JPH042112Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、サスペンシヨンシートに適用される
シートベルト装置の改良に関する。

（従来の技術） 大型車両等において乗り心地を改善するため
に、運転席をスプリング及びリンクなどからなる
浮動支持機構を介して車室フロアに支持したサス
ペンシヨンシートというものが使用されている。

このサスペンシヨンシートを備えた車両では、
乗員の安全確保に万全を期するために、第３図ま
たは第４図に示したように座席１と車室フロア２
のそれぞれにシートベルトアンカ部３，４を設
け、左右の座席アンカ部３に連結したシートベル
ト５を介して乗員Ｐを座席１に保持するととも
に、さらに座席アンカ部３からフロアアンカ部４
へと連結した中間ウエビング６を介して緊急時の
座席の移動を規制するようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、座席アンカ部３は座席１の後端部に
設ける必要があり、例えば上記シートベルト装置
では座席１の後縁部に沿つて固設した金属製のシ
ートベルトバー７の両端部に座席アンカ部３を設
けるようにしているが、この座席アンカ部３を中
間ウエビング６の座席側連結点としてシートベル
ト５と共用する構造は、座席アンカ部３とフロア
アンカ部４との間の間隔Ｌが充分に無いと採用す
ることができない。

というのは、ベルトの縫製や金具の寸法の関係
から上記連結点間隔Ｌを少なくとも100ミリは確
保する必要があるからで、このため座席直後で立
ち上がる形状のフロアを有する車体等にはこのシ
ートベルト構造を適用できないことがある。

一方、このような不都合を回避しうるものとし
て、中間ウエビング６に相当する部分をシートベ
ルトとして一連に形成し、その途中部分を所定限
度以上の荷重が加わつたときに外れるように座席
脇の部分に仮固定したものがあるが、これは仮固
定部の離脱荷重設定が難しくて、正常時にあつて
もベルトが外れてしまうおそれがあるので安全確
保上やや不安がある。（この種のシートベルト装
置の公知文献としては、例えば実開昭49−79921
号公報、USP3890002号公報を参照。） 本考案は、こうした従来の問題点を解消するこ
とを目的としている。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案は、車室フロ
アに浮動支持されるサスペンシヨンシートの座席
後端と、その背後のフロア上とにシートベルトの
アンカ部を設けるシートベルト装置を前提とし
て、シートベルトを前記座席後端のアンカ部より
も前方の部分にて後方へと２方向に分岐し、その
一方の端部を座席後端のアンカ部に、他方の端部
をフロア上のアンカ部にそれぞれ連結した。

（作用） 上記構造に基づき、乗員は座席側アンカ部に連
結されたベルト部分により座席に保持されるとと
もに、車室に対する乗員及び座席の移動はフロア
アンカ部に連結されたベルト部分により拘束され
る。

フロアアンカ側のベルト部分は座席後端のアン
カ部よりも前方にてシートベルトから分岐してい
るので、この分岐部分からフロアアンカ部に至る
までのベルト長さは、座席後端からその背後のフ
ロアまでの距離よりも大である。従つて、座席後
端とフロアアンカ部との間の間隔が著しく狭くな
る車室構造にあつても、フロアへのシートベルト
の連結を容易に実現できる。

（実施例） 次に、本考案の実施例を添付図面に基づいて説
明する。

第１図または第２図において、１１は座席、１
２はその背もたれ部、１３は車室フロア、１４は
座席１１をフロア１３に対して浮動支持するサス
ペンシヨン機構、１５は座席１１の後端下部に固
設されたシートベルトバー、１６はシートベルト
バー１５の両端部に設けられた座席アンカ部、１
７はフロア１３に設けられたフロアアンカ部、１
８はシートベルトである。

シートベルト１８は左右分割構造を有し、乗員
Ｐの前面に位置するバツクル１９を介して接続ま
たは切り離しが可能である。左右のシートベルト
１８は、それぞれ前記バツクル１９から後部側方
へと延びて座席アンカ部１６に至る途中の部分
で、座席アンカ部１６に連結される第一ベルト１
８Ａと、フロアアンカ部１７に連結される第二ベ
ルト部１８Ｂとに分岐している。

この分岐状ベルト１８は、例えば第一ベルト部
１８Ａと第二ベルト部１８Ｂの何れか一方をバツ
クル１９に至る部分と一連に形成したうえでその
途中の分岐部２０にて他方を縫い着けるか、ある
いは双方を一連に形成して、その分岐部２０に相
当する部分を折り曲げてバツクル１９からのベル
ト端部に縫い着けることにより形成される。

一方、座席アンカ部１６とフロアアンカ部１７
は、乗員Ｐがベルト１８を着用した状態におい
て、第１図に示したように側面から見てそれぞれ
が一直線上に位置するように配設される。

また、フロアアンカ部１７に至る第二ベルト部
１８Ｂの長さＬ１は、サスペンシヨン機構１４を
介して浮動支持された座席１１がフロア１３に対
して最も上昇したときにシートベルト１８が緊張
するように設定されている。なお、座席アンカ部
１６を支点として乗員Ｐを拘束するベルト部分の
長さは、バツクル１９または図示しない調節機構
を介して任意に調節することができる。

上記構成に基づき、衝突時等の前方または上方
への乗員Ｐの移動はシートベルト１８により拘束
され、詳細には座席１１に対してはその後端部の
アンカ部１６に連結された第一ベルト部１８Ａの
緊張力により、また車室に対してはフロア１３の
アンカ部１７に連結された第二ベルト部１８Ｂの
緊張力により拘束される。従つて、座席１１がそ
のサスペンシヨン機構１４を介して移動可能であ
るにも拘わらず、乗員Ｐの車室内での移動が抑え
られ、確実にその安全が保たれる。

一方、シートベルト装置としての構造面に着目
すると、フロアアンカ部１７に連結される第二ベ
ルト部１８Ｂは、そのシートベルト１８上の分岐
部２０が座席アンカ部１６よりも前方に位置して
いるので、座席アンカ部１６の取付け位置がその
長さＬ１に制約を与えることはなく、このため座
席１１と車室フロア１３との間に充分な空間的余
裕が無い車両に対しても容易に適用することがで
きる。

また、このシートベルト１８は上述した通り縫
製等の簡単な作業で作ることができ、しかも従来
から有る部品に加えて新たに部品を製作する必要
が無いので、シートベルト装置としてのコストが
上昇することがなく、しかも構造が単純であるの
で信頼性も高い。

ちなみに、フロア構造等の関係から、第２図に
示したようにフロアアンカ部１７を座席１１から
側方に離した位置に設けることがあるが、この場
合第３図以下に示した従来例にあつては、強度上
の要請から乗員Ｐとの接点とフロアアンカ部４と
を結ぶ直線に沿つてベルト５，６が緊張するよう
に、座席アンカ部３を座席１の外側に位置させる
必要があり、このため座席アンカ部３を支持する
シートベルトバー７に大きな曲げ荷重が作用する
という問題があつた。これに対して本考案では、
シートベルト１８が途中で分岐しているのためフ
ロアアンカ部１７と座席アンカ部１６の位置を
個々に設定して差し支えないので、第２図に示し
た通り座席アンカ部１６をぎりぎりまで座席１１
に近付けることができ、それだけシートベルトバ
ー１５の強度負担が軽減するので小型軽量化を図
れるという利点がある。

なお、実施例は２点式シートベルトを前提とし
て説明したが、言うまでもなく本考案は３点式シ
ートベルト装置として構成することもできる。

（考案の効果） 以上の通り本考案によれば、座席とその背後の
フロア部分との間に充分な空間的余裕が無い車両
においても、座席とフロアのそれぞれに対して適
切な位置にシートベルトを連結することができ、
緊急時のサスペンシヨンシート及び乗員の移動を
確実に拘束することができる。

また、本考案は構造が簡略であるので信頼性が
高く、さらに新たな追加部品を要しないので従来
の製造設備を利用して容易に実現できるという利
点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の側面図、第２図は
同じく平面図である。第３図は従来例の側面図、
第４図は同じく平面図である。 １１……座席、１２……背もたれ部、１３……
車室フロア、１４……サスペンシヨン機構、１５
……シートベルトバー、１６……座席アンカ部、
１７……フロアアンカ部、１８……シートベル
ト、１９……バツクル、２０……シートベルトの
分岐部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車室フロアに浮動支持されるサスペンシヨンシ
   ートの座席後端と、その背後のフロア上とにシー
   トベルトのアンカ部を設けたシートベルト装置に
   おいて、シートベルトを前記座席後端のアンカ部
   よりも前方の部分にて後方へと２方向に分岐し、
   その一方の端部を前記座席後端のアンカ部に、他
   方の端部を同じくフロア上のアンカ部にそれぞれ
   連結したことを特徴とするサスペンシヨンシート
   のシートベルト装置。