JP7361633B2 - 窒化アルミニウム粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な窒化アルミニウム粒子及び該窒化アルミニウム粒子を含む窒化アルミニウム粉末に関する。詳しくは、適度な圧壊強度を有し、粒子が部分的に崩壊することで熱パス面積を増大せしめ、これを充填したグリース、樹脂成形体等の樹脂組成物における放熱性を向上させることが可能な窒化アルミニウム粒子及びこの粒子を含む、高熱伝導性フィラーとして好適な窒化アルミニウム粉末を提供するものである。
放熱シートや放熱グリースとして各種電子機器に広く利用される放熱材料として、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂やシリコーングリース等の液状樹脂に熱伝導性フィラーを充填した樹脂組成物が使用されている。上記熱伝導性フィラーとして、電気絶縁性に優れており且つ高熱伝導性を有していることから、窒化アルミニウムが注目されている。
放熱材料の熱伝導率を向上させるためには、高熱伝導フィラーを高充填することが重要であり、そのため数μm~数十μmの粒径を有する窒化アルミニウム粒子を含む窒化アルミニウム粉末が提案されている。
例えば、特許文献1には窒化アルミニウム粉末に焼結助剤、結合剤及び溶剤を加えて噴霧乾燥し、得られた球状造粒粉を焼結する方法、さらに特許文献2には多孔質アルミナ顆粒を原料とし、還元窒化工程における特殊な昇温条件を採用することにより緻密な窒化アルミニウム焼結粒子を含む窒化アルミニウム粉末を製造する方法が開示されている。
上記方法で得られる窒化アルミニウム粉末は、窒化アルミニウム粒子自体の熱伝導性は優れるものの、球状であり、しかも高い硬度を有しているため、粒子間の接触は基本的に点接触となっていた。それ故、上記粒子の点接触の機会を増加させるため、種々の粒径の粒子を組み合わせて使用するなどの工夫が必要であり、さらなる改善の余地があった。
特開平3-295863 号公報 特開2016-037438 号公報
従って、本発明の目的は、樹脂への充填において、粒子間の接触による熱伝導性をより改善することが可能な窒化アルミニウム粒子及び上記粒子を含む窒化アルミニウム粉末を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を解決するために、鋭意研究を行った。その結果、多孔質のアルミナ顆粒またはアルミナ水和物顆粒(本出願明細書において、これを「多孔質アルミナ顆粒」と総称する。)、カーボン粉末、及び特定量の炭酸カルシウムを含む原料混合粉を還元窒化反応における昇温過程で多段昇温させることなく任意の最高温度まで昇温させることにより、微細な窒化アルミニウム一次粒子が緻密に集合しながらも、圧壊強度が適度に弱い窒化アルミニウム粒子を合成することに成功し、かかる窒化アルミニウム粒子は、樹脂に充填した際、高い熱伝導性を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、平均粒子径0.5~20μmの窒化アルミニウム一次粒子の集合体により構成され、粒子径が10~300μmの範囲にある窒化アルミニウム粒子であって、上記窒化アルミニウム粒子は、圧壊強度が10~40MPaの範囲にあり、且つ、表面に占める空孔の面積の割合が25%以下であることを特徴とする窒化アルミニウム粒子が提供される。
本発明の窒化アルミニウム粒子は、一次粒子の集合体であり、ある程度の大きさの粒径を有することにより、高い充填性を有し、かつ、上記集合体は緻密でありながら適度に弱い圧壊強度を有しているために、樹脂に充填した際の接触する粒子間の熱伝導性を向上することができ、得られる樹脂組成物に高い放熱性を付与することができる。
本発明の窒化アルミニウム粒子が、樹脂に充填した際、上記高い熱伝導性を発揮する機構は明らかではないが、樹脂に充填された粒子が、集合体の状態は維持したまま、即ち、粒子の熱伝導性を維持したまま、粒子間の接触部分においてのみ一部崩壊し、これにより、粒子間の接触面積が増大することによるものであると推定される。
尚、樹脂に充填した際、粒子が破砕される場合もあるが、破砕粒子は一次粒子まで解砕されず、前記一次粒子の集合体としての大きさを十分維持しているため、上記と同様、集合体として高い接触面積で接触することが可能である。
また、上記のように、充填時に一次粒子まで解砕されないため、例えば、グリースのような用途においても、グリースの粘度を大きく上昇させることなく充填することが可能である。
実施例1で得られた窒化アルミニウム粒子の構造を示す倍率500倍と300倍のSEM写真である。 実施例4で得られた窒化アルミニウム粒子の構造を示す倍率500倍と300倍のSEM写真である。 比較例1で得られた窒化アルミニウム粒子の構造を示す倍率500倍と300倍のSEM写真である。
本発明の窒化アルミニウム粒子は、平均粒子径0.5~20μmの窒化アルミニウム粒子(以下、かかる粒子を「窒化アルミニウム一次粒子」ともいう)の集合体により構成され、粒子径が10~300μmの範囲にある窒化アルミニウム粒子であって、上記窒化アルミニウム粒子は、圧壊強度が10~40MPaの範囲にあり、且つ、表面に占める空孔の面積の割合が25%以下であることを特徴とする。
上記のように、本発明の窒化アルミニウム粒子は、平均粒子径0.5~20μm、好ましくは、1~5μmの窒化アルミニウム一次粒子の集合体により構成される。上記粒子間の結合は、後述の圧壊強度を発揮するために、軽度な焼結状態であることが好ましく、後述する製造条件により達成することが可能である。
また、本発明の窒化アルミニウム粒子は、粒子径が10~300μmの範囲にある。上記粒子径が10μmより小さい場合、粒子の一部崩壊による効果が十分発揮されず、300μmより大きい場合は、取り扱い時に崩壊し易くなる。
本発明の窒化アルミニウム粒子の最大の特徴は、窒化アルミニウム一次粒子の緻密な構造(後述する表面に占める空孔の面積の割合が極めて少ない)よりなる集合体で構成されていながら、圧壊強度が適度に小さい点にある。即ち、本発明において、圧壊強度は10~40MPa、好ましくは、12~38MPaの値を示す。かかる範囲の圧壊強度を有することにより、樹脂に充填した際、粒子が全壊せず、粒子同士が接する部分が選択的に崩壊し、粒子同士の接触面積を増大させるという作用効果を発揮するものと推定される。
更に、本発明の窒化アルミニウム粒子は、表面の空孔が少なく、緻密であるため、粒子内の熱伝導性にも優れる。上記表面に占める空孔の面積の割合は、25%以下、特に、20%以下である。
本発明の窒化アルミニウム粒子の形状は特に制限されない。後述する製造方法により得られる粒子形状は、一般に球状であるが、これを破砕した破砕片の形でもよい。また、かかる製造条件によっては、中空の球状体が得られることもあり、この場合、樹脂成形体への空洞の形成を防止するため、粒子を破砕した破砕片を本発明の窒化アルミニウム粒子として使用することが好ましい。
[窒化アルミニウム粉末]
本発明において、前記窒化アルミニウム粒子は、後述する方法により得ることができ、かかる方法により得られる窒化アルミニウム粉末は、殆どの粒子が前記本発明の窒化アルミニウム粒子により構成される。具体的には、本発明の前記特性を有する粒子が90質量%以上、特に、95質量%を占める割合で得られるため、これをそのまま使用することにより、本発明の窒化アルミニウム粒子の特徴が最大限に発揮することができるため好ましい。
他の態様としては、前記従来技術で挙げた窒化アルミニウム粉末を始めとした公知の窒化アルミニウム粉末と混合することによっても、その粒子間で前記本発明の粒子の作用が発揮され、充填された樹脂組成物の熱伝導率を向上させることができる。
この場合、本発明の窒化アルミニウム粒子が、20質量%以上、好ましくは、40質量%以上含有されるよう、他の窒化アルミニウム粒子と混合された状態の窒化アルミニウム粉末とすることが好ましい。
尚、本発明の窒化アルミニウム粉末に占める本発明の窒化アルミニウム粒子の割合(P(%))は、以下のようにして確認する。
任意に採取したサンプル粉末を、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用し、500倍の倍率で、粒子径が10~300μmの範囲にある窒化アルミニウム粒子の割合(P(%))を求め、かかる粒子径の範囲内にある任意の粒子100個について、圧壊強度、表面に占める空孔の面積の割合を測定し、その値が前記範囲を満足する粒子の割合(P(%))を求め、以下の式により求めた。
P(%)=(P(%)×P(%))/10
尚、前記P、Pの割合は、SEMにおいて観察される粒子の面積より算出した値である。
本発明の窒化アルミニウム粉末の平均粒子径は、特に制限されるものではないが、一般に、10~150μmであることが好ましい。
[窒化アルミニウム粉末の用途]
本発明の窒化アルミニウム粉末は、前記窒化アルミニウム粒子を含むことにより、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂に充填した際、優れた熱伝導性を得られる樹脂組成物に付与することができる。
従って、本発明の窒化アルミニウム粉末は、放熱材料用フィラーとして有用である。
[窒化アルミニウム粉末の製造方法]
本発明の窒化アルミニウム粒子を含む窒化アルミニウム粉末は、多孔質アルミナ顆粒100重量部に対し、カーボンを36~100重量部、炭酸カルシウムを0.5~5重量部、0.7~3重量部含む原料を窒素ガスと接触せしめて、1700℃~1900℃で1~10時間、還元窒化反応した後、残存カーボンを酸化除去することによって製造することができる。
[原料]
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、出発原料としては、多孔質アルミナ顆粒が使用される。具体的には、多孔質のアルミナ顆粒またはアルミナ水和物顆粒が挙げられる。更に具体的には、α、γ、θ、δ、η、κ、χ等の結晶構造を持つアルミナやベーマイトやダイアスポア、ギブサイト、バイヤライト、トーダイトなど加熱により脱水転移して最終的にα-アルミナに転移する材質が全て利用可能である。
多孔質アルミナ顆粒は、上記材質の単独或いは種類の異なるものが混合された状態で用いてもよいが、特に反応性が高く、制御が容易なα-アルミナ、γ-アルミナ、ベーマイトが好適に用いられる。
多孔質アルミナ顆粒の原料アルミナ粉末及びアルミナ水和物粉末(以下、これらを「アルミナ粉末」と総称する。)の粒径は3μm以下が好ましい。上記粒径が3μm以上であると、後述する焼成工程の還元窒化反応が進みにくくなる。
本発明において、多孔質アルミナ顆粒は、平均粒子径が好ましくは10~150μmであり、さらに好ましくは15~140μmであり、特に好ましくは20~120μmである。
上記多孔質アルミナ顆粒は、アルミナ粉末を造粒により凝集させた凝集体の形態が一般的であり、公知の造粒方法によって得ることができる。具体的には、アルミナ粉末を水や有機溶媒に分散させたスラリーをスプレードライヤー等で乾燥する噴霧乾燥造粒、転動造粒などが挙げられるが、多孔質体を得るためには、噴霧乾燥による造粒が好適である。また、造粒に際し、必要に応じて、分散剤やバインダ樹脂、滑剤、或いは還元窒化反応の促進剤、焼結助剤としてアルカリ土類金属化合物、希土類元素化合物、アルカリ土類元素の弗化物、アルカリ土類元素を含む複合化合物等をアルミナ粉末と混合して配合すすることが出来る。これらの添加剤の使用量は、公知の添加範囲で適宜決定すればよい。
また、本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、還元剤として作用されるカーボン粉末としては、例えばファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等の公知のものが使用できる。その平均粒径は、100nm以下が好適であり、50nm以下のものがより好適である。さらに、カーボン粉末のDBP吸油量は、50~150cm/100gが好ましく、70~130cm/100gのものがより好適である。
また、本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、本発明の効果を損なわない範囲で、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂縮合物や、ピッチ、タール等の炭化水素化合物や、セルロース、ショ糖、でんぷん、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレン等の有機化合物などをカーボン源として用いることができる。
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、カルシウム成分は、還元助剤として用いる。すなわち、多孔質アルミナ顆粒の還元窒化にカルシウム成分を用いることで、還元窒化反応を極めて効率良く行うことができる。カルシウム成分は特に限定されない。例えば、炭酸カルシウムやフッ化カルシウムを挙げることができる。また、上記カルシウム成分は、単独で或いは複数のものを混合して使用してもよい。
[原料混合]
本発明において、原料の混合方法としては、多孔質アルミナ顆粒とカーボン源、カルシウム源とを均一に混合可能な方法でいずれの方法でもよいが、通常混合手段はブレンダー、ミキサー、ボールミル等の混合機による混合が好適である。
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、アルミナ等とカーボンは、当量比以上ならば如何なる配合比で配合させても良い。凝集や未反応を少なくするため、アルミナ等に対し、カーボンを炭素換算で、アルミナに対して36~100重量部、好ましくは40~75重量部倍配合させるのがよい。カーボン量が少ない場合、反応速度が低下することに加え、転化率の低下を招く場合がある。また、カーボン量が多過ぎる場合、炭素が残存する虞がある。
本発明において、多孔質アルミナ顆粒に対するカルシウム源の配合量は特に制限されな
いが、多孔質アルミナ顆粒100重量部に対して、0.5~5重量部、好ましくは、0.7~3.0重量部、さらに好ましくは、0.9~1.5重量部の割合でカルシウム源を混合することが好ましい。上記カルシウム源の配合量が0.5量部未満の場合、窒化反応の促進効果が十分に得られ難くなり、5重量部を超える場合、カルシウム源が揮散し窒化工程における排ガスラインの閉塞等に繋がる虞がある。
[還元窒化]
本発明の窒化アルミニウム粉末は、多孔質アルミナ顆粒を窒素流通下、カーボン及び/または還元性ガスの存在下で、還元窒化することによって得ることができる。還元窒化における温度は特に制限されないが、1300~1950℃が好ましく、1700~1900℃ がさらに好ましい。上記温度が1300℃未満では窒化反応が十分進行せず、また、カルシウム源が液相を生成しないため、窒化反応の促進効果を得ることが困難となる。
また上記還元窒化における昇温パターンは、昇温開始から最高温度まで多段昇温することなく直線的に温度を上げる必要がある。
なお、前記加熱温度の時間についても制限はないが、1~15時間、好ましくは3~10時間が適当である。
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、還元窒化反応後の窒化アルミニウム粉末は余剰のカーボン粉末を含んでいるため、必要に応じて、酸化処理により余剰カーボン粉末を除去するのが好ましい。酸化処理を行う際の酸化性ガスとしては、空気、酸素、二酸化炭素など、炭素を除去できるガスならば制限なく採用できる。また、処理温度は一般的に500℃~900℃が好ましい。
以下、本発明を更に具体的に説明するため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例において、各種測定は以下の方法により行った。
(1)窒化アルミニウム粉末の平均粒子径
平均粒子径(D50)は、試料をホモジナイザーにてピロリン酸ソーダ中に分散させ、レーザー回折粒度分布装置(日機装株式会社製MICROTRAC HRA)にて測定した。
(2)窒化アルミニウム粒子の圧壊強度
選択された窒化アルミニウム粒子について、微小圧縮試験機(島津製作所製、MZCT-W510-J)を用いて、粒子の圧壊強度を測定した。
(3)窒化アルミニウム粒子表面の空孔の占める割合
選択された粒子について、倍率500倍のSEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、TM3030)写真像から、その粒子表面の空孔の占める割合を画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング製、A像くん)により算出した。
(4)窒化アルミニウム一次粒子の平均粒子径測定
選択された窒化アルミニウム粒子を構成する窒化アルミニウム一次粒子について、倍率3000倍のSEM写真を撮影し、画像処理により平均一次粒子径を求めた。
(5)酸素濃度
窒化アルミニウム粉末中の全酸素濃度は堀場製作所製EMGA-620Wにより測定した。
(6)窒化アルミニウム含有樹脂組成物(シート)の熱伝導率
窒化アルミニウム粉末450質量部、2液縮合型シリコーン樹脂(信越化学株式会社KE-1013A/B)に100質量部を乳鉢にて混練し、樹脂組成物を作製した。その後、100℃に加熱して樹脂を硬化させ、厚み500μmの窒化アルミニウム含有シートを得た。上記方法で得られた窒化アルミニウム含有シートを10cm×6cmの大きさに加工し、熱伝導率測定装置(京都電子(株)製QTM-500)を用いて熱伝導率を測定した。標準試料としてシリコーンゴム、石英ガラス、ジルコニアを用いた。
実施例及び比較例で使用した各種原料の物性を以下に示す。
・多孔質アルミナ顆粒
α-アルミナ:D50 65μm
・カーボン粉末
カーボン粉末A:平均粒径 20nm、DBP吸収量 115cm3/100g、含有硫黄量 3000ppm
カーボン粉末B:平均粒径 19nm、DBP吸収量 116cm/100g、含有硫黄量 210ppm
・カルシウム成分
炭酸カルシウム:純度 98%以上
実施例1
多孔質アルミナ顆粒100重量部及びカーボン粉末A50重量部からなる混合物に、該混合物内の炭酸カルシウムが上記多孔質アルミナ顆粒100重量部に対し1.0重量部となるように添加し、これらが均一に混合し、原料混合物を得た。
窒素を流通可能なカーボン容器内にセットし、窒素ガスを流通させながら、焼成温度1700℃、焼成時間10時間で還元窒化を行った。還元窒化で得られた粉末の酸化処理として、大気雰囲気において680℃で、8時間加熱して未反応のカーボン粉末を燃焼除去し、窒化アルミニウム粉末を得た。
上記窒化アルミニウム粉末において、前記Pは、99%であり、Pは、97%であり、窒化アルミニウム粉末に占める本発明の窒化アルミニウム粒子の割合(P(%))は、96%であった。
得られた窒化アルミニウム粉末を構成する代表的な窒化アルミニウム粒子(平均的な粒子径を有する粒子)について、前述の方法にて、粒子径、窒化アルミニウム粒子を構成する窒化アルミニウム一次粒子の平均粒子径、圧壊強度、粒子表面における空孔の占める割合を測定した結果を表1に示す。また、上記本発明の窒化アルミニウム粒子の粒子径は、上記代表的な粒子の粒子径を中心に80%が40~112μmの範囲内であり、また、窒化アルミニウム一次粒子の平均粒子径は、0.5~3μmの範囲であり、更に、圧壊強度は、17~30MPaの範囲であり、更に、粒子表面の空孔面積の割合は、20%以下であった。
上記窒化アルミニウム粉末を充填したシートの熱伝導率の値も表1に併せて示す。
また、得られた窒化アルミニウム粉末のSEM観察結果を図1に示す。
実施例2
焼成温度を1775℃とした以外は、実施例1と同様に還元窒化及び酸化処理を行った。
上記窒化アルミニウム粉末において、前記Pは、99%であり、Pは、97%であり、窒化アルミニウム粉末に占める本発明の窒化アルミニウム粒子の割合(P(%))は、96%であった。
また、得られた窒化アルミニウム粉末を構成する代表的な窒化アルミニウム粒子について、前述の方法にて前記各種物性を測定した結果を表1に示す。また、上記本発明の窒化アルミニウム粒子の粒子径は、上記代表的な粒子の粒子径を中心に80%が40~108μmの範囲内であり、また、窒化アルミニウム一次粒子の平均粒子径は、0.5~4μmの範囲であり、更に、圧壊強度は、12~37MPaの範囲であり、更に、粒子表面の空孔面積の割合は、17%以下であった。
また、上記窒化アルミニウム粉末を充填したシートの熱伝導率の値も表1に併せて示す。
実施例3
焼成温度を1890℃とした以外は、実施例1と同様に還元窒化及び酸化処理を行った。
上記窒化アルミニウム粉末において、前記Pは、99%であり、Pは、96%であり、窒化アルミニウム粉末に占める本発明の窒化アルミニウム粒子の割合(P(%))は、95%であった。
また、得られた窒化アルミニウム粉末を構成する本発明の代表的な窒化アルミニウム粒子について、前述の方法にて前記各種物性を測定した結果を表1に示す。また、上記本発明の窒化アルミニウム粒子の粒子径は、上記代表的な粒子の粒子径を中心に80%が43~114μmの範囲内であり、また、窒化アルミニウム一次粒子の平均粒子径は、1~15μmの範囲であり、更に、圧壊強度は、10~36MPaの範囲であり、更に、粒子表面の空孔面積の割合は、10%以下であった。
また、上記窒化アルミニウム粉末を充填したシートの熱伝導率の値も表1に併せて示す。
実施例4
表1のカーボンとした以外は、実施例3と同様還元窒化及び酸化処理を行った。
上記窒化アルミニウム粉末において、前記Pは、99%であり、Pは、99%であり、窒化アルミニウム粉末に占める本発明の窒化アルミニウム粒子の割合(P(%))は、98%であった。
また、得られた窒化アルミニウム粉末を構成する代表的な窒化アルミニウム粒子について、前述の方法にて前記各種物性を測定した結果を表1に示す。また、上記本発明の窒化アルミニウム粒子の粒子径は、上記代表的な粒子の粒子径を中心に80%が40~111μmの範囲内であり、また、窒化アルミニウム一次粒子の平均粒子径は、1~9μmの範囲であり、更に、圧壊強度は、25~35MPaの範囲であり、更に、粒子表面の空孔面積の割合は、10%以下であった。
また、上記窒化アルミニウム粉末を充填したシートの熱伝導率の値も表1に併せて示す。
更に、得られた窒化アルミニウム粉末のSEM観察結果を図2に示す。
Figure 0007361633000001
比較例1
多孔質アルミナ顆粒100重量部及びカーボン粉末A50重量部からなる混合物を作製後、窒素を流通可能なカーボン容器内にセットし、窒素ガスを流通させながら、窒素95体積%、一酸化炭素5体積%の雰囲気下にて、1600℃にて2時間焼成した(焼成工程I)。なお、焼成雰囲気の制御のため窒素流量を調整し、窒素濃度及び一酸化炭素濃度は、横河電機製汎用赤外線ガス分析計IR200を用い、焼成炉の排ガスを分析することにより確認した。
その後、同一装置内で、窒素60体積%、一酸化炭素40体積%の雰囲気下にて焼成温度を1800℃として5時間焼成した(焼成工程II)。焼成雰囲気の調整及び窒素濃度及び一酸化炭素濃度の確認方法は、焼成工程Iと同様である。次いで、空気流通下680℃で8時間酸化処理を行って窒化アルミニウム粉末を得た。得られた窒化アルミニウム粉末を前述の方法にて、前記各種物性を測定した結果を表に示す。また、上記窒化アルミニウム粉末を充填したシートの熱伝導率の値も表に併せて示す。
比較例1の窒化アルミニウム粉末を構成する代表的な窒化アルミニウム粒子は、圧壊強度が187MPa、最低値でも137MPaであり、本発明の窒化アルミニウム粉末は得られなかった。
また、得られた窒化アルミニウム粉末のSEM観察結果を図3に示す。
比較例2
窒化アルミニウム粉末に焼結助剤として酸化イットリウム、有機結合剤及び溶媒を添加混合しスラリーを作製後、スプレードライヤーで球状造粒粉を得た。球状造粒粉を100℃で乾燥後、500℃の酸素雰囲気化で有機結合剤を燃焼除去し、1750℃で焼結し、焼結顆粒よりなる窒化アルミニウム粉末を得た。得られた窒化アルミニウム粉末を構成する代表的な窒化アルミニウム粒子について、前述の方法にて、前記各種物性を測定した結果を表に示す。また、上記窒化アルミニウム粉末を充填したシートの熱伝導率の値も表に併せて示す
比較例2の窒化アルミニウム粉末を構成する窒化アルミニウム粒子は、圧壊強度が258MPa、最低値でも216MPaであり、本発明の窒化アルミニウム粉末は得られなかった。
Figure 0007361633000002

Claims (4)

  1. 平均粒子径~20μmの窒化アルミニウム一次粒子の集合体により構成され、粒子径が10~300μmの範囲にある窒化アルミニウム粒子であって、上記窒化アルミニウム粒子は、圧壊強度が12~38MPaの範囲にあり、且つ、表面に占める空孔の面積の割合が25%以下であることを特徴とする窒化アルミニウム粒子。
  2. 請求項1記載の窒化アルミニウム粒子を含む窒化アルミニウム粉末。
  3. 請求項2に記載の窒化アルミニウム粉末からなる放熱材料用フィラー。
  4. 請求項3に記載の窒化アルミニウム粉末からなる放熱材料用フィラーを充填した樹脂組成物。
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