JP7305019B1 - 脱出シュート - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には、避難者が建物からの脱出に使用する脱出シュートを対象とし、次のような対策を講じた。
そして、避難者は、カバー部材の上端開口か、或いは、出入口部を介して建物からカバー部材の内側に入り込んで所定の足場ユニットに載り、その後、当該足場ユニットにおける支持プレートに載った状態で扉部材を操作して避難用通過口を開けるとともに避難用ロープを把持しながら避難用通過口を下方に通過して一段下の足場ユニットに降りる。このように、避難者は、上下に所定の間隔をあけて位置する各足場ユニットに順に載っていきながら建物の下側に順次移動して建物から脱出することができる。
また、避難者は、カバー部材の内側を下方へと通過していくので、避難者が勢い余って脱出シュートから転落するといったおそれが無く、安全に脱出することができる。一方、避難者は、避難用ロープを引き寄せながら避難用通過口を介して一段上の足場ユニットに上がることもできる。
したがって、例えば、逃げ遅れた上層階の他の避難者を助けに行くこともできる。また、脱出シュートを使用状態にするのに特許文献1の如きウインチ機構を必要としないので、コストを低く抑えることができる。
さらには、脱出シュートを使用状態にする際、脱出シュートの上端に対応する階層よりも下方に位置する各階層においても出入口部を介してカバー部材の内側と建物との間を行き来できるようになる。したがって、1つの脱出シュートで複数の階層から建物の外側に脱出することができるようになり、階層毎に脱出シュートを用意する必要が無くなるので、導入コストを低く抑えることができる。
また、足場ユニットの支持プレートに載る避難者が扉部材側を向くとともに当該扉部材の手前側を把持して上に持ち上げると、当該扉部材が上方に回動して避難用通過口が開口するようになる。したがって、避難者は避難時において支持プレートの位置から効率良く避難用通過口を介して下方へと移動することができる。
さらには、避難者が扉部材を上方に回動させた状態において避難用通過口を下方へと通過した後、付勢部材の付勢力によって扉部材が自動的に下方に回動して避難用通過口が閉まるようになる。したがって、次にその足場ユニットの上方から移動してくる避難者が当該足場ユニットに安全に着地することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る脱出シュート1を使用状態にして取り付けた状態の4階建てのマンションM(建物)を示す。脱出シュート1は、例えば、火災や地震等の災害が発生した際において、マンションMの2階以上に住んでいる避難者HがマンションMの外側に脱出する際に使用するものであり、図2及び図3に示すように、脱出時に避難者Hが内部を下方に通過するシュート本体2と、脱出時に避難者Hが把持する把持ロープ3とを備えている。
足場ユニット4は、図4に示すように、平面視で略正方形の環状をなす金属製のフレーム部材7と、略長方形板状をなす樹脂製の支持プレート8と、該支持プレート8に並設され、略長方形板状をなす可能性を有する樹脂製の扉部材9とを備えている。但し、足場ユニット4やフレーム部材7は略正方形に限定するものではなく、略長方形の他、略円形、略楕円形でもよく、その形状に応じてカバー部材6、支持プレート8あるいは扉部材9も構成される。
フレーム部材7の略中央には、当該フレーム部材7の内部を一側領域と他側領域とに区分けする補強フレーム7aが設けられ、フレーム部材7の内部一側領域を覆うように支持プレート8が配設される一方、フレーム部材7の内部他側領域は、避難者Hが上下に通過可能に開口する避難用通過口10として設定されている。
尚、フレーム部材7の略中央から2分割して、これをジョイントを介して接続できるようにしてもよい。分割が可能な場合はフレーム部材の大きさを半分にすることが可能であり、運搬時や収納時に場所を取らないという効果を発揮することができる。
支持プレート8の補強フレーム7a側中央には、非常時において把持ロープ3を挿通させることが可能な挿通孔8cが形成されている。
扉部材9は、避難用通過口10の全域と支持プレート8における補強フレーム7a側の一部領域とを覆う形状になっており、その長手方向が補強フレーム7aに沿う姿勢となっている。
扉部材9における支持プレート8側の縁部には、当該支持プレート8の板面に沿って張り出す張出片部9aが扉部材9の長手方向両側に離れて一対設けられている。
扉部材9は、各取付孔9bにそれぞれステンリング9cを通過させるとともに当該各ステンリング9cをフレーム部材7に巻き掛けることにより、図5及び図6に示すように、扉部材9の支持プレート8側が上下動するようフレーム部材7に回動可能に支持されている。そして、扉部材9を上下動させることにより、避難用通過口10を開閉させることができるようになっている。
扉部材9の長手方向両端寄りには、一端が扉部材9の下面に接続される一方、他端がフレーム部材7に接続されたコイルバネ11(付勢部材)が配設され、該各コイルバネ11は、上方に回動させた状態の扉部材9を下方に付勢するようになっている。
扉部材9の支持プレート8側上面の中央部分には、幅広な略U字状をなす把手部9dが取り付けられ、避難者Hは、該把手部9dを把持して上方に力を加えることにより、コイルバネ11の付勢力に抗して扉部材9を上方に回動させて避難用通過口10を開くことができるようになっている。
そして、図1に示される上下4段の足場ユニット4のうち、隣り合う2つの足場ユニット4における一方の足場ユニット4の支持プレート8は、他方の足場ユニット4の避難用通過口10と上下に対応する位置となっており、隣り合う2つの足場ユニット4における一方の足場ユニット4の避難用通過口10は、他方の足場ユニット4の支持プレート8と上下に対応する位置となっている。
すなわち、各足場ユニット4の支持プレート8は、脱出シュート1の側面視において上下方向に所定の間隔をあけながら千鳥状に配置されており、各足場ユニット4の避難用通過口10は、脱出シュート1の側面視において上下方向に所定の間隔をあけながら千鳥状に配置されている。
尚、本発明の実施形態における略正方形の足場ユニット4の一辺の長さは例えば1m程度であり、上下に隣り合う2つの足場ユニット4間の距離は例えば1.3~1.8mで避難者が無理なく退避可能な高さとするが、マンションMの各階間の距離も考慮して設計する必要がある。すなわち、脱出シュート1の大きさや高さについては設置する建物の状況に応じて設計することが望まれる。
各連結ロープ5の上端部分は、一つに纏められていて、当該纏められた部分には、例えば、マンションMの梁等の所定の位置に引っ掛けて取り付けることができる第1フック部5a(取付部)が設けられている。
カバー部材6は、図2及び図3に示すように、各足場ユニット4を囲うように当該各足場ユニット4に取り付けられている。
カバー部材6は、各足場ユニット4を互いに近づけると蛇腹状に折り畳まれる一方、互いに離間させると角筒状に展延するようになっていて、角筒状に展延させた状態で避難者Hが上下に通過可能に構成されている。尚、カバー部材6は保管時には蛇腹状に折り畳まれ、使用時には展延されるため柔軟性の高い材料であることが最重要であり、その他の足場ユニット4、フレーム部材7、支持プレート8あるいは扉部材9も曲がりや割れあるいは抜けや錆びといった様々な障害となるような材質は用いないことが重要である。
展延状態のカバー部材6の外周面における一つの側面には、図2に示すように、避難者Hがカバー部材6の内側と外側とを行き来可能な略矩形状をなす複数の出入口部6aが形成されている。
また、カバー部材6の外周面における一つの側面には、出入口部6aを開閉可能な非常ドア部6bが設けられている。
該非常ドア部6bは、カバー部材6の側面の一部領域が囲われるように当該カバー部材6を横向きU字状に切断することにより形成された当該切断部分の内側領域で構成され、非常ドア部6bとカバー部材6の非常ドア部6bを除く領域とは、線ファスナー6cによって繋ぎ合わされている(図7参照)。
カバー部材6の上端開口周縁には、図1に示すように、マンションMのベランダの手摺りや窓枠等に上方から引っ掛け可能な一対の係合爪6dが設けられ、該各係合爪6dは、カバー部材6における各出入口部6aと同じ側面に位置している。
また、カバー部材6の外周面には、展延状態のカバー部材6をマンションMの手摺り等に括り付けて固定する複数の固定用ロープ6eが設けられている。
災害が発生すると、図1に示すように、まず、避難者Hの1人がマンションMの4階ベランダの梁等に脱出シュート1の第1フック部5aと把持ロープ3の第2フック部3aとをそれぞれ引っ掛けて取り付ける。このとき、避難者Hは、第1フック部5aと第2フック部3aとを別の梁等の構造物に取り付ける。その後、シュート本体2をベランダの手摺りの外側に運んで落下させる。すると、各足場ユニット4が落下しながら互いに離間し、それに伴ってカバー部材6が下方に展延して上下に延びる角筒状となる。
また、カバー部材6の内側に位置する把持ロープ3も上下に延びる姿勢になる。このとき、落下させるシュート本体2が地上にいる人に勢いよく接触するのを防止するために、所定のロープを用意して、その一端をシュート本体2の下端に括り付けるとともに、そのロープを少しずつベランダの手摺りの外側において下方に垂らしながらカバー部材6を徐々に下方に展延させるようにしてもよい。
次いで、2階及び3階にいる避難者Hは、固定用ロープ6eをベランダの所定の位置に括り付けて展延状態のカバー部材6の中途部をマンションMに固定する。さらに、地上にいる避難者Hは、把持ロープ3の下端をアンカー部材13に括り付ける。
尚、避難者Hは、把持ロープ3を引き寄せながら避難用通過口10を介して一段上の足場ユニット4に上がることもできる。したがって、例えば、逃げ遅れた上層階の他の避難者Hを助けに行くこともできる。
また、脱出シュート1を使用状態にする際、脱出シュート1の上端に対応する階層よりも下方に位置する各階層においても出入口部6aを介してカバー部材6の内側とマンションMとの間を行き来できるようになる。したがって、1つの脱出シュート1で複数の階層からマンションMの外側に脱出することができるようになり、階層毎に脱出シュート1を用意する必要が無くなるので、導入コストを低く抑えることができる。
また、脱出シュート1を使用状態にするのに特許文献1の如きウインチ機構を必要としないので、コストを低く抑えることができる。さらに、特許文献2のように避難者Hが非常時においてブレーキを操作するといった必要が無いので、避難者Hによる操作ミスを起因とした被害の発生を防止することができる。それに加えて、特許文献3の如き避難通路を狭くする必要がないので、避難時における避難者Hの移動がし易くなり、避難時に費やす時間が短くなって効率良くマンションMから脱出することができる。
また、カバー部材6が不透明な樹脂材(天然樹脂材の他合成樹脂材も含む)、天然繊維、化学繊維あるいは天然繊維と化学繊維の複合繊維で形成されているので、脱出時において避難者Hがカバー部材6内部を通過する際、カバー部材6の外側の景色が見えなくなる。したがって、例えば、高層ビルから脱出する際において避難者Hの恐怖心や不安を和らげて足が竦むのを防ぐことができるようになり、多くの避難者Hを迅速に脱出させることができる。尚、このようなカバー部材6に通気性が不足することで風力を受け過ぎる場合には通気孔等の抵抗減衰構造をカバー部材6に設けるとよい。
さらに、脱出シュート1を外の景色が見えてもよいような低層階へ設置する場合にはカバー部材6不透明な材料を採用することなく、透明あるいは半透明であってもよい。素材としては前述の樹脂や繊維を用いることができる。但し、火災の際にも避難が可能なように材料として難燃性で、かつ有毒なガスや煙が脱出シュート1内に入り込まないような構造とすることが望ましい。
また、脱出シュート1を使用状態にすると、隣り合う2つの足場ユニット4における一方の足場ユニット4の支持プレート8は、他方の足場ユニット4の避難用通過口10と上下に対応する位置となっており、上下に隣り合う2つの足場ユニット4における一方の足場ユニット4の避難用通過口10は、他方の足場ユニット4の支持プレート8と上下に対応する位置となっているので、避難者Hは必ず一段下の足場ユニット4における支持プレート8の上に着地するようになる。したがって、避難者Hが各足場ユニット4を一段ずつ確実に降りて行くことができるようになり、避難者Hによる脱出作業を安全に行うことができる。
また、各コイルバネ11が扉部材9を下方へと付勢しているので、避難者Hが扉部材9を上方に回動させた状態において避難用通過口10を下方へと通過した後、各コイルバネ11の付勢力によって扉部材9が自動的に下方に回動して避難用通過口10が閉まるようになる。したがって、次にその足場ユニット4の上方から移動してくる避難者Hが当該足場ユニット4に安全に着地することができる。
また、補強ネット12が支持プレート8の下面全域を覆う位置に設けられているので、補強ネット12が支持プレート8を下方から支えるようになる。したがって、足場ユニット4の剛性をさらに高めることができ、足場ユニット4に載る避難者Hの安定感を増すことができる。
それに加えて、足場ユニット4におけるフレーム部材7及び補強フレーム7aと支持プレート8とは、独立した複数の無端状ロープ8bで繋がっているので、もし仮に、無端状ロープ8bが2,3個切れてしまったとしても他の無端状ロープ8bでしっかりとフレーム部材7及び補強フレーム7aと支持プレート8とを繋いでおくことができるようになり、長く使用できる脱出シュート1にすることができる。
また、本発明の実施形態では、非常ドア部6bとカバー部材6の非常ドア部6bを除く領域とを線ファスナー6cで繋いでいるが、その他の手段で繋いでもよく、例えば、面ファスナーや多数のボタン等で繋ぐ構成であってもよい。
尚、図7において線ファスナー6cのスライダーは1個のみであるが、スライダーを2個設けて線ファスナー6cの中央から両側の端部に向けて開くようにしてもよい。また、図7に示される非常ドア部6bは線ファスナー6cを開けると水平方向に開くが、スライダーを2個設ける場合には、非常ドア部6bが手前側に開くように線ファスナー6cを設けてもよい。
また、本発明の実施形態では、扉部材9を下方に回動させる付勢部材としてコイルバネ11を用いているが、これに限らず、例えば、捩りバネや弾性ゴム等であってもよい。
また、本発明の実施形態では、4つの連結ロープ5で各足場ユニット4を連結しているが、5つ以上の連結ロープ5で各足場ユニット4を連結する構成であってもよい。
また、本発明の実施形態では、連結ロープ5を第1フック部5aでマンションMに取り付け、把持ロープ3を第2フック部3aでマンションMに取り付けているが、これに限らず、力が加わった際に脱落せず、強固に固定可能で安全性が高いのであれば、その他の固定手段で取り付けるようにしてもよい。第2フック部3aも同様である。
尚、本発明の実施形態の把持ロープ3の中途部は、断面形状に変化が無いが、例えば、所定の間隔で結び目を作って避難者Hが把持する際に滑り難くする構造にしてもよい。滑り難くする構造としては結び目の他、避難者Hが把持ロープ3を掴む際に滑らない構造のものであればコブ状のものや円盤状のものを設けてもよく、形状は特定しない。
また、本発明の実施形態では、脱出シュート1をマンションMから脱出する際に使用したが、その他、ビルや家屋などの建物からの脱出時にも使用可能である。
Claims (6)
- 避難者が建物からの脱出に使用する脱出シュートであって、
上下に並ぶ複数の板状をなす足場ユニットと、
上下に延び、且つ、前記足場ユニットの外周縁部に沿って並設され、当該各足場ユニットを上下一列に所定の間隔をあけて連結する複数の連結ロープと、
前記各足場ユニットを囲うように設けられ、且つ、前記避難者が上下に通過可能に構成され、前記各足場ユニットを互いに近づけると蛇腹状に折り畳まれる一方、互いに離間させると筒状に展延する柔軟性を有するカバー部材と、
該カバー部材の内側に上下に延びる姿勢となるよう前記建物の所定の位置に吊下げ可能に構成され、前記避難者が脱出時に把持する把持ロープと、を備え、
前記各連結ロープの上端部分には、前記建物の所定の位置に取付可能な取付部が設けられ、
前記カバー部材の側面には、前記避難者が前記カバー部材の内側と外側とを行き来可能な出入口部が設けられ、
前記足場ユニットは、前記避難者を支持可能な支持プレートと、前記避難者が上下に通過可能に開口する避難用通過口と、該避難用通過口を開閉可能な扉部材と、平面視で環状をなすフレーム部材と、前記扉部材を下方に付勢する付勢部材と、を備え、
前記フレーム部材は、当該フレーム部材の内部一側領域を覆うように前記支持プレートが取り付けられる一方、内部他側領域が前記避難用通過口として設定され、
前記扉部材は、当該扉部材の前記支持プレート側が上下動するよう前記フレーム部材に回動可能に支持されていることを特徴とする脱出シュート。 - 請求項1に記載の脱出シュートにおいて、
前記カバー部材の側面には、前記出入口部を開閉可能な非常ドア部が設けられ、
該非常ドア部は、前記カバー部材側面の一部領域が囲われるように当該カバー部材を切断することにより形成された当該切断部分の内側領域で構成され、
前記非常ドア部と前記カバー部材の前記非常ドア部を除く領域とは、線ファスナーによって繋ぎ合わされるようになっていることを特徴とする脱出シュート。 - 請求項1に記載の脱出シュートにおいて、
前記カバー部材は、不透明な樹脂材で形成されていることを特徴とする脱出シュート。 - 請求項1から3のいずれか1つに記載の脱出シュートにおいて、
隣り合う2つの前記足場ユニットにおける一方の前記足場ユニットの前記支持プレートは、他方の前記足場ユニットの前記避難用通過口と上下に対応する位置となっており、
隣り合う2つの前記足場ユニットにおける一方の前記足場ユニットの前記避難用通過口は、他方の前記足場ユニットの前記支持プレートと上下に対応する位置となっていることを特徴とする脱出シュート。 - 請求項1から3のいずれか1つに記載の脱出シュートにおいて、
前記足場ユニットは、格子状に延びる可撓性ロープからなる補強ネットを備え、
該補強ネットは、前記支持プレートの下面全域を覆う位置に設けられていることを特徴とする脱出シュート。 - 請求項1から3のいずれか1つに記載の脱出シュートにおいて、
前記足場ユニット又は前記カバー部材には、前記建物の所定の位置に引っ掛け可能な1つ以上の係合爪が設けられていることを特徴とする脱出シュート。
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