JP7093229B2 - 加飾成形体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、加飾用シートを3次元形状に賦形したプリフォーム成形体を用いた加飾成形体を製造する方法に関する。
加飾用シートを3次元形状に賦形したプリフォーム成形体を金型のキャビティに配置し、射出成形するインモールド成形が知られている。インモールド成形によれば、加飾用シートを射出成形体の表面に一体化した、加飾成形体を製造することができる。
プリフォーム成形体を用いてインモールド成形により加飾成形体を製造する方法について、図5を参照して説明する。図5中、23はプリフォーム成形体,31は雌型,32は雄型,14は射出成形機の射出部本体,14aはノズル,14bはシリンダ,14cはインラインスクリュ,Gはゲート,25は射出成形体,15は溶融樹脂,29は加飾成形体である。
プリフォーム成形体を用いたインモールド成形においては、はじめに、図5(a)に示すように、キャビティ部31aを有する雌型31とコア部32dを有する雄型32とから構成される金型33の、雌型31のキャビティ部31aにプリフォーム成形体23を配置する。そして、図5(b)に示すように、雌型31と雄型32とを型締めする。型締めにより合わせ面PLが形成される。そして、図5(c)に示すように、雌型31と雄型32とを型締めすることにより形成されるキャビティ33aに、ゲートGから熱可塑性樹脂の溶融樹脂15を充填する。
そして、金型33内で溶融樹脂15を冷却する冷却工程の終了後、図5(d)に示すように、雌型31を後退させて、雌型31と雄型32とを型開きすることにより、射出成形体25にプリフォーム成形体23が一体化された加飾成形体29が得られる。
インモールド成形においては、プリフォーム成形体を形成する素材の荷重たわみ温度よりも高い温度で溶融樹脂が射出されることにより、溶融樹脂の熱と流動によりプリフォーム成形体が軟化して延伸されて、射出成形体に一体化されたプリフォーム成形体にシワが発生することが知られていた。このようなシワの発生を抑制する方法として、例えば下記特許文献1は、型閉め状態で、成形体の角部に相当する箇所で金型と接触せずに湾曲するように成形し、また、その端面が成形体の立ち上がり部内面の端縁に相当する箇所で金型に接触するように打ち抜かれたプリフォーム成形体を用いることにより、射出成形体に一体化されたフィルムにシワが発生することが抑制されることを開示する。
また、シワの発生を抑制することを目的とする技術ではないが、例えば下記特許文献2は、射出成形時に型閉めされた雄型と雌型との境界線、所謂、パーティングラインに相当する部分を、インサート材で覆うことにより、パーティングラインに樹脂バリや段差が現れない見栄えのよいインサート成形品が得られることを開示する。しかし、このような方法によれば、射出成形時に溶融樹脂がキャビティに侵入するとき、パーティングラインがインサート材で覆われることによりパーティングラインからキャビティの空気等のガスが抜けにくくなるために、溶融樹脂の充填不良を引き起こしやすくなると思われる。
また、加飾成形体の製造に関するものではないが、下記特許文献3は、樹脂成形機で中間製品を成形し、該中間製品のバリをバリ除去装置で除去して完成品を製造する樹脂製品製造システムにおいて、樹脂成形機が、合わせ面にオーバーフロー樹脂を収容する収容部を有した金型を備え、該金型によりオーバーフロー樹脂を一体化した中間製品を成形すると共に、バリ除去装置が、中間製品と一体化した該オーバーフロー樹脂を前記バリと共に切除して完成品を製造する樹脂製品製造システムを開示する。
特開2005-104114号公報 特開平6-328498号公報 特開2010-260337号公報
インモールド成形においては、高速高圧で射出されて金型内に侵入する溶融樹脂により、プリフォーム成形体が軟化された状態で、その裏面から溶融樹脂の進行方向にせん断力が与えられる。このとき、軟化した状態でせん断力が付与されることにより、プリフォーム成形体は延伸される。そして、図6(a)に示すように、延伸したプリフォーム成形体23の周縁が金型33の合わせ面PLに衝突することにより伸びた余剰な部分が折り畳まれ、加飾成形体29の周縁近傍にシワwを発生させるという問題があった。
また、図6(a)に示したような加飾成形体29の周縁近傍におけるシワwの発生を抑制するために、インモールド成形中にプリフォーム成形体23が伸びてその周縁が合わせ面PLに衝突することを回避するために、予め、プリフォーム成形体23をキャビティの実寸に対して小さく形成する方法も採用できる。しかし、図6(b)に示すように、プリフォーム成形体23が小さ過ぎた場合には、プリフォーム成形体23が射出成形体25の周縁を充分に覆うように伸びないことがあった。その場合には、プリフォーム成形体23の周縁が射出成形体25の周縁よりも短くなって、破線円で囲むように射出成形体25の周縁近傍に、プリフォーム成形体に覆われずに射出成形体25が露出する露出部eが形成されることがあった。また、キャビティに収容されたプリフォーム成形体が適切な位置からずれた場合にもこのような現象が生じる。図6(a)に示すようなシワwが発生した加飾成形体も、図6(b)に示すような露出部eが形成された加飾成形体も、通常、不良品として扱われる。
インモールド成形による加飾成形体の成形においては、上述のように、プリフォーム成形体の周縁近傍にシワを発生させず、且つ、周縁近傍に射出成形体を露出させないように、プリフォーム成形体の周縁と射出成形体の周縁とを一致させることが困難であった。そのために、得られた加飾成形体の外観をインモールド成形の1ショットごとに確認し、シワが発生する傾向にある場合には通常よりも小さくトリミングされたプリフォーム成形体に変更し、射出成形体の周縁がプリフォーム成形体に覆われずに露出する傾向がある場合には、通常よりも大きくトリミングされたプリフォーム成形体に変更する等の調整が必要であった。そのために、生産性が低く、良品の歩留まりも低くなるという問題があった。
本発明は、インモールド成形による加飾成形体の製造において、プリフォーム成形体にシワを残しにくく、且つ、プリフォーム成形体に覆われずに射出成形体が露出する部分を発生させにくい、加飾成形体を安定的に量産するための加飾成形体の製造方法を提供する。
本発明の一局面は、加飾用シートを3次元形状に賦形したプリフォーム成形体を準備する工程と、コア部を有する雄型と、型締めしたときにコア部を収容してキャビティを形成するキャビティ部を有する雌型と、を備える金型の、キャビティ部にプリフォーム成形体を配置する工程と、キャビティ部にプリフォーム成形体を収容した状態で雌型と雄型とを型締めし、形成されたキャビティに溶融樹脂を充填して射出成形することにより、表面にプリフォーム成形体を一体化させた射出成形体からなる加飾成形体を成形する工程と、を備え、キャビティは、加飾成形体の本体部を形成する本体部形成部と、本体部の周縁から段差を介して薄化した余剰部を形成する余剰部形成部と、を含み、プリフォーム成形体は、加飾成形体においてその周縁が余剰部の一部分に重なるように配置され、余剰部を除去する工程をさらに備える加飾成形体の製造方法である。このような製造方法によれば、加飾成形体の製造において、インモールド成形の際にプリフォーム成形体の伸びた部分が余剰部に重なるように配置することにより、プリフォーム成形体の伸びた部分を余剰部に収容させることができる。それにより、プリフォーム成形体の周縁が合わせ面PLに衝突しにくくなる。そのために、伸びた部分が行き場をなくして折り畳まれるようにして形成されるシワの発生を低減することができる。また、プリフォーム成形体の周縁が余剰部の一部分に重なるように配置されることにより、プリフォーム成形体に覆われずに射出成形体が露出する部分を発生させにくくできる。そして、本体部の周縁から段差を介して薄化するように形成された余剰部を除去することにより、射出成形体の周縁とプリフォーム成形体の周縁とが一致して射出成形体が露出しない最終製品の加飾成形体を安定して量産することができる。
また、余剰部の除去は、段差に沿って除去することが除去しやすい点から好ましい。
また、プリフォーム成形体は、射出成形の後に余剰部形成部の先端面に当接しないことが、シワがとくに発生しにくい点から好ましい。
また、プリフォーム成形体は、射出成形前にその周縁が余剰部形成部の一部分に重なるように配置されることが、射出成形体が露出しない最終製品の加飾成形体がとくに得られやすい点から好ましい。
また、本体部と余剰部との段差が0.5mm以上であり、余剰部の厚さは0.4~1.5mmであることが、余剰部に適度な剛性を保持させながら、適度な高さの段差を形成してそのコーナーを利用して余剰部を正確かつ容易に除去しやすい点から好ましい。
また、プリフォーム成形体は、その周縁が余剰部に0.5mm以上の幅で重なっていることが、きれいな断面を形成するように加飾成形体から余剰部を除去しやすい点から好ましい。
また、加飾用シートは、繊維構造体を含むことが好ましい。繊維構造体を含む加飾用シートは均質な樹脂フィルムよりも厚く、また、繊維構造体の内部に空隙を有するために形態安定性に乏しい。このような繊維構造体を含む加飾用シートはインモールド成形における伸び量が変動しやすい。本発明による製造方法は、伸び量が変動しやすい繊維構造体を含む加飾用シートにおいてとくに顕著な効果を発揮する。
本発明によれば、インモールド成形による加飾成形体の製造において、プリフォーム成形体にシワを残さず、且つ、プリフォーム成形体に覆われずに射出成形体が露出する部分を発生させにくい、加飾成形体を安定的に量産することができる。
図1は、実施形態のプリフォーム成形体3を成形する各工程を説明する模式断面図である。 図2は、実施形態のプリフォーム成形体3を用いたインモールド成形の各工程を説明する模式断面図である。 図3は、余剰部を説明するための実施形態の加飾成形体10の部分模式断面図である。 図4(a)は、実施形態で得られた加飾成形体10から余剰部19を切除する工程を上面から見た斜視模式図、図4(b)及び図4(c)は、図4(a)のb-b’断面の模式図を参照して、加飾成形体10から余剰部19を切除して最終製品である加飾成形体20を製造する工程を説明するための模式断面図である。 図5は、従来の、プリフォーム成形体を用いたインモールド成形による加飾成形体の製造方法の各工程を説明する説明図である。 図6は、従来の、加飾成形体の製造方法により発生する問題を説明するための説明図である。
本発明に係る加飾成形体の製造方法の一実施形態を図面を参照して以下に詳しく説明する。本実施形態の加飾成形体の製造方法は、加飾用シートを3次元形状に賦形したプリフォーム成形体を準備する工程と、コア部を有する雄型と、型締めしたときにコア部を収容してキャビティを形成するキャビティ部を有する雌型と、を備える金型の、キャビティ部にプリフォーム成形体を配置する工程と、キャビティ部にプリフォーム成形体を収容した状態で雌型と雄型とを型締めし、形成されたキャビティに溶融樹脂を充填して射出成形することにより、表面にプリフォーム成形体を一体化させた射出成形体からなる加飾成形体を成形する工程と、を備える。そして、キャビティは、加飾成形体の本体部を形成する本体部形成部と、本体部の周縁から段差を介して薄化した余剰部を形成する余剰部形成部と、を含み、プリフォーム成形体は、その周縁が余剰部の一部分に重なるように配置される。
はじめに、加飾用シートを3次元形状に賦形したプリフォーム成形体を準備する工程について説明する。
プリフォーム成形体は、加飾用シートを、熱プレス成形、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、等の成形手段により3次元形状に賦形するプリフォーム成形により得られる。プリフォーム成形に用いられる型は、得られるプリフォーム成形体の外表面がインモールド成形に用いられる金型のキャビティの形状に沿うような3次元形状になるように設計されている。
加飾用シートはプリフォーム成形可能であって、インモールド成形により射出成形体の表面に一体化されるシートであれば特に限定されない。その具体例としては、不織布,織布,織物,編物等の繊維構造体、または、繊維構造体を含む人工皮革や合成皮革等の皮革様素材、均質な樹脂シート等が挙げられる。これらの中では、形態安定性に乏しいために本発明の効果がとくに顕著に発現される、繊維構造体、または、繊維構造体を含む皮革様素材であることがとくに好ましい。また、加飾用シートの厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1~2mm、さらには、0.2~1mm程度であることが好ましい。
図1は、加飾用シートのプリフォーム成形体を成形するための熱プレス成形の各工程を説明するための説明図である。図1中、1は加飾用シート,21は熱プレスのための雄型,22は熱プレスのための雌型であり、21aは雄型21のコア部、22aは雌型22のキャビティ部である。また、2はトリミング前のプリフォーム成形体、3はトリミング後のプリフォーム成形体、4はプリフォーム成形体2からトリミングされた不要部である。
はじめに、図1(a)に示すように、加飾用シート1を雌型22と雄型21との間に配する。このとき、雌型22と雄型21とは加飾用シート1を軟化させる所定の温度に加熱されている。そして、図1(b)に示すように、雌型22と雄型21とを所定の圧力で型締めする。このとき、加飾用シート1は雄型21のコア部21aと雌型22のキャビティ部22aとの間に挟まれて賦形される。
そして、図1(c)に示すように、雌型22と雄型21とを型開きし、冷却することにより、トリミング前のプリフォーム成形体2が得られる。そして、図1(d)に示すように、雌型22及び雄型21からプリフォーム成形体2を取り出し、不要部4をトリミングすることにより、プリフォーム成形体3が得られる。このとき、プリフォーム成形体3は、インモールド成形に用いられる金型のキャビティに、後述するように、その周縁が後述する余剰部の一部分に重なるように配置されるような大きさになるようにトリミングされる。プリフォーム成形体3の大きさは最終製品の加飾成形体よりも大きくなるようにトリミングすることが、その周縁がインモールド成形に用いられる金型のキャビティの余剰部形成部の一部分に重なるように配置させやすい点から好ましい。
このようにして得られたプリフォーム成形体3は、インモールド成形に用いられて、射出成形体の表面に一体化されて加飾成形体とされる。次に、インモールド成形の各工程を説明する。図2は、本実施形態のプリフォーム成形体3を用いたインモールド成形の各工程を説明する説明図である。
図2中、3はプリフォーム成形体,5は射出成形体,8はスプルーランナー,9はスプルーランナー8を有する加飾成形体,10はスプルーランナー8を除去した加飾成形体(中間体としての加飾成形体)、11は凹状のキャビティ部11aを有する雌型,12はコア部12aを有する雄型,13は雌型11と雄型12とを型締めして形成される金型、14は射出成形機の射出部本体,14aはノズル,14bはシリンダ,14cはインラインスクリュ,Gはゲート,15は溶融樹脂、である。また、雌型11と雄型12とを型締めして形成される金型13には、キャビティcが形成される。キャビティcは、最終製品の加飾成形体を構成する射出成形体5の本体部18を形成するための本体部形成部c1と、最終製品の加飾成形体を製造するために除去される余剰部19を形成するための余剰部形成部c2とを含む。余剰部形成部c2は、本体部形成部c1の周縁から段差sを介して薄化された部分である。なお、本実施形態においては、雌型11は可動側金型、雄型12は固定側金型である。また、雄型12には、溶融樹脂の射出時にキャビティc内の空気等のガスを抜くためのエアベントvが設けられている。
本実施形態の加飾成形体の製造方法においては、図2(a)に示すように、雌型11に形成されたキャビティ部11aにプリフォーム成形体3を収容する。このとき、図2(b)の破線円で囲まれた部分拡大図を参照すれば、プリフォーム成形体3は、その周縁3aが本体部形成部c1の周縁から段差sを介して薄化された部分である余剰部形成部c2に収容されるように配置されることが好ましい。なお、周縁とはプリフォーム成形体の端面に沿った縁である。また、図2(c)の破線円で囲まれた部分拡大図を参照すれば、プリフォーム成形体3は、射出成形による溶融樹脂の充填後には、余剰部形成部c2の先端面に当接しない大きさであることがとくにシワが発生しにくくなる点から好ましい。なお、余剰部形成部の先端面とは、余剰部形成部を形成する雄型の合わせ面である。
プリフォーム成形体をキャビティ部に収容する場合には、プリフォーム成形体をキャビティ部の表面に自己吸着させて配置しても、位置ずれさせないように、キャビティ部の表面に両面テープで貼り付けたり、真空吸着させたり、キャビティ部に突起を設け、突起に嵌め込むようにして、固定してもよい。
次に、図2(b)に示すように、キャビティ部11aにプリフォーム成形体3を収容させた状態で、雌型11と雄型12とを型締めして金型13を形成する。金型13には、最終製品である加飾成形体を構成する射出成形体の本体部18を成形する本体部形成部c1と、本体部形成部c1の周縁から段差sを介して薄化された、後に除去される余剰部19を形成するための余剰部形成部c2と、を含むキャビティcが形成されている。段差sは本体部形成部c1と余剰部形成部c2とを区分するようにコア部12aに形成されている。また、余剰部形成部c2は本体部形成部c1の全周に形成されていることが好ましい。
図2(b)中の破線円で囲まれた拡大図を参照すれば、プリフォーム成形体3は、その周縁3aが余剰部形成部c2に位置するとともに、伸びたときに合わせ面PLに接触しないような位置に配置されることが好ましい。すなわち、プリフォーム成形体3は、周縁3aが余剰部形成部c2に位置するとともに、伸びたときに合わせ面PLに達しないような大きさにトリミングされていることが好ましい。なお、図2(b)においては、プリフォーム成形体3の周縁3aは余剰部形成部c2に位置しているが、プリフォーム成形体がとくに伸びやすい素材からなる場合には、必ずしも射出成形前に周縁部が余剰部形成部に位置している必要はない。
そして、図2(c)に示すように、キャビティcに溶融樹脂15を充填する。詳しくは、射出成形機の射出部本体14を前進させ、ノズル14aを雄型12に形成された図略のスプルーブッシュに当接させ、シリンダ14b内の溶融樹脂15をインラインスクリュ14cで射出することにより、溶融樹脂15がキャビティcに充填される。このとき、図2(c)中の破線円で囲まれた部分拡大図を参照すれば、プリフォーム成形体3の裏面には、キャビティcに高速高圧で充填される溶融樹脂15の流入により、流動方向である合わせ面PLの方向にせん断力が付与される。このとき、プリフォーム成形体3は、軟化された状態でせん断力が与えられることにより流動方向に伸ばされる。このとき、伸びた部分は余剰部形成部c2に収容される。そして、周縁3aが金型の合わせ面PLに衝突しないような適度な大きさにトリミングされたプリフォーム成形体3を用いることにより、プリフォーム成形体3の周縁近傍が伸びても、周縁3aが合わせ面PLに衝突しないために伸びた部分がたるまない。それにより、得られる加飾成形体9の周縁近傍でシワが発生することが抑制される。また、周縁3aが余剰部形成部c2に収容されることにより、射出成形体25の本体部はプリフォーム成形体3に完全に覆われて露出しない。
なお、余剰部形成部c2には、溶融樹脂15を充填する際にキャビティ内の空気等のガスを排気するためのエアベントvが形成されている。インモールド成形においては、プリフォーム成形体がキャビティ内に配置されるために、キャビティ内のガスが合わせ面PLから排気されにくかった。キャビティ内のガスが排気されにくい場合には、溶融樹脂の充填の際にプリフォーム成形体の位置がずれたり、流動末端付近でガスが圧縮されて高温化して得られる加飾成形体に樹脂焼けを生じたり懸念がある。余剰部形成部c2の先端にエアベントvを設けることにより、エアベントvで生じるバリや樹脂焼けを、除去される余剰部形成部c2に集中させることができる。そのために、余剰部形成部c2を除去することにより、樹脂焼けやエアベントvで生じるバリも除去することができる。エアベントの厚さは溶融樹脂の流入に伴いキャビティ内のガスがスムーズに排気される厚さであれば特に限定されないが、例えば10~50μm程度であることが好ましい。
射出される熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ABS系樹脂、PMMA樹脂のようなアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、各種ポリアミド系樹脂、COP樹脂等が挙げられる。また、これらは、フィラー等を配合したコンパウンド品や、複数種の樹脂をアロイ化またはブレンド化した混合品であってもよい。これらは用途に応じて適宜選択される。例えば、携帯電話、モバイル機器、家電製品等の筐体に用いる樹脂としては、ABS系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等の耐衝撃性に優れた樹脂が好ましく用いられる。
射出成形条件は、熱可塑性樹脂の熱特性や溶融粘度、成形体の形状、および樹脂厚みに応じて完充填可能な条件(樹脂温度、金型温度、射出圧力、射出速度、射出後の保持圧力、冷却時間)が適宜設定される。
そして、キャビティc内で溶融樹脂15を所定の時間冷却した後、図2(d)に示すように、雌型11と雄型12とを型開きすることにより、射出成形体5と射出成形体5に積層一体化されたプリフォーム成形体3とからなる加飾成形体9が取り出される。そして、加飾成形体9の射出成形体5に形成された不要部であるスプルーランナー8を切除することにより、加飾成形体10が得られる。
図3は、余剰部19を説明するための加飾成形体10の部分拡大図である。加飾成形体10は、本体部形成部c1で成形された本体部18と、余剰部形成部c2で成形された余剰部19とを備える。図3中、T1は余剰部19の厚さ、T2はプリフォーム成形体3に重なる部分の余剰部19の厚さ、T3は本体部18の周縁の厚さ、T4は段差sである。また、L1は余剰部19の長さ、L2はプリフォーム成形体3の余剰部19に重なる部分の長さである。
図3に示した各寸法は例えば次のような範囲であることが好ましい。余剰部19の厚さT1は0.4~1.5mm、さらには1~1.5mmであることが好ましく、また、余剰部19のプリフォーム成形体3に重なる部分を除いた部分の厚さT2は0.1~1mm、さらには0.5~1mmであることが好ましい。T1及びT2が薄すぎる場合には、余剰部19の剛性が不足して後述する余剰部19を除去する工程において余剰部19を切除しにくくなるとともに、インモールド成形時に余剰部形成部c2に溶融樹脂が侵入しにくくなって充填不良を起こしやすくなる傾向がある。また、T1及びT2が厚すぎる場合には余剰部19を除去しにくくなる傾向がある。
また、本体部の周縁の厚さT3は1~3mm程度であることが好ましい。T3が薄すぎる場合には段差sを形成しにくくなり、余剰部19を段差sに沿って除去しにくくなる傾向がある。また、段差sのT4としては、0.5mm以上、さらには0.5~1.5mm、とくには0.8~1.3mmであることが好ましい。段差sのT4が低すぎる場合には、余剰部19を段差sに沿って除去しにくくなる傾向がある。
また、余剰部19の長さL1は2~5mm程度であることが好ましい。L1が短すぎる場合には、インモールド成形時にプリフォーム成形体3の伸びしろが短くなるために、プリフォーム成形体の寸法精度を高めなければプリフォーム成形体の周縁39が余剰部19に重なりにくくなる傾向がある。また、プリフォーム成形体3の余剰部19に重なる部分の長さL2としては、0.5mm以上、さらには、1~4.5mmであることが好ましい。余剰部19に重なる部分の長さL2が短すぎる場合には、プリフォーム成形体3の余剰部19に重なる部分をきれいな端面を維持し状態で正確に除去しにくくなる傾向がある。
また、余剰部19の長さL1と余剰部19に重なる部分の長さL2との差L1-L2としては、0~4.5mm、さらには0.5~4mmであることが、プリフォーム成形体の周縁が、余剰部の先端面に当接していないためにとくにシワが発生しにくくなる点から好ましい。
このようにして成形された加飾成形体10から、余剰部19を除去することにより、プリフォーム成形体の周縁近傍にシワが残らず、また、プリフォーム成形体に覆われない射出成形体が露出する部分を有さない、最終製品としての加飾成形体20が得られる。図4を参照して、加飾成形体10から余剰部19を切除して加飾成形体20に仕上げる工程を説明する。
図4(a)は、上面視したときの加飾成形体10から余剰部19を切除する工程を説明する説明図、図4(b)及び図4(c)は、図4(a)のb-b’断面の模式図を参照して、余剰部19を切除する工程を説明する模式図である。
図4(a)に示すように、加飾成形体10は最終製品の加飾成形体20となる本体部18と本体部18の周囲に連なる余剰部19を有し、余剰部19はカッター刃40で切除される。詳しくは、図4(b)を参照すれば、加飾成形体10の本体部18と余剰部19とを区分する段差sを形成するコーナーrに沿ってカッター刃40を当てながら、余剰部19を切除することにより、余剰部19のみを選択的に容易に切除することができる。このように、本体部18から段差sを介して薄化するように形成された余剰部19を段差sのコーナーrに沿って切除することにより、射出成形体5の周縁とプリフォーム成形体3の周縁とを正確に一致させることができる。このような方法によれば、インモールド成形による加飾成形体の製造において、プリフォーム成形体にシワを残さず、且つ、プリフォーム成形体に覆われずに射出成形体が露出する部分を発生させにくい、最終製品としての加飾成形体を安定的に量産することができる。本実施形態においては、一例として、カッターでの切除方法を説明した。カッターとしては、一例として、超音波カッターやウォーターカッターが挙げられる。また、カッターで切除して除去する代わりに、エンドミル,レーザー,研磨等の他の方法により除去してもよい。
1 加飾用シート
2 トリミング前のプリフォーム成形体
3 トリミング後のプリフォーム成形体
3a 周縁
4 プリフォーム成形体の不要部
5 射出成形体
8 スプルーランナー
9,10 中間体としての加飾成形体
11 雌型
11a キャビティ部
12 雄型
12a コア部
13 金型
14 射出部本体
15 溶融樹脂
18 本体部
19 余剰部
20 加飾成形体
40 カッター刃
c キャビティ
c1 本体部形成部
c2 余剰部形成部
PL 合わせ面
r コーナー
s 段差
v エアベント
w シワ

Claims (7)

  1. 加飾用シートを3次元形状に賦形したプリフォーム成形体を準備する工程と、
    コア部を有する雄型と、型締めしたときに前記コア部を収容してキャビティを形成するキャビティ部を有する雌型と、を備える金型の、前記キャビティ部に前記プリフォーム成形体を配置する工程と、
    前記キャビティ部に前記プリフォーム成形体を収容した状態で前記雌型と前記雄型とを型締めし、形成された前記キャビティに溶融樹脂を充填して射出成形することにより、表面に前記プリフォーム成形体を一体化させた射出成形体からなる加飾成形体を成形する工程と、を備え、
    前記キャビティは、前記加飾成形体の本体部を形成する本体部形成部と、前記本体部の周縁から段差を介して薄化した余剰部を形成する余剰部形成部と、を含み、
    前記プリフォーム成形体は、前記加飾成形体においてその周縁が前記余剰部の一部分に重なるように配置され、
    前記余剰部を除去する工程をさらに備えることを特徴とする加飾成形体の製造方法。
  2. 前記段差に沿って前記余剰部を除去する請求項1に記載の加飾成形体の製造方法。
  3. 前記プリフォーム成形体は、前記射出成形の後に前記余剰部形成部の先端面に当接しない請求項1または2に記載の加飾成形体の製造方法。
  4. 前記プリフォーム成形体は、前記射出成形の前にその周縁が前記余剰部形成部の一部分に重なるように配置される請求項1~3の何れか1項に記載の加飾成形体の製造方法。
  5. 前記本体部と前記余剰部との段差は0.5mm以上であり、前記余剰部の厚さは0.4~1.5mmである請求項1~4の何れか1項に記載の加飾成形体の製造方法。
  6. 前記プリフォーム成形体は、その周縁が前記余剰部に0.5mm以上重なっている請求項1~5の何れか1項に記載の加飾成形体の製造方法。
  7. 前記加飾用シートは、繊維構造体を含む請求項1~6の何れか1項に記載の加飾成形体の製造方法。
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