JPH0215643Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、印刷機におけるハンドルホイール
の取付構造に関するものである。

一般に、枚葉紙印刷用の印刷機においては、モ
ータによつて回転駆動される原動軸の回転を給紙
機構部や印刷機構部などに伝達するようにしてあ
り、前記原動軸の端部に取付けたハンドルホイー
ルの手動操作により原動軸を回転して枚葉紙受け
渡しのタイミング調整などを行なうようにしてい
る。

前記ハンドルホイールは通常オペレータ側に配
置されているため、印刷作業時に、このハンドル
ホイールが原動軸と共に回転する取付構造である
と、衣服などが巻き込まれる危険がある。そのた
め、普通、原動軸とハンドルホイールとの間にク
ラツチを介在しているが、従来のクラツチはかみ
合いクラツチであるため、原動軸の回転時に、上
記クラツチが誤まつて操作されると、タイミング
のよいときにはハンドルホイールに回転が伝達さ
れて危険な状態となり、またタイミングの悪い場
合には、クラツチの不十分なかみ合いによつて異
音が発生し、あるいはかみ合い爪部に衝撃力が作
用して破損するという不都合がある。

そこで、この考案は上記の欠点を除去し、原動
軸の回転時に、この原動軸の回転が端部に取付け
たハンドルホイールに伝達されるのを確実に防止
することができるようにしたハンドルホイールの
取付構造を提供することを目的としている。

以下、この考案の構成を添付図面に基づいて説
明する。

図示のように、モータによつて回転駆動される
原動軸１の端部外側には、ハンドルホイール２に
形成した筒部３が嵌め合わされて回転可能に、か
つスライド自在に支持されている。

ここで、筒部３の支持は、原動軸１の端部にブ
ツシユ４をスライド自在に嵌め合わせ、上記ブツ
シユ４と、その外側に嵌め合わせたハンドルホイ
ール２の筒部３との間に軸受５を非可動に設けて
おり、上記ブツシユ４は、原動軸１の端部外周に
設けたスナツプリング６によつて抜け止めされて
いる。またブツシユ４の端部には径方向の孔７が
形成され、この孔７に挿入したボール８は、ブツ
シユ４の端部外周に装着した切り離しリング９の
弾力によつて内方向に押圧されている。

前記原動軸１の外周には、第１周溝１０および
第２周溝１１が形成され、この周溝の一方にボー
ル８の外周一部を嵌合させることにより、ハンド
ルホイール２の軸方向の移動を阻止することがで
きるようになつており、上記ハンドルホイール２
を軸方向に押し込んで第１周溝１０にボール８の
外周一部を嵌合させることにより原動軸１と筒部
３との間に設けた遠心クラツチ２０をかみ合わせ
ることができるようになつている。

遠心クラツチ２０は、原動軸１の外周に爪支持
筒２１を嵌め合わせて固定し、この支持筒２１の
外周に設けた一対の支持片２２にクラツチ爪２３
の端部をピン２４で摺動自在に支持し、上記クラ
ツチ爪２４の筒部３と対応する一方の端部に係合
片２５を設け、この係合片２５を筒部３の端面に
形成した係合凹部２６に対して軸方向に着脱させ
るようにしている。

上記クラツチ爪２３の他方の端部は、爪支持筒
２１に支持されたスプリング２７によつて外方向
に押圧され、一方の端部に形成した係合片２５の
内端が爪支持筒２１の外周に当接している。

この考案に係るハンドルホイールの取付構造は
上記の構成から成り、印刷機の印刷作業時、ハン
ドルホイール２は、ボール８の外周一部が第２周
溝１１に嵌る状態に保持される。

いま、ボール８が第２周溝１１に嵌る状態で原
動軸１を回転すると、爪支持筒２１に支持された
クラツチ爪２３が遠心力により揺動して係合片２
５が外方向に移動するため、ハンドルホイール２
が誤まつて軸方向に押し込まれたとしても、係合
片２５は係合凹部２６に嵌合せず、原動軸１の回
転はハンドルホイール２に伝達されない。

また、印刷作業の終了後、原動軸１の駆動用モ
ータを停止させ、その原動軸１が惰性で回転して
いるときに、ハンドルホイール２が誤まつて軸方
向に押し込まれた場合は、外方向に移動している
係合片２５の内側にハンドルホイール２の筒部３
の先端が侵入し、原動軸１の回転速度の低下によ
つて内方向に移動する係合片２５の内端が第２図
に示すように、筒部３の先端部外周に当接する。

ここで、係合片２５の内端の幅寸法を、外端の
幅寸法に対して大きくし、それに合わせて係合凹
部２６の形状を規制しておくと係合片２５と係合
凹部２６とが原動軸１の回転途中において一致し
たとしても係合片２５は係合凹部２６に嵌合せ
ず、このため、係合片２５は、その内端が筒部３
の外周に当接する状態に保持されるので、ハンド
ルホイール２が原動軸１と共に回転するのを防止
することができる。

なお、第１周溝１０および第２周溝１１とボー
ル８との嵌合によつて軸方向の移動量が制限され
る筒部３の先端のスライド範囲にリミツトスイツ
チ２８を配置し、ハンドルホイール２が軸方向に
押し込まれたとき、上記リミツト２８が作動して
原動軸１の駆動用モータが停止するようにしてお
けば、遠心クラツチ２０がかみ合う状態で原動軸
１が回転駆動されるのを防止することができると
共に、原動軸１の回転時にハンドルホイール２が
押し込まれた場合に原動軸が直ちに停止するので
安全である。

以上のように、この考案は、原動軸とハンドル
ホイールの筒部との間に設けたクラツチが遠心ク
ラツチであるため、原動軸の回転時においてハン
ドルホイールが軸方向に誤まつて押し込まれたと
しても上記遠心クラツチは非係合の状態で保持さ
れ、原動軸の回転がハンドルホイールに伝達され
るのを確実に防止することができる。また、遠心
クラツチを形成するクラツチ爪の係合片の内端の
幅寸法を外端の幅寸法より大きくしておくと、ハ
ンドルホイールの筒部の先端がクラツチ爪の内端
に侵入する状態で原動軸の回転速度が低下して係
合片が内方向に移動しても、上記係合片は係合凹
部に嵌合せず、筒部の外周を接触した状態で回転
するので、衝撃力の発生もなく、クラツチ爪や筒
部などが破損・損傷するのを防止することができ
る。

さらに、原動軸の端部に嵌め合わせたハンドル
ホイールの筒部を軸方向に移動させて遠心クラツ
チの着脱を行なう簡単な構成であるため、組立て
も容易であり、しかもモータ停止用のスイツチを
筒部の軸方向の移動によつて作動させることもで
きるため、安全性をさらに向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係るハンドルホイールの
取付構造を示す縦断側面図、第２図は同上の遠心
クラツチの非係合状態を示す縦断側面図、第３図
は同上遠心クラツチの分解斜視図である。 １……原動軸、２……ハンドルホイール、３…
…筒部、２０……遠心クラツチ、２３……クラツ
チ爪、２５……係合片、２６……係合凹部、２７
……スプリング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 一方向に回転駆動される原動軸の端部外側に
   ハンドルホイールに設けた筒部を回転可能に、
   かつスライド自在に嵌め合わせ、この筒部と原
   動軸との間に遠心クラツチを設け、上記遠心ク
   ラツチは、筒部より内側の位置で原動軸の外周
   にクラツチ爪を摺動自在に支持し、このクラツ
   チ爪の筒部と対応する端部に係合片を設け、こ
   の係合片が原動軸の外周に向けて移動するよう
   クラツチ爪を偏向するスプリングを設け、一方
   筒部の端面には上記係合片の挿入可能な係合凹
   部を形成した印刷機におけるハンドルホイール
   の取付構造。 ２ 前記係合片は、両側をテーパとして内端の幅
   寸法が外端の幅寸法より大きくなり、この係合
   片の挿入可能な係合凹部が上記係合片に適合す
   る形状になつている実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の印刷機におけるハンドルホイールの
   取付構造。