JP7163782B2 - 自律走行台車 - Google Patents
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Description
図1はひとつの実施形態としての自律走行台車10(無人搬送車)を示している。この図では例として円柱状のボディ11を有する自律走行台車10を示しているが、自律走行台車10は用途や作業現場等に応じてボディ11の外観、形状、大きさを自由に設計することができる。自律走行台車10はボディ11に積載部12を備えている。積載部12は、例えば素材、部品、製品など、製造工場や倉庫において搬送すべき部品(図示なし)を載せるためのものである。積載部12は、例えば図1に示すように自律走行台車10のボディ11の上面に設定することができるが、前面や側面に設定することもできる。積載部12は、図1に示すように搬送する部品を直接載せる荷台や容器部とするほか、物品を入れるための搬送容器を取り付けることのできる構造としてもよい。
図1、図2に示すように、自律走行台車10は、自律走行台車10を制御する制御装置20、制御装置20やセンサーやモーター18などの電気機器に電力を供給するバッテリー22、作業者が制御装置20の起動と停止を行うためのメインスイッチ24を設ける。例えば制御装置20は、左右のモーター18にそれぞれ制御信号を送り、それぞれの回転を組み合わせて制御することによって、自律走行台車10に前進、後退、左右への旋回、その場での回転などの動作をさせる。制御装置20は自律走行台車10に組み込まれたコンピューターシステムとして構成することができ、制御プログラムや各種データを保存する記憶手段34(例えばハードディスクドライブ)と、制御プログラムに従って様々な処理を行う処理手段36(例えばCPU)とを備える。
自律走行台車10にはタッチスクリーン26を設けることもできる。例えば、タッチスクリーン26は自律走行台車10の動作状態やバッテリー22の残量を表示したり、作業者から入力を受けたりすることができる。制御装置20はこのタッチスクリーン26に対する入出力も行う。自律走行台車10には、制御装置20と外部のコンピュータ(パーソナルコンピュータなど)との間で種々のデータを送受信するため通信用コネクタ28を設けることもできる。例えば外部のコンピュータで作成した制御プログラムなどのソフトウェアをこの通信用コネクタ28を介して記憶手段34に記憶させることができる。自律走行台車10にはさらに、作業者に各種情報を音声で知らせるためのスピーカー30などの音声出力手段や、自律走行台車10の状態を知らせるための表示灯32を設けても良い。
自律走行台車10には、周囲の物体(障害物、設備、人間など)の位置や大きさに関するデータを取得するセンサー(メインセンサー)を設ける。メインセンサーは例えばレーザーレンジファインダー(LRF)40や測域センサーなどの測距センサーとすることができる。このような測距センサーは、レーザーを発して周囲の物体からの反射光を検出し、レーザーの往復にかかった時間から物体表面までの距離を算出する。メインセンサーは例えばボディ11の上面前端に配置することができるが、上面中央や前側面に配置しても良い。
自律走行台車10には一つ以上の物体検出のための補助センサー46を追加することもできる。補助センサー46はメインセンサーとは異なる方法で周囲の物体の存在を検出する装置とし、例えば超音波センサーとする。例えばメインセンサーとしてLRF40を用いた場合、レーザーが透過するガラス等の検出が不充分な可能性が考えられるため、このような補助センサー46を追加するとよい。左右の補助センサー46は対応する駆動輪14の前方に存在する物体(障害物)の位置や大きさに関するデータを制御装置20に出力する。制御装置20は補助センサー46から入力されたデータを処理し、障害物を検出する。
作業者は無線操作装置80を通じて自律走行台車10を操作することもできる。無線操作装置80は例えば、専用の無線リモコンや、ネットワーク経由で制御装置20と無線接続された携帯端末機器(ハンディターミナル)などとすることができる。無線操作装置80は、図2に示すように、プログラムを記憶する記憶手段82、プログラムに従って処理を行う処理手段84、アンテナ90、電源となるバッテリー86を備える。一方、自律走行台車10には、無線操作装置80と無線で信号を送受信するためのアンテナ38、受信手段36A、送信手段36Bを備える。自律走行台車10と無線操作装置80は処理手段36、84によってアンテナ38、90を介して互いに信号を受送信する。また、無線操作装置80には、キーボード、タッチスクリーン88、ボタンなどの入力手段を設けることができる。そして、作業者が何らかの入力をすると、処理手段84がそれに対応するデータや操作信号を自律走行台車10に送信する。
以下では、製造工場や倉庫において上述のような自律走行台車10で部品や製品の搬送を行う際に制御装置20が行う制御方法について、図4~図8を用いて説明する。したがって、以下で自律走行台車10が行うとして説明している手順は制御装置20が行う。図4は制御の流れを示す図である。図5~図8は、倉庫や製造工場などにおける自律走行台車10の走行エリア60の一部の平面図である。倉庫や製造工場などには通常、部品や製品などの物品を保管するための棚62A、62Bが複数配置される。
自律走行台車10で物品の搬送を行う場合、作業者50は棚62A、62Bから自律走行台車10への積み込みや、自律走行台車10から棚62A、62Bへの積み下ろしなどの作業を行う必要がある。その場合、作業者50はまずリモコンなどの無線操作装置80で自律走行台車10の呼び出しを行い、予定の作業場所まで自律走行台車10を移動させる。通常、物品の載せ換え作業は特定の棚62Aの特定の区画64(場合によっては棚の全体でもよい)で行われ、したがって各作業場所は棚の区画に対応している。図5~図8では、作業を行う棚の区画64を斜めのハッチングで表している。呼び出しの際、作業者50は無線操作装置80に設けられたキーボード等の入力手段で作業場所の識別子(例えば棚の区画を表す番号や記号)を入力したり、無線操作装置80のタッチスクリーン88に表示された製造工場内の地図画像にタッチしたりすることによって作業場所を指定することができる。作業者50は呼び出しの時点で必ずしも作業場所に待機していなくて良いが、自律走行台車10が到着するよりも先に作業場所に到着していることが望ましい。
製造工場内にいる自律走行台車10は、作業者50から呼び出しを受けると(ステップS10、Yes)、自律走行により図5に示すように指定された作業場所に向かって移動を開始する(ステップS20、自律走行モード)。自律走行台車10は、検出領域42内に含まれる棚62A、62Bの外形(棚の各部位までの距離)をLRF40で常に認識し、これを自身が保持する走行エリア60の地図データと照合することにより自律走行台車10の現在位置を推定する。図5、図6では自律走行台車10が認識している棚62A、62Bの外形を太線で表している。そして自律走行台車10は地図を参照しながら、棚や壁などの障害物を回避しながら目的の作業場所に向かって走行する。自律走行台車10はあらかじめ与えられた走行エリア60の地図データをもとに自己位置を推定しても良いが、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)技術により移動中にLRF40から得られた情報をもとに自律走行台車10自身の位置の推定と環境地図の作成・更新を同時に行っても良い。あるいは別の例として、マーカーセンサーを用いて床面に各作業場所まで敷設された誘導テープをたどることにより作業場所に向かっても良い。自律走行台車10は、あらかじめ各作業場所と関連付けて図6に示すような所定の床面領域を到着領域66として記憶しておくことができる。そして、自律走行台車10はその所定の到着領域66に入ったことを認識したら、目的の作業場所に到着したと判断する(ステップS30、Yes)。
作業場所に到着したと判断した場合(ステップS30、Yes)、自律走行台車10は目的の作業者50を探索する(ステップS40、探索モード)。なお、自律走行台車10が発見すべき作業者50は自律走行台車10を呼び出した作業者と同じであっても違っていても良い。具体的には、自律走行台車10は、LRF40から取得したデータ(方向と距離など)を基に、作業場所に対応する所定の探索領域68内の各物体の大きさを算出する。そして、自律走行台車10は探索領域68内にあってかつ特定の条件を満たす物体を作業者50であると判断する(ステップS50、Yes)。例えば、自律走行台車10は(検出領域42の高さにおける)横幅が所定の範囲内にある物体を人間であると推定し、目的の作業者50であると判断することができる。横幅の範囲は作業者50がどちらを向いていても検出できるような範囲(例えば40cm程度~70cm程度)に設定するのが好ましい。さらに、他の適切な条件を追加することもできる。例えば、上記の横幅の条件を満たす物体のうち自律走行台車10に最も近い位置にあるものを目的の作業者50であると判断することもできる。探索領域68が広すぎて設定された検出領域42内に収まらない場合は、自律走行台車10は前述の所定の到着領域の中を移動しながら探索を行っても良い。
作業者50を発見した場合(ステップS60)、自律走行台車10は自動で作業者50に対して所定の向きを向いて停止する(ステップS70、待機モード)。この時、作業者50は無線操作装置80での操作や手押しで自律走行台車10を動かす必要はない。停止すべき向きは、あらかじめ各作業者や各作業場所と関連付けて記憶させておくことも、自律走行台車10の呼び出し時に逐一指定することもできる。例えば、図7、図8に示すように、自律走行台車10から作業者50への方向を基準としたとき、自律走行台車10の正面方向Fが目的の棚62Aから遠ざかる側に成す角度θが約90~約180度の範囲内となる向きにすることができる。一つの例として、この角度θは図7に示すように130~140度の範囲内(例えば135度)とすることができる。特に、自律走行台車10の積載部12が中心に対して後寄りにある場合や、自律走行台車10の水平方向の寸法が大きい場合や、図1に示すようにボディ11の上面前側にLRF40等の突出した機器が取り付けられている場合、このような角度範囲にすると作業者50が棚62Aと台車との間で物品の載せ換えがしやすくなり、有利である。あるいは、自律走行台車10の積載部12を棚62Aに対面する方向と作業者50の方向の間に向けることもできる。積載部12が自律走行台車10の上面の中心からいずれかの方向にずれているときに特に適する。別の例として、図8に示すように、角度θは約90度とすることもできる。言い換えれば、自律走行台車10の積載部12を棚62Aの方向に向けることもできる。このような方向とすることにより重量の大きい搬送物を棚62Aから自律走行台車10に載せる際の移動距離が少なくて済む利点がある。
載せ換えなどの作業が終了したら、作業者50は他の場所に移動する前に自律走行台車10を他の場所に向かわせることができる。例えば、作業者50から作業終了を知らせる入力があった場合(ステップS80、Yes)、自律走行台車10は自律走行モードで出発地点に帰還することができる(ステップS90)。別の例として、作業者50から作業終了の入力があった場合、自律走行台車10は自律走行モードで次の作業場所に向かったり、作業者を離れて搬送拠点や何らかの搬送先に向かったりすることもできる。さらに別の例として、自律走行台車10は追尾モードで次の作業場所に向かう作業者に追尾することもできる。自律走行台車10を他の場所に向かわせる指示は、自律走行台車10が備えるタッチスクリーン26と作業者50が所持する無線操作装置80のタッチスクリーンのいずれで行うこともできる。
以上に説明した実施形態の自律走行台車10によれば、自律走行台車10が作業場所に到着した際に作業者50がリモコン操作や手押しで台車の向きを変える手間を省くことができるという有利な効果が得られる。
11 ボディ
12 積載部
14 駆動輪
16 従動輪
18 モーター
20 制御装置
26 タッチスクリーン
34 記憶手段
40 レーザーレンジファインダー(LRF)
42 検出領域
50 作業者
60 走行エリア
62A、62B 棚
64 棚の区画
66 到着領域
68 探索領域
80 無線操作装置
88 タッチスクリーン
F 正面方向
Claims (3)
- 自律走行台車であって、
物品または搬送容器を載せるための積載部を有するボディと、
複数の車輪と、
複数の車輪の少なくとも一つを駆動する駆動装置と、
物体を検出するためのセンサーと、
自律走行台車の動作を制御する制御装置とを備え、
制御装置は、作業者の指示に基づいて自律走行台車が指定された作業場所に向かうように駆動装置を制御し、
自律走行台車がその作業場所に到着したと判断したらセンサーからのデータに基づいて所定の探索領域内に存在する所定の条件に合った物体を目的の作業者として認識し、
作業者の指示を受けた際に指定された向きで自律走行台車が停止するように駆動装置を制御する自律走行台車。 - 自律走行台車であって、
物品または搬送容器を載せるための積載部を有するボディと、
複数の車輪と、
複数の車輪の少なくとも一つを駆動する駆動装置と、
物体を検出するためのセンサーと、
自律走行台車の動作を制御する制御装置とを備え、
制御装置は、作業者の指示に基づいて自律走行台車が指定された作業場所に向かうように駆動装置を制御し、
自律走行台車がその作業場所に到着したと判断したらセンサーからのデータに基づいて所定の探索領域内に存在する所定の条件に合った物体を目的の作業者として認識し、
作業場所における棚とその目的の作業者とに対し自律走行台車が棚の前面から概して作業者と同じ距離でかつ自律走行台車の正面方向が作業者の方向に対して棚から離れる側に90~180度の範囲内の角度を成すような向きで停止するように駆動装置を制御する自律走行台車。 - 請求項1または2の自律走行台車であって、制御装置は、自律走行台車が作業者に対して所定の距離で停止するように駆動装置を制御する自律走行台車。
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