JPH07307502A - 磁気センサとそれを用いた磁気記録再生ヘッドおよび磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気センサとそれを用いた磁気記録再生ヘッドおよび磁気記録再生装置

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JPH07307502A
JPH07307502A JP7052618A JP5261895A JPH07307502A JP H07307502 A JPH07307502 A JP H07307502A JP 7052618 A JP7052618 A JP 7052618A JP 5261895 A JP5261895 A JP 5261895A JP H07307502 A JPH07307502 A JP H07307502A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トラック幅を正確に規定することができ、し
かも感度が高く、バルクハウゼンノイズの少ない信頼性
に優れた磁気センサを提供する。 【構成】 信号磁界方向と略直交しかつ互いに実質的に
同一となる方向に面内磁化された一対の硬質磁性膜2
3、23と、これら一対の硬質磁性膜23、23と同一
面内に形成され、かつ一対の硬質磁性膜23、23間に
これらと接触または近接するように配置された軟磁性膜
22と、軟磁性膜22の主面上に積層された信号磁界検
出膜21とを具備する磁気センサである。この磁気セン
サはMRヘッドとして磁気再生ヘッド等に利用される。
この再生ヘッドを用いた磁気記録再生ヘッドは、上記再
生ヘッドと、記録ギャップを介して配置された上下一対
の磁極層を有し、再生ヘッドの再生トラック幅と同等も
しくはそれより狭い記録トラック幅を有する記録ヘッド
とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気抵抗効果を利用し
た磁気センサと、それを用いた磁気記録再生ヘッドおよ
び磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、磁気記録媒体に記録された信
号を読み出す方法としては、コイルを有する磁気センサ
としての読取り用磁気ヘッドを磁気記録媒体に対して相
対的に移動させ、そのときに発生する電磁誘導によりコ
イルに誘起される電圧を検出する方法が広く知られてい
る。
【0003】一方、ある種の強磁性体の電気抵抗が外部
磁界の強さに応じて変化するという現象を利用した磁気
抵抗効果(以下、MRと記す)ヘッドが、磁気記録媒体
の信号磁界を検出する際の高感度ヘッドとして知られて
いる。近年、磁気記録媒体の小型・大容量化が進めら
れ、読取り用磁気ヘッドと磁気記録媒体との相対速度が
小さくなってきていることから、小さな相対速度であっ
ても大きな出力が取り出せるMRヘッドへの期待が高ま
っている。
【0004】MRヘッドを磁気再生ヘッドとして実際に
用いる場合、通常 2種類のバイアス磁界をMR素子に印
加する必要がある。その 1つは、MR素子の抵抗変化を
検出するセンス電流と略直交する方向に印加する横バイ
アスと呼ばれている磁界である。これは、MR素子の動
作点を外部信号の大きさと検出信号の大きさとが比例す
る線形領域に設定するためのバイアス磁界である。具体
的な横バイアスの印加方法としては、薄い非磁性膜を介
してMR膜と軟磁性膜とを併置し、センス電流による磁
界を横バイアスとする自己バイアス方式や、シャントバ
イアス方式等が一般的である。一方、MR素子に印加す
べきもう 1つのバイアス磁界は、MR素子のセンス電流
に略平行に印加する縦バイアスと呼ばれる磁界である。
これは、強磁性膜であるMR膜を単磁区化することで、
多磁区性に起因するバルクハウゼンノイズの発生を抑制
するバイアス磁界である。
【0005】上述したような縦バイアスの印加方法につ
いても従来数多く報告されている。例えば、USP4,663,6
85号には反強磁性膜と強磁性膜との交換結合によって、
MR膜に均一な縦バイアスを印加する技術が示されてい
る。図18は、反強磁性膜を用いてMR膜に縦バイアス
を印加したMR素子の構造例を示す斜視図である。図示
される通り、このようなMR素子においては、信号磁界
検出膜1となるMR膜のトラック幅方向両端部上、例え
ばセンス電流を供給するための端子2、2との間に反強
磁性膜3、3が形成される。なお図18で、MR膜は非
磁性膜4を介して軟磁性膜5と対向するように基板6上
に形成されており、センス電流による磁界が横バイアス
としてMR膜に印加される。
【0006】しかしながら、図18に示した素子構造で
は、信号磁界検出膜1となるMR膜の両端部の磁化が固
着されて軟磁気特性が損われることがない程度に、反強
磁性膜3、3との交換結合力を抑制することが難しいと
いう問題がある。また、MR膜の両端部の磁化が完全に
固着されないまでも、少なくともMR膜の両端部と中央
部で軟磁気特性に差異が生じてしまうため、磁気再生ヘ
ッドに適用する場合にトラック幅を正確に規定すること
が困難となってしまう。しかも、反強磁性膜3として通
常用いられるγ-FeMn は、耐食性が不十分であるため
に、保護膜等を形成する必要があり、製造プロセスが複
雑化するという問題も有している。
【0007】一方、USP3,840,898号には、強磁性膜間の
静磁的な結合によってMR膜に縦バイアスを印加するM
R素子が記載されている。図19に、このようなMR素
子の構造例の斜視図を示す。図示される通り、このMR
素子では基板6上で信号磁界検出膜1となるMR膜が薄
い非磁性膜7を介して硬質磁性膜8と対向配置されてい
る。センス電流を供給するための端子2、2は、硬質磁
性膜8のトラック幅方向両端部上に形成される。この構
造では、硬質磁性膜8の例えば六方晶c軸が膜面垂直方
向に揺らぎながら面内配向するため、膜面垂直方向成分
を有する磁化M1 が硬質磁性膜8内に生じる。従って、
硬質磁性膜8のトラック幅方向両端部からのバイアス磁
界M2 のみならず、硬質磁性膜8の中央付近での漏洩磁
界M3 が非磁性膜7を通してMR膜に印加される。その
結果として、信号磁界検出膜1となるMR膜の軟磁気特
性が損われ、MR素子の感度低下を招くことになる。
【0008】また、上記したようにMR膜の中央付近に
縦バイアスが印加されると、MR膜の軟磁気特性が損わ
れることから、MR膜のトラック幅方向両端部付近のみ
に硬質磁性膜を形成して縦バイアスを印加する構造も提
案されている。特に、特開平5-89435号公報や特開平3-1
08112号公報等では、MR膜や横バイアス印加用の軟磁
性膜のトラック幅方向両端部を硬質化して縦バイアス印
加用の硬質磁性膜とすることで、MR素子の製造プロセ
スの簡略化が試みられている。ここで、図20および図
21に、特開平 5-89435号公報、特開平3-108112号公報
に記載されたMR素子の構造例の斜視図を示す。
【0009】図20に示されるMR素子は、基板6上に
MR膜を形成した後、MR膜の両端部に所望の不純物成
分を混入させて、両端部のみを硬質化している。この硬
質化した領域が硬質磁性膜3、3として機能し、その間
の部分が信号磁界検出膜1として機能する。硬質磁性膜
3、3として機能する硬質化領域からの磁界が縦バイア
スとして信号磁界検出膜1となるMR膜に印加される。
センス電流を供給するための端子2、2は、硬質磁性膜
3、3上に設けられている。一方、図21に示されるM
R素子においては、基板6上に信号磁界検出膜1となる
MR膜、非磁性膜9および軟磁性アモルファス膜を順次
積層形成し、軟磁性アモルファス膜のトラック幅方向両
端部をレーザー光照射で結晶化している。そして、軟磁
性アモルファス膜の中央部を横バイアス印加用の軟磁性
膜10として機能させ、結晶化した両端部を縦バイアス
印加用の硬質磁性膜3、3として機能させている。セン
ス電流を供給するための端子2、2は、硬質磁性膜3、
3上に設けられている。
【0010】しかしながら、図20に示したMR素子の
場合、信号磁界検出膜1であるMR膜の両端部近傍の磁
化がやはり固着されやすい。その結果、MR膜のトラッ
ク幅方向全域を信号磁界感磁部とすることができず、ト
ラック幅を正確には規定しにくいという問題を有してい
る。しかも、不純物成分の混入で硬質化が可能な強磁性
体をMR膜に用いなければならないため、材料選択上の
制約が大きく、軟磁気特性が良好でかつ十分な抵抗変化
率を有する強磁性体をMR膜として使用することができ
ない。また、図21に示したMR素子では、硬質磁性膜
3、3の端部に形成される磁極によって、信号磁界検出
膜1であるMR膜のトラック幅方向両端部に中央部とは
反対方向の磁界が印加される。このため、MR膜を単磁
区化することが困難となり、MR素子のバルクハウゼン
ノイズを十分に抑えることができない。また、硬質磁性
膜3、3の端部に形成される磁極は、信号磁界検出膜1
のトラック幅を不明確にする要因ともなっている。
【0011】さらに、特開平4-358310号公報には、巨大
磁気抵抗効果を示すスピンバルブ膜を具備するMR素子
に対して、硬質磁性膜を用いて信号磁界検出膜となる強
磁性膜に縦バイアスを印加した例が記載されている。図
22に、このような従来のMR素子の構造例の斜視図を
示す。図示される通り、このMR素子は基板6上に信号
磁界検出膜1となる強磁性膜が形成され、この強磁性膜
のトラック幅方向中央部に非磁性膜11および強磁性膜
12が順次積層されると共に、強磁性膜12の磁化がト
ラック幅方向と略直交する方向に固着されて、スピンバ
ルブ膜13が構成されている。信号磁界検出膜1となる
強磁性膜のトラック幅方向両端部上には、縦バイアス印
加用の硬質磁性膜3、3とセンス電流を供給するための
端子2、2がそれぞれ設けられている。
【0012】しかしながら、上述したMR素子では、硬
質磁性膜3、3の直下およびその近傍で信号磁界検出膜
1となる強磁性膜の磁化が固着されやすいため、信号磁
界検出膜1のトラック幅方向全域を信号磁界感磁部とす
ることができない。従って、トラック幅を正確に規定す
ることができないという問題を有している。さらに、硬
質磁性膜3、3からの磁界が強磁性膜12にも印加され
るので、強磁性膜12の磁化方向の制御も困難となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、磁気
抵抗効果を示す信号磁界検出膜を具備する磁気センサを
例えば磁気再生ヘッドとして用いる場合、従来の縦バイ
アスの印加方法を適用したMR素子では、トラック幅の
正確な規定が困難となる点や感度低下を招く点で素子構
造上の問題があった。このような問題は、記録密度の向
上を図るために狭トラック化した場合に顕著となる。
【0014】また、上述したような磁気再生ヘッドの不
明確なトラック幅は、磁気記録再生ヘッドに用いられる
場合に以下に示すような問題の発生原因ともなってい
る。すなわち、シールド型MRヘッドを再生ヘッドとし
て用いた磁気記録再生ヘッドとしては、例えば図23に
示すような構造が一般的に用いられている。図示される
通り、下部シールド層14上に磁気ギャップ15を介し
て信号磁界検出膜1となるMR膜とセンス電流を供給す
るための端子2、2が形成されている。これらMR膜お
よび端子2、2上には、磁気ギャップ16を介して上部
シールド層17が形成されており、これらによって磁気
抵抗効果を利用した再生ヘッドが構成されている。上部
シールド層17は、記録ヘッドの下側磁極層を兼ねるた
め、その上に記録ギャップ18を介して上側磁極層19
が形成されている。
【0015】そして、従来の磁気記録再生ヘッドにおい
ては、再生ヘッドのトラック幅を正確に規定できず、例
えば磁気記録再生装置においてサーボによる再生ヘッド
の位置決め精度が不十分となることから、一般に記録ヘ
ッド側のトラック幅を再生ヘッドのそれより広く設定し
ている。このとき、図23に示すような従来の磁気記録
再生ヘッドでは、再生ヘッド側の端子2、2による段差
が記録ギャップ18に反映する。このため、トラック幅
を広く設定した記録ヘッドのギャップは直線性が悪くな
り、再生時にアジマスロスが発生することになる。この
ように、磁気再生ヘッドの不明確なトラック幅は、再生
時のアジマスロスの発生原因となっている。
【0016】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、トラック幅を正確に規定することが
でき、しかも感度が高く、バルクハウゼンノイズの少な
い信頼性に優れた磁気センサを提供することを目的とし
ている。また、本発明の他の目的は、アジマスロス等の
発生を抑制することによって、高記録密度システムに対
応し得る記録・再生特性を得ることが可能な磁気記録再
生ヘッドおよび磁気記録再生装置を提供することにあ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気センサは、
信号磁界方向と略直交しかつ互いに実質的に同一となる
方向に面内磁化された一対の硬質磁性膜と、前記一対の
硬質磁性膜と同一面内に形成され、かつ前記一対の硬質
磁性膜間にこれらと接触または近接するように配置され
た軟磁性膜と、前記軟磁性膜の主面上に積層された信号
磁界検出膜とを具備することを特徴としている。
【0018】本発明の磁気記録再生ヘッドは、上記本発
明の磁気センサを用いた再生ヘッドと、記録ギャップを
介して配置された上下一対の磁極層を有し前記再生ヘッ
ドの再生トラック幅と同等もしくはそれより狭い記録ト
ラック幅を有する記録ヘッドとを具備することを特徴と
している。
【0019】本発明の磁気記録再生装置は、上記本発明
の磁気記録再生ヘッドと、磁気記録媒体とを具備し、前
記磁気記録再生ヘッドの再生トラック幅をL1 、前記磁
気記録媒体に前記記録ヘッドにより書込まれたトラック
の幅をL2 、このトラックと隣接する両隣のトラック端
間の距離をL3 としたとき、L2 ≦L1 <L3 を満足す
ることを特徴としている。
【0020】ここで、本発明の磁気センサにおける信号
磁界検出膜としては、異方性磁気抵抗効果を示す磁気抵
抗効果膜(以下、AMR膜と記す)や、人工格子膜やス
ピンバルブ膜等の巨大磁気抵抗効果(GMR)を示す磁
気抵抗効果素子の一部を成す強磁性膜(以下、GMR強
磁性膜と記す)が例示される。
【0021】
【作用】上述した構成としたことによって、本発明の磁
気センサでは信号磁界が零の状態で軟磁性膜の磁化方向
がトラック幅方向と略平行となるように抑制され、さら
に軟磁性膜と信号磁界検出膜との交換結合により、信号
磁界検出膜に対してトラック幅方向と略平行方向に縦バ
イアスが印加される。このとき、本発明においては、硬
質磁性膜からの磁界が軟磁性膜を介して間接的に信号磁
界検出膜に縦バイアスとして印加されるため、少なくと
も軟磁性膜の上方では信号磁界検出膜の軟磁気特性が損
われることはない。しかも、信号磁界検出時には信号磁
界検出膜の磁化のみならず軟磁性膜の磁化も信号磁界に
応答するので、得られる磁気センサの特性長を長くで
き、結果的に信号磁界検出膜の軟磁気特性は非常に優れ
たものとなる。
【0022】さらに、一対の硬質磁性膜とこれら一対の
硬質磁性膜間に配置された軟磁性膜とが同一平面内に存
在するため、硬質磁性膜からの磁界は軟磁性膜に効率よ
く印加される。また、軟磁性膜が硬質磁性膜と接触また
は近接するように配置されているので、硬質磁性膜から
の磁界の信号磁界検出膜等への漏洩もほとんど問題とな
ることがない。従って、軟磁性膜の上方においては、硬
質磁性膜から信号磁界検出膜に直接印加される磁界が著
しく抑制され、例えば軟磁性膜上に一対の硬質磁性膜間
の距離以下の幅で積層された信号磁界検出膜の磁化がト
ラック幅方向両端部で固着されるおそれ等が非常に少な
い。この結果、軟磁性膜の上方における信号磁界検出膜
のトラック幅方向全域が信号磁界感磁部となり、信号磁
界検出膜のトラック幅方向の長さ、あるいは一対の硬質
磁性膜間の距離でトラック幅を正確に規定することがで
きる。より詳しくは、一対の硬質磁性膜間の距離が信号
磁界検出膜のトラック幅方向の長さ以上だと、信号磁界
検出膜のトラック幅方向の長さが実質的なトラック幅と
なり、信号磁界検出膜のトラック幅方向の長さ以下だ
と、一対の硬質磁性膜間の距離が実質的なトラック幅に
相当する。
【0023】上述したように、本発明の磁気センサは信
号磁界検出膜のトラック幅方向の長さ、あるいは一対の
硬質磁性膜間の距離で再生トラック幅が正確に規定され
得る。従って本発明では、このような磁気抵抗効果を利
用した磁気センサを磁気再生ヘッドとして用いることに
よって、磁気記録媒体に書込まれた(記録)トラックに
対する磁気再生ヘッドの位置決め精度が向上し、磁気記
録ヘッド側のトラック幅を狭くしても、上記磁気再生ヘ
ッドにより正確に再生することができる。すなわち、本
発明の磁気記録再生ヘッドおよび磁気記録再生装置にお
いては、上記したような狭いトラック幅の記録ヘッド
と、広いトラック幅の再生ヘッドによっても、良好な記
録・再生特性を得ることが可能となる。さらにこれによ
り、記録トラック幅を決定する磁極層、例えば上側磁極
層の幅を記録ギャップの直線性を低下させない程度に狭
くすることができる。従って、記録ギャップの直線性の
低下によるアジマスロスの発生を防止することが可能と
なる。
【0024】なお、上記したような本発明の磁気センサ
が磁気再生ヘッドとして用いられる磁気記録再生装置に
おいては、磁気記録媒体は面内磁気記録媒体、垂直磁気
記録媒体のいずれであってもよく、また記録再生時に磁
気記録再生ヘッドは磁気記録媒体と接触していても浮上
していても構わない。
【0025】
【実施例】次に、本発明を実施例によってさらに詳細に
説明する。
【0026】図1は、本発明の磁気センサの第1の実施
例の構成を示す斜視図であり、信号磁界検出膜として異
方性磁気抵抗効果を示すMR膜(AMR膜)を具備した
例である。図示されるように、信号磁界検出膜21とな
るAMR膜は軟磁性膜22上に積層形成され、軟磁性膜
22と磁気的に交換結合している。
【0027】軟磁性膜22は、一対の硬質磁性膜23、
23と同一面内に形成されていると共に、一対の硬質磁
性膜23、23間にこれらと接触するように配置されて
いる。軟磁性膜22の磁化方向は、信号磁界Hs が零の
状態で、信号磁界方向と略直交しかつ互いに実質的に同
一となる方向に面内磁化された一対の硬質磁性膜23、
23により制御されている。信号磁界検出膜21には、
軟磁性膜22を介して一対の硬質磁性膜23、23の磁
化がバイアス磁界として印加されており、このバイアス
磁界によって信号磁界検出膜21は単磁区化されてい
る。
【0028】一対の硬質磁性膜23、23上には、信号
磁界検出膜21での信号磁界に応じた抵抗変化を検出す
るセンス電流を供給するための一対の端子24、24が
設けられている。なお、図中30は基板である。
【0029】信号磁界検出膜21となるAMR膜には、
NiFe合金膜やNiCo合金膜等が用いられている。信号磁界
検出膜21の膜厚は10〜30nm程度に設定することが好ま
しい。その理由は、信号磁界検出膜21の膜厚が薄すぎ
ると、成膜が困難となって膜表面の品質劣化が生じやす
く、またいわゆる特性長が短くなるため高精度のデプス
制御を行う必要が生じ、逆に厚すぎると素子抵抗が低下
して十分な感度が得られなくなるおそれがあるからであ
る。
【0030】一対の硬質磁性膜23、23としては、保
磁力が800A/m以上程度の強磁性膜を用いることが好まし
い。一対の硬質磁性膜23、23の保磁力が800A/m未満
であると、信号磁界検出膜21に十分なバイアス磁界を
付与できないおそれがある。さらに外乱磁界の影響を低
減する観点から、一対の硬質磁性膜23、23の保磁力
は 8000A/m以上であることがより好ましい。また、軟磁
性膜22は保磁力が800A/m未満程度の強磁性膜であれば
よい。軟磁性膜22の保磁力が800A/mを超えると、信号
磁界検出膜21の磁化を固着するおそれがあり、これに
より感度低下を招いてしまう。軟磁性膜22の保磁力
は、 80A/m以下とすることがより好ましい。
【0031】一対の硬質磁性膜23、23の膜厚は、軟
磁性膜22の膜厚より多少薄くてもよいが、硬質磁性膜
23、23から軟磁性膜22に十分な磁界を印加するた
めには、硬質磁性膜23、23の膜厚をt、飽和磁化を
Msとし、かつ軟磁性膜22の膜厚をt′、飽和磁化を
Ms′としたとき、t> 0.5t′・Ms′/Msの関
係、さらにはt>t′・Ms′/Msの関係を満足させ
ることが好ましい。また、軟磁性膜22の膜厚t′は、
信号磁界検出膜21の膜厚の0.25〜10倍の範囲内、さら
には0.25〜 5倍の範囲内に設定することが好ましい。そ
の理由は、軟磁性膜22の膜厚t′が薄すぎると信号磁
界検出膜21の単磁区化が困難となり、逆に軟磁性膜2
2の膜厚t′が厚すぎると信号磁界検出膜21にセンス
電流を供給した際に軟磁性膜22によるシャント電流が
大きくなるためである。
【0032】また、一対の硬質磁性膜23、23の磁化
方向の長さに関し、信号磁界検出膜21と軟磁性膜22
は同一長さであってもよいし、また図1に示したように
軟磁性膜22の長さが長くてもよい。ただし、軟磁性膜
22が抵抗値 100μΩ・cm以上程度に高抵抗である場合
には、軟磁性膜22の長さが長すぎると信号磁界検出膜
21にセンス電流を効率よく供給できなくなるので好ま
しくない。さらに、軟磁性膜22上方における信号磁界
検出膜21の磁化について、その回転を実質的に妨げる
ことなく、単磁区化によるバルクハウゼンノイズの抑制
が可能となるなら、信号磁界検出膜21の長さが軟磁性
膜22より長くてもよい。
【0033】次に、図1に示した磁気センサの特性を評
価した結果について述べる。信号磁界検出膜21のトラ
ック幅方向の長さとほぼ等しいトラック幅を有する磁気
記録媒体からの信号磁界を実際に検出し、信号磁界検出
膜21のトラック幅方向の感度分布を測定した。その結
果を、図20に示した従来例の磁気センサで同様にして
測定した感度分布と併せて図2に示す。なお、図中
1 、X2 は、それぞれ信号磁界検出膜21および軟磁
性膜22のトラック幅方向の長さである。図2から明ら
かなように、従来例の磁気センサでは信号磁界検出膜1
のトラック幅方向両端部の出力が著しく低下しているの
に対し、この実施例の磁気センサにおいては、信号磁界
検出膜21のトラック幅方向ほぼ全域にわたって安定し
た出力が得られている。従って、信号磁界検出膜21の
トラック幅方向の長さでトラック幅が正確に規定されて
いることが分かる。
【0034】このように、第1の実施例の磁気センサに
おいては、一対の硬質磁性膜23、23からの磁界を軟
磁性膜22を介して間接的に信号磁界検出膜21に縦バ
イアスとして印加しているため、信号磁界検出膜21の
磁化が例えばトラック幅方向両端部で固着されるおそれ
がない。従って、信号磁界検出膜21のトラック幅方向
全域を信号磁界感磁部とすることができ、信号磁界検出
膜21のトラック幅方向の長さでトラック幅を正確に規
定することが可能となる。さらに、信号磁界検出膜21
の軟磁気特性が損われないばかりでなく、信号磁界検出
時には軟磁性膜22の磁化も信号磁界に応答するので、
信号磁界検出膜21の軟磁気特性は非常に優れたものと
なり、より一層感度の向上を図ることが可能となる。
【0035】図3は、本発明の磁気センサの第2の実施
例の構成を示す斜視図であり、巨大磁気抵抗効果を示す
スピンバルブ膜を具備したMR素子において、スピンバ
ルブ膜の一部を成すGMR強磁性膜を信号磁界検出膜と
した例である。なお図3に示す磁気センサにおいて、図
1と同様の構成要件に関しては図1と同一符号を付して
説明は省略する。
【0036】この実施例の磁気センサにおいては、図示
される通り、軟磁性膜22上に信号磁界検出膜41とな
るGMR強磁性膜、非磁性膜42、磁化固着された強磁
性膜43が順次積層されて、スピンバルブ膜44が構成
されている。スピンバルブ膜44上には、強磁性膜43
の磁化を固着するための反強磁性膜45と保護膜46が
順に積層形成されている。このとき、強磁性膜43の磁
化は、トラック幅と略直交する方向に固着され、信号磁
界検出膜41との間で直交バイアス状態が得られてい
る。さらに一対の端子24、24は、このような積層膜
に一部積層するように形成されている。
【0037】ここで、スピンバルブ膜44には、Co/Cu/
Co、CoFe/Cu/CoFe、NiFe/Cu/NiFe等の積層膜が用いられ
る。また、反強磁性膜45には、γ-FeMn 膜や NiO膜等
が用いられ、保護膜46にはTa膜やTi膜等が用いられ
る。
【0038】なお、図3においては、軟磁性膜22が一
対の硬質磁性膜23、23間にこれらと接触することな
く配置されているが、硬質磁性膜23、23からの漏洩
磁界が信号磁界検出膜21等に印加されることを抑止す
る観点から、軟磁性膜22は硬質磁性膜23、23と接
触するように配置されることが好ましい。また、軟磁性
膜22と硬質磁性膜23、23とが非接触である場合に
おいても、これらはできるだけ近接して配置されること
が望ましく、具体的には軟磁性膜22と硬質磁性膜2
3、23との間の間隙が 0.5μm 以下に設定されること
が望まれる。
【0039】次に、図3に示した磁気センサの特性を評
価した結果について述べる。まず、第1の実施例と同様
にして、信号磁界検出膜41のトラック幅方向の感度分
布を測定したところ、第1の実施例と同様に信号磁界検
出膜41のトラック幅方向ほぼ全域にわたって安定した
出力が得られた。これにより、信号磁界検出膜41のト
ラック幅方向の長さでトラック幅が正確に規定されてい
ることを確認した。
【0040】また、図4に第2の実施例の磁気センサの
トラック幅と出力との関係を示す。なお、図4に示した
従来例は図22に示した磁気センサについて同様に測定
した結果であり、この磁気センサでは硬質磁性膜3、3
間の距離がトラック幅に相当している。図4から明らか
なように、第2の実施例の磁気センサは、例えばトラッ
ク幅が 2μm の場合には従来の磁気センサに比べて 20%
程度出力が向上しており、また例えばトラック幅が 1μ
m の場合には従来の磁気センサに比べて 30%程度出力が
向上している。このように、第2の実施例の磁気センサ
は、狭トラック化に対して有効であり、狭トラック化し
た場合において特に従来の磁気センサより高出力を得る
ことができる。なお、第1の実施例の磁気センサにおい
ても同様な傾向を示した。
【0041】さらに図5は、トラック幅と上部強磁性
膜、すなわち第2の実施例の磁気センサでは磁化固着膜
43としての強磁性膜、図22に示した磁気センサにお
いては強磁性膜12の磁化のトラック幅方向に対する角
度との関係を示す図である。図示される通り、従来の磁
気センサでは硬質磁性膜3、3からの漏洩磁界に起因し
て、上述したような磁化の角度が理想的直交バイアス状
態である90度から20度程度ずれており、さらにトラック
幅が 2μm から 1μm に狭まるにつれて、そのずれ量が
大きくなっていくことが分かる。これに対して、この実
施例の磁気センサは、トラック幅に依存せずに理想的な
直交バイアス状態である90度が保たれている。従って、
バルクハウゼンノイズを十分に抑制することができ、か
つ高感度の再生が可能となる。
【0042】上述した各実施例の磁気センサは、さらに
図6、図7、図8、図9、図10に示すように変形する
ことも可能である。例えば、第1の実施例の磁気センサ
は図6に示すように、一対の端子24、24を信号磁界
検出膜21と接触するように形成してもよいし、また図
7に示すように、一部積層されるように形成してもよ
い。これらの構造によれば、一対の硬質磁性膜23、2
3および軟磁性膜22を介することなく、信号磁界検出
膜21にセンス電流を供給することができるので、消費
電力の低減等が期待できる。第2の実施例の磁気センサ
についても同様である。ただし、一対の端子24、24
を信号磁界検出膜21等に一部積層されるように形成す
る場合は、センス電流を効率よく信号磁界検出膜21に
供給する観点から、端子24、24と信号磁界検出膜2
1等との積層幅は 0.1μm 以下程度に設定されることが
好ましい。
【0043】また、第2の実施例の磁気センサは、図8
に示すように、軟磁性膜22の一部を信号磁界の流入方
向に突出させ、その突出部分の幅に合せてスピンバルブ
膜44、反強磁性膜45および保護膜46を積層形成し
たり、あるいは図9に示すように、スピンバルブ膜4
4、反強磁性膜45および保護膜46による積層部分の
一部を同様に信号磁界の流入方向に突出させてもよい。
これらによれば、トラック幅をより明確に規定すること
ができる。さらに、図10に示すように、スピンバルブ
膜44や反強磁性膜45を、軟磁性膜22および硬質磁
性膜23、23上に亘って形成してもよい。ただし、こ
の場合には信号磁界検出膜41の磁化回転が硬質磁性膜
23、23により妨げられないように、信号磁界検出膜
41と硬質磁性膜23、23とが磁気的に結合しないよ
うにすることが望ましい。
【0044】なお、信号磁界が零の状態で軟磁性膜22
の磁化方向をトラック幅方向と略平行となるように制御
できる範囲内であれば、硬質磁性膜23、23の磁化方
向と信号磁界方向との成す角を90度からある程度傾け
て、硬質磁性膜23、23からの磁界で縦バイアスと横
バイアスとを一括的に信号磁界検出膜21(41)に印
加してもよい。また、第1の実施例において、信号磁界
検出膜21上に非磁性膜を介して軟磁性膜を形成し、セ
ンス電流による磁界を横バイアスとして信号磁界検出膜
21に印加しても構わない。
【0045】次に、上述したような各磁気センサの製造
プロセスについて説明する。図11は、本発明における
磁気センサの製造プロセスの一例を示す工程図である。
図11に示した製造プロセスでは、まずAl2 O 3 等から
なる絶縁層を表面に有するAl2 O 3 ・TiC 等の基板30
上に、NiFe合金等からなる磁気シールド層31、Al2O3
等からなる磁気ギャップ32、CoZrNb、CoZrRe等からな
る軟磁性アモルファス膜33を順次形成する(図11−
A)。
【0046】次いで、軟磁性アモルファス膜33の所定
の領域にレーザーを照射し、アモルファスを結晶化させ
て一対の 5× 5μm 程度の硬質化領域34、34を形成
する(図11−B)。その後、例えばイオンミリング法
で軟磁性アモルファス膜33を所定の形状に加工して、
一対の硬質磁性膜23、23とその間に配置された軟磁
性膜22を得る(図11−C)。この一対の硬質磁性膜
23、23は、レーザー照射による硬質化領域34、3
4によるものである。なおこのとき、一対の硬質磁性膜
23、23の磁化方向を前述したような方向に固着させ
るために、10kA/m程度の静磁界を所定の方向に印加した
状態で軟磁性アモルファス膜33の一部を結晶化するこ
とが好ましい。
【0047】続いて、所望によりスパッタエッチング法
等で軟磁性膜22の表面を原子レベルで清浄化した後、
例えばリフトオフ法で信号磁界検出膜21を軟磁性膜2
2上に形成(図11−D)し、次いでCuやTi等からなる
一対の端子24、24を硬質磁性膜23、23上に積層
形成する(図11−E)。このようにして、例えば図1
に示した第1の実施例による磁気センサが得られる。さ
らに、得られた磁気センサ上に、下部と同様に磁気ギャ
ップや磁気シールド層等を適宜形成すれば、シールドタ
イプのMRヘッドを容易に作製することができる。なお
ここでは、図示される通り軟磁性膜22の一部を信号磁
界の流入方向に突出せしめ、軟磁性膜22の突出部分の
幅でトラック幅がより明確に規定される構造とした。
【0048】また、上述した信号磁界検出膜21の形成
に代えて、信号磁界検出膜41となるGMR強磁性膜、
非磁性膜42、磁化固着された強磁性膜43、反強磁性
膜45および保護膜46を順次積層形成すれば、図3に
示した第2の実施例による磁気センサが得られる。
【0049】上述したような製造プロセスでは、軟磁性
アモルファス膜33の所定の領域をマスクレスでレーザ
ー照射することにより硬質化領域34を形成しているの
で、硬質磁性膜の成膜およびPEP工程が不要となり、
これにより製造工数を大幅に削減することができる。し
かも、例えば磁気ヘッドのマルチチャンネル化に対して
スペース的にも有利である。また、結晶化した低抵抗の
硬質磁性膜23上に端子24が積層されているのに対し
て、信号磁界検出膜21はアモルファス状態の高抵抗の
軟磁性膜22上に積層形成されている。このため、端子
24から硬質磁性膜23を介して信号磁界検出膜21に
センス電流が供給されても、硬質磁性膜23での電圧降
下を抑制することができると共に、軟磁性膜23による
シャント電流を少なくすることができる。従って、信号
磁界検出膜21に効率よくセンス電流を供給することが
でき、ひいては高感度の磁気センサを得ることが可能と
なる。
【0050】図12に、873K×2hのレーザーアニールに
よりCo87Zr5 Nb8 アモルファス膜を結晶化させた場合の
磁化曲線の変化の一例を示す。初期のアモルファス状態
では保磁力 80A/m程度の軟磁性を示していた膜が、レー
ザーアニールにより保磁力が25000A/mを超えるほどに硬
質化していることが分かる。さらに、レーザーアニール
により軟磁性アモルファス膜を結晶化させてレーザー照
射部に歪みを発生させ、この歪みにより軟磁性膜22や
その上に積層形成される信号磁界検出膜21に応力を印
加することによって、信号磁界検出膜21の単磁区を安
定化させたり、また実効的にバイアスを印加することも
できる。このとき、軟磁性アモルファス膜の下地を工夫
することによって、レーザー照射部において引張り応力
および圧縮応力のいずれを発生させることも可能であ
る。なお、信号磁界検出膜21に対しそのトラック幅方
向に実効的なバイアスを印加するには、レーザー照射部
で引張り応力が発生する場合は、軟磁性アモルファス膜
の磁歪定数は正である必要があり、一方レーザー照射部
で圧縮応力が発生する場合は、軟磁性アモルファス膜の
磁歪定数は負である必要がある。
【0051】また、本発明の磁気センサは、軟磁性膜と
硬質磁性膜とを別工程で設けて作製することも可能であ
る。このとき、硬質磁性膜にはCoCr合金膜やCoPt合金膜
等を用いることができる。具体的には、図13に示すよ
うに、まずNiFe合金等からなる磁気シールド層31や磁
気ギャップ32を形成した基板30上に、CoPt合金等か
らなる一対の硬質磁性膜32、32を所定の形状に形成
する(図13−A)。次に、一対の硬質磁性膜32、3
2間に、例えばリフトオフ法で軟磁性膜22およびAM
R膜からなる信号磁界検出膜21を順に形成する(図1
3−B)。この後、一対の端子24、24を硬質磁性膜
23、23上に積層形成することによって、図1、図6
および図7に示されるような磁気センサが得られる。ま
た、AMR膜からなる信号磁界検出膜21に代えて、信
号磁界検出膜41となるGMR強磁性膜、非磁性膜4
2、磁化固着された強磁性膜43、反強磁性膜45およ
び保護膜46を順次積層形成すれば、図3に示されるよ
うな磁気センサが得られる。さらに図14は、本発明の
一実施例による磁気記録再生ヘッドの構成を媒体対向面
から見た状態として示す断面図である。図14に示す磁
気記録再生ヘッドにおいて、再生ヘッド50は前述した
第1の実施例の磁気センサを用いたシールド型MRヘッ
ドからなるものであり、この再生ヘッド50と記録ヘッ
ド60とから磁気記録再生ヘッド70が構成されてい
る。
【0052】すなわち、NiFe合金やCoZrNbのような軟磁
性アモルファス合金等からなる下部磁気シールド層51
上には、Al2 O 3 等からなる再生磁気ギャップ52を介
して、第1の実施例の磁気センサの構成要素である一対
の硬質磁性膜23、23と軟磁性膜22が形成されてい
る。この軟磁性膜22上には、AMR膜からなる信号磁
界検出膜21が積層形成されており、また一対の硬質磁
性膜23、23上にはCuやTi等からなる一対の端子2
4、24が形成されている。そして、これらの上に再生
磁気ギャップ53を介して上部磁気シールド層54が形
成されており、これらによって本発明の磁気センサを用
いたシールド型MRヘッドからなる再生ヘッド50が構
成されている。
【0053】上記再生ヘッド50上には、上部磁気シー
ルド層54を下側磁極層として利用した誘導型磁気ヘッ
ドからなる記録ヘッド60が設けられている。すなわ
ち、上部磁気シールド層54を兼ねる下側磁極層上に
は、Al2 O 3 等からなる記録磁気ギャップ61が形成さ
れており、この記録磁気ギャップ61上に記録トラック
幅を規定する上側磁極層62が形成されている。
【0054】ここで、磁気記録再生ヘッド70におい
て、再生ヘッド50の信号磁界検出膜21のトラック幅
方向の長さにより規定される実質的な再生トラック幅L
1 は、記録ヘッド60の上側磁極層62のトラック幅方
向の長さにより規定される実質的な記録トラック幅L2
と同等もしくはそれ以上とされている。また、記録トラ
ック幅L2 は、上側磁極層62の記録磁気ギャップ61
に対向する面が直線性を失わない範囲で設定されてい
る。
【0055】換言すれば、この実施例の磁気記録再生ヘ
ッド70は、ナローライト・ワイドリードを実現したも
のであり、これは本発明の磁気センサを用いて再生ヘッ
ド50を構成したからこそ達成可能となる。すなわち、
本発明の磁気センサを用いて構成した再生ヘッド50
は、狭トラック化した場合においても大きな出力が得ら
れ、かつ磁気記録媒体上に書込まれた(記録)トラック
に対して再生ヘッド50がずれた場合の出力、いわゆる
オフトラック出力が左右対称でかつ急峻に減少するた
め、記録トラック幅L2 を再生トラック幅L1 と同等も
しくはそれより狭くすることができる。これに加えて、
アジマスロスの発生を防止することができるため、高記
録密度システムにて良好な記録・再生特性を得ることが
可能となる。なお、上記磁気記録再生ヘッド70は、本
発明の磁気センサをシールド型MRヘッドに利用したも
のであるが、磁気記録媒体と対向する磁気空隙をその一
部に有する略リング状の磁気回路中に本発明の磁気セン
サを配置した、いわゆるヨーク型MRヘッドに適用する
ことも可能である。このような場合にも、従来のMR素
子を用いたMRヘッドに比べて大きな再生出力を得るこ
とができる。
【0056】さらに図15は、上述したような磁気記録
再生ヘッド70を用いた磁気記録再生装置80の一例を
示す斜視図であり、図16はその要部を拡大して示す図
である。上述した磁気記録再生ヘッド70は、アクチュ
エータ82の先端に設けられたヘッド部81に記録・再
生素子部として組込まれている。磁気記録再生ヘッド7
0は、図14に示した媒体対向面が磁気記録媒体83と
対向するように配置されている。ここで、磁気記録媒体
83はスピンドルモータ84によって回転可能とされて
いる。なお、図中85は磁気記録再生ヘッド70からの
取出し用ボンディングパッド、86は取出し用ボンディ
ングパッド85を外部と接続するためのリード線であ
る。
【0057】この磁気記録再生装置80において、図1
4に示されたような磁気記録再生ヘッド70中の再生ヘ
ッドによる再生トラック幅L1 は、図17に示される磁
気記録媒体83に記録ヘッドにより書込まれたあるトラ
ックnと隣接する両隣のトラック端間の距離、すなわち
トラックnの両隣のトラックn-1およびトラックn+1の
それぞれの端部間の距離L3 より狭く設定されている。
また、トラックnの幅は概ね記録トラック幅L2 により
決定されるため、再生トラック幅L1 はL2 ≦L1 <L
3 を満足するように設定されている。これによって、オ
フトラックやアジマスロスの発生を防止した上で、再生
特性の向上を図ることができる。
【0058】このような磁気記録再生装置によれば、記
録密度の向上を達成するために狭記録トラック化した場
合においても大きな再生出力が得られ、記録・再生特性
の向上を図ることが可能となる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気セン
サによれば、トラック幅を正確に規定することが容易
で、しかも高感度を得ることができると共に、バルクハ
ウゼンノイズの発生を安定して抑制することが可能とな
る。また、このような磁気センサを用いた本発明の磁気
記録再生ヘッドおよび磁気記録再生装置によれば、アジ
マスロス等の発生を抑制することによって、高記録密度
システムに対応し得る記録・再生特性を再現性よく得る
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の磁気センサの構造を
示す斜視図である。
【図2】 第1の実施例による磁気センサのトラック幅
方向の再生感度分布を従来の磁気センサと比較して示す
特性図である。
【図3】 本発明の第2の実施例の磁気センサの構造を
示す斜視図である。
【図4】 第2の実施例による磁気センサのトラック幅
と出力との関係を従来の磁気センサと比較して示す特性
図である。
【図5】 第2の実施例による磁気センサのトラック幅
と上部強磁性膜の磁化のトラック幅に対する角度との関
係を従来の磁気センサと比較して示す特性図である。
【図6】 第1の実施例による磁気センサの変形例を示
す斜視図である。
【図7】 第1の実施例による磁気センサの他の変形例
を示す斜視図である。
【図8】 第2の実施例による磁気センサの変形例を示
す斜視図である。
【図9】 第2の実施例による磁気センサの他の変形例
を示す斜視図である。
【図10】 第2の実施例による磁気センサのさらに他
の変形例を示す斜視図である。
【図11】 本発明の磁気センサの製造プロセスの一例
を示す工程図である。
【図12】 軟磁性アモルファス膜をレーザーアニール
により硬質化した際の磁化曲線の一例を示す図である。
【図13】 本発明の磁気センサの他の製造プロセス例
を示す工程図である。
【図14】 本発明の一実施例による磁気記録再生ヘッ
ドの構造を示す断面図である。
【図15】 本発明の一実施例による磁気記録再生装置
の構造を示す斜視図である。
【図16】 図15に示す磁気記録再生装置の要部を拡
大して示す斜視図である。
【図17】 本発明の磁気記録再生装置における再生ト
ラック幅と磁気記録媒体側のトラック幅との関係を説明
するための図である。
【図18】 従来の磁気センサの一構造例を示す斜視図
である。
【図19】 従来の磁気センサの他の構造例を示す斜視
図である。
【図20】 従来の磁気センサのさらに他の構造例を示
す斜視図である。
【図21】 従来の磁気センサのさらに他の構造例を示
す斜視図である。
【図22】 従来のスピンバルブ膜を利用した磁気セン
サの一構造例を示す斜視図である。
【図23】 図は従来の磁気記録再生ヘッドの一構造例
を示す断面図である。
【符号の説明】
21……信号磁界検出膜としてのAMR膜 22……軟磁性膜 23……硬質磁性膜 24……端子 41……信号磁界検出膜としてのGMR強磁性膜 42……非磁性膜 43……磁化固着された強磁性膜 44……スピンバルブ膜

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 信号磁界方向と略直交しかつ互いに実質
    的に同一となる方向に面内磁化された一対の硬質磁性膜
    と、前記一対の硬質磁性膜と同一面内に形成され、かつ
    前記一対の硬質磁性膜間にこれらと接触または近接する
    ように配置された軟磁性膜と、前記軟磁性膜の主面上に
    積層された信号磁界検出膜とを具備することを特徴とす
    る磁気センサ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気センサにおいて、 前記信号磁界検出膜は、異方性磁気抵抗効果を示す磁気
    抵抗効果膜または巨大磁気抵抗効果を示す積層膜の一部
    を成す強磁性膜であることを特徴とする磁気センサ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の磁気センサにおいて、 前記積層膜は、前記強磁性膜と、この強磁性膜上に積層
    形成された非磁性膜および磁化固着された強磁性膜とか
    らなるスピンバルブ膜であることを特徴とする磁気セン
    サ。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の磁気センサにおいて、 前記軟磁性膜と前記信号磁界検出膜とは交換結合されて
    いることを特徴とする磁気センサ。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の磁気センサにおいて、 前記硬質磁性膜の膜厚をt、飽和磁化をMsとし、かつ
    前記軟磁性膜の膜厚をt′、飽和磁化をMs′としたと
    き、t> 0.5t′・Ms′/Msの関係を満足すること
    を特徴とする磁気センサ。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の磁気センサにおいて、 前記軟磁性膜は軟磁性アモルファス膜からなり、かつ前
    記硬質磁性膜は軟磁性アモルファス膜を結晶化させて硬
    質化した膜からなることを特徴とする磁気センサ。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の磁気センサを用いた再生
    ヘッドと、 記録ギャップを介して配置された上下一対の磁極層を有
    し、前記再生ヘッドの再生トラック幅と同等もしくはそ
    れより狭い記録トラック幅を有する記録ヘッドとを具備
    することを特徴とする磁気記録再生ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の磁気記録再生ヘッドにお
    いて、 前記再生ヘッドは、磁気ギャップを介して前記磁気セン
    サを介在させた一対の磁気シールド層を有し、かつ前記
    記録ヘッドは、前記一対の磁気シールド層の一方と共通
    の軟磁性層により構成された下側磁極層と、前記記録ギ
    ャップと対向する面が実質的に直線性を保持する上側磁
    極層とを有することを特徴とする磁気記録再生ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項7記載の磁気記録再生ヘッドと、
    磁気記録媒体とを具備し、 前記磁気記録再生ヘッドの再生トラック幅をL1 、前記
    磁気記録媒体に前記記録ヘッドにより書込まれたトラッ
    クの幅をL2 、このトラックと隣接する両隣のトラック
    端間の距離をL3 としたとき、L2 ≦L1 <L3 を満足
    することを特徴とする磁気記録再生装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の磁気記録再生装置にお
    いて、 前記再生ヘッドは、磁気ギャップを介して前記磁気セン
    サを介在させた一対の磁気シールド層を有し、かつ前記
    記録ヘッドは、前記一対の磁気シールド層の一方と共通
    の軟磁性層により構成された下側磁極層と、前記記録ギ
    ャップと対向する面が実質的に直線性を保持する上側磁
    極層とを有することを特徴とする磁気記録再生装置。
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