JPH0130045B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、燃焼性の悪い粉体燃料を用いながら
も良好な燃焼効率及び燃焼速度を発揮し得る様に
した燃焼方法に関するものである。 例えば高炉吹込用の燃料としてはこれまで重油
を中心に用いられてきたが、原料事情の悪化に伴
なつて粉体燃料の使用を余儀なくされつつあり、
重油と粉体の混合燃料を使用する研究が展開され
ているが、更に進んで粉体燃料だけを吹込む技術
も研究されている。しかし燃焼性の良い石炭は必
ずしも豊富ではないから、高炉用微粉コークス、
石油コークス、無煙炭の様な燃焼性の悪い粉体燃
料も利用できる技術の確立が必要となる。ところ
が特に高炉においては、羽口から入つて１ｍ程度
進行するまでに吹込み燃料を完全燃焼させる必要
があり、この間に燃えきれない燃料は未燃物とし
て炉内に残り種々の障害をもたらすことが分つて
いる。その為吹込み燃料は、速やかに且つ十分に
燃焼されるものでなければならないが、前述の様
な燃焼性の悪い粉体燃料は燃焼速度が遅く実用化
は困難とされていた。 ところで固体燃料の燃焼速度は燃料表面の酸化
反応速度によつて律せられるから、表面の温度を
高めれば燃焼速度が高められる。実験の結果によ
ると、高炉吹込みに好適と考えられていた燃料は
一般に可燃性揮発分（例えばCO、CH₄、H₂等）
の含有率が高く、揮発分の燃焼が速やかに進みそ
の時の燃焼熱によつて燃料の表面温度が高まる結
果、燃料全体の燃焼が促進されることを確認し
た。一方不適当なものとされていたものは、一般
に可燃性揮発分の含有率が低く、揮発分の燃焼に
よる発生熱量が小さいから、燃焼速度も十分とは
言えない。そこで本発明者等は前述の様な知見を
整理し、可燃性揮発分の少ない燃料（以下遅燃性
燃料という）に可燃性揮発分を多量含有する燃料
（以下速燃性燃料という）を混合し、後者に由来
する大量の揮発分の燃焼熱によつて前者の燃料に
おける表面の不十分な温度を補なつてやれば、燃
料全体の燃焼速度を高め得るのではないかと考
え、その線に沿つて研究を進めてきた。 本発明はかかる研究の結果完成されたものであ
つて、その構成とは、遅燃性粉体燃料に、可燃性
揮発分を20重量％以上含有する速燃性粉体燃料を
少なくとも50重量％以上配合し、キヤリヤガスと
共に炉内へ吹き込むところに要旨が存在する。 本発明者等は、高炉吹込み用の好適燃料とされ
ている各種の粉状炭と、不適当な燃料とされてい
る各種コークスとの相違を明確にする為、可燃性
揮発分の含有率と燃焼率の関係を調べた。結果は
第１図に示す通りで、キーストン炭、ヴイツカリ
ー炭、リスゴー炭、ウエスト・ウオールセンド
炭、高島炭等は揮発分含有率が高く、しかも90％
以上の燃焼率を示している。一方高炉吹込燃料と
しての適性を欠く石油コークスや高炉用コークス
の揮発分含有率は低く、また燃焼率も極めて低
い。また揮発分含有率が10％程度のところを境に
してその前後で燃焼率は極端に違い、20％以上で
あれば高い燃焼率が得られる。即ち高炉吹込燃料
としての適性は可燃性揮発分の含有率によつてほ
ぼ正確に判断することができる。この理由は、先
に述べた如く可燃性揮発分の燃焼熱により燃料の
表面温度が高められた為と考えられる。 そこで次の段階として、速燃性燃料に含まれる
可燃性揮発分によつて遅燃性燃料の燃焼速度を高
めるべく、両燃料の併用実験を行なつた。即ち燃
料として第１表に示す成分組成及び平均粒径の高
炉用コークスとリスゴー炭を併用し、燃焼実験を
行なつた。実験装置としては第２図に示す円筒竪
型炉（内径700mm、高さ2500mm）を用い、プロパ
ンガスバーナによつて炉内を1000℃に予熱した
後、第２表に示す混合燃料を１次空気と共にバー
ナ１から吹き込み、また同時に２次空気吹込口２
から２次空気を吹き込み、炉底から２ｍの位置に
設けたサンプルガス採取プローグ３により採取さ
れる炉内ガスをガスクロマトグラフ４で分析する
ことによつて燃焼率を求めた。結果を第３図に示
す。

【表】

【表】 第３図からも明らかな様に、遅燃性燃料に対す
る速燃性燃料の配合率が40％未満では、燃焼率の
向上は殆んど認められない。ところが配合率40％
を境にして燃焼率は急激に高まり、特に50％以上
の速燃性燃料を配合した混合燃料は、速燃性燃料
単独のものに比べても殆んど遜色のない優れた燃
焼率を示す。これらの傾向は、第１図に示した他
の速燃性燃料と遅燃性燃料を併用した場合でも殆
んど同じであつた。 この様に本発明では燃料の優劣を可燃性揮発分
の含有率の多少によつて分類し、速燃性燃料に含
まれる可燃性揮発分の燃焼熱を利用することによ
り、遅燃性燃料の燃焼率及び燃焼速度を高めてそ
の有効利用を可能にし得ることになつた。 尚本発明に速燃性燃料の範疇に含まれるもの
は、第１図の説明からも明らかな如く可燃性揮発
分を20％以上含有するものであり、一方遅燃性燃
料とは可燃性揮発分の含有率が10％未満のものを
言う。従つて一般に良質燃料と考えられている無
煙炭（揮発分：５〜10％程度）やコークス（揮発
分：１〜５％程度）等は、本発明に関する限り遅
燃性燃料の中に含まれる。 また混合燃料粉末は、空気、窒素、コークス炉
ガス、高炉ガス等のキヤリヤガスと共に炉内に吹
き込まれるが、吹き込みをスムーズにし且つ燃焼
率及び燃焼速度をより効果的に高める為には、極
力微細な粉末とし乾燥したものを使用すべきであ
る。 本発明は慨略以上の様に構成されており、高炉
用燃料としての適性に疑問のある遅燃性燃料を、
可燃性揮発分含有率の高い燃料と併用することに
よつて実用できる様になつた。しかもこの混合燃
料は前述の如く優れた燃焼率と燃焼速度を有して
おり、厳しい燃焼性が要求される高炉吹込燃料と
して有用である他、焼成炉やロータリーキルン或
は各種ボイラー等の燃料更には各種焼却炉の補助
燃料等にも幅広く利用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は各種粉体燃料の可燃性揮発分含有率と
燃焼率の関係を示すグラフ、第２図は燃焼実験に
用いた装置の略図、第３図は速・遅燃性燃料の配
合量と燃焼率の関係を示すグラフである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 可燃性揮発分の含有率が10重量％以下である
   遅燃性粉体燃料に、可燃性揮発分を20重量％以上
   含有する速燃性粉体燃料を少なくとも50重量％以
   上配合して粉体燃料を構成し、該粉体燃料をキヤ
   リヤガスによつて炉内に吹き込むことにより、速
   燃性粉体燃料から揮発されてくる揮発分の燃焼に
   よつて速燃性粉体燃料の近傍に存在する遅燃性粉
   体燃料の燃焼を促進し、粉体燃料全体の燃焼効率
   を高めることを特徴とする粉体燃料の燃焼方法。 ２ 特許請求の範囲第１項において、高炉の羽口
   から吹込む燃焼方法。