JPH07173101A - ベンジルアセテートの製造方法 - Google Patents

ベンジルアセテートの製造方法

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JPH07173101A
JPH07173101A JP6042230A JP4223094A JPH07173101A JP H07173101 A JPH07173101 A JP H07173101A JP 6042230 A JP6042230 A JP 6042230A JP 4223094 A JP4223094 A JP 4223094A JP H07173101 A JPH07173101 A JP H07173101A
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palladium
catalyst
carrier
chloride
benzyl acetate
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Hirobumi Harada
博文 原田
Hideyuki Hamachi
秀之 浜地
Tomohiro Washiyama
友寛 鷲山
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高活性かつ高選択性を有するパラジウム触媒を
用いて、ベンジルアセテートを製造する。 【構成】塩化テトラアンミンパラジウム錯体をイオン交
換法によりシリカ担体に担持させ、空気焼成した後、ヒ
ドラジンで還元して得たパラジウム金属触媒に、さらに
酢酸カリウム及び塩化カリウムを助触媒として担持させ
た触媒の存在下、トルエン、酢酸および酸素を気相中で
反応させて、ベンジルアセテートを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トルエン、酢酸および
酸素を気相で反応させ、ベンジルアセテートを製造する
方法に関する。ベンジルアセテートは、それ自身溶剤や
香料として有用であり、さらにベンジルアセテートを加
水分解して得られるベンジルアルコールは、溶解性に優
れた溶剤、無毒性のため医薬用添加剤、農薬、医薬など
の中間体としても極めて重要な化合物である。
【0002】
【従来の技術】触媒の存在下に、トルエン、酢酸および
酸素を気相で反応させベンジルアセテートを得る方法は
公知である。例えば、特開昭47−18843号公報に
は、塩化パラジウム酸ナトリウムを担体に含浸しヒドラ
ジンで還元した触媒を用いることが提案されている。ま
た、特公昭51ー25438号公報には、塩化パラジウ
ムを担体に含浸し、ヒドラジンで還元した触媒を用いる
技術が開示されている。
【0003】これらの触媒は、いずれもパラジウム塩類
を、所謂含浸法により担体に担持した後、ヒドラジンな
どによってパラジウムを還元する方法により調製されて
いる。従来、このような含浸法による触媒の調製法で
は、触媒活性が低く充分な活性が得られていない。例え
ば、上記の特開昭47−18843号公報および特公昭
51−25438号公報に開示された方法では、ベンジ
ルアセテート生成量は、それぞれ触媒1l当たり毎時5
5gおよび17gと非常に低く、工業的な触媒活性レベ
ルの観点からすればはなはだ不十分である。
【0004】また、石油学会誌,第36巻,3号,23
5頁(1993)には、所謂イオン交換法により調製し
た触媒を用いた例が記載されている。即ち、パラジウム
化合物を担体表面の水酸基のプロトンとイオン交換(カ
チオン交換)することにより担体に担持し、しかる後に
水素還元することによって調製した触媒を用い、ベンジ
ルアセテートを得る方法が報告されている。しかし、こ
の方法においても、ベンジルアセテート生成量は触媒1
l当たり毎時21gと極めて低い。
【0005】一方、パラジウムを担体に担持した触媒を
用いる反応では、触媒活性および選択性を向上させるた
め、助触媒として有機カルボン酸のアルカリ金属塩など
を使用する技術が開示されている。例えば、特公昭51
−25438号公報には、パラジウムをAl23に担持
し、さらに助触媒の有機カルボン酸のアルカリ金属塩と
して、酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウムを担持した触
媒が提案されている。しかしこの方法では、触媒活性が
まだ低いため、反応温度を高めた実施例が開示されてい
る。反応温度を高めると、完全酸化反応による炭酸ガス
の生成が大きくなり、所望のベンジルアセテートの選択
率は69%と著しく低くなる。
【0006】また前述の石油学会誌,第36巻,3号,
235頁(1993)には、助触媒としてアルカリ金属
塩である硝酸カリウムを使用する技術が開示されてい
る。この方法では、触媒活性、即ちベンジルアセテート
生成量は、触媒1l当たり毎時351gと非常に高いも
のの、ベンジルアセテートの選択性は82%と不充分で
ある。さらに前記の特開昭47ー18843号公報に
は、SiO2を担体としたパラジウムービスマス二元系
触媒に、助触媒として酢酸カリウムを使用する技術が開
示されている。この方法では所望のベンジルアセテート
選択性は97%と高いものの、ベンジルアセテート生成
量は触媒1l当たり毎時55gと低く、触媒活性は充分
とは言えない。
【0007】このように、パラジウムを担持した触媒を
用いて、トルエン、酢酸および酸素を反応させベンジル
アセテートを得る方法は公知であるにもかかわらず、触
媒の活性および選択性などの触媒性能が不十分なため、
未だに工業化された例はない。このため、工業的に応用
可能な高活性・高選択性を有する触媒を用いたベンジル
アセテート製造方法の開発が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、トル
エン、酢酸および酸素を気相で反応させ、ベンジルアセ
テートを製造する方法において、高活性かつ高選択性を
有するパラジウム触媒を用いたベンジルアセテートの製
造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するためにパラジウムを担持した触媒を用いたベ
ンジルアセテートの製造方法について鋭意研究してき
た。その結果、高活性なパラジウム触媒を用いると、高
選択的にベンジルアセテートを製造できることを見い出
し本発明を完成するに至った。即ち、本発明は触媒の存
在下に、トルエン、酢酸および酸素を気相で反応させベ
ンジルアセテートを製造する方法において、触媒がパラ
ジウム、有機カルボン酸のアルカリ金属塩および金属塩
化物を担体に担持したパラジウム触媒であることを特徴
とするベンジルアセテートの製造方法である。以下に本
発明を詳細に説明する。
【0010】本発明において使用する触媒は、次のよう
にして調製することができる。即ち、パラジウム化合物
を担体に担持し、これを必要に応じて焼成し、パラジウ
ム金属前駆体を調製する。次に、これを還元してパラジ
ウム金属触媒を調製する。しかる後に、これに助触媒と
してアルカリ金属のカルボン酸塩および金属の塩化物を
担持することによりパラジウム触媒を調製する。
【0011】本発明において用いる担体は、公知の触媒
担体が使用できる。例えば、シリカ、アルミナ、シリカ
−アルミナ、ゼオライト、珪藻土、シリカ−マグネシ
ア、シリカ−ジルコニア、マグネシア、チタニア、ジル
コニアおよびそれらの複合体を挙げることができる。こ
れらのうち、ゼオライトは結晶構造に制限はなく、例え
ば、ZSM−5、フォ−ジャサイト、エリオナイト、オ
フレタイト、モルデナイト、フェリエライトなどの合成
ゼオライトおよび天然ゼオライトが使用できる。これら
ゼオライトのカチオン種はプロトン、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属のいずれであってもよい。
【0012】これら使用できる公知の担体のうち、シリ
カ、アルミナまたはシリカ−アルミナが好ましく用いら
れる。さらにこれらのうち、パラジウムを担体に担持す
る方法の1つである所謂イオン交換法を行う場合は、担
体の表面にイオン交換(カチオン交換)可能な水酸基の
プロトンが多数存在するシリカが最も好適である。シリ
カ、アルミナおよびシリカ−アルミナは、通常、担体と
して入手可能な市販品が使用できるが、表面積が50〜
500m2/g、平均細孔径が50〜500オングスト
ローム、細孔容積が0.3〜1.2ml/gの担体が好
適に用いられる。またこれら担体の形状は特に制限はな
いが、本発明の反応を固定床で実施する場合には、反応
管径等を考慮して直径が1.5〜7mmの球、ペレット
または円柱状のものが望ましい。
【0013】前述した触媒の調製方法においてパラジウ
ム化合物を上記担体に担持する方法は、種々の方法が知
られているが、本発明においては所謂含浸法またはイオ
ン交換法によることが好ましい。
【0014】所謂含浸法によりパラジウム化合物を担体
に担持するには、例えば石油学会誌,第36巻,3号,
235頁(1993)に記載の方法により、次のように
行うことができる。使用される原料パラジウム化合物と
しては、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジ
ウム、塩化パラジウム酸ナトリウム、塩化パラジウム酸
カリウム、塩化パラジウム酸アンモニウム等が挙げられ
る。はじめにこれら原料パラジウム化合物を適当な溶
媒、例えば水、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、アセトン等に溶解し、このパラジウム化合物溶液に
担体を浸漬し、担体に充分吸収させる。この浸漬する時
間は担体によっても異なるが、1〜12時間が適当であ
る。このとき、溶媒量は担体の吸水量の0.5〜5倍が
望ましい。ここで吸水量とは十分乾燥した担体が水に浸
漬されたときに吸収する水量である。溶媒量が吸水量の
0.5倍よりも少ないとパラジウム化合物が均一に担持
されないことがあり、5倍よりも多いと蒸発乾固などの
操作に時間がかかる。
【0015】次に浸漬した後の担体は、必要に応じて蒸
発乾固させる。蒸発乾固させる場合には、例えばロータ
リー・エバポレーター等を用いて、常圧または減圧下で
蒸発乾固する。しかる後に、必要ならば、適当な加熱乾
燥器により乾燥する。このとき、乾燥温度は常温から1
20℃が望ましく、乾燥時間は乾燥条件にもよるが1〜
24時間が望ましい。その後、この乾燥した担体を、必
要ならばさらに空気や窒素ガス雰囲気下で焼成する。こ
のとき、焼成温度は、200〜700℃が望ましく、焼
成時間は2〜10時間が好適である。この範囲外での焼
成温度や時間とした場合、還元後に触媒活性が十分発現
されない場合がある。かくして、含浸法によるパラジウ
ム金属前駆体が調製できる。
【0016】一方、所謂イオン交換法によりパラジウム
化合物を担体に担持するには、例えば日本化学会誌,4
号,261頁および11号,1475頁(1991)に
記載の方法に準じて次のように行うことができる。ここ
で用いられる原料パラジウム化合物は、担体の表面の水
酸基のプロトンとイオン交換(カチオン交換)可能なパ
ラジウム化合物である。イオン交換(カチオン交換)可
能なパラジウム化合物としては、通常パラジウム錯体が
好ましく、この例として尾崎ら著“貴金属元素の化学と
応用”(1984年4月1日発行、講談社出版)に記載
されているテトラアンミンパラジウム塩類、ビス(エチ
レンジアミン)パラジウム塩類、テトラキス(ピリジ
ン)パラジウム塩類、ビス(2,2’−ビピリジン)パ
ラジウム塩類、ビス(1,10−フェナントロリン)パ
ラジウム塩類などが挙げられる。
【0017】これらのうち、テトラアンミンパラジウム
塩類が特に好ましい。テトラアンミンパラジウム塩類と
しては、例えば[Pd(NH34]Cl2・H2O、[P
d(NH34]Br2、[Pd(NH34]I2などのハ
ロゲン塩類、[Pd(NH34](NO32、[Pd
(NH34](OCOCH32および[Pd(N
34][PdCl4]などが挙げられる。これらのテ
トラアンミンパラジウム錯体は、必要ならば、例えば塩
化パラジウム、酢酸パラジウムまたは硝酸パラジウムな
どをアンモニア水溶液に溶解することにより容易に調製
できる。また市販の塩化テトラアンミンパラジウム錯体
[Pd(NH34]Cl2・H2Oを使用することもでき
る。
【0018】これら原料のパラジウム錯体を、例えばア
ンモニア水溶液に溶解し、この溶液中に前記担体を浸漬
する。本操作により、パラジウム錯体は担体の表面水酸
基とイオン交換(カチオン交換)し、パラジウム錯体が
担持される。このとき、パラジウム錯体の濃度は、0.
1〜1mol/lが望ましく、アンモニア濃度は0.5
〜15Nが適当であり、またアンモニア水溶液量は担体
の吸水量の0.5〜5倍が望ましい。パラジウム錯体や
アンモニアの濃度がこれより小さいと、イオン交換速度
が遅くなり必要量のイオン交換が起こらなくなるおそれ
がある。またこれより大きい濃度では、取扱いやイオン
交換量をコントロールする上で不都合を生ずることがあ
る。
【0019】イオン交換を実施するにあたり、アンモニ
ア水溶液の温度およびイオン交換に必要な時間は適宜選
択して良いが、通常アンモニア水溶液の温度は0〜80
℃、好ましくは0〜40℃が適当であり、イオン交換に
要する時間は1〜20時間である。このようにしてイオ
ン交換によりパラジウム錯体を担持した担体は、次にア
ンモニア水溶液から分離し、必要ならば担体に残存する
アンモニア等を除去するため蒸留水で水洗する。その
後、この担体を適当な乾燥器を用いて加圧または減圧下
に30〜130℃で2〜24時間乾燥する。
【0020】次に、この乾燥したパラジウム錯体を担持
した担体は、酸素含有ガスで焼成させる。焼成温度は、
200〜700℃が望ましく、焼成時間は2〜10時間
が好適である。焼成温度がこれより低すぎるとパラジウ
ム錯体を十分に分解させることができず、高活性な触媒
が調製されないことがある。一方、焼成温度が高すぎる
と触媒活性が発現されないおそれがある。ここで、酸素
含有ガスとは、不活性なガス、たとえば窒素、ヘリウ
ム、アルゴン、炭酸ガスまたはこれらの混合ガス等によ
り酸素を任意に希釈したガスであり、酸素濃度は特に限
定されない。酸素含有ガスとしては、例えば空気も使用
できる。
【0021】かくして、イオン交換法によるパラジウム
金属前駆体が調製できる。本発明において、パラジウム
を担体に担持しパラジウム金属前駆体を調製する方法と
しては、上記イオン交換方法によることがより好まし
い。
【0022】上記のとおり所謂含浸法またはイオン交換
法により調製されたパラジウム金属前駆体は、次に還元
処理されパラジウム金属触媒に変換される。この還元処
理方法としては、公知の乾式還元や湿式還元方法が実施
できる。乾式還元方法としては、例えばパラジウム金属
前駆体を管状炉に充填し、水素、エチレン、プロピレン
およびこれらの混合ガス等の還元性ガスを適宜流通さ
せ、加熱下に還元することが挙げられる。ここで加熱温
度は100〜500℃が望ましく、還元温度がこれより
低いと十分に還元できないことがあり、これより高いと
触媒活性が十分発現されないおそれがある。
【0023】一方、湿式還元方法としては、例えば還元
剤溶液としてヒドラジン水溶液やヒドラジンのアルカリ
水溶液等にパラジウム金属前駆体を浸漬し、還元処理で
きる。ここで使用するヒドラジンの量は、パラジウム金
属前駆体のパラジウム量に対して1〜100倍モルが望
ましく、ヒドラジン濃度は0.1〜1.0mol/lが
望ましい。またヒドラジン溶液の量は担体の吸水量の
0.5〜5倍が望ましく、処理時のヒドラジン溶液の温
度は0〜80℃が望ましい。さらに還元処理に要する時
間は、0.5〜4時間が望ましい。
【0024】このように還元処理し調製されたパラジウ
ム金属触媒は、十分水洗処理され担体上に残存する還元
剤を除去する。さらに、適当な乾燥器を用いて常圧はも
ちろんのこと、加圧または減圧下に30〜200℃で2
〜24時間乾燥する。これら還元処理方法において、パ
ラジウム金属前駆体がイオン交換法により調製された場
合には、ヒドラジンを含む還元剤溶液を用いる湿式還元
がより好ましく採用される。かくして、本操作によりパ
ラジウム金属前駆体は還元処理され、パラジウム金属触
媒が調製される。
【0025】本発明において、パラジウム触媒のパラジ
ウム担持量は、パラジウム金属として0.1〜10.0
重量%が好適である。担持されるパラジウム量がこれよ
り少ないと本反応の空時収率が極度に小さくなることが
あり、またこれより多いと空時収率に対してパラジウム
費用が増大するので経済的に不利である。
【0026】本発明において、前記還元処理により調製
されたパラジウム金属触媒に、さらに助触媒として有機
カルボン酸のアルカリ金属塩および金属の塩化物を担持
した触媒が用いられる。有機カルボン酸のアルカリ金属
塩のアルカリ金属としては、例えばカリウム、リチウ
ム、ナトリウム、セシウム、ルビジウムなどが挙げら
れ、また有機カルボン酸としては、例えば蟻酸、酢酸、
プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、蓚酸、マロン酸、琥
珀酸、マレイン酸などが挙げられ、塩として上記アルカ
リ金属と有機カルボン酸の全ての組み合わせが例示でき
る。これらのうち、特に酢酸カリウムが好ましい。一
方、金属の塩化物としては、カリウム、リチウム、ナト
リウム、セシウム、ルビジウムなどのアルカリ金属、マ
グネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムな
どのアルカリ土類金属および錫、鉛などのIVB族より
選ばれた一種以上の金属の塩化物が挙げられる。これら
のうち、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウ
ム、塩化マグネシウム、塩化鉛が好ましい。
【0027】これらの有機カルボン酸のアルカリ金属塩
および金属の塩化物は、公知の方法、例えば以下の所謂
含浸法などによって担持することができる。この方法に
おいて、はじめに有機カルボン酸のアルカリ金属塩およ
び金属の塩化物の水溶液に前記の還元処理されたパラジ
ウム金属触媒を浸漬し、充分吸収させる。このとき、有
機カルボン酸のアルカリ金属塩および金属の塩化物は、
通常水に溶解して使用されるが、必要ならば有機化合
物、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール
類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン
類、酢酸、プロピオン酸などの有機カルボン酸などを水
溶液に添加することもできる。
【0028】これら塩の溶液量は、担体の吸水量の0.
5〜5倍が望ましい。この量よりも少ないと均一に担持
されないことがあり、この量よりも多いと蒸発乾固や乾
燥に時間がかかる。パラジウム金属触媒を浸漬する時間
は担体によっても異なるが、1〜12時間が適当であ
る。次に、浸漬されたパラジウム金属触媒は、必要な
ら、例えばロータリー・エバポレーターなどにより蒸発
乾固し、さらに適当な乾燥器を用いて乾燥する。乾燥温
度は常温から120℃が望ましく、乾燥時間は乾燥条件
にもよるが1〜24時間が望ましい。本工程において、
有機カルボン酸のアルカリ金属塩および金属の塩化物
は、上記のように同時に担持してもまたは各々別々に担
持しても何等差し支えなく、また担持する順序を変更し
ても何等差し支えない。
【0029】本発明において用いられる触媒の金属の塩
化物の担持量は、担体に対して0.05〜50重量%が
望ましく、特に0.1〜30重量%がさらに好適であ
る。また有機カルボン酸のアルカリ金属塩の担持量は担
体に対して1〜100重量%が望ましく、特に5〜50
重量%がさらに好適である。担持する有機カルボン酸の
アルカリ金属塩および金属の塩化物の量がこれより少な
い場合には十分な効果が得られないことがあり、これよ
り多い場合には活性が低下するおそれがある。かくし
て、所望のパラジウム触媒が調製される。また本発明に
おいて、必要ならば、パラジウム金属触媒に上記の助触
媒を担持する方法として、例えば有機カルボン酸のアル
カリ金属塩および金属の塩化物を反応原料、例えば酢酸
や水に溶解し、これを反応中または非反応下にパラジウ
ム金属触媒上へ供給して担持することもできる。
【0030】本発明においてベンジルアセテートの製造
は、固定床方式、流動床方式など任意の方式を使用する
ことができるが、固定床方式が望ましい。固定床方式で
反応を行う場合、反応温度は100〜280℃、好まし
くは150〜250℃の温度であり、反応圧力は常圧か
ら20気圧、好ましくは常圧から10気圧で実施され
る。
【0031】反応系に供給する原料はトルエン、酢酸お
よび酸素である。これらの原料は加温により気化させて
供給される。この反応系は、必要なら反応系に窒素、ア
ルゴン等の不活性ガスを供給して希釈することができ
る。反応系に供給される酸素ガスとしては空気も使用で
きる。これら原料の供給割合は特に限定されないが、全
量に対してトルエンは10〜60容量%、好ましくは2
0〜50容量%、酸素は1〜20容量%、好ましくは3
〜15容量%、酢酸は5〜50容量%、好ましくは10
〜40容量%である。原料の供給速度は、触媒1l当た
り500から5000Nl/h、望ましくは800から
2000Nl/hの範囲で実施される。
【0032】なお、パラジウム触媒に担持された助触媒
である有機カルボン酸のアルカリ金属塩および金属の塩
化物は、しばしば反応中に少しづつ脱離して反応系外に
流出することがある。そのため、これらの助触媒を適当
な溶媒、例えば、水または酢酸に溶解して原料と共に適
宜供給することによって反応系中に加えてもよい。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】実施例1 直径1.7〜3.5mm,表面積100m2/g,平均
細孔径300オングストローム、細孔容積1.05ml
/gの球状のシリカ担体40.0gに、塩化テトラアン
ミンパラジウム錯体(Pd(NH34Cl2)0.28
3mol/lを溶解した1Nアンモニア水100mlを
加え、室温で15時間静置した。次に、蒸留水によりア
ンモニアを十分水洗除去した後、常圧下、110℃で3
時間乾燥した。次に、このパラジウム錯体を担持した担
体を、400℃で5時間空気焼成しパラジウム金属前駆
体を調製した。これにヒドラジン濃度0.75mol/
lの水溶液80mlを加え、室温で1時間還元した。こ
れを蒸留水により水洗した後、常圧下、110℃で3時
間乾燥しパラジウム金属触媒を調製した。
【0035】調製したパラジウム金属触媒は、さらに、
塩化カリウム0.4gおよび酢酸カリウム3.0gを溶
解した水溶液42mlに浸漬したのち、110℃で3時
間乾燥することにより、パラジウム触媒を調製した。こ
の触媒を元素分析した結果、0.75wt%のパラジウ
ム、1.0wt%の塩化カリウムおよび7.5wt%の
酢酸カリウムが担持されていた。
【0036】上記のようにして得られたパラジウム触媒
10mlをステンレス製反応管に充填した。トルエン4
5容量%、酸素5容量%、酢酸30容量%、窒素20容
量%の混合ガスを14Nl/Hrの速度で供給し、反応
温度200℃、圧力5気圧(絶対圧)の条件下にベンジ
ルアセテートの合成反応を実施した。
【0037】反応生成物は冷却凝縮し、ガスクロマトグ
ラフィーによって分析した。これとは別に、冷却凝縮し
た後のガスを同様にガスクロマトグラフィーによって分
析した。この結果、主成分のベンジルアセテートのほか
に炭酸ガス、ベンジリデンジアセテート、ベンズアルデ
ヒド、安息香酸の生成が認められた。結果を表1に示
す。
【0038】実施例2 実施例1と同一な球状のシリカ担体40.0gに、塩化
パラジウム酸ナトリウム(Na2PdCl4)0.987
gを溶解した水溶液42mlを加え充分に吸収させた。
湿潤状態のままのパラジウム化合物を担持した担体に、
ヒドラジン濃度0.75mol/lの水溶液80mlを
加え、室温で1時間還元した。これを蒸留水により水洗
した後、常圧下、110℃で3時間乾燥しパラジウム金
属触媒を調製した。
【0039】調製したパラジウム金属触媒をさらに実施
例1と同様な方法により処理し、0.75wt%のパラ
ジウム、1.0wt%の塩化カリウムおよび7.5wt
%の酢酸カリウムを担持した触媒を調製した。
【0040】上記のようにして得られた触媒10ml
を、実施例1と同様な方法で反応させた。結果を表1に
示す。
【0041】実施例3 実施例1と同一な球状のシリカ担体40.0gに、塩化
パラジウム酸ナトリウム(Na2PdCl4)0.987
gを溶解した水溶液42mlを加え充分に吸収させた
後、45℃、35mmHgの条件下で5時間減圧乾燥
た。次にパラジウム化合物を担持した担体は、500℃
で5時間空気焼成しパラジウム金属前駆体を調製した。
これを300℃で5時間水素還元した後、蒸留水により
水洗し、常圧下、110℃で3時間乾燥しパラジウム金
属触媒を調製した。
【0042】調製したパラジウム金属触媒をさらに実施
例1と同様な方法により処理し0.75wt%のパラジ
ウム、1.0wt%の塩化カリウムおよび7.5wt%
の酢酸カリウムを担持した触媒を調製した。
【0043】上記のようにして得られた触媒10ml
を、実施例1と同様な方法で反応させた。結果を表1に
示す。
【0044】実施例4 塩化カリウムの代わりに塩化マグネシウムを用いた以
外、実施例3と同様にして0.75wt%のパラジウ
ム、1.0wt%の塩化マグネシウムおよび7.5wt
%の酢酸カリウムを担持した触媒を調製した。
【0045】上記のようにして得られた触媒10ml
を、実施例1と同様な方法で反応させた。結果を表1に
示す。
【0046】実施例5 塩化カリウムの代わりに塩化カルシウムを用いた以外、
実施例3と同様にして0.75wt%のパラジウム、
1.0wt%の塩化カルシウムおよび7.5wt%の酢
酸カリウムを担持した触媒を調製した。
【0047】上記のようにして得られた触媒10ml
を、実施例1と同様な方法で反応させた。結果を表1に
示す。
【0048】実施例6 塩化カリウムの代わりに2.1wt%の塩化ナトリウム
を用いた以外、実施例3と同様にして0.75wt%の
パラジウム、2.1wt%の塩化ナトリウムおよび7.
5wt%の酢酸カリウムを担持した触媒を調製した。
【0049】上記のようにして得られた触媒10ml
を、実施例1と同様な方法で反応させた。結果を表1に
示す。
【0050】
【表1】
【0051】尚、表中の略語は次の通りである(以下同
じ)。
【0052】BzOAc:ベンジルアセテート, Di
Ac:ベンジリデンジアセテート 比較例1 塩化カリウムを加えなかったこと以外、実施例1と同様
にして0.75wt%のパラジウムおよび7.5wt%
の酢酸カリウムを担持したパラジウム触媒を調製した。
【0053】上記のようにして得られた触媒10ml
を、実施例1と同様な方法で反応させた。結果を表2に
示す。
【0054】比較例2 塩化カリウムを加えなかったこと以外、実施例2と同様
にして0.75wt%のパラジウムおよび7.5wt%
の酢酸カリウムを担持したパラジウム触媒を調製した。
【0055】上記のようにして得られた触媒10ml
を、実施例1と同様な方法で反応させた。結果を表2に
示す。
【0056】比較例3 塩化カリウムを加えなかったこと以外、実施例3と同様
にして0.75wt%のパラジウムおよび7.5wt%
の酢酸カリウムを担持したパラジウム触媒を調製した。
【0057】上記のようにして得られた触媒10ml
を、実施例1と同様な方法で反応させた。結果を表2に
示す。
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】以上述べたとおり、本発明のベンジルア
セテートの製造方法によれば、効率よくベンジルアセテ
ートを得ることができるので、工業的に有用な製造方法
となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】触媒の存在下に、トルエン、酢酸および酸
    素を気相で反応させベンジルアセテートを製造する方法
    において、触媒がパラジウム、有機カルボン酸のアルカ
    リ金属塩および金属塩化物を担体に担持したパラジウム
    触媒であることを特徴とするベンジルアセテートの製造
    方法。
  2. 【請求項2】金属塩化物が、アルカリ金属、アルカリ土
    類金属およびIVB族金属より選ばれた一種以上の金属
    の塩化物であることを特徴とする請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】パラジウム化合物をイオン交換法により担
    体に担持し、酸素含有ガスで焼成した後、ヒドラジンで
    還元することにより触媒を調製することを特徴とする、
    請求項1または2に記載の方法。
JP6042230A 1993-10-25 1994-03-14 ベンジルアセテートの製造方法 Pending JPH07173101A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102614914A (zh) * 2012-03-07 2012-08-01 中国科学院山西煤炭化学研究所 一种醋酸加氢合成乙醇的催化剂及制备方法和应用
CN104275195A (zh) * 2014-10-11 2015-01-14 江苏常州酞青新材料科技有限公司 一种醋酸苄酯催化剂的制备方法

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