JPH0218741Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は車両用シートに関し、特にシートクツ
シヨンが独立してシートの前後方向に移動調整可
能に支持されてなる車両用シートの改良に関す
る。

〔従来技術〕

一般に、この種の車両用シートはシートクツシ
ヨンおよびその後方で立設されたシートバツクと
からなり、かつこれらシート全体を支持するシー
トフレームを車体の床面上で前後スライド機構等
にて支持することにより、車体の前後方向に移動
調整し得るように構成され、着座者の体型や好み
に対処できるようになつている。そして、これに
加えてシートクツシヨンのみを、独立してシート
の前後方向に移動調節可能に構成し、シートを着
座者の体型に合せて調整し得るようにし、より自
由度をもたせることも要求されている。すなわ
ち、シートクツシヨンのみを独立してシート後方
に移動させると、着座者の太腿部に加わる圧迫感
が緩和され、ペダル操作が容易に行なえるもの
で、またこのシートクツシヨンをシート前方に移
動させると、着座者の太腿部が浮いた状態となる
のを防ぎ、その着座姿勢の不安定さを取り除くこ
とが可能となる。

ところで、このようなシートクツシヨンを独立
して移動調整し得るように構成するうえで望まれ
ることは、シート全体の前後スライド機構との関
係を考慮した簡易型でかつスペース上でも問題と
ならないスライド構造を採用し、しかもその移動
を円滑かつ適正に行なえるとともに、所望の位置
で確実に係止し得ることで、また着座者の重量を
適切かつ確実に支持できる無理のない構造とし、
さらにその調節操作が簡単でしかもコスト的に安
価である等である。しかし、従来提案されている
ものは、その構造が複雑で、適切な無段階の調節
等は行なえず、また操作面でも問題であるといつ
た、いずれも一長一短のものであり、何らかの対
策を講じることが望まれている。

〔考案の概要〕

本考案はこのような事情に鑑みてなされたもの
であり、シートクツシヨンフレームが独立してシ
ートの前後方向に移動調整可能に支持されてなる
車両用シートにおいて、前記シートクツシヨンフ
レームの底部と一体に、該底部の左右両側縁より
適宜の間隔を置いた内側より垂下され、下部が
夫々外方に屈折された左右一対の可動側フレーム
を形成し、シートクツシヨンの両側部下方に対応
して配設されシート全体を前後方向に移動可能に
支持する左右一対のシートスライドアジヤスタの
アツパレール上に断面略コ字状を呈する左右一対
の支持フレームを相互に開口側を対向させて固着
し、該左右一対の支持フレームの開口側より前記
左右一対の可動側フレームの下部を夫々嵌合さ
せ、該可動側フレームをアツパレール上でシート
の前後方向に摺動自在に支持し、かつこの可動側
フレームの一側面にその上端部がシートクツシヨ
ンフレーム下面にて係止されるようにしてラツク
を固定するとともに、このラツクに噛合するピニ
オンを可動側フレームに対し回動自在に軸支し、
このピニオンの回転を選択的に拘束するロツク機
構を付設するという簡単な構成によつて、シート
クツシヨンのシート前後方向への移動調節を簡単
かつ無段階で適切に行なえ、しかも所望の位置で
確実にロツクして固定し得るとともに、ロツク機
構をシートクツシヨンの底部の内側に設けること
ができ、シートクツシヨンの表皮材の端末処理空
間を十分に確保することができ、各部の動作上の
信頼性等をも向上させるようにした安価な車両用
シートを提供するものである。

〔考案の実施例〕

以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図ないし第３図は本考案に係る車両用シー
トの一実施例を示すものであり、その要部とする
シートクツシヨンの前後調節機構およびそのロツ
ク機構とこれらを付設するシートクツシヨンフレ
ーム等のみを示し、それ以外の構成等は省略して
いる。

これらの図において、符号１０は車体床面１１
上でシートのシートクツシヨンＫの両側部下方に
対応して配設された一対のシートスライドアジヤ
スタで、そのロアレール１０ａが車体床面１１上
に固着され、かつこのロアレール１０ａに対しア
ツパレール１０ｂがシートの前後方向に摺動自在
に組付けられている。なお、これら両シートスラ
イドアジヤスタ１０は、それぞれシートの前後方
向に沿つて付設され、かつ図示しないが周知のロ
ツク機構により所定の位置で係止され、これによ
つてシート全体の前後位置を調整し得るように構
成されている。

また、前記アツパレール１０ｂの上部には、断
面略コ字状を呈する支持フレーム１２が互いに開
口側を対向させるようにして固着されており、か
つこれら支持フレーム１２内には樹脂材等による
摺動子１３を介して前記シートクツシヨンＫのシ
ートクツシヨンフレーム１４から切起して垂下さ
れた可動側フレーム１５のＬ字状先端が嵌合し、
シートの前後方向に独立して摺動自在に支持され
ている。前記可動側フレーム１５はシートクツシ
ヨンフレーム１４の底部の左右両側縁より適宜の
間隔を置いた内側より垂下され、従つて可動側フ
レーム１５に設けられる後述するラツク、ピニオ
ン及びこれらのロツク機構等シートクツシヨンの
左右両側縁より内側に形成することができ、また
シートクツシヨンの左右両側縁にシートクツシヨ
ンの表皮材の端末処理空間等を十分にとることが
できるものである。

一方、前記シートクツシヨンフレーム１４の右
方側端部には、前記アツパレール１０ｂ上に設け
られた支持フレーム１２上に固着された固定側の
サイドフレーム１６が設けられ、この固定側のサ
イドフレーム１６と前記可動側フレーム１５とは
相対的に移動可能な構成となつている。なお、図
中１７は前記シートクツシヨンフレーム１４の左
方側端部で前記可動側フレーム１５と対向して同
様に切起して垂下された可動側のサイドフレーム
で、その先端は前記アツパレール１０ｂ上の支持
フレーム１２の上端部に臨んでいる。

さて、本考案によれば、上述した構成におい
て、前記シートクツシヨンフレーム１４と一体の
可動側フレーム１５に対しシートの前後方向に沿
つて長溝１８を形成するとともに、この長溝１８
の上側縁に臨むラツク歯２０ａを有するラツク２
０を、前記可動側フレーム１５の内側の側壁部で
その上端部が前記シートクツシヨンフレーム１４
にて係止されるようにして固着して設けている。
そして、これに対し、そのラツク歯２０ａに噛合
するピニオン２１を設けてなるシヤフト２２を前
記サイドフレーム１６，１７間に嵌挿された状態
で回動自在に支持されている。さらに、このシヤ
フト２２の右端は、サイドフレーム１６に設けら
れギヤ部２３ａを有するボス２３を貫通してシー
トの外側に延設され、その外方端に前記ピニオン
２１の回転を選択的に拘束するロツク機構２４が
付設されている。

これを第３図を用いて簡単に説明すると、この
ロツク機構２４は、前記シヤフト２２に対し回転
自在に支持されカバー部材２５およびこれに固設
された取付板２６からなる操作部材２７と、前記
サイドフレーム１６側に設けられたギヤ部２３ａ
に対し互いに反対側から噛合する一対のラツチ爪
２８ａ，２８ｂを回動可能に支持しかつ前記シヤ
フト２２上に固設されたロツク解除板２９とを備
えている。すなわち、これらラツチ爪２８ａ，２
８ｂは、このロツク解除板２９の一側に突設され
たピン３０ａ，３０ｂにて軸支されるとともに、
スプリング３１によりその自由端が互いに接近す
る方向に付勢されて前記ギヤ部２３ａに互いに逆
方向から噛合するように構成されている。そし
て、これらラツチ爪２８ａ，２８ｂはそれぞれシ
ヤフト２２すなわちピニオン２１の回転を順方向
と逆方向とに係止する役割を果たす。

一方、前記操作部材２７を構成する取付板２６
には、上述した各ラツチ爪２８ａ，２８ｂに係合
する解除ピン３２ａ，３２ｂが固定され、これら
解除ピン３２ａ，３２ｂは前記ロツク解除板２９
に形成された弧状溝３３を介して前記各ラツク爪
２８ａ，２８ｂの内側に臨んでいる。そして、こ
の操作部材２７がカバー部材２５に対しナツトを
介して取付けられているノブ２７ａによりシヤフ
ト２２上でいずれかの方向に回転操作されたとき
に、解除ピン３２ａ，３２ｂの一方にてラツチ爪
２８ａ，２８ｂの一方をギヤ部２３ａから外し、
シヤフト２２すなわちピニオン２１を一方向に回
転させ得る状態とする役割を果たす。

そして、このような構成によれば、ノブ２７ａ
を介して操作部材２７をいずれかの方向に回転さ
せてラツチ爪２８ａ，２８ｂの一方をギヤ部２３
ａから外し、シヤフト２２すなわちピニオン２１
を一方向に回転し得る状態とすることにより、シ
ートクツシヨンＫを所望の方向に移動調節するこ
とが可能となるものである。これはノブ２７ａの
回転が前記解除ピン３２ａ，３２ｂの一方と解除
板２９の弧状溝３３の係合によりこの解除板２９
が回転されてシヤフト２２に伝達されることによ
り回転するピニオン２１が噛合するラツク２０を
介してシートクツシヨンフレーム１４をシートの
前後方向のいずれかに移動させることができるこ
とから明らかであろう。また、所望の位置に調節
した後ノブ２７ａから手をはなすと、スプリング
３１の作用によりラツチ爪２８ａ，２８ｂがギヤ
部２３ａに両方向から噛合し、これによりシヤフ
ト２２すなわちピニオン２１の回転が拘束されて
これと噛合するラツク２０によりシートクツシヨ
ンフレーム１４はその移動を規制されたロツク状
態となるものである。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の形状、構造などを、必要に応じて適宜
変形、変更することは自由であり、たとえばロツ
ク機構２４として種々の構造をもつものを用いて
もよいことは容易に理解されよう。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案に係る車両用シー
トによれば、シートクツシヨンフレームの底部と
一体に、該底部の左右両側縁より適宜の間隔を置
いた内側から垂下された可動側フレームを、シー
ト全体を前後方向に移動可能に支持するシートス
ライドアジヤスタのアツパレール上でシートの前
後方向に独立して摺動動作し得るように支持し、
かつこの可動側フレームの一側面にその上端部が
シートクツシヨンフレーム下面にて係止されるよ
うにしてラツクを固定するとともに、このラツク
に噛合するピニオンを可動側フレームに対し回動
自在に軸支し、このピニオンの回転を選択的に拘
束するロツク機構を付設するようにしたので、簡
単かつ安価な構成にもかかわらず、シートクツシ
ヨンのシート前後方向への移動調節を簡単かつ無
段階で適切に行なえ、しかもその調整量もラツク
歯の長さを変更するだけで簡単に増大させること
ができ、従来よりも調節にあたつての自由度が大
きく、シートとしての機能を発揮させ得るばかり
でなく、所望の位置で確実にロツクして固定で
き、さらに操作性や各部の動作上の信頼性等をも
向上させることができる等の実用上種々優れた効
果がある。

特に、本考案によれば、ラツクをシートクツシ
ヨンフレームにて確実に支持固定しているため、
その取付強度の面で優れ、作動時において加わる
外力に抗してラツクとピニオンとの噛合状態を確
実に維持し得るものであり、然もこれらラツクと
ピニオン及びロツク機構をシートクツシヨンの底
部の左右両側縁より内側に設けることができ、さ
らに構成が簡素化し、部品点数も少ないため組立
性の面で優れている等の利点がある。

【図面の簡単な説明】

図は本考案に係る車両用シートの一実施例を示
し、第１図はその要部断面図、第２図はその要部
とするラツクとピニオンとの関係を示す図、第３
図はロツク機構の一例を示す概略分解斜視図であ
る。 図中、１０……シートスライドアジヤスタ、１
０ｂ……アツパレール、１２……支持フレーム、
１４……シートクツシヨンフレーム、１５……可
動側フレーム、１６……固定側サイドフレーム、
１７……可動側サイドフレーム、２０……ラツ
ク、２１……ピニオン、２２……シヤフト、２４
……ロツク機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンフレームが独立してシートの
   前後方向に移動調整可能に支持されてなる車両用
   シートにおいて、前記シートクツシヨンフレーム
   の底部と一体に、該底部の左右両側縁より適宜の
   間隔を置いた内側より垂下され、下部が夫々外方
   に屈折された左右一対の可動側フレームを形成
   し、シートクツシヨンの両側部下方に対応して配
   設されシート全体を前後方向に移動可能に支持す
   る左右一対のシートスライドアジヤスタのアツパ
   レール上に断面略コ字状を呈する左右一対の支持
   フレームを相互に開口側を対向させて固着し、該
   左右一対の支持フレームの開口側より前記左右一
   対の可動側フレームの下部を夫々嵌合させ、該可
   動側フレームをアツパレール上でシートの前後方
   向に摺動自在に支持し、かつこの可動側フレーム
   の一側面にその上端部が前記シートクツシヨンフ
   レーム下面にて係止されるようにしてラツクを固
   定するとともに、このラツクに噛合するピニオン
   を可動側フレームに対し回動自在に軸支し、この
   ピニオンの回転を選択的に拘束するロツク機構を
   付設したことを特徴とする車両用シート。