JPH0348215Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、電着塗装装置に関し、通電不足によ
る塗装膜不良の対策を目的とする。

〈従来の技術〉 自動車のシヤシーフレームのような長尺で閉断
面の内部空洞がある被塗物を電着塗装する場合、
空洞内に空気が溜まつてその部分に塗膜ができな
くなるので、空気を移動あるいは追い出すために
被塗物を電着塗装槽内で揺動することが一般に行
われている。

この従来の電着塗装装置は第３図で示すよう
に、陽極の電極板３を塗料液内に設けた電着塗装
槽１内に揺動フレーム２を設け、この揺動フレー
ム２上に支持部材４を設置し、支持部材４の上端
に陰極の電極板５を取り付け、この電極板５上に
シヤシーフレームＷを載せて揺動フレーム２を外
部作動装置により揺動し、前記支持部材４を支点
にしてシヤシーフレームＷを揺動する構造であ
る。

〈考案が解決しようとする問題点〉 上記従来装置では次のようなな理由によつて塗
膜の膜厚不良が発生していた。

すなわち、支持部材４上の電極板５には第４図
で示すように鋸歯状の凹凸面が形成されている。
これは揺動によるシヤシーフレームＷの浮力によ
るズレを防止するために設けられている。しか
し、この凹凸面によつて一度電着された塗料が剥
がれ、その塗料カスが凹凸面に付着して電極接触
面に目詰まりを起し電流不足となる。

また、揺動時にシヤシーフレームＷと電極板５
とが片当りにより一定の電流が流れず電着塗装装
置を異常で停止していた。

この問題を解決するために、従来では２度の電
着塗装で補つているが、これでは生産効率が非常
に悪かつた。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は、上記従来の問題点を改善した電着塗
装装置を提供するもので、その特徴とする構成
は、電着塗装槽内で電極を備えた支持部材により
被塗物を支持し、この支持部材を支点にして被塗
物を揺動する電着塗装装置において、前記支持部
材を所要の間隔で並列配置した複数個の電極板に
よつて構成し、この電極板の先端を凸円弧状と
し、かつ電極板を被塗物の揺動に追従して昇降動
可能に設けたものである。

〈作用〉 本考案は、上記の構成により、電極板は被塗物
の揺動により追従して昇降動し、常に複数個の電
極板の先端が被塗物に接触する。また、電極板の
先端の凸円弧面によつて被塗物に曲面接触し、充
分な電流を通電する接触面積が確保される。

〈実施例〉 以下本考案の実施例を第１図及び第２図に基づ
いて説明する。電着塗装槽、揺動フレーム及び陽
極の電極板等の電着塗装装置の構成は第３図で示
す従来装置と同じであり、本考案は、この電着塗
装装置における揺動フレーム上に設置される被塗
物Ｗの支持部材を改良したものである。すなわ
ち、第１図、第２図において、４ａは改良された
支持部材である。その構造は、揺動フレーム２上
に取付台１０を固設し、この取付台１０の左右に
一対のＣ形フレーム１１を固着する。このＣ形フ
レーム１１には鉛直方向のガイド部材１２が相対
向して固設され、これに電極板１３が摺動可能に
案内されている。この電極板１３の上端は凸円弧
面１３ａに形成され、下端にはストツパ軸１４が
固着されている。またＣ形フレーム１１の下端上
面と電極板１３の下端面との間にスプリング１５
が介装され、このスプリング１５により電極板１
３は常に上方に押し上げられ、ストツパ軸１４に
よつて上昇端が規制されている。

前記Ｃ形フレーム１１には電源取付バー１７が
固着されており、この電源取付バー１７と電極板
１３とに電極板１３の昇降動を許容する編組線等
からなる可撓性の導電部材１６が接続されてい
る。

上記のようなＣ形フレーム１１及び電極板１３
等よりなる構成体を第１図で示すように取付台１
０上に少なくとも２個を前後方向に所要間隔で並
列配置し、前後Ｃ形フレーム１１間は電源取付バ
ー１７を補助電源バー１７ａにて連結し、１つの
Ｃ形フレーム１１に電源ケーブル１８を結合す
る。

本考案は上記の通りの構造であるから、前後に
並列している電極板１３はストツパ軸１４で規制
される上昇端にスプリング１５によつて押し上げ
られているが、シヤシーフレームＷを揺動フレー
ム２上にセツトし、電極板１３の上端に支持する
と、電極板１３はシヤシーフレームＷの重量をス
プリング１５でバランス支持する部位まで下降動
する。このとき、揺動フレーム２が水平状態では
シヤシーフレームＷも水平状態であり、シヤシー
フレームＷの下面に当接する前後の電極板１３は
等しく下降位置している。

外部作動装置（例えば上下動シリンダ）によつ
て揺動フレーム２を揺動するとシヤシーフレーム
Ｗは支持部材４ａを支点にして前後方向に傾斜揺
動する。このシヤシーフレームＷの揺動時には第
１図で示すように、シヤシーフレームＷの傾斜面
の下側となる一方の電極板１３はスプリング１５
をさらに圧縮して下降動し、傾斜面の上側となる
他方の電極板１３は上昇動し、何れの電極板１３
もシヤシーフレームＷの揺動に追従して昇降動す
る。また、シヤシーフレームＷと電極板１３の上
端の接触は、凸円弧面１３ａによりシヤシーフレ
ームＷが水平状態並びに揺動状態の何れにおいて
も曲面接触し通電に充分な接触面積を確保し、か
つ塗膜を剥離することのない円滑な支点作用を行
ううものである。

〈考案の効果〉 以上のように本考案によると、揺動する被塗物
の支点となる支持部材を先端が凸円弧面で被塗物
の揺動に常に昇降動して追従する少なくとも２個
以上の並列した電極板構成としたものであるか
ら、従来のように片当りがなくなり充分な通電が
得られると共に、塗膜の剥離や、剥離した塗料カ
スで電流不足となるようなこともなくなり、安定
した電流値が得られ、２度電着も不要となり生産
性を向上する利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の主要部側面図、第２図は
第１図矢視拡大図、第３図は従来装置の断面
図、第４図は従来装置の支持部材の側面図であ
る。 １……電着塗装槽、２……揺動フレーム、３…
…電極板、４ａ……支持部材、１１……Ｃ形フレ
ーム、１２……ガイド部材、１３……電極板、１
３ａ……凸円弧面、１４……ストツパ軸、１５…
…スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電着塗装槽内で電極を備えた支持部材により被
   塗物を支持し、この支持部材を支点にして被塗物
   を揺動する電着塗装装置において、前記支持部材
   を所要の間隔で並列配置した複数個の電極板によ
   つて構成し、この電極板の先端を凸円弧状とし、
   かつ電極板を被塗物の揺動に追従して昇降動可能
   に設けたことを特徴とする電着塗装装置。