JPH0718299U - 電子線照射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 変圧器磁束による電子線の拡がりを防止する
こと。 【構成】 圧力タンク１内に収容された空芯変圧器２は
１次コイル３及び２次コイル４を有し、変圧器の中心部
に熱電子放出用のフィラメント６及び加速管７が配置さ
れている。電子線の軌道を決定するフィラメントの配置
位置ｈ₁から加速管における５段目位の加速電極８の配
置位置ｈ₂までの高さに位置する１次コイル部分３₁を加
速管の中心軸線Ｚと平行に配置する。電子線の軌道を決
定する箇所における変圧器磁束が中心軸線とより平行に
なり、同軸線と直角方向の磁束成分が減少し、電子線の
拡がりを軽減する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、電子線軌道の拡がりを軽減した空芯変圧器形高電圧電源を有する電 子線照射装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図２は空芯変圧器を用いて構成された高電圧電源を有する電子線照射装置の概 略断面構成図である。高圧絶縁ガスが充填される圧力容器１に空芯変圧器２は収 容されており、全体として円錐、テーパ状に巻回構成された１次コイル３の内側 に２次コイル４が設けられている。２次コイルは多数のコイル４を多段に１次コ イル３の中心軸方向に積み重ねて構成されている。

【０００３】 １次コイル３は、２次コイル４における下段に位置する低圧段のコイルから上 段に位置する高圧段のコイルとの間に所要の絶縁距離を有するように２次コイル に対向する部分がテーパ状に配置構成されている。１次コイル３の外側を取り囲 むように磁気シールド部材５が設けられており、同シールド部材は１次コイルの 外側に生ずるコイル磁束の通路となる。２次コイル４の内側にその図示を省略し た整流回路がそれぞれ付設されており、各整流回路はそれぞれ各２次コイル４の 誘起電圧を整流し、各整流回路の直流出力端子を直列に接続することにより、直 流高電圧を得ている。

【０００４】 ２次コイル４の内側位置、空芯変圧器２の中心部に、熱電子発生用のフィラメ ント６及び加速管７が配置されている。２次コイル４の誘起電圧を整流して得ら れた直流高電圧はフィラメント６及び加速管７の各加速電極８に抵抗で分圧して 印加されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

空芯変圧器２における１次コイル３はテーパ状に配置されているから、２次コ イル４の内側に１次コイルによって生ずる磁束は空芯変圧器２及び加速管７の中 心軸線Ｚに対し角度を有する。磁束は加速管７の内部にも通り、中心軸線の近傍 の磁束φも、図２、図３に示すように、中心軸Ｚに対し或る角度θをもつものと なり、Ｚ軸と直角方向の成分φｒ＝φsinθを有することになる。この磁束成分 φｒにより、フィラメント６から加速管７内を進行する電子線ｅ^-に対し、磁束 成分φｒと直交する方向に、電子線が拡がろうとする力Ｆが発生する。そして電 子線が拡がると、電子線が加速管７の加速電極８や電子線の偏向走査時に加速管 の下端部に接続されるた走査管９の内部に当り、照射電子線が充分に得られない という事態が生ずることになる。

【０００６】 本考案は、かかる電子線の拡がりを軽減することができる空芯変圧器形高電圧 電源を有する電子線照射装置の提供を目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、空芯変圧器形高電圧電源と、空芯変圧器の中心部にそれぞれ配置さ れた熱電子発生用フィラメント及び加速管を有する電子線照射装置において、前 記フィラメント配置位置から前記加速管における５段目位の加速電極の配置位置 までの高さに位置する前記空芯変圧器の１次コイルを加速管の中心軸線と平行に 配置してなることを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】

電子線の軌道を決定するフィラメントから加速管の５段目位の加速電極の間に 生ずる磁束φがＺ軸と平行に近くなり、電子線の拡がりが軽減される。

【０００９】

【実施例】

本考案の実施例について、図１の断面構成図を参照して説明する。なお、図２ と同一符号は同等部分を示す。電子線を加速するとき、一般に、その軌道は加速 管の入口部分におけるレンズ作用の影響を強く受ける。この点、かかる電子線の 軌道を決定する部分での電子線の拡がりを極力抑えることが望ましい。空芯変圧 器２の２次コイル４の内側中心部にフィラメント６及び加速管７配置されており 、電子線の軌道を決定するフィラメントの配置位置ｈ₁から加速管の５段目位の 加速電極の配置位置ｈ₂までの高さ位置に相当する１次コイル３、即ちコイル部 分３₁について、その巻回配置をテーパ状とせずに、空芯変圧器２の中心軸線し たがって加速管７の中心軸線、Ｚ軸と平行にする。上記コイル部分３₁より下の コイル部分３₂及び上のコイル部分３₃については２次コイル４との電気絶縁が維 持されるように従来装置と同様にテーパ状に巻回配置する。

【００１０】 このように１次コイル３について加速管７の中心軸線と平行のコイル部分３₁ を配置することにより、フィラメント６から加速管における加速電極８の５段目 位までの磁束φは、Ｚ軸とより平行に近くなり、図３に示したＺ軸と直角方向の 磁束成分φｒを減少させることができるから、電子線の軌道を決定する箇所にお ける同磁束成分に基づく電子線の拡がりが軽減される。

【００１１】 １次コイル３のＺ軸と平行なコイル部分３₁については、巻回数を増加し、Ｚ 軸と平行の磁束成分を増やと、電子線の拡がり軽減に一層有利となる。

【００１２】

【考案の効果】

本考案は、以上説明したように構成したので、電子線の軌道を決定するフィラ メントから加速管における加速電極の５段目位までの位置に生ずる磁束が中心軸 、Ｚ軸と平行に近くなり、Ｚ軸と直角方向の磁束成分の発生を抑えることができ るから、同磁束成分に基づく電子線の拡がりを軽減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の断面構成図である。

【図２】従来例の断面構成図である。

【図３】発生磁束についての説明図である。

【符号の説明】

１ 圧力容器 ２ 空芯変圧器 ３ １次コイル ３₁ 中心軸と平行の１次コイル部分 ４ ２次コイル ５ 磁気シールド部材 ６ フィラメント ７ 加速管 ８ 加速電極

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 空芯変圧器形高電圧電源と、空芯変圧器
   の中心部にそれぞれ配置された熱電子発生用フィラメン
   ト及び加速管を有する電子線照射装置において、前記フ
   ィラメントの配置位置から前記加速管における５段目位
   の加速電極の配置位置までの高さに位置する前記空芯変
   圧器の１次コイルを加速管の中心軸線と平行に配置して
   なることを特徴とする電子線照射装置。