JPH0158010B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はカムシヤフト挿入装置に関し、シリン
ダブロツク等に形成したカムシヤフト嵌入孔の孔
曲りやカムシヤフトの軸歪みに影響されることな
く円滑にカムシヤフトの組付を行ない得るものに
関する。

（従来の技術） 多気筒エンジンにおいては、各気筒の吸排気弁
の駆動を、カル伝達機構を介して行なつており、
そのために、エンジンのシリンダヘツド等には、
外周面に各気筒の吸排気弁を駆動するためのカム
面を形成したカムシヤフトが組付けられる。この
カムシヤフトは、予めシリンダヘツド等に一体成
型したカムシヤフト嵌入孔に嵌入することによつ
て、その組付けが行なわれる。すなわち、嵌入孔
は、同軸状に軸心方向に離れた状態で複数個形成
されており、端側の嵌入孔からカムシヤフトを嵌
入させている。

（発明が解決しようとする問題点） ここで、このような組付け作業を、手作業によ
らず自動的に行うために、嵌入孔に挿通させた案
内ロツドと、この案内ロツドに同軸状に配置した
押込みロツドとの間にカムシヤフトを挟持して、
かかる挟持状態のままカムシヤフトを嵌入孔内に
挿入していくことが考えられる。しかしながら、
製造誤差等により、複数個の嵌入孔の間には孔曲
りが生じている場合があり、またカムシヤフト側
においても軸歪が生じている場合がある。そのた
めに、上述のようにロツド間にカムシヤフトを挟
持した状態でカムシヤフトの嵌入を行なつていく
と、このシヤフト軸心と嵌入孔の軸心との間に偏
心が生じ、カムシヤフトの嵌入が不可能となつた
り、あるいはカムシヤフト、嵌入孔に損傷が生ず
るおそれがある。

本発明は、かかる従来技術の問題点に着目し、
カムシヤフトの組付け作業を円滑に行ない得るカ
ムシヤフト挿入装置を提供することを目的として
いる。

（問題点を解決するための手段） 本発明の装置においては、実施例を示す第１図
を参照して説明すると、カムシヤフト１５の一方
端１５ａを支持してカムシヤフト１５をカムシヤ
フト嵌入孔内に導く案内ロツド７の先端に形成し
た支持部２３は、カムシヤフト嵌入孔内に嵌合可
能な外径を有する外周面２５ｂが隣接する２個の
前記カムシヤフト嵌入孔にわたる長さに形成され
た円筒部２５と、該円筒部２５内に装着され、カ
ムシヤフト１５の一方端１５ａを支持する支持セ
ンタ２９とを備えている。更に、この支持センタ
２９は、円筒部内において、この円筒部の半径方
向に微小移動可能な状態に取り付られている。

（作用） かかる構成の装置では、第２図Ｂに示すよう
に、カムシヤフトを嵌入孔内に案内した案内ロツ
ドの支持部材は、その円筒部の外周面が常に隣接
する２個の嵌入孔あるいは１個の嵌入孔に嵌入し
た状態に保持される。また、支持センタによつて
支持されているカムシヤフトは、支持センタと共
に円筒部に対して相対的にその半径方向に微小移
動可能な状態に保持される。この結果、支持部材
は常に嵌入孔に嵌入され、嵌入孔によつて順次に
他方の端側の嵌入孔に向けて案内される。また、
支持センタによつて支持されているカムシヤフト
は、円筒部に対して相対移動しながら案内ロツド
によつて案内されて嵌入孔内に挿通して行く。

（発明の効果） このように本発明では、案内ロツドが嵌入孔に
よつて案内され、カムシヤフトはこの案内ロツド
に対してわずかに相対移動可能な状態で嵌入孔内
に挿入される。すなわち、案内ロツドの先端は隣
接する嵌入孔の間で嵌入孔によつて規制されない
自由な状態となることはないので、隣接する嵌入
孔間に孔曲がりがある場合において、一方の嵌入
孔から抜け出た案内ロツドの先端が他方の嵌入孔
に嵌入不可能な状態になることはない。また、案
内ロツドが全ての嵌入孔に対して同時に嵌入する
支持部材を有する場合のように、孔曲がりのため
に案内ロツド自体を嵌入孔に挿通できないという
事態が生ずることもない。更には、案内部材に対
してカムシヤフトが相対移動可能なので、嵌入孔
の孔曲がりやカムシヤフト自体の軸歪が存在する
場合においてもカムシヤフトに無理な応力の発生
を伴うことなく、カムシヤフトを嵌入孔内へ挿入
することができる。

以上述べたように、本発明の装置によれば、カ
ムシヤフト嵌入孔の孔曲がり、あるいはカムシヤ
フトの軸歪がある場合においても、円滑にカムシ
ヤフトの組付けを行なうことが可能となる。

（実施例） 以下に、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。

まず、第３図は本例の装置の側面を示す図であ
る。図において、１は固定台であり、この固定台
１の上面には支持台３，５が対向配置され、これ
らの支持台３，５によつて、それぞれ案内ロツド
７および押込みロツド９が同一軸上を相互に接近
および離反する方向に往復移動可能に支持されて
いる。また、これらのロツド７，９に挟まれた中
間位置には、カムシヤフト嵌入孔を有するシリン
ダヘツド１１をカムシヤフト嵌入孔の軸心が両ロ
ツド７，９の軸心と一致した状態で把持する把持
台１３が固定台１上に取り付けられている。更
に、この把持台１３と押込みロツド９との間に
は、カムシヤフト１５を水平に支持する仮置き台
１７が配置され、この仮置き台１７は上下方向に
移動可能に固定台１に支持されている。

第１図は、上記の案内ロツド７の構造を示す断
面図である。図において、２１は円筒形状のロツ
ド本体であり、このロツド本体の先端側にカムシ
ヤフト１５を支持する支持部２３が形成されてい
る。この支持部２３は、ロツド本体２１に連続し
た円筒部２５と、この円筒部２５内の中空部２７
内に挿入した支持センタ２９から成つている。円
筒部２５は、ロツド本体２１の外周面２１ａに対
して、外方へ向うテーパの付いたテーパ付き外周
面２５ａと、このテーパ付き外周面２５ａに連続
した同一外径寸法の案内外周面２５ｂとを有し、
更に、先端部は半径方向内方へ向けて面取りされ
た面取部２５ｃが形成されている。第２図に示す
ように、上記の案内外周面２５ｂは、その外径寸
法がシリンダヘツド１１のカムシヤフト嵌入孔１
２に嵌入可能なように設定され、その材軸方向の
長さが隣接する２個のカムシヤフト嵌入孔の間隔
Ｌのうち、最大寸法Ｌ−２よりも長く設定されて
いる。また、この長さは隣接する３個の嵌入孔に
わたる長さよりも短かく設定されている。一方、
支持センタ２９は、中空部２７の内径よりもわず
かに小さな外径寸法を有する第１図に示すように
外周に一対の弾性体リング２９ｃが軸方向に間隔
をもつて装着され、この弾性体リング２９ｃが中
空部２７の内壁面に接触している。この構成によ
り、支持センタ２９は中空部２７内で軸方向に摺
動可能であると同時に、半径方向にも僅かに変位
することができる。その先端中央にはテーパピン
２９ａが形成され、このピン２９ａはカムシヤフ
ト１５側の一方の側端１５ａに形成した凹部１５
ｂ内に嵌入可能となつている。支持センタ２９の
基端２９ｂには、同軸状に小径の連結部材３１が
一体成形されている。この部材３１は、中空部２
７よりも小径の鍔部３３に囲まれる中空部を介し
て案内ロツド本体内の中空部３５内に突出してお
り、この突出部には、摺動部材３７の先端が固着
されている。更に、この摺動部材３７の基端は案
内ロツド基部に形成した摺動孔３９内に摺動自在
に挿入され、この案内ロツド基部と上記の連結部
材３１の端面との間には、摺動部材３７と同軸状
にコイルばね４１が圧縮された状態で挿入されて
いる。

このように構成した本例の動作を述べる。ま
ず、把持台１３上にシリンダヘツド１５が把持さ
れ、仮置き台１７に載置されたカムシヤフト１５
の嵌入孔１２が、第３図に示すように両ロツド
７，９と同軸状に位置させられる。次に、同じく
第３図に示す退避位置からそれぞれ両ロツド７，
９は相互に接近する方向に移動される。この結
果、第２図Ａに示すように、案内ロツド７はシリ
ンダヘツドの嵌入孔１２を挿通して、その先端の
支持部２３が側端の嵌入孔１２−１から突出し、
かかる支持部２３と押込みロツド９との間にカム
シヤフト１５が挟持される。ここに、案内ロツド
７の支持センタ２９はばね４１によつて押圧され
ているので、押込みロツド９によつてカムシヤフ
ト１５を案内ロツド７側へ押圧すると、所定の挟
持力でカムシヤフト１５が両ロツド間に挟持され
ることになる。また、ばね４１の圧縮により、カ
ムシヤフト１５の一方端１５ａは円筒部２５内に
挿入した状態になる。

このようにカムシヤフト１５を挟持した後は、
両ロツドによりこのシヤフト１５を低速で回転さ
せながら、嵌入孔１２−１側から挿入していく。
かかる挿入動作において、案内ロツド先端の案内
外周面２５ｂの長さは、最も離れた２個の隣接嵌
入孔１２−２，１２−３にわたるようになつてい
るので、この案内外周面２５ｂが嵌入孔１２−１
〜１２−７のいずれにも嵌入しない状態にはなら
ない。従つて、案内ロツド７は常に嵌入孔１２−
１〜１２−７によつて案内されるので、その移動
が円滑に行なわれる。また、この案内ロツド先端
において、カムシヤフト１５を支持した支持セン
タ２９は、円筒部内の中空部２７内を半径方向に
わずかに移動可能となつているので、円筒部２５
に対して相対移動しつつカムシヤフト１５の挿入
が行なわれる。従つて、カムシヤフトの軸歪等が
存在する場合においても、カムシヤフト１５ある
いは嵌入孔１２に無理な応力の発生を伴うことな
く、カムシヤフト１５の挿入が行なわれる。

なお、カムシヤフト１５の挿入が終了した後
は、両ロツド７，９はそれぞれ第３図に示す退避
位置に戻され、また組付けの終了したシリンダヘ
ツドに代えて新たなヘツドが把持台１３に設置さ
れて、このヘツドに対するカムシヤフトの組付け
が行なわれる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に用いる案内ロツド
を示す断面図、第２図ＡおよびＢはカムシヤフト
の挿入動作を説明した説明図、第３図は本発明の
一実施例を示す側面図である。 ７……案内ロツド、９……押込みロツド、１５
……カムシヤフト、２１……ロツド本体、２３…
…支持部、２５……円筒部、２５ｂ……案内円筒
面、２９……支持センタ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シリンダヘツドあるいはシリンダブロツクに
   形成され、同軸状で軸心方向に離れて位置する複
   数個のカムシヤフト嵌入孔に対して、端側のカム
   シヤフト嵌入孔からカムシヤフトを挿入させる装
   置において、 先端にカムシヤフトの一方端を支持する支持部
   を備え、前記複数個のカムシヤフト嵌入孔内に挿
   通可能な案内ロツドと、該案内ロツドと同軸状に
   配置され、カムシヤフトの他方端を支持して、当
   該カムシヤフトを前記案内ロツド側へ押圧する押
   込みロツドとを有し、 前記支持部は、前記カムシヤフト嵌入孔内に嵌
   合可能な外径を有する外周面が隣接する２個の前
   記カムシヤフト嵌入孔にわたる長さに形成された
   円筒部と、該円筒部内に装着され、カムシヤフト
   の一方端を支持する支持センタとを備え、該支持
   センタは前記円筒部内において、当該円筒部の半
   径方向に微小移動可能となつていることを特徴と
   するカムシヤフト挿入装置。