなり、パワートランジスタ3417への
ベース電流の供給も遮断される。
【0106】こうしてベース電流が遮断されることによ
り、パワートランジスタ3417はオフになろうとする
が、上記燃料噴射弁励磁コイル91はインダクタンス成
分をもつために、同トランジスタ3417のコレクタ電
極には上述したフライバック電圧が発生する。そして、
このフライバック電圧が上記フライバックダイオード
(ツェナーダイオード)3415のツェナー電圧VZ
(例えば60V程度)を超えようとするときに、同ダイ
オード3415を通して上記トランジスタ3417のベ
ース電極に電流が供給されるようになる。すなわちその
間、同トランジスタ3417はオンの状態に維持され、
そのコレクタ−エミッタ間電圧VCEは、上記燃料噴射
弁励磁コイル91のインダクタンス成分による電流が0
になるまで、上記ツェナー電圧VZにクランプされるよ
うになる。この様子は、同図5(b)に併せ示される。
【0107】またこの間、単位時間当たりのエンジン回
転数をNEとすると、同期間、すなわち上記パワートラ
ンジスタ3417をオフにしようとするときに同トラン
ジスタ3417に発生する電力(以下ではオフ時電力と
いう)は、これをPoffとすると次式のようになる。 Poff=VZ×∫_(0)^(Tfb) ICdt×NE …(2) なおここで、「∫_(0)^(Tfb)」は、時間「0」から時間
「Tfb」までの積分の意であり、時間「Tfb」は、
図5(c)に示される如く、上記フライバックエネルギ
の吸収(クランプ)にかかる時間である。
【0108】以上、(1)式及び(2)式により、パワ
ートランジスタ3417に発生する電力の平均値は、こ
れをPとすると、 P=Pon+Poff =VCEsat×ICO×Don +VZ×∫_(0)^(Tfb) ICdt×NE …(3) となる。
【0109】そして、この(3)式によれば、(A)コ
レクタ電流ICが大きいほど、すなわち電源電圧+Bが
高いほど、パワートランジスタ3417の発生電力Pは
大きくなる。或いは、(B)オンデューティDon(=
T/TO)が大きいほど、パワートランジスタ3417
の発生電力Pは大きくなる。或いは、(C)エンジン回
転数NEが高いほど、パワートランジスタ3417の発
生電力Pは大きくなる。といったことがわかる。
【0110】引き続き、こうしたパワートランジスタ3
417の発生電力Pに基づき自ずと定まる同トランジス
タ3417の許容される周囲温度について考察する。い
ま、上記(3)式の各要素が、 (a)VCEsat(コレクタ−エミッタ間飽和電圧)
=0.2V、 (b)ICO(コレクタ電流飽和値)=1.5A、 (c)+B(燃料噴射弁電源電圧)=16V、 (d)燃料噴射弁励磁コイル91の抵抗値=10.5
Ω、 (e)Don(オンデューティ)=90%、 (f)VZ(ツェナー電圧)=60V (g)VZ×∫_(0)^(Tfb) ICdt=5mJ(W・
s) (h)NE(単位時間当たりのエンジン回転数)=70
00rpm といった値をとるものとすると、上記パワートランジス
タ3417の発生電力Pは、 P=Pon+Poff=0.27W+0.58W=0.
85W となる。
【0111】ここで、もし同パワートランジスタ341
7の接合温度の最大定格を150℃、また接合部一周囲
温度の熱抵抗を80℃/Wとすれば、同トランジスタ3
417の許容される周囲温度は、 150℃−80℃/W×0.85W=82℃ となる。
【0112】すなわち、上記パワートランジスタ341
7の発生電力Pが0.85Wであった場合、その周囲温
度が82℃となるまでは使用限界温度範囲を超えること
はなく、同トランジスタ3417の安全が保証されるこ
とになる。
【0113】次に、図6及び図7を併せ参照して、上記
サーミスタ352を通じて行われる該パワートランジス
タ3417の周囲温度の監視手法について説明する。サ
ーミスタ352は、抵抗(Rx)−温度(Ta)特性と
して、 Rx=2.45×EXP[3500×{(1/(273+Ta))−(1/293)}] …(4) なる特性をもつ。
【0114】ここで、例えば前記プルアップ抵抗351
の抵抗値を1kΩ、また前記A/D変換器326の電源
電圧を5Vとすると、同サーミスタ352の出力に関す
る該A/D変換器326の入力電圧は、 入力電圧=5V×{Rx/(1+Rx)} となり、図6に示されるような特性となる。
【0115】この実施例の装置では、サーミスタ352
のこうした特性に基づいて、該入力電圧と温度Taとの
関係を例えば図7に示される態様でマップ化し、これを
前記ROM312若しくはバックアップRAM314に
予め格納している。そして、上記A/D変換器326を
通じてA/Dされるその都度の値に基づき、同図7に示
される態様でマップ演算して求められる温度Taを、監
視すべき上記パワートランジスタ3417の周囲温度と
している。
【0116】以下、こうした態様でのパワートランジス
タ3417の周囲温度の監視のもとに、同第1の実施例
の装置において実行される燃料カット判定値変更処理に
ついて詳述する。
【0117】いま、予測される電子制御装置30内の最
高温度(上記トランジスタ3417の周囲温度)を90
℃とすると、エンジン1の上記(a)〜(h)として例
示した運転条件にあっては、82〜90℃の範囲で上記
トランジスタ3417がその接合温度の許容値を超え、
破壊する可能性がでてくる。
【0118】そこで同第1の実施例の装置では、高回転
時の燃料カット回転数を上記監視する周囲温度に応じて
引き下げることで、該トランジスタ3417がその許容
値を超えて加熱されることを防止する。
【0119】すなわち、高回転時の燃料カット(F/
C)回転数は当該エンジン1の許容される最高回転数に
応じて設定されるが、これを上記周囲温度に応じて引き
下げるようにすれば、同トランジスタ3417の発生電
力Pも自ずと制限されることとなり、その許容値を超え
ての加熱等も未然に防がれるようになる。
【0120】以下に、その具体手法を説明する。ここで
はまず、上記予測される電子制御装置30内の最高温度
90℃における許容発生電力を求める。上述のように、
パワートランジスタ3417の接合温度の最大定格を1
50℃、また接合部一周囲温度の熱抵抗を80℃/Wと
すると、これは、 (150℃−90℃)÷80℃/W=0.75W となる。
【0121】そして、同トランジスタ3417の発生電
力Pをこの0.75Wに抑えるためには、しかもこのと
き同トランジスタ3417のオン時電力Ponは変化し
ないものとすると、先の(3)式より、オフ時電力Po
ffを Poff ≦ 0.48W(=0.75W−0.27W) にする必要がある。そしてこのためには、エンジン回転
数NEを NE=7000rpm×(0.48W/0.58W) ≒5800rpm 以下にすればよいことになる。すなわち、エンジン回転
数NEを5800rpm以下にすれば、たとえ上記トラ
ンジスタ3417の周囲温度が90℃になったとして
も、同トランジスタ3417がその許容値を超えて加熱
されるようなことはなくなる。
【0122】図8に、こうした原理に基づいて同第1の
実施例の装置が実行する燃料カット判定値変更ルーチン
を示す。なお同ルーチンは、前記ROM312に予め登
録されており、例えば16ms毎の時間割り込みにて起
動されるものとする。
【0123】すなわちいま、該ルーチンが起動されたと
すると、電子制御装置30はまず、前記マルチプレクサ
325及びA/D変換器326を通じてサーミスタ35
2の出力(A/D変換器入力電圧)を取り込む。そし
て、先の図7に示したマップに基づきこの取り込んだ値
から周囲温度を演算し、該演算した周囲温度が限界値
(ここでの例では82℃)以上か否かを判定する(ステ
ップS101)。
【0124】この結果、上記演算した周囲温度が限界値
に達していない旨判定される場合にはそのまま当該処理
を終える。他方、同演算した周囲温度が限界値以上であ
る旨判定される場合には、例えば判定値7000rpm
に設定されているエンジン1の高回転燃料カット回転数
を上記回転数5800rpmに引き下げる(ステップS
102)。
【0125】この高回転燃料カット判定値は通常、前記
ROM312から前記RAM313にロードされたり、
或いはバックアップRAM314に格納されて、燃料カ
ット制御の実行時に参照されるようになっている。
【0126】したがって、こうして該判定値が引き下げ
更新されることにより、同電子制御装置30では、該更
新された値以上の回転数では燃料噴射を全面的に禁止す
るようになり、エンジン回転数も該更新された値以上に
は上昇しなくなる。こうしてエンジンの最高回転数が制
限されれば、上記トランジスタ3417の発生電力Pも
自ずと制限され、ひいてはその許容値を超えての加熱等
も未然に防がれるようになることは上述した通りであ
る。
【0127】以上のように、この第1の実施例の装置に
よれば、上記フライバックダイオードが接続された燃料
噴射弁9駆動用のパワートランジスタ(出力トランジス
タ)を放熱フィン上に取り付けたり、或いは同トランジ
スタとして耐熱性のある高価なトランジスタを使用せず
とも、その使用限界温度範囲を超えての発熱といったも
のは的確に抑えられるようになる。
【0128】したがって、いたずらに放熱にコストをか
けずとも、まさかのときには確実にそれら素子の保護を
図ることができるようになる。また、同第1の実施例の
装置による上述した燃料カット判定値変更処理によれ
ば、車両の通常の走行には何らの影響も与えることな
く、こうした素子の保護が実現されるようになる。
【0129】また同実施例の装置では、監視対象となる
トランジスタの近傍にサーミスタを配設し、このサーミ
スタの出力に基づいて該トランジスタの周囲温度を演算
するようにしたことから、同トランジスタの周囲温度を
直接、しかも簡単に監視することができる。
【0130】(第2実施例)図9及び図10に、この発
明にかかるエンジンの電子制御装置の第2の実施例を示
す。
【0131】この第2の実施例の装置は、燃料噴射弁の
駆動回路が内蔵されるエンジンの電子制御装置にあっ
て、同駆動回路の出力トランジスタ近傍に配設したサー
ミスタを通じてその周囲温度を監視し、該温度が所定値
以上となるとき、エンジンへの燃料噴射を所定の短時間
ずつ間引き制御する装置として構成されている。
【0132】ただし、同第2の実施例の装置にあって
も、先の図1〜図7に示される構成、或いはサーミスタ
352やパワートランジスタ3417の特性は第1の実
施例の装置に共通するものであり、それら共通する要素
についての重複する説明は割愛する。
【0133】以下、前記態様でのパワートランジスタ3
417の周囲温度の監視のもとに同第2の実施例の装置
において実行される燃料噴射間引き制御について詳述す
る。例えば、トランジスタ3417の許容される周囲温
度が82℃であって、予測される電子制御装置30内の
最高温度が90℃であるとするとき、82〜90℃の範
囲で上記トランジスタ3417がその接合温度の許容値
を超え、破壊する可能性がでてくることは前述した通り
である。
【0134】そこで同第2の実施例の装置では、エンジ
ンへの燃料噴射を所定の短時間ずつ間引き制御すること
で、同トランジスタ3417がその許容値を超えて加熱
されることを防止する。
【0135】すなわち、エンジンへの燃料噴射を所定の
短時間ずつ間引きするようにすれば、同エンジンの運転
にそれほど影響を与えずに、その回転数を低下せしめる
ことができ、ひいては上記トランジスタ3417の発生
電力Pを制限することができるようになる。
【0136】以下に、その具体手法を説明する。ここで
はまず、図9に示される計時ルーチンに従って100m
sの計時を繰り返し実行する。
【0137】この計時ルーチンは、1ms毎の時間割り
込みにて起動されるものであり、該ルーチンが起動され
る都度、電子制御装置30(CPU311)は計時カウ
ンタのカウント値TCをインクリメントする(ステップ
S201)。
【0138】そして、このインクリメントの結果、カウ
ント値TCが「100」未満であれば、そのまま同ルー
チンを抜ける(ステップS202)。他方、同インクリ
メントの結果、カウント値TCが「100」以上であれ
ば、同カウント値TCを「0」にリセットして、同ルー
チンを抜ける(ステップS202及びS203)。
【0139】こうした計時ルーチンが繰り返されること
により、計時カウンタのカウント値TCは、1ms毎に
「1」→「2」→「3」…「100」→「1」→「2」
…といった態様で、そのインクリメントが繰り返される
ようになる。なおこの計時ルーチンは、ROM312
(図2)に予め登録されている。
【0140】一方、同電子制御装置30(CPU31
1)では、こうした計時ルーチンと並行して、図10に
示される燃料噴射間引きルーチンを実行する。該燃料噴
射間引きルーチンも、上記計時ルーチンと同様、ROM
312に予め登録されている。ただし同ルーチンは、エ
ンジン1の各気筒に対する燃料の噴射タイミング毎に起
動され、実行されるものとする。
【0141】さていま、該ルーチンが起動されたとする
と、電子制御装置30は前述同様、マルチプレクサ32
5及びA/D変換器326を通じてサーミスタ352の
出力を取り込み、先の図7に示したマップに基づきこの
取り込んだ値から周囲温度を演算し、該演算した周囲温
度が限界値(ここでの例では82℃)以上か否かを判定
する(ステップS211)。
【0142】この結果、上記演算した周囲温度が限界値
に達していない旨判定される場合には、周知の通常の燃
料噴射動作を実行する(ステップS212)。他方、同
演算した周囲温度が限界値以上である旨判定される場合
には、上記計時カウンタのカウント値TCを参照し、同
値TCが「0≦TC≦30」であるか否かを再び判定す
る(ステップS213)。
【0143】この結果、上記カウント値TCが「0≦T
C≦30」の範囲外である旨判定される場合には、やは
り同様に、上記通常の燃料噴射動作を実行する(ステッ
プS212)。
【0144】他方、同カウント値TCが「0≦TC≦3
0」にある旨判定される場合には、そのとき実行すべき
燃料噴射動作を強制的に停止する(ステップS21
4)。このような燃料噴射間引きルーチンが実行される
ことにより、上記演算された周囲温度が限界値以上とな
るときには、100ms間に30ms間だけ燃料噴射が
停止(カット)されるようになり、それに応じてエンジ
ン回転数も低下するようになる。
【0145】そして、こうしてエンジンの回転数が低下
すれば、上記トランジスタ3417の発生電力Pも自ず
と制限され、ひいてはその許容値を超えての加熱等も未
然に防がれるようになる。
【0146】このように、この第2の実施例の装置によ
っても、駆動回路341のパワートランジスタ(出力ト
ランジスタ)を放熱フィン上に取り付けたり、或いは同
トランジスタとして耐熱性のある高価なトランジスタを
使用せずとも、その使用限界温度範囲を超えての発熱と
いったものは的確に抑えられるようになる。
【0147】したがって同実施例の装置にあっても、い
たずらに放熱にコストをかけずとも、まさかのときには
確実にそれら素子の保護を図ることができるようにな
る。 (第3実施例)図11に、この発明にかかるエンジンの
電子制御装置の第3の実施例を示す。
【0148】この第3の実施例の装置は、燃料噴射弁の
駆動回路が内蔵されるエンジンの電子制御装置にあっ
て、同駆動回路の出力トランジスタ近傍に配設したサー
ミスタを通じてその周囲温度を監視し、該温度が所定値
以上となるとき、エンジンの任意気筒への燃料噴射を停
止する、すなわち減筒制御する装置として構成されてい
る。
【0149】また、同第3の実施例の装置にあっても、
先の図1〜図7に示される構成、或いはサーミスタ35
2やパワートランジスタ3417の特性は第1、或いは
第2の実施例の装置に共通するものであり、それら共通
する要素についての重複する説明は割愛する。
【0150】以下、前記態様でのパワートランジスタ3
417の周囲温度の監視のもとに同第3の実施例の装置
において実行される減筒制御について詳述する。前述し
たように、上記トランジスタ3417の許容される周囲
温度が82℃であって、予測される電子制御装置30内
の最高温度が例えば90℃であるとするとき、82〜9
0℃の範囲で上記トランジスタ3417がその接合温度
の許容値を超え、破壊する可能性がでてくる。
【0151】そこで同第3の実施例の装置では、エンジ
ンへの燃料噴射に際し、同エンジンの任意気筒への燃料
噴射を停止することで、同トランジスタ3417がその
許容値を超えて加熱されることを防止する。
【0152】すなわち、こうして減筒制御を実行するよ
うにすれば、例えば4気筒エンジンの場合には特定の2
気筒、或いはランダムに定める任意の2気筒への燃料噴
射を強制停止させるようにすれば、発生するトルクは約
1/2になる。したがって、この場合もエンジン1の高
回転運転を良好に制限することができ、ひいては上記ト
ランジスタ3417の発生電力Pを制限することができ
るようになる。
【0153】以下に、その具体手法を説明する。この第
3の実施例の装置にあって、電子制御装置30(CPU
311)は、図11に示される減筒制御ルーチンを実行
する。この減筒制御ルーチンもエンジン1の各気筒に対
する燃料の噴射タイミング毎に起動され実行されるもの
であり、ROM312に予め登録されている。
【0154】さていま、該ルーチンが起動されたとする
と、電子制御装置30は前述同様、マルチプレクサ32
5及びA/D変換器326を通じてサーミスタ352の
出力を取り込み、先の図7に示したマップに基づきこの
取り込んだ値から周囲温度を演算し、該演算した周囲温
度が限界値(ここでの例では82℃)以上か否かを判定
する(ステップS301)。
【0155】この結果、上記演算した周囲温度が限界値
に達していない旨判定される場合には、当該気筒が何れ
の気筒であれ、その全ての気筒に対し周知の通常の燃料
噴射動作を実行する(ステップS302)。
【0156】他方、同演算した周囲温度が限界値以上で
ある旨判定される場合には、 (1)当該気筒が第1或いは第3気筒であれば、それら
気筒に対する燃料噴射を強制停止する。 (2)当該気筒が第2或いは第4気筒であれば、それら
気筒に対する燃料噴射を通常通り実行する。 といった減筒制御を実行する(ステップS303)。
【0157】このような減筒制御が実行されるときには
上述のように、その発生トルクは約1/2になり、自ず
とエンジン1の高回転運転も制限されるようになる。そ
して、こうしてエンジン1の高回転運転が制限されれ
ば、上記トランジスタ3417の発生電力Pも自ずと制
限され、ひいてはその許容値を超えての加熱等も未然に
防がれるようになる。
【0158】このように、同第3の実施例の装置によっ
ても、先の第1或いは第2の実施例の装置と同様、駆動
回路341の出力トランジスタを放熱フィン上に取り付
けたり、或いは同トランジスタとして耐熱性のある高価
なトランジスタを使用せずとも、その使用限界温度範囲
を超えての発熱といったものは的確に抑えられるように
なる。
【0159】(第4実施例)図12に、この発明にかか
るエンジンの電子制御装置の第4の実施例を示す。この
第4の実施例の装置は、燃料噴射弁の駆動回路が内蔵さ
れるエンジンの電子制御装置にあって、同駆動回路の出
力トランジスタ近傍に配設したサーミスタを通じてその
周囲温度を監視し、該温度が所定値以上となるとき、エ
ンジンへの燃料噴射量を所定に減量する装置として構成
されている。
【0160】また、同第4の実施例の装置にあっても、
先の図1〜図7に示される構成、或いはサーミスタ35
2やパワートランジスタ3417の特性は第1〜第3の
実施例の装置に共通するものであり、それら共通する要
素についての重複する説明は割愛する。
【0161】以下、前記態様でのパワートランジスタ3
417の周囲温度の監視のもとに同第4の実施例の装置
において実行される噴射量減量制御について詳述する。
例えば、トランジスタ3417の許容される周囲温度が
82℃であって、予測される電子制御装置30内の最高
温度が90℃であるとするとき、82〜90℃の範囲で
上記トランジスタ3417がその接合温度の許容値を超
え、破壊する可能性がでてくることは既に述べた。
【0162】そこで同第4の実施例の装置では、エンジ
ンへの燃料噴射に際し、同エンジンの各気筒に噴射する
燃料量を減量することで、上記トランジスタ3417が
その許容値を超えて加熱されることを防止する。
【0163】すなわち、燃料噴射量が適正な量から例え
ば20%減少されれば、それに応じて発生トルクも減少
される。したがって、この場合もエンジン1の最高回転
数を制限することができ、ひいては上記トランジスタ3
417の発生電力Pを制限することができるようにな
る。
【0164】以下に、その具体手法を説明する。この第
4の実施例の装置にあって、電子制御装置30(CPU
311)は、図12に示される噴射量減量ルーチンを実
行する。この噴射量減量ルーチンは、エンジン1に対す
る燃料噴射量の算出後に起動され実行されるものとす
る。そしてこれも、ROM312に予め登録されてい
る。
【0165】さていま、該ルーチンが起動されたとする
と、電子制御装置30は前述同様、マルチプレクサ32
5及びA/D変換器326を通じてサーミスタ352の
出力を取り込み、先の図7に示したマップに基づきこの
取り込んだ値から周囲温度を演算し、該演算した周囲温
度が限界値(ここでの例では82℃)以上か否かを判定
する(ステップS401)。
【0166】この結果、上記演算した周囲温度が限界値
に達していない旨判定される場合にはそのまま同ルーチ
ンを抜ける。他方、同演算した周囲温度が限界値以上で
ある旨判定される場合には、周知の手法にて算出されて
いる燃料の適正噴射量から20%減量した値を燃料噴射
量として設定して、RAM313の所定の領域に登録さ
れている同燃料噴射量についてのデータを更新する(ス
テップS402)。
【0167】このような燃料噴射量の減量制御が実行さ
れるときには、その減量された量に応じて発生トルクが
低減し、エンジン1の最高回転数も自ずと制限されるよ
うになる。
【0168】そして、こうしてエンジン1の最高回転数
が制限されれば、上記トランジスタ3417の発生電力
Pも自ずと制限され、ひいてはその許容値を超えての加
熱等も未然に防がれるようになる。
【0169】このように、この第4の実施例の装置によ
っても、先の第1〜第3の実施例の装置と同様、駆動回
路341の出力トランジスタを放熱フィン上に取り付け
たり、或いは同トランジスタとして耐熱性のある高価な
トランジスタを使用せずとも、その使用限界温度範囲を
超えての発熱といったものは的確に抑えられるようにな
る。
【0170】(第5実施例)次に、この発明にかかるエ
ンジンの電子制御装置の第5の実施例について説明す
る。
【0171】この第5の実施例の装置は、燃料噴射弁の
駆動回路が内蔵されるエンジンの電子制御装置にあっ
て、同駆動回路の出力トランジスタ近傍に配設したサー
ミスタを通じてその周囲温度を監視し、該温度が所定値
以上となるとき、エンジンの吸気絞り弁すなわちスロッ
トルバルブを吸気量が抑えられる側に強制駆動する装置
として構成されている。
【0172】この第5の実施例の装置も、基本的には先
の第1〜第4の実施例の装置と同様の構成を有するもの
であるが、同第5の実施例の装置の場合には特に、先の
図1に示されるスロットルバルブ12の開度を電子制御
装置30からも制御することのできる構成になっている
とする。
【0173】すなわち、同第5の実施例の装置では、前
述の如く演算した周囲温度が限界値以上となる旨判定さ
れるとき、電子制御装置30を通じて、エンジンへの吸
気量が抑えられる側に上記スロットルバルブ12の開度
を強制駆動することによって同エンジンの最高回転数を
制限するようにする。
【0174】したがって、こうした第5の実施例の装置
によっても、上述した第1〜第4の実施例の装置に準じ
た態様で、駆動回路341のパワートランジスタ(出力
トランジスタ)3417の使用限界温度範囲を超えての
発熱といったものを的確に抑えることができるようにな
る。
【0175】なお、同第5の実施例の装置の構成として
は他に、周知のサブスロットルが設けられるエンジンに
あって、そのサブスロットルの開度を上記の態様で制御
する構成とすることもできる。
【0176】(第6実施例)上記第1〜第5の実施例に
おいては、サーミスタ352を使用して電子制御装置3
0(パワートランジスタ3417)の周囲温度を監視す
るようにしたが、他に例えば、定電流駆動されるダイオ
ードがあれば、その順方向電圧に基づいてもこうした周
囲温度を監視することはできる。
【0177】図13〜図16に、この発明にかかるエン
ジンの電子制御装置の第6の実施例として、こうした定
電流駆動されるダイオードの順方向電圧に基づいて上記
周囲温度を監視するようにした装置の一例を示す。
【0178】同第6の実施例の装置では、図13及び図
14に示されるように、上記定電流駆動されるダイオー
ドとして、車速センサ28の波形整形回路334にあっ
て、そのセンサ信号を2値化するための比較基準電位を
生成するダイオード3342を流用する。そして、同ダ
イオード3342の順方向電圧VFをマルチプレクサ3
25を介してA/D変換器326に取り込むようにす
る。なお、図13に示す電子制御装置30のその他の構
成は先の図2に示した電子制御装置30と同様であり、
ここでの重複する説明は割愛する。
【0179】はじめに、図14を参照して、上記波形整
形回路334の概要を説明する。同図14に示されるよ
うに、波形整形回路334は、上記ダイオード3342
の他、該ダイオード3342と直列に接続されてその他
方端に電源電圧が印加される抵抗器3341、コンパレ
ータ3344、このコンパレータ3344の入力抵抗3
343、及び同コンパレータ3344の出力抵抗334
5をそれぞれ具えて構成されている。
【0180】同波形整形回路334では、コンパレータ
3344による電源電圧以下の比較が困難なために、上
記ダイオード3342によって、その順方向電圧VF分
だけグランド電位から浮かせた電圧を作るようにしてい
る。そして、こうしてコンパレータ3344の反転入力
端子(−端子)電位を上記電圧VF分だけ浮かせた状態
でその非反転入力端子(+端子)に車速センサ(ピック
アップコイル)28の出力信号を入力することで、前記
車輪の回転数に応じた周期を有する2値のパルス信号が
同コンパレータ3344から出力されるようにしてい
る。
【0181】このような波形整形回路334によれば、
上記ダイオード3342には基本的に、これに直列接続
された上記抵抗器3341の抵抗値とその印加電圧とに
より決定される電流しか流れない。
【0182】そこで同第6の実施例の装置では、こうし
て定電流駆動される上記ダイオード3342の順方向電
圧VF−温度特性に基づいて、電子制御装置30内の温
度、すなわち前記パワートランジスタ3417(図3、
図4)の周囲温度を監視するようにしている。
【0183】図15に、ダイオード3342の定電流駆
動時におけるVF(順方向電圧)−温度特性を示す。ダ
イオード3342は、理想的には、同図15に実線にて
示されるような特性をもつ。したがって、前記A/D変
換器326の分解能を5mVとすれば、3℃程度の分解
能で上記周囲温度を監視することが可能となる。
【0184】ところが通常、ダイオードのVF−電流特
性にはばらつきが存在する。そして、該VF−電流特性
のばらつきは、上記VF−温度特性にも同図15に破線
にて示されるような態様でのばらつきを招き、上記電圧
VFに基づく正確な温度測定を困難としている。
【0185】そこで同第6の実施例の装置では、図16
に示される校正・求温ルーチンを通じて上記ばらつきを
校正し、該校正した特性に基づく正確な温度を求めるよ
うにしている。なお、この校正・求温ルーチンは、図1
3に示されるROM312に予め登録されており、16
ms毎の時間割り込みにて起動されるものとする。
【0186】さて同第6の実施例の装置にあって、電子
制御装置30(CPU311)は、該ルーチンの起動に
基づき、まず (1)電源+Bオン後の電圧変動による影響を避けるた
めに、ステップS501にて、同電源オン後の所定の時
間(例えば1秒)内であるか否かを判定する。 (2)次いでステップS502にて、前記冷却水温及び
吸気温が共に0〜30℃の範囲にあるか否かを判定す
る。 (3)更にステップS503にて、これら冷却水温と吸
気温との差が3℃以内であるか否かを判定する。 (4)そしてステップS504にて、エンジン回転数N
Eが0rpmであるか否かを判定する。 といった判定処理を実行し、これら(1)〜(4)の条
件が全て満たされているとき、当該車両全体が一定温度
になっているものとみなして、次のVF(順方向電圧)
の校正処理を実行する。
【0187】同校正処理において、同電子制御装置30
(CPU311)はまず、ステップS511にて、上記
ダイオード3342の順方向電圧VFをA/D変換器3
26を通じて読み込む。
【0188】そして、上記(1)〜(4)の条件が全て
満たされている当該時点にあっては、上記ダイオード3
342の温度も前記冷却水温に等しいと考えられるた
め、ここではこの冷却水温から、先の図15の特性に基
づき、理想的な順方向電圧VFの値を求める。例えばい
ま、冷却水温=吸気温=10℃であったとすれば、同図
15の特性により、理想の順方向電圧VFは「0.7
2」Vとなる。
【0189】こうして順方向電圧VFについての理想値
を求めた電子制御装置30は次に、ステップS512に
て、この順方向電圧VFについての理想値と上記読み込
んだ実測値との差をオフセット電圧として求め、バック
アップRAM314(図13)に記憶する。例えば、上
記読み込んだ順方向電圧VFについての実測値が「0.
73」Vであったとすれば、上記理想値「0.72」V
との差「−0.01」Vがオフセット電圧として上記バ
ックアップRAM314に記憶される。
【0190】一方、上記(1)〜(4)の条件の何れか
1つでも満たされない場合、同電子制御装置30は、ス
テップS521以降の求温処理を実行する。すなわちこ
の求温処理において、電子制御装置30(CPU31
1)はまず、ステップS521にて、上述同様、上記ダ
イオード3342の順方向電圧VFをA/D変換器32
6を通じて読み込む。
【0191】そして、次のステップS522にて、該読
み込んだ順方向電圧VFを上記記憶しているオフセット
電圧に基づき校正する。例えば、この読み込んだ順方向
電圧VFの実測値が「0.7」Vであったとすると、こ
の値に対する上記オフセット電圧「−0.01」Vの加
算により、その校正値は「0.69」Vとなる。
【0192】こうして上記順方向電圧VFについての校
正値を求めた電子制御装置30は更に、ステップS52
3にて、この校正値から、先の図15の理想特性に基づ
き、その監視対象とする温度を求める。ここでの例で
は、上記校正値「0.69」Vに基づき25℃といった
温度が前記周囲温度として求められることとなる。
【0193】このように、同第6の実施例の装置によれ
ば、先の第1〜第5の実施例の装置の如く温度測定専用
のサーミスタを設けなくとも、前記周囲温度を正確に求
めることができるようになる。
【0194】もっとも、同第6の実施例の装置にあって
も、こうして周囲温度を求めた後は、その限界値(前述
の例では82℃)との比較に基づき、先の第1〜第5の
実施例の装置に準じた態様で、エンジン1の燃料カット
回転数を制限したり、最高回転数を制限するなど、前記
パワートランジスタ3417の発生電力を制限する処理
が実行されることとなる。
【0195】なお、この第6の実施例の装置において
は、周囲温度監視用のダイオードとして、車速センサ2
8の波形整形回路334に使用されているダイオード3
342を流用しているが、定電流駆動されるものでさえ
あれば、それら流用するダイオードの選定は任意であ
る。
【0196】また例えば、同周囲温度監視用のダイオー
ドを別途に追加する構成とすることもできる。この場
合、経済的には多少不利となるものの、同ダイオードを
前記パワートランジスタ3417のより近傍に配設する
など、自由度の高い配置選択が可能となる。
【0197】(第7実施例)先の第1の実施例において
は、前記(3)式の各要素が、 (a)VCEsat(コレクタ−エミッタ間飽和電圧)
=0.2V、 (b)ICO(コレクタ電流飽和値)=1.5A、 (c)+B(燃料噴射弁電源電圧)=16V、 (d)燃料噴射弁励磁コイル91の抵抗値=10.5
Ω、 (e)Don(オンデューティ)=90%、 (f)VZ(ツェナー電圧)=60V (g)VZ×∫_(0)^(Tfb) ICdt=5mJ(W・
s) (h)NE(単位時間当たりのエンジン回転数)=70
00rpm といった値をとるものとして、前記パワートランジスタ
3417の発生電力Pを算出した(P=0.85W)。
【0198】しかし、上記電源電圧+Bが、例えば1
4.0V以下となる場合であっても、エンジン1は正常
に運転される。そしてこの場合、同(3)式の各要素
が、 (a)VCEsat(コレクタ−エミッタ間飽和電圧)
=0.2V、 (b)ICO(コレクタ電流飽和値)=1.3A、 (c)+B(燃料噴射弁電源電圧)=14V、 (d)燃料噴射弁励磁コイル91の抵抗値=10.5
Ω、 (e)Don(オンデューティ)=90%、 (f)VZ(ツェナー電圧)=60V (g)VZ×∫_(0)^(Tfb) ICdt=4.4mJ(W
・s) (h)NE(単位時間当たりのエンジン回転数)=70
00rpm といった値をとるものとすると、前記パワートランジス
タ3417の発生電力Pは、 P=Pon+Poff=0.23W+0.51W=0.
74W となる。
【0199】したがって、ここでも同パワートランジス
タ3417の接合温度の最大定格が150℃、また接合
部一周囲温度の熱抵抗が80℃/Wであるとすれば、同
トランジスタ3417の許容される周囲温度は、 150℃−80℃/W×0.74W=90℃ となる。
【0200】この90℃といった温度は、予測される電
子制御装置30内の最高温度(上記トランジスタ341
7の周囲温度)である90℃と等しい。すなわち、上記
電源電圧が14Vを超えなければ、決して同トランジス
タ3417の発生電力Pがこの許容温度90℃を超える
ことはない。
【0201】したがってここでの例によれば、電源電圧
が14Vを越えている場合にのみ、エンジン1の燃料カ
ット回転数を制限するなど、同トランジスタ3417の
発生電力Pを制限する処理を行えば、その破壊等も確実
に回避されるようになる。
【0202】図17及び図18に、こうした原理に基づ
いて構成したこの発明にかかるエンジンの電子制御装置
の第7の実施例を示す。すなわちこの第7の実施例の装
置は、燃料噴射弁の駆動回路が内蔵されるエンジンの電
子制御装置にあって、同駆動回路の出力トランジスタ周
囲の温度をバッテリ電圧(電源電圧)に換算して監視
し、該換算したバッテリ電圧が所定の限界値以上となる
とき、エンジンの高回転燃料カット判定値の引き下げを
行う装置として構成されている。
【0203】以下に、その詳細について説明する。図1
7に示されるように、同第7の実施例の装置では、車両
のバッテリ29から適宜の分圧回路を介してその電圧を
抽出し、該抽出したバッテリ電圧をマルチプレクサ32
5を介してA/D変換器326に取り込むようにしてい
る。
【0204】図18に、同第7の実施例の装置が実行す
る燃料カット判定値変更ルーチンを示す。なお同ルーチ
ンも、ROM312に予め登録されており、例えば16
ms毎の時間割り込みにて起動されるものとする。
【0205】すなわちいま、該ルーチンが起動されたと
すると、電子制御装置30はまず、前記マルチプレクサ
325及びA/D変換器326を通じてバッテリ29の
電圧値を取り込み、該取り込んだ電圧値が前記周囲温度
の限界値に対応する所定の値(ここでの例では14V)
以上か否かを判定する(ステップS601)。
【0206】この結果、バッテリ29の電圧値が上記所
定の値に達していない旨判定される場合にはそのまま当
該処理を終える。他方、バッテリ29の電圧値が同所定
の値以上である旨判定される場合には、例えば判定値7
000rpmに設定されているエンジン1の高回転燃料
カット回転数を例えば回転数5800rpmに引き下げ
る(ステップS602)。
【0207】この高回転燃料カット判定値が通常、RO
M312からRAM313にロードされたり、或いはバ
ックアップRAM314に格納されて、燃料カット制御
の実行時に参照されるようになっていることは第1の実
施例の装置において前述した通りである。
【0208】こうして該判定値が引き下げ更新されるこ
とにより、同電子制御装置30では、該更新された値以
上の回転数では燃料噴射を全面的に禁止するようにな
り、エンジン回転数も該更新された値以上には上昇しな
くなる。そしてこうしてエンジンの最高回転数が制限さ
れれば、上記トランジスタ3417の発生電力Pも自ず
と制限され、ひいてはその許容値を超えての加熱等も未
然に防がれるようになることも、先の第1の実施例の装
置において前述した通りである。
【0209】以上のように、この第7の実施例の装置に
よれば、上記フライバックダイオードが接続された燃料
噴射弁9駆動用のパワートランジスタ(出力トランジス
タ)を放熱フィン上に取り付けたり、或いは同トランジ
スタとして耐熱性のある高価なトランジスタを使用せず
とも、そして更には同トランジスタの周囲温度を直接監
視したりせずとも、その使用限界温度範囲を超えての発
熱といったものは的確に抑えられるようになる。
【0210】なお、同第7の実施例の装置は、上記周囲
温度を電源電圧(バッテリ電圧)に換算して監視する手
段を、先の第1の実施例の装置による高回転燃料カット
判定値を引き下げてエンジン回転数を制限する回転数制
限制御に適用したものであるが、同監視手段が、先の第
2〜第5の実施例の装置による各回転数制限制御につい
ても同様に適用できるものであることは勿論である。
【0211】(第8実施例)先の第6の実施例において
は、定電流駆動されるダイオードの順方向電圧VFに基
づいて電子制御装置30(パワートランジスタ341
7)の周囲温度を監視するようにした。
【0212】しかし、トランジスタにあっても、そのベ
ース−エミッタ間のP−N接合部分の電圧(VBE)
は、ダイオードの上記VF特性と同様、高温になるほど
低い電圧値を示すことが知られている。
【0213】したがって、前記パワートランジスタ34
17自身のベース−エミッタ間電圧を測定するようにす
れば、同トランジスタ自身の温度を直接監視することが
できるようになる。
【0214】図19〜図25に、この発明にかかるエン
ジンの電子制御装置の第8の実施例として、こうしたパ
ワートランジスタ自身のベース−エミッタ間電圧に基づ
いてその温度を直接監視するようにした装置の一例を示
す。
【0215】この第8の実施例の装置では、図19及び
図20に示されるように、電子制御装置30に内蔵され
る燃料噴射弁用駆動回路341のパワートランジスタ3
417のベース−エミッタ間電圧VBE及び電源電圧+
Bをマルチプレクサ325を介してA/D変換器326
に取り込むようにする。
【0216】なお、図19においても、電子制御装置3
0のその他の構成は先の図2、図13、或いは図17に
示した電子制御装置30と同様であり、ここでもそれら
要素についての重複する説明は割愛する。
【0217】はじめに、図20〜図23を参照して、上
記パワートランジスタ3417の特にベース−エミッタ
間電圧VBEの特性について説明する。図3を参照して
既に述べたように、上記駆動回路341にあっては、マ
イクロコンピュータ310から出力される駆動指令が論
理L(ロー)レベルになるときトランジスタ3413が
オンとなり、パワートランジスタ3417にベース電流
IBが供給される。この様子はそれぞれ、図21(a)
及び(b)にも示される通りである。
【0218】すなわちこの際、上記ベース電流は、ベー
ス抵抗3414と上記トランジスタ3417自身のベー
ス容量とによって決まる時定数にて増加する。そして、
このベース電流IBの増加に伴い、ベース電位(ベース
−エミッタ間電圧)VBEも図21(c)に示される態
様で増加する。これらベース電流IB及びベース電位V
BEの増加は一定時間Td後に終了し、その後は一定の
レベルに安定する。
【0219】ここで、上記パワートランジスタ3417
のベース電位(ベース−エミッタ間電圧)VBEと温度
との相関は、同トランジスタ3417がオンとなってし
かもそのベース電流IBが安定するいわば定電流駆動状
態において発生する。
【0220】このため、上記ベース電位VBEに基づく
温度の監視も、実質的には、同電位VBEが安定してい
る期間である時間Tm(図21)を利用して行う必要が
ある。すなわち、同トランジスタ3417がオンとなっ
て以後、上記時間Tdの経過を待って、該ベース電位V
BEの測定を開始することとなる。ここに、この待ち時
間Tdは、上述したベース抵抗3414の抵抗値R
(Ω)とトランジスタ3417のベース容量C(F)と
によって決まる時定数(CR)以上である必要がある。
【0221】一方、トランジスタ3417のベース電位
VBEは、同トランジスタ3417の温度だけではな
く、そのベース電流IBとも関係があり、ベース電流I
Bが異なればその温度に対する変化量ΔVBEも異なっ
たものとなる。これらの様子を図22に示す。
【0222】すなわち同図22に示されるように、ベー
ス電位VBEの温度に対する変化量ΔVBE(mV/
℃)は、ベース電流IBが増加すると小さくなる。この
ため、例えばベース電流IBが増加、すなわち電源電圧
電位+Bが増加したような場合には、トランジスタ34
17の温度上昇によるベース電位VBEの低下が少なく
なり、同ベース電位VBEに基づく正確な温度測定を困
難にする。
【0223】したがって、上記ベース電位VBEに基づ
き正確に温度を監視するに当たっては、ベース電流I
B、すなわち電源電圧電位+Bに基づく図23に示され
る態様での傾き補正が必要となる。
【0224】図24は、上記ベース電位VBEのこうし
た特性に鑑みて実行される同第8の実施例の装置のトラ
ンジスタ温度推定ルーチンを示すものであり、次に同図
24を併せ参照して、同実施例の装置によるトランジス
タ温度推定処理の処理手順について詳述する。なお、こ
のトランジスタ温度推定ルーチンは、図19に示される
ROM312に予め登録されており、16ms毎の時間
割り込みにて起動されるものとする。また、図23に例
示したベース電位VBEによる温度推定テーブルも、同
ROM312或いはバックアップRAM314等に予め
格納されているものとする。
【0225】さて同第8の実施例の装置にあって、電子
制御装置30(CPU311)は、該ルーチンの起動に
基づき、まずステップS701にて、上記トランジスタ
3417がオンとなっているか否かを判定し、オンとな
っていれば更にステップS702にて、その後上記一定
時間Tdを経過しているか否かを判定する。これらの条
件が満たされていなかった場合には、一旦同ルーチンを
抜けて次にこれが起動されるまで待機する。
【0226】上記条件が何れも満たされている旨判定さ
れる場合、同電子制御装置30は次に、ステップS70
3及びステップS704にて、上記ベース電位VBE、
及び電源電圧電位+Bをそれぞれ読み込む。そして、次
のステップS705にて、 (1)上記読み込んだ電源電圧電位+Bに基づき先の温
度推定テーブル(図23)の傾きを決定する(該当する
傾きの温度推定テーブルを選定する)。 (2)該決定されたテーブルから、上記読み込んだベー
ス電位VBEに対応する温度を選出する。 といった処理を実行して、上記トランジスタ3417の
その都度の温度を推定することとなる。
【0227】図25に、こうしたトランジスタ温度の推
定に基づき同第8の実施例の装置が更に実行する燃料カ
ット判定値変更ルーチンを示す。なお同ルーチンも、R
OM312に予め登録されており、例えば16ms毎の
時間割り込みにて起動されるものとする。
【0228】すなわちいま、該ルーチンが起動されたと
すると、電子制御装置30はまず、上記推定したトラン
ジスタ温度がその限界値に対応する所定の値(ここでの
例では82℃)以上か否かを判定する(ステップS80
1)。
【0229】この結果、トランジスタ温度が上記所定の
値に達していない旨判定される場合にはそのまま当該処
理を終える。他方、トランジスタ温度が同所定の値以上
である旨判定される場合には、例えば判定値7000r
pmに設定されているエンジン1の高回転燃料カット回
転数を例えば回転数5800rpmに引き下げる(ステ
ップS802)。
【0230】こうして高回転燃料カット判定値が引き下
げ更新されることにより、エンジンの最高回転数が制限
され、上記トランジスタ3417の発生電力Pも制限さ
れ、ひいてはその許容値を超えての加熱等も未然に防が
れるようになることついては既に述べた。
【0231】以上のように、この第8の実施例の装置に
よれば、燃料噴射弁9駆動用のトランジスタ3417の
特性を直接利用してその温度を推定し、監視することが
できる。そしてこのため、上記トランジスタ3417の
周囲温度が上昇する以前に同トランジスタ自身の温度が
急上昇した場合など、先の第1〜第6の実施例の装置で
は監視することのできない温度変動についても、応答性
よくその監視を行うことができるようになる。
【0232】そしてこの場合も、該トランジスタ温度の
監視に基づき、上記燃料カット判定値変更ルーチンを通
じて高回転燃料カット判定値を引き下げる処理を行うこ
とにより、上記トランジスタ3417を放熱フィン上に
取り付けたり、或いは同トランジスタとして耐熱性のあ
る高価なトランジスタを使用せずとも、その使用限界温
度範囲を超えての発熱といったものは的確に抑えられる
ようになる。
【0233】なお、同第8の実施例の装置は、トランジ
スタのベース−エミッタ間電圧に基づいて同トランジス
タの温度を監視する手段を、先の第1の実施例の装置に
よる高回転燃料カット判定値を引き下げてエンジン回転
数を制限する回転数制限制御に適用したものであるが、
こうした温度監視手段が、先の第2〜第5の実施例の装
置による各回転数制限制御についても同様に適用できる
ものであることは勿論である。
【0234】また、以上の第1〜第8の実施例において
は何れも、電子制御装置30に内蔵される駆動回路(燃
料噴射弁駆動回路)341の出力トランジスタについて
その周囲温度やトランジスタ自身の温度を監視するよう
にしたが、この温度監視対象となるトランジスタは該燃
料噴射弁駆動用のトランジスタには限られない。
【0235】すなわち、電子制御装置30に内蔵され、
前述した態様でフライバックエネルギを吸収するように
なるインダクタンス負荷駆動用のトランジスタにあって
は、それが使用限界温度範囲を超えて発熱する可能性が
ある実情は概ね共通するものであり、このようなトラン
ジスタにも同様にこの発明を適用することはできる。そ
して、それら監視対象とするインダクタンス負荷駆動用
トランジスタについても、何ら格別の放熱対策を施す必
要なく、異常発熱等による破壊から確実に保護すること
ができるようになる。
【0236】結局、同電子制御装置として要は、上記ト
ランジスタの温度若しくはその周囲温度を監視する温度
監視手段と、該監視される温度若しくはその相当値が所
定の限界値以上となるときエンジン回転数を制限する回
転数制限手段とを具えるものであればよい。
【0237】そして、上記温度監視手段としては、 ・前記トランジスタの近傍に配設されたサーミスタと、
該サーミスタの端子間電圧に基づいて同トランジスタの
周囲温度を演算する演算手段とを具えるもの。 ・同電子制御装置内に配されて定電流駆動されるダイオ
ードと、該ダイオードの順方向電圧に基づいて前記トラ
ンジスタの周囲温度を演算する演算手段とを具えるも
の。 ・前記トランジスタの周囲温度をバッテリの電圧値に換
算して監視するもの。 ・前記トランジスタの定電流駆動時のベース電位を抽出
する手段と、該抽出されたベース電位に基づいて同トラ
ンジスタ自身の温度を演算する演算手段とを具えるも
の。 等々があり、また上記エンジン回転数を制限することで
トランジスタの発生電力を制限する上記回転数制限手段
としては、 ・エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数の判定値
を引き下げる燃料カット判定値変更手段を具えるもの。 ・エンジンへの燃料噴射を所定の短時間ずつ間引きして
同エンジンの最高回転数を低下せしめる燃料噴射間引き
手段を具えるもの。 ・エンジンの任意気筒への燃料噴射を停止して同エンジ
ンの最高回転数を低下せしめる減筒制御手段を具えるも
の。 ・エンジンへの燃料噴射量を所定に減量して同エンジン
の最高回転数を低下せしめる噴射量減量手段を具えるも
の。 ・エンジンの吸気絞り弁(スロットルバルブ、サブスロ
ットル)を強制駆動して同エンジンの最高回転数を低下
せしめる吸気制限手段を具えるもの。 等々がある。
【0238】(第9実施例)上記第1〜第8の実施例に
おいては何れも、電子制御装置30に内蔵される駆動回
路(燃料噴射弁駆動回路)341の出力トランジスタに
ついてその周囲温度やトランジスタ自身の温度を監視し
て、その発生される電力を抑制すべく、エンジンの回転
数を制限するようにした。しかし、このトランジスタ自
身の発生電力以外に、上記燃料噴射弁9(負荷)側の発
生電力を抑制することでも、上記に準じた態様をもっ
て、同トランジスタの熱的保護を図ることはできる。
【0239】図26に、燃料噴射弁励磁コイル91側で
の発生電力を示す。すなわちこの発生電力は、これをP
L、またこのうち、上記出力トランジスタのオン時間に
おける発生電力をPon、同じくオフ時間における発生
電力をPoff、そして同トランジスタのオン周期をT
Oとすると、 PL=Pon+Poff/TO …(5) といった関係にて表されるようになる。
【0240】ここで、この(5)式からも明らかなよう
に、同発生電力PLは、上記トランジスタのオン周期T
Oが小さいほど、すなわちエンジン回転数が高いほど大
きな値となる(項「Poff/TO」が大きくなる)。
【0241】また、上記燃料噴射弁励磁コイル91の温
度が低いほどそこには大きな電流が流れるようになるた
め、同発生電力PLは、該燃料噴射弁励磁コイル91の
温度が低いほど大きな値を持つようにもなる(項「Po
n」が大きくなる)。
【0242】一方、トランジスタにあっては、その温度
が高いほど、消費可能なエネルギは低下する。すなわ
ち、トランジスタにとって熱的に厳しい状況とは、負荷
(燃料噴射弁励磁コイル91)の温度が低く(発生電力
が大)、トランジスタ自身の温度が高い(消費可能電力
が小)ときであると考えることができる。
【0243】したがって、トランジスタ自信の温度があ
る程度高いことを想定して同トランジスタを熱的に保護
するためには、上記負荷(燃料噴射弁励磁コイル91)
から発生される電力を抑制すればよく、またそのための
具体手法としては、同負荷の温度に応じて上記エンジン
回転数を制限すればよいことがわかる。
【0244】図27〜図29に、この発明にかかるエン
ジンの電子制御装置の第9の実施例として、こうした原
理に基づいて上記トランジスタの熱的保護を図るように
した装置の一例を示す。
【0245】この第9の実施例の装置では、前記水温セ
ンサ20を通じて検出されるエンジン1の冷却水温に基
づいて上記負荷(燃料噴射弁励磁コイル91)の温度を
推定し、エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数の
判定値を該推定した負荷温度に応じて変更するようにし
ている。因みに、水温センサ20の出力(冷却水温)は
エンジン1本体の暖機状態に対応したものとなる。この
ため、エンジン1本体の温度が低いときには、燃料噴射
弁励磁コイル91等、負荷の温度も低いと考えてよい。
【0246】なお、同第9の実施例の装置においても、
電子制御装置30としての基本的な構成は、先の図2、
図13、図17、或いは図19に示される装置と同様で
あり、同装置を構成する各要素についての重複する説明
は割愛する。
【0247】さて、この第9の実施例の装置において、
電子制御装置30は、図27に示される角度同期ルーチ
ンを通じてエンジン1始動後の累積回転数CNEを演算
しつつ、図28に示される手順を通じて、燃料カット回
転数の判定値KCUTを随時変更する。
【0248】まず図27に示される角度同期ルーチンに
おいて、電子制御装置30は、前記回転角センサ25か
ら取り込まれる回転角信号が360°CA(クランク
角)の経過を示すタイミングとなる毎に、ステップS9
01にて、累積回転数カウンタのカウント値CNEをイ
ンクリメント(CNE←CNE+1)する。
【0249】該角度同期ルーチンは、エンジン1の始動
時から開始される。また、上記累積回転数カウンタとし
ては例えば、前記マイクロコンピュータ310内にある
RAM313の2バイトが用いられる。その計数された
累積回転数CNEは、いわゆるイグニションオフとされ
るなど、エンジン1が完全に停止せられるまでクリアさ
れずに同RAM313内に保持されるものとする。
【0250】一方、電子制御装置30は、こうした角度
同期ルーチンと並行して、図28に示される手順にて、
上述した燃料カット回転数の判定値KCUTについての
変更を含む噴射ルーチンを実行する。なお該噴射ルーチ
ンは、エンジン1の各気筒に対する燃料の噴射タイミン
グ毎に起動され、実行されるものとする。
【0251】さていま、この噴射ルーチンが起動された
とすると、電子制御装置30は、前記マルチプレクサ3
25及びA/D変換器326を通じて水温センサ20の
出力を取り込み、ステップS911にて、その水温値に
応じた燃料カット回転数の判定値KCUTを算出する。
同実施例の装置において、この判定値KCUTは、図2
9に示されるマップを通じて演算される。
【0252】なおここで、上記燃料カット回転数の判定
値KCUTは、同図29に示されるように、冷却水温が
「−30℃」のとき回転数「5700rpm」に対応し
た値として設定され、同冷却水温が「20℃」のときに
は回転数「7000rpm」に対応した値として設定さ
れる。そしてこれら温度「−30℃」〜「20℃」の範
囲では、ほぼリニアな関係で、その対応する回転数が補
間される特性となっている。なお、冷却水温が「20
℃」以上となっても、その対応する判定値KCUTは、
上記回転数「7000rpm」に対応した値にガードさ
れる。
【0253】冷却水温とのこうした関係に基づいて燃料
カット回転数の判定値KCUTを求めた電子制御装置3
0は次に、ステップS912にて、上記累積回転数カウ
ンタのカウント値CNEを読み込み、その値CNEが、
例えば値「10000」以上となっているか否かを判断
する。そして、同ステップS912において、上記値C
NEが「10000」以上である旨判断される場合に
は、ステップS913にて、上記求めた判定値KCUT
を、例えば KCUT=KCUT+300rpm といったかたちで増加補正する。これは、冷却水温自体
が低い状態にあっても、前記燃料噴射弁9の駆動時間が
ある程度の時間に達していれば、その温度は上昇してい
ることが考えられるため、それら負荷の実状により近い
かたちで上記判定値KCUTを補正するための処理であ
る。なお、この増加補正される燃料カット回転数の判定
値KCUTは、先の図29に一点鎖線の特性として付記
される。
【0254】電子制御装置30は、こうした補正を実行
すると、或いは上記ステップS912において、累積回
転数カウンタのカウント値CNEが「10000」に達
していない旨判断すると、ステップS914にて、上記
求めた、或いは上記補正した判定値KCUTが回転数
「7000rpm」を超えているか否を更に判断する。
そして、判定値KCUTが回転数「7000rpm」を
超えている旨判断される場合には、次のステップS91
5にて、同判定値KCUTに「7000rpm」をセッ
トした後(上限ガードした後)、ステップS916の処
理を実行する。他方、判定値KCUTが回転数「700
0rpm」を超えていなければ、同判定値KCUTとし
て、上記求めた、或いは上記補正した値を用いてこのス
テップS916の処理を実行する。
【0255】ステップS916の処理において、電子制
御装置30は、前記回転角センサ25の出力に基づき算
出されるエンジン回転数が上記燃料カット回転数の判定
値KCUT以上となっているか否かを判断する。そし
て、エンジン回転数が該判定値KCUT以上となってい
る旨判断される場合には、ステップS917にて燃料の
噴射停止、すなわち燃料カットを実行し、エンジン回転
数が同判定値KCUT未満にあれば、ステップS918
にて燃料の噴射を実行する。
【0256】第9の実施例の装置を通じてこのような処
理が行われることにより、上記負荷(燃料噴射弁励磁コ
イル91)から発生される電力は自ずと制限され、ひい
てはトランジスタ自身から発生される電力も抑制される
ようになる。
【0257】そしてこの場合であっても、トランジスタ
に対して必ずしも前述した放熱対策を施さずとも、その
使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは的確に
抑えられるようになる。
【0258】また、同実施例の装置では、上記累積回転
数の値CNEに基づいて燃料カット回転数の判定値KC
UTを増加補正するようにしているため、同燃料カット
回転数についての過剰な制限を抑えることができるよう
にもなる。
【0259】なお、この補正に際し、同実施例の装置で
は、上記燃料カット回転数の判定値KCUT、すなわち
冷却水温に応じたエンジン回転数制限量の許容幅を増加
補正するようにしているが、冷却水温そのものを所定温
度増加補正するようにしてもよい。要は、冷却水温と同
冷却水温に応じたエンジン回転数制限量の許容幅との相
対的な関係が上記負荷の駆動時間に応じて補正されるも
のであればよい。また勿論、必ずしもこのような補正が
行われなくとも、トランジスタの使用限界温度範囲を超
えての発熱そのものは確実に抑えられる。
【0260】また、同実施例の装置では上述のように、
エンジン1が完全に停止せられるまでは上記累積回転数
の値CNEをクリアせずにRAM313内に保持するよ
うにしている。このため、例えばエンジンストール等の
直後に同エンジンが再起動されるような場合でも、該累
積回転数CNEの計数が再度「0」からやり直しされる
ようなことはなくなる。すなわち、上記負荷のより実状
に近い温度に基づくエンジン回転数の制限態様が維持さ
れるようになる。なお、この累積回転数CNEをクリア
するタイミングとしては他に、エンジン1の停止後、所
定時間経過したタイミングとしてもよい。
【0261】ところで、この第9の実施例では、上記燃
料カット回転数の判定値KCUTを算出するためのマッ
プとして、冷却水温「−30℃」〜「20℃」の範囲で
は、ほぼリニアな関係で、その対応する燃料カット回転
数が補間される特性を採用しているが、同マップとして
は他に、例えば図30に示される態様で、ある特定の冷
却水温(図30の例では20℃)を境に、その設定され
る(マップ演算される)判定値KCUTの値が変更され
る特性を採用することもできる。こうした態様で同判定
値KCUTの値が変更される場合であれ、トランジスタ
の使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは確実
に抑えられるようになる。なおこの場合、上記判定値K
CUTの値を変更するための境とする温度については、
同図30の例のような1点(20℃)に限らず、2点若
しくはそれ以上の点に設定することもできる。
【0262】また、同第9の実施例では、水温センサ2
0により検出される冷却水温を通じて、いわば間接的に
負荷(燃料噴射弁励磁コイル91)の温度を監視するよ
うにしたが、例えば熱電対などを同負荷に配設して、そ
の温度を直接監視するようにしても勿論よい。この場
合、該温度測定のための専用のセンサが必要にはなるも
のの、同負荷の温度をより正確に把握することができる
ようになる。
【0263】一方、同第9の実施例によるように、負荷
の温度を監視し、該監視される負荷温度に応じてエンジ
ン回転数を制限する構成も、先の (イ)第2の実施例のようなエンジンへの燃料噴射を所
定の短時間ずつ間引きする装置、(ロ)第3の実施例の
ようなエンジンの任意気筒への燃料噴射を停止する、す
なわち減筒制御する装置、(ハ)第4の実施例のような
エンジンへの燃料噴射量を所定に減量する装置、(ニ)
第5の実施例のようなエンジンの吸気絞り弁(スロット
ルバルブ、サブスロットル)を吸気量が抑えられる側に
強制駆動する装置、にそれぞれ対応するかたちで適用す
ることができる。
【0264】すなわち、上記(イ)の装置のように、燃
料噴射量を間引きする場合には、図31に示されるよう
に、エンジンへの燃料噴射を上記冷却水温に応じた所定
の時間ずつ間引きして同エンジンの最高回転数を低下せ
しめる構成とする。因みにこの場合には、冷却水温(負
荷の温度)が低いほど長い間引き時間が設定されるよう
になる。そしてこの場合、同図31に示されるようなマ
ップを通じてその都度の冷却水温に対応する間引き時間
が演算される以外は、先の図9及び図10に準じた処理
が電子制御装置30を通じて実行されることとなる。
【0265】また、上記(ロ)の装置のように、減筒制
御する場合には、図32に示されるように、上記冷却水
温に応じて決定される数の気筒への燃料噴射を停止して
同エンジンの最高回転数を低下せしめる構成とする。因
みにこの場合には、冷却水温(負荷の温度)が低いほど
多い減筒数に設定されるようになる。そしてこの場合、
同図32に示されるようなマップを通じてその都度の冷
却水温に対応する減筒数が演算される以外は、先の図1
1に準じた処理が電子制御装置30を通じて実行される
こととなる。
【0266】また、上記(ハ)の装置のように、燃料噴
射量を減量する場合には、図33に示されるように、エ
ンジンへの燃料噴射量を上記冷却水温に応じた所定量だ
け減量して同エンジンの最高回転数を低下せしめる構成
とする。因みにこの場合には、冷却水温(負荷の温度)
が低いほど多い減量値が設定されるようになる。そして
この場合、同図33に示されるようなマップを通じてそ
の都度の冷却水温に対応する減量値が演算される以外
は、先の図12に準じた処理が電子制御装置30を通じ
て実行されることとなる。
【0267】そして、上記(ニ)の装置のように、吸気
絞り弁を強制駆動する場合には、図34に示されるよう
に、エンジンの吸気絞り弁を上記冷却水温に応じた所定
量だけ強制駆動して同エンジンの最高回転数を低下せし
める構成とする。因みにこの場合には、冷却水温(負荷
の温度)が低いほど大きな駆動量が設定されるようにな
る。そしてこの場合、同図34に示されるようなマップ
を通じてその都度の冷却水温に対応する駆動量が演算さ
れる以外は、先の第5の実施例に準じた態様でスロット
ルバルブ或いはサブスロットルの開度が電子制御装置3
0により制御されることとなる。
【0268】なお、これらの各構成においても、 ・ある冷却水温(負荷温度)を境に2値的若しくは多値
的にそれら設定する変数の値を変更することができるこ
と。 ・負荷の駆動時間(累積回転数)に応じて上記冷却水温
若しくは同冷却水温に応じたエンジン回転数制限量の許
容幅を増加補正してもよいこと。 ・負荷の温度は、必ずしも冷却水温によらず、熱電対等
によって直接監視してもよいこと。 等々は、上記第9の実施例の装置の場合と同様である。
【0269】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、エンジンの電子制御装置に内蔵されてフライバック
電圧消弧用のツェナーダイオードが接続されるインダク
タンス負荷駆動用トランジスタの、使用限界となる温度
範囲を超えての発熱を的確に抑えることができる。
【0270】そしてこのため、いたずらに放熱にコスト
をかけずとも、確実にそれら素子の保護を図ることがで
きるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が制御対象とするエンジン並びに周辺
装置例の概略を模式的に示す略図。
【図2】この発明の電子制御装置の第1の実施例の構成
を示すブロック図。
【図3】燃料噴射弁の駆動回路及び励磁コイルの構成例
を示す回路図。
【図4】燃料噴射弁用駆動回路のプリント基板への実装
例を示す斜視図。
【図5】同駆動回路の出力トランジスタの電圧及び電流
波形を示すタイムチャート。
【図6】サーミスタの温度−電圧特性テーブル例を示す
略図。
【図7】同温度−電圧特性テーブルに基づく温度演算マ
ップを示すグラフ。
【図8】第1の実施例による燃料カット判定値変更手順
を示すフローチャート。
【図9】この発明の第2の実施例による計時手順を示す
フローチャート。
【図10】第2の実施例による燃料噴射間引き手順を示
すフローチャート。
【図11】この発明の第3の実施例による減筒制御手順
を示すフローチャート。
【図12】この発明の第4の実施例による燃料噴射量減
量手順を示すフローチャート。
【図13】この発明の第6の実施例についてその構成を
示すブロック図。
【図14】主に車速センサ用波形整形回路の構成例を示
す回路図。
【図15】ダイオードの定電流駆動時における順方向電
圧−温度特性を示すグラフ。
【図16】第6の実施例によるダイオード特性の校正、
並びに同ダイオード特性に基づく求温手順を示すフロー
チャート。
【図17】この発明の第7の実施例についてその構成を
示すブロック図。
【図18】第7の実施例による燃料カット判定値変更手
順を示すフローチャート。
【図19】この発明の第8の実施例についてその構成を
示すブロック図。
【図20】出力トランジスタのベース電位抽出態様を示
すブロック図。
【図21】同出力トランジスタのベース電流波形及びベ
ース−エミッタ間電圧波形を示すタイムチャート。
【図22】ベース電流の変動に起因するベース電位の温
度に対する変化量の推移を示すグラフ。
【図23】上記ベース電位による温度推定テーブル例を
示すグラフ。
【図24】第8の実施例によるトランジスタ温度の推定
手順を示すフローチャート。
【図25】第8の実施例による燃料カット判定値変更手
順を示すフローチャート。
【図26】負荷(燃料噴射弁励磁コイル)側での発生電
力を示すタイムチャート。
【図27】この発明の第9の実施例による累積回転数演
算手順をフローチャート。
【図28】第9の実施例による燃料カット判定値変更手
順を示すフローチャート。
【図29】冷却水温に応じた燃料カット判定値の変更態
様を示すグラフ。
【図30】冷却水温に応じた燃料カット判定値の変更態
様を示すグラフ。
【図31】冷却水温に応じた燃料噴射間引き時間の設定
態様を示すグラフ。
【図32】冷却水温に応じた減筒数の設定態様を示すグ
ラフ。
【図33】冷却水温に応じた噴射量減量値の設定態様を
示すグラフ。
【図34】冷却水温に応じた吸気絞り弁駆動量の設定態
様を示すグラフ。
【符号の説明】
1…エンジン、2…シリンダ、3…ピストン、4…シリ
ンダヘッド、5…燃焼室、6…点火プラグ、7…吸気バ
ルブ、8…吸気マニホールド、9…燃料噴射弁、10…
吸気管、11…サージタンク、12…スロットルバル
ブ、13…エアクリーナ、14…排気バルブ、15…排
気マニホールド、16…イグナイタ、17…ディストリ
ビュータ、20…水温センサ、21…吸気温センサ、2
2…スロットルポジションセンサ、23…吸気管内圧力
センサ、24…酸素濃度センサ、25…回転角センサ、
26…気筒判別センサ、27…シグナルロータ、28…
車速センサ、29…バッテリ、30…電子制御装置、3
01…ケース、302…コネクタ、303…プリント基
板、304…カバー、310…マイクロコンピュータ、
311…CPU、312…ROM、313…RAM、3
14…バックアップRAM、315…入出力ポート、3
16…入力ポート、317…出力ポート、318…コモ
ンバス、319…クロック発生器、321、322、3
23、324、331…バッファ回路、325…マルチ
プレクサ、326…A/D変換器、332…コンパレー
タ、333、334…波形整形回路、335…配線(ダ
イオード順方向電圧取り込み配線)、341…駆動回路
(イグナイタ)、342…駆動回路、343…配線(ト
ランジスタベース電位取り込み配線)、351…抵抗器
(プルアップ抵抗)、352…サーミスタ、353…配
線(サーミスタ出力取り込み配線)、361…配線(バ
ッテリ電圧取り込み配線)、3341、3343、33
45、3411、3412、3414、3416…抵抗
器、3342…ダイオード、3344…コンパレータ、
3413、3417…トランジスタ、3415…ツェナ
ーダイオード(フライバックダイオード)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 孝秀 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 杉浦 健悟 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インダクタンス負荷をエンジンの回転に同
    期して駆動するトランジスタと、同トランジスタに接続
    されて前記負荷のオフ時に発生するフライバック電圧を
    消弧するツェナーダイオードとを具えるエンジンの電子
    制御装置であって、 前記トランジスタの温度若しくはその周囲温度を監視す
    る温度監視手段と、 該監視される温度若しくはその相当値が所定の限界値以
    上となるときエンジン回転数を制限する回転数制限手段
    と、 を具えることを特徴とするエンジンの電子制御装置。
  2. 【請求項2】前記回転数制限手段は、エンジンの高速回
    転に伴う燃料カット回転数の判定値を引き下げる燃料カ
    ット判定値変更手段を具えて構成される請求項1記載の
    エンジンの電子制御装置。
  3. 【請求項3】前記回転数制限手段は、エンジンへの燃料
    噴射を所定の時間ずつ間引きして同エンジンの最高回転
    数を低下せしめる燃料噴射間引き手段を具えて構成され
    る請求項1記載のエンジンの電子制御装置。
  4. 【請求項4】前記回転数制限手段は、エンジンの任意気
    筒への燃料噴射を停止して同エンジンの最高回転数を低
    下せしめる減筒制御手段を具えて構成される請求項1記
    載のエンジンの電子制御装置。
  5. 【請求項5】前記回転数制限手段は、エンジンへの燃料
    噴射量を所定に減量して同エンジンの最高回転数を低下
    せしめる噴射量減量手段を具えて構成される請求項1記
    載のエンジンの電子制御装置。
  6. 【請求項6】前記回転数制限手段は、エンジンの吸気絞
    り弁を強制駆動して同エンジンの最高回転数を低下せし
    める吸気制限手段を具えて構成される請求項1記載のエ
    ンジンの電子制御装置。
  7. 【請求項7】前記温度監視手段は、前記トランジスタの
    近傍に配設されたサーミスタと、該サーミスタの端子間
    電圧に基づいて同トランジスタの周囲温度を演算する演
    算手段とを具えて構成される請求項1乃至6の何れかに
    記載のエンジンの電子制御装置。
  8. 【請求項8】前記温度監視手段は、同電子制御装置内に
    配されて定電流駆動されるダイオードと、該ダイオード
    の順方向電圧に基づいて前記トランジスタの周囲温度を
    演算する演算手段とを具えて構成される請求項1乃至6
    の何れかに記載のエンジンの電子制御装置。
  9. 【請求項9】前記ダイオードは、電子制御装置内に同温
    度監視手段として別途に配設されるものである請求項8
    記載のエンジンの電子制御装置。
  10. 【請求項10】前記ダイオードは、電子制御装置内に制
    御部品として予め配設されているものが流用される請求
    項8記載のエンジンの電子制御装置。
  11. 【請求項11】前記演算手段は、 電源投入後所定の時間以内であること、及びエンジンの
    冷却水温並びに吸気温が共に所定の第1の温度以下でそ
    の温度差も所定の第2の温度以下であること、及びエン
    ジンが回転していないことの論理積条件が満たされるこ
    とに基づき前記ダイオードの順方向電圧−温度特性を校
    正する手段と、 前記条件の何れか1つでも満たされなくなるとき、該ダ
    イオードの校正された順方向電圧−温度特性に基づいて
    その都度の温度を前記トランジスタの周囲温度として算
    出する手段と、 を具えて構成される請求項8または9または10記載の
    エンジンの電子制御装置。
  12. 【請求項12】前記温度監視手段は、前記トランジスタ
    の周囲温度をバッテリの電圧値に換算して監視するもの
    であり、 前記回転数制限手段は、この換算されたバッテリの電圧
    値が所定の限界値以上となるとき前記エンジン回転数を
    制限するものである請求項1乃至6の何れかに記載のエ
    ンジンの電子制御装置。
  13. 【請求項13】前記温度監視手段は、前記トランジスタ
    の定電流駆動時のベース電位を抽出するベース電位抽出
    手段と、該抽出されたベース電位に基づいて同トランジ
    スタ自身の温度を演算する演算手段とを具えて構成され
    る請求項1乃至6の何れかに記載のエンジンの電子制御
    装置。
  14. 【請求項14】前記演算手段は、 前記トランジスタがオンになって以後一定時間が経過し
    たことに基づいて同トランジスタが定電流駆動状態にあ
    る旨検出する手段と、 該定電流駆動状態にある旨の検出に基づいて前記抽出さ
    れたベース電位を読み込み、そのベース電位−温度特性
    に基づいて同トランジスタの温度を算出する手段とを具
    えて構成される請求項13記載のエンジンの電子制御装
    置。
  15. 【請求項15】請求項13記載のエンジンの電子制御装
    置において、 前記温度監視手段は更に、前記負荷の電源電位を抽出す
    る電源電位抽出手段を具えて構成され、 前記演算手段は、 前記トランジスタがオンになって以後一定時間が経過し
    たことに基づいて同トランジスタが定電流駆動状態にあ
    る旨検出する手段と、 該定電流駆動状態にある旨の検出に基づいて前記抽出さ
    れたベース電位並びに電源電位を読み込み、その都度の
    電源電位に応じたベース電位−温度特性に基づいて同ト
    ランジスタの温度を算出する手段と、 を具えて構成されることを特徴とするエンジンの電子制
    御装置。
  16. 【請求項16】インダクタンス負荷をエンジンの回転に
    同期して駆動するトランジスタと、同トランジスタに接
    続されて前記負荷のオフ時に発生するフライバック電圧
    を消弧するツェナーダイオードとを具えるエンジンの電
    子制御装置であって、 前記インダクタンス負荷の温度を監視する負荷温度監視
    手段と、 該監視される負荷温度に応じてエンジン回転数を制限す
    る回転数制限手段と、 を具えることを特徴とするエンジンの電子制御装置。
  17. 【請求項17】前記回転数制限手段は、エンジンの高速
    回転に伴う燃料カット回転数の判定値を前記監視される
    負荷温度に応じて変更する燃料カット判定値変更手段を
    具えて構成される請求項16記載のエンジンの電子制御
    装置。
  18. 【請求項18】前記回転数制限手段は、エンジンへの燃
    料噴射を前記監視される負荷温度に応じた所定の時間ず
    つ間引きして同エンジンの最高回転数を低下せしめる燃
    料噴射間引き手段を具えて構成される請求項16記載の
    エンジンの電子制御装置。
  19. 【請求項19】前記回転数制限手段は、前記監視される
    負荷温度に応じて決定される数の気筒への燃料噴射を停
    止して同エンジンの最高回転数を低下せしめる減筒制御
    手段を具えて構成される請求項16記載のエンジンの電
    子制御装置。
  20. 【請求項20】前記回転数制限手段は、エンジンへの燃
    料噴射量を前記監視される負荷温度に応じた所定量だけ
    減量して同エンジンの最高回転数を低下せしめる噴射量
    減量手段を具えて構成される請求項16記載のエンジン
    の電子制御装置。
  21. 【請求項21】前記回転数制限手段は、エンジンの吸気
    絞り弁を前記監視される負荷温度に応じた所定量だけ強
    制駆動して同エンジンの最高回転数を低下せしめる吸気
    制限手段を具えて構成される請求項16記載のエンジン
    の電子制御装置。
  22. 【請求項22】前記負荷温度監視手段は、前記インダク
    タンス負荷に配設されてその温度を直接測定する温度測
    定手段を具えて構成される請求項16乃至21の何れか
    に記載のエンジンの電子制御装置。
  23. 【請求項23】前記負荷温度監視手段は、エンジンの冷
    却水温を検出する水温センサと、該検出される冷却水温
    に基づいて前記インダクタンス負荷の温度を推定する推
    定手段とを具えて構成される請求項16乃至21の何れ
    かに記載のエンジンの電子制御装置。
  24. 【請求項24】前記推定手段は、エンジン始動時からの
    累積回転数を演算する演算手段と、該演算された累積回
    転数が所定の値以上となるとき、前記検出される冷却水
    温若しくは同冷却水温に応じたエンジン回転数制限量の
    許容幅を所定に増加補正する補正手段とを具える請求項
    23記載のエンジンの電子制御装置。
  25. 【請求項25】前記推定手段は、エンジンの停止後も、
    イグニションオフとなるまでは前記演算された累積回転
    数を保持する請求項24記載のエンジンの電子制御装
    置。
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