JPH06226870A

JPH06226870A - 空気入りタイヤ

Info

Publication number: JPH06226870A
Application number: JP5015452A
Authority: JP
Inventors: Yutaka Yamaguchi; 裕山口; Kazuo Hayashi; 一夫林; Shungo Ito; 俊吾井藤; Tatsuro Hamada; 達郎濱田
Original assignee: Bridgestone Corp
Current assignee: Bridgestone Corp
Priority date: 1993-02-02
Filing date: 1993-02-02
Publication date: 1994-08-16

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明の目的は、生産性を低下させることな
く、釘踏み等により発生するエアー漏れに対し安定した
エアーシール性を発揮することができる空気入りタイヤ
を提供することにある。【構成】本発明の空気入りタイヤ１は、タイヤの回転
軸心を含む平面に対し実質上平行して配列した有機繊維
コードのゴム引き層の少なくとも１プライからなるトロ
イド状のカーカス２を有し、このカーカス２のクラウン
部３の外周にベルト４とトレッド部５とを備え、カーカ
ス２の内周側にはインナーライナー６を、ベルト４の内
周側にはシーラント層７をそれぞれ配置し、上記カーカ
ス２のプライの一は、カーカス２のクラウン部３で上記
平面内での形状が波形をなし、この波形をなすプライで
上記シーラント層７を、二分して仕切ることによりプラ
イを挟みタイヤ幅方向に沿う交互配置としてなることを
特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、タイヤのクラウン部に
シーラント層を適正に配置することにより、釘踏み等に
より発生するエアー漏れに対し安定したシール性を発揮
することができる空気入りタイヤに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】空気入りタイヤは、実使用環境下では、
釘踏み等の損傷を受けることがある。この損傷は、タイ
ヤ内部に達すればエアー漏れが生じ、特に高速走行時に
このエアー漏れが発生したときには重大事故につながる
憂いがある。

【０００３】そこで、安全性を確保すべく、エアー漏れ
防止についての検討が行われている。例えば、タイヤの
カーカスのクラウン部内面にシーラント層を一定の厚み
で配置するのが有用なことは知られている。具体的に
は、空気入りタイヤに釘等が刺さってタイヤ内部にまで
達した場合でも、通常はこの釘踏み部分によりエアー漏
れが生じるが、この釘踏み部分がシーラント層により塞
ぐことができればエアー漏れを防止することができる。
シーラント層は、一般にはカーカスプライとインナーラ
イナーとの間、もしくはインナーライナーとさらに追加
したライナーとの間の層に配置する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、シーラント層
を上記層間に配置した空気入りタイヤでは、走行時に発
生する遠心力によるシーラント物質の流動によりタイヤ
のクラウン部の幅方向にわたるシーラント層の厚みが不
均一になり、その結果、釘が刺さる位置によっては確実
なエアーシール性が得られないことがあった。

【０００５】また、上記空気入りタイヤのエアーシール
性をより確実にするために、シーラント層内に隔壁等の
仕切りを設け、シーラント物質の流動を抑制することが
あるが知られているが、仕切り用の新たな部材が必要な
こと、この新たな部材の形状・配置等のため生産性の低
下を伴うことなどの不利がある。

【０００６】そこで、本発明は、生産性を低下させるこ
となく、走行時に発生しやすいシール物質の流動を抑制
してタイヤのクラウン部全域にわたるシーラント物質の
厚みを一定に保持することができる空気入りタイヤを開
発して、釘踏み等によるエアー漏れに対しエアーシール
性を安定に発揮させることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、タイヤの回転
軸心を含む平面に対し実質上平行して配列した有機繊維
コードのゴム引き層の少なくとも１プライからなるトロ
イド状のカーカスを有し、このカーカスのクラウン部の
外周に少なくとも二層のコードゴム引き層の交差配列に
なるベルトとこのベルトで補強したトレッド部とを備
え、カーカスの内周側にはインナーライナーを、ベルト
の内周側にはシーラント層をそれぞれ配置してなる空気
入りタイヤにおいて、上記カーカスのプライの一は、カ
ーカスのクラウン部で上記平面内での形状が波形をな
し、この波形をなすプライで上記シーラント層を、二分
して仕切ることによりプライを挟みタイヤ幅方向に沿う
交互配置としてなることを特徴とする空気入りタイヤで
ある。

【０００８】本発明の空気入りタイヤを、タイヤの回転
軸心を含む平面で切断したときの断面構造の一例を図１
に示し、図中１は空気入りタイヤ、２はカーカス、３は
クラウン部、４はベルト、５はトレッド部、６はインナ
ーライナー、７はシーラント層である。図示した空気入
りタイヤ１は、カーカス２が、トロイド状をなし、タイ
ヤの回転軸心を含む平面に対し実質上平行に配列した有
機繊維コードのゴム引き層の少なくとも１プライからな
っている。有機繊維コードの材質としては、主にポリエ
ステル、アラミド、ナイロンなどが好ましい。カーカス
２は２プライ以上からなるのが好ましいが、そのうちの
２プライについては、１プライがカーカス２のクラウン
部３で波形の断面形状を有するもの、他の１プライが通
常の形状を有するものであるのが好ましい。

【０００９】シーラント層７は、ベルト４、カーカス２
のプライ、およびインナーライナー６の部材のうちいず
れかの二部材間に配置され、シーラント物質をこれらの
部材間に密閉する構造とするのがシーラント物質の流動
防止の点から好ましい。この閉じ込められたシーラント
物質は、さらに上記波形をなすカーカス２のプライでタ
イヤ幅方向に沿って二分されて仕切られ、この波形をな
すプライはその各最大ピーク位置でタイヤの半径方向内
外で隣接する上記部材と密着するためこのプライを挟ん
でタイヤ幅方向に沿って交互に配置される。この交互に
配置されたシーラント物質は、それぞれその幅方向端側
にタイヤの半径方向に沿ってオーバーラップする部分を
有する配置となるのが好ましい。

【００１０】シーラント物質は、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソ
プレンーブタジエン共重合体、ポリスチレンーブタジエ
ン共重合体、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アク
リロニトリルーブタジエン共重合体、シリコーンゴムお
よび熱可塑性樹脂から選択された一種または二種以上か
らなるのが好ましく、必要に応じて粘着剤、軟化剤、充
てん材等を配合してもよい。また硫黄架橋、過酸化物架
橋および光架橋のうちいずれかの架橋方法による架橋構
造を有するものであってもよく、加硫剤、過酸化物架橋
剤、光架橋剤等を適宜配合することができる。シーラン
ト物質の粘度は、６０℃で６×１０4ポイズ以下、１０
℃以上で流動性を有する程度であることが好ましい。粘
度が大きすぎると十分なシール効果が得られないからで
ある。なお、粘度の測定は、スペクトロメータＲＶＥ
（レオメトリクス社製）により行った。

【００１１】ベルト４は、少なくとも二層のコードゴム
引き層の交差積層からなり、そのコードには通常の撚り
構造を有するスチールコードを使用し、各コードゴム引
き層のコード配列は、それぞれタイヤ赤道面に対し逆向
きに傾斜させて配置した。インナーライナー６には、通
常のブチル系ゴムを用いた。

【００１２】

【作用】本発明は、シーラント層７を、ベルト４、カー
カス２のプライ、およびインナーライナー６の部材のう
ちいずれかの二部材間に配置するのであるが、特に波形
をなすカーカス２のプライで仕切ることにより、走行時
により遠心力が発生した場合でもシーラント物質の流動
が抑制できるため、所定の位置にシーラント物質を留め
ておくことができ、シーラント層７はタイヤのクラウン
部全面にわたって均一厚みを維持することができる。ま
た、シーラント層７を仕切るための部材にカーカス２の
プライを用いるため、これまで作業を複雑にしていた仕
切り用部材の形状・配置等の選定が不要となる。

【００１３】

【実施例】タイヤサイズが２７５／４０ＺＲ１７である
乗用車用空気入りラジアルタイヤを供試タイヤとして試
験を行った。実施例１〜６は、図１に示すタイヤ幅断面
をもつ発明タイヤ、従来例は図２に示すようにカーカス
が通常形状を有する１プライで構成されこのプライとイ
ンナーライナー間にシーラント層を配置したタイヤ幅断
面をもつ従来タイヤ、比較例は図１に示すタイヤ幅断面
をもち粘度の高いシーラント物質を用いた比較タイヤに
ついてである。

【００１４】図１に示すタイヤ構造を有する発明タイヤ
は、タイヤの回転軸心を含む平面に対して０°で配列し
たポリエステルコード（１５００ｄ／２）のゴム引き層
の２プライからなるトロイド状のカーカス２を有し、こ
のカーカス２のクラウン部３の外周に二層のコードゴム
引き層の交差配列になるベルト４とこのベルト４で補強
したトレッド部５とを備え、カーカス２の内周側にはイ
ンナーライナー６を、ベルト４の内周側にはシーラント
層７をそれぞれ配置している。ベルト４を構成するコー
ドゴム引き層は、１×５の撚り構造を有するスチールコ
ードを使用し、このコードの配設角度をそれぞれタイヤ
赤道面に対し２５°とした。またカーカス２のプライの
一は、カーカス２のクラウン部３でタイヤの回転軸心を
含む平面内での形状が波形（山と谷とのピークトゥピー
ク間幅Ｗが２ｍｍ、一周期のピーク間距離Ｔが７０ｍ
ｍ）をなし、この波形をなすプライで上記シーラント層
７を、二分して仕切ることによりプライを挟みタイヤ幅
方向に沿って交互にシーラント物質を配置した。この交
互に配置したシーラント物質は、それぞれその幅方向端
側にタイヤの半径方向に沿ってオーバーラップする部分
を有する配置とした。

【００１５】また、シーラント層７に充当する粘性材料
の種別は次の通りである。シンジオタクチック１，２ポ
リブタジエンにはＲＢ８０５（ＪＳＲ社製）を、スチレ
ンーイソプレン系熱可塑性樹脂にはＳＩＳ５０００（Ｊ
ＳＲ社製）を、イソプレンゴムにはＩＲ２２００（ＪＳ
Ｒ社製）を、シリコーンゴムにはＥＨ５５２０Ｕ（ＪＳ
Ｒ社製）を、液状イソプレンにはＬＩＲ５０（クラレ
製）を、スチレンーオレフィン系熱可塑性樹脂にはＫＲ
ＡＴＯＮＧ１６５７（シェル化学社製）を、ジクミル
パーオキサイドにはパークミルＤ（日本油脂社製）を、
ベンジルジメチルケタールにはイルガキュア６５１（チ
バガイギ社製）を、トリメチロールプロパントリアクリ
レートにはＡ−ＴＭＰＴ（新中村化学社製）を使用し
た。本試験に供した空気入りタイヤのシーラント層７
は、上記の粘性材料がそれぞれ表１に示す割合で配合さ
れている。なお、表１には、架橋の有無、粘度（６０
℃）およびシーラント層７の平均厚みについても併せて
付記した。

【００１６】

【表１】

【００１７】従来例に使用した従来タイヤは、図２に示
すようにカーカスが通常形状を有する１プライで構成さ
れ、このプライとインナーライナー間にシーラント層を
配置したタイヤ幅断面をもつこと以外の構造について
は、図１に示す発明タイヤと同じであり、比較例に使用
した比較タイヤは、粘度の高いシーラント物質を用いた
こと以外は図１に示す発明タイヤと同じである。

【００１８】次に、試験方法について説明する。試験
は、供試タイヤを車両のリアーに装着し、この供試タイ
ヤに釘（直径３ｍｍ、長さ６５ｍｍ）を図１〜図２に示
す箇所Ｐにタイヤ内部に達するまで打ち込み、この状態
のタイヤを平均速度１００ｋｍ／ｈで一周３．５ｋｍの
周回路を走行しタイヤ内圧を三時間ごとにチェックし
て、初期内圧２４０ｋＰａが１４０ｋＰａに低下したと
きの走行距離を測定し、これによりエアーシール性を評
価した。これらの試験結果を表２に示す。

【００１９】

【表２】

【００２０】これらの試験結果から、実施例１は、従来
例および比較例に比べ、シーラント物質が流動しやすい
高速走行条件下においても、優れたエアーシール性を発
揮した。また、シーラント物質に使用する粘性材料の配
合、架橋の有無、粘度（６０℃）の条件を適正範囲内で
変化させた実施例２〜６についても優れたエアーシール
性を示した。

【００２１】

【発明の効果】本発明によれば、シーラント層７を、ベ
ルト４、カーカス２のプライ、およびインナーライナー
６の部材のうちいずれかの二部材間に配置し、さらに波
形をなすカーカス２のプライで仕切ることにより、走行
時により遠心力が発生した場合でもシーラント物質の流
動を抑制できるため、所定の位置にシーラント物質を留
めておくことができ、シーラント層７はタイヤのクラウ
ン部全域（特にタイヤ幅方向）にわたって均一厚みを維
持することができる。したがって、タイヤのクラウン部
であればどの部分に釘等が刺さったとしても、シーラン
ト層がタイヤのクラウン部全域にわたり均一に存在する
ため、釘踏み等によるエアー漏れを素早くふさぐことが
でき、安定したエアーシール性が得られる。また、シー
ラント層７を仕切るための部材にはカーカスプライを用
いるため、これまで作業を複雑にしていた仕切り用部材
の形状・配置等の選定が不要になり、生産性が向上す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１〜６および比較例に使用した空気入り
タイヤの主要部の幅断面図である。

【図２】従来例に使用した空気入りタイヤの主要部の幅
断面図である。

【符号の説明】

１，１１空気入りタイヤ２カーカス３クラウン部４ベルト５トレッド部６インナーライナー７シーラント層Ｐ釘の打ち込み位置Ｔ一周期のピーク間距離Ｗピークトゥピーク間幅

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所 // Ｂ２９Ｌ 30:00 4Ｆ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】タイヤの回転軸心を含む平面に対し実質
上平行して配列した有機繊維コードのゴム引き層の少な
くとも１プライからなるトロイド状のカーカスを有し、
このカーカスのクラウン部の外周に少なくとも二層のコ
ードゴム引き層の交差配列になるベルトとこのベルトで
補強したトレッド部とを備え、カーカスの内周側にはイ
ンナーライナーを、ベルトの内周側にはシーラント層を
それぞれ配置してなる空気入りタイヤにおいて、上記カーカスのプライの一は、カーカスのクラウン部で
上記平面内での形状が波形をなし、この波形をなすプラ
イで上記シーラント層を、二分して仕切ることによりプ
ライを挟みタイヤ幅方向に沿う交互配置としてなること
を特徴とする空気入りタイヤ。