JPH0323590Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、掛時計などの薄型時計に関するもの
である。

（従来の技術） 従来から掛時計の構造として最も周知のものの
一つとして、時計機械体を内蔵しているカプセル
の取付板例えば後枠の前方に文字板を配し、この
文字板の前方に透明な前面カバーを設置し、この
前面カバーと文字板との間に指針が設けてあるも
のがある。

ところで近年、時計の分野も軽薄短小の要望が
高まり、時計の薄型化は極めて重要な技術的課題
となつており、例えば掛時計の場合では１cm以下
のものが出現するようになつている。そのため文
字板と前面カバーとの間隔、文字板と時計機械体
の取付板との間隔は、極度に狭くなつている。例
えば文字板と前面カバーとの間隔は、２〜３mm程
度である。また前面カバー、文字板、取付板やそ
の他指針自体も、その強度に影響しない限り極端
に薄く形成されている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが時計を極端に薄く構成したことによ
り、温度変形、操作時の加圧等で取付板や前面カ
バーが容易に変形する危険性が多くなり、そのた
めこの前面カバーが分針を押すような現象が生
じ、分針が分針軸に連動できずに分針のみ停止し
たり、前面カバーに分針によつてすれ傷がついた
り、最悪の場合には、時計が止つてしまうことに
なる。

そこで本考案の目的は、前面カバー、時計機械
体の取付板が変形を受けたとしても、前面カバー
と文字板間の間隙を一定に保ち得る薄型時計を提
供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案の特徴とするところは、時計ムーブメン
トが内蔵されているカプセルが固定されている取
付板と、この取付板の前方に配置してあり前面に
時刻を示す指標が設けてある文字板と、この文字
板の前方で所定の間隔をもつて配置されている透
明な前面カバーと、この前面カバーと上記文字板
との間の間隙内に位置し上記ムーブメントによつ
て駆動される指針とを有する時計において、上記
指標の上記文字板からの高さは、上記指標が上記
間隙を維持するスペーサとして機能するように上
記前面カバーと上記文字板との間の間隙にほぼ等
しいものであるところにある。

（作用） したがつて前面カバーが温度や外力によつて変
形したり、操作時に加圧されても指標のスペーサ
機能によつて、この前面カバーと文字板との間隙
は一定に保たれ、そのため指針が前面カバーに接
触することはない。

（実施例） 以下図面を参照して本考案の実施例について説
明する。

本考案にかかる薄型時計は、第１図および第２
図に示すように、後枠を兼ねる取付板１の前面に
文字板２が位置し、この文字板の前方には、狭い
間隙を介して薄い透明な前面カバー３が配設して
ある。そして取付板１の背面の中心部には、時計
機械体が内蔵してあるカプセル４が取付けてあ
り、この時計機械体によつて、文字板２と前面カ
バー３との間の間隙内に位置している分針５、時
針６が回転駆動されるようになつている。

第１図示のように前面カバー３において、時刻
目盛「12，３，６，９」の表示位置に相当する個
所には、前面より飾りボタン７が装着してある。
飾りボタン７は、第２図示のように、その後端面
の中心部に雌ネジが刻設してあり、このネジに、
取付板１の背面側から挿入されている雄ネジ８が
螺入することにより、前面カバー３と取付板１と
は、文字板２を介在させた状態で強く連結されて
ある。

また文字板２には、第１図示のようにその時刻
目盛「１，２，４，５，７，８，10，11」のそれ
ぞれの個所には、指標９…が挿着してあり、そし
てこの指標の位置は、指針５，６の回転障害にな
らない限度で、この指針の先端の軌跡に近い位置
であることが望ましい。

文字板２には、第３図に示すように透孔２ａが
穿設してあり、この透孔にはその前面から、段付
きの指標９に形成されている小径の脚部９ａが圧
入してある。そして脚部９ａには、その軸方向に
割り溝が穿設してあり、外方に開くように弾性力
を有するようになつている。そして取付板１に
は、文字板２の透孔２ａと対向する位置に、指標
９の脚部９ａが圧入される中空の支え突起１ａが
一体的に形成してあり、この突起の前端面は文字
板２の背面に当接または近接している。

指標９の頭部の文字板２から突出した高さは、
前面カバー３と文字板２との間の間隙にほぼ等し
いか同一のものであり、またその脚部９ａの長さ
は、文字板２を貫通して取付板１に当接可能なも
のである。そのため指標９の上端は、前面カバー
３に当接し、さらに脚部９ａの下端面も、取付板
１に当接している。

したがつて前面カバー３が温度変形や操作時に
加圧があつて変形しようとしても、指標９および
その脚部９ａによつて、この前面カバーと文字板
２の間隙および文字板２と取付板１との間隙は一
定に規制され、文字板２が変形を受けることはな
い。

また指標９の前端面およびその脚部９ａの後端
面は、前面カバー３および取付板１に対し微小な
クリアランスをもつて近接するようにしても上記
と同等の効果は得られる。

第４図は、他の実施例を示すもので、これは取
付板１１に段付きの支え柱１１ａを一体的に形成
したもので、この指標の先端には、小径の指標部
１１ｂが形成してあり、この指標部は文字板１２
の透孔１２ａを貫通し、その先端面は前面カバー
１３に当接または近接している。なおこの指標部
１１ｂの位置などは、前記の実施例と実質的に同
一である。

第５図、第６図はさらに他の実施例を示すもの
で、取付板２１にはその中心より外方に向けて距
離の異なる３か所に係止部である支え突起２１
ａ，２１ｂ，２１ｃが一体的に形成してあるもの
で、この支え突起の中空部には、指標２９の小径
の脚部２９ａが挿着可能となつている。そして第
６図示のように、取付板２１の支え突起の開口端
面には、文字板２２が位置し、この文字板には透
孔２２ａが穿設されており、この文字板の前面に
は狭い間隙をもつて前面カバー２３が位置してい
る。

したがつて文字板２２の構造は、支え突起２１
ａ〜２１ｃの形成位置に対応して、文字板の透孔
２２ａの穿設位置を変えることができ、デザイン
の自由度を高め、文字板の汎用性を実現すること
ができる。そして支え突起２１ａ〜２１ｃに挿着
している指標２９の前端面は、前面カバー２３と
当接可能となつている。

（考案の効果） 本考案は、以上の構成であるから、温度、外力
などによつて、前面カバーが変形しようとして
も、指標によるスペーサ機能によつて前面カバー
と文字板との間の間隙は一定に保たれ、この前面
カバーは指針に接触することが防止され、そのた
め指針による前面カバーの接触傷、時計の作動停
止などの発生が防止される。特に指標は時刻目盛
の表示位置に設けてあるため、指針の先端の軌跡
に近く、そのため上記の前面カバーと文字板間の
間隙を保持するスペーサとしての機能を最大に発
揮する。さらに指標は、立体文字としての意匠上
の効果を奏することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は時計の正面図、第２図はその一部切欠
拡大断面図、第３図は要部拡大断面図、第４図は
他の実施例を示す要部拡大断面図、第５図、第６
図はさらに他の実施例を示すもので、第５図は一
部切欠正面図、第６図は第５図−線拡大断面
図である。 １，１１，２１……時計機械体の取付板、１ａ
……支え突起、２，１２，２２……文字板、３，
１３，２３……前面カバー、４……時計機械体を
内蔵したカプセル、５，６……指針、９……指
標、１１ｂ……指標部、２１ａ，２１ｂ，２１ｃ
……係止部、２９……指標。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 時計ムーブメントが内蔵されてあるカプセル
   と、このカプセルが固定されている取付板と、
   この取付板の前方に配置してあり前面に時刻を
   示す指標が設けてある文字板と、この文字板の
   前方で所定の間隔をもつて配置されている透明
   な前面カバーと、この前面カバーと上記文字板
   との間の間隙内に位置し上記ムーブメントによ
   つて駆動される指針とを有する時計において、 上記指標の上記文字板からの高さは、上記指
   標が上記間隙を維持するスペーサとして機能す
   るように上記前面カバーと上記文字板との間の
   間隙にほぼ等しいものである ことを特徴とする薄型時計。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項において、指
   標は取付板と一体的に形成してあることを特徴
   とする薄型時計。 ３ 実用新案登録請求の範囲第１項において、指
   標は、後枠の中心より外方に向けて距離の異な
   る複数個所に設けてある係止部に選択的に取付
   け可能であることを特徴とする薄型時計。