JPH079256Y2 - 磁気ディスク装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、磁気ディスク装置に係り、詳しくは磁気ヘ
ッドが取り付けられるヘッドアームの薄型化を実現し
て、装置の薄型化や記憶容量の増大等を図り得る磁気デ
ィスク装置に関する。

［従来の技術］ 従来、この種の磁気ディスク装置としては、例えば第３
図に示すように、揺動軸１の回りに揺動自在に設けられ
た駆動体２と、この駆動体２と一体に形成されて駆動軸
１の径方向同一の側に突出する複数のヘッドアーム３
と、これらヘッドアーム３の先端部の上下面に取り付け
られてヘッドアーム３の前方に伸びる複数の支持アーム
４と、これら支持アーム４の先端に取り付けられた磁気
ヘッド５と、これら磁気ヘッド５と接するように配設さ
れた複数の磁気ディスク６とを有してなり、上記駆動体
１をモータ等の駆動手段Ａで揺動軸１の回りに揺動させ
るとともに、磁気ディスク６を回転させることにより、
磁気ヘッド５を磁気ディスク６の記録面6a上の任意の位
置に移動させて記録面6aに所定の記録、消去作業を行う
ようにしたものが知られている（実開昭64-12267号）。

ここで、上記支持アーム４は弾性材料を薄板状に形成し
てなるもので、磁気ディスク６の回転に伴って記録面6a
から浮上する磁気ヘッド５を所定の高さに保持するよう
になっている。そして、これら支持アーム４は、それぞ
れの基端部から環状に突出するカシメ部７が各ヘッドア
ーム３のカシメ孔3aに嵌合された後、該カシメ部７の内
周側から径方向に押し広げられてカシメ加工されること
により、各ヘッドアーム３と一体化されている。

また、第４図は、実開昭64-18473号で提案されている他
の磁気ディスク装置を示すもので、この図に示す例は、
支持アーム４が、ヘッドアーム３を先端部を上下に貫い
て螺合されるボルト８及びナット９によって取り付けら
れている点で上述した第３図に示す磁気ディスク装置と
相違する。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、上述した従来の磁気ディスク装置において
は、各磁気ディスク６の間隔を狭くするほど装置全体の
厚さを薄くでき、また、装置全体の厚さの増加を押さえ
つつ磁気ディスク６の枚数を増加させて装置全体の記録
容量を増加させることができることになる。

しかしながら、上述した第３図に示す磁気ディスク装置
では、２つの支持アーム４のカシメ部７がヘッドアーム
３のカシメ孔3a内でその軸方向へ並ぶ構造であるため、
仮にカシメ部７の高さをカシメ加工に必要な最低限に設
定しても、ヘッドアーム３自体はカシメ部７の高さの２
倍以上必要となる。このため、ヘッドアーム３の厚さ
が、その強度を維持するために必要とされる以上に厚く
なり、従って、磁気ヘッド５の間隔、ひいては磁気ディ
スク６の間隔が増加して、思うように装置の薄型化や磁
気ディスク６の枚数の増加を図ることができないという
欠点が生じていた。

また、第４図に示す磁気ディスク装置では、ヘッドアー
ム３自体は薄くなるものの、これらヘッドアーム３の上
下にボルト８及びナット９が突出する構造のために各ヘ
ッドアーム３の間隔を狭めることができず、やはり磁気
ディスク６の間隔を狭めることができない。また、ボル
ト８及びナット９を締め付けるために一定のスペースを
必要とし、一層ヘッドアーム３の間隔が大きくなる傾向
もあった。

この考案は、このような背景の下になされたもので、磁
気ヘッド及び支持アームが取り付けられるヘッドアーム
の間隔を狭めて装置の薄型化や記録容量の増加を図るこ
とができる磁気ディスク装置を提供することを目的とす
る。

［課題を解決するための手段］ 上記課題を解決するためにこの考案の磁気ディスク装置
は、支持アームの基端部とヘッドアームの先端部とをカ
シメ加工によって一体化する構造の磁気ディスク装置に
おいて、ヘッドアームに形成された一のカシメ孔に挿入
される一対の支持アームのうち、いずれか一方の支持ア
ームのカシメ部を、他方の支持アームのカシメ部の内周
側に嵌合可能な大きさに形成したものである。

［作用］ 上記構成によれば、一対の支持アームの各カシメ部をヘ
ッドアームのカシメ孔の両端から挿入したときに、一方
の支持アームのカシメ部が他方のカシメ部の内周側に嵌
合して重なり合うから、これらカシメ部の高さを従来と
同一に設定した場合に、ヘッドアームのカシメ孔の長さ
は従来のほぼ1/2程度で足りる。このため、ヘッドアー
ムの厚さを薄くして、該ヘッドアームを挟み込むように
配置される磁気ディスクの間隔を狭めることができる。

［実施例］ 以下、第１図及び第２図を参照して、本考案の一実施例
を説明する。なお、上述した従来例と同一の構成要素に
は同一符号を付し、その説明を省略する。

第１図に示すように、本実施例の磁気ディスク装置は、
上述した第３図に示す従来例と同様に、駆動手段Ａで揺
動軸１の軸線回りに揺動せしめられる駆動体２に複数の
ヘッドアーム３が一体成形され、これらヘッドアーム３
の先端部の上下面に一対の支持アーム10、11が取り付け
られ、これら支持アーム10、11の先端部に磁気ヘッド５
が取り付けられ、これら磁気ヘッド５と接するように磁
気ディスク６が配設されてなるものである。

ここで、上記一対の支持アーム10、11は、弾性材料を薄
板状に成形してなるもので、それぞれの基端部には、当
該支持アーム10、11をヘッドアーム３のカシメ孔3aに取
り付けるための取付部12、13が接合されている。

第２図に示すように、これら取付部12、13のうち、ヘッ
ドアーム３の上面側に取り付けられる一方の支持アーム
10の取付部12は、ヘッドアーム３のカシメ孔3aよりも小
径の環状のカシメ部14を有しており、その中心部には、
当該カシメ部14を貫く中心孔14aが形成されている。

これに対して、上記ヘッドアーム３の下面側に取り付け
られる他方の支持アーム11の取付部13は、ヘッドアーム
３のカシメ孔3aとほぼ同一径をなす環状のカシメ部15を
有しており、その中心部には、上記一方のカシメ部14よ
りも僅かに大径の中心孔15aが形成されている。

このように構成された支持アーム10、11は、それぞれの
カシメ部14、15が、ヘッドアーム３のカシメ孔3aにその
両端側から挿入されることによってヘッドアーム３の先
端部の所定位置に位置決めされ、このとき、他方の支持
アーム11のカシメ部15はカシメ孔3aと嵌合し、また一方
の支持アーム10のカシメ部14は他方の支持アーム11のカ
シメ部15の中心孔15aと嵌合する。

そして、このように各支持アーム10、11のカシメ部14、
15が互いに重ね合わされた状態で、カシメ部14の中心孔
14aには、その両端側から所定のカシメ工具（図示略）
が挿入され、このカシメ工具でカシメ部14が径方向外方
に押し広げられることにより、カシメ部14、15がカシメ
孔3aに対してカシメ加工されて各支持アーム10、11がヘ
ッドアーム３に固定される。

以上説明したように、本実施例の磁気ディスク装置によ
れば、ヘッドアーム３の上下に取り付けられる一対の支
持アーム10、11のカシメ部14、15が互いに重なり合う構
造であるため、仮に、これらカシメ部14、15をカシメ加
工に必要な最小限の高さに形成したとすれば、カシメ孔
3aの長さは、上述した第３図に示す従来の磁気ディスク
装置と比較してほぼ1/2程度で足り、従って、ヘッドア
ーム３の揺動軸方向の厚さもほぼ1/2程度に圧縮でき
る。このため、これらヘッドアーム３を上下に挟み込む
ようにして配設される磁気ディスク６の間隔をも大幅に
狭めることができ、この結果、装置全体の厚さを大幅に
薄くできることになる。また、装置全体の厚さを変化さ
せない場合には、磁気ディスク６の間隔を狭めることに
よって、装着し得る磁気ディスク６の枚数を増加させ、
これにより装置全体の記録容量を大幅に増大させること
が可能である。

さらに、装置全体の厚さ及び磁気ディスク６の枚数を同
一とする場合には、各磁気ディスク６の記録面6aとヘッ
ドアーム３の上下面との間の距離が大きくなるので支持
アーム10、11への磁気ヘッド５の取り付け作業を容易に
行うことができるという効果が得られる。また、ヘッド
アーム３の薄型化によって駆動体２から磁気ヘッド５に
かけての揺動部分の重量が軽くなるので、ヘッドアーム
３の揺動時にこれらに加わる慣性が小さくなり、この結
果、磁気ヘッド５をより高速に、かつ精度良く駆動でき
るという効果をも得られる。

なお、本実施例で示した構成はあくまで本考案の一例を
示すものであり、駆動体２やヘッドアーム３の形状、あ
るいは磁気ヘッド５の取り付け位置等は使用される装置
全体の構造に応じて適宜変更されるものである。

［考案の効果］ 以上説明したように、この考案は、ヘッドアームを挟み
込むように取り付けられる支持アームのうち、一方の支
持アームのカシメ部を他方の支持アームのカシメ部の内
周側に嵌合可能な大きさに形成したため、これら各支持
アームをヘッドアームにカシメ加工によって取り付ける
際に、各支持アームのカシメ部を互いに重ね合わせるこ
とによって、ヘッドアームの厚さを従来のほぼ1/2程度
まで薄くできる。

このため、本考案の磁気ディスク装置によれば、磁気デ
ィスクの間隔を狭めて装置の大幅な薄型化を図ることが
でき、また、装置の厚さを維持しつつ磁気ディスクの装
着枚数を増加させて装置全体の記録容量を増加させるこ
とができるという優れた効果を奏する。

また、ヘッドアームを薄くすることによって、これらヘ
ッドアームと磁気ディスクとの間の隙間が大きくなるの
で、磁気ヘッドの支持アームへの取付作業を容易に行う
ことができ、さらには、ヘッドアームの薄型化に伴って
装置の揺動部分の重量が軽くなるので、これらに加わる
慣性が軽減されて、この結果、装置を高速かつ高精度に
駆動できるという効果をも奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示すもので、第
１図は磁気ディスク装置の主要部の構成を示す断面図、
第２図はヘッドアームと支持アームとの接合部分を拡大
した断面図、 第３図は従来の磁気ディスク装置の主要部を示す断面
図、第４図は従来の磁気ディスク装置の他の例における
主要部を示す断面図である。 ３……ヘッドアーム、3a……カシメ孔、５……磁気ヘッ
ド、６……磁気ディスク、10・11……支持アーム、14・
15……カシメ部、Ａ……駆動手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】駆動手段によって揺動せしめられる複数の
   ヘッドアームの先端部に、該ヘッドアームの前方へ伸び
   る一対の支持アームが上記ヘッドアームをその揺動軸方
   向に挟み込むように取り付けられ、これら支持アームの
   先端部に磁気ヘッドが取り付けられ、これら磁気ヘッド
   と対向する位置に複数の磁気ディスクが配設されてな
   り、上記各支持アームは、それぞれの基端部から突出す
   る環状のカシメ部が、上記ヘッドアームの先端部に設け
   られたカシメ孔に挿入された上でカシメ加工されること
   によって、上記ヘッドアームと一体化されてなる磁気デ
   ィスク装置において、 上記一のカシメ孔に挿入される上記一対の支持アームの
   うち、いずれか一方の支持アームのカシメ部を、他方の
   支持アームのカシメ部の内周側に嵌合可能な大きさに形
   成したことを特徴とする磁気ディスク装置。