JP7022064B2 - 薬用のアンブローシア属植物抽出物 - Google Patents

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Description

以前の関連出願
本発明は、2016年6月1日に出願された米国特許出願第62/334,124号、及び2015年9月11日に出願された米国特許出願第62/217,609号の優先権を主張するものである。それらは両方とも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
連邦政府の助成による研究に関する記載
該当せず。
マイクロフィッシュ補遺の参照
該当せず。
本開示の分野
本開示は、癌療法の分野、特に癌を治療するためのフィトシューティカル(phytoceutical)組成物の分野に関する。
植物ベースの治療法は古代から知られて使用されており、今でも、新薬候補のうち毎年30~40%を供給している。植物中に含有される構成成分の複雑性は完全には理解されておらず、例えば、葉、茎などに見出されるような植物の構成成分を生化学的に詳細に分析すれば、微生物感染症または片頭痛など多岐にわたる様々な病気のための有用な治療用化合物を明らかにし続けることができることが認識されている。
近年では、昔に発見された植物の植物化学的特性を探索して、それらの医薬上の潜在的利益を、最も特に二次代謝産物に関する医薬上の利益を判断することに大いに関心が寄せられている。植物は、生命に必要な一次代謝に加えて、それらの成長及び発達を助ける化合物を産生する二次代謝を有する。二次代謝産物の一般的な役割は、動物、有害生物、及び病原体を撃退するための防御機構である。これらの化合物は、多くの薬理学的関心の的となってきている。
自然療法のために興味深いかかる一植物分類(科)は、キク科(Asteraceae)(またはキク科(Compositae))である。この科は、環境的及び経済的に顕著な重要性を有し、極地から熱帯まで存在してすべての生息可能な地に群生するが、最も一般的には乾燥地域に見られる。キク科は、二次代謝によって産生される活性化合物の量及び多様性のために、有望な科と見なされてきた。一般的に知られているキク科の用途の一部は、茶(カモミール、エキネシア)またはポプリ(マリーゴールド)などの薬草製品におけるものである。しかし、キク科は多くの疾患の治療に有益であり得る二次代謝産物を含有するという証拠がある。
癌は、様々なタイプの悪性新生物(すなわち、通常より急速な細胞増殖によって増殖する異常な組織)のいずれかを示すために使用されることが多い一般用語であり、それらのうちのほとんどは、周辺組織に浸潤し、幾つかの部位に転移することがあり、除去を試みた後で再発する恐れがあり、適切に治療しなければ死を引き起こす。外科的切除、放射線療法、及び化学療法を含めた、癌療法のための種々の手法が利用可能であり、何年にもわたって一般的に使用されてきたが、癌は依然として世界における主要な死因の一つである。
癌は、幾つかの重要なシグナル経路を罹患細胞と関連付ける。癌を患う患者では、増殖とプログラム細胞死の間のバランスが崩れ、アポトーシスシグナル伝達経路の特定の遺伝子の撹乱が癌腫に見出されており、それによって腫瘍の発達及び進行が引き起こされている。癌研究における多くの研究が、癌の進行を止め、患者を治療する手段として、シグナル経路を標的としている。
植物中に天然に存在する多くの化合物は、癌治療、癌治療の副作用、及び/または癌自体の進行の幾らかの改善を引き起こすことが示されてきた。しかし、癌治療のための植物ベースの化合物をより多く見出して開発し、より有効な治療計画のためにそれらの化合物を組み合わせることができるように、それらがどのようにシグナル経路に影響を及ぼすかを理解する必要性が存在する。
本明細書に開示するのは、キク科植物のメンバーから抽出された幾つかの医薬化合物、及び癌治療のためにこれらの化合物を使用する方法である。これらの化合物は、膀胱癌、前立腺癌、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、通常の及び化学療法抵抗性肺癌、ならびに膵癌に対して効力があることが、インビトロでの実験モデル及びインビボでの動物モデルにおいて証明された。さらに、該化合物は、一次及び二次スフェア形成を阻害することが示された。これによって、循環腫瘍細胞を治療する及び排除することができるはずである。
本発明の化合物は、アンブロシア・マリティマ(Ambrosia maritima)またはアンブロシア・ヒスピダ(Ambrosia hispida)を含めた、キク科植物の有機画分に由来する医薬的に有望な抽出物に関する。Ambrosia maritimaは、豊富に枝分かれし、灰色で毛様の芳香性の葉、及び緑色で固く、わずかに***した細い筋のある茎を有する。この植物は、北アフリカの地中海地域の沿岸及びエジプト及びスーダンのナイル川沿いの泥状の土手に主に見出すことができる。Ambrosia hispidaは、沿岸ブタクサ(Coastal Ragweed)としても知られ、北米、主にメキシコ北部原産である。それも、銀/灰色の広葉を有する木本植物である。
Ambrosia maritimaに関する多くの研究から、それには幾らか薬理作用があることが示されている。Alardらによって実施された研究から、5g/kgの植物の乾燥葉の粉末としてまたはメタノール抽出物としての経口投与後でも、50,000ppmの粉末化した葉を4週間の間食事に取り入れた後でも、毒性徴候を検出することができないことが示された。さらに、Salmonella typhimurium株TA97、TA98、TA1538、TA100、及びTA1535を使用する変異原性試験において変異原性作用を検出することができなかった(Alard 1991)。
Ambrosia maritimaは、水流中3000mg/Lの濃度で住血吸虫症及び肝蛭症(両方とも寄生虫感染症)の中間宿主を殺すことが示されている(M.F.El-Sawy 1977 and 1986)。Ambrosia maritima中のある化合物は、かなりの細胞毒性効果(Abdallah 1991)及び抗菌性活性(Badawy 2014)を有する。さらに、Ambrosia maritimaは、尿量/日を増加させるための、及び体重の減少を助けるための、腸、子宮、及び血管の筋弛緩剤としての使用が示されている。
Ambrosia maritima及びAmbrosia hispidaは、クロロアンブロシン(chloroambrosin)、アンブロシン、ダムシン、ネオアンブロシン、ファーンセリン(farnserin)、ヒメンジン、ヒメニン、スタモニンーb(stamonin-b)、アンヒドロフランセリン(anhydrofranserin)、トリテルペン、s-アミリン、アピゲニン、クマリン、ステロール、β-シトステロール、タンニン、揮発油、カルボン、コンファー(comphor)、カリオフィレン、シネオール、セスキテルペンラクトンの塩及び他のセスキテルペンラクトンなどの、薬理効果を有し得る幾つかの化合物を含有する。しかし、本発明の方法は、セスキテルペンラクトンの使用に重点を置く。
セスキテルペンラクトン(SL)は、植物抽出物の有機画分に見出される化合物である。この有機抽出物中のSLは、大半が二官能性セスキテルペンラクトンであり、本発明者らは、それらが、癌細胞中の標的タンパク質のシステイン側鎖と特異的かつ共有結合的に反応することを見出した。セスキテルペンラクトンに由来する、植物のα,β-不飽和ケトン部分は、タンパク質のシステインスルフヒドリルマイケル供与体との生理的状態下での自然反応においてマイケル受容体としての挙動を示す。図1Aは、典型的な二官能性セスキテルペンラクトンを表示している。矢印は2つのマイケル受容体部位を指しており、この部位によって、SLが2つのタンパク質システイン側鎖間の架橋剤として作用することが可能となる。しかし、Ambrosia maritima中に見出されるSLの幾つかは、2つ以上のマイケル受容体部位を同じ分子内に含有する。図1Bは、アンブローシア属植物からの抽出物に見出される他の3種のSLを表示している。
SLはまた、細胞内で発現し、2つ以上のシグナル伝達分子を標的とする多面発現性化合物であり、多様なタンパク質に高親和性で直接結合する能力を示す。このようにして、複数の標的タンパク質上で共有結合付加体を形成する治療効果には、癌細胞増殖経路(すなわち、NF-κB及びSTAT3)の遮断及びアポトーシス細胞致死経路(すなわち、カスパーゼ3、7、及び6)の促進が含まれる。
Ambrosia maritima及びAmbrosia hispidaの有機抽出物中には、アンブロシン、ダムシン、ネオアンブロシン、パルテニン、ヘレナリン、トリブロモアンブロシン(tribromoambrosin)などを含めた多くの異なるSLが存在する。本発明の方法は、好ましくは有機抽出物中に見出された全範囲のSLを治療に使用する。しかし、治療のために個々のSLを分離して取り出して精製したり、有機化学的方法によって特定のSLを合成したりすることが可能である。大半の癌細胞がアンブローシア属植物からの有機抽出物中に見出された全範囲のSLに応答することが予期されるが、一部の癌は、個々のSLまたは有機抽出物中に見出されたSLの部分セットでの治療からも利益を受けることがある。抽出物全体からの個々のSLの選択は調整可能であり得るので、精製した個々のSLを有機抽出物に通常見出されない比率で組み合わせることが可能となる。
本発明の方法において、Ambrosia maritimaまたはAmbrosia hispida植物は、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エーテル、酢酸エチル、アセトン、またはそれらの混合物などの有機溶媒と混合して、SLを抽出することができる。極性有機溶媒が使用されることが好ましい。
一般に、植物組織と極性有機溶媒との混合物は静置され、それによって抽出されることとなろう。代替的に、植物組織は、ソックスレー抽出器などの中で、極性有機溶媒で徹底的に抽出されてもよい。
植物組織は、新鮮であっても、冷凍されていても、乾燥されていてもよく、粉砕された形態であってもよい。抽出物は、次いで一般に植物組織から分離され、溶媒が、乾燥または沈殿などによって溶媒抽出物から除去される。溶媒の除去に続いて、残留する一次抽出物は、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、HPLC、沈殿、結晶化、さらなる溶媒抽出、及び逆相クロマトグラフィーなどの公知の技法によって、さらに精製されてもよい。残留する植物組織は、同一または代替の溶媒を使用してさらに抽出されてもよい。
図1C~Dは、Ambrosia maritima(1C)及びAmbrosia hispida(1D)の有機抽出物中のSLのクロマトフィンガープリントを表示している。両方から同様のセスキテルペンラクトン組成物が得られることから、キク科には本明細書に記載の医薬製剤に使用することができる多くの植物が存在することが示される。
植物材料の有機抽出物の活性成分(1種または複数)は、そのまま使用することができ、または医薬として許容される公知の担体、希釈剤、及び/もしくは賦形剤と調合することができる。
例えば、抽出物を乾燥させた有機化合物及び/または精製した化合物を含有するゼラチンカプセル剤を、適切な用量の活性成分(複数可)を含有するように生成することができる。任意選択で、乾燥抽出物を含有する小さな包みを、例えば熱い流動物と混合して経口で摂取するために提供することができる。抽出物はまた、固体の担体と調合して丸剤または錠剤の形態に圧縮することができ、とりわけ、遅延放出用賦形剤と調合して1日に1回の丸剤/錠剤の形態に調合することができる。他の医薬調合物は、経口投与用の液体または固体の担体及び/または賦形剤であり得ると思われる。
医薬として許容される担体はまた、癌を患う患者の腫瘍に特異的に到達し、それを標的とすることとなる高密度リポタンパク質などのナノバイオロジー担体でもよいと思われる。抗体もかかる標的化に使用することができる。
吸入用、口腔用、舌下用、鼻腔用、坐剤、または非経口用剤形などの、非経口投与経路に適した活性成分の形態を調製することも可能であり得る。
より詳細には、本発明は、以下のうち1つまたは複数を含んでもよい:
- Ambrosia maritimaの有機抽出物を医薬として許容される担体とともに含む組成物;未精製の植物材料の細胞抽出物に対してアッセイしたときに、SLの天然の細胞の形態より10倍、100倍、または1000倍、またはそれ以上安定であるAmbrosia maritimaの有機抽出物;SLの天然の細胞の形態より少なくとも100倍以上、好ましくは1000倍、または10,000倍、またはそれ以上濃縮されているAmbrosia maritimaの有機抽出物;医薬として許容される賦形剤、緩衝剤、キレート剤、もしくは遅延放出マトリックス、またはそれらの組み合わせをさらに含む、本明細書に記載の組成物のいずれか;経口使用のためのゼラチンカプセル剤形態、丸剤形態、または液体形態での、本明細書に記載の組成物のいずれか。
- Ambrosia hispidaの有機抽出物を医薬として許容される担体とともに含む組成物;植物材料の未精製の細胞抽出物に対してアッセイしたときに、SLの天然の細胞の形態より10倍、100倍、または1000倍、またはそれ以上安定であるAmbrosia hispidaの有機抽出物;SLの天然の細胞の形態より少なくとも100倍以上、好ましくは1000倍、または10,000倍、またはそれ以上濃縮されたAmbrosia hispidaの有機抽出物;医薬として許容される賦形剤、緩衝剤、キレート剤、もしくは遅延放出マトリックス、またはそれらの組み合わせをさらに含む、本明細書に記載の組成物のいずれか;経口使用のためのゼラチンカプセル剤形態、丸剤形態、または液体形態での、本明細書に記載の組成物のいずれか。
- 有効量の上述の組成物のいずれかを癌を患う患者に投与することを含む、癌を治療する方法;有効量の記載の組成物を、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を患う患者に投与することを含む、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を治療する方法;有効量の記載の組成物を、膀胱癌を患う患者に投与することを含む、膀胱癌を治療する方法;有効量の記載の組成物を、肺癌を患う患者に投与することを含む、肺癌を治療する方法;有効量の記載の組成物を、前立腺癌を患う患者に投与することを含む、前立腺癌を治療する方法。
- Ambrosia maritimaを粉砕すること、有機可溶性構成成分を前記粉砕したAmbrosia maritimaから抽出すること、及び医薬として許容される担体を前記有機可溶性構成成分に添加することを含む、記載の医薬組成物を調製する方法;Ambrosia maritimaを粉砕すること、前記粉砕した植物全体から有機可溶性構成成分(複数可)を抽出すること、抽出した有機可溶性化合物(複数可)を精製すること、及び医薬として許容される担体を前記精製した有機可溶性構成成分(複数可)に添加することを含む、本明細書の医薬組成物を調製する方法。
- Ambrosia hispidaを粉砕すること、有機可溶性構成成分を前記粉砕したAmbrosia hispidaから抽出すること、及び医薬として許容される担体を前記有機可溶性構成成分に添加することを含む、記載の医薬組成物を調製する方法;Ambrosia hispidaを粉砕すること、前記粉砕した植物全体から有機可溶性構成成分(複数可)を抽出すること、抽出した有機可溶性化合物(複数可)を精製すること、及び医薬として許容される担体を前記精製した有機可溶性構成成分(複数可)に添加することを含む、本明細書の医薬組成物を調製する方法。
該医薬組成物は、毎日、週に3~4回、または週に1回投与することができる。投薬の長さは、少なくとも6週間であり、ここでは、好ましい投薬範囲は、6~12週間、8~10週間、または9週間である。6~12週間の経口投与による毎日の治療が好ましいが、症例によって、時間の長さは、癌の進行度及びその悪性度によって延長されると思われる。
この概要は、詳細な説明においてさらに説明する概念を選択したものを紹介するために提供するものである。この概要は、特許請求する主題の要所または本質的特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求する主題の範囲を限定する一助として使用することを意図するものでもない。
本明細書で使用される場合、「植物体」は、個々にまたは集団で解釈される植物の任意の一部分または複数部分を指し、葉、花、根、及び茎に限定されない。
「有機抽出物」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載するものなどの手順に従って植物材料を有機溶媒に接触させることによって調製される組成物を指す。該用語は、単純な有機抽出によって調製された粗抽出物だけでなく、1つまたは複数の分離及び/または精製ステップにかけられた粗抽出物も包含し、それには、該粗抽出物を1つまたは複数の追加的な抽出、濃縮、分留、ろ過、凝縮、蒸留、または他の精製ステップにかけることによって該粗抽出物から誘導された、実質的に精製された及び精製された活性成分(複数可)ならびに濃縮液または画分が含まれる。植物抽出物は、溶液、濃縮液、もしくは留出液などの液体形態であっても、ゲルもしくはペーストなどの半液体形態であってもよく、またはそれは、顆粒状もしくは粉末形態などの固体形態であってもよい。植物体は、新鮮な形態、乾燥された形態、冷凍された形態、または粉砕された形態であってもよい。
「活性成分」という用語は、少なくともAmbrosia maritima及び/またはAmbrosia hispidaから単離可能な(潜在的には、他のアンブローシア属の種から、または他の植物分類(科)からあっても単離可能な)1つまたは複数の活性成分(例えば、少なくとも膀胱癌、前立腺癌、及び乳癌に対して、ならびに恐らく他の疾患に対しても医薬としての効力がある化合物)を含む。それは、合成形態(化学的に作製されたもの)と天然形態(植物に由来するもの)の両方の活性成分を含む。
「単離された」という用語は、医薬としての活性を有する化合物(1種または複数)に関して使用されるとき、生の植物に自然に付随する、タンパク質、核酸、脂質、細胞壁、炭水化物、または他の材料を比較的含まない、ある形態の活性成分を指す。
「濃縮された」という用語は、活性成分に関して使用されるとき、HPLCで分析したときに少なくとも50%純粋である、ある形態の活性成分を指す。
「実質的に精製された」という用語は、活性成分に関して使用されるとき、HPLCで分析したときに少なくとも75%純粋である、ある形態の活性成分を指す。
「精製された」という用語は、活性成分に関して使用されるとき、HPLCで分析したときに少なくとも90%純粋である、好ましくは少なくとも95、98、または99%純粋である、ある形態の化合物(複数可)を指す。
「療法」及び「治療」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、受容者の医学的状態を向上させるという意図を持って行われる介入を指す。その向上は、主観的なものであっても客観的なものであってもよく、治療しようとする疾患、障害、もしくは病状に関連する症候の改善、それらの発症の予防、またはそれらの病変の改変に関する。よって、療法及び治療という用語は、最も広い意味で使用され、様々な段階の疾患、障害、または病状の予防(prevention)(予防(prophylaxis))、軽減、低減、及び治癒を含む。受容者の状態の悪化の予防(すなわち、疾患、障害、または病状の安定化)も、該用語によって包含される。療法/治療を必要とするものには、疾患、障害、または病状を既に有しているものだけでなく、疾患、障害、もしくは病状を発症する傾向があるまたはリスクがあるもの、及び疾患、障害、または病状を予防しようとするものも含まれる。
「被験者」または「患者」という用語は、本明細書で使用される場合、治療を必要とする動物を指す。「動物」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒトと非ヒト動物の両方を指し、それらには、哺乳類、鳥類、及び魚類が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「有効量」は、医師または他の医療専門家によって追及される生物学的または医学的な応答または向上などの、生物学的なまたは有意義な患者利益を与えるのに必要とされる、有機抽出物またはSLの量を指す。一態様では、「有効量」という用語は、被験者の癌増殖、症候、または疾患に生物学的に有意義な向上をもたらすこととなる薬物の量を意味することが意図される。大きい治療指数を呈する用量が好ましい。有効量は、当業者であればわかるように、例えば、投与経路、剤形、追加の活性薬剤の包含、ならびに被験者の体重、感度、癌のタイプ、及び健康に応じて変動し得る。
「フィトシューティカル」という用語は、本明細書で使用される場合、治療特性を有する植物含有組成物を指す。
本明細書で使用される場合、「プロテアーゼ‘ニック’(protease ‘nicks’)」とは、他のタンパク質(例えば、カスパーゼ)の加工、成熟、及び活性化を意味する。
イメージング結果の「有意な変化率(%)」は、イメージマイクロアレイのプロファイルにおける各点の画素密度の定量化に関して10%以上とみなした。対照と処理したものの間の何らかの差異を計算し、そこで何らかの差異が10%を超えていれば有意であると見なした。
「a」または「an」という単語の使用は、特許請求の範囲または本明細書において「含む」という用語とともに使用されるとき、文脈によって別途指示されない限り、1つまたは複数を意味する。
「約」という用語は、記載の値±測定の誤差限界、または測定方法が示されていなければ±10%を意味する。
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、二者択一のみを指すことが明示されていない限り、または選択肢が相互に排他的でなければ、「及び/または」を意味するために使用される。
「含む(comprise)」、「有する」、「含む(include)」、及び「含有する」(及びそれらの変化形)という用語は、オープンエンドの連結動詞であり、特許請求の範囲で使用されるとき、他の要素の追加を可能とする。
「からなる」という語句はクローズドであり、追加の要素をすべて排除する。
「から本質的になる」という語句は、追加の材料要素を排除するが、本発明の性質を実質的に変えない非材料要素を含むことを可能とする。
以下の略語が本明細書で使用される:
Figure 0007022064000001
矢印がマイケル反応点を指す、代表的なSLであるアンブロシンの化学構造を示す図である。 アンブローシア属の植物に見出されるさらなる3種の代表的なSLの化学構造を示す図である。 Ambrosia maritimaから抽出されたセスキテルペンラクトンのクロマトフィンガープリントを示す図である。 Ambrosia hispidaから抽出されたセスキテルペンラクトンのクロマトフィンガープリントを示す図である。 図2Aは、アンブロシンの結合、及びNf-カッパ-Bのp65サブユニットを阻害してNf-カッパ-B/DNA相互作用を妨害することを示す図である。図2Bは、NF-κB DNAドッキングドメインにCys122及びCys207で結合しているアンブロシンの別の図である。 図2Cは、NF-κB DNAのドッキングドメインにCys122及びCys207で結合しているアンブロシン(球の塊)を示す図である。図2Dは、NF-κB P65に結合しているセスキテルペンラクトンの第2の図である。 複数の膀胱癌細胞株においてセスキテルペンラクトン(50μg/mL)が重要な癌に関連するErbBファミリーのメンバーならびにp65の発現を阻害するという結果を示すゲル電気泳動(ウエスタンブロット)を表示する図である。 図4Aは、セスキテルペンラクトン(球)の1つがSTAT3に結合して、それのDNAへの結合を妨害することを示す図である。セスキテルペンラクトンであるアンブロシンは、Cys251及びCys328に結合する。図4Bは、図4Aの結合領域をクローズアップして表示する図である。 図5Aは、2つのカスパーゼ-7ホモ二量体に連結している、セスキテルペンラクトンであるアンブロシンを表示する図である。図5Bは、ホモ二量体の安定化につながる、対称的に関連するCys290及びCys290’側鎖との相互作用をクローズアップして示す図である。 図6Aは、RhoファミリーのGTP加水分解酵素のGTP結合部位に連結しているセスキテルペンラクトンを表示する図である。図6Bは、Cys157及びCys18に結合しているSLを示す、この連結をクローズアップして示す図である。 植物Ambrosia maritimaから抽出された様々な濃度のセスキテルペンラクトンに曝露した後の様々な癌関連細胞株について、MTSでアッセイした細胞濃度を表示する図である。 植物Ambrosia maritimaから抽出された低濃度のセスキテルペンラクトンに曝露した後の様々な癌関連細胞株について、MTSでアッセイした細胞濃度を表示する図である。 Ambrosia maritimaから抽出された25μg/mLのセスキテルペンラクトンが、UM-UC-6膀胱癌及びMCF7乳癌における癌関連シグナル伝達タンパク質に及ぼす影響を示すホスホキナーゼアレイを表示する図である。 UM-UC-6細胞を異種移植された対照マウス、及びUM-UC-9細胞を注射されたがAmbrosia maritimaから抽出されたセスキテルペンラクトンを使用して処置されたマウスにおける上皮増殖因子受容体及びKi-67の病理組織診断を表示する図である。セスキテルペンラクトンの濃度は、100μg/用量であった。 対照マウス(上部)及びAmbrosia maritimaから抽出されたセスキテルペンラクトンで処置されたマウスにおける、同所注射されたSUM-159乳癌細胞の病理組織診断を表示する図である。 対照マウス(上部)及びAmbrosia maritimaから抽出されたセスキテルペンラクトンで処置されたマウスにおける、同所注射されたMDA-MB-231乳癌細胞の病理組織診断を表示する図である。 Ambrosia maritimaからのセスキテルペンラクトンすべてを含有する有機抽出物、アンブロシンのみを含有する精製副画分、及びダムシンのみを含有する精製副画分で処置された、同所注射されたMDA-MB-231トリプルネガティブ***細胞についての結果を表示する図である。 PC-3LUC、UM-UC-9LUC、またはUM-UC-10LUC膀胱細胞株を異種移植され、毎日セスキテルペンラクトンで処置された及び処置されていないマウスの腫瘍重量の結果を表示する図である。 対照マウス及び200μg/日の用量でAmbrosia maritimaから抽出されたセスキテルペンラクトンの有機抽出物で処置されたマウスの両方について、動物内に同所注射されたされたUM-UC-5LUC膀胱細胞株の病理組織診断及び膀胱の重量を表示する図である。 対照マウス及び200μg/日の用量でAmbrosia maritimaから抽出されたセスキテルペンラクトンの有機抽出物で処置されたマウスの両方について、動物内に同所注射されたUM-UC-10LUC膀胱細胞株の病理組織診断及び膀胱の重量を表示する図である。 セスキテルペンラクトンで処理された(右列)または処理されていない(左列)、異なる膀胱細胞株からのスフェアの形態の画像を表示する図である。 UM-UC-9から形成され、セスキテルペンラクトンで処理された二次スフェアについてのスフェア形成アッセイを表示する図である。 UM-UC-9から形成され、セスキテルペンラクトンで処理された三次スフェアについてのスフェア形成アッセイを表示する図である。 Ambrosia maritimaの有機抽出物に見出されるセスキテルペンラクトンで処理されたUM-UC-5膀胱癌細胞株についてのIC50実験の結果を表示する図である。 Ambrosia maritimaの有機抽出物から精製された特定のセスキテルペンラクトンで処理された膀胱癌細胞株についてのIC50実験の結果を表示する図である。精製されたセスキテルペンラクトンは、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンである。膀胱癌細胞株は、UM-UC-17である。 Ambrosia maritimaの有機抽出物から精製された特定のセスキテルペンラクトンで処理された膀胱癌細胞株についてのIC50実験の結果を表示する図である。精製されたセスキテルペンラクトンは、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンである。膀胱癌細胞株は、UM-UC-9である。 Ambrosia maritimaの有機抽出物から精製された特定のセスキテルペンラクトンで処理された膀胱癌細胞株についてのIC50実験の結果を表示する図である。精製されたセスキテルペンラクトンは、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンである。膀胱癌細胞株は、UM-UC-15である。 Ambrosia maritimaの有機抽出物から精製された特定のセスキテルペンラクトンで処理された膀胱癌細胞株についてのIC50実験の結果を表示する図である。精製されたセスキテルペンラクトンは、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンである。膀胱癌細胞株は、UM-UC-7である。 図20Aは、Ambrosia hispidaの有機抽出物から見出されたセスキテルペンラクトンで処理されたUM-UC-5膀胱癌細胞株についてのIC50実験の結果を表示する図である。図20Bは、Ambrosia hispidaの有機抽出物から見出されたセスキテルペンラクトンで処理されたUM-UC-9膀胱癌細胞株についてのIC50実験の結果を表示する図である。 図20Cは、Ambrosia hispidaから有機抽出された精製アンブロシンで処理された膀胱癌細胞株についてのIC50実験の結果を表示する図である。 図21Aは、Ambrosia maritimaから抽出されたセスキテルペンラクトンの有機抽出物で処理された乳癌細胞株SUM159についてのIC50実験の結果を表示する図である。図21Bは、Ambrosia maritimaから抽出されたセスキテルペンラクトンの有機抽出物で処理された乳癌細胞株MDA-MB-231についてのIC50実験の結果を表示する図である。 Ambrosia maritimaの有機抽出物から精製された特定のセスキテルペンラクトンで処理された乳癌細胞株MDA-MB-231についてのIC50実験の結果を表示する図である。精製されたセスキテルペンラクトンは、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンである。 Ambrosia maritimaの有機抽出物から精製された特定のセスキテルペンラクトンで処理された乳癌細胞株MDA-MB-468についてのIC50実験の結果を表示する図である。精製されたセスキテルペンラクトンは、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンである。 Ambrosia maritimaの有機抽出物から精製された特定のセスキテルペンラクトンで処理された乳癌細胞株BT-474についてのIC50実験の結果を表示する図である。精製されたセスキテルペンラクトンは、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンである。 図25Aは、Ambrosia hispidaの有機抽出物に見出されるセスキテルペンラクトンで処理された乳癌細胞株MDA-MB-231についてのIC50実験の結果を表示する図である。図25Bは、Ambrosia hispidaの有機抽出物に見出されるセスキテルペンラクトンで処理された乳癌細胞株BT-20についてのIC50実験の結果を表示する図である。 図25Cは、Ambrosia hispidaの有機抽出物から精製されたアンブロシンで処理された乳癌細胞株MDA-MB-231についてのIC50実験の結果を表示する図である。図25Dは、Ambrosia hispidaの有機抽出物から精製されたアンブロシンで処理された乳癌細胞株BT-20についてのIC50実験の結果を表示する図である。 図26Aは、肺癌細胞株SK-LU-1についての効力及びIC50実験を表示する図である。図26Bは、肺癌細胞株A549についての効力及びIC50実験を表示する図である。 膵癌細胞株ASPC-1についての効力及びIC50実験を表示する図である。 図28Aは、精製した異なる有機抽出副画分(1=パルテニン)についての、前立腺癌細胞株に対するIC50実験の結果を表示する図であり、ここでは、IC50は4.878である。濃度はμmolで表す。 図28Bは、精製した異なる有機抽出副画分(3=アンブロシン)についての、前立腺癌細胞株に対するIC50実験の結果を表示する図であり、ここでは、IC50は2.715である。濃度はμmolで表す。図28Cは、精製した異なる有機抽出副画分(4=ダムシン)についての、前立腺癌細胞株に対するIC50実験の結果を表示する図であり、ここでは、IC50は1.160である。濃度はμmolで表す。 図28Dは、精製した異なる有機抽出副画分(5=ネオアンブロシン)についての、前立腺癌細胞株に対するIC50実験の結果を表示する図であり、ここでは、IC50は264.5である。濃度はμmolで表す。
本発明は、植物ベースの化合物、及び癌治療におけるそれらの使用に関する新規方法を提供する。特に、キク科植物のAmbrosia maritima及び/またはAmbrosia hispidaからの有機抽出物は、様々な癌の治療に使用される。有機抽出物中の特定の一群の構成成分であるセスキテルペンラクトンは、癌の進行における種々の分子シグナル経路に干渉し、腫瘍(複数可)を縮小させることで、有効な癌治療を可能とすることが見出された。さらに、該有機抽出物は、より徹底的な治療のために、他のシグナル経路に対処する他の抗癌化合物または治療法と組み合わせることができる。
本発明の方法は、以下の実施形態のいずれかを、それらの1つまたは複数を任意に組み合わせて(複数可)含む:
- Ambrosia maritimaまたはAmbrosia hispidaの有機抽出物を医薬として許容される担体とともに含む有効量の組成物を、癌を患う患者に投与することを含む、癌を治療する方法。特に、癌は、膀胱癌、前立腺癌、トリプルネガティブ乳癌、肺癌、及び膵癌である。有効量の組成物は、少なくとも6週間、毎日投与される。さらに、少なくとも1種のセスキテルペンラクトンを含む有機抽出物はタンパク質を含まないので、発熱性がより低い。
- Ambrosia maritimaまたはAmbrosia hispidaから抽出されたセスキテルペンラクトンを医薬として許容される担体とともに含む有効量の組成物を、癌を患う患者に投与することを含む、癌を治療する方法。特に、癌は、膀胱癌、前立腺癌、またはトリプルネガティブ乳癌であり、有効量の組成物は、少なくとも6週間、毎日投与される。
- Ambrosia maritimaまたはAmbrosia hispidaから抽出されたセスキテルペンラクトンを医薬として許容される担体とともに含む有効量の組成物を、癌を患う患者に投与することを含む、癌転移を低減させる方法。
- Ambrosia maritimaまたはAmbrosia hispidaから抽出されたセスキテルペンラクトンを医薬として許容される担体とともに含む有効量の組成物を、癌を患う患者に投与することを含む、患者におけるp65、STAT3、GPR30、EGFR受容体ファミリー、β-カテニン経路、及びRho-GTP加水分解酵素ファミリーの活性の阻害を強化するための方法。
- 医薬用のセスキテルペンラクトン含有抽出物を調製する方法であって、植物Ambrosia maritimaを、少なくとも1種の前記セスキテルペンラクトンが可溶性である有機溶媒で処理すること、有機溶媒を蒸発させて粗抽出物を生成すること、粗抽出物を第2の有機溶媒を使用するクロマトグラフィーに流すまたは通して分離して、セスキテルペンラクトン(複数可)の清浄な抽出物を得ること、及び個々のセスキテルペンラクトン(複数可)の画分を収集することを含む方法。
- 医薬用のセスキテルペンラクトン含有抽出物を調製する方法であって、植物Ambrosia hispidaを、少なくとも1種の前記セスキテルペンラクトンが可溶性である有機溶媒で処理すること、有機溶媒を蒸発させて粗抽出物を生成すること、粗抽出物を第2の有機溶媒を使用するクロマトグラフィーに流すまたは通して分離して、セスキテルペンラクトン(複数可)の清浄な抽出物を得ること、及び個々のセスキテルペンラクトンの画分を収集することを含む方法。
本発明の方法におけるセスキテルペンラクトン(SL)は、種々の癌特異的シグナル経路を標的とするために使用することができる。以下の例は、癌細胞増殖経路(すなわち、NF-κB及びSTAT3)及びアポトーシス細胞死経路(すなわち、カスパーゼ3、7、及び6)の促進に及ぼすSLの影響、ならびにそれらのGタンパク質共役受容体との相互作用について実証する。しかし、SLは他のシグナル経路にも影響を及ぼすことができることが予期されており、これらの例は、SLが癌に影響を及ぼす機序を限定すると解釈されるべきではない。
様々な癌特異的シグナル経路に及ぼすSLの影響の概念実証を判定した後、膀胱癌細胞株、乳癌細胞株、及び前立腺癌細胞株を使用した一連のインビトロ実験を行って効力を立証した。
癌の形成、増殖、及び進行に関与するすべてのシグナル経路が分かっているわけではない。よって、以下の例は例示に過ぎないことを意図しており、添付の特許請求の範囲を不当に限定するものではない。さらに、限られた数の癌細胞株を利用したが、本発明の治療方法は、単独であっても、または他の治療法と組み合わせても、ほとんどの癌の治療に有用であることが予期される。
抽出方法
簡潔に述べると、抽出は、メタノール、エタノール、及び任意の炭素系溶媒などの有機溶媒を使用する。有機抽出物全体を乾燥させ、クロロホルムで化学的に分画するということになる。最終ステップは、最良の画分をプールし、クロロホルムを蒸発させることである。最終生成物は、次いで処理に使用することができる。
より詳細には、Ambrosia maritimaの抽出方法は以下の通りであり得る:
1)乾燥させた植物Ambrosia maritima全体を、従来の手段を使用して粉末にする。
2)粉末にした植物を有機溶媒または有機溶媒の組み合わせに接触させ、所定量の時間接触させて、乾燥させた植物中のSLを有機相中に移動させる。
3)次いで、有機溶媒(複数可)を乾燥させた植物材料から分離する。
4)有機抽出物を当技術分野で公知の任意の手段で乾燥させる。
5)乾燥させた抽出物をクロロホルムで化学的に分画し、必要なSLに富んだ画分をプールする。
6)クロロホルムを蒸発させ、乾燥した医薬として活性な構成成分を後に残す。
7)異なる濃度の活性な構成成分を、様々な癌細胞株の処理に使用する。
同じ抽出ステップをAmbrosia hispida及びキク科植物の他の植物に行うことができる。
有機可溶性構成成分に適していれば、他の抽出方法を採用することができる。例えば、かかる方法には、水性二相系、酸/塩基抽出などが含まれる。抽出用に植物を調製するために、植物は熱を加えずに空気中で乾燥させれば、次いで凍結解凍サイクルによってさらに加工することができ、ならびに/または抽出前に凍結及び解凍することによって物理的に溶解することなどができる。
植物材料の有機抽出物の活性成分(1種または複数)は、使用前に他の活性成分と組み合わせることができるが、好ましくは単独で使用される。植物材料の有機抽出物の活性成分(1種または複数)は、そのまま使用することができ、または医薬として許容される公知の担体、希釈剤、及び/もしくは賦形剤と調合することができる。
例えば、乾燥させた有機抽出物を含有するゼラチンカプセル剤を、適切な用量の活性成分(複数可)を含有するように生成することができる。任意選択で、乾燥抽出物を含有する小さな包みを、例えば熱い流動物と混合して経口で摂取するために提供することができる。抽出物はまた、固体の担体と調合して丸剤の形態に圧縮することができ、とりわけ、遅延放出用賦形剤と調合して1日に1回の錠剤の形態または経口投与されることとなる任意の医薬品形態に調合することができる。
吸入用、口腔用、舌下用、鼻腔用、坐剤、または非経口用剤形などの、非経口投与経路に適した形態の活性成分を調製することも可能であり得る。
上述の抽出物は、液体形態であっても、とりわけ緩衝剤及びキレート剤と調合されたときに、天然物より有意に安定である。それはまた、天然の形態より有意に濃縮されているので、植物材料を大量に消費しなくても効力がもたらされる。さらに、濃縮された、部分的に精製された、または精製された材料を用いると、投薬量がはるかに簡単に制御される。
本発明者らは、TLC及びHPLCも使用して活性成分(複数可)をさらに精製して、それらの効力をさらに研究し、判定したが、この研究は進行中である。追加的な精製ステップを通してある種の構成成分を有機抽出物から除去すれば、副作用を少なくすることができる。Ambrosia maritima及びAmbrosia hispidaはブタクサであり、これはそのアレルギー誘発作用で知られている。よって、有機抽出物を精製すれば、ヒトにおける免疫応答が低減すると見込まれる。幾つかの実施形態では、Ambrosia maritima及びAmbrosia hispidaの有機抽出物から精製された材料は、癌細胞におけるシグナル経路を遮る能力を向上させ、抽出した材料の安定性を増加させる役割を果たすことができる。
NF-カッパB経路
癌増殖の一般的な分子機序は、以下を含む:
- 増殖における自給自足及び増殖阻害機序の喪失
- アポトーシス閾値の抑止
- 血管新生特性の強化
- 局所組織に浸潤し、異なる部位に転移する能力
これらの細胞プロセスはそれぞれ、NF-κB経路によって影響を受けることが知られている。NF-κBは、細胞増殖及び細胞生存を制御する遺伝子の制御因子として真核細胞によって広く使用されるタンパク質複合体である。哺乳類細胞において、NF-κBファミリーは、5つのメンバー、すなわち、RelA(p65)、RelB、c-Rel、p50/p105(NF-κB1)、及びp100(NF-κB2)から構成される。ほとんどの基礎条件下では、NF-κB複合体は、主に、阻害物質であるタンパク質のκB(IκB)ファミリーとの相互作用を通して不活性型に維持される。しかし、癌は、別個の罹患細胞標的を有する多様な原因から生じる疾患であり、したがって極めて複雑な性質を示す。癌細胞では、増殖及びホメオスタシスは大きく変化している。よって、NF-κB複合体は、即座に誤調節されるようになる。そういうものとして、異なる多くのタイプのヒト腫瘍は、誤調節されたNF-κBを有している。つまり、NF-κBは、恒常的に活性である。癌研究の重要な一領域は、癌細胞における恒常的に活性なNF-κBを標的とすることに重点が置かれている。
Ambrosia maritimaからのセスキテルペンラクトンを含有する有機抽出物を試験して、NF-κB経路に及ぼす影響があるとすれば、その影響を判定した。計算的ドッキング解析を見ると、可能性のある結合部位が存在した。結合部位はウエスタンブロット法によって確認され、それにおいてp65(RelA)の阻害が、30分間の細胞処理の間に観察された。
図2A~Dは、セスキテルペンラクトン、アンブロシンのNF-κB/DNA結合ドメインへの結合予測を表示している。図2A中の矢印は、アンブロシン(球の塊)がNF-κBに結合して、NF-κBのP65ユニットでのDNA(図の中央のらせん構造))との結合を妨害できることを示している。マイケル反応部位が2つあるために、このセスキテルペンラクトンは、図2B及び2Cに示すように、NF-κB構造上のCys122及びCys207に結合することが予期される。選択的結合方式で一方または両方に結合することによって、アンブロシンはこれらのシステインを遮断し、NF-κBはもはや転写因子としてDNAに結合することができなくなり、それによって腫瘍の進行が遅延する。
NF-κB/DNA結合を遮断するセスキテルペンラクトンの能力を、4種の膀胱癌細胞株:UM-UC-6(H.B.Grossman University of Texas M.D.Anderson Cancer Center)、UM-UC-9(H.B.Grossman University of Texas M.D.Anderson Cancer Center)、UM-UC-10(H.B.Grossman University of Texas M.D.Anderson Cancer Center)、SW-780(ATCC)を使用して試験した。
図3は、Ambrosia maritimaから抽出された50μg/mLのセスキテルペンラクトンについての、UM-UC-6、UM-UC-9、UM-UC-10、及びSW-780細胞株に関するゲル電気泳動の結果を表示している。セスキテルペンラクトンは、4種すべての膀胱癌細胞株におけるEGFR、HER-2、HER-3を阻害した。特に重要なのは、HER-2の阻害である。HER-2は、p65 NF-κBの転写標的遺伝子の一つである。セスキテルペンラクトンを含有する有機抽出物の添加によってそれが阻害されたことから、NF-κB/DNA結合を妨害する能力が確認され、図2に提示する機序が実証される。よって、SLは、EGFR受容体ファミリーを阻害する。
STAT3
サイトカイン、増殖因子、及び他のポリペプチドリガンドへの正常な細胞応答は、シグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)と呼ばれる潜在型細胞質転写因子(latent cytoplasmic transcription factor)ファミリーによって媒介される。異常なSTAT3は、癌における増殖、分化、生存、発症、炎症、浸潤、及び転移を含めた細胞及び生物学的プロセスの誘発を招く。
多くのヒト悪性腫瘍は、癌細胞内の多くの細胞及び生物学的プロセスに寄与する、恒常的に活性なSTAT3を有することが示されている。
STAT3のDNA結合ドメインを標的とし、阻害することによって、STAT3の転写活性を阻害することができる。STAT3/DNA結合ドメインと応答性遺伝子のプロモーター領域中のコンセンサスDNA結合配列との物理的相互作用は、STAT3の機能にとって極めて重要なステップである。タンパク質DNA相互作用をセスキテルペンラクトンによって妨害すれば、STAT3に依存する遺伝子転写を阻害して、その発癌促進機能を遮断する可能性がある。
図4A~Bは提示する機序を示しており、それによれば、抽出されたセスキテルペンラクトンは、STAT3のDNA結合ドメイン上のCys328及びCys251と連結し得る。この連結によって、DNAの結合が遮断されて転写が妨害され、よって癌の増殖が遅延するはずである。
タンパク質キナーゼアレイを使用したところ、STAT3、STAT5、及びSTAT6はすべてAmbrosia maritimaから抽出されたSLでの細胞の処理によって影響を受けたことが判定された。SLがSTAT3/DNA結合を妨害できることを示すためにさらに試験を行う予定である。
カスパーゼ安定性
アポトーシス、すなわち制御された細胞死は、多くの異なる環境刺激に応答して、または疾患状態に起因して生じる。アポトーシスの間に、形態学的及び生化学的変化によって細胞プロセス及び区画の分解が誘発される。欠陥のあるアポトーシスは、癌の発症及び進行の主要な原因因子となる。さらに、アポトーシスの関与を回避する腫瘍細胞の能力は、従来の治療レジメンに対するそれらの耐性に重大な役割を果たし得る。
アポトーシス細胞死の最も保存されている生化学的特徴の一つは、カスパーゼの活性化である。カスパーゼ(システイニルを標的とするアスパラギン酸特異的プロテアーゼ)は、アポトーシス細胞死の間に鍵となる役割を果たす高度に特異的なプロテアーゼファミリーである。カスパーゼは、それらがどこで細胞死のプロセスに入るかに応じて、アポトーシスのイニシエーターまたはエフェクターのいずれかに分類される。イニシエーターカスパーゼは、完全に活性化するために二量体化しなければならない単量体(すなわち不活性の前駆形態)として存在するのに対し、エフェクターカスパーゼは、完全に活性化するために加工されなければならない二量体のチモーゲンとして存在する。活性化されると、エフェクターカスパーゼは、細胞内の他のチモーゲンのタンパク質基質を切断して、活性化されたカスパーゼのカスケード及びアポトーシスプロセスを誘発する。
カスパーゼ-3及びカスパーゼ-7は、主要なアポトーシス実行プロテアーゼであり、アポトーシスの間にタンパク分解されるタンパク質の大半を直接切断する。エフェクターカスパーゼ-3及びカスパーゼ-7ホモ二量体は、2つのプロテアーゼ‘ニック’によって活性化されて、20kDa及び10kDaの鎖を有する活性な四量体型を生じる。この四量体が安定化すると、アポトーシスが促進される。
SLは、分子の二回対称軸に共有結合架橋を形成することによって四量体構造を安定化させることができる。図5Aは、2つのカスパーゼ-7ホモ二量体をCys290及びCys290’で連結しているアンブロシンを表示している。この連結をクローズアップして図5Bに示す。これらの分子モデルにおけるアンブロシンと四量体との相互作用は、計算的ドッキングによって確認した。
SLが、活性化されたカスパーゼ-3及びカスパーゼ-7の四量体を安定化させないと、四量体は15~30分以内に分解及びタンパク分解され、よってアポトーシス手順が妨害されることとなる。SLが連結していれば、四量体はいつまでも活性型で安定であり、アポトーシスは通常通りに進行する。
Gタンパク質共役受容体30(GPR30)
エストロゲンなどのステロイドを含めたすべてのホルモンの影響は、この情報を下流のエフェクターに伝達するホルモンを認識して結合する特異的受容体によって媒介される。トリプルネガティブ乳癌(TNBC)腫瘍では、エストロゲン受容体α(ER-α)及びプロゲステロン受容体は非発現であり、Her/2neu遺伝子は低発現である。このために治療がより困難になる。何故なら、ほとんどの化学療法はこの3つの受容体のうち1つを標的としているためであり、よってこのクラスの乳癌は、内分泌療法の影響を受けにくい。TNBCでの患者の死亡率は、ER-α陽性腫瘍の死亡率の2倍である。したがって、TNBC患者のための革新的な薬理学的標的療法を開発する緊急の必要性が存在する。
近年、多数の報告が、古典的な核エストロゲン受容体と類似したまたは異なる膜結合エストロゲン受容体について記載している。これらの受容体は、古来のゲノム(転写)シグナル伝達だけでなく新規の非ゲノム(迅速)シグナル伝達も含めた細胞のエストロゲン機能の側面を媒介すると想定されている。
エストラジオール、またはより正確には17β-エストラジオールは、ヒトの性ホルモン及びステロイドであり、主要な女性ホルモンである。17β-エストラジオールの迅速な非ゲノムシグナル伝達現象はほとんど、Gタンパク質共役受容体30(GPR30)に負うものである。GPR30は、TNBCにおいて高度に発現して広く見られており、TNBCの高い再発率及び死亡率に関連している。GPR30が17β-エストラジオールと結合すると、TNBCの細胞増殖が増加する。この受容体がそのリガンドと結合するのを遮断するために、GPR30を標的とし、結合し、阻害する、強力な阻害剤が、TNBC治療において必要とされている。
SLがGPR30受容体に結合し、17β-エストラジオールの受容を妨げる能力について、分子ドッキング(結合親和性を計算し、様式及び結合部位を予測するための一般的な計算ツール)を行った。分子ドッキングから、セスキテルペンラクトンのCys-205及びCys-130でのGPR30への結合が予測される。STAT3上の2つのシステイン残基の架橋結合と同様に、SLは、GPR30上のこれらの部位の両方に結合し、17β-エストラジオールのドッキングを妨げることが予期される。実際には、これによってTNBCの細胞増殖が減少すると見込まれる。
加えて、GTP加水分解酵素のRhoファミリーは、小さい(約21kDa)シグナル伝達Gタンパク質のファミリーである。ヒトのGTP加水分解酵素のRhoファミリーには、CDC42、RhoA、及びRac1が含まれる。これらのタンパク質は、正常細胞において細胞遊走、エンドサイトーシス、及び細胞周期進行を調節するように機能する。Dbl腫瘍性タンパク質産物との相互作用によるこれらの極めて重要な調節タンパク質の調節不全(Disregulation)は、発癌性の細胞形質転換をもたらす。本発明者らの分子ドッキング計算が強く示唆するところによれば、本発明者らの植物由来のセスキテルペンラクトンは、GTP加水分解酵素RhoファミリーのGTP結合部位のすぐ近傍に特異的に結合し、それによってGTPに取って代わり、酵素を不活性化することができる(図6A及び6B)。これによって、膀胱癌、前立腺癌、及び乳癌細胞の増殖及び遊走が、セスキテルペンラクトンで治療すれば有効に遮断されるはずである。
インビトロでの結果
インビトロ実験を複数の膀胱癌及び前立腺癌細胞株を用いて行った。それらを表1に示す。
Figure 0007022064000002
様々な濃度のSLを細胞株に添加し、48時間での結果を表にした。濃度が0.08%未満のSLについては、DMSOを使用して化合物を溶解させた。
最初に、MTSアッセイならびにAmbrosia maritimaから抽出されたSLの50、100、及び200μg/mLの濃度を使用して、細胞生存率を試験した。その結果を図7に示す。すべての細胞株は、SLで処理した細胞での細胞生存率がDMSO対照細胞と比較して有意に減少したことを示した。SLを溶解させるために使用したDMSO及び対照におけるDMSOの濃度は0.08%以下であった。
より低い濃度のSL(10、25、及び50μg/mL)を、効力について複数の膀胱癌細胞株に対して試験した。図8は、これらの結果を表示している。セスキテルペンラクトンの濃度を低減させると、10μg/mLの最低濃度であっても、細胞は、MTSによってより低い生存率を示すことによって応答した。図9は、25μg/mLのSLが、UM-UC-6膀胱癌及びMCF7乳癌における癌関連シグナル伝達タンパク質に及ぼす影響を示すホスホキナーゼアレイである。ホスホキナーゼアレイから、25μg/mLの濃度のSLを用いて3時間の処理時間で処理した細胞は、重要なシグナル伝達、ならびにAMPK、TOR、ベータ-Catなどの癌細胞の生存に重要なエネルギータンパク質の阻害を引き起こすことが示される。ホスホキナーゼアレイの結果は、それらが図2及びそれ以降に提示した結合予測を実証するという点でも重要である。
インビボでの結果
30匹のNOD-SCIDマウスに、100万個のUM-UC-6細胞を皮下注射した。注射から1週間後、腫瘍が定着した後に、4μg/gのSLでの毎日の処置を開始した。これらの動物は、毎日の処置の開始から6週間後に屠殺した。異種移植処置された動物及び対照動物の、上皮増殖因子受容体(EGFR)及びKi-67の量を示す病理組織診断を図10に示す。EGFRは癌の進行に重要であり、Ki-67は有糸***活性の指標である。ここでは、EGFR及びKi-67は、処置した動物の方が少なかった。これは、SLでの毎日の処置によって癌の進行が阻害されたこと、および有糸***活性が少なくなり、かつ癌の増殖が少なくなったことを示している。
追加的なインビボ実験を、マウスに同所注射された3種の乳癌細胞株について実施した。乳癌細胞の同所注射は、癌増殖のすべての側面を研究するための強力なモデルである。MDA-MB-231、SUM-159、及びMDA-MB-468それぞれの100万個の細胞をマウスの***脂肪パッド内に注射して腫瘍を形成した。腫瘍が定着した後、Ambrosia maritimaのSL含有有機抽出物で、200μMの全SL/動物の用量で毎日腫瘍を処置した。
図11A~Bは、SUM-159及びMDA-MB-231細胞株について、Ambrosia maritimaから抽出されたSLで処置したマウス及びそれに対する対照動物における腫瘍部分の病理組織診断を示している。これらの結果から、SLで処置した動物における腫瘍サイズは対照より小さいことが示された。
図11Cは、MDA-MB-231トリプルネガティブ細胞株を異種移植した動物におけるHER2及びp65の発現レベルの結果、ならびに対応する棒グラフであって、SL有機抽出物、アンブロシンのみの精製抽出物、及びダムシンのみの精製抽出物で処置した動物ならびに対照動物についての阻害を示す棒グラフを示している。HER2及びp65の最も大きい減少がSL有機抽出物を用いたときに見られたが、有意な向上はアンブロシン及びダムシンのみの処置でも見られた。よって、これらの構成成分をSLの有機画分から個々に精製し、次いで有望な処置として組み合わせることができる。
3種の異なるルシフェラーゼ標識細胞株の腫瘍サイズの比較も行った。その結果を図12に示す。この一連の実験では、NOD/SCIDマウスにおいて、PC-3LUC及びUM-UC-9LUC株は皮下注射したが、UM-UC-10LUC株は膀胱内に注射した。それらすべての後で、すべての動物を6週間毎日処置したが、100μgのSL/動物が投薬量の割合であった。これらの動物を処置から6週間後に屠殺し、腫瘍湿重量を評価して、SLが腫瘍増殖に及ぼす影響を調べた。図12に明らかなように、非処置のマウスと比較すると、3種の細胞株すべてに腫瘍サイズの有意な縮小があった。差異の信頼水準は、3種の細胞株すべてについて少なくとも95%であった。これらの結果は、SLが癌治療に有望な医薬化合物であることを示している。
図13は、有機抽出物を用いて200μgのSL/日の用量で処置した動物内に同所注射したUM-UC-5LUCの病理組織診断を示している。対照動物では、EGFR及びKi-67(抗ヒト)によって腫瘍が染色されたが、それに対して処置動物では腫瘍が縮小した。同じ結果が、図14においてUM-UC-10LUCを同所注射した動物に見られた。
同様の結果が、前立腺癌及びトリプルネガティブ乳癌の細胞株で得られた。
スフェア形成
インビトロ及びインビボでの実験に加えて、SLを使用してスフェア形成を妨げる能力を試験した。
スフェア形成アッセイは、単細胞レベルでの自己複製及び分化がインビトロで評価される、報告される幹細胞の能力に基づいて、幹細胞を遡及的に同定するために広く使用されてきた。本発明者らは、SLが癌の前駆細胞(幹細胞)に及ぼす影響を研究し、SLで処理した後の細胞に対してスフェア形成アッセイを行った。
図15は、25μg/mLのSLで処理した及び処理していないUM-UC-9及び5637膀胱細胞株についての細胞のスフェアの画像を示している。この濃度で、UM-UC-9細胞株のスフェア形成の縮小があった。よって、予期した通りに、UM-UC-9は、5637細胞株より小さいスフェア形成を示した。
UM-UC-9細胞はまた、Mammocult培地(Stem Cell Technologies,Inc.)を有する低接着プレートに蒔き、一次スフェア形成のために7日間インキュベートした。次いで、一次形成したスフェアを収集し、破壊し、次いで低接着性の96ウェルプレートにおよそ200細胞/ウェルで蒔いた。翌日、細胞を様々な濃度のSLで処理し、二次(2次)スフェア形成を7日後に分析した。二次スフェアは、腫瘍前駆細胞集団を表す。図16に示すように、25、50、及び100μg/mLのSLは、DMSO対照での処理と比較すると、二次スフェア形成を大幅に縮小させた。それぞれの濃度のSLで、二次スフェアの完全阻害が見られた。
三次スフェア形成も試験した。その結果を図17に示す。やはり、スフェア形成は阻害された。β-カテニン経路も、SLによる腫瘍スフェア阻害の標的候補である。
スフェア形成を縮小するまたは阻害する能力は、癌治療におけるSLの薬理学的利点のさらなる証拠である。
インビトロでの用量反応研究
MTSを使用して、様々な膀胱癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、及び膵癌の細胞株に対するSLについて、IC50(所望の活性の50%阻害を引き起こす薬物濃度)を評価した。
膀胱癌細胞株:膀胱癌細胞株UM-UC-5を、Ambrosia maritima抽出物を用いて試験した。細胞を、96ウェルプレートに1000細胞/ウェル及び2000細胞/ウェルの密度で蒔いた。図18に示すように、1000細胞/ウェルのIC50は2.273μg/mLであり、2000細胞/ウェルのIC50は5.709μg/mLであった。
次いでMTS試験を実施して、複数の細胞株の異なるIC50を評価した。精製を行って、SLの有機抽出物を異なる構成成分に分離した。マイクログラムの代わりに、異なるSL、すなわち、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンの分子量によって決定されるマイクロモル用量をインビトロで試験した。理想的には、薬物療法の場合、10~15の間のマイクロモル重量が好ましい。それぞれの細胞株を1000細胞/ウェルの密度で蒔いた。IC50の結果を図19A~D及び表2に示す。
Figure 0007022064000003
本発明者らの他の実験から予期された通りに、アンブロシン及びダムシンのIC50の結果は最良であった。IC50は、筋肉浸潤性膀胱癌であるUM-UC-9からであっても、薬物療法の目標範囲である10μMをはるかに下回った。
ネオアンブロシンは、これらの4種のSLのうち最も低い効力を示したが、それでも抽出物全体でまたは他のSLと組み合わせて使用する治療に用途を見出すことができる。
IC50について試験したSL間の結果を検討すると、異なる膀胱癌細胞株が異なるSLに特異的に応答すると結論付けることができる。よって、膀胱癌について試験した細胞株が異なると、感受性の程度が異なる
同様の試験をAmbrosia hispidaからの有機抽出物を用いて行った。図20A~Cは、抽出物全体及び有機抽出物から精製されたアンブロシンだけを用いたUM-UC-5及びUM-UC-9膀胱細胞株について、IC50試験の結果を表示している。
乳癌細胞株:エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体の発現がなく、HER2の発現がより少ない腫瘍は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)として認識されている。TNBC腫瘍は分子サブタイプにさらに細分され、それには、上皮間葉転換という特徴に加えて幹細胞に類似した特性を有する低クローディン腫瘍が含まれる。インターフェロンに富むサブタイプは、正常***様サブタイプより良好な予後を有する腫瘍である。
幾つかのTNBC細胞株をインビトロで試験し、段階濃度のAmbrosia maritimaから抽出したSLで処理してIC50を決定した。SUM-159(基底、低クローディン)及びMDA-MB-231(基底、低クローディン)細胞株についてのIC50実験の結果を図21A~Bに示す。SLは、SLの様々な濃度でトリプルネガティブ乳癌の阻害に効力が示した。結果を表3に要約する。
Figure 0007022064000004
精製したSL、すなわち、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンのIC50も、MDA-MB-231細胞株(図22)、MDA-MB-468(基底サブタイプ 正常)細胞株(図23)、及びBT-474細胞株(図24)、浸潤性腺管癌細胞株(管腔サブタイプB)について試験した。結果を表4に要約する。
Figure 0007022064000005
膀胱細胞の試験からの結果と同様に、細胞株は異なるSLに感受性であった。ネオアンブロシンで最も高い感受性が見られたが、パルテニンもBT-474について有効であった。
同様の試験をAmbrosia hispidaからの有機抽出物を用いて行った。図25A~Bは、Ambrosia hispidaの有機抽出物に見出されたセスキテルペンラクトンで処理した乳癌細胞株MDA-MB-231(25A)及びBT-20(25B)についてのIC50実験の結果を表示している。図25C~Dは、Ambrosia hispidaの有機抽出物から精製したアンブロシンで処理した乳癌細胞株MDA-MB-231及びBT-20についてのIC50実験の結果を表示している。
予期した通りに、細胞株が異なると、SL抽出物に対する感受性が異なっていた。予想に反して、乳癌細胞株は両方とも、精製アンブロシンからの方がIC50が大きかった。これは、異なる細胞株には異なる分子活性があることに起因し得る。
肺癌細胞株:効力及びIC50実験を肺癌細胞株についても行った。SK-LU-1は肺の腺癌細胞株であり、A549は肺癌細胞株である。これらの細胞株を異なるセスキテルペンラクトンで処理し、3回の処理の効力の平均を図26A~Bに示す。IC50はマイクロモルで計算した。
膵癌細胞株:1種の膵臓細胞株(腹水転移)AsPC-1を、マイクロモル濃度が異なるSLで処理した。得られたIC50は、図27に示す通りである。
図28A~Dは、有機抽出物の異なる精製副画分(1=パルテニン、3=アンブロシン、4=ダムシン、5=ネオアンブロシン)について、前立腺癌細胞株に対するIC50実験の結果を表示しており、ここでは、IC50は、4.878(図28A)、2.715(図28B)、1.160(図28C)、及び264.5(図28D)である。濃度はμmolで表す。予期した通りに、一部の副画分は、他よりはるかに大きく細胞株に影響を及ぼした。
ブロモウリジン配列決定実験
細胞中の特定のRNAの定常状態レベルは、その生産速度と分解速度の間の釣り合いである。RNAの合成及び分解が特定の転写物の定常状態レベルに相対的に寄与することを知ることは、これらの転写物を調節する機序をより良く理解するために極めて重要である。よって、細胞のホメオスタシスが環境刺激またはストレスによって変化すると、あるRNAの定常状態レベルが変化することとなる。次いでこの変化を使用して、その後の遺伝子発現が、変化したRNA合成、安定性、またはその両方の結果であったのかを決定することができる。
そういうものとして、癌細胞のRNAを配列決定し、正常細胞と比較して、増加したまたは減少した(すなわち変化した)RNAがどこにあるかを見ることができる。それは、癌を誘発する恐れのある遺伝子またはタンパク質に至る助けとなり得る。
RNAの変化をモニタリングする一般的な方法は、新しいRNAをブロモウリジンで標識し、次いでRNAを単離してどこに新しいRNAが作製されたのかを見ることによる。ブロモウリジン配列決定は、当技術分野で周知である。
本発明者らはこの方法を使用してUM-UC-9(膀胱)及びBT-20(乳)癌細胞株中のRNAをモニタリングし、SLでの治療後のゲノムへの新生転写のレベルを検出した。両方の細胞株を、全有機画分を用いて一度に、または有機画分から精製したアンブロシンを用いて、様々な用量で3.5時間処理した。次いでRNAをブロモウリジンで30分間標識し、配列決定して、ゲノム中の新生転写のレベルを検出した。
処理したときにその転写が影響を受けた、特徴のある標的を検討した。特徴のうち幾つかは癌の進行及び増殖に直接関連するので、有機画分であるか精製アンブロシンであるかにかかわらず、それらで処理すると、遺伝子は、対照より低いレベルでそれらを転写することによって脱調節された。
有機画分または精製アンブロシンを用いて異なる用量で処理すると、アポトーシス経路、活性酸素種経路、とりわけ癌の進行に不可欠なものに影響を及ぼしていた遺伝子が上方制御された。よって、SL及びアンブロシンは、これらの経路の幾つかを、止めるとまではいかなくても低減させ、癌の進行を遅延させるまたは低減させることができる。
本発明は、martima及びhispida植物からの抽出物を使用する例及び説明で例証される。しかし、これは実例に過ぎず、本発明は、いかなるアンブローシア属植物にも広く適用することができる。さらに、これらの植物に見出されるいかなるSLでも、癌治療のためにあるレベルの細胞毒性を示すことが予期される。前述の例は例示に過ぎないことを意図しており、添付の特許請求の範囲を不当に限定するものではない。
以下の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
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本発明は、以下の態様を含む。
[1]
アンブロシア・マリティマ(Ambrosia maritima)の有機抽出物を医薬として許容される担体とともに含む有効量の組成物を、癌を患う患者に投与することを含む、膀胱癌、前立腺癌、トリプルネガティブ乳癌、肺癌、または膵癌を治療する方法。
[2]
前記有効量が、少なくとも6週間、毎日投与される、[1]に記載の方法。
[3]
前記有機抽出物が、少なくとも1種のセスキテルペンラクトンを含む、[1]に記載の方法。
[4]
前記有機抽出物が、以下のセスキテルペンラクトン、すなわち、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンのうち1種または複数を含む、[1]に記載の方法。
[5]
前記有機抽出物が、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンを含む、[1]に記載の方法。
[6]
アンブロシア・ヒスピダ(Ambrosia hispida)から抽出されたセスキテルペンラクトンを医薬として許容される担体とともに含む有効量の組成物を、癌を患う患者に投与することを含む、膀胱癌、前立腺癌、トリプルネガティブ乳癌、肺癌、または膵癌を治療する方法。
[7]
前記有効量が、少なくとも6週間、毎日投与される、[5]に記載の方法。
[8]
Ambrosia maritimaから抽出されたセスキテルペンラクトンを医薬として許容される担体とともに含む有効量の組成物を、癌を患う患者に投与することを含む、癌転移を低減させる方法。
[9]
Ambrosia maritimaから抽出されたセスキテルペンラクトンを医薬として許容される担体とともに含む有効量の組成物を、患者に投与することを含む、患者におけるp65、STAT3、GPR30、EGFR受容体ファミリー、β-カテニン経路、及びRho-GTP加水分解酵素ファミリーの活性の阻害を強化するための方法。
[10]
a)植物Ambrosia maritimaを、1種または複数のセスキテルペンラクトンが可溶性である有機溶媒で処理すること;
b)前記有機溶媒を蒸発させて粗抽出物を生成すること;
c)前記粗抽出物を第2の有機溶媒を使用するクロマトグラフィーにかけて、前記1種または複数のセスキテルペンラクトンの清浄な抽出物を得ること;及び;
d)個々の前記1種または複数のセスキテルペンラクトンの画分を収集すること;
を含む、医薬用途のためのセスキテルペンラクトン含有抽出物を調製する方法。
[11]
a)植物Ambrosia hispidaを、1種または複数のセスキテルペンラクトンが可溶性である有機溶媒で処理すること;
b)前記有機溶媒を蒸発させて粗抽出物を生成すること;
c)前記粗抽出物を第2の有機溶媒を使用するクロマトグラフィーにかけて、前記1種または複数のセスキテルペンラクトンの清浄な抽出物を得ること;及び;
d)個々の前記1種または複数のセスキテルペンラクトンの画分を収集すること;
を含む、医薬用途のためのセスキテルペンラクトン含有抽出物を調製する方法。
[12]
Ambrosia maritimaまたはAmbrosia hispidaの有機抽出物を医薬として許容される担体とともに含む組成物であって、前記有機抽出物が、Ambrosia maritimaの未精製の細胞抽出物に対して比較して少なくとも100倍安定であり、前記有機抽出物が、前記未精製の細胞抽出物より少なくとも1000倍濃縮されている、前記組成物。
[13]
Ambrosia maritimaまたはAmbrosia hispidaの有機抽出物を医薬として許容される担体とともに含む組成物であって、前記有機抽出物が、Ambrosia maritimaの未精製の細胞抽出物に対して比較して少なくとも1000倍安定であり、前記有機抽出物が、前記未精製の細胞抽出物より少なくとも10000倍濃縮されている、前記組成物。

Claims (5)

  1. アンブロシア・マリティマ(Ambrosia maritima)植物全体の極性有機抽出物を医薬として許容される担体とともに含む医薬組成物であって、前記医薬組成物の有効量が膀胱癌、肺腺癌、または膵癌を患う患者に投与され、前記極性有機抽出物が少なくとも1種のセスキテルペンラクトンを含む、膀胱癌、肺腺癌、または膵癌を治療するための、医薬組成物。
  2. 前記有効量が、少なくとも6週間、毎日投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記極性有機抽出物が、以下のセスキテルペンラクトン、すなわち、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンのうち1種または複数を含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. 前記極性有機抽出物が、パルテニン、アンブロシン、ダムシン、及びネオアンブロシンを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  5. a)Ambrosia maritima植物全体を、1種または複数のセスキテルペンラクトンが可溶性である極性有機溶媒で処理すること;
    b)前記極性有機溶媒を蒸発させて少なくとも1種のセスキテルペンラクトンを有する粗抽出物を生成すること;
    c)前記粗抽出物を第2の有機溶媒を使用するクロマトグラフィーにかけて、前記1種または複数のセスキテルペンラクトンの清浄な抽出物を得ること;及び;
    d)個々の前記1種または複数のセスキテルペンラクトンの画分を収集すること;
    を含む、医薬用途のためのセスキテルペンラクトン含有抽出物を調製する方法。

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