JP7191650B2 - 結晶性ポリエステル系樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる結晶性ポリエステル系樹脂、トナー用樹脂組成物、及び静電荷像現像用トナー等に関する。
電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化印刷に対応した静電荷像現像用トナーの開発が要求されている。
特許文献1には、条件(i):酸またはアルコールと反応しうる官能基(f)の数が1.0(mmol/g)以上、(ii):分岐を有する炭素数30以上の長鎖アルキル基(r)を含む、及び(iii):融解時の吸熱量が100(J/g)以下である、を満足する化合物(X)を構成単位として含むポリエステル樹脂を含有する、トナー用バインダー樹脂組成物が記載されている。当該樹脂組成物によれば、良好な定着性能、非オフセット性、画像安定性、耐久性を有するトナーを提供できると記載されている。
特許文献2には、結晶性ポリエステル樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B、及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、(1)該結晶性ポリエステル樹脂Aは、ポリエステル分子鎖の末端に結晶核剤部位を有し、且つ該結晶性ポリエステル樹脂AのSP値(Sa)((cal/cm3)1/2)が9.00以上11.50以下であり、(2)該非晶性ポリエステル樹脂Bは、下記(a)乃至(c)からなるグループ((a)炭素数8以上50以下の脂肪族炭化水素基、(b)炭素数8以上50以下の脂肪族アルコールが縮合により結合した官能基、(c)炭素数9以上51以下の脂肪族カルボン酸が縮合により結合した官能基)より選択される少なくとも一つの官能基を有することを特徴とするトナーが記載されている。
特許文献3には、ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B、着色剤、及び樹脂組成物Cを含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、(1)該ポリエステル樹脂Aは、結晶構造をとりうる部位を有するポリエステル部と、結晶核剤部とを有し、該ポリエステル部の末端に結晶核剤部が結合しており、(2)該ポリエステル樹脂Bは、結晶構造をとりうる部位を有さない樹脂であり、(3)該樹脂組成物Cは、ビニル系樹脂成分とポリオレフィン樹脂成分とが結合した樹脂組成物であり、該ポリエステル樹脂Aにおける該ポリエステル部のSP値をSa((cal/cm1/2)、該ポリエステル樹脂BのSP値をSb((cal/cm1/2)、該ポリエステル樹脂Aにおける結晶核剤部のSP値をSc((cal/cm1/2)、該ポリオレフィン樹脂成分のSP値をSd((cal/cm1/2)、該ビニル系樹脂成分のSP値をSe((cal/cm1/2)としたとき、該Sa、該Sb、該Sc、該Sd及び該Seが、以下の関係(9.0≦Sa≦12.5、0≦|Sc-Sd|≦1.8、-2.0≦Sb-Sa≦0.8)を満たすことを特徴とするトナーが記載されている。当該トナーによれば、両面印字機構を有する高速定着プロセスでも良好な定着性を有し、定着後の搬送工程を経ても安定したトナー画像を維持し、薄紙でも定着ローラーへの巻き付きが発生しない旨が、記載されている。
特開2009-014820号公報 特開2015-045851号公報 特開2014-026273号公報
従来、トナーの低温定着性を高める目的で、結晶性樹脂が用いられてきた。結晶性樹脂を用いた場合、トナーの製造工程において、当該樹脂の結晶化状態が損なわれ、本来の結晶性樹脂としての性能を引き出すことができていないという課題があった。
更に、結晶性樹脂を添加すると、低温定着性が向上する一方で、トナーを高温高湿条件下で保存すると、トナーが凝集してしまうという課題を有していた。
例えば、特許文献1には、非晶性ポリエステル樹脂に付加重合体を複合化させた樹脂が記載されているにとどまり、結晶性樹脂を添加した場合の、上記の課題との関係については言及されていなかった。
特許文献2及び3のトナーでは、比較的高温高湿下の条件における保存後に、一部のトナー粒子が凝集し、保存安定性の観点から課題を有していた。
本発明の一実施形態は、トナーの製造時における結晶回復性に優れ、低温定着性及び保存安定性に優れるトナーが得られる、結晶性ポリエステル系樹脂、トナー用樹脂組成物、及び静電荷像現像用トナー等に関する。
本発明者らは、結晶性ポリエステル系樹脂が、反応性官能基を有する変性ポリオレフィン系重合体A由来の構成部位を有すると、当該樹脂のトナーの製造時における結晶回復性に優れることを見出した。
本発明の一実施形態は、以下の〔1〕~〔3〕に関する。
〔1〕結晶性を有するポリエステル樹脂由来の構成部位、及び、反応性官能基を有する変性ポリオレフィン系重合体A由来の構成部位を有し、前記ポリエステル樹脂由来の構成部位と前記変性ポリオレフィン系重合体A由来の構成部位とが共有結合を介して連結し、
前記変性ポリオレフィン系重合体Aの数平均分子量が、700以上8,000以下である、結晶性ポリエステル系樹脂。
〔2〕前記〔1〕に記載の結晶性ポリエステル系樹脂と非晶性ポリエステル系樹脂とを含有する、トナー用樹脂組成物。
〔3〕前記〔2〕に記載の樹脂組成物を含有する静電荷像現像用トナー。
本発明の一実施形態によれば、トナーの製造時における結晶回復性に優れ、低温定着性及び保存安定性に優れるトナーが得られる、結晶性ポリエステル系樹脂、トナー用樹脂組成物、及び静電荷像現像用トナー等を提供することができる。
[結晶性ポリエステル系樹脂(樹脂A)]
本発明の一実施形態に係る結晶性ポリエステル系樹脂(以下、単に「樹脂A」ともいう)は、結晶性を有するポリエステル樹脂由来の構成部位、及び、反応性官能基を有する変性ポリオレフィン系重合体A(以下、単に「重合体A」ともいう)由来の構成部位を有し、前記ポリエステル樹脂由来の構成部位と前記変性ポリオレフィン系重合体A由来の構成部位とが共有結合を介して連結する。
そして、変性ポリオレフィン系重合体Aの数平均分子量は、700以上8,000以下である。
以上の構成により、トナーの製造時における結晶回復性に優れ、低温定着性及び保存安定性に優れるトナーが得られる、結晶性ポリエステル系樹脂、トナー用樹脂組成物、及び静電荷像現像用トナーが得られる。その理由は定かではないが、次のように考えられる。
樹脂Aは、結晶性を有するポリエステル樹脂由来の構成部位を有し、更に、反応性官能基を有する変性ポリオレフィン系重合体A由来の構成部位を有する。そして、これらのポリエステル樹脂由来の構成部位と変性ポリオレフィン系重合体A由来の構成部位とが共有結合を介して連結する。このような樹脂をトナーの製造の際に用いることで、変性ポリオレフィン系重合体A由来の構成部位を結晶核として、結晶回復が促進されると考えられる。その結果、低温定着性に優れるトナーが得られると共に、樹脂Aの微細なドメインがトナー中に形成されるため、保存安定性に優れるトナーが得られると考えられる。
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
樹脂及びポリエステル樹脂由来の構成部位が結晶性であるか非晶性であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、結晶性を有するポリエステル樹脂由来の構成部位及び重合体A由来の構成部位を有する樹脂Aの場合、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点とポリエステル樹脂由来の構成部位の吸熱のピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱のピーク温度(℃))で定義される。結晶性指数は、樹脂A以外の樹脂の場合、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と樹脂の吸熱のピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱のピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.65以上1.4未満、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、好ましくは1.2以下の樹脂である。非晶性樹脂とは、結晶性指数が1.4以上、又は0.65未満の樹脂である。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。ポリエステル樹脂由来の構成部位に由来のピークは、常法より帰属できるが、通常は、重合体A由来の構成部位の吸熱ピークより低温側に現れる。いずれのピークに帰属するべきかが不明な場合には、ポリエステル樹脂単独、及び、重合体A単独で、示差走査熱量計を用いて上記条件で測定し、各吸熱ピークにより近い温度の吸熱ピークをそれぞれの構成部位の吸熱ピークに帰属する。
「カルボン酸化合物」とは、そのカルボン酸のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及びカルボン酸のアルキルエステル(例えば、アルキル基の炭素数1以上3以下)も包含する概念である。
カルボン酸化合物がカルボン酸のアルキルエステルである場合、カルボン酸化合物の炭素数には、エステルのアルコール残基であるアルキル基の炭素数を算入しない。
「樹脂成分」とは、樹脂A、樹脂Bを包含するトナー中に含まれる樹脂成分を意味する。
樹脂Aは、結晶性を有するポリエステル樹脂由来の構成部位、及び、反応性官能基を有する変性ポリオレフィン系重合体A由来の構成部位を有し、前記ポリエステル樹脂由来の構成部位と前記変性ポリオレフィン系重合体A由来の構成部位とが共有結合を介して連結する。
樹脂Aは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル系樹脂であってもよい。変性されたポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂由来の構成部位がウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル系樹脂、ポリエステル樹脂由来の構成部位がエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル系樹脂が挙げられる。
共有結合を介して連結するとは、共有結合を介して構成部位が連結していることを意味する。
共有結合を介して構成部位が連結している例としては、例えば、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、及びこれらの結合と連結基を有する結合が挙げられる。
連結基としては、炭素数1以上6以下の2価以上の炭化水素基が挙げられる。連結基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、フェニル基等が挙げられる。
これらの中でも、エステル結合を介して連結していることが好ましく、エステル結合により直接連結していることがより好ましい。
〔結晶性を有するポリエステル樹脂由来の構成部位〕
結晶性を有するポリエステル樹脂由来の構成部位は、好ましくは、α,ω-脂肪族ジオールを80モル%以上含むアルコール成分と、脂肪族ジカルボン酸を含むカルボン酸成分の重縮合物である。
「ポリエステル樹脂由来の構成部位」とは、ポリエステル樹脂の一部が、他の分子団と結合する樹脂の構成部位を意味する。
(アルコール成分)
アルコール成分は、好ましくはα,ω-脂肪族ジオールを含む。
α,ω-脂肪族ジオールは、好ましくはα,ω-直鎖脂肪族ジオールである。
α,ω-脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上、更に好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
α,ω-脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオールが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール又は1,12-ドデカンジオールが好ましく、1,6-ヘキサンジオール又は1,12-ドデカンジオールがより好ましい。
α,ω-脂肪族ジオールの量は、アルコール成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
アルコール成分は、α,ω-脂肪族ジオールとは異なる他のアルコール成分を含有していてもよい。他のアルコール成分としては、例えば、1,2-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のα,ω-脂肪族ジオール以外の脂肪族ジオール;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
(カルボン酸成分)
カルボン酸成分は、好ましくは脂肪族ジカルボン酸を含む。
脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは直鎖脂肪族ジカルボン酸である。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸が挙げられる。これらの中でも、セバシン酸、又はドデカン二酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
カルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸とは異なる他のカルボン酸成分を含有していてもよい。他のカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、等の芳香族ジカルボン酸;3価以上の多価カルボン酸が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
アルコール成分の水酸基に対するカルボン酸成分のカルボキシ基の当量比(COOH基/OH基)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
〔重合体A由来の構成部位〕
樹脂Aは、トナーの製造時における結晶回復性に優れ、低温定着性及び保存安定性に優れるトナーを得る観点から、重合体A樹脂由来の構成部位を有する。
「重合体A樹脂由来の構成部位」とは、重合体Aの一部が、他の分子団と結合する樹脂の構成部位を意味する。
重合体Aは、トナーの製造時において、結晶回復性に適度に優れ、低温定着性及び保存安定性をより向上させる観点から、好ましくは変性ポリプロピレン系重合体である。変性ポリプロピレン系重合体が好ましい理由としては、ポリプロピレン骨格が低極性な特性である為、結晶性ポリエステル系樹脂中の分子が集積しやすく、結晶性ポリエステルの結晶成長点として働きやすいと共に、ポリプロピレン骨格部位そのものはトナーを可塑化しにくいのでトナーの保存安定性にも優れるという理由が上げられる。
反応性官能基は、例えば、水酸基又はカルボキシ基とエステル結合を形成することができる官能基である。
反応性官能基としては、例えば、カルボン酸基、無水カルボン酸基、ヒドロキシ基が挙げられる。これらの中でも、カルボン酸基又は無水カルボン酸基が好ましい。
重合体Aは、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物により変性されたポリプロピレン系重合体である(以下「酸変性ポリプロピレン系重合体」ともいう)である。
変性前のポリプロピレン系重合体としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレンとその他オレフィンとの共重合体が挙げられる。
ポリプロピレンは、例えば、一般のプロピレンの重合によって得る方法、一般成形用の容器等に使用されるポリプロピレンを熱分解して得る方法、一般成形用の容器等に使用されるポリプロピレンの製造時に副生成される低分子量のポリプロピレンを分離精製する方法により得られるポリプロピレンが挙げられる。
プロピレンとその他のオレフィンとの共重合体は、例えば、プロピレンと、プロピレンと共重合可能な不飽和結合を有するその他のオレフィンとを重合させることにより得られる共重合体が挙げられる。共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
その他のオレフィンは、例えば、エチレン、炭素数4以上10以下のオレフィンが挙げられる。その他のオレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、2-エチルヘキセンが挙げられる。
酸変性ポリプロピレン系重合体としては、例えば、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物により末端変性されたポリプロピレン系重合体(以下単に、「末端変性ポリプロピレン系重合体」ともいう)、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物をランダムグラフト変性されたポリプロピレン系重合体(以下単に、「ランダムグラフト変性ポリプロピレン系重合体」ともいう)が挙げられる。
これらの中でも、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物により末端変性されたポリプロピレン系重合体が好ましい。末端変性されたポリプロピレン系重合体は、好ましくは片末端のみが不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物により変性された、ポリプロピレン系重合体(以下、「片末端変性ポリプロピレン系重合体」ともいう)である。
不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物としては、例えば、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸が挙げられる。これらの中でも、結晶回復性、低温定着性及び保存安定性をより向上させる観点から、無水マレイン酸が好ましい。
不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物により末端変性されたポリプロピレン系重合体としては、例えば、末端に不飽和結合を有するポリプロピレン系重合体に、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物をEne反応させることで得られる。片末端変性ポリプロピレン系重合体は、例えば、片末端に不飽和結合を有するポリプロピレン系重合体に、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物をEne反応させることで得られる。片末端に不飽和結合を有するポリプロピレン系重合体は、公知の方法により得られるが、例えば、バナジウム系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒等を用いて製造することができる。
重合体Aとしては、例えば、末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン、末端無水マレイン酸変性プロピレンとその他オレフィンとの共重合体が挙げられる。
これらの中でも、結晶回復性、低温定着性及び保存安定性をより向上させる観点から、末端無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましく、片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレンがより好ましい。ポリプロピレン系重合体に無水マレイン酸部位が導入されることにより、2つのポリエステル系樹脂由来の構成部位がエステル結合を介して連結することができる。特に片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン系重合体を用いることで、ポリプロピレン系重合体の末端の無水マレイン酸部位により、2つのポリエステル系樹脂由来の構成部位が連結した構造を有するポリエステル系樹脂が得られると考えられる。そのため、片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン系重合体を用いることで、結晶回復性、低温定着性及び保存安定性をより向上させられると考えられる。
末端変性ポリプロピレン系重合体の市販品としては、例えば、片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン「X-10065」(Mn=1,000)、片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン「X-10088」(Mn=2,500)、片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン「X-10082」(Mn=8,000)、片末端無水マレイン酸変性プロピレン/ヘキセン共重合体「X-10087」(Mn=800)、片末端無水マレイン酸変性プロピレン/ヘキセン共重合体「X-10053」(Mn=2,000)、片末端無水マレイン酸変性プロピレン/ヘキセン共重合体「X-10052」(Mn=4,000)(以上、BAKER HUGHES社製)が挙げられる。
ランダムグラフト変性ポリプロピレン系重合体は、好ましくは無水マレイン酸がランダムにグラフト化され変性されたポリプロピレン系重合体(以下、「ランダムグラフト無水マレイン酸変性ポリプロピレン系重合体」ともいう)である。
ランダムグラフト無水マレイン酸変性ポリプロピレン系重合体は、好ましくは1分子中に1個以上の無水マレイン酸がグラフト化され変性されている。無水マレイン酸によって変性されているかは、一般的なスペクトル測定によって規定できる。無水マレイン酸によって変性されると、無水マレイン酸の二重結合が単結合に変化するのでそのスペクトル変化を測定することで規定できる。
ランダムグラフト変性ポリプロピレン系重合体は、例えば、ポリプロピレン系重合体分子内にラジカルを発生させ、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物と反応させることで得られる。
ランダムグラフト変性ポリプロピレン系重合体の市販品としては、例えば、ランダムグラフト無水マレイン酸変性ポリプロピレン系重合体として、「TOYO-tac」シリーズの「M-100」,「M-300」,「M-310」,「PMA H1000A」,「PMA H1100A」,「PMA H3000A」,「PMA-T」,「PMA-F2」,「PMA-L」(以上、東洋紡株式会社製)、「ユーメックス」シリーズの「1001」,「1010」,「100TS」,「110TS」(以上、三洋化成工業株式会社製)、「カヤブリット」シリーズの「003」,「006」(以上、アクゾノーベル株式会社製)が挙げられる。
重合体Aの融点は、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは40℃以上、更に好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下、更に好ましくは120℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
重合体Aの酸価は、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下、更に好ましくは100mgKOH/g以下、更に好ましくは80mgKOH/g以下であり、そして、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは1mgKOH/g以上、更に好ましくは5mgKOH/g以上、更に好ましくは10mgKOH/g以上である。
重合体Aの水酸基価は、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは10mgKOH/g以下であり、そして、0mgKOH/g以上であり、好ましくは0mgKOH/gである。
融点、酸価、及び水酸基価の測定方法は、実施例に記載の方法による。
重合体Aの数平均分子量は、トナーの製造時における結晶回復性に優れ、低温定着性及び保存安定性に優れるトナーを得る観点から、700以上であり、好ましくは800以上、より好ましくは900以上であり、そして、8,000以下であり、好ましくは6,000以下、より好ましくは4,000以下、更に好ましくは3,000以下、更に好ましくは2,000以下である。
数平均分子量は、標準試料としてポリスチレンを用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定する。
樹脂A中、重合体A由来の構成部位の量は、結晶回復性、低温定着性及び保存安定性をより向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上であり、そして、低温定着性及び保存安定性をより向上させる観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましく40質量%以下、更に好ましく30質量%以下、更に好ましく20質量%以下、更に好ましく15質量%以下である。
上記量において、樹脂Aの量は、重合体A及び原料モノマーの量の合計量であり、重縮合による脱水量を除いた量である。
〔樹脂Aの製造方法〕
樹脂Aは、例えば、
(a)反応性官能基を有する変性ポリオレフィン系重合体Aの存在下、アルコール成分とカルボン酸成分とを含む原料モノマーを重縮合することを含む方法、又は
(b)ポリエステル樹脂に、反応性官能基を有する変性ポリオレフィン系重合体Aを反応させることを含む方法
により得られる。
(b)の反応は、例えば、反応性官能基がカルボン酸基又は無水カルボン酸基である場合、脱水縮合、エステル交換反応が挙げられる。反応条件は、重合体Aのカルボン酸基又は無水カルボン酸基と、アルコール成分、カルボン酸成分等が脱水縮合又はエステル交換する条件が好ましい。
アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて、エステル化触媒、重合禁止剤等の存在下、180℃以上250℃以下程度の温度で行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒とともに用い得るエステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分、及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下である。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分、及びカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
〔樹脂Aの物性〕
樹脂Aの軟化点は、保存安定性をより向上させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは65℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
樹脂Aの融点は、保存安定性をより向上させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
[トナー用樹脂組成物]
本発明の一実施形態に係るトナー用樹脂組成物は、樹脂Aと非晶性ポリエステル系樹脂(以下、単に「樹脂B」ともいう)とを含有する。
樹脂組成物中、樹脂Aの量は、非晶性ポリエステル系樹脂の総量100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下である。
〔非晶性ポリエステル系樹脂B(樹脂B)〕
樹脂Bは、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物からなるポリエステル樹脂であってもよいし、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル系樹脂であってもよい。変性されたポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂由来の構成部位がウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル系樹脂、ポリエステル樹脂由来の構成部位がエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル系樹脂が挙げられる。これらの中でも、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物からなるポリエステル樹脂が好ましい。
以下、樹脂Bのアルコール成分及びカルボン酸成分について説明する。
(アルコール成分)
アルコール成分は、例えば、2価以上のアルコールを含む。
2価以上のアルコールの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下である。
2価以上のアルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールが挙げられる。これらの中でも、芳香族ジオール、又は、直鎖若しくは分岐の脂肪族ジオールが好ましく、芳香族ジオールがより好ましい。
芳香族ジオールは、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは式(I):
Figure 0007191650000001

(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、R及びRはそれぞれ独立にエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。これらの中でも、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の組合せが好ましい。
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物とビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とのモル比〔ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物〕は、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上、更に好ましくは40/60以上であり、そして、好ましくは80/20以下、より好ましくは70/30以下、更に好ましくは60/40以下である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジオールとしては、第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールが好ましい。第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは3以上4以下である。第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールとしては、例えば、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオールが挙げられる。
その他の直鎖又は分岐の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8‐オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA[2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン]、水素添加ビスフェノールAの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数2以上12以下)付加物が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールが挙げられる。
これらアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
(カルボン酸成分)
カルボン酸成分は、例えば、2価以上のカルボン酸化合物を含む。
2価以上のカルボン酸化合物の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下である。
2価以上のカルボン酸化合物としては、例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸化合物、脂環式ジカルボン酸化合物、3価以上の多価カルボン酸化合物が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸化合物が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、イソフタル酸、又はテレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは16以下である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸、又は、これらの無水物若しくは炭素数1以上3以下のアルキルエステルが挙げられる。
炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸としては、例えば、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸が挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸、又はこれらの無水物が好ましい。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは2モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
3価以上の多価カルボン酸は、好ましくは3価のカルボン酸であり、より好ましくはトリメリット酸又はその無水物である。
3価以上の多価カルボン酸を含む場合、3価以上の多価カルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上であり、そして、好ましくは35モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
アルコール成分のヒドロキシ基に対するカルボン酸成分のカルボキシ基の当量比(COOH基/OH基)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
〔樹脂Bの製造方法〕
樹脂Bは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを含む原料モノマーを重縮合することを含む方法により得られる。
アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合は、例えば、上述の樹脂Aの製造方法で示した条件で行うことができる。
〔樹脂Bの物性〕
樹脂Bの軟化点は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下である。
樹脂Bのガラス転移温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
樹脂組成物中、樹脂Bの量は、樹脂成分の総量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは93質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
〔非晶性ポリエステル系樹脂(樹脂B’)〕
樹脂組成物中には、樹脂Bの軟化点と5℃以上異なる軟化点を有する非晶性ポリエステル系樹脂(以下、単に「樹脂B’」ともいう)が含まれていてもよい。
樹脂B’は、好ましくは樹脂Bの軟化点よりも10℃以上高い軟化点を有し、より好ましくは樹脂Bの軟化点よりも15℃以上高い軟化点を有し、更に好ましくは樹脂Bの軟化点よりも20℃以上高い軟化点を有する。
樹脂B’は、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。アルコール成分及びカルボン酸成分は、前述の樹脂Bで例示したとおりである。
(樹脂B’の物性)
樹脂B’の軟化点は、好ましくは90℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは120℃以上であり、そして、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下、更に好ましくは132℃以下である。
樹脂B’のガラス転移温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
樹脂B’の軟化点、及びガラス転移温度は、原料モノマーの種類及びその使用量、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、実施例に記載の方法により求められる。
樹脂B’は、例えば、アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合により得られる。重縮合の条件は、例えば、前述の樹脂Aの製造方法で示した反応条件を適用することができる。
樹脂B’を含有する場合、樹脂Bと樹脂B’との質量比率[樹脂B/樹脂B’]は、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上、更に好ましくは40/60以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは70/30以下、更に好ましくは60/40以下である。
樹脂B’を含有する場合、樹脂組成物中の樹脂B’の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
[静電荷像現像用トナー]
本発明の一実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう)は、例えば、前述の樹脂組成物を含有する。
トナー中、前述の樹脂組成物の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。
そして、トナーは、例えば、トナー粒子及び外添剤を含む。
<トナー粒子>
トナー粒子は、好ましくは樹脂A及び樹脂Bを含有し、より好ましくは樹脂A、樹脂B及び樹脂B’を含有する。
トナー粒子は、その他、着色剤、ワックス、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を含有していてもよい。
〔着色剤〕
トナーは、着色剤を含有していてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエローが挙げられる。トナーは、黒トナー、その他のカラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの樹脂成分の総量100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
〔離型剤〕
トナーは、離型剤を含有していてもよい。
離型剤としては、ワックスが挙げられる。
ワックスとしては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
離型剤の融点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下である。
離型剤の含有量は、トナーの樹脂成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
〔荷電制御剤〕
トナーは、荷電制御剤を含有していてもよい。
荷電制御剤としては、正帯電性荷電制御剤、負帯電性荷電制御剤のいずれであってもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN―11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンp-51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP―B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成株式会社製)が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(以上、保土谷化学工業株式会社製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット株式会社製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「TN-105」(保土谷化学工業株式会社製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの樹脂成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、更に好ましくは6μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。
なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
トナー粒子の含有量は、トナー中、好ましくは90質量%以上、より好ましくは93質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは99質量%以下である。
<外添剤>
トナーには、保存性を向上させるため、外添剤を用いることが好ましい。外添剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらは、1種又は2種類以上を用いてもよい。
シリカは、例えば、疎水化処理された疎水性シリカが挙げられる。
シリカ微粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシランが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
外添剤の個数平均粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは120nm以下、更に好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
[トナーの製造方法]
トナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法、凝集融着法等の公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸又は2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
トナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
各性状等については次の方法により測定した。
[測定方法]
〔結晶性ポリエステル樹脂及び重合体Aの融点(Mp)〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコーインスツル株式会社製)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温する。融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔樹脂、及び重合体Aの酸価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K 0070:1992の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、クロロホルムとジメチルホルムアミド(以下「DMF」ともいう)の混合溶媒(クロロホルム:DMF=7:3(容量比))に変更する。
〔ポリエステル系樹脂の軟化点、ピーク温度及びガラス転移温度〕
(1)軟化点
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ポリエステル樹脂由来の構成部位の吸熱のピーク温度、樹脂の吸熱ピーク温度
示差走査熱量計「Q-100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、室温(20℃)から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間保持し、その後、昇温速度10℃/分で180℃まで昇温しながら測定する。結晶性を有するポリエステル樹脂由来の構成部位及び重合体A由来の構成部位を有する樹脂Aの場合、観測される吸熱ピークのうち、最も低い温度側に現れるピークの温度をポリエステル樹脂由来の構成部位の吸熱のピーク温度とする。
ポリエステル樹脂由来の構成部位のピークは、常法より帰属できるが、通常は、重合体A由来の構成部位の吸熱ピークより低温側に現れる。いずれのピークに帰属するべきかが不明な場合には、ポリエステル樹脂単独、及び、重合体A単独で、示差走査熱量計を用いて上記条件で測定し、各吸熱ピークにより近い温度の吸熱ピークをそれぞれの構成部位の吸熱ピークに帰属する。
なお、その他のポリエステル系樹脂の場合、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱のピーク温度とする。
結晶性指数は、前述の軟化点と当該ポリエステル樹脂由来の構成単位の吸熱ピークとの比から算出する。
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量計「Q-100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却する。次に昇温速度10℃/分で150℃まで昇温しながら測定する。
吸熱のピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔溶解吸熱量〕
各試料を示差走査熱量計「Q-100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、室温(20℃)から昇温速度10℃/分で180℃まで昇温し、観測される結晶性ポリエステル樹脂由来の吸熱ピーク面積を溶解吸熱量とする。トナー化する前の樹脂の溶解吸熱量を、溶解吸熱量Bとして表1に示す。
〔トナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は以下の方法で測定する。
測定機:「コールターマルチサイザーII」(ベックマン・コールター株式会社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:「コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン1.19」(ベックマン・コールター株式会社製)
電解液:「アイソトンII」(ベックマン・コールター株式会社製)
分散液:「エマルゲン109P」(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5質量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
[樹脂の製造]
〔結晶性ポリエステル系樹脂Aの製造〕
製造例A1(樹脂A-1の製造)
表1に示す、ポリエステル樹脂の原料モノマー及びエステル化触媒、助触媒を温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管を備えた流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて140℃に加熱し、その後1時間ごとに5℃ずつ200℃まで昇温した。その後反応性ポリオレフィンを添加した後、更に1時間200℃を保持して反応を行った後、200℃13kPaの条件で縮合反応を行い、軟化点が表1に示す軟化点に達するまで反応させて、樹脂A-1を得た。
製造例A2~A6、A81~A82(樹脂A-2~A-6、A-81~A-82の製造)
表1に示す原料を用いたこと以外、製造例A1と同様にして、樹脂A-2~A-6、A-81~A-82を得た。
Figure 0007191650000002
Figure 0007191650000003
〔非晶性ポリエステル系樹脂B及び樹脂B’の製造〕
製造例B1(樹脂B-1の製造)
表2に示す、ポリエステル樹脂の原料モノマー及びエステル化触媒、助触媒を温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管を備えた流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて180℃に加熱し、その後1時間ごとに5℃ずつ230℃まで昇温し固体モノマーがすべて溶融反応したことを確認した後9.3kPaまで減圧し脱水縮合させ、軟化点が表2に示す軟化点に達するまで反応させて、樹脂B-1を得た。
製造例B2(樹脂B-2の製造)
表2に示す原料を用いたこと以外、製造例B1と同様にして、樹脂B-2を得た。
製造例B’1(樹脂B’-1の製造)
表2に示す、トリメリット酸無水物以外のポリエステル樹脂の原料モノマー及びエステル化触媒、助触媒を温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管を備えた流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて180℃に加熱し、その後1時間ごとに5℃ずつ230℃まで昇温し固体モノマーがすべて溶融反応したことを確認した後9.3kPaまで減圧し脱水縮合させた。圧力を常圧戻し、温度を190℃まで冷却した後、トリメリット酸無水物を添加し210℃まで加熱し1時間常圧で反応させた後9.3kPaまで減圧し架橋脱水縮合させ、軟化点が表2に示す軟化点に達するまで反応させて、樹脂B’-1を得た。
製造例B’2(樹脂B’-2の製造)
表2に示す原料を用いたこと以外、製造例B’1と同様にして、樹脂B’-2を得た。
Figure 0007191650000004
[トナーの製造]
実施例1~10及び比較例1~3(トナー1~10,81~83の製造)
表3に示す非晶性ポリエステル系樹脂を合計100質量部、結晶性ポリエステル系樹脂を表3に記載の質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E-81」(オリヱント化学工業株式会社製)1質量部、着色剤「Pigment Blue 15:3」(大日精化工業株式会社製)5質量部、及び離型剤「HNP-9」(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、融点:80℃)2質量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度100℃で溶融混練した。混合物の供給速度は20kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に対し、外添剤「アエロジル R-972」(疎水性シリカ、日本アエロジル株式会社製、個数平均粒子径:16nm)2.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで3600r/min、5分間混合することにより、外添剤処理を行い、トナー1~10,81~83を得た。
[評価方法]
〔結晶回復性〕
結晶回復性は、トナー中の結晶性ポリエステル樹脂が本来持ちうる結晶化能をどれほど発現しているかを下記方法によって定義した。
各トナーを、前述の溶解吸熱量の測定方法に従って測定し、観測される結晶性ポリエステル樹脂由来の吸熱ピーク面積を溶解吸熱量Aとする。
一方で、トナー製造前の各樹脂も同様の条件で昇温し、観測される結晶性ポリエステル樹脂由来の吸熱ピーク面積を溶解吸熱量Bとする。
結晶回復性はこの溶解吸熱量Aと溶解吸熱量Bを用いて下記式で定義する。
結晶回復性(%)=(A/B)×100
結晶回復性は数値100~0で表され、数値がより大きい方がトナー中で結晶性ポリエステル樹脂の結晶化が促進されていることを示す。結果を表3に示す。
〔低温定着性〕
各トナー3質量部と、スチレン・メチルメタクリレート樹脂被覆されたフェライト粉(関東電化工業株式会社製、平均粒子径100μm)97質量部とを混合して、二成分現像剤を得た。複写機「AR-505」(シャープ株式会社製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置に二成分現像剤を実装し、紙「CopyBond SF-70NA」(シャープ株式会社製、75g/m)上に、トナー付着量が0.5mg/cmとなるように未定着の状態で印刷物を得た。総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度200mm/sec)を用い、定着ローラーの温度を90℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各温度で前記未定着状態の印刷物の定着試験を行った。500gの荷重をかけた底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムで、定着機を通して定着された画像を5往復こすり、こする前後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(こすり後/こすり前)が最初に70%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、低温定着性を評価した。結果を表3に示す。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れ、最低定着温度は、145℃以下が好ましく、135℃以下がより好ましく、125℃以下が更に好ましい。
〔保存安定性〕
各トナー5gを50mL容のポリビンに入れ、温度50℃、相対湿度60%の環境で48時間放置した。その後、そのトナーを目開き100μmのメッシュで篩い、メッシュ上の残存トナーを計量し、以下の評価基準に従って、保存性を評価した。結果を表3に示す。
(評価基準)
A:残存トナーが0.5g未満
B:残存トナーが0.5g以上1g未満
C:残存トナーが1g以上
Figure 0007191650000005
以上、実施例のトナーは、比較例のトナーに比べて、結晶回復性に優れ、低温定着性及び保存安定性に優れることがわかる。

Claims (6)

  1. 結晶性を有するポリエステル樹脂由来の構成部位、及び、反応性官能基を有する変性ポリオレフィン系重合体A由来の構成部位を有し、
    前記結晶性を有するポリエステル樹脂由来の構成部位が、α,ω-脂肪族ジオールを80モル%以上含むアルコール成分と、脂肪族ジカルボン酸を含むカルボン酸成分の重縮合物であり、
    前記ポリエステル樹脂由来の構成部位と前記変性ポリオレフィン系重合体A由来の構成部位とが共有結合を介して連結し、
    前記変性ポリオレフィン系重合体Aの数平均分子量が、700以上8,000以下であり、
    前記変性ポリオレフィン系重合体Aの片末端部が、無水マレイン酸で変性されている、
    結晶性ポリエステル系樹脂。
  2. 前記反応性官能基が、水酸基又はカルボキシ基とエステル結合を形成することができる官能基である、請求項に記載の結晶性ポリエステル系樹脂。
  3. 前記ポリエステル樹脂由来の構成部位と前記変性ポリオレフィン系重合体A由来の構成部位とがエステル結合により連結する、請求項1又は請求項2に記載の結晶性ポリエステル系樹脂。
  4. 請求項1~のいずれかに記載の結晶性ポリエステル系樹脂と非晶性ポリエステル系樹脂とを含有する、トナー用樹脂組成物。
  5. 前記結晶性ポリエステル系樹脂の含有量が、非晶性ポリエステル系樹脂の総量100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下である、請求項に記載のトナー用樹脂組成物。
  6. 請求項又はに記載の樹脂組成物を含有する、静電荷像現像用トナー。
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