JPH06212155A - 微生物保持用担体、該担体を用いた土壌修復剤及び土壌修復方法 - Google Patents

微生物保持用担体、該担体を用いた土壌修復剤及び土壌修復方法

Info

Publication number
JPH06212155A
JPH06212155A JP5260866A JP26086693A JPH06212155A JP H06212155 A JPH06212155 A JP H06212155A JP 5260866 A JP5260866 A JP 5260866A JP 26086693 A JP26086693 A JP 26086693A JP H06212155 A JPH06212155 A JP H06212155A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carrier
soil
microorganisms
microorganism
bacteria
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5260866A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinya Furusaki
眞也 古崎
Kinya Kato
欽也 加藤
Tetsuya Yano
哲哉 矢野
Kazusane Tanaka
和實 田中
Takeshi Imamura
剛士 今村
Masanori Sakuranaga
昌徳 桜永
Chieko Mihara
知恵子 三原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP5260866A priority Critical patent/JPH06212155A/ja
Publication of JPH06212155A publication Critical patent/JPH06212155A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡易かつ経済的な方法で調製可能であり、土
壌修復用の微生物の保持に適した孔隙を多数有するとと
もに栄養物もあわせて提供できる土壌修復のための微生
物保持用担体、該担体に土壌修復用微生物を保持させた
土壌修復剤及びこれらを用いた土壌修復方法を提供する
こと。 【構成】 土壌修復用微生物を保持するための孔隙を有
する担体の該孔隙内に該微生物の栄養物を保持させて担
体を形成し、これに土壌中のフェノールたトリクロロエ
チレンなどの有害物質の分解能を有する微生物等を更に
保持させて土壌修復剤とし、土壌に投与することで、土
壌修復を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は土壌修復に用いる微生物
の保持用担体、該担体の孔隙に更に土壌汚染物質の分解
能を有する微生物を保持させた土壌修復剤及び該土壌修
復剤を土壌に投与する土壌修復方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、芳香族炭化水素、パラフィン、ナ
フテン等の炭化水素、あるいはトリクロロエチレン、パ
ークロロエチレン等の有機塩素系化合物等による環境汚
染が問題となっている。これらの深刻な環境汚染の拡大
を防止するとともに、すでに汚染されてしまった環境を
浄化し、もとの状態に戻していく技術の確立が強く望ま
れている。この環境修復技術の例としては、曝気処理、
天日処理、真空釜、真空抽出等の物理化学的処理が行わ
れているが、コスト、操作性、投下エネルギー量、処理
範囲、難分解性物質の分解性などの点から総合的にみた
場合、必ずしも有利な方法とはいえない。
【0003】そこで、物理化学的処理の問題を解決でき
る方法として微生物による生物学的な処理による環境修
復の利用が検討されてきている。
【0004】土壌汚染を引き起こしている難分解性化合
物、例えば、芳香族炭化水素や有機塩素系化合物を分解
する微生物は数多く知られている。しかしながら、現実
の汚染土壌にこれらの菌を単にそのまま散布した場合、
散布時の菌の初期濃度に対して土壌中での菌濃度は時間
の経過とともにどんどん減少し、汚染現場の修復効率は
低下してしまう。そのため、微生物散布をたびたび繰り
返さなければならないなどの不都合が生じてくる。従っ
て、土壌中における投与した分解菌の増殖能を維持さ
せ、その菌濃度を高く保持することが実用上強く求めら
れている。
【0005】従来より医薬品工業、食品工業、廃水処理
システム等で用いられるバイオリアクターでは、微生物
を高濃度に保持するためのさまざまな微生物の保持担体
が提案されている。例えば、多孔質ガラス、セラミク
ス、金属酸化物、活性炭、ゼオライト、アンスラサイト
等の粒子状担体、寒天、ポリビニルアルコール、アルギ
ン酸、ポリアクリルアミド、カラギーナン等のゲル状担
体等である。
【0006】また、特表平4−503528号には、ク
ロロフェノール類分解微生物を多孔質支持体に固定して
汚染土壌に添加する方法が開示されている。この多孔質
支持体は、微生物に好ましい生育環境を形成し、微生物
を捕食生物の攻撃から保護することができる。
【0007】しかしながら、土壌は一般に貧栄養である
ので、土壌中に投与した土壌修復用微生物の栄養物とな
るような物質を更に土壌に補給する必要が生じる場合が
多い。ところが、そのような場合、土壌中での物質移動
はきわめて緩慢であるため、土壌修復用微生物の栄養物
となるような物質を土壌表面より与えても、なかなか効
果を発揮せず、このため微生物を単にそのまま土壌に散
布した場合はもちろんのこと、前述した有機、無機、粒
子状、ゲル状、または多孔性等いずれの担体に固定化し
て散布しても、投与微生物に充分な栄養物が供給されな
いため、投与微生物のの増殖能の活性化、高菌濃度の維
持は土壌中では未だ不十分であった。
【0008】また、例えば、逆に、投与微生物に好適な
条件が揃い、この微生物を土壌中で増殖、高濃度で維持
させることができ、汚染物質の分解除去処理を良好に行
え得たとすると、今度はその投与微生物が除去処理後も
環境中に存在し続けることは好ましくない。これは投与
微生物自体による2次汚染等の不必要な懸念を招きかね
ないためである。
【0009】すなわち、理想的には、外部から侵入した
微生物は汚染領域のみ働き、汚染が修復された後は自動
的に消滅することが望ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、微生
物を用いた土壌修復において土壌中にある該微生物への
簡易で経済的な栄養物の供給が可能となり、該微生物の
土壌中での増殖能の活性化、高菌濃度の維持を可能と
し、更にこの投与した微生物が汚染領域でのみ働き、汚
染が修復された後は自動的に消滅して、投与微生物の残
存による生態系への影響を排除することのできる微生物
の保持用担体、該担体に微生物を保持させた土壌修復
剤、及び係る修復剤を用いた土壌修復方法を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。
【0012】即ち、本発明の微生物保持用担体は、土壌
修復に用いる微生物を保持する担体であって、前記担体
が孔隙を有し、前記孔隙中に栄養物を保持していること
を特徴とする。
【0013】また、本発明のもう一つの微生物保持用担
体は、土壌修復に用いる微生物を保持する担体であっ
て、前記担体が孔隙を有し、前記微生物の栄養物である
ことを特徴とする。
【0014】本発明の土壌修復剤は、土壌汚染物質分解
能を有する微生物、及び、前記微生物を保持する微生物
保持用担体を含む土壌修復剤であって、前記担体が孔隙
を有し、前記孔隙中に栄養物を保持していることを特徴
とする。
【0015】本発明のもう一つの土壌修復剤は、土壌汚
染分解能を有する微生物、及び、前記微生物を保持する
微生物保持用担体を含む土壌修復剤であって、前記担体
が孔隙を有し、前記微生物の栄養物であることを特徴と
する。
【0016】更に、本発明の土壌修復方法は、上記の土
壌修復剤を土壌に投与することにより土壌を修復する土
壌修復方法である。
【0017】本発明者らは、上記観点から汚染化合物分
解能を有する土壌修復用の微生物を土壌に投与するため
に有用な担体を種々検索した結果、微生物を保持する孔
隙を有する担体であって、該孔隙中に該微生物の栄養物
を保持させる、または該担体自身を該微生物の栄養物と
することにより、土壌中で投与された微生物が効率良く
維持され、かつ増殖し、しかも一定期間の後には投与し
た微生物も消失させることができることを見出し、本発
明に至った。
【0018】以下、本発明をより具体的に詳述する。
【0019】まず、本発明の微生物保持用担体の1つで
ある、孔隙を有し、該孔隙中に栄養物を保持させる担
体、及び該担体に微生物を保持させた土壌修復剤につい
て説明する。
【0020】この微生物保持担体の基本構成材料として
は、例えば、セルロース、デキストラン、アガロースの
ような多糖類、ゼラチン、アルブミンなどの不活化タン
パク、イオン交換樹脂、ポリビニルクロライドのような
合成高分子化合物、セラミクス、多孔性ガラスなどの無
機物、コラーゲン、寒天、アルギン酸、カラギーナン、
セルロースアセテート、ポリアクリルアミド、ポリビニ
ルアルコール、エポキシ樹脂、光硬化性樹脂、ポリエス
テル、ポリスチレン、ポリウレタンなどの包括担体に用
いる高分子化合物などがあげられる。
【0021】これらの基本構成材料は、有用微生物の保
持という点から考えると、微生物を微小孔隙中へ侵入さ
せることにより保持力を高めることができるような、そ
して孔隙径がある程度制御可能であるような多孔性の担
体を形成できるものが望ましい。つまり、多孔性とする
ことにより有用微生物が付着できる表面積を増すことが
可能となるとともに、孔隙の径を制御することにより原
生動物などによる捕食を回避することもあわせて可能と
なるからである。さらに、本発明によるところの栄養物
の供給手段をこれらの担体に加えることによってはじめ
て、土壌中において有用微生物の増殖、維持をはかるこ
とが可能となった。
【0022】更に、担体自体を生分解性の材料から形成
することは、残留担体による2次汚染や投与微生物によ
る土壌生態系への影響が問題となる場合に、かかる問題
を回避できるという点から好ましい。このような生分解
性の担体としては、土壌の投与微生物による修復処理後
に徐々に分解されて消失するものが好ましい。このよう
な担体を用いれば、担体の消失によって土壌中に放出さ
れた投与微生物は、土壌中の優勢な土着微生物との競争
や原生動物の捕食、あるいは生育にとって苛酷な環境下
に置かれることによって駆逐されてその数が徐々に減少
し、やがて消滅し、その結果土壌中の生態系をもとの状
態に戻すことができる。
【0023】このような生分解性担体としては、セルロ
ース、リグニン、デンプン、アガロース、デキストラ
ン、アルブミン、キチン、キトサン、濾紙、木片等から
なるものが利用できる。これらの材料からなる担体は、
微生物の保持が比較的穏やかで増殖した微生物の脱離も
容易であり、安価であり、場合によっては投与微生物自
体の栄養源となるので好ましい。
【0024】生分解性担体を用いた場合の担体自体の分
解速度は、その材質や性状等を選択することで制御可能
であり、例えば、材質を考慮して、孔隙の孔径、孔隙の
形態、担体の形状及び大きさ等を適宜選択する。なお、
これらの要件の選択に際して、分解速度に影響を及ぼす
因子として考慮すべきものとしては、担体を分解する微
生物(土壌中の土着微生物または投与微生物)の種類、
量及び分解活性、あるいは処理土壌の体積等を挙げるこ
とができ、どのくらいの期間で汚染物質が分解するか、
どのくらいの期間で担体が分解するかをあらかじめフィ
ールド実験で確認し、その上で担体を設計すると良い。
【0025】係る担体に保持させる栄養物としては、炭
素、窒素、リンを含むものが好ましく、微生物の生育に
適した培養液などが挙げられる。培養液としては、例え
ば、肉汁、酵母エキス、麦芽エキス、バクトペプトン、
グルコース、無機塩類、ミネラルなどが適当な割合で混
合したものが良く用いられているが、担体に担持させよ
うとする微生物の種類に応じて適当な配合比のものを選
べば良い。また、本発明における栄養物としては、上記
の培養液以外にも有機、無機栄養物を適当に含むもので
あれば、どのようなものでも利用可能である。例えば、
自然界より採取した、あるいは培養を加えた任意の微生
物を乾燥、粉砕し、粉砕微粉体を栄養物として担体に含
有してもよい。
【0026】栄養物を上述の担体に含有させる方法を示
す。まず、多孔性ガラス、セラミクスなどの、水不溶性
な無機多孔質担体に栄養物を含有させる方法としては、 1)担体を栄養物を含む溶液にひたし、 2)超音波処理などにより担体の孔隙の奥まで該溶液を
浸透させた後、 3)加温乾燥することにより栄養物を担体の孔隙中で乾
燥、固結させる工程を含む方法などがある。
【0027】また、カラギーナン、アルギン酸などの、
ゲル状包括担体に栄養物を含有させる方法としては、 1)栄養物を含む溶液とゲル化材料(カラギーナン、ア
ルギン酸など)を含む溶液と混合した後、 2)ゲル化とともに担体形状を制御して担体を得る工程
を含む方法などがある。
【0028】上記の栄養物含有法はほんの一例にしか過
ぎず、栄養物は乾燥状態、あるいは水溶化された状態い
ずれの状態でも用いることが可能であり、その適用は担
体の存在状態、形状、性質などに最適な状態、方法を用
いて含有させれば良い。
【0029】これら担体へ微生物を保持させることによ
り、本発明の土壌修復剤の1つとすることができる。こ
の保持させる方法は通常の方法でよく、例えば、粒状固
形担体の場合は物理的あるいはイオン的に吸着させるか
共有結合させる、包括法の場合は上述の方法そのままに
微生物を包み込めばよい。
【0030】次に、本発明の微生物保持用担体のもう1
つの形である担体自身が微生物の栄養物である担体、及
び該担体に微生物を保持させた土壌修復剤について説明
する。
【0031】この担体の具体例としては、自然界もしく
は培養により得られた微生物を乾燥、固結することによ
り細胞間隙中の水分を排除し、微生物同士を固着、結合
せしめた乾燥固結微生物担体、天然高分子(例えば、間
伐材、廃材等のチップ、バガス、麦わら等のリグノセル
ロース系農林産廃棄物、エビ、カニ等甲殻類の殻やイカ
背骨等のキチン系水産廃棄物など)からなる担体、これ
ら天然高分子の爆砕処理物からなる担体などが挙げら
れ、栄養物のみからなるものがより好ましい。
【0032】まず、微生物乾燥固結担体について述べ
る。本発明において担体として利用可能な微生物は担体
に保持させる土壌修復用微生物の種類に応じて選択さ
れ、培養もしくは自然界より採取されたものが利用でき
る。なお、該微生物は、特定化された微生物や、純粋に
分解された微生物である必要はない。
【0033】乾燥固結化処理は、通常オーブンあるいは
乾燥器等で菌体を脱水し、固形形状のまま乾燥処理に供
することにより行うことができる。ここで、加温処理は
乾燥を促進させるためのものであり、必ずしも必要とさ
れるものではない。また、凍結乾燥による固結も可能で
ある。担体の強度を高める上で、処理菌体の水分含量は
細胞間隙の水分が存在しなくなるまで乾燥することが望
ましいが、50%程度の水分含量でも十分実用に供する
ことが可能である。
【0034】このようにして微生物を乾固した後、所望
する粒子サイズに適宜粉砕、切断を行い、担体粒子を調
製する。例えば、培養微生物を遠心沈殿もしくはフィル
ター上で集菌し、固形形状のまま所定の温度で乾燥、固
結し、カッター、ミル、ブレンダー等で粉砕、切断し、
粒子状の固形化物を得ることができる。ここで、粒子サ
イズは、条件設定により任意に選択可能である。さら
に、半乾燥状態で試料を取り出し、その状態で粒子化を
行い、その後さらに強度を増加させるために乾燥を加え
ることも可能である。
【0035】また、このようにして調製した担体は、担
体の調製に利用した微生物の大きさ、形状等に依存して
数μmから数100μm程度の孔径を有し、土壌修復用
微生物の保持担体として優れた形状を有する。さらに、
集菌条件の選択、あるいは集菌固形物の爆砕処理等の空
疎化処理等により、数μmから数100μm程度の任意
の孔径を得ることも可能である。
【0036】次に、天然高分子を材料とした担体につい
て詳述する。リグノセルロース系やキチン系の天然高分
子は、細胞由来の孔隙をさまざまな形で有し、かつ微生
物の生存に必要な炭素源および窒素源を豊富に含む。こ
れらの点より、上記天然高分子をそのまま土壌修復微生
物の保持担体として用いても十分な効果を得ることがで
きるが、さらに、本発明者らは爆砕処理を加えた該天然
高分子が、微生物の保持担体としてよりいっそう優れた
ものであることを見いだした。
【0037】ここで爆砕とは、粗粉砕試料を密閉した圧
力窯中で水蒸気によって蒸煮し、その後速やかに空気中
に放出するという2段階の処理行程であり、一般的な効
果としては (1)高温、高圧蒸気による組織、細胞の軟化、分解。 (2)それに続く急激な圧力の低下による細胞構造の物
理的破壊。 という細胞、組織の物理的、化学的な形態変化が挙げら
れる。この処理方法は、通常木材チップの飼料化やアル
コール発酵等の前処理として用いられており、IOTE
CH社やSTAKE Technology社では連続
式の爆砕装置を開発し、それぞれ実用化している。な
お、これらの爆砕については『セルロース資源』(越島
哲夫編:学会出版センター)p.100−115に詳し
い。
【0038】このような爆砕処理により、リグノセルロ
ース系あるいはキチン系天然高分子中のリグニン、セル
ロース、キチン等の化学結合が分断され低分子化される
とともに、その膨潤度が増し分解酵素等のアクセスビリ
ティーが高まるため、微生物が栄養物として非常に利用
しやすい性質を担体に付与することが可能である。さら
に、有用微生物の保持に好適な孔隙もあわせて提供する
ことが可能である。
【0039】それ自身が栄養物である担体の構成材料
は、該担体に保持させる土壌修復用の微生物の種類に応
じて選択されるが、上述の乾燥固着微生物からなるもの
や天然高分子爆砕法などにより調製された担体は、広範
な微生物の栄養物となり得るものであり、特に有用であ
り、更に土壌修復用の微生物の保持に適した孔隙を持つ
ことから、土壌中でのその増殖、維持に充分な機能を持
つ。なお、栄養物から構成されるということは、言を換
えれば生分解性であるということにほかならない。ま
た、これらの担体は、水分と接触し膨潤しても十分な強
度を有し、汚染土壌中に散布しても微細化することなく
実用に供することができる。
【0040】これらの担体へ微生物を保持させることに
より、本発明の土壌修復剤の1つとすることができる。
【0041】この土壌修復用微生物を保持させる方法は
通常の方法でよく、例えば、担体と培地を混合して菌を
培養する、減圧下で孔隙内に菌を封入する、等の方法で
保持させれば良い。
【0042】本発明の担体に保持させる微生物は、特に
限定されないが、芳香族炭化水素系化合物、トルエン等
の有機溶剤、有機塩素化合物等を分解するPseudomonas
属に属する細菌の他に、各種有害物質の分解能を有する
ことが知られているMethylosinus、Methylomonas、Meth
ylobacterium、Alcaligenes、Mycobacterium、Nitrosom
onas、Xanthomonas、Spirillum、Vibrio、Bacterium、A
chromobacter、Acinetobacter、Flavobacterium、Chrom
obacterium、Desulfovibrio、Desulfotomaculum、Micro
coccus、Sarcina、Bacillus、Streptomyces、Nocardi
a、Corynebacterium、Pseudobacterium、Arthrobacte
r、Brevibacterium、Saccharomyces、Lactobacillusの
各属に属する微生物等を用いることがきる。
【0043】なお、投与微生物としては、既に単離され
ているもの、土壌等から目的に応じて新たにスクリーニ
ングしたものが利用でき、複数の株の混合系でもよい。
なお、スクリーニングにより分離したものの場合それが
未同定のものでも良い。
【0044】上述したような微生物を保持した本発明の
担体、すなわち土壌修復剤を土壌に投与することによっ
て土壌の浄化処理を行うことができる。土壌への投与
は、散布処理、土壌との混合処理等常法によって行うこ
とができる。また、土壌の比較的深部の投与には、掘削
孔を設けてそこから土壌修復剤を投与・分散させる方法
が利用できる。そのような方法の一例を以下に図面を用
いて説明する。
【0045】図17は、通気孔を利用する投与方法にお
ける工法を示す図である。通気孔を利用する方法では、
まず、土壌に掘削等の方法によって通気孔1を設け、そ
こに通気用パイプ1aを挿入し、コンプレッサー等の送
風手段4によって通気用パイプ内に気圧をかけて陽圧と
しつつ投入孔3から土壌修復剤を投入し、通気用パイプ
1aの土壌修復剤放出用の孔(ピット)が多数設けられ
たピット部2から土壌修復剤を土壌中に放出させる。な
お、必要に応じて、適当な位置に吸気孔5を設けて吸気
ポンプ等の吸気手段6によって吸気孔内を負圧にするこ
とで、通気孔1での通気による土壌修復剤の分散効果を
促進することができる。なお、土壌深部の酸素分圧は低
く、好気性菌による処理には不適当な場合が多いが、こ
の通気孔を用いる方法によれば、土壌の深部に酸素を送
り込むことができ、好気性菌による活発な分解作用を得
ることもできる。なお、通気孔や吸気孔の大きさ(内
径)、深さ、形状、通気孔への通風量、吸気孔からの吸
気量は、処理する土壌層の深さ、土質、微生物や担体の
種類等に応じて適宜選択すれば良い。
【0046】また、給水を利用することによって土壌修
復剤の土壌中への散布を行うことも可能である。
【0047】例えば、図18に示すように、給水孔7を
設け、給水用パイプ7aを挿入して、給水ポンプ等の給
水手段10から給水用パイプ7aに給水して水圧をか
け、投入部9から土壌修復剤を投入して給水の流れに載
せてこれをピット部8から土壌深部に供給し、土壌中に
分散させる。なお、ピット部8を地下水脈13中に設け
ることにより、地下水流を利用して土壌修復剤を分散さ
せることができる。給水手段10からの給水として溶存
酸素量の多い水を用いることで、土壌中への酸素の供給
も可能となり、好気性菌による活発な分解作用を得るこ
ともできる。また、必要に応じて吸水孔11を設け、吸
水ポンプ等の吸水手段12で水を吸い上げてやること
で、上記の給水による効果を促進させることができる。
この地下水を利用する方法における給水孔や吸水孔の大
きさ(内径)、深さ、形状、給水孔への給水量、吸水孔
からの吸水量は、処理する土壌層の深さ、土質、微生物
や担体の種類等に応じて適宜選択すれば良い。
【0048】以下、実施例により本発明をより具体的に
説明するが、これらは本発明の範囲をなんら限定するも
のではない。
【0049】
【実施例】
実施例1(多孔質ガラスを用いた微生物保持用担体の調
製) 担体として旭硝子(株)の多孔質ガラスMPG(孔径2
0μm、粒径2〜3mm、0.35cc/g)を用い
た。このMPG20gに酵母の培養液であるYPD培地
(1リットル中、酵母エキス10g、ペプトン20g、
グルコース20g及び水を含む)30mlを加え、超音
波洗浄器で1分間処理した。過剰の培地を取り除き、乾
燥器を用いて70℃、2時間乾燥することにより栄養物
を保持した微生物保持用担体を調製した。
【0050】実施例2(ポリビニルアルコールを用いた
土壌修復剤の調製) ポリビニルアルコール(平均重合度2000)5gを、
オートクレーブ直後のYPD培地50mlに溶解し、冷
却後、炭酸水素ナトリウム5gと酵母(Saccharomyces
cerevisiaeAB1380株、東洋紡績(株))湿菌体5
gを混合し、ポリビニルアルコール、酵母及び酵母の栄
養物の混合物を得た。これを60%硫酸アンモニウム
(pH4)中に滴下し、約30分間接触の後水洗し、栄
養物及び微生物(酵母)を保持した土壌修復剤を調製し
た。
【0051】実施例3(Saccharomyces cerevisiaeの土
壌中での生残性(1)) S. cerevisiae YPH499株をYPD培地10mlに
接種し、30℃で対数増殖にいたるまで培養を行った。
この培養液中に、実施例1で調製した微生物保持用担体
1gを加え、耐圧ビン中で減圧し菌を担体に導入し、土
壌修復剤を調製した。
【0052】担体に導入された菌数は、吸光度−菌数直
線により求めた。つまり、担体を加える前の菌数と、担
体に菌を導入した後の菌数を吸光度よりもとめ、その差
分を担体に導入された菌数とした。吸光度−菌数直線
は、ある吸光度の菌懸濁液を血球計算板で菌数を計数す
ることにより求めた。
【0053】上記のように調製した土壌修復剤を、滅菌
した褐色森林土100gに添加し、30℃で培養を行
い、経日的にこの土壌より10gずつサンプリングし
た。サンプルはホモジナイザーを用いてリン酸緩衝液5
0mlに分散の後、YPD培地の希釈平板法で菌数を求
めた。実験は同一構成の実験系を5基用意してこれらを
平行して行う5連で行い、土壌1gあたりの菌数で平均
をとった。その結果を図1に示す。
【0054】比較例1 実施例3と同様の実験系で、担体を栄養物添加処理をし
ていないMPGに変更した。また、土壌に導入する酵母
の菌数は、実施例3とほぼ同数となるようにした。実施
例3と同様に経日的にサンプリングをして菌数を求め
た。実験は5連で行い、土壌1gあたりの菌数で平均を
とった。その結果を図1に示す。
【0055】実施例4(Saccharomyces cerevisiaeの土
壌中での生残性(2)) 実施例3と同様の実験系で、土壌修復剤のみを実施例2
の方法で調製した土壌修復剤に変更した。土壌に導入す
るS. cerevisiaeの菌数は、実施例3とほぼ同数となる
ようにした。実施例3と同様に経日的にサンプリングし
菌数を求めた。実験は5連で行い、土壌1gあたりの菌
数で平均をとった。その結果を図2に示す。
【0056】比較例2 実施例4と同様の実験系で、土壌修復剤の調製をYPD
培地を用いずに行った。すなわち、培養液を含まない土
壌修復剤に変更した。土壌に導入するS. cerevisiaeの
菌数は、実施例3とほぼ同数となるようにした。実施例
3と同様に経日的にサンプリングし菌数を求めた。実験
は5連で行い、土壌1gあたりの菌数で平均をとった。
その結果を図2に示す。
【0057】実施例5(Pseudomonas cepaciaによるト
リクロロエチレン(TCE)の分解及びPseudomonas ce
paciaの生残性(1)) (セルロースを用いた微生物保持用担体の調製)セルロ
ース微粉末担体(旭化成社製マイクロキャリア)を多孔
質担体として用い、この20g(乾燥重量)に0.5%
酵母エキスを加えたM9培地(1リットル中、Na2
PO4 6.2g、KH2PO4 3.0g、NaCl
0.5g、NH4Cl 1.0g及び蒸留水を含む(pH
7.0))500mlを加え、担体内の空気を減圧して
脱気した後、超音波洗浄器で1分間処理した。過剰の培
地を取り除き、乾熱器を用いて70℃、2時間乾燥する
ことにより栄養物を保持した微生物保持用担体を調製し
た。
【0058】(トリクロロエチレンの分解)トリクロロ
エチレン及びフェノールを分解する菌であるPseudomona
s cepaciaKK01株(国際寄託番号: FERM B
P−4235)を0.05%の酵母エキスを含むM9培
地1000mlに接種し、30℃で培養を行った。培養
液のO.D.(530nm)が約0.7に達した後、こ
の溶液に上述の微生物保持用担体20g(乾燥重量)を
加え、耐圧瓶中で減圧して微小孔隙中に菌を導入した。
この担体をろ紙(ワットマンNo.44)上に広げ、
吸引して余分の培養液を担体から除き、さらに100m
lの蒸留水を吸引しながらろ紙上の担体に3回注ぎ、担
体に吸着されていないわずかの菌を洗脱した。
【0059】担体に吸着している菌数は以下のようにし
て求めた。まず、菌を吸着した担体10gをブレンダー
カップに入れ、滅菌水40mlを加えて1分間、100
00rpmでブレンダー処理した。ここで得られた菌懸
濁液中の菌数を希釈平板法で測定することにより求め
た。培地はフェノール単一炭素源寒天培地を用い、さら
にコロニー性状を識別してプレートカウントを行った。
【0060】次に、トリクロロエチレン1mg及びTC
E分解のためのインデュサー物質であるフェノール20
mgを添加した含水比80%の未滅菌褐色森林土50g
に100ml容バイアル瓶中で上述のように作製した土
壌修復剤5g(湿重量)を添加・混合し、ブチルゴム栓
を用いて密封した。同様のものを3個準備し、20℃の
恒温培養器中に静置した。また、50ppmのフェノー
ルを、7日ごとの測定直後にゴム栓からシリンジを用い
て添加した。培養開始後、0日、7日、14日、21
日、28日目に各バイアル瓶気相中のトリクロロエチレ
ン濃度をガスクロ=ヘッドスペース法によって測定し
た。実験は各日3連ずつ行い、トリクロロエチレン濃度
の平均をとり、初期濃度を100として残存量の相対値
を求めた。
【0061】また、同様に汚染物質及び菌を含む土壌修
復剤を調製した土壌の培養0日、7日、14日、21
日、28日、56日、84日、112日目の生残菌数を
測定した。方法は、ブレンダーで土壌を懸濁し、その懸
濁液中の菌数を前述の希釈平板法で測定することにより
求めた。なお、セルロース担体は56日目頃から生分解
作用を受け始めた。これらの結果を図3、4に示す。
【0062】比較例3 実施例5の担体に吸着している菌数とほぼ同じ菌数と
なるように吸光度を用いて調整した菌懸濁液5mlを実
施例5と同様に土壌に添加・混合した系、 栄養物を保持した微生物保持用担体を蒸留水で湿潤後
実施例5と同様にろ紙上で吸引し、余剰蒸留水を除い
た、菌の吸着していない担体5gを土壌に添加・混合し
た系、 実施例5の担体に吸着している菌数とほぼ同じ菌数と
なるように吸光度を用いて調整した菌懸濁液5mlと菌
の吸着していない担体5gを別々に同一の土壌に添加・
混合した系、 蒸留水5mlを土壌に添加・混合した系 を準備し、各々実施例5と同様に密封後培養して経日的
に各バイアル瓶の気相中のトリクロロエチレン濃度をガ
スクロ=ヘッドスペース法によって測定した。実験は各
日3連ずつ行い、トリクロロエチレン濃度の平均をと
り、初期濃度を100として残存量の相対値を求めた。
【0063】また、土壌中の生残菌数も各々実施例5と
同様に培養0日、7日、14日、21日、28日、56
日、84日、112日目に測定した。なお、セルロース
担体は56日目頃から生分解作用を受け始めた。
【0064】これらの結果を図3、4に示す。
【0065】実施例6(Pseudomonas putidaによるトリ
クロロエチレンの分解) (ゼオライトを用いた微生物保持用担体の調製)無機多
孔質担体としてゼオライト(粒径200〜500μm)
を用いた。ゼオライト30gに0.5%酵母エキスを加
えたM9培地50mlを加え、超音波洗浄器で1分間処
理した。過剰の培地を取り除き、乾熱器を用いて70
℃、2時間乾燥することにより栄養物を保持した微生物
保持用担体を調製した。
【0066】(トリクロロエチレンの分解)トリクロロ
エチレン及びフェノールを分解する菌であるPseudomona
s putidaBH(大阪大学工学部、環境工学科)を0.0
5%の酵母エキスを加えたM9培地100mlに接種
し、30℃で培養を行った。培養液のO.D.(530
nm)が約0.7に達した後、この溶液に上述の微生物
保持用担体20gを加え、耐圧瓶中で減圧して微小孔隙
中に菌を導入した。
【0067】この担体をろ紙(ワットマンNo.44)
上に広げ、吸引して余分の培養液を担体から除き、さら
に100mlの蒸留水を吸引しながらろ紙上の担体に3
回注ぎ、担体に吸着されていないわずかの菌を洗脱し
た。
【0068】担体に吸着している菌数は以下のようにし
て求めた。まず、菌を吸着した担体10gをブレンダー
カップに入れ、滅菌水40mlを加えて1分間、100
00rpmでブレンダー処理した。ここで得られた菌懸
濁液中の菌数を希釈平板法で測定することにより求め
た。培地はフェノール単一炭素源寒天培地を用い、さら
にコロニー性状を識別してプレートカウントを行った。
【0069】次に、トリクロロエチレン1mg及びTC
E分解のためのインデュサー物質であるフェノール20
mgを添加した含水比80%の未滅菌褐色森林土50g
に100ml容バイアル瓶中で上述のように作製した土
壌修復剤5g(湿重量)を添加・混合し、ブチルゴム栓
を用いて密封した。同様のものを3個準備し、20℃の
恒温培養器中に静置した。また、50ppmのフェノー
ルを、7日ごとの測定直後にゴム栓からシリンジを用い
て添加した。培養開始後、0日、7日、14日、21
日、28日目に各バイアル瓶気相中のトリクロロエチレ
ン濃度をガスクロ=ヘッドスペース法によって測定し
た。実験は各日3連ずつ行い、トリクロロエチレン濃度
の平均をとり、初期濃度を100として残存量の相対値
を求めた。その結果を図5に示す。
【0070】比較例4 実施例6の担体に吸着している菌数とほぼ同じ菌数と
なるように吸光度を用いて調整した菌懸濁液5mlを実
施例5と同様に土壌に添加・混合した系、 栄養物(0.05%の酵母エキスを加えたM9培地)
を保持させないで担体を調製し、その担体に実施例6と
同様に菌を吸着させた担体5gと、0.05%の酵母エ
キスを加えたM9培地5mlを別々に土壌に添加・混合
した系、 菌を吸着させていない担体5gを土壌に添加・混合し
た系、 蒸留水5mlを土壌に添加・混合した系 を準備し、各々実施例6と同様に密封後培養して経日的
に各バイアル瓶の気相中のトリクロロエチレン濃度をガ
スクロ=ヘッドスペース法によって測定した。実験は各
日3連ずつ行い、トリクロロエチレン濃度の平均をと
り、初期濃度を100として残存量の相対値を求めた。
その結果を図5に示す。
【0071】実施例7(Pseudomonas cepaciaによるト
リクロロエチレン(TCE)の分解及びPseudomonas ce
paciaの生残性(2)) (多孔質ガラスを用いた微生物保持用担体の調製)無機
多孔質担体として多孔質ガラス(旭硝子(株)製MP
G、孔径20μm、粒径2〜3mm、0.35cc/
g)を用いた。MPG60gに0.5%酵母エキスを加
えたM9培地100mlを加え、超音波洗浄器で1分間
処理した。過剰の培地を取り除き、乾熱器を用いて70
℃、2時間乾燥することにより栄養物を保持した微生物
保持用担体を調製した。
【0072】(トリクロロエチレンの分解)Pseudomona
s cepaciaKK01株を0.05%の酵母エキスを含む
M9培地200mlに接種し、30℃で培養を行った。
培養液のO.D.(530nm)が約0.7に達した
後、この溶液に上述の多孔質微生物保持用担体60gを
加え、耐圧瓶中で減圧して微小孔隙中に菌を導入した。
【0073】この担体をろ紙(ワットマンNo.44)
上に広げ、吸引して余分の培養液を担体から除き、さら
に100mlの蒸留水を吸引しながらろ紙上の担体に3
回注ぎ、担体に吸着されていないわずかの菌を洗脱し
た。
【0074】担体に吸着している菌数は以下のようにし
て求めた。まず、菌を吸着した担体10gをブレンダー
カップに入れ、滅菌水40mlを加えて1分間、100
00rpmでブレンダー処理した。ここで得られた菌懸
濁液中の菌数を希釈平板法で測定することにより求め
た。培地はフェノール単一炭素源寒天培地を用い、さら
にコロニー性状を識別してプレートカウントを行った。
【0075】次に、トリクロロエチレン1mg及びTC
E分解のためのインデュサー物質であるフェノール20
mgを添加した含水比80%の未滅菌褐色森林土50g
に100ml容バイアル瓶中で上述のように作製した土
壌修復剤5g(湿重量)を添加・混合し、ブチルゴム栓
を用いて密封した。同様のものを3個準備し、20℃の
恒温培養器中に静置した。また、50ppmのフェノー
ルを、7日ごとの測定直後にゴム栓からシリンジを用い
て添加した。培養開始後、0日、7日、14日、21
日、28日目に各バイアル瓶気相中のトリクロロエチレ
ン濃度をガスクロ=ヘッドスペース法によって測定し
た。実験は各日3連ずつ行い、トリクロロエチレン濃度
の平均をとり、初期濃度を100として残存量の相対値
を求めた。
【0076】また同様に汚染物質及び菌を含む土壌修復
剤を調製した土壌の培養0日、7日、14日、21日、
28日目の生残菌数を測定した。方法は、ブレンダーで
土壌を懸濁し、その懸濁液中の菌数を前述の希釈平板法
で測定することにより求めた。これらの結果を図6、7
に示す。
【0077】比較例5 実施例7の担体に吸着している菌数とほぼ同じ菌数と
なるように吸光度を用いて調整した菌懸濁液5mlを実
施例7と同様に土壌に添加・混合した系、 栄養物を保持した微生物保持用担体を蒸留水で湿潤後
実施例7と同様にろ紙上で吸引し、余剰蒸留水を除い
た、菌の吸着していない担体5gを土壌に添加・混合し
た系、 実施例7の担体に吸着している菌数とほぼ同じ菌数と
なるように吸光度を用いて調整した菌懸濁液5mlと菌
の吸着していない担体5gを別々に同一の土壌に添加・
混合した系、 蒸留水5mlを土壌に添加・混合した系 を準備し、各々実施例7と同様に密封後培養して経日的
に各バイアル瓶の気相中のトリクロロエチレン濃度をガ
スクロ=ヘッドスペース法によって測定した。実験は各
日3連ずつ行い、トリクロロエチレン濃度の平均をと
り、初期濃度を100として残存量の相対値を求めた。
【0078】また、土壌中の生残菌数も各々実施例5と
同様に培養0日、7日、14日、21日、28日目に測
定した。これらの結果を図6、7に示す。
【0079】実施例8(Pseudomonas cepaciaによるト
リクロロエチレンの分解(3)) ポリビニルアルコール(平均重合度2000)20g
を、オートクレーブ直後の0.05%の酵母エキスを加
えたM9培地200mlに溶解し、冷却後、炭酸水素ナ
トリウム20gとPseudomonas cepaciaKK01株湿菌
体5gを混合し、ポリビニルアルコール、Pseudomonas
cepaciaKK01株菌体及び栄養物の混合物を得た。こ
れを60%炭酸アンモニウム(pH4)中に滴下し、約
30分間接触の後水洗し、土壌修復剤を調製した。
【0080】次に、トリクロロエチレン1mg及びTC
E分解のためのインデュサー物質であるフェノール20
mgを添加した含水比80%の未滅菌褐色森林土50g
に100ml容バイアル瓶中で上述のように作製した土
壌修復剤5gを添加・混合し、ブチルゴム栓を用いて密
封した。同様のものを3個準備し、20℃の恒温培養器
中に静置した。また、50ppmのフェノールを、7日
ごとの測定直後にゴム栓からシリンジを用いて添加し
た。培養開始後、0日、7日、14日、21日、28日
目に各バイアル瓶気相中のトリクロロエチレン濃度をガ
スクロ=ヘッドスペース法によって測定した。実験は各
日3連ずつ行い、トリクロロエチレン濃度の平均をと
り、初期濃度を100として残存量の相対値を求めた。
その結果を図8に示す。
【0081】比較例6 実施例8と同量のPseudomonas cepaciaKK01株の
湿菌体5gをM9培地200mlに懸濁した菌懸濁液5
ml、 菌を混合せずに作製したポリビニルアルコール担体5
g、 蒸留水5mlを各々実施例8と同様に土壌に添加・混
合し、密封後同様に培養して経日的に各バイアル瓶気相
中のトリクロロエチレン濃度をガスクロ=ヘッドスペー
ス法によって測定した。実験は各日3連ずつ行い、トリ
クロロエチレン濃度の平均をとり、初期濃度を100と
して残存量の相対値を求めた。その結果を図8に示す。
【0082】実施例9(Pseudomonas cepaciaによるク
レゾールの分解) (木粉を用いた微生物保持用担体の調製)木粉を多孔質
担体として用い、この30gに0.5%酵母エキスを加
えたM9培地50mlを加え、超音波洗浄器で1分間処
理した。過剰の培地を取り除き、乾熱器を用いて70
℃、2時間乾燥することにより栄養物を保持した微生物
保持用担体を調製した。
【0083】(クレゾールの分解)クレゾールを分解す
る菌でもあるPseudomonas cepaciaKK01株を0.0
5%の酵母エキスを加えたM9培地300mlに接種
し、30℃で培養を行った。培養液のO.D.(530
nm)が約0.7に達した後、この溶液に上述の微生物
保持用担体60gを加え、耐圧瓶中で減圧して微小孔隙
中に菌を導入した。
【0084】この担体をろ紙(ワットマンNo.44)
上に広げ、吸引して余分の培養液を担体から除き、さら
に100mlの蒸留水を吸引しながらろ紙上の担体に3
回注ぎ、担体に吸着されていないわずかの菌を洗脱し
た。
【0085】担体に吸着している菌数は以下のようにし
て求めた。まず、菌を吸着した担体10gをブレンダー
カップに入れ、滅菌水40mlを加えて1分間、100
00rpmでブレンダー処理した。ここで得られた菌懸
濁液中の菌数を希釈平板法で測定することにより求め
た。培地はフェノール単一炭素源寒天培地を用い、さら
にコロニー性状を識別してプレートカウントを行った。
【0086】次に、クレゾール20mg及びTCE分解
のためのインデューサー物質であるフェノール20mg
を添加した含水比80%の未滅菌褐色森林土50gに1
00ml容バイアル瓶中で上述のように作製した土壌修
復剤5gを添加・混合し、ブチルゴム栓を用いて密封し
た。同様のものを15個準備し、20℃の恒温培養器中
に静置した。また、50ppmのフェノールを、7日ご
との測定直後にゴム栓からシリンジを用いて添加した。
培養開始後、0日、7日、14日、21日、28日目に
土壌中のクレゾール濃度を土壌抽出液をHPLCで測定
することにより求めた。実験は各日3連ずつ行い、クレ
ゾール濃度の平均をとり、初期濃度を100として残存
量の相対値を求めた。その結果を図9に示す。
【0087】比較例7 実施例9の担体に吸着している菌数とほぼ同じ菌数と
なるように吸光度を用いて調整した菌懸濁液5ml、 菌を吸着させていない担体5g、 蒸留水5mlを、各々実施例9と同様に土壌に添加・
混合し、密封後同様に培養して経日的に各バイアル瓶の
土壌中のクレゾール濃度を同様にHPLCで測定した。
実験は各日3連ずつ行い、クレゾール濃度の平均をと
り、初期濃度を100として残存量の相対値を求めた。
その結果を図9に示す。
【0088】実施例10(微生物保持用担体(微生物乾
燥固結担体)の調製(1)) 担体として、担子菌、ネナガノヒトヨタケ Coprinus c
inereus Fisc株を用いた。MYG培地(モルトイク
ストラクト10g/l、イーストイクストラクト5g/
l、グルコース10g/lpH未調製)150mlに固
形斜面MYG培地上の上記菌株を白金耳でかきとり、5
00ml坂口フラスコで30℃、150rpmで3日間
振盪培養を行った。培養の後、ろ紙で菌体を集菌、脱水
し、菌体の厚みを約3mm程度にろ紙上に塗り広げて、
50℃、100℃、150℃、200℃で乾燥し、以下
に示す固結化強度試験に供した。
【0089】固定化強度試験は、500mlビーカー中
の300mlの水に試料を加え、マグネチックスターラ
ーを用いて100rpm、30分間攪拌した後の分散状
態により評価した。また、試料はカッターにより2mm
角程度に切断し、純水で12時間膨潤させて試験に供し
た。表1に示すように、水分含量が58%以上の試料で
は固結することなく、試料は分散した。しかしながら、
50%以下の水分含量では極めて安定な固結物が得られ
た。また、固結物の強度は水分含量のみに依存してお
り、乾燥温度には影響されなかった。
【0090】
【表1】 実施例11(微生物乾燥固結担体を用いたEscherichia
coliの生残性) ベクターpHSG396よりクロラムフェニコール耐性
遺伝子を含む断片を切り出し、さらに断片長を短くした
後平滑末端化し、これをベクターpHSG298の制限
酵素HincII分解物とを結合させてカナマイシン耐
性遺伝子およびクロラムフェニコール耐性遺伝子の両方
を有する図10に示す構成のベクターを構築し、これを
Escherichia coliHB101株(宝酒造(株))に塩化
カルシウム法で導入して両方の耐性を発現する形質転換
体を得た。この形質転換体をLB培地(バクトペプトン
10g/l、イーストイクストラクト5g/l、塩化ナ
トリウム10g/l、pH7.5)10mlに接種し、
37℃で対数増殖にいたるまで振盪培養した。
【0091】この培養液中に、ネナガノヒトヨタケを1
00℃で水分含量0%になるまで乾燥、固結し、その後
純水で膨潤し、120℃で15分間オートクレーブ滅菌
して調製した担体を加えた。担体は乾燥状態で2mm角
に切断したものを、総重量1gで用いた。担体を加えた
後、耐圧瓶中で減圧し菌を担体に導入した(5.3×1
7個/g担体)。
【0092】担体に導入された菌数は、吸光度−菌数直
線により求めた。つまり、担体を加える前の菌数と、担
体に菌を導入した後の菌数を吸光度よりもとめ、その差
分を担体に導入された菌数とした。吸光度−菌数直線
は、ある吸光度の菌懸濁液を血球計算板で菌数を計数す
ることにより求めた。
【0093】上記のように調製した土壌修復剤を未滅菌
の褐色森林土100gに添加し、30℃で培養し、経日
的に土壌10gをサンプリングした。サンプルはホモジ
ナイザーを用いてリン酸緩衝液50mlに分散し、菌数
をカナマイシンおよびクロラムフェニコールの両抗生物
質を添加したLB培地の希釈平板法で求めた。実験は5
連で行い、土壌1gあたりの平均菌数をとった。その結
果を図11に示す。
【0094】比較例8 実施例11と同様の実験系で、担体のみを旭硝子(株)
多孔質ガラスMPG(孔径20μm、粒径2〜3mm、
0.35cc/g)に変更した。また、Escherichia co
liの菌数は、実施例11とほぼ同数となるようにした。
実施例11と同様に経日的にサンプリングをして菌数を
求めた。実験は5連で行い、土壌1gあたりの菌数で平
均をとった。その結果を図11に示す。
【0095】実施例12(微生物保持用担体(天然高分
子爆砕処理担体)の調製) 担体の材料として、リグノセルロース系材料としてブナ
廃材チップ(粒径約30mm)を、キチン系材料として
イカ背骨粗粉砕物(粒径約25mm)を用いた。
【0096】爆砕処理方法としては、公知のTigne
y Technology法を用い、蒸気圧を40at
m、反応温度200℃、反応時間5分(反応時間とは目
的温度、圧力に達してから空中に放出させるまでの時
間)で処理した。
【0097】その結果、両材料ともに5μm程度のほぼ
均一な孔隙径を持つ爆砕処理物(粒径数百μm)が得ら
れた。なお、孔隙径の測定は、Stoneらによる細孔
分析法を用いた(Stone J.E.and Sca
llan A.M.:Cellulose Chem
Technol.,2,343−358(196
8))。
【0098】実施例13(天然高分子爆砕処理担体を用
いたEscherichia coliの生残性) 実施例11と同様の実験系で、担体のみを実施例12の
調製法で作成したブナ廃材チップ爆砕処理物に変更し
た。土壌に導入するcoliの菌数は、実施例11
とほぼ同数(5.3×107個/g担体)となるように
した。実施例12と同様に経日的にサンプリングし菌数
を求めた。実験は5連で行い、土壌1gあたりの菌数で
平均をとった。その結果を図11に示す。
【0099】実施例14 天然高分子爆砕処理担体を用いたPseudomonas cepacia
によるトリクロロエチレンの分解 Pseudomonas cepaciaKK01株を0.05%の酵母エ
キスを加えたM9培地100mlに接種し、30℃で培
養を行った。培養液のO.D.(530nm)が約0.
7に達した後、この溶液に実施例12で調製した天然高
分子爆砕処理担体20gを加え、耐圧瓶中で減圧して微
小孔隙中に菌を導入した。
【0100】担体に吸着している菌数は以下のようにし
て求めた。まず、菌を吸着した担体10gをブレンダー
カップに入れ、滅菌水40mlを加えて1分間、100
00rpmでブレンダー処理した。ここで得られた菌懸
濁液中の菌数を希釈平板法で測定することにより求め
た。培地はフェノール単一炭素源寒天培地を用い、さら
にコロニー性状を識別してプレートカウントを行った。
【0101】次に、トリクロロエチレン1mg及びTC
E分解のためのインデュサー物質であるフェノール20
mgを添加した含水比80%の未滅菌褐色森林土50g
に100ml容バイアル瓶中で上述のように作製した土
壌修復剤5gを添加・混合し、ブチルゴム栓を用いて密
封した。同様のものを3個準備し、20℃の恒温培養器
中に静置した。また、50ppmのフェノールを、7日
ごとの測定直後にゴム栓からシリンジを用いて添加し
た。培養開始後、0日、7日、14日、21日、28日
目に各バイアル瓶気相中のトリクロロエチレン濃度をガ
スクロ=ヘッドスペース法によって測定した。実験は各
日3連ずつ行い、トリクロロエチレン濃度の平均をと
り、初期濃度を100として残存量の相対値を求めた。
その結果を図12に示す。
【0102】比較例9 実施例14の担体に吸着している菌数とほぼ同じ菌数
となるように吸光度を用いて調整した菌懸濁液5ml、 菌を吸着させていない担体5g、 蒸留水5mlを、各々実施例14と同様に土壌に添加
・混合し、密封後同様に培養して経日的に各バイアル瓶
の気相中のトリクロロエチレン濃度をガスクロ=ヘッド
スペース法で測定した。実験は各日3連ずつ行い、トリ
クロロエチレン濃度の平均をとり、初期濃度を100と
して残存量の相対値を求めた。その結果を図12に示
す。
【0103】実施例15(微生物乾燥固結担体を用いた
Pseudomonas cepaciaによるトリクロロエチレンの分
解) Pseudomonas cepaciaKK01株を0.05%の酵母エ
キスを加えたM9培地100mlに接種し、30℃で培
養を行った。培養液のO.D.(530nm)が約0.
7に達した後、この溶液に実施例11と同様にネナガノ
ヒトヨタケから調製した担体20gを加え、耐圧瓶中で
減圧して菌を担体に導入した。
【0104】この担体をろ紙(ワットマンNo.44)
上に広げ、吸引して余分の培養液を担体から除き、さら
に100mlの蒸留水を吸引しながらろ紙上の担体に3
回注ぎ、担体に吸着されていないわずかの菌を洗脱し
た。
【0105】担体に吸着している菌数は以下のようにし
て求めた。まず、菌を吸着した担体10gをブレンダー
カップに入れ、滅菌水40mlを加えて1分間、100
00rpmでブレンダー処理した。ここで得られた菌懸
濁液中の菌数を希釈平板法で測定することにより求め
た。培地はフェノール単一炭素源寒天培地を用い、さら
にコロニー性状を識別してプレートカウントを行った。
【0106】次に、トリクロロエチレン1mg及びTC
E分解のためのインデュサー物質であるフェノール20
mgを添加した含水比80%の未滅菌褐色森林土50g
に100ml容バイアル瓶中で上述のように作製した土
壌修復剤5gを添加・混合し、ブチルゴム栓を用いて密
封した。同様のものを3個準備し、20℃の恒温培養器
中に静置した。また、50ppmのフェノールを、7日
ごとの測定直後にゴム栓からシリンジを用いて添加し
た。培養開始後、0日、7日、14日、21日、28日
目に各バイアル瓶気相中のトリクロロエチレン濃度をガ
スクロ=ヘッドスペース法によって測定した。実験は各
日3連ずつ行い、トリクロロエチレン濃度の平均をと
り、初期濃度を100として残存量の相対値を求めた。
その結果を図13に示す。
【0107】比較例10 実施例11の担体に吸着している菌数とほぼ同じ菌数
となるように吸光度を用いて調整した菌懸濁液5ml、 蒸留水で湿潤後実施例11と同様にろ紙上で吸引し、
余剰蒸留水を除いた菌の吸着していない担体5g及び 蒸留水5mlを、各々実施例11と同様に土壌に添加
・混合し、密封後同様に培養して経日的に各バイアル瓶
の気相中のトリクロロエチレン濃度をガスクロ=ヘッド
スペース法によって測定した。実験は各日3連ずつ行
い、トリクロロエチレン濃度の平均をとり、初期濃度を
100として残存量の相対値を求めた。その結果を図1
3に示す。
【0108】実施例16(汚染土壌の浄化(1)) 褐色森林土壌にフェノールを、土壌500gに対して1
500ppmのフェノール水溶液80mlを分散させる
割合で混合し、フェノール汚染土壌を調製した。
【0109】この汚染土壌を2m四方、深さ3mの地下
土壌槽に1mの層厚となるまで満たし、更に、この汚染
土壌層の上に褐色森林土を載せて、深さ2.5mの土壌
層(2層構造)を作製した。この試験土壌槽に、深さ
2.5m、直径5cmの通気孔を槽内の4隅に設け、各
通気孔中に外径40mmで先端から1mまで直径1mm
の通気用ピットを多数設けたポリ塩化ビニル製のパイプ
をそれぞれ挿入し、各挿入部のパイプ外周を粘土で密封
して通気用ラインとした。更に、同様にして先端から1
mのところまでに吸気用ピットを多数設けた直径60m
mのパイプを用いて槽中央部に吸引用ラインを設けた。
通気用ラインにはコンプレッサーを接続し、約0.2m
2/minで通風し、また吸引用ラインは吸引ポンプに
接続して約0.5m2/minで吸引を行った。
【0110】一方、実施例5と同様に調製したセルロー
スを用いた栄養物を保持した微生物保持用担体100g
を培養液(M9培地に酵母エキストラクト0.05%を
加えたもの)5リットルに分散した後に、Pseudomonas
cepaciaKK01株を接種し、48時間静置培養した。
【0111】この土壌修復剤を含んだ微生物培養液を、
準備した土壌槽に、連続通気及び吸引を行いつつ通気用
ラインより接種した。この接種を毎日1週間にわたって
行った。
【0112】接種後、1週間ごとに通気用ライン近傍か
ら土壌(計5箇所)をサンプリングして土壌中のフェノ
ール濃度をHPLCで定量し、5箇所の平均値からフェ
ノール残存量を求めた。得られた結果を図14に示す。
【0113】比較例11 セルロースを用いた栄養物を保持した微生物保持用担体
を用いない他は実施例16と同様にしてフェノール残存
量の変化を求めた。得られた結果を図14に示す。
【0114】実施例17(汚染土壌の浄化(2)) 褐色森林土壌にトリクロロエチレンを、土壌500gに
対して60ppmのトリクロロエチレンの水溶液8ml
を分散させる割合で混合し、トリクロロエチレン汚染土
壌を調製した。この汚染土壌を2m四方、深さ3mの地
下土壌槽に1mの層厚となるまで満たし、更に、この汚
染土壌層の上に褐色森林土を載せて、深さ2.5mの土
壌層(2層構造)を作製した。この試験土壌槽に、深さ
2.5m、直径5cmの給水用ホールを槽内の4隅に設
け、各給水用ホール内に外径50mmで先端から1mま
でに直径5mmの給水用ピットを多数設けたポリ塩化ビ
ニル製のパイプをそれぞれ挿入し、各挿入部のパイプ外
周を粘土で密封して給水用ラインとした。更に、同様に
して先端から1mのところまでに吸水用ピットを多数設
けた直径50mmのパイプを用いて槽中央部に吸水用ラ
インを設けた。給水用ラインには給水ポンプを接続し、
約0.5リットル/minで給水し、また吸水用ライン
は吸水ポンプに接続して約5リットル/minで吸引を
行った。
【0115】一方、実施例9と同様に調製した木粉を用
いた栄養物を保持した微生物保持用担体1000gを培
養液(M9培地に酵母エキストラクト0.05%を加え
たもの)5リットルに分散した後に、Pseudomonas cepa
ciaKK01株を接種し、48時間静置培養した。この
土壌修復剤を含んだ微生物培養液を、準備した土壌槽
に、給水ラインよりより接種した。この接種を毎日1週
間にわたって行った。
【0116】接種後、1週間ごとに給水ライン近傍から
土壌(計5箇所)をサンプリングして土壌中のトリクロ
ロエチレン濃度を溶媒抽出法により定量し、5箇所の平
均値からトリクロロエチレン残存量を求めた。得られた
結果を図15に示す。
【0117】比較例12 木粉を用いた栄養物を保持した微生物保持用担体を用い
ない他は実施例17と同様にしてトリクロロエチレン残
存量の変化を求めた。得られた結果を図15に示す。
【0118】実施例18(汚染土壌の浄化(3)) 褐色森林土壌にトリクロロエチレンを、土壌500gに
対して60ppmのトリクロロエチレンの水溶液8ml
を分散させる割合で混合し、トリクロロエチレン汚染土
壌を調製した。この汚染土壌を2m四方、深さ3mの地
下土壌槽に1mの層厚となるまで満たし、更に、この汚
染土壌層の上に褐色森林土を載せて、深さ2.5mの土
壌層(2層構造)を作製した。
【0119】この試験土壌槽に、深さ2.5m、直径5
cmの給水用ホールを槽内の4隅に設け、各給水用ホー
ル内に外径50mmで先端から1mまで直径5mmの給
水用ピットを多数設けたポリ塩化ビニル製のパイプをそ
れぞれ挿入し、各挿入部のパイプ外周を粘土で密封して
給水用ラインとした。更に、同様にして先端から1mの
ところまでに吸水用ピットを多数設けた直径50mmの
パイプを用いて槽中央部に吸水用ラインを設けた。給水
用ラインには給水ポンプを接続し、約0.5リットル/
minで給水し、また吸水用ラインは吸水ポンプに接続
して約5リットル/minで吸水を行った。
【0120】一方、実施例5と同様に調製したセルロー
スを用いた栄養物を保持した微生物保持用担体1000
gを培養液(M9培地に酵母エキストラクト0.05%
を加えたもの)5リットルに分散した後に、Pseudomona
s cepaciaKK01株を接種し、48時間静置培養し
た。この土壌修復剤を含んだ微生物培養液を、準備した
土壌槽に、給水ラインよりより接種した。この接種を毎
日1週間にわたって行った。
【0121】接種後、1週間ごとに給水ライン近傍から
土壌(計5箇所)をサンプリングして土壌中のトリクロ
ロエチレン濃度を溶媒抽出法で定量し、5箇所の平均値
からトリクロロエチレン残存量を求めた。得られた結果
を図16に示す。
【0122】比較例12 セルロースを用いた栄養物を保持した微生物保持用担体
を用いない他は実施例18と同様にしてトリクロロエチ
レン残存量の変化を求めた。得られた結果を図16に示
す。
【0123】
【発明の効果】本発明の土壌修復用微生物の保持担体
は、簡易かつ経済的な方法で調製可能であり、該微生物
の保持に適した孔隙を多数有するとともに栄養物もあわ
せて供給できることから、土壌中での該微生物の増殖能
の維持をはかることを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3及び比較例1での菌数の変化を示す図
である。
【図2】実施例4及び比較例2での菌数の変化を示す図
である。
【図3】実施例5及び比較例3でのトリクロロエチレン
濃度の変化を示す図である。
【図4】実施例5及び比較例3での菌数の変化を示す図
である。
【図5】実施例6及び比較例4でのトリクロロエチレン
濃度の変化を示す図である。
【図6】実施例7及び比較例5でのトリクロロエチレン
濃度の変化を示す図である。
【図7】実施例7及び比較例5での菌数の変化を示す図
である。
【図8】実施例8及び比較例6でのトリクロロエチレン
濃度の変化を示す図である。
【図9】実施例9及び比較例7でのクレゾール濃度の変
化を示す図である。
【図10】実施例11で構築した組換えベクターの構成
図である。
【図11】実施例11、13及び比較例8での菌数の変
化を示す図である。
【図12】実施例14及び比較例9でのトリクロロエチ
レン濃度の変化を示す図である。
【図13】実施例15及び比較例10でのトリクロロエ
チレン濃度の変化を示す図である。
【図14】実施例16及び比較例11でのフェノール濃
度の変化を示す図である。
【図15】実施例17及び比較例12でのトリクロロエ
チレン濃度の変化を示す図である。
【図16】実施例18及び比較例13でのトリクロロエ
チレン濃度の変化を示す図である。
【図17】通気法による土壌中への土壌修復剤の投与方
法を示す図である。
【図18】給水法による土壌中への土壌修復剤の投与方
法を示す図である。
【符号の説明】
1 通気孔 2 ピット部 3 土壌浄化剤投入部 4 通風手段 5 吸気孔 6 吸引手段 7 給水孔 8 ピット部 9 土壌浄化剤投入部 10 給水手段 11 吸引孔 12 吸引手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 和實 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 今村 剛士 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 桜永 昌徳 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 三原 知恵子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土壌修復に用いる微生物を保持する担体
    であって、前記担体が孔隙を有し、前記孔隙中に栄養物
    を保持していることを特徴とする微生物保持用担体。
  2. 【請求項2】 前記担体が多孔性である請求項1記載の
    微生物保持用担体。
  3. 【請求項3】 前記担体が水不溶性である請求項1記載
    の微生物保持用担体。
  4. 【請求項4】 前記担体がゲル状である請求項1記載の
    微生物保持用担体。
  5. 【請求項5】 前記担体が生分解性である請求項1記載
    の微生物保持用担体。
  6. 【請求項6】 前記栄養物が前記微生物の培養液である
    請求項1記載の微生物保持用担体。
  7. 【請求項7】 土壌修復に用いる微生物を保持する担体
    であって、前記担体が孔隙を有し、前記微生物の栄養物
    であることを特徴とする微生物保持用担体。
  8. 【請求項8】 前記担体が微生物の菌体を乾燥し、固結
    することにより形成されたものである請求項7記載の微
    生物保持用担体。
  9. 【請求項9】 前記担体の水分含有量が前記担体全重量
    に対して50重量%以下である請求項7記載の微生物保
    持用担体。
  10. 【請求項10】 前記担体が天然高分子の爆砕処理物で
    ある請求項7記載の微生物保持用担体。
  11. 【請求項11】 前記天然高分子がリグノセルロース系
    もしくはキチン系である請求項10記載の微生物保持用
    担体。
  12. 【請求項12】 土壌汚染物質分解能を有する微生物、
    及び、前記微生物を保持する微生物保持用担体を含む土
    壌修復剤であって、前記担体が孔隙を有し、前記孔隙中
    に栄養物を保持していることを特徴とする土壌修復剤。
  13. 【請求項13】 前記担体が多孔性である請求項12記
    載の土壌修復剤。
  14. 【請求項14】 前記担体が水不溶性である請求項12
    記載の土壌修復剤。
  15. 【請求項15】 前記担体がゲル状である請求項12記
    載の土壌修復剤。
  16. 【請求項16】 前記担体が生分解性である請求項12
    記載の土壌修復剤。
  17. 【請求項17】 前記栄養物が前記微生物の培養液であ
    る請求項12記載の土壌修復剤。
  18. 【請求項18】 土壌汚染分解能を有する微生物、及
    び、前記微生物を保持する微生物保持用担体を含む土壌
    修復剤であって、前記担体が孔隙を有し、前記微生物の
    栄養物であることを特徴とする土壌修復剤。
  19. 【請求項19】 前記担体が微生物の菌体を乾燥し、固
    結することにより形成されたものである請求項18記載
    の土壌修復剤。
  20. 【請求項20】 前記担体の水分含有量が前記担体全重
    量に対して50重量%以下である請求項18記載の土壌
    修復剤。
  21. 【請求項21】 前記担体が天然高分子の爆砕処理物で
    ある請求項18記載の土壌修復剤。
  22. 【請求項22】 前記天然高分子がリグノセルロース系
    もしくはキチン系である請求項21記載の土壌修復剤。
  23. 【請求項23】 前記微生物が細菌である請求項12ま
    たは18記載の土壌修復剤。
  24. 【請求項24】 請求項12または18記載の土壌修復
    剤を土壌に投与することにより土壌を修復する土壌修復
    方法。
  25. 【請求項25】 前記土壌修復剤の投与方法が土壌中に
    給水孔を設け、前記給水孔を介して、土壌修復剤を含む
    溶液を土壌中に給水し、前記土壌修復剤を土壌中に拡散
    させるものである請求項24記載の土壌修復方法。
  26. 【請求項26】 前記給水が地下水脈中に行うものであ
    る請求項25記載の土壌修復方法。
  27. 【請求項27】 前記土壌修復剤の投与方法が土壌中に
    通気孔を設け、前記通気孔を介して、土壌修復剤を含む
    気体を土壌中に送り込み、前記土壌修復剤を土壌中に拡
    散させるものである請求項24記載の土壌修復方法。
JP5260866A 1992-10-20 1993-10-19 微生物保持用担体、該担体を用いた土壌修復剤及び土壌修復方法 Pending JPH06212155A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5260866A JPH06212155A (ja) 1992-10-20 1993-10-19 微生物保持用担体、該担体を用いた土壌修復剤及び土壌修復方法

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28198592 1992-10-20
JP4-281984 1992-10-20
JP28198692 1992-10-20
JP4-281986 1992-10-20
JP28198492 1992-10-20
JP4-281985 1992-10-20
JP5260866A JPH06212155A (ja) 1992-10-20 1993-10-19 微生物保持用担体、該担体を用いた土壌修復剤及び土壌修復方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06212155A true JPH06212155A (ja) 1994-08-02

Family

ID=27478561

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5260866A Pending JPH06212155A (ja) 1992-10-20 1993-10-19 微生物保持用担体、該担体を用いた土壌修復剤及び土壌修復方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06212155A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000078923A1 (fr) * 1999-06-22 2000-12-28 Japan As Represented By Director General Of National Institute Of Agro-Environmental Sciences, Them Inistry Of Agriculture, Forestry And Fisheriesof Japan Procede d'accumulation de bacteries de decomposition isolees, support porteur de ces bacteries de decomposition et technique de rehabilitation de sol pollue ou de prevention de la pollution d'eau souterraine a l'aide de ce support
JP2002200480A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 Shinichi Ueda 土壌浄化方法
JP2007160209A (ja) * 2005-12-13 2007-06-28 Hiroshi Yokozawa 水質改善方法
KR100892689B1 (ko) * 2008-03-04 2009-04-15 바이오세인트(주) 유류오염된 해안토양의 생물복원법
KR101300348B1 (ko) * 2006-11-22 2013-08-28 에스케이에너지 주식회사 유류 오염 토양의 정화용 미생물 액상 조성물, 이의제조방법 및 이를 이용한 유류 오염 토양의 정화방법
JP2014034028A (ja) * 2012-08-10 2014-02-24 Kumagai Gumi Co Ltd 汚染土浄化装置
JP2016529887A (ja) * 2013-07-19 2016-09-29 アーベー7 イノヴァシオン エス.アー.エス.ユ.Ab7 Innovation S.A.S.U. 天然の小型発酵槽として機能する可変的体積の高吸収性アグロペレット中に担持される固体接種材料および獲得方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000078923A1 (fr) * 1999-06-22 2000-12-28 Japan As Represented By Director General Of National Institute Of Agro-Environmental Sciences, Them Inistry Of Agriculture, Forestry And Fisheriesof Japan Procede d'accumulation de bacteries de decomposition isolees, support porteur de ces bacteries de decomposition et technique de rehabilitation de sol pollue ou de prevention de la pollution d'eau souterraine a l'aide de ce support
JP2002200480A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 Shinichi Ueda 土壌浄化方法
JP4636679B2 (ja) * 2000-12-28 2011-02-23 大阪瓦斯株式会社 土壌浄化方法
JP2007160209A (ja) * 2005-12-13 2007-06-28 Hiroshi Yokozawa 水質改善方法
KR101300348B1 (ko) * 2006-11-22 2013-08-28 에스케이에너지 주식회사 유류 오염 토양의 정화용 미생물 액상 조성물, 이의제조방법 및 이를 이용한 유류 오염 토양의 정화방법
KR100892689B1 (ko) * 2008-03-04 2009-04-15 바이오세인트(주) 유류오염된 해안토양의 생물복원법
JP2014034028A (ja) * 2012-08-10 2014-02-24 Kumagai Gumi Co Ltd 汚染土浄化装置
JP2016529887A (ja) * 2013-07-19 2016-09-29 アーベー7 イノヴァシオン エス.アー.エス.ユ.Ab7 Innovation S.A.S.U. 天然の小型発酵槽として機能する可変的体積の高吸収性アグロペレット中に担持される固体接種材料および獲得方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104475444B (zh) 生物炭固定化复合污染降解菌颗粒制备及用途、使用方法
CN109468307A (zh) 固定化微生物颗粒及其制备方法和用固定化微生物颗粒高效治理黑臭水体的方法
JP3201661B2 (ja) 汚染物質の生分解方法および汚染環境の修復方法
CN101134955A (zh) 一种用于有机污染物生物降解的固体复合微生物微球及其制备方法
CN109628353A (zh) 一种生物炭基固定化微生物菌剂及其制备方法与应用
CN111906141B (zh) 一种基于生物炭固定降解菌的土壤修复方法
JP2003154352A (ja) 微生物による汚染土壌修復方法
CN104560938A (zh) 一种石油降解菌固定化包埋颗粒的制备方法及其应用
CN113215009B (zh) 一种复合固定化菌剂及其制备方法与应用
EP0594125B1 (en) Carrier for supporting microorganisms, soil remediating agent using carrier, and method for remediating soil
CN105695443B (zh) Triton X-100强化生物炭固定化微生物材料及其制备方法和应用
CN109679871A (zh) 一种pam-sa固定化微生物降解含油废水的方法
CN107151663B (zh) 一种利用海带渣制备的用于石油污染修复的固定化菌剂
CN114214310A (zh) 一种改性生物炭固定化石油降解菌微球及其制备方法和应用
JPH06212155A (ja) 微生物保持用担体、該担体を用いた土壌修復剤及び土壌修復方法
CN114027322A (zh) 一种生物炭基苏云金芽孢杆菌缓释微球及其制备方法和应用
RU2414313C2 (ru) Способ очистки земель от нефти и нефтепродуктов и рекультивации почв сельскохозяйственного назначения
CN111206027A (zh) 一种适用于负载芽孢杆菌的磁性生物炭及其制备方法和应用
CN106754513A (zh) Tx‑100改性海藻酸钠包埋假单胞菌颗粒的制备及应用
JP2003311258A (ja) 微生物による汚染土壌のオンサイト修復方法及び装置
JP3420306B2 (ja) 高吸水性ポリマーを用いた汚染土壌浄化方法
JP3420307B2 (ja) 微生物保持用担体及び該担体を用いた土壌修復方法
Adhikari et al. Biosorption of Malathion by immobilized cells of Bacillus sp. S14
CN113751495B (zh) 一种用于氯酚污染的土壤修复剂
KR100455754B1 (ko) 유류 기타 탄화수소 화합물을 제거하기 위한 생물학적생분해 흡착제 및 그 제조 방법