JPH0741641Y2 - シートベルト付きシート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は例えば自動車の前部座席等に適用して好適なシ
ートベルト付きシートに関し、更に詳細に説明すると、
シートベルトの巻取り用リトラクタがシートの一部に付
設されると共に、シートバック上端側のベルトボックス
のベルト引出し口よりベルトガイドを介してシート前方
に引出されるシートベルトに、シートクッションの一側
部に設けられるバックルに選択的に係止されるタングが
挿通され、且つ該シートベルトの先端がシートクッショ
ンの他側部に設けられるベルト取付け部に連結されてい
るシートベルト付きシートの改良に関する。

〔従来の技術〕

従来から車両等のシートにシートベルトを付設し、車両
等の衝突等の際に乗員を拘束保護しようとすることが一
般に行なわれている。この種のシートベルト装置として
従来一般には、車両のピラー及び床等にアンカーを固着
し、このアンカーにシートベルト端部を連結していた。
このため、車両の前後スライド移動調節やリクライニン
グ装置による前後傾動調節を行なう場合に複雑な機構を
付設しなければならず、コスト高を招いてしまうもので
あり、また乗員の体格や好みに応じて運転姿勢を簡易に
変更することができず、シートベルトの乗員に対する角
度や位置が変化し、乗員を最適な状態で拘束保護するこ
とができないものであった。

また、近年このような不具合を解決するために、シート
ベルトをシートに組込んでなる、いわゆるビルトイン型
のシートベルト装置が、例えば特開昭60−92945号公報
や実公昭55−30756号公報、実開昭53−109233号公報等
により従来既に提案されている。この種のシートベルト
装置は、第５図及び第６図に示すように、車両用シート
１を構成するシートクッション２またはシートバック３
の一部に、シートベルト６の巻取り装置としての緊急時
自動ロック型のリトラクタ５を収納して配設しており、
このリトラクタ５に一端6aが固着されて巻取られている
シートベルト６を、シートバック３上端側でヘッドレス
ト４の一側部等に設けたベルトガイド８のベルト引出し
口8aからシートバック３の前方に引出し、且つシートベ
ルト６の他端（先端）6bをシートクッション２の一側部
に固着し、シートベルト６に挿通されたタング９をシー
トクッション２の他側部に設けたバックル10に差し込ん
で係止させることにより、第５図中想像線で示すよう
に、肩ベルト6Aと腰ベルト6Bとを形成し得るようになさ
れている。

〔考案が解決しようとする課題〕

然し乍ら、上述した従来のシートベルト装置では、シー
トベルト６を引出し可能に保持する等の理由からシート
バック３にある程度の剛性が必要で、そのシートフレー
ムやデバイス等が複雑且つ高価となり、大型化し易いと
いう問題をもち、更にシートベルト６が常時はシートバ
ック３の着座面に密着した状態で垂れ下っていることか
ら、シートベルト６の装着時の操作性や装着性が悪い等
といった問題もあり、このような問題点を解決すること
が望まれている。

特に、上述した従来装置では、着座者の拘束保護を目的
として、シートベルト６を着座者に密着させて装着し得
るように構成することが一般的であり、この場合に着座
者の不用意な動きや振動等に伴う動きによってベルト６
に引張り力が作用すると、緊急時に自動的にロック力を
作用させる巻取り用リトラクタ５が働き、ベルト６かロ
ックしてしまい、着座者に圧迫感が作用し、装着性の面
で問題であるという不具合があり、実用上で問題のない
程度の小さい動きに対してはロック状態が生じないよう
な何らかの対策を講じることが望まれている。

本考案はこのような点に鑑みてなされたもので、シート
ベルトの装着性を向上させ得ると共に、装着時における
操作性をも配慮し、シートベルトとしての機能を発揮さ
せ得るようにしたシートベルト付きシートを得ることを
目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

このような要請に応えるために本考案に係るシートベル
ト付きシートは、シートバック上端側でのベルトボック
スのベルト引出し口に近接する部分に、ベルト挿通口部
分を対向させたベルトガイドを上下動可能に配設し、前
記ベルトガイドの下方への延設端に上下方向に延びる長
溝を形成し、該長溝にシートバックフレームの下部横ロ
ッドを挿通し、前記バックルをシートクッションフレー
ムに前後回動可能に取付け、前記バックルの前後動に連
動して揺動可能な揺動レバーの前端を前記バックル側に
設けた支軸に枢支し、前記揺動レバーの他端を前記シー
トバックフレームの下部横ロッドと平行する支持シャフ
トの一端に取付け、該支持シャフトの他端を前記ベルト
ガイドに取付け、前記ベルトガイドを、前記シートベル
ト側のタングが着脱可能に組付けられるバックルへのベ
ルト装着の有無により上下動させ、前記ベルトガイドの
ベルト挿通口部分でのシートベルトへの摩擦力を増減さ
せるように構成したことを特徴とする。

〔作用〕

本考案によれば、常時はベルトガイドのベルト挿通口部
分をシートバック上端側のシートベルト引出し口と対向
させ、ベルトガイドによるシートベルトへの摩擦力を必
要最小限とし、ベルトの引出しを小さい力で容易に行な
えるようにし、装着時の操作性を確保すると共に、シー
トベルト側のタングを、バックルに組付けた装着時に
は、このバックルへのベルトの作用力によって後方に揺
動される揺動レバー及び下方に揺動される支持シャフト
によりベルトガイドを下方に移動させ、ベルトガイドの
ベルト挿通口とベルト引出口とに位置ずれを生じさせ、
シートベルトへの摩擦力を増大させ、着座者の多少の動
きや振動等によっては巻取り用リトラクタ側でのロック
状態は働かず、着座者にとっての圧迫感を軽減し、装着
性を向上させ得るものである。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳細に説明
する。

第１図乃至第４図は本考案に係るシートベルト付きシー
トの一実施例を示すものであり、これらの図において、
上述した第５図及び第６図と同一または相当する部分に
は同一番号を付してその説明は省略する。

さて、本考案によれば、上述したシートベルト付きの車
両用シート１において、第１図及び第２図から明らかな
ように、シートクッション２の一側部側のバックル10に
タング９を介して選択的に係止されるシートベルト６の
シートバック３上端側に設けられるリトラクタ５等を有
するベルトボックス20のベルト引出し口20aに近接する
部分に、ベルト挿通口8aを有するベルトガイド８を上下
動可能に配設すると共に、このベルトガイド８を、シー
トベルト６側のタング９が着脱可能に組付けられるバッ
クル10へのシートベルト６の装着の有無により上下動さ
せ、このベルトガイド８のベルト挿通口8a部分でのベル
ト６への摩擦力を増減させるように構成したところに特
徴を有している。

これを詳述すると、ベルトガイド８は、第１図及び第２
図に示されるように、下方への延設端8b部分に上下方向
に延びる長溝8cが形成され、シートバックフレーム3a
（またはこのフレーム3aに付設される横ロッド部等）が
前記長溝8cに挿通されて、ベルトガイド８が上下動可能
な状態で連結されている。

前記バックル10はシートクッションフレーム2aに前後回
動可能に取付けられ、前記バックル10の前後動に連動し
て揺動可能な揺動レバー22の前端が前記バックル10側に
設けた支軸23に枢支され、前記揺動レバー22の他端が前
記シートバックフレーム3a等の下部横ロッドと平行する
支持シャフト21の一端に取付けられている。

前記支持シャフト21の他端は前記ベルトガイド８の延設
端8bに取付けられている。前記シートベルト６側のタン
グ９を着脱可能に組付けられるバックル10へのベルト装
着の有無によりベルトガイド８を上下動させ、前記ベル
トガイド８のベルト挿通口8a部分でのシートベルト６へ
の摩擦力を増減させ得るように構成されている。

尚、この揺動レバー22は、前記シートバックフレーム3a
を円弧溝22aに係入させることで前後動を上下動に変換
すると共に揺動量が制限されている。

そして、このような構成において、前記バックル10は、
ベルト６の非装着時には第１図中矢印Ａ方向に図示しな
い付勢手段等により移動しており、これにより揺動レバ
ー22及びベルトガイド８も、図中矢印Ａ方向に移動して
おり、このときには、第３図に示すように、ベルトガイ
ド８のベルト挿通口8aによるシートベルト６への摩擦力
を必要最小限とし、ベルト６の引出しを小さい力で容易
に行なえるようにし、装着時の操作性を確保し得るもの
である。

また、シートベルト６側のタング９を、バックル10に組
付けた装着時には、図中矢印Ｂ方向に働くバックル10へ
のベルト６の作用力によって、上述した揺動レバー22及
びベルトガイド８も図中矢印Ｂ方向に夫々可動され、そ
の結果第４図に示すようにベルトガイド８のベルト挿通
口8aがボックス20側の引出し口20aよりも下降して位置
ずれを生じ、これによりシートベルト６への摩擦力を増
大させ得るものである。

そして、この状態では、着座者の多少の動きや振動等に
よっては巻取り用リトラクタ５側でのロック動作は働か
ず、その反応を緩和することで、着座者にとっての圧迫
感を軽減し、装着性を向上させ得るものである。

尚、本考案は上述した実施例構造に限定されず、各部の
形状、構造等を、必要に応じて適宜変形、変更すること
は自由であり、シートベルト６やその巻取り用リトラク
タ５を始めとして、本考案を特徴づけるベルトガイド８
やリトラクタ５を有するベルトボックス20等としても種
々の変形例が考えられることは言うまでもない。勿論、
上述したボックス20内にリトラクタ５を必ず設ける必要
はない。さらに、バックル10の動きをベルトガイド８に
伝達する機構としても種々の変形例が考えられよう。

また、本考案は上述したような車両用シートに限定され
ず、これに類する構成が必要とされるシートであれば適
用して効果を発揮し得るものである。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係るシートベルト付きシー
トによれば、シートバック上端側でのベルトボックスの
ベルト引出し口に近接する部分に、ベルト挿通口部分を
対向させたベルトガイドを上下動可能に配設し、前記ベ
ルトガイドの下方への延設端に上下方向に延びる長溝を
形成し、該長溝にシートバックフレームの下部横ロッド
を挿通し、前記バックルをシートクッションフレームに
前後回動可能に取付け、前記バックルの前後動に連動し
て揺動可能な揺動レバーの前端を前記バックル側に設け
た支軸に枢支し、前記揺動レバーの他端を前記シートバ
ックフレームの下部横ロッドと平行する支持シャフトの
一端に取付け、該支持シャフトの他端を前記ベルトガイ
ドに取付け、前記ベルトガイドを、前記シートベルト側
のタングが着脱可能に組付けられるバックルへのベルト
装着の有無により上下動させ、前記ベルトガイドのベル
ト挿通口部分でのシートベルトへの摩擦力を増減させる
ように構成したので、簡単な構成にもかかわらず、常時
はベルトガイドによるシートベルトへの摩擦力を必要最
小限とし、ベルトの引出しを小さい力で容易に行なえる
ようにし、装着時の操作性を確保すると共に、シートベ
ルト側のタングを、バックルに組付けた装着時には、こ
のバックルへのベルトの作用力によって可動されるベル
トガイドによってシートベルトへの摩擦力を増大させ、
着座者の多少の動きや振動等によっては巻取り用リトラ
クタ側でのロック状態は働かず、着座者にとっての圧迫
感を軽減し、装着性を向上させることができ、シートベ
ルトとしての機能を発揮させ得るという実用上種々優れ
た効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るシートベルト付きシートの一実施
例を示す要部構成の概略斜視図、第２図はそのシートフ
レーム構成を示す概略斜視図、第３図及び第４図はその
動作状態を説明するための概略図、第５図及び第６図は
従来例を説明する概略斜視図及び概略側面図である。 図中、１……シートベルト付きの車両用シート、２……
シートクッション、３……シートバック、５……シート
ベルト巻取り用リトラクタ、６……シートベルト、6b…
…シートベルト先端（他端）、８……ベルトガイド、8a
……ベルト挿通口（ベルト引出し口）、９……タング、
10……バックル、20……ベルトボックス、20a……ベル
ト引出し口、21……支持シャフト、22……揺動レバー、
23……支軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートベルトの巻取り用リトラクタがシー
   トの一部に付設されると共に、シートバック上端側のベ
   ルトボックスのベルト引出し口よりベルトガイドを介し
   てシート前方に引出されるシートベルトに、シートクッ
   ションの一側部に設けられるバックルに選択的に係止さ
   れるタングが挿通され、且つ該シートベルトの先端が前
   記シートクッションの他側部に設けられるベルト取付け
   部に連結されているシートベルト付きシートにおいて、 前記シートバック上端側でのベルトボックスのベルト引
   出し口に近接する部分に、ベルト挿通口部分を対向させ
   たベルトガイドを上下動可能に配設し、前記ベルトガイ
   ドの下方への延設端に上下方向に延びる長溝を形成し、
   該長溝にシートバックフレームの下部横ロッドを挿通
   し、前記バックルをシートクッションフレームに前後回
   動可能に取付け、前記バックルの前後動に連動して揺動
   可能な揺動レバーの前端を前記バックル側に設けた支軸
   に枢支し、前記揺動レバーの他端を前記シートバックフ
   レームの下部横ロッドと平行する支持シャフトの一端に
   取付け、該支持シャフトの他端を前記ベルトガイドに取
   付け、前記ベルトガイドを、前記シートベルト側のタン
   グが着脱可能に組付けられるバックルへのベルト装着の
   有無により上下動させ、前記ベルトガイドのベルト挿通
   口部分でのシートベルトへの摩擦力を増減させるように
   構成したことを特徴とするシートベルト付きシート。