JPH05213601A - 金属材の活性化又は安定化処理法 - Google Patents

金属材の活性化又は安定化処理法

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JPH05213601A
JPH05213601A JP4199231A JP19923192A JPH05213601A JP H05213601 A JPH05213601 A JP H05213601A JP 4199231 A JP4199231 A JP 4199231A JP 19923192 A JP19923192 A JP 19923192A JP H05213601 A JPH05213601 A JP H05213601A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水素吸蔵合金などの金属材の表面活性化を容
易に行う処理法を提供する。 【構成】 アルカリ金属を含有する六弗化金属化合物な
どの弗化金属化合物からなる過飽和水溶液を薬液とし
て、金属材を好ましくは常温又はその近傍の温度で、か
つ常圧にて処理することにより、少なくとも表面又は表
層部を高活性化する。この処理済み金属材を真空引き
後、好ましくは常温又はその近傍の温度及び比較的低い
圧力にて水素を導入することにより、水素を吸蔵させ
る。水素吸蔵金属材を前記薬液で再処理することによ
り、水素分子以外の表面被毒性を有する物質(特に空気
や水分)に対して非活性化することもできる。また、表
面の活性化処理により、Al材表面に優れた蒸発凝縮特
性や伝熱特性を付与できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属材の活性化又は安定
化処理法に係り、より詳しくは、純金属材、合金材又は
これらを添加分散させた金属含有材(以下、「金属材」
という)の素材、中間製品、完成品等々の表面又は表層
部を活性化し、或いは被毒性を有する気体、蒸気、液体
及びそれらの混合物に対して安定化する処理法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】いわゆ
る水素吸蔵合金は、チタン、希土類元素、マグネシウ
ム、カルシウム、ジルコニウムなどをベースとした合金
であって、ニッケル、鉄、マンガンなどの水素活性化金
属が含まれており、水素と可逆的に反応して水素化物を
作る性質がある合金として知られている。
【0003】この水素吸蔵合金に水素を吸蔵させるに
は、高圧、高真空、高温等で水素活性化処理を多数回行
う必要がある。例えば、La−Ni−Al合金の場合は、
80〜100℃で真空脱気し、1〜3MPaで10回以
上水素導入・排気を繰り返す。また、Mg−Ni合金の場
合は、350℃で真空脱気し、2〜5MPaで10回以
上水素導入・排気を繰り返す。
【0004】このように、水素活性化(初期活性化)処
理は煩雑で且つコスト高である。更には、活性化された
水素吸蔵合金は、大気中で着火、発火を生じるので、非
常に危険であり、このため、水中で容器を開放したり、
硫化物で表面を被毒させる必要があった。また大気暴露
によって活性を失ってしまうという不安定なものであっ
た。活性化を失なわずに保護する方法として、例えば、
プロパンやブタンやペンタンのような低級飽和炭化水素
液中に浸して保存する方法が提案されている。
【0005】また、殆どの水素吸蔵合金は、吸蔵し得る
水素量も最大2%程度と少ないため、上述の初期活性化
の作業性、コスト高、不安定性、取扱いの危険性と相俟
って、実用上問題であった。
【0006】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解決し、金属材を容易に活性化できる方法を提供するこ
とにある。また、本発明の他の目的は、活性化された金
属材を大気中等で安定化でき、取り扱い易い処理法を提
供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者は、従来の水素吸蔵合金の如く特定の成分
系でなければ水素活性化できず、また水素活性化処理が
煩雑であることに鑑みて、薬液の処理のみで種々の成分
系の金属材において水素活性能の高い表面が得られ、か
つ容易に水素活性化できる方策について鋭意研究を重ね
た。
【0008】その結果、特定の弗化金属化合物水溶液で
金属材を処理すると水素活性化処理が極めて容易に実施
できることを見い出した。また、更には、かゝる薬液の
利用について研究を重ねたところ、水素活性化処理済み
の金属材を薬液で再処理すると極めて安定化することを
見い出し、ここに本発明を完成したものである。
【0009】以下に本発明を詳述する。
【作用】
【0010】(薬液の調整法)本発明の活性化又は安定
化処理法は、特定の薬液を用いることを最も特徴として
いる。すなわち、この薬液は、アルカリ金属を含有する
6弗化金属化合物などの弗化金属化合物の過飽和水溶液
である。以下にK3AlF6(6弗化アルミニウムカリウ
ム)を例にとって薬液の調整法について説明する。
【0011】K3AlF6を重量対容積比(W/V)で0.
03となるように25℃の蒸留水で溶解し、十分に撹拌
して混合した後、その過飽和水溶液を薬液とする。
【0012】この薬液のpH値は、およそ4.00〜5.
00の範囲にある。なお、処理を開始すると同時に5.
2〜5.8程度に変化し、その後の処理目的と処理時間
に対応して中性側に変化していくが、しばしば7.00
を超えてアルカリ側に移行することがあり、時として1
2近傍に至ることがある。また、K3AlF6のW/V
は、目的に応じて0.01〜0.5の範囲で変えてよく、
用いる水は、イオン交換水若しくは上水、又は井水であ
つてもよい。また、調整時の水温は18〜40℃であれ
ばよいが、30〜35℃で最良の結果が得られる。
【0013】また、Alに代えてTi、Zr、Siなど或い
は水素吸蔵合金元素などを含む化合物、例えば、K2Ti
6(6弗化チタンカリウム)、K2ZrF6(6弗化ジル
コニウムカリウム)、K2SiF6(ケイ弗化カリウム)
などを用いることもできる。但し、これらの弗化物は、
全て水に対する溶解度が低く、特に、K2TiF6では、
水温の低下に敏感に作用して結晶の析出が著しく、その
使用に際しては薬液の調整に留意する必要がある。ま
た、上記弗化物において、Kに代えて他のアルカリ金
属、例えばNaを成分とする弗化物(例、Na3AlF
6(6弗化アルミニウムナトリウム))などの類似する
弗化物を用いることもできる。勿論、用途、目的に応じ
て、これらの水溶液を混合して用いることも可能であ
る。
【0014】(活性化処理法)このような薬液を用いて
金属材を処理することにより、少なくとも表面又は表層
部を活性化能の高い状態にすることができる。処理条件
としては、特に制限されないが、常温又はその近傍の温
度、好ましくは18〜40℃で、常圧でよい。
【0015】特に、金属材が粉末又は微粉末の場合は、
高活性化表面又は表層部の面積が大きいので、水素活性
化効果がそれだけ大きくなり、有利である。更には、活
性化処理した粉末に、高速・高エネルギーを与える撹拌
機によって粉末を機械的に合金化する方法(メカニカル
アロイング)を適用すると、得られた粉末は、粒子の中
心まで高活性化されていることになるので、これを水素
活性化処理すれば初期活性化が容易となり、初期水素吸
蔵量を更に増大することができる。また、活性化処理し
た粉末を用いて他の合金元素と共に溶解した場合も、同
様の効果が期待される。
【0016】このように処理された金属材は、例えば、
水素活性化処理(初期活性化)によって金属材に水素を
速やかに吸蔵させることができ、大気中においても安定
しており、また、金属材表面での水の凝縮特性や伝熱特
性を著しく高めることができる。このように活性化能が
高くなる理由は必ずしも明らかではないが、表面に微細
な凹凸若しくは突起が生じ比表面積が大きくなり、極微
細で複雑な溝構造を作ることが観察されること、しか
も、金属材の少なくとも表面又は表層部において弗素と
金属との化合物が観察されること、処理中に薬液のpH
が酸性からアルカリ性側まで変化すること等から、表面
又は表層部の性状、組成或いは構造が変化するためと考
えられる。
【0017】(水素吸蔵:初期活性化)水素活性化処理
(初期活性化)により金属材に水素を吸蔵させるには、
加熱することなく低真空度で真空引きして処理液を取り
除いた後、従来より低圧(例、約1MPa)で、かつ常
温で水素を導入することにより、速やかに水素を吸蔵さ
せることができる。勿論、温度や圧力を変えることによ
り、水素吸蔵量をコントロールすることができる。従来
の如く高温高真空脱気や、高圧高温での初期活性化を、
しかも10回以上行う等々の煩雑な活性化処理は必要と
しない。
【0018】また、金属材が粉末の場合、上述の水素活
性化処理と脱水素化反応を繰り返すことにより、粒径を
制御することができる。
【0019】(再処理:安定化処理)しかも、水素活性
化処理後の金属材を前記薬液又はその廃液で再度処理す
ることにより、水素分子以外の表面被毒性を有する物
質、特に空気や水分に対して保護されるので、取扱い
(保管、移送、加工など)が容易である。金属材の微粒
子を薄膜上に展開したり、組成又は特性の異なる微粒子
を層状に積層することが容易となり、例えば、ニッケル
/水素2次電池用電極の耐食性、寿命、電気容量の向上
等が期待できる。また、水素活性化処理された金属材を
廃棄する場合、再処理を施すことにより、大気中で空気
酸化による着火・発火などの現象が生じないので、廃棄
処理が安全かつ容易となる。
【0020】(金属材の態様、材質)被処理材である金
属材としては、素材、中間製品、完成品など種々の形態
のものが可能である。例えば、粉末又は微粉粒子、薄
膜、シート、カプセル、積層材などが挙げられる。ま
た、材質としても、水素吸蔵合金のベース金属として知
られる元素(チタン、希土類元素、マグネシウム、カル
シウム、ジルコニウムなど)や水素活性化元素(ニッケ
ル、鉄、マンガンなど)の単独又はそれらの合金のほ
か、アルミニウム又はその合金も可能である。勿論、こ
れらの元素又は合金に限定されないことは云うまでもな
い。更に、これらの元素又は合金を分散させた非金属材
や複合材も可能である。
【0021】次に本発明の実施例を示す。勿論、本発明
はこれらの実施例のみに限定されないことは云うまでも
ない。
【0022】
【実施例1】 水素吸蔵合金として代表的なランタンニッケル系合金
のLaNi4.7Al0.3を粒度0.2〜0.1mmに揃えたもの
10gを、W/V比で0.025に調整した6弗化アル
ミニウムカリウムをベースとした薬液400mlを入れた
ビーカー中に投入し、スターラーによって十分撹拌した
後、上澄液を取り除き、底部に沈殿した粒子を回収し
た。この間の処理液の水素イオン濃度(pH)は5.0
から8.0近傍まで変化した。
【0023】粒子を測定系中の反応セルに充填し、
0.1Torr程度にまで真空引きして処理液を取り去った
後、常温で約1MPaの水素ガスを導入したところ、導
入と同時に水素の吸蔵を開始し、急激な水素活性化現象
が見られた。
【0024】水素ガスを反応によって十分に水素吸蔵合
金に吸収させ、金属水素化物となした後、前記処理液の
廃液中で反応セルを開封し、内部の金属水素化物を取り
出して溶液中に沈殿させた。これを蒸発・乾固した後、
平均粒径を測定したところ、40μmを中心とする微細
粒子となっていることがわかった。
【0025】前記で処理された合金の表面は、ランタ
ン及び弗素を含む化合物となつているが、前記で初期
活性化処理を行っても、これら2つの元素の殆どが活性
な表面から離脱することはない。これは、ESCAによ
る表面分析、EPMA(極表面組成分析)及びX線分析に
より、表面に弗化ランタン(LaF3)が生成していること
から確認できる。
【0026】ESCAによる分析結果を図1〜図18に
示す。まず、未処理試料の場合は、表面においてLaは
金属状態の結合エネルギーよりシフトしたピークが測定
され(図1〜図2参照)、自然酸化によって生成されたL
a23のピークが出ており、エッチングを続けることに
より金属状態のLaのピークが現われた。Ni(図3〜図
4参照)とAl(図5〜図6)は金属状態として散在してい
た。で処理された試料の場合は、表面においてLa(図
7〜図10参照)、Ni(図11〜図14参照)は、これら
の金属状態の結合エネルギーよりシフトしたピークが測
定された。これは、表面から酸化物がなくなり、最表面
に弗化ランタン(LaF3)が、またその直下にニッケルに
富む層が存在していることを示しているものである。次
にエッチングすることで表面の弗化物が削られ金属状態
のLa、Niが現われた。アルミニウム(図15〜図18
参照)については、表面に存在せず、エッチングするこ
とにより、下層に向けて徐々に金属状態のアルミニウム
が現われるので、内部の組成は変化せず元の合金のまま
であることがわかる。
【0027】前記の処理を施した試料について、その
圧力−組成−温度特性(PCT関係)と反応特性を測定
した。図19は縦軸に室温下で水素吸蔵を行わせたとき
の圧力、横軸に合金中に吸蔵された水素の濃度をとり、
前記の処理を施したものに第1回目と第2回目の初期
活性化処理を施した試料のPCT関係を示している。
まず軽く真空引きした試料に10気圧程度の水素圧をか
けると(第1回目)、たちどころに反応を開始し水素濃度
が0から0.8程度に到達する(図中、◎印)。それ以上
では、ほぼよく活性化処理された試料と同じ過程を経て
最高濃度に至る。また、2回目では数気圧の印加によっ
て極めて容易に反応が開始され、通常の未処理試料(数
10回以上の活性化処理を繰り返したもの)と同一の特
性を持つようになる。
【0028】
【実施例2】実施例1ので初期活性化した試料を薬液
中に再び投入し、スターラーで撹拌すると、pHは3時
間で約4.90〜7.70の間で変化した。この再処理を
行った試料と薬液を分別し、試料を時計皿に入れてドラ
イヤーで乾燥した後、試料を空気中に暴露したが、活性
を有しているにも拘らず、急激な空気酸化現象は見られ
ず、着火や発火現象は生じなかった。
【0029】この試料を2週間以上外気に暴露した後に
再び反応容器に充填し、真空引きした後、1MPaの水
素ガスを導入したところ、直ちに反応を開始し、活性が
失われていないことが明らかとなった。図20に示すよ
うに、常温下で、しかも大気中に暴露したにも拘らず活
性を全く失うことなく、2回の活性化処理で、既に通常
の反応特性を持つことがわかる。通常の未処理試料は高
圧水素を印加してもこのような特性を発揮するに至るに
は数10回以上の吸蔵/放出を繰り返さなければなら
ず、高温下での脱気が必須の条件となるのに比べ、彼我
の違いである。
【0030】
【実施例3】厚さ0.5mmの純アルミ板を50mm×10
0mmに切断し、この表面に0.3mmの細孔を2mm間隔で
開けたものを、6弗化アルミニウムカリウム20gを1
000mlの水によって処理した薬液中に1昼夜浸し、表
面処理を施した。処理中には、アルミ板から微細な気泡
が間断なく発生し続けていたが、約2時間後に消滅し
た。この気泡は、ガスクロマトグラフから水素であるこ
とが判明した。
【0031】この表面処理を施したアルミ板2枚の間に
吸水性と水担持性に富む和紙をサンドウィッチ状に挾
み、合わせ目の1面を残して、他の3面をアルミ薄板で
シールした。このアルミ板モジュールを装置内に入れ
て、細孔の内側から外側に向けて間断なく拡散してくる
水を表面に薄膜化させ、空気乾燥機によって送られる空
気との熱交換によって蒸発する水量を測定した。蒸発速
度は、取り付けたビューレットから、一定界面を保持す
るために補給された水量と経過時間との関係から求め
た。同時に空気の出入口温度差を測定した。
【0032】その結果、入口空気温度30℃のもとで、
アルミ板モジュールを加熱することなく測定した場合の
蒸発速度は、23g/hrとなり、この値は2.3kg/m2・h
rに相当する。この時の出口空気温度は、25℃とな
り、5℃だけ低下した。また、アルミ板モジュールでの
温度低下を防止するために、アルミ板モジュールを加熱
して出口温度を低下させない方法を講じたところ、蒸発
速度は56g/hrとなり、これは5.6kg/m2・hrに相当
する。それぞれの結果を水の蒸発潜熱に換算し、蒸発に
よる熱交換量を求めると、モジュール板1枚当りで、そ
れぞれ13Kcal/hr及び31Kcal/hrとなるが、単位
2当りでは、1300Kcal/m2・hr及び3100Kcal
/m2・hrとなる。
【0033】このように、アルミ板表面からの水の蒸発
量と、そこから奪われる熱量が著しく大きいことから、
本発明の処理法により、蒸発凝縮特性や伝熱特性の優れ
た装置が可能である。
【0034】
【実施例4】水素吸蔵合金として、粒径が0.075mm
以下と0.106〜0.075mmのMg2Ni合金、及び粒
径が0.250〜0.106mmのMmNi0.35Mn0.4Al0.3
Co0.75合金(Mm:ミッシュメタル)をそれぞれ準備し
た。次いで、この合金粉末20gをW/V比で0.02
5に調整した6弗化アルミニウムカリウムをベースとし
た薬液400mlを入れたビーカー中に投入し、スターラ
ーによって十分撹拌した後、上澄液を取り除き、底部に
沈殿した粒子を回収した。
【0035】粒子を測定系中の反応セルに充填し、表1
【表1】 に示す条件で水素ガスを導入し、水素活性化状況を測定
した。その結果、図21〜図23及び表1に示すよう
に、水素ガスの導入と同時に水素の吸蔵が始まり、急激
な活性化が生じており、大型水素レザーバーを使用した
以降も、圧力の変化は少ないものの、常温、短時間で水
素を良く吸蔵している。
【0036】図21、図22はMg2Niの水素吸蔵反応
の経時変化を示しており、図21は粒径0.075mm以
下のもの、図22は粒径0.106〜0.075mmのもの
の場合である。従来高温(350℃以上)でなければ水素
吸蔵反応が生じないMg2Niが、室温下で十分水素を吸
蔵できることがわかる。図23は上記処理を行った試料
(MmNi0.35Mn0.4Al0.3Co0.75合金)が第1回目の水
素ガスの印加によって水素吸蔵反応を開始する様子を示
したもので、室温下で、最初約10気圧を印加し、次に
15気圧、20気圧のように変化させ、そのときの圧力
変化を経時的に観察した。ニッケル/水素吸蔵合金2次
電池の電極としての典型例である。なお、ここで用いた
ガス容器の体積が大きいため、水素ガスの圧力を高め
て、その変化が観察し易いように留意したが、実際の印
加圧は室温下で10気圧程度で十分であることがわか
る。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
以下の如く、優れた効果が得られ、その応用範囲も多様
であるので、実用上の効果は極めて大きい。
【0038】概ねすべての水素吸蔵合金が常温下で活
性を帯びる処理ができ、しかも従来のような高温高真空
脱気や高圧高温での多数回の活性化処理が大幅に緩和さ
れるので、活性化処理プロセス及び処理装置の簡略化、
量産が可能となる。例えば、自動車用燃料タンク、蓄熱
用貯蔵容器、ヒートポンプ、冷凍機、大容量水素貯蔵/
輸送容器、燃料電池用水素貯蔵容器などへの材料の充填
及び充填後の活性化が極めて容易となる。特に重量の軽
いマグネシウム及びMg含有合金の実用化の効果は顕著
である。
【0039】本発明法による処理は、単に水素吸蔵合
金の初期活性化に有効であるばかりでなく、活性を有す
る金属水素化物(金属材)の表面保護を行って活性が保持
したまま、大気中での処理が可能であるので、例えば、
高圧容器によらずとも、プラスチックス容器やプラスチ
ックスコーティングを施した紙製容器の利用も可能であ
る。
【0040】また、空気中で乾燥処理を行った活性を
有する金属水素化物粒子が、空気中の酸素を始めとする
他のガス並びに水分と反応せず、その活性を水素ガスに
対してのみ示すことから、本発明の処理法を適切に応用
することにより、水素を含むガスから水素のみを分離す
ることもできる。
【0041】活性な特性を有する金属水素化物粒子の
粒径は、活性化処理の繰り返しの初期段階で容易に制御
できる上に、活性を付与された金属水素化物粒子に再度
化成処理を施すことにより、活性を保ったまま空気雰囲
気下に放置できることから、その微粒子を薄膜上に展開
したり、特性の異なる金属水素化物を層状に積層したり
する複雑な工程が可能である。例えば、そのような積層
体を成型したニッケル−水素2次電池電極は、電解液に
対する耐食性、長期寿命、高電気容量などの特性を備え
た多機能化が可能である。
【0042】従来、高い活性を有する金属水素化物の
廃棄処理を行うには、空気酸化による着火や発火現象に
よる危険が伴うため、水中で開放するか、硫化化合物に
よる表面被毒を行ってから取り出すか、低級飽和炭化水
素液中に浸して保存するなどの方法が用いられていた
が、いずれの場合も、空気との接触や乾燥によって着火
したり発火したりする危険があった。本発明の処理法を
金属水素化物の廃棄処理に応用すると、安定な表面皮膜
の形成によって、着火や発火が防止でき、安全である。
【0043】本発明の処理により、優れた蒸発凝縮特
性又は伝熱特性を付与できる。アルミニウム又はその合
金の処理によって高性能な蒸発式熱交換器(凝縮器、蒸
発器、加湿器)ができる。特に伝熱性の優れた熱交換器
が可能である。全て小型で高性能な熱交換器の素材とし
て適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】LaNi4.7Al0.3の未処理試料についてのES
CAによるLaの分析結果を示す図である。
【図2】図1の分析に続けて更にエッチングしたときの
ESCAによるLaの分析結果を示す図である。
【図3】LaNi4.7Al0.3の未処理試料についてのES
CAによるNiの分析結果を示す図である。
【図4】図3の分析に続けて更にエッチングしたときの
ESCAによるNiの分析結果を示す図である。
【図5】LaNi4.7Al0.3の未処理試料についてのES
CAによるAlの分析結果を示す図である。
【図6】図5の分析に続けて更にエッチングしたときの
ESCAによるAlの分析結果を示す図である。
【図7】LaNi4.7Al0.3の処理済み試料のESCAに
よるLaの分析結果を示す図である。
【図8】図7の分析に続けて更にエッチングしたときの
ESCAによるLaの分析結果を示す図である。
【図9】図8の分析に続けて更にエッチングしたときの
ESCAによるLaの分析結果を示す図である。
【図10】図9の分析に続けて更にエッチングしたとき
のESCAによるLaの分析結果を示す図である。
【図11】LaNi4.7Al0.3の処理済み試料のESCA
によるNiの分析結果を示す図である。
【図12】図11の分析に続けて更にエッチングしたと
きのESCAによるNiの分析結果を示す図である。
【図13】図12の分析に続けて更にエッチングしたと
きのESCAによるNiの分析結果を示す図である。
【図14】図13の分析に続けて更にエッチングしたと
きのESCAによるNiの分析結果を示す図である。
【図15】LaNi4.7Al0.3の処理済み試料のESCA
によるAlの分析結果を示す図である。
【図16】図15の分析に続けて更にエッチングしたと
きのESCAによるAlの分析結果を示す図である。
【図17】図16の分析に続けて更にエッチングしたと
きのESCAによるAlの分析結果を示す図である。
【図18】図17の分析に続けて更にエッチングしたと
きのESCAによるAlの分析結果を示す図である。
【図19】実施例1における水素活性化状況を表わす圧
力−組成−温度特性(PCT関係)を示す図である。
【図20】実施例3において水素活性化後の薬液により
再処理した際の組成(H/M)の変化を示す図である。
【図21】実施例4においてMg2Ni合金(粒径:0.0
75mm以下)の初期活性化の状況を示す図である。
【図22】実施例4においてMg2Ni合金(粒径:0.1
06〜0.075mm)の初期活性化の状況を示す図であ
る。
【図23】実施例4においてMmNi0.35Mn0.4Al0.3
o0.75合金(粒径:0.250〜0.106mm)の初期活性
化の様子を示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弗化金属化合物の過飽和水溶液を薬液と
    し、これを用いて金属材を処理することにより、少なく
    とも表面又は表層部を高活性化することを特徴とする金
    属材の活性化処理法。
  2. 【請求項2】 活性化処理により付与される特性が、優
    れた水素活性化能、或いは優れた蒸発凝縮特性又は伝熱
    特性である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 請求項1で処理した金属材を真空引き
    後、水素を導入することにより水素を吸蔵させることを
    特徴とする金属材の初期活性化処理法。
  4. 【請求項4】 請求項3で得られた水素吸蔵金属材を前
    記薬液で再処理することにより、水素分子以外の表面被
    毒性を有する物質に対して非活性化することを特徴とす
    る金属材の安定化処理法。
  5. 【請求項5】 金属材が粉末等の素材、若しくは中間製
    品又は完成品のいずれかである請求項1、3又は4に記
    載の方法。
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